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スキー コラム 2014年1月6日

三星マナミ(女子スキー ハーフパイプ):新種目で初の大舞台に向かうママアスリート こんなに頑張れる自分でいられることがすごく幸せ!

それぞれの4年間 ~冬の一瞬に縣ける女性アスリートの肖像~ by J SPORTS 編集部
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ソチオリンピックから新種目として採用されるスキー ハーフパイプ競技。三星マナミは、妻として、母としてこの大舞台に挑む。

幼い頃からアルペンスキーで活躍し、大学卒業後にフリースタイルスキー ハーフパイプ競技に転向。みるみる頭角を現わし、ワールドカップ6位、USオープン5位などの成績を残し、日本の第一人者として世界を転戦。そのアスリート生活にピリオドを打ったのが2009年。同じくフリースキーヤーとして活躍していた上野雄大と結婚、出産。生まれ育った横浜から豪雪地帯、長野県野沢温泉村に生活の場を移し、子育てをしながら、夫が始めたスキーショップを手伝い、穏やかな気持ちで過ごしていた。

引退した翌年に開催されたバンクーバー・オリンピック。三星は、スキークロス競技会場にいた。種目は違えど、共にトレーニングをしてきた大親友、福島のり子の戦いを見届けるためだった。この時点で、スキー ハーフパイプ競技は、オリンピック種目として採用されていない。

想像を絶する観客の数、メディアの数……。オリンピックの持つ独特の雰囲気に三星は圧倒された。
「オリンピックというのは本当にすごい場所だった。選手としてのステイタスも発信力も何もかもがすごかった」

福島と三星は、つねに同じ気持ちでスキーを楽しみ、スキーを仕事にしてきた、いわば“同志”。福島がオリンピックに臨む気持ちに、三星は自分の気持ちを重ね合わていた。
「スキー ハーフパイプがオリンピック種目になるのなら、私もこの場所で戦いたい……」

2010年10月末、「スキー ハーフパイプ、ソチ新種目に!」という新聞報道を目にした三星の気持ちは揺れた。
「オリンピックに挑戦したい!」
しかし、長女はまだ1歳に満たず、母親を必要とする大切な時期だ。

「こどもを理由にオリンピックに挑戦することをあきらめたら、自分は絶対に後悔する。そんな理由はこどもも誰も望まない」

これまでスキー ハーフパイプというマイナー競技の知名度を上げるために活動してきた三星には、第一人者としての使命感もあった。
夫は、オリンピックでメダルを獲るくらいの気持ちがあるのなら応援すると言ってくれた。
三星の両親、夫の両親もその背中を押し、選手復帰を決意する。

「こどもと過ごしてあげられる時間が少なくなることが心底苦しかった。復帰することで家族に迷惑がかかるという申し訳なさもありました」

選手復帰の決断には、多くの葛藤があり、涙もあった。後悔はみじんもないが、今でも負い目を感じることはある。「毎日が葛藤」だと言う。

毎日の生活の中では、こどもが保育園に登園している時間がアスリートタイム。登園以外は、ママタイム、妻タイム。早朝が唯一の自分タイムだ。夫とこどもが寝ている早朝ランニングは、トレーニングのひとつでもあり、リフレッシュ&リラックスタイム。早朝にするネイルやメイクアップ、そして料理は、三星にとってはエネルギーチャージになる。

「24時間自分のための時間を使える独身アスリートに比べ、時間に制限はあるけれど、だからこそ無駄なく時間を有意義に使う能力が高くなりました。むしろ限りがあることで時間の使い方、物事に対する姿勢はハングリーになっています。厳しく思う暇もないですよ(笑)。競技に対するモチベーションは高いのが当たり前。高くないとやってられません。自分が選手活動をしていることで、犠牲にしている家族がリアルにいるので、それを思うと、モチベーションを下げてはいられない。下げる暇があるなら、足りないことを補う努力をしたいと思う」

つねにポジティブな発言を繰り返し、自分を奮い立たせ、さらに元気パワーを周囲に振りまくことができる強い人間に変えてくれるのが、家族であり、こどもの存在なのだと言う。
「お陰様で、こんなに頑張れる自分でいられることがすごく幸せです」

ソチオリンピックという舞台は、三星にとっては競技者としての集大成となる。しかし、プロ・スキーヤーとして、女性としては通過点だと言う。

「オリンピックは手段であり、目標であり、課題。フリースキーの魅力をもっともっと広めるために、オリンピックで活躍し、より大きな発信をしていきたい」これから広がる未来に向けて飛躍するための、かけがえのないピースのひとつとなる。

頑張るママの座右の銘は?

「思ったらすぐ!です。そして自分の気持ちに偽りなく正直であること」

“ソチオリンピックという大舞台で戦いたい”という自分の気持ちに正直に向き合った。妻であり、幼な子を抱えながら挑むアスリート生活を、三星は“わがまま”だと言う。しかし、その夢に賭ける強く熱い想いは、家族や周囲の人たちを動かし、最大限の協力を得て、今の三星を輝かせている。

ソチを目指してきて、楽しいと感じること、苦しいと感じることは?と聞いてみた。

「目指している時間、すべてが楽しいです!!もちろん練習中は苦しいこともあるけれど、それもソチを目指す上では大切なプロセス。そう思うと、今ある時間すべてが愛おしいハッピーな時間です!」

TEXT=太宰由起子
PHOTO=佐藤浩之(日本スキー写真家協会会員)

三星 マナミみつぼし まなみ

1984年1月16日神奈川県出身。
大学までアルペンスキー、基礎スキーで活躍後、フリースタイルスキーに転向。スキー ハーフパイプ競技でワールドカップ6位、USオープン5位などの成績を残す 。フリースキーヤー上野雄大と2007年に結婚、2009年長野県に移住。選手活動を引退し、同年女児を出産。ソチオリンピックからスキー ハープパイプが新種目と して採用されることを報道で知り、2010年現役復帰。昨シーズンはワールドカップ開幕戦で自己最高の2位に入賞。世界選手権4位入賞。2014年1月3日、カナダ・ カルガリーで行われたワールドカップで5位入賞。2月、ソチで念願の初の大舞台に臨む。

J SPORTS編集部

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