しばらく前のこのコラムで「ドイツのスタジアムは近代的で整然としている」という趣旨のことを書いた。一方、イングランドには少しずつ増改築を繰り返したようなスタジアムが多いとも書いた。

だが、僕はイングランドの(英国の)古いスタジアムが大好きだ。「スタジアム」という単語よりも「フットボール・グラウンド」という言葉を使った方がいいのかもしれないが……。

僕がイングランドで初めて試合を観たのは1972年の秋のこと。アーセナルとマンチェスター・シティーの試合だった。

1968年に来日したばかりのアーセナルは僕にとっても馴染のあるチームだったし、前シーズン(1971/72)にはリーグとカップのダブル・チャンピオンとなっていた。当時のアーセナル・スタジアムは、今のエミレーツ・スタジアムのすぐそばにあり、「ハイバリー」という名で親しまれた名スタジアムだった。

満員のスタンド、緑の芝生、ゴール前からゴール前までの息もつかせぬ素早い展開など、僕が見た1970年代初めのイングランドにおける最高峰の試合は、当時の日本の(アマチュアの)サッカーとはまったく別のゲームだった。

チャンスになると椅子に座っていたファンが立ち上がる。すると、跳ね上げ式の木製の椅子が一斉に跳ね上がってバタバタと音がしたのが強く印象に残っている。かなり高級な席だったので、観客の多くが社会的な階層の高そうな紳士たちだったが、一つひとつのプレーについて口角泡を飛ばして真剣に議論していたのもよく覚えている。

当時、僕たち極東の島国のサッカー・ファンがイングランドのことを知っていたのは、「三菱ダイヤモンド・サッカー」という番組があったからだ。

試合から何週間か経ってから、「今週は前半の45分、後半は次の週に」という形式の番組で、今から考えると実にのんびりしたものだが、僕たちにとっては大変に貴重な情報源だった。当時のイングランドのスタジアムは観客席のかなりの部分が立ち見席だったから、ぎっしりと人が詰め込まれたスタンドは僕たちにとっては驚きの光景だった。

ずっと後になって、僕がサッカージャーナリストとなって、ヨーロッパにもしょっちゅう行くようになった。そんな時に、マンチェスター・シティーの旧ホーム「メインロード」を訪ねたことがある。エティハド・スタジアム(シティー・オブ・マンチェスター)に移転する直前のことだった。

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