FA(イングランドサッカー協会)は16日、イングランド内でプレーする非EU(欧州連合)籍選手の数を、現在の半分以下に削減するための新しい規定の草案を公表した。日本ではほとんど報じられていないが、これは日本人選手にとっては、ますますプレミアリーグが狭き門になる、厳しいルールだ。

FAは年末までに英国政府と合意したい意向で、来季(2015−16年)からの導入を目指している。スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの各リーグもこの新規定を導入することを検討しているという。

2009年以降、イングランドへは122人の非EU籍選手が移籍してきたが、「あまりに平凡な選手が多すぎた」ことが理由だという。

現在、日本など非EU籍選手が、プレミアなど英国の各リーグでプレーするためには、英国の労働許可証を取得しなければならない。その要件として、(1)FIFA(国際サッカー連盟)ランキングが70位以上の国の選手、(2)自国のフル代表として過去2年間の公式戦(親善試合は含めない)の出場率が75%以上あること、などがあった。

吉田麻也(サウサンプトン)や香川真司(マンチェスター・ユナイテッド→ドルトムント)らは、これをクリアして、イングランドへ上陸してきた。だが提出された新しい規定の草案は、こうだ。

(1)FIFAランキング70位以上を50位以上に変更、(2)FIFAランキング30位以内の選手は過去2年間の自国フル代表としての公式戦への出場率は30%以上、(3)FIFAランキングや代表出場歴に関係なく、移籍金1000万ポンド(18億円)もしくは1500万ポンド(27億円)以上の優秀な選手

現在、日本はFIFAランキングが48位だから、何とかクリアしているが、もしアギーレ日本代表がアジアカップで優勝できず、今後も親善試合で強豪と戦い続け、勝てないことが続くと、50位以下に転落することは大いにあり得る。来季以降、プレミアリーグのクラブへ移籍する可能性がある、マインツの岡崎慎司や、シャルケの内田篤人、ハノーファーの清武弘嗣らは影響を受けるかもしれない。

さらに新しい規定の草案には、(4)英国の労働許可証の発給は、プレミアリーグのクラブでプレーする選手に限る、(5)他クラブへローン移籍された選手が英国の労働許可証の発給を受けて英国へ戻ることの防止、(6)異議申し立ては手順の不備により、拒否されたケースのみに限る、とあるのだ。

つまり新規定では、2012年1月に当時チャンピオンシップ(2部リーグ)だったサウサンプトン移籍した李忠成(現浦和レッズ)のようなケースは成立しないことになる。また2010年12月にアーセナルと契約し、フェイエノールトへローン移籍。その後英国の労働許可証を取得し、ボルトン、ウィガン、アーセナルでプレーした宮市亮のケースも、認められない。

この新規定の制定の背景には、イングランド代表の弱体化があり、その理由として、プレミアリーグでプレーするイングランド人選手の出場率が全体の3分の1に満たないという現実がある。そのために何らかの規定を設ける必要があったのだろう。

だが実態はEU籍選手がイングランド人選手の出場機会を奪っているケースがほとんどだ。しかしEU籍選手のイングランド流入を止めることは、EU法に抵触するためできない。そこで非EU籍選手が「スケープゴート」にされたのである。FAとしては、「イングランド人の出場機会を守るために規制しています」と言いたいのだ。もっとも、自ら「非EU選手は、あまりに平凡な選手が多すぎた」と理由を挙げており、イングランド人選手の出場機会を奪っている、という論理は成り立たないのだが…。

2001年に稲本潤一(川崎フロンターレ)がアーセナルに移籍して以来、イングランドのプレミアリーグ、およびチャンピオンシップのクラブに所属した日本人選手は、計15シーズンで10人。日本サッカー全体がさらに底上げされ、優秀な選手が出てこない限り、この数は増えない。

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原田 公樹
1966(昭和41)年8月27日横須賀生まれ、呉育ち。国学院大学文学部中退。週刊誌記者を経てフリーのスポーツライターとして独立し、99年に英国へ移住。ウェンブリースタジアムを望む、北ロンドンの12階のアパートメントに住んでいる。東京中日スポーツやサッカーマガジンに寄稿し、ロンドン・ジャパニーズの不動の左サイドバックでもある。 »Twitterアカウント »メールを送る

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