2014年ブラジルワールドカップC組の2戦目が現地時間6月19日(日本時間20日)に行われ、まず13時からのゲームでコロンビアがコートジボワールを2−1で下し、勝ち点を6に伸ばした。ファルカオ(モナコ)不在でもハメス・ロドリゲス(モナコ)、キンテロ(ポルト)といった若い世代のタレントが確実にゴールを奪い、底力を見せつけた。これにより、日本はコートジボワールと2位の座を争う構図になった。2試合終了時点でコートジボワールは勝ち点3、得失点差0、日本は1試合終わって勝ち点0の得失点差−1。とにかくギリシャ戦は勝利することが肝要だった。初戦を落として開き直った選手たちの、はつらつとした動きに期待したかった。

ザッケローニ監督が送り出した先発は予想とは違っていた。右サイドバックは高さのある酒井宏樹(ハノーファー)が有力視されていたが、今回も内田篤人(シャルケ)が出場。ボランチも遠藤保仁(G大阪)がスタメンと見られたが、今回も長谷部誠(フランクフルト)・山口蛍(C大阪)のコンビだった。それ以上にサプライズだったのが香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)の先発落ち。指揮官は相手の狙いどころである右サイドバック・トロシディス(ローマ)のところに岡崎慎司(マインツ)を当て、2列目右に大久保嘉人(川崎フロンターレ)を置く形を取ったのだ。「相手のサイドを広げようと考えたが、香川はより中央への動きが多いので、意向に合わずにこのような決定をした」と指揮官は説明したが、この重要な局面でこれまで大黒柱の1人と位置づけてきた背番号10を外せば、本人の自信喪失とチームの士気低下に繋がりかねない。加えて岡崎はこのチームでは左をやった事が殆どない。これまでの積み重ねを無視する策が機能するかどうかが気がかりだった。

それでも前半は悪くない出来だった。前回の反省を踏まえて丁寧にボールを繋ぎ、相手陣内に人数をかけて攻め込み、1トップの大迫勇也(ケルン)に縦パスを入れてゴール前へ侵入するという戦いはオーソドックスだった。左の岡崎は普段のような裏へ抜ける動きはなかなか出なかったものの、背負ってタメを作って長友佑都(インテル)や大迫にチャンスを作っていたが、彼自身がゴール前へグイグイ出ていく推進力は感じられない。ギリシャの守備が下がっていたこともあるが、岡崎の左起用は必ずしも成功したとは言い切れなかった。

そんな最中に相手のカツラニス(PAOK)が2枚目の警告を受けて早々と退場してしまう。そうなると、堅守のギリシャはより守備を強める。「10人になって向こうが、はっきりした。ボールを持てる状況にはなったけど、皆が前に前にって時は一番危ない」と百戦錬磨の内田も嫌なムードを感じ取っていたようだが、この数的優位が逆に日本の足を引っ張ることになる。後半に入って遠藤と香川を立て続けに投入しても、相手の徹底した守りは崩れなかった。この香川投入のタイミングで指揮官はまたも意外な采配を見せる。1トップに大久保ではなく岡崎を上げたのだ。今季ブンデスリーガで15点を挙げた彼の前での起用に対し、ザッケローニ監督はずっと消極的だった。練習でも岡崎は前線はやっていなかったという。その彼をいきなりトップに据えるというのは、チームを混乱させた可能性はある。

それでも日本はGK川島永嗣(リエージュ)を除く全員が相手陣内に深く入り込み、内田や長友がサイドをえぐってマイナスのボールを入れたりペナルティエリア内で個人的な打開を見せるなど、外からの攻めに工夫をつけようという意識は強く感じられた。だがゴール前の高い壁に跳ね返された。ギリシャ戦ではこの状況があらかじめ想定されていたから、豊田陽平(サガン鳥栖)のような競り合いに強い大型選手が必要だったのだが、今のチームにはいない。終盤には吉田麻也(サウサンプトン)の2試合連続前線起用という奇策を採ったが、急造感が否めないこの戦い方も不発。最終的に支配率は7割近くまで上がったが、最後までゴールはこじ開けられなかった。

C組を見ると、チーム内で内紛が起きているギリシャが明らかに最弱だ。その相手から1点も取れない日本が自力での1次リーグ突破の可能性が無くなるのは当然の結果といえる。クロスが駄目ならミドルシュートや個人で打開してのシュートなど、フィニッシュにも変化をつけるべきだったが、外から果敢に狙っていたのは大久保くらい。日本選手のシュートレンジの狭さは以前からの課題だが、この試合では本当にその問題点を露呈することになった。南アフリカ大会で日本を救った本田圭佑(ミラン)と遠藤のFKも精度を欠いた。最近、所属クラブでも彼らは直接FKを決めていないが、その通りのパフォーマンスをブラジルで見せてしまった。流れで崩せないとなると、頼みの綱はリスタート。本田と遠藤が厳しいようなら今季Jリーグで直接ゴールを決めている山口らに蹴らせてもいいのではないか。とにかく最終戦・コロンビア戦(クイアバ)では悔いの残らない戦いをするしかない。このままだと、4年間が無駄になってしまいかねない。

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元川 悦子
もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

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