ルパン近藤 [写真:ジャパンスポーツ Japan Sports]

記者島津です。誰よりもフィギュアスケート研究に没頭して来られたフィギュアスケーター、ルパン近藤こと近藤琢哉さん(慶應義塾大学四年、2014年現役引退)に女子選手紹介と観戦ポイントをお伺いしました。取り急ぎここだけは押さえましょう!まずは女子日本代表編です。

ルパン近藤
アートをスケートに取り入れたい、スケートでもアートを学びたいという現役時代を過ごす。スポーツファンが大好きなスケーティングの爽快な速さとクイックな動作(踊り)を持つスピードスター。お洒落でまごころのある『ルパン三世』は語り継がれる名演。The Chemical Brothersのロック寄りの儲かった曲ではなくブレイクビーツで滑る(=選曲の時点で偉業)。ハタチ頃に岩井俊二の少年少女像に傾倒し、テリー・ギリアムの映画『12モンキーズ』を絶対見たい日があった。

TK: 近藤琢哉さん
PP: Pigeon Post ピジョンポスト 島津愛子

浅田真央選手(23)
『氷上のシルヴィ・ギエム』
女子力を超越した男性技、世界のトップを張り続けた矜持を見届けろ

PP:浅田真央選手は、私の中で「シルヴィ・ギエム(フランス人女性バレエダンサー)」なんですよ!
TK:「ギエム」!?(笑)(※ギエムは奔放な毒舌家で、人物像がまったく異なるため。)
PP:そうなんですよ!トリプルアクセルに代表されるように、男性の技が出来るという。ギエムは男性並の振付で踊るんですけど、同じ振付を男性がやっても、あのギエムの感動はないと思っていて。女性を超越している、その何かを『超越する』時に神秘を宿すと!
TK:(笑)あー。
PP:よく、伊藤みどりさんのトリプルアクセルと比較されるんですけど、みどりさんは女性としてもすごく小柄(145cm)で、それに対して真央さんは小柄な男性位(163cm)の体格があって、でももちろんフィジカルは男子選手よりもない。ギエム同様、小さくない体を女性の力で制御して男性技をする。それが奇跡だな!って。
TK:みどりさんのトリプルアクセルに関しては、「女子で男らしさを出して成功したジャンプ」というイメージなんですよ、僕は。真央ちゃんのジャンプは、無駄をどんどん省いていって「女子でも出来る効率の良いジャンプ」というイメージですね。僕もよくビデオを見るんですけど、男子も女子の飛び方で飛べるなら、それこそ省エネで飛べると思って。
PP:エフォートレス(力を入れない・簡単に行う)に。
TK:女子のフィジカルであれだけ出来るということは、それだけ『動きに無駄がない』と思うんですよね。それが真央ちゃんの一番すごいところですね。
PP:トリプルアクセルの回転が、肉眼で見たら、ほんっっとうに、女性のキレではないんですよ!
TK:ハイ!回転の付け方がうまいんですけど、滑ってる時も同じように、パトリック(チャン選手)やハンヤンみたいに遠心力を使いながらブーンブーンブン、とうまく滑れる(男子海外注目選手編)。そこが滑りの滑らかさや一歩一歩の滑りの良さにつながってますね。やはり、一定のリズムで滑れることが抑揚のなさにつながる場合もあって難しいところですけど、真央ちゃんはプログラムに緩急をつけることが本当にうまいと思います。
PP:パトリック達みたいな膝の使い方と、無駄のない動き、プログラムの緩急に注目ですね!

PP:プログラムの『鐘』、琢哉さん的にはどうですか?
TK:『鐘』!?結構前ですよね(笑)(※2010年バンクーバー五輪のフリーのプログラム。)
PP:そう、なにをいまさら、『鐘』についてルパン近藤に語ってほしいな、と!私、アレをもう一回ソチでも見たかったんですよね!
TK:(笑)真央ちゃん、って言うとアレの印象強いですよね。
PP:アレは、賛否両論どころか、9割9分9厘9毛9糸「否」っていうひどい扱われ様だったんですけど。
TK:「否」ってなったのは、プログラムの解釈が難しかった、っていうのが大きいと思うんですよ。どう料理していいか分からない、というか。確かに簡単な曲を選ぼうと思えば他にあったと思うんです。でも、それまでと毛色の違う路線を目指した『鐘』は、非常に良い取り組みだったと思うんですけど。「浅田真央」のひとつのカラーが『鐘』には出てたと思うので。
PP:私、そのカラーが大好物で!女戦士みたいな、ギエム感が極まってて!
TK:(笑)今回のフリーの『ピアノ協奏曲第2番(ラフマニノフ)』は、やっぱりトリプルアクセルが決まるか、というのが見どころですかね。それから、バンクーバー五輪まではまだ19歳でジュニアっぽさが少し残っていたかと思うんですけど、4年経って、演技自体が円熟味を増して大人の演技になってきた、とすごく思うんです。だからそこも見どころですね。「4年前と対比して見る」っていうのがおもしろいんじゃないか、と思いますね。
PP:御本人も昨季の全日本で、今の浅田真央選手の見どころを問われて、「スケート人生でいろんなプログラムを滑って来て、いろんなバリエーションを見せられるようになったこと」と答えられていました。最後のステップに、小さい時から世界のトップを張って来た、っていう矜持が出てますよね。
TK:そうですね!

鈴木明子選手(28)
『感動するレベルの、泣けるプログラム』
基礎力と総合力が凄くて凄くて♪ふぅーるぅーえーるぅー♪

TK:あっこさんこそもう……ベテランの「凄み」ですよね!全日本の時観てて思ったんですけど、力を出さなきゃいけないところでしっかり力を出せる、っていうのがあっこさんの強みだと思うんですよね。
PP:バンクーバー五輪の代表選考同様、大一番でね!
TK:もうあのプログラムが「傑作」というか。情に訴える。全日本の時もそうだったんですけど、あれがうまくハマれば、すごい『泣けるプログラム』というか。
PP:琢哉さんも全日本で泣いちゃいました!?
TK:僕も正直……泣いちゃいましたね(笑)。胸がすごい震える、というか。見て「良いプログラムだな」って思うことはあるんですけど、あそこまでの感動が沸き起こるっていうのはなかなかないです。それは一朝一夕で出来ることでもないですし、スケートの練習や試合を積み重ねて来て到達したものだと思うんで。あっこさんにしか出来ないんだと思います。あっこさんの中に、その歩んで来られた歴史があるんで!
PP:……ソチでも泣きたい!!!
TK:(笑)オリンピックでもそういう演技が見たいです。あっこさんの見どころは総合力。「感動する」っていうレベルのところまで至ってる、っていうのが見どころです。

PP:私は、あっこちゃんのジャンプこそ、女子ではキム・ヨナ選手の次に加点のつく質の良いジャンプじゃないかな、と思ってるんですけど。
TK:あー、そうですね。とにかく回転が速い!っていう。降り方がうまい、っていうのもあります。
PP:ジャンプ加点要件の、3)回転のキレ、5)ランディングの伸び、スケーティングが速いので、6)全体の流れもありますね(加点要件については日頃フィギュアスケートを見ないスポーツファンがソチ五輪フィギュアスケートで心底盛り上がるための一夜漬け事項参照)。
TK:スケーティングが速いってこともそうなんですけど、やっぱり基礎的な部分がすごいしっかりしてる。基礎力がすごいあるから、応用が利く、みたいな。例えジャンプで失敗したとしても足元がしっかりしてるからランディングで堪えられるし。

村上佳菜子選手(19)
『ここ一番のカナコ』
カナコの大きな踊り×コンテンポラリーダンサー平山素子さんの振付のアレンジは我が国の至宝

TK:佳菜子は、前は元気一杯でやってた、って感じなんですけど、今ももちろん元気だし、すごい頑張ってるんですけど、知子(宮原知子選手)とかも出て来た中でも絶対に結果を出してる。プレッシャーの中でも力を出せる精神力の強さがあると思いますね。
PP:今後の日本女子を引っ張っていく、っていう気概も感じますね。
TK:見どころとしてはスピード感と演技のキレですかね。
PP:四大陸選手権(1月)で、ショート『バイオリンミューズ』は前回の「もがき」とは違い「強い女性」を演じると言われていました。山田満知子先生も、フリー『愛のイエントルより』で、強さの上に重厚感・明るさ・楽しさを加えて「品を出したい」と言われていましたので、その両方のプログラムの変容も楽しみですね(平山素子さんの演技指導を3シーズン受けている)。

海外女子注目選手編に続く

解説:近藤琢哉 Takuya Kondoh
テキスト:島津愛子 Aiko Shimazu

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Pigeon Post ピジョンポスト
フィギュアスケーターの"声" "今"を届ける記者チーム(Pigeon Post HP)。
日本チームを中心に、世界のフィギュアスケートを特集する日本語英語のバイリンガルサイトで、インタビュー・リポートを掲載。Twitterをポータルとして、新しい記事の紹介やニュース、イベントのリポートまで、ワンストップで伝える。FacebookもTwitterと連携させている。

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3月21日 (金) 〜23日(日)エキシビジョンまで全種目放送!
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