2014年シーズンから新たに発足することになったJ3。1年目はグルージャ盛岡、ブラウブリッツ秋田、福島ユナイテッドFC、FC町田ゼルビア、Y.S.C.C、SC相模原、AC長野パルセイロ、ツエーゲン金沢、藤枝MYFC、ガイナーレ鳥取、FC琉球とJリーグU-22選抜の12チームが参加することが決まっている。その立ち上げに当たり29日、Jリーグの大東和美チェアマンや日本サッカー協会の原博実専務理事兼技術委員長、特別協賛社の明治安田生命の根岸昭雄取締執行役社長らが記者会見にのぞみ、新リーグに対する期待を語った。

このうち、とりわけ注目を集めたのがU-22選抜。「今の日本サッカー界において19〜22歳の年代をどう鍛えるかというのは一番の課題。サテライトリーグもなく、U-20ワールドカップにも過去3大会出場できていない。先頃オマーンで行われたU-22アジア選手権で日本はイラクに負けたが、イラクの方はこのチームに現役A代表が5〜6人、A代表経験者が10人以上いた。日本の若い世代も実戦経験を積んで成長しなければいけない。強化の土台はクラブだが、出場機会の少ない選手に少しでも試合のチャンスを与える意味で今回、U-22選抜をJ3に参戦させることにした」と原専務理事は趣旨を説明した。

さらに、
\邵螢侫蹈鵐拭璽譴粘篤帖Ε魁璽舛鯡海瓩森眸勉氏が監督になり、それ以外に3人の専従スタッフを置く
▲瓮鵐弌爾2016年リオデジャネイロ五輪世代(93年生まれ以下)の選手が対象
ホームスタジアムは置かず全試合がアウェー戦になる
に莢16人ずつを週末の試合に招集する
コ萋鞍颪脇本協会とJリーグ、クラブ側が相互負担する
…といった詳細も明らかにされた。リオ五輪代表の手倉森誠監督も「U-22選抜が重要な強化の場になる」と語っていた。すでにJリーグは昨年から23歳以下の選手の移籍期間を撤廃し、いつでもレンタルで貸し借りできるようになっている。ただクラブによっては、レンタルでも移籍させるのを嫌うところもある。そういうクラブにとって、U-22選抜は有効活用できる場かもしれない。このチームの動向が日本サッカーの今後を左右するといっても過言ではないのだ。

彼らの3月9日の開幕戦はFC琉球が相手。それに向けて高畠監督はまずスタッフと手分けしてJクラブのキャンプに回り、どの選手をU-22選抜の候補にしてもらえるかを確認するという。「現在のJ1・J2にいるU-21世代の選手は170人。そのうち半分くらいは登録してもらえそう」と彼は見通しを語っていた。それを基に視察とクラブ側との調整を重ね、3月5日にメンバー16人を招集。6日に琉球のホテルに集め、7・8日の2日間トレーニングをしてから初戦にのぞむ方向だ。ただし、試合2日前に選手を集められるのは開幕戦だけ。基本は前々日の招集、前日のトレーニング、当日の試合というサイクルになる。

「試合で各地域を転戦することになるが、試合会場に近いクラブの選手を優先するわけではなく、あくまで最強と思えるメンバーを選ぶ。この前オマーンに行ったU-21日本代表でJ1クラブに所属していて控えに回っている選手、U-19日本代表のプロ1年目の選手などが中心になると思う」と高畠監督はコメントしており、櫛引政敏や三浦弦太(ともに清水)や植田直通(鹿島)、矢島慎也(浦和)、望月嶺臣、小屋松知哉(ともに名古屋)あたりが有力候補になりそうだが、実際に誰を呼べるかはクラブ側の判断次第。U-22選抜はつねに急造チームで戦わなければならない。非常に難しい仕事になるが、指揮官は「やる以上は優勝を狙う」と指揮官は強気の姿勢を崩さなかった。

若きタレント集団は「個のレベルアップ」がメインテーマだが、他の11チームはJ2昇格が最大の目標。今季J3で1位に入ればJ2へ自動昇格、2位のチームはJ2の21位との入替戦へ回ることになっており、どこも2位以内を目指して本気で挑んでくる。昨年末のJFL・カマタマーレ讃岐(現J2)との入替戦に敗れてJ3落ちした鳥取、2012年末にJFL降格を余儀なくされた町田、昨季JFL優勝の長野などはそれだけの実績も実力もある。そういう相手とU-22選抜がどこまで戦えるのかが非常に興味深いところだ。

U-22アジア選手権や2012年AFC・U-19選手権(UAE)などを見ても分かることだが、リオ五輪世代の若手はスキルは総じて高いものの、追い込まれた時にメンタル的な脆さを露呈する。激しく逞しい戦いに慣れていないところがある。だからこそ、東北から沖縄までを毎週のように転戦するJ3の過酷な環境はいい経験になるだろう。

このチームの存在も含め、今季はJ3も慎重にチェックしていく必要がありそうだ。

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元川 悦子
もとかわえつこ1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。ワールドカップは94年アメリカ大会から4回連続で現地取材した。中村俊輔らシドニー世代も10年以上見続けている。そして最近は「日本代表ウォッチャー」として練習から試合まで欠かさず取材している。著書に「U-22」(小学館)「初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅」(NHK出版)ほか。

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