「まだまだ。プロになって10日っすよ!」。

久米島キャンプが終わる直前の2月10日のこと。ドラフト1位ルーキーのオコエ瑠偉は調子を尋ねると元気一杯、こう返してきた。掌には目を覆いたくなるような“マメ”がいくつもあったが、テーピングでぐるぐる巻きにしては元気にバットを振り、連日の猛練習に励んでいた。

あれから1カ月余り。これほどの成長を誰が予想できただろうか。卒業式を終えた後の表情は心なしか、さらに大人びて見えた。もともと守備と走塁はプロで通用するとの評価だったオコエ。

「あとは打つだけやな」と星野仙一球団副会長も話していたという。とはいえ、金属バットから木製バットに代わり、プロのバッティング技術を身につけるのは並大抵のことではない。誰もが2軍での開幕を予想していた。

◆監督「持っている」。球団史上初の高卒新人野手の開幕1軍も

マンツーマンて指導されるオコエ

キャンプ初日、オコエはバットを持った右手と左手の役割を身体にたたき込むことから始めた。改めて思い返すと信じられないが、2月2日にJ SPORTSのキャンプレポートに生出演した池山打撃コーチは、そう語っていた。

バットを振る、タイミングを合わせる、それ以前の問題だったと。キャンプは初日からマスコミがオコエに殺到した。大注目を集める中だったが、池山コーチは、打撃練習で目も当てられなかったオコエに、マンツーマンで指導にあたった。

「一向に(ボールが)前に飛びそうになかったのでね。バットの芯の位置、どういうときにどこを見るのか、両手のどちらを意識するのか、そういうバッティングに入る前のことから教えました」と明かした。

その後、左脇が開くクセを直すため、ゴムチューブで固定して、バットを振らせた。こうした木製バットに対応するためのフォーム改革は、一朝一夕で身につくものではない。しかし、その常識を覆すだけの伸びしろとスター性を見せつけている。

プロ実戦初打席は2月7日の紅白戦。第1打席は昨季のドラフト1位、安樂智大に3球三振。第2、第3打席もフライアウト。ほろ苦いデビューになると思われたが、最終回に無死一、二塁のチャンスで4度目の打席が回ってくると、左中間を破るタイムリー。持ち前の快足を飛ばして三塁打とした。

加速度を上げる迫力のベースランニングは観客を一気に引き込む。スタンドからはこの日1番の歓声があがった。「あそこで打席が回ってくるのだから、何か持ってるのかもしれないね」と梨田監督。

鮮烈デビューからここまで、オコエはここぞという場面で集中力を発揮しては、勝負強さを見せ続けている。オープン戦の打率は1割台と低迷しているものの、3月15日の西武戦では再び最終回に勝ち越しタイムリー。中前に鮮やかに飛ばす成長の一打で、再び監督に「持っている」と言わしめた。

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