「開いた口が塞がらない」とはこのことだ。
国立競技場問題である。

下村文部科学大臣が、舛添東京都知事と会談し、東京都側に500億円の負担を求めた際に、「開閉式の屋根の取り付けは間に合わないので、屋根はオリンピック、パラリンピック終了後に取り付ける」。「一部を仮設席にする」という方針を突然発表したのである。

国立競技場の建て替え問題に関しては、昨年来、このコラムでも何度も取り上げた。あんな使い勝手が悪いスタジアムを造っても、将来「負の遺産」になってしまう。もっとコンパクトで、将来も使い続けられる構造のものにしないと、税金の無駄使いになってしまう。それが僕の意見だった。
だが、各界から批判を浴びた国立競技場の建て替えだったが、「国」というか、当事者であるスポーツ振興センターはそうした批判にはまったく耳を貸さず、旧国立競技場はアッと言う間に取り壊され、今ではすっかり更地状態になってしまった。
だから、もう、このまま、あの醜い巨大建造物が出来てしまうのかと僕は諦めていたのだが、それが突然、計画通りの競技場が出来そうもないという話になったのである。

問題の経緯を、ごく簡単に振り返ってみよう。

まず、2020年のオリンピック招致を進める際に、メインスタジアムは東京・千駄ヶ谷の国立競技場を建て替えて使用することが決まった。そして、スポーツ振興センターは新国立競技場のプランを公募。国際コンペが行われ、ザハ・ハディド女史が設計した巨大なスタジアムのプランが採用された。
しかし、このザハ・ハディドのデザインが発表されると、あまりの巨大さから「明治神宮外苑の景観を損なう」という批判が沸き起こった。なにしろ、巨大な屋根の高さは旧国立競技場の照明塔よりはるかに高く、構造物の一部は中央線の線路まで達するような巨大さだったのだ。

しかし、このプラン通りのものを建設すると建設費が3000億円に達するという試算が出て、結局、プランは修正(縮小)された。修正案には、ザハ案のようなダイナミックさもなくなり、そのデザインは「亀の子のような」とか「サイクリングのヘルメットのような」と揶揄された。
建築界からも批判が噴出。各方面から旧国立競技場の改修案が提出されたが、こうした批判の声は無視され、スポーツ振興センターは旧国立競技場を取り壊してしまったのだ。

新国立競技場は、陸上競技とサッカー・ラグビーの兼用スタジアムで8万人収容。特徴は、開閉式の巨大な屋根が取り付けられることだった。屋根を取り付けて騒音問題を防止することによってコンサート会場として使用することで、稼働率を上げようというのがその趣旨だった(だから、今回、下村文科相は「オリンピック、パラリンピックには屋根は要らない」。「パラリンピック終了後に屋根を付ければいい」などと言い出したわけだ)。 新国立競技場はどうにも使い勝手の悪いスタジアムになるはずだ。

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