「おぉー」「わぁー」。久米島球場で、あちこちから小さなどよめきが起きた。雨続きだった春季キャンプの第1クールで、初のフリー打撃が行われた日のこと。

新戦力としてイーグルスに加わった栗原健太が、痛快に打球を飛ばしていた。力んだ様子はない。練習として意図したものがあるのだろうが、右に左に打球は伸びやかに放たれ、ポンポンと柵越えもみせた。

この後も何度かJ SPORTSで栗原のフリー打撃の様子を中継しているが、「けがの影響は見られない」「さすがのバッティングだ」と実況や解説も舌を巻いたほど。

2012年と14年に右肘を手術し、1軍での活躍から遠ざかっていた広島の元4番は、上々のキャンプインを見せていた。

◆「弓矢で言うなら戻しているところがある。水漏れかもしれない」

練習後、さすがですねと声を掛けると、「いやあ…そう見えたのは嬉しいですけど、全然ですよ」とやんわり否定された。柔らかな表情から一転、立ち止まると語った。

「弓をこう、目いっぱい引くじゃないですか。そこで離せば最高の力が出るはず。なのに、引いた弓を少し戻して離している感じなんです」。栗原はバッティングの状態を弓に例えて説明した。

ケガをしたところは痛みもなければ問題もない。けれども、無意識のうちに右肘をかばっていたクセが残っている感じなのだと明かした。かつての思いっきり力を溜めて解放する、弓矢のようなバッティングではないのだと。

「身体のなかに水が溜まって、それが一気に流れ出す感じにも似ています。でもそれが、今は身体のあちこちから水漏れを起こしているようで…」。

天性のスラッガーにしかわからない超越した感覚を、自らの言葉で誰にでもわかるように解説する。栗原は、その研ぎ澄まされた感性で自分の状態を把握し、それを明確に人に伝えることもできるのだ。

「自分でわかってるんです、どこがどうおかしいかも全部。なので、後はコーチやトレーナーとも話しながら、それを修正していければと」。

本人しかわからない繊細な感覚とそれを伝える表現力、第3者の目となるコーチやトレーナー。これらすべてが一流に揃うのだから、うまく修正されるに違いない。

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