とてもではないが、「試合」と呼ぶにはおこがましいような「格の違い」を見せつけられてしまったブラジル戦だった。それも、考えてみれば当然の結果である。何しろ、本田圭佑や長友佑都といった通用しそうな主力選手はベンチに置かれ、代表経験のほとんどない選手たちをスターターとして並べたのだ。代表のブルーのシャツを着ていること自体が驚きのような選手が、ブラジル代表と戦っているのである。

ブラジルの方は、もちろん「本気」ではないだろうが、中2日のゲームであるにも関わらず、負傷したダヴィド・ルイスを除いて、北京で行われたアルゼンチン戦とほぼ同じメンバーを並べてきた。疲れはあるだろうが、当然、チームの完成度は高い。なにしろ、ドゥンガ監督就任以来、アルゼンチン戦まで全勝。しかも、無失点というチームなのだ。

そんなチームに、若手主体の日本が敵う訳もない。ブラジルの強さは2列目にあった。ネイマールが下がり気味でプレーし、そこに両サイドのウィリアンやオスカルがポジションチェンジしながら絡み、さらにアルゼンチン戦で2ゴールを決めたジエゴ・タルデッリが中途半端な位置取りで絡んでくる。そんな、ブラジルの2列目を、代表初先発の田口泰士が一人で止めることができるはずもない。ワンボランチのサイドのスペースを自由に使われてしまったのだ。

この試合で勝負をかけようと思ったら、ボランチを2人(あるいは3人)並べてスペースを埋めたうえでアグレッシブにボールを奪いにいくこと。そして、カウンターからの一発のチャンスに賭けるしかないはずだ。勝負として考えれば、この試合はアギーレ監督の明らかな采配ミスということになる。だが、アギーレ監督はこの試合で勝とうなどとハナッから思っていなかった。アジアカップに向けたチーム作り、そのために選手を観察する機会。それが、唯一の目的と割り切ったからこそ、アギーレ監督はこんな選手起用をしたのである。

若手選手を使いたいのなら、格下のジャマイカとのホームゲームで使うべきであり、世界最強の一角ブラジルとの試合は現時点での最強チームで戦うべきという意見も、当然あるだろう。いや、むしろ、そう考える方が常識だ。ブラジル相手に若い選手を使って叩きのめされたら、若い選手たちが立ち直れないようなダメージを受けるかもしれないと考えることもできる。

だが、アギーレ監督は、敢えてブラジル戦を若手のテストの場として使ったのである。若い選手を使っても、相手が弱くて、それなりに良い内容の試合をして、勝利を収めてしまう。それでは、その選手の本当の限界なり、本当の潜在能力を見極めることはできない。アギーレ監督は、そう考えたのではないだろうか。強い相手に完膚無きまでに叩きのめされる。そんな試合の中で、意気消沈したり、冷静さを失って何もできなくなってしまう選手。一方で、どんなにやられても、それなりに反発心を持ち、強い相手に対しても諦めずに何度でも仕掛けていける選手。そんな、選手の反応を見たかったのではないだろうか。

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