2016年Jリーグの開幕を告げる「FUJI XEROX SUPER CUP」で、昨年のJリーグ王者サンフレッチェ広島が、天皇杯勝者のガンバ大阪に完勝。アデミウソンを加えて戦力をアップしたと見られていたG大阪だったが、そのアデミウソンが攻守ともにまだ噛み合っておらず、逆に広島の完成度の高さが目立った試合だった。

広島はドウグラスが抜けた穴が懸念されたが、そのポジションに抜擢された茶島雄介が完璧に代役を務めた。「茶島って、あんなに上手い選手だったのか!」とすら思わせるほどのパフォーマンス。相手DFの前のスペースに入り込んで再三パスを引き出し、受けたパスのスピードを落とさずに前に運ぶすばらしい動きを見せた。昨年のクラブ・ワールドカップの時にも感じたが、広島は控えの選手たちがそろっている。「攻撃面では3セットそろっている」と、森保一監督。

こうして、完璧にゲームをコントロールした広島だったが、前半45分には得点は生まれなかった……とうか、シュートまで行けなかった(行かなかった?)。公式記録によれば、前半のシュート数は広島が2本、G大阪が1本である。あれほどパスをつなぎながら、シュート2本とは……。もっとも、相手が隙を見せない限り仕掛けていかないあたりも広島らしいと言えば、広島らしいのだが。

そして、後半に入ってG大阪の長谷川健太監督が業を煮やして(あるいは覚悟の上で)ゲームを動かそうとして生じた隙を見るや、DF塩谷司の攻撃参加から見事な縦へのパスを通し、佐藤寿人が決めて先制。さらに、佐藤に代わって入った浅野拓磨がPKを決めて2点目を追加。G大阪の宇佐美貴史に1点を返されるものの、最後は新戦力として加わったピーター・ウタカが豪快なボレーを決めて、結局3対1での広島の勝利だった。

佐藤(この試合のシュートは得点場面の1本だけ)、浅野、ピーター・ウタカと、点を取る役割の3人が決めての快勝だった。 なかなか点が入らなくてもまったく焦らない試合運びも含めて、完成度の高さには舌を巻くばかりだ。先週、僕はUEFAチャンピオンズリーグのラウンド16のゲント(ベルギー)対ヴォルフスブルク(ドイツ)戦の中継で解説したが、今の広島ならたぶんゲントよりは強いのではないだろうか。

雑誌のJリーグ順位予想などで、僕は戦力補強に注目してG大阪の優勝という予想をしていたが、この試合を観てしまうと「広島優勝」に切り替えなければならないなと反省した。ところで、この試合、雨で夕方からの荒天が予想されていたせいなのか、スタンドは空席が目立った(それでも、公式入場者数は33,805人に達した)。やはり、「スーパーカップ」と銘打っても、リーグ戦開幕を1週間後に控えたプレシーズンマッチの一つであるわけで、大阪や広島からサポーターが大挙して駆け付けるということは期待できないのだろう。地元の横浜F・マリノスや首都圏で日本最大の動員力を誇る浦和レッズでも出場しないと、日産スタジアムを満員にするのは難しいのかもしれない。

さて、そこで考えたいのは「スーパーカップ」の注目度をどうやって上げていくかである。長い間スポンサーをしてくれているFUJI XEROXのためにも、この試合はもっとショーアップすべきではないのだろうか?「スーパーカップ」、つまりシーズン開幕直前の前季リーグ・チャンピオンと前季カップ・ウィナーの対戦は各国で実施されている。また、チャンピオンズリーグ優勝チーム対ヨーロッパリーグ優勝チームの「スーパーカップ」もUEFAの主催で行われている。

モデルはもちろんイングランドのコミュニティーシールド(旧チャリティーシールド)だ。「チャリティーシールド」は、1908年に始まった伝統ある大会で、もともと慈善のための基金集めとして行われたために「チャリティー」と銘打たれていた。当初はアマチュア選抜対プロ選抜などさまざまな顔合わせで行われていたが、1920年代頃からはフットボール・リーグ(FL)開幕の前週に、前シーズンのリーグ優勝チームとFAカップ勝者が顔を合わせて行われてきた。

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