記者島津です。【日頃フィギュアスケートを見ないスポーツファンがソチ五輪で見落としている件】があり、お届けしております。それは、年齢制限のために五輪に出られなかった、ロシアのエレーナ・ラジオノワ選手(15)の伝説です。ラジオノワを知らずにソチ五輪シーズンが終わる≒ベッカムのサブになったフィーゴが使われずにエル・クラシコが終わる→「もっ・た・い・な・い。MOTTAINAI(滝クリ風に)」。

ということで、ラジオノワの今シーズン最後の試合となる世界ジュニアでラジオノワにアツくなるためのラジオノワ伝説をまとめてお送りしますので、どうぞお付き合い下さい!

三大ラジオノワ(15歳時点)#1
ジュニアデビュー 2012ー13シーズン

[写真]2012年ジュニアグランプリファイナルでのラジオノワ(中央)
Photo:YUTAKA/アフロスポーツ

13歳のジュニアデビューシーズンで、浅田真央選手ユリア・リプニツカヤ選手(ロシア)同様に、ジュニアグランプリシリーズ2試合(予選)とファイナル(決勝)の全試合においてショート・フリーでオール1位の完全優勝。「栴檀は双葉より芳し」いにもほどがある路線を継承しています。

まずはこちらの動画を御覧下さい。

震撼のジュニアデビュー(当時13歳)・ショート『(曲名が長いので、音楽ジャンルをまとめると)テクノオペラ』 @フランス大会 (2012年8月23日)

そうです。「見るからに子供(byルパン近藤)」(ルパン近藤が語る!次代を担う若手フィギュアスケーター【女子編】を参照)です。 まだ体は出来ていませんが、明らかに表情筋は至高の域に達しています。

シネフィルの皆さんがフィギュアスケートファンであれば、必ずや「これを見たいな・オン・アイス」リストに入っているであろう名曲、映画『フィフス・エレメント』の『Diva Dance』を中心に編曲されたプログラム。テクノ×オペラ=サイバー×クラシックという、大人にも難しそうな音楽性を鮮やかに描いてみせます。フィフス・エレメントでのハイライトとなる、全身空色Divaのオペラ公演のシーンやブルース・ウィルスやミラ・ジョボヴィッチ達がまったく想起されず終いで、完全にマイソングにしています。

トリプルルッツートリプルトゥループという最高水準の3ー3、スピンのクオリティー、ダンスの技量、それらの技術力はさることながら、13歳にして発露するこの演技力。一瞬一瞬に描写への気概が感じられ、中学校二年生ながら、『アクターズ・スタジオ・インタビュー』に出てメリル・ストリープ(64)クラスの演技論を語りそうです。

ジュニアデビューシーズン最後の試合となる世界ジュニアでは、前年チャンピオンのリプニツカヤ選手をかわし優勝。1年でジュニアを卒業し、エリート女子道を笑顔で突き進みます。

三大ラジオノワ(15歳時点)#2
シニアデビュー 2013-14シーズン

[写真]2013年グランプリファイナルでのラジオノワ
Photo:アフロ

見た目から予想する演技と、実際の演技の乖離に歯止めがかからない今シーズン。フリー『フリーダ』では、まったりしたラテン音楽を乗りこなし、ジャズダンスを基調とした自身の踊りの華やかさが14歳にして満開に。「…お…思ってたんと違う」感に苛まれて下さい。

9月のシニア国際試合デビューとなるネーベルホルン杯では安藤美姫選手を破り優勝。シーズン前半の世界トップ6が集うグランプリファイナルにも出場を果たし、4位に入ります。

11月のNHK杯は、右足親指の怪我で歩けないほどの痛みを痛み止めで抑えて出場。ショート冒頭のトリプルルッツートリプルトゥループの最初のルッツで手を付きコンビネーションに出来なかったところ、ステップからのループの後にそのトゥループをつけリカバリー。ど根性でも魅せました。

出られなかった母国開催のソチ五輪を経て、世界ジュニアでは、足の怪我に悩まされ1週間前にエントリーが決まったものの、連覇でシーズン最終戦を締めくくりました。

現時点のラジオノワのアーティストリー(芸術性)は、エキシビション『ゾンビダンス』で爆発しています。侘び寂びのあるブレイクビーツの音楽に独自の華麗なジャズダンスを合わせ(この段階で銀閣寺×金閣寺のコラボ)、要所要所でゾンビを印象付けるキレッキレのコンテンポラリーダンスも加味し(ムンクも叫びます)、メイクや衣装までアートがはなはだしいです(ロココ調で退廃美でパンク)。それらの鬼要素をケンカさせず、トータルで14歳がまとめ上げる小宇宙。

三大ラジオノワ(15歳時点)#3
羽生結弦選手ばりの大人力の高さ*「上手」なコメント集

・「(ソチ五輪に出場できないが)まったく気にしていません。これから何年も競技生活が続くので、もっと先のことを考えたいです。世界ジュニアもありますし、これからもっとうまくならないといけません」@2012年ロシア選手権 −13歳

・「(人生で一番感動した2013年世界ジュニアの演技の自己解説)イメージとしては楽しげに踊る鳥が、嵐に巻き込まれて羽根を痛めながらも、最後にはハッピーエンドって感じです」 −14歳

・「(得点に関しては)試合ごとに審判の点数感覚が変わるため、同じ土俵に立ってみないと選手間の差が掴めません」@2013年グランプリファイナルに向けて −14歳

・「日本のファンの皆さんは、真のフィギュアスケートファンです!(初来日のNHK杯で)もう一度日本に来たいって思っていましたので、夢が叶いました」@2013年グランプリファイナル −14歳

・「私はスポーツをやることにモチベーションを感じています。トップアスリートになれば、素晴らしい方々にお会いする機会もあるし、自分自身のキャリアにもなります。子供や孫にも、いつか『自慢のお母さん』とか『自慢のお婆ちゃん』と思ってもらいたいです(笑)」@2014年世界ジュニア −15歳

お姉さん達、特にMao ASADAをリスペクト

[写真]2013年NHK杯で2位に入り優勝した浅田真央選手と抱き合うラジオノワ
Photo:日刊スポーツ/アフロ

各試合でお姉さん達をヨイショ感なく「目標」として讃えるラジオノワ選手。同じ境遇で五輪に出られなかった経験を持つ浅田真央選手への愛は、抑え切れません。

@2013年スケートアメリカ コメント

(浅田真央選手へ)浅田真央選手は、私のアイドルっていう感じです。浅田選手の演技を見るのがとにかく好きです。同じ選手としてというかただのファンとして(笑)、楽しみに演技を見ています。

(浅田真央選手より※翻訳)自分が15歳の頃、グランプリシリーズの最初の試合で荒川静香選手やサーシャ・コーエン選手(アメリカ)と滑って、本当に凄いなと思って見ていたんですけど、今こうして自分がそういう立場になったのかと思うと不思議な気分で、そんな風に言って頂けてうれしいです(笑)ラジオノワ選手が怪我なく、今年も良いシーズンになるように願っています。

おそロシア最終兵器

ソチ五輪に向けての強化で、王国復権となったロシア女子。レオノワ選手らが低迷期を支え、「タクタミシュワのトリプルアクセルの動画」がスケート界をザワつかせます。そのタクタミシュワ選手、『気合い入った兄さん』ことソトニコワ選手に続いて、『スーパーサイヤ女子』ことリプニツカヤ選手らが現れ(日頃フィギュアスケートを見ないスポーツファンにルパン近藤が語るソチ五輪フィギュアスケート女子海外注目選手紹介を参照)、いつしかロシア若手女子は、女子シングル界で猛威を振るう「おそロシア」とまで呼ばれるようになります。

ソチ五輪には出られなかった、おそロシア最終兵器がラジオノワです。ラジオノワの今シーズン最後の戦い、世界ジュニアをどうぞお見逃しなく!

テキスト:島津愛子 Aiko Shimazu

photo

Pigeon Post ピジョンポスト
フィギュアスケーターの"声" "今"を届ける記者チーム(Pigeon Post HP)。
日本チームを中心に、世界のフィギュアスケートを特集する日本語英語のバイリンガルサイトで、インタビュー・リポートを掲載。Twitterをポータルとして、新しい記事の紹介やニュース、イベントのリポートまで、ワンストップで伝える。FacebookもTwitterと連携させている。

お知らせ

ラジオノワ選手の活躍はJ SPORTSの世界ジュニアフィギュアスケート選手権中継でご覧ください!
女子シングルの模様はゲスト解説:安藤美姫、解説:杉田秀男、実況:小林千鶴で3月23日(日)午後01:00〜J SPORTS 4で、『ゾンビダンス』が見られるエキシビションの模様は同じく3月23日(日)の午後04:00よりJ SPORTS 4で放送いたします。

»J SPORTSフィギュアスケート放送予定

スカパー!×J SPORTS J SPORTS オンラインショップ