ダルビッシュ有はスプリングトレーニングで、例年通り4度登板した。そして例年と同じくらいのイニング数を投げたが、四球が4つしかなく、順調な仕上がりだったのだろう。それを評価されて日本人投手として史上4人目、6回目の開幕投手に内定していたが、故障で登板回避。今季初登板は現地4月6日(日)のタンパベイ・レイズ戦にずれ込むことになった。

「災い転じて福」ということわざもある。ダルビッシュはしっかり故障を癒して、満を持して、最高のシーズンを遅れるようスタートしてほしい。それではデータから見た、ダルビッシュが注意すべき2つのポイントを挙げてみよう。

ポイント1:左打者の一発は要注意

昨年、ダルビッシュは左打者に泣かされた。相手チームは2012年の成績(右打者:打率.207、左打者:.231)に基づいて左打者をずらっとラインナップに揃えるようになった。ダルビッシュは被打率こそ下がった(.212)ものの、左打者からの被本塁打は2012年の5本から16本と激増した。

ダルビッシュの勝利数は2012年の16勝から2013年13勝に下がっている。これは主に援護点が少なかったからだとされるが、同時に好投していても決勝本塁打を打たれるケースが多かったのも大きい。

「左打者からの一発病」の克服は大きな課題。しかし今年のスプリングトレーニングでも克服できていないことが見て取れる。被本塁打はロサンゼルス・エンゼルスに移籍した左打者のラウル・イバニェスからだった。故障によって対左対策を詰めることができなかったのは痛いところだ。

ポイント2:投球数をとにかく減らせ

実のところ、私は2013年のアメリカン・リーグで最も優秀な投手は岩隈久志ではなかったかと思っている。その根拠の一つが「1回当たりの投球数」の優秀さだ。岩隈はリーグで最も少ない投球数で打者を料理していた。だから、あの細い体でリーグ3位の219.2回を投げることができた。「打者1人あたりの投球数」も3.58球で最少だ。

ダルビッシュは「1回当たりの投球数」では16.46球でリーグ26位。岩隈の14.12球よりも1回当たり2.34球、打者1人当たり0.52球多く投げている。わずかな差のように思えるかもしれないが、この小さな差が積もり積もって、シーズンでは大きな差になってくる。

昨年、奪三振王になったダルビッシュは「9回に換算した奪三振数」、つまり完投するといくつ三振を取るかという数字は、リーグダントツの11.89個を記録している。しかし、打たせて取る投手に比べて、三振を奪いに行くパワーピッチャーはどうしても球数がかさむ傾向にはある。非効率な投球が続けば投球回数が伸びないし、スタミナ的にも苦しくなる。

同じ球数を投げるのなら、できるだけ長い回数を持たせたいところだ。サイ・ヤング賞を取るためにも、せめて「1回当たりの投球数」を15球台に持っていきたい。3000球で200回を目標にすべきだ。

シーズンを万全な体調で

スプリングトレーニングでのダルビッシュは意識して球数を節約し、打たせて取る投球を見せていた。進化の兆しはあったのだ。だが、この部分も故障によって「未完成」になったとの印象はぬぐえない。いろいろな課題を残したまま、開幕を迎えてしまった。しかしそれは今更悔いても仕方がない。

また、開幕戦回避の原因となった寝違えだが、プロ野球選手にとって軽いアクシデントではない。巨人の堀内恒夫はこれで選手寿命を縮めた可能性があるし、松井秀喜や藤川球児も悩まされており、楽観視はできないと思う。ダルビッシュは2012年に3度、2013年にも1度登板回避をしている。とにかく万全な体調で試合に臨んでほしい。

◆データ1:MLB入りしてからのスプリングトレーニングの成績

Wは勝利、Lは敗戦。ERAは防御率。Gは登板、GSは先発登板、IPは投球回、Hは被安打、Rは失点、ERは自責点、HRは被本塁打、HBは与死球、BBは与四球、SOは奪三振、AVGは被安打率、WHIPは1回当たりの出塁者数。GO/AOはゴロアウトとフライアウトの比率。

クリックで別窓表示

◆データ2:MLBレギュラーシーズンとスプリングトレーニングの左右打者別成績

クリックで別窓表示

◆データ3:2013レギュラーシーズン、アリーグの1回当たりの投球数(NP/IP)に関するランキング

NPは投球数。BFは対戦打者数、NP/BFは打者1人当たりの投球数、K9は、9回に換算した奪三振数。規定投球回数以上。

クリックで別窓表示

photo

広尾 晃
1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。ライター。日米の野球記録を専門に取り上げるブログサイト「野球の記録で話したい」でライブドアブログ奨学金受賞。そのほか、プロ野球の名選手の記録を紹介する「クラシックSTAS鑑賞」などのサイトも運営。合わせて月間70万PVを集めている。著書に「プロ野球なんでもランキング」(イーストプレス刊)

お知らせ


◆ダルビッシュ有 登板予定試合
4月6日(日)深夜2:30 レイズ vs. レンャーズ J SPORTS 3

◆田中将大のレギュラーシーズン先発試合を全試合生中継!
開幕からポストシーズン、ワールドシリーズまで中継! 田中将大、ダルビッシュ有、黒田博樹、岩隈久志など日本人投手先発試合を徹底放送します。
≫特集ページを見る
≫詳しい放送予定を見る

スカパー!×J SPORTS J SPORTS オンラインショップ