ヤンキースの田中将大が、現地9日に右肘の炎症で故障者リスト(DL)入りした。精密検査の結果、右肘内側側副じん帯の部分断裂と判明。治療とリハビリに専念し、早くとも6週間はかかるという。

6週間とは、PRP療法と呼ばれるじん帯の組織を再生させる多血小板血しょうの注射を行い、リハビリがうまく行った場合の最短コース。優秀な医師のもと最先端の治療が施され、マー君はどんな辛いリハビリにも耐えるだろう。

だが、再生といっても完全に元通りに治るわけではない。そのため、果たしてどの程度まで修復するのか、将来的に見て手術を決断するのか、だとしたらそれはいつか、などが議論されている。

肘のじん帯の再建手術であるトミー・ジョン手術を受けた場合、実戦復帰には1年から1年半かかる。「これも長い野球人生の一部」と、これから始まる6週間のリハビリコースに向けて決意を明かしたマー君だが、現地での声明が全米で絶賛されている。

マー君は声明で、ケガによりチームを離れることを報告し、今後のリハビリに向けての覚悟を綴ると、「この時期に力になれなくなってしまったことを、ヤンキースの球団関係者、チームメイト、そしてファンの皆さんにお詫びしたい」と真摯に謝罪。すると、「故障者リスト入りした田中が謝罪」といった記事が現地メディアで踊った。

アメリカでは怪我で離脱を余儀なくされた選手が謝ることはまずない。訴訟や契約で社会やビジネスが動いている国では、謝罪は自身の非を認めることにつながるからだ。例えば薬物を使用したり、意図的に傷つけたり、差別的発言をするなど、非が明らかな場合を除いて、謝罪コメントはあり得ない。

この異例の謝罪に現地ファンは「選手が怪我をしたからといって謝る必要などない」「早く良くなることを祈っている」「Class Act(一流の選手の振舞い)」とSNSや記事のコメント欄で投稿。他球団のファンまでもが「田中はすばらしい投手」「復帰してうちのチームと対戦する日を楽しみにしている」と多くのエールを寄せた。

日本文化についての議論も活性化した。「なぜ謝るのかわからない」と文化の差異に悩むアメリカのファンが問えば、「こうしたことは日本ではよくあること」と日本通のファンが説明した。

中には、「松井秀喜ケガをした時もそうだった」「ブルージェイズの川崎宗則もよく謝るけれど謙虚さのあらわれ」「イチローは人格者」といった日本人メジャーリーガーを称えた声も。日本人や日本の文化を理解し、称賛するやり取りがあちこちで起きた。

「謝る」ということに、日米で文化の違いがあることは田中の側も承知していたはず。それでも誠意をもって「彼らしく」伝えることを選んだのだろう。現地の報道やその反応を見る限り、田中の意図はしっかりと響いたようだ。全米の野球ファンが、田中の復帰を心待ちにしている。

★参照:NewYorkYankees公式フェイスブックMLB.comCBSSports.com、Twitterほか

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スポカルラボ
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