香川真司がマンチェスター・ユナイテッドを離れ、他クラブへ移籍する可能性が高まっている。現在、挙がっている移籍先の候補は、古巣のボルシア・ドルトムント(ドイツ)、バレンシア(スペイン)、田中順也が今季移籍したスポルティング(ポルトガル)、ユベントス(イタリア)の4つ。現在、クラブ間が交渉中と見られ、今日、明日にも合意に達するのではないか、と見られている。なかでも、もっとも可能性が高いのは、ドルトムント復帰だ。ほぼ合意に達した、という情報もある。

なぜ香川はマンチェスターUを退団する事態になりそうなのか。ファンハール監督の構想外になった、という単純な話ではない。さまざまな事情が絡み合っている。まずプレシーズンの米国ツアーで着任したばかりの新監督は、今季は3−4−1−2を基本フォーメーションとして戦うことを決定。だがこの時点でナンバー10(トップ下のMF)がマタ、ルーニー、ヤヌザイ、フェライニ、香川と5人もいた。ルーニーはトップ、フェライニはボランチとしてもプレーできるが、ひとつのポジションを5人が争うのは異常な状態だ。そのため指揮官は香川をボランチで使えないか、と序盤の2試合で途中出場させて試した。だが香川は上手くプレーすることができなかったのだ。

のちに指揮官は「私は米国で香川をセントラルMF(ボランチ)として試したが、彼は私の希望と哲学を満たすことができなかった。話し合ってナンバー10としてプレーさせることにした」と明かしている。2戦目が終わった時点で香川は、ファンハール監督に「トップ下で勝負したい」と進言したのだろう。指揮官はこれを受け入れ、米国ツアーの後半3戦は、途中出場だったが香川をトップ下のMFとして起用。ゴールは決められなかったが、アシストをするなど、ある程度の活躍をした。チームも優勝を飾ったため、いったん移籍は保留となった。

しかしマンチェスターUはホームでのリーグ開幕戦で、スウォンジーに1−2で敗れるという歴史的な敗北を喫し、第2戦も敵地でサンダーランドと1−1で引き分け。このスコアライン以上にプレー内容は酷かった。そのため、かねてから交渉中だったアルゼンチン代表でレアル・マドリード(スペイン)のMFアンヘル・ディマリアの獲得を一気に加速させたのだ。相当に焦っていたのだろう。移籍金は、英国史上最高額の5970万ポンド(約104億円)。誰がどう見ても高すぎる。かつてのマンチェスターUでは、考えられないような、荒っぽい買い物の仕方だ。しかもその金額をわざわざクラブ公式として発表したのである。ファンと株式などの市場に対し、「こんなに高くて優秀な選手を獲得しました。もう安心です」と知らせ、低迷ムードを払拭する狙いがあったのだろう。

ところが、この公式発表が行われた26日、行われたリーグカップ2回戦で、マンチェスターUは、リーグワン(3部リーグ)のミルトンキーンズ(MK)ドンズに、まさかの0−4で大敗。香川は今季公式戦で初めて先発し、トップ下のMFとしてプレーしたが、脳震とうと鼻血により、20分で途中交代を余儀なくされた。これで今季はリーグ戦と、FAカップのみとなり、さらに試合数が減ってしまったのである。

さてディマリアが最も得意とする右ウイングのポジションは、3−4−1−2を基本フォーメーションには存在しない。3−4−3や4−2−3−1へ変更するつもりなのか、と聞かれたファンハール監督は「すぐにフォーメーション変更はしない。まずディマリアの能力を見極めてからだが、彼はサイドでも中央でもプレーできる。監督にとっては便利な選手だ」と解説。今後のフォーメーション変更の可能性を示唆しつつ、能力を高く評価したのだ。

まるで「ナンバー10としてしかプレーできない香川とは違う」と言っているように聞こえた。これでマンチェスターUのナンバー10は計6人となり、香川は押し出されてしまった。いまから考えると、「香川は昨季以来、調子を落とし、W杯でも復調せず、その流れでファンハール監督が着任したこと」、「米国で香川はボランチとして上手くプレーできず、またボランチではなく、トップ下のMFとしてプレーすることを希望したこと」、「マンチェスターUがリーグ開幕で出鼻をくじかれ、強力な補強を余儀なくされたこと」、「リーグカップ敗退で試合数がさらに減ったこと」そして「ディマリアを獲得できたこと」。これらの事情により、香川はマンチェスターUでの居場所を失ってしまった。

日本代表の招集も「ケガ」と理由に見送られ、香川はいま移籍に向けて、待機中だ。合意に達せば、すぐに移籍先へ飛び、メディカルテストなどを受けなければならない。移籍交渉は最後の最後まで、何が起こるか分からないが、9月1日に移籍市場が閉まるまでに、香川にとっての新天地、あるいは古巣復帰が決まるだろう。

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原田 公樹
1966(昭和41)年8月27日横須賀生まれ、呉育ち。国学院大学文学部中退。週刊誌記者を経てフリーのスポーツライターとして独立し、99年に英国へ移住。ウェンブリースタジアムを望む、北ロンドンの12階のアパートメントに住んでいる。東京中日スポーツやサッカーマガジンに寄稿し、ロンドン・ジャパニーズの不動の左サイドバックでもある。 »Twitterアカウント »メールを送る

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