この間、東横落語会で掛取万歳を聴いて、“一年の暮れにやっておきたいリスト”の上位につけている事柄の一つをきっちりと済ませることができた。人によっては、これが第九だったり、なんとかイルミネーションだったりするのだろうけれど、とにかく誰によらず、暮れにはこれだけはやっておかねば、という事柄の一つや二つはあるものである。

ぼくにとってこのリスト中で、生で掛取万歳を聴くのと同格にあるのが、ボクシングデーから年明けにかけてのプレミアリーグの阿呆な鮨詰めスケジュールの傍観、である。フットボールファンには毎年恒例となっているこの殺人的ともいえるハードなスケジューリングは今年も変わらずで、ボクシングデーの26日には第18節全10試合が組まれており、殆ど間髪入れずに28日から30日にかけて第19節が、そして年明けの1月2日と3日に第20節が組まれている。はっきり言って、無茶苦茶な話である。しかし、部外者として、傍で無茶をしている人々を眺めるのは面白いものである。「よくやるよなあ」と感心半分、呆れ半分で観るこの季節のフットボールには、この時期ならではの味わいがある。

この年末のハードスケジュールでも、とりわけぼくが特に好きなのは全試合が開催されるボクシングデーで、雨が降ろうが槍が降ろうがとにかくこの日は毎年全試合開催という融通のなさが素敵だと思う。日本ではこのボクシングデー開催の第18節は5試合がテレビ中継される。そろそろ首元がスースーし始めたファンハールのマンチェスター・ユナイテッドがブリタニアスタジアムに乗り込む一戦に、新指揮官のチェルシーが好調ワトフォードをホームに迎える一戦と、のっけから注目度の高い試合が目白押しであるが、中でも楽しみなのはJ SPORTSにて放送予定の、日本時間では丁度日付の変わり目にキックオフとなるリヴァプールvs.レスターの一戦である。

レスターがリーグテーブルのトップに立ってクリスマスを迎える。ハリウッドの脚本家でも書きそうにない、こんなお伽噺めいた展開、誰が予想できたであろうか。なにしろ、昨季はビリでクリスマスを迎えたチームである。それが1年経ってみれば、リーグテーブルの正反対にいるのだからクレイジーな話である。ラニエリ監督自身、「フットボールとはクレイジーなものだが、こういうクレイジーさは大歓迎だ」と何日か前の会見で語っていたが、こうなると、プレミアリーグ史上最大の下剋上を見てみたくなる。ちなみに、プレミアリーグの過去23シーズンで、クリスマスをトップで迎えたチームがそのままシーズン制覇を成し遂げたのは11回と、その回数は半分に満たないのであるが、ここ6シーズンに限っては実に5回を数えるのである。クリスマスを首位で過ごせばリーグ制覇というのが近年のプレミアリーグのトレンドとなっており、チェルシー戦、そしてエヴァートン戦と難敵をことごとく圧巻の試合運びで撃破したレスターのここ2試合の“本物感”を鑑みると、レスターがそのトレンドに乗るという展開はあながちあり得ない話ではない。

リーグ戦ここ10試合で8勝2分と無類の強さを誇るレスターは、ボクシングデーに難所アンフィールドでの試合をこなすと、第19節は中2日でホームにマンチェスター・シティを迎え、今季のリーグ戦をハーフターンすることになる。歴史的下克上の実現へ向け、正に試金石と言える暮れの2連戦である。そこに岡崎という日本人選手が絡んでいるのだから、これは試合を見ない理由を見つける方が難しいのではなかろうか。

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平床 大輔
1976年生まれ。東京都出身。雑文家。1990年代の多くを「サッカー不毛の地」アメリカで過ごすも、1994年のアメリカW杯でサッカーと邂逅。以降、徹頭徹尾、視聴者・観戦者の立場を貫いてきたが、2008年ペン(キーボード)をとる。現在はJ SPORTSにプレミアリーグ関連のコラムを寄稿。

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