「Congrats to Masahiro Tanaka. The man has a lot of talent and showed tremendous poise under intense pressure. #TanakaTime(マサヒロ・タナカよ、おめでとう!この男は激しいプレッシャーの中で素晴らしい平静を保ち、才能の片鱗を見せつけた)」

ヤンキース、メッツなどでエースに君臨し、サイヤング賞、最多勝、そしてわずか88球で完全試合をやってのけた名投手デビッド・コーン氏は、自身のツイッターで田中将大の初先発初勝利を称えた。ちなみにTwitterでの、マー君のハッシュタグは「#TanakaTime」らしい…。

ベテランにとっても難しいと言われるシーズン初登板。ましてや田中にとってはメジャー初登板だ。独特の雰囲気が支配する初舞台。今から3シーズン前、2012年シーズンのダルビッシュ有の場合は、先頭打者にストレートの四球を与え、制球が定まらないまま次々と連打を浴び、初回に4失点という乱調スタートだった。

本人が緊張していないと語ろうとも、何が起きるか分からないのが初舞台の恐ろしさ。田中はブルージェイズの本拠地ロジャースセンターで、メジャーで最も傾斜が高いと言われるマウンドへと上ると、丁寧に一球一球を投じ始めた。

どんな外的要因にも惑わされることなく、田中は慣れないマウンドを自分のモノにしていったようだ。現地の実況も、ジョー・ジラルディ監督も、「序盤は落ち着かない様子だったが、徐々に落ち着いて本領を発揮していった」と同様の印象で締め括ったように、田中は長打が売りのブルージェイズ打線を自分のペースで徐々に仕留めていった。

それにしても、味方が要所で援護するというのは、日本でも良く見られた光景だ。「マー君、神の子、不思議の子」とは、田中の最大の恩師・野村克也氏の言葉だが、メジャーの彼の地でもその“勝ち運”はついているのかもしれない。

1回表、田中がマウンドに登る前に味方が2点を先制した。その裏、初登板を迎えた田中はひとつ深呼吸をして、149キロのストレートでストライクを奪った。ボールとなった2球目に続いて投じた3球目、高めに浮いたスプリットを、先頭打者のカブレラに右翼スタンドに運ばれた。メジャーの洗礼を受け、悔しそうな表情を浮かべるものの、田中は後続3人を抑えた。

ここには容易なゲームなどひとつもない。メジャー唯一のカナダのチームの敵地で、観衆は田中の名前がコールされると、大ブーイングを浴びせた。味方のエラーも絡んで2点を献上した田中は2回裏に逆転を許した。3回表にはイチローの走塁アウトの場面に、ジョー・ジラルディ監督が今季から導入されたチャレンジシステムを活用して、判定の見直しを要求した。その結果、判定が覆りセーフ。ヤンキース逆転劇の口火となった。その裏には、名手マーク・テシェイラがふくらはぎを痛めて退場するアクシデントにも見舞われた。

3回終了まで要した時間は2時間近く。リズムを失いかねないスローペースが、かえって味方をしたのかもしれない。「緊張はそれほどなかったけれど、だんだん試合に入っていけた」と本人が振り返るように、時間の経過とともに田中は尻上がりに調子を上げていった。

その様子はニューヨーク・タイムズの見出しが端的に表現してくれている。「Rocked at Start, Tanaka Finds Rhythm and Lifts Yankees to Win(序盤は荒れ模様も、リズムを掴んだ田中がヤンキースの勝利をもたらす)」

4回から7回まではすべて三者凡退。本塁打王2度のホセ・バウティスタは、3度目の打席で2つ目の三振に終わると、バットを叩きつけて悔しさを露わにした。田中のデビュー戦は7回を投げ、6安打、与四球0の3失点(自責点2)。デビュー戦で先発してクオリティ・スタート(6回以上で自責点3以内)をマークする幸先良いスタートとなった。

スポーツ専門メディアESPN電子版は、MLBトップページで「A Fine Performance(上々のピッチング)」の見出しと共に田中の好投を称え、辛口で知られる地元ニューヨークの各メディアも、デビュー戦の内容には満足の様子で、軒並み好評価を与えていた。

鳴り物入りで名門チームに入った田中の“ストーリー”は、見る者を惹きつけるに十分だった。日米ともに多くのファンが、次回も「好投してくれるはず」との確信を深めたに違いない。 次回登板は中4日で4月9日(現地時間)、本拠地ニューヨークで行われるオリオールズ戦が濃厚だ。

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スポカルラボ
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