プレミアリーグ開幕まで、あと10日。いよいよカウントダウンが始まるなか、Jリーガーは普段、どんな視点で海外サッカーを見ているのか。今回は、日本屈指の理論派ボランチとして、今やFC東京には欠かせない存在である高橋秀人選手に、ブラジルW杯の印象、そしてプレミアリーグの魅力について語ってもらった。

W杯王者ドイツに通ずる日本の方向性

ブラジルW杯は、主に録画で見ていたという高橋選手。今回、特に注目していたのは、大会を通じてサプライズを提供してくれた中堅国だったという。

「コスタリカ、アルジェリア、アメリカ、ベルギーをよく見ていましたね。見ていて、『あ、こんなサッカーをするんだ』という驚きがありました。常にチャレンジ精神を持っていて、驕ることなくプレーしていました。だから、試合を見ていて凄く感動しましたね」

とはいえ、やはり印象的だったのは優勝したドイツ。とりわけ、次の試合に向けたメンタル面での準備の仕方に大きな刺激を受けたそうだ。

「ドイツ代表はグループリーグから決勝戦までモチベーションを保ちつつ、常に良い試合をしていました。調子に波がないのは、フィジカルの部分はもちろん、メンタルの部分で試合への準備の仕方が優れていたからでしょうね。テレビ画面からも、ドイツの選手たちの“覚悟”のようなものが伝わってきました。グループリーグの試合でも決勝戦でも、球際の激しさやチームメイトに対するリスペクト、また自分の持ち味を最大限に発揮しようというメンタリティーは、大会を通してブレがなかった。そこは参考になりました。目標にとことん向き合って、自分自身、そしてチームメイトを信じて戦い抜くという鋼のメンタリティーは、自分にはまだまだ不足しているなと思いましたし、彼らのそういう姿に感化されました」

日本代表は残念ながら、1勝も挙げられずにグループリーグで敗退。それを見た高橋選手は、“個の力を伸ばす”というキーワードに対して、「“個の成長”が“チーム力”に結集されるのが理想ですし、常にその両方を追い求めることが大事」だと思ったという。

また、敗退決定後に大きな話題となった“日本らしいサッカー”については、「運動量や組織力、選手同士の連携は海外にはない日本の長所。単発では終わらない、相手がマークしづらいような動きは日本人特有であり、グループとしての良さだと思うので、もっと追い求めるべきだと思う」と自身の考えを明らかにした。その中で、ドイツには、日本が目指す方向性に重なる部分があると高橋選手は分析している。

「ドイツ代表を見ていても、受け手の選手がスペースへ流れて相手に的を絞らせない動き方をしていました。それは“スルーパス”とはまた違っていて、相手からのコンタクトを受けないための動き出しが凄く上手でした。そういう意味では、ドイツに通じる部分があると感じましたね。ドイツのサッカーは『オーソドックスなスタイル』と言われますが、スペースを埋めたり、動き出しを怠らなかったり、やるべきことはしっかりとやっています。その一方で、ボールを丁寧に繋いだり、危険な場面ではしっかりクリアしたりして、メリハリがある。それは、とても日本人に向いていると改めて感じました。今大会、ドイツが優勝したことで、日本人が目指すべき1つのモデルになったのではないかと思います」

プレミアリーグの魅力はインサイドキックで30、40mをカバーするところ

ピッチ上でのプレー同様、その語り口は極めて論理的な高橋選手。さぞ幼少期からサッカーを見てきたのだろうと想像していたが、海外サッカーを見るようになったきっかけを尋ねると、「大学の研究室」という意外な答えが返ってきた。

「(東京学芸)大学の先輩が、ユーロ2008を制覇したスペイン代表の論文を書くことになっていて、自分の研究室で海外サッカーが頻繁に流れていました。それが海外サッカーを見るようになったきっかけです。それまで、自分のプレーはDVDでかなり見ていましたが、当時の先生に『自分のプレーばかり見てないで、海外の試合を見ろ』とアドバイスされたのです」

実際、Jリーグを生で観戦したのも高校3年生の時。“サッカー観戦者(視聴者)”としては遅咲きの部類に入るが、今では日本人選手を中心にプレミアリーグを見ているという。

「香川選手や吉田選手ら日本人選手に注目して見ています。プレミアリーグは、まず、芝生がえぐれるというか、長いという印象を受けます。そのためか、多くの選手たちがスパイクのスタッドを変えている姿をよく見かけますね。日本の芝生は短いのですが、あれでよく相手へのアプローチをしながら動きを止められるなと。また、展開がダイナミックで、インサイドキックで30m、40mを平気でカバーしますし、遊びのパスがない。だから、アバウトすぎると思うパスも通ってしまうことがあります。そして、競り合いのなかでの、コンタクトスキルの巧さも見応えがありますね」

なお、高橋選手の好きなチームは、リヴァプール。そのリヴァプールの試合映像を、今年2月のキャンプ中に、マッシモ フィッカデンティ監督から見せられたことがあったそうだ。

「Jリーグ開幕前のキャンプで、リヴァプールの試合映像を見せられたことがありました。その試合で、リヴァプールは開始15分で3点取るんですよね。それを見て、(フィッカデンティ)監督からは「こういうサッカーをやるんだ!」って言われて、「はい、分かりました!」となったこともありました(笑)」

もちろんそれは、どの監督にとっても理想の展開であり、実践するのは言うほど簡単なことではない。しかし、プレミアリーグの全力プレーには見習うべきこともあると高橋選手は考えている。

「日本はどうしても暑いので、戦術でカバーしようとする傾向があります。ただ、それが“逃げ”というか、個の成長を阻害する要因にもなっていると思います。だから、暑かろうが全力でプレーするという(プレミアリーグの)姿勢は見習いたいですね」

一方で、海外サッカーを見ることのメリットについては、次のように語ってくれた。

「やはり自分が好きな選手を見ることで、『やってみよう』というプレーがあるはずです。シュートシーン1つとっても、その選手がどういうステップを踏んでいるのか、どういうフォームで蹴っているのか、何度も繰り返し見ることで自分の体に覚え込ませることができる。また海外サッカーだと、40mのロングシュートのようなスーパーゴールがたくさんあります。そういうアイデアや大胆さは、海外サッカーを見ることで自分の中に生まれてくると思うので、やはり見た方が良いと思いますね」

最後に、J SPORTSの視聴者に向けて、プレミアリーグを見るうえで着目すべきポイントを聞いた。

「プレミアリーグのダイナミックな展開はJリーグにないものですし、コンタクトスキルは日本とはレベルが異なるので、そういう部分に着目して見ると良いと思います。あとは、やはりインサイドキックで30mや40mをカバーするところ。そこは、子供たちにも是非見てもらいたいですね」

photo

フットメディア
Foot!でもお馴染み、スポーツコメンテイター西岡明彦が代表を務めるスポーツメディア専門集団。 語学が堪能で、フットボールに造詣が深いライター陣のコラムは、様々な媒体において高い評価を得ている。 J SPORTSでは、プレミアリーグ中継やFoot!などの番組演出にも協力している。

お知らせ

■現役Jリーガー、解説者が語る!日本と世界と欧州サッカー
これを読めば、W杯がますます楽しめる!14/15プレミアリーグがもっともっと楽しみになる!


―プレゼント詳細―

FC東京 高橋秀人選手のサイン入りユニフォーム 1名様
柏レイソル 工藤壮人選手のサイン入りユニフォーム 1名様 へプレゼントします。
締め切り:8月31日(日)


»特集ページを見る

»プレゼント応募ページを見る

スカパー!×J SPORTS J SPORTS オンラインショップ