2014年ブラジルワールドカップのJ1中断前から8試合未勝利の泥沼にはまっているセレッソ大阪。8月9日のFC東京戦ではキャプテン・山口蛍が右ひざ外側半月板を損傷し、全治6週間の重傷を負った。復帰までには1カ月半から2カ月かかると見られており、チームへの影響は深刻と言わざるを得ない。

今季の彼らは2010年南アフリカワールドカップ得点王&MVPに輝いたディエゴ・フォルランの加入という大きなニュースで話題をさらったが、戦いが進んでいけばいくほど、全く予期せぬ方向へ進んでしまっている。中断期間に就任したイタリア人のマルコ・ペッツァイオリ新監督の修正も思うように進まず、安定した戦いができないままだ。

その一因としてまず挙げられるのが得点力不足だった。昨季は19試合終了時点で27ゴールを挙げていたが、今季はわずか19。昨季年間21得点を挙げた柿谷曜一朗(バーゼル)が前半戦だけで1点しか取れなかったのが痛かった。その分、フォルランが多少なりとも穴埋めをしているが、それ以外の目立った得点源がなかったのが実情だ。加えて守備面も、昨季は山下達也らの奮闘もあって厳しい局面でもノーゴールで踏みとどまっていたが、今季は勝負所で点を取られている。1点差負けが多いのが、今季のC大阪を如実に表しているといえる。

このままズルズルいけば、本当にJ2降格が現実になってしまう。それを阻止するためにも、優勝争いに本格参戦してきた川崎フロンターレを叩くことは重要だった。そういう意味でも16日のアウェーゲームが重要だった。C大阪は4バックの前に、長谷川アーリアジャスールをアンカーに配置。右外に南野拓実、左外に楠神順平、前目のMFにキム・ソンジュンを置き、前線にフォルランと永井龍を入れる4-4-2に近い布陣でスタートした。南野は昨季以来、左サイドでのプレーが多かったため、右に入るのは珍しかった。が、その南野が開始5分、丸橋祐介のクロスかに飛び込んで幸先のいいヘッドで先制点を手に入れる。低迷中のC大阪にとっても弾みがつきそうな1点だと見られた。

だが、そこからの戦い方が悪かった。前節、浦和レッズ戦から3-4-3の新布陣を本格導入した川崎の流動的な攻撃、意表を突く飛び出しに翻弄され、最終ラインがズルズルと下がってしまう。ペッツァイオリ監督も「間延びして中盤にスペースができ、数的不利な状況を作られてしまった」と反省したが、川崎に立て続けにゴールを奪われ前半終了時点で1-4。今季のC大阪のこの守備の脆さが出て、早くも試合の行方は決まったかと思われた。

それでも指揮官は後半に向けて大胆な修正を図った。楠神とキム・ソンジュンに代えて吉野峻光と扇原貴宏を2枚代えし、システムも3-1-4-2のような形に変えたのだ。左サイドの丸橋は完全に高い位置を取り、右の吉野、トップ下の南野、長谷川とともに2列目に陣取る形になり、扇原がアンカー役を担ったのだ。この布陣変更によってC大阪はボール支配率を一気に高め、相手を押し込む。後半4分には永井の強引なドリブル突破から丸橋が2点目を挙げ、29分には安藤淳のクロスを藤本康太が頭で押し込んで3-4まで追いすがった。ここでもう1点を奪えていれば、試合を振り出しに戻すことができたのだが、川崎の絶好調男・小林悠に5点目を決められてしまう。終盤にフォルランがワールドクラスのボレー弾を決めて4点目を奪ったものの、彼らの追い上げもそこまで。これで9試合未勝利となってしまった。

「後半はボールを積極的に前から奪いに行き、多くのチャンスを作った。前半は眠っていたのか、その戦いぶりが悔やまれる」とペッツァイオリ監督も正直な本音を吐露したが、選手たちも同じ心境だっただろう。今季通して決定力不足にあえいできたチームが久しぶりに大量4点を挙げることができたのに、勝ち点を全く掴めないというのは、納得いかない部分が多いはずだ。

やはり真っ先に修正しなければいけないのは、リスタートからの失点の多さだ。この試合でも5失点のうち2失点はCKから取られている。指揮官も「集中力を欠いていた」と問題点をはっきりと認めている。やっと今季初ゴールを決めた南野が「この4得点をポジティブに捉えたい」とコメントした通り、攻撃陣の方は間違いなく前向きな手ごたえを掴んだ。だからこそ、守備を落ち着かせる必要がある。その急務の課題をどう克服するかが今後のC大阪浮上の鍵になるだろう。

2010年南ア大会のドイツ代表のカカウの加入も決まっただけに、ここからの巻き返しがどうなるか。これから先もC大阪の動向から目が離せない。

photo

元川 悦子
もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

お知らせ

◆14-15シーズン プレミアリーグが8/16(土)に開幕!
W杯で活躍した選手たちが、世界最高峰の熱い戦いを繰り広げる!
≫特集ページを見る

◆プレミアリーグ全試合LIVE配信!PC、スマホ、タブレットでいつで もどこでも見られ る!
もれなく最大1ヵ月無料キャンペーンコードが貰える!
吉田麻也選手サイン入りユニフォーム他豪華プレゼントが当たるキャンペーン実 施中!
≫特集ページを見る
≫キャン ペーンページ を見る

スカパー!×J SPORTS J SPORTS オンラインショップ