現地11日、テキサスでレンジャーズのダルビッシュ有が、メジャー初完封を飾った数時間後、シアトルではヤンキースの田中将大が、メジャー2度目の完投勝利を挙げた。

岩隈久志との楽天の元エース対決が期待されたマリナーズとの第2戦。一昨日の雨で登板がスライドしたため、夢の対決はお預けとなってしまったが、田中は岩隈が見つめる中、9回を投げ切り、今季最多タイの11奪三振をマーク。味方打線の援護もあって、ヤンキースが4対2とマリナーズを下して、シリーズの勝ち越しを決めた。

田中の快投をESPNは「Striking performance(ストライキング=際立った・パフォーマンス)」と、三振の“ストライク”とずば抜けていることを形容する“ストライキング”という言葉をかけ合わせて称賛した(参考:ESPN)。

ツイッターではお馴染みとなった田中のハッシュタグ「#TanakaTime」で、「これで25歳とは恐ろしい」「田中獲得はヤンキース最高の功績」といった投稿が並ぶと、いやそれどころではないとばかりに「田中獲得はアメリカ球界にとって最高の功績」といった興奮の声が溢れた。

とはいえ、シーズンはまだ半分も終わっていない。それを言い聞かせるかのように、落ち着き払った田中はここまでの快進撃にも引き締まった表情を崩さない。ヤンキースは開幕ローテーションから3人の投手が離脱し、投手事情は楽観視できない。それでも今、ヤンキースが勝つためには、田中に頼らざるを得ないというチーム事情がある。

スポーツライターのハーラン・スペンス氏は、こうしたチーム事情に加え、シーズン144試合で主に中6日というローテーションで投げてきた日本人投手にとって、メジャーで162試合を主に中4日で戦うことは、メジャー初年度でいきなり過酷だろうとの懸念をあらわにしている(参考:SB nation)。

今日まで13回の先発で93.2イニングを投げた田中。このペースだと、シーズンで34先発の240イニングというフル回転だ。これは田中にとって未知の領域になるだけでなく、日本からの投手も初年度はそこまでは投げていないと指摘する。

過去の日本人メジャーリーガーの初年度を、先発数とイニング数で比較すると、パイオニアの野茂は28先発で191.1イニング、田中より2年先にメジャーに渡ったダルビッシュ有は29先発で191.1イニング、ヤンキースの先輩である黒田博樹は31先発で183.1イニング(ただし100球以上投げたのは4度だけ)、楽天の前エース岩隈久志に至っては中継ぎスタートだったため30回登板して14先発のみの計125.1イニングと最少。唯一、松坂大輔だけは32先発の204.2イニングとフル回転したが、09年には球威を失い、故障がちになっていった(参考:MLB.com ダルビッシュ有野茂英雄黒田博樹岩隈久志松坂大輔)。

同氏も日本人というだけで、いずれも共通点はあまりなく無意味かもしれないと断りつつも、昨年の日本シリーズでの160球の熱投などから、田中の肩への負担をどう守るのか、疑問を拭い去ることができないようだ。

正念場の夏はすぐだ。「シーズンが終わってから判断してください」と田中が繰り返すよう、快進撃に胸を躍らせつつ、こうした懸念が杞憂に終わることを願うばかりだ。

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スポカルラボ
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