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スキー コラム 2013年12月27日

カミカゼカサイ、W杯“世界最年長優勝”達成への道 = 2013/2014ジャンプ週間プレビュー

鳥人たちの賛歌 W杯スキージャンプ by 岩瀬 孝文
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スキージャンプ界のレジェンド葛西紀明(土屋ホーム)が絶好調だ!

リレハンメルLHでの惜しい4位をはさみ、そこまでの5試合連続の上位安定の入賞。 ついにはノイシュタット(ドイツ)にて世界最年長となる第3位表彰台へと駆け上がった。

夏場にかけて恒例となった宮古島チームトレーニング合宿から手がけた熱心な筋力トレーニングと、故障しやすい膝や腰などの入念なカバーに加えて体重コントロールなど、葛西選手のその節制に対する心配りは、他の誰もが追いつけはしない。

それに裏付けられたアプローチの確かな踏み込みに、速やかなサッツ、空中で風を受ける柔軟な姿勢、技術あふれる着地まで、もはや完成されつくしたシルエットにある。

「同じ年のカサイが頑張って飛んでいるんだ、であれば少々つらい仕事だって、励みを持ってやっていける」
先シーズン3月、トロンハイムで乗車した葛西選手と同世代のタクシー運転手が、そう語りかけてきた。
たとえ、表彰台に上がらずとも、そのジャンプにかけるまっとうなスタンスは、国内のみならず欧州各国のジャンプファンの共感を呼んでいた。さらに海外チームの選手、コーチ、運営役員に至るまで敬意と称賛を持って迎えられてもいる。
そんな皆さんの夢と希望を背負って、葛西はどこまでも飛び続ける。

「負けたくないんですよ、どの選手にも、日本の後輩選手にさえも。表彰台にあがりたいですね、いつも」
と、人なつっこい笑顔を見せてくれる。
ここに魅かれ、導かれるファンも数多い。

〔写真1〕低く伸びる新しいシルエットのジャンプで飛距離を伸ばす葛西紀明(土屋ホーム)
〔写真2〕葛西紀明(土屋ホーム)はW杯開幕戦から上位に定着しついには第3位に入った
(クリックで写真拡大)

加えて日本チームには今季2位表彰台を経験した竹内択(北野建設)とリレハンメルで3位表彰台に昇った伊東大貴(雪印メグミルク)がいる。
このように上位メンバーに3選手を送り込むジャパンだ。
「アプローチの踏み込みが以前よりも、しっかりとできるようになった」 と語る横川朝治チーフコーチだった。が、それだけではない、マテリアルに大いなる工夫がなされた。
これは五輪での秘策と言えるだけに、まだ明かされはしないが、それは格段に飛べる素晴らしき要素なのである。

さらに朗報と言えるのだろう岡部孝信(雪印メグミルク)が国内開幕戦の名寄大会優勝でW杯メンバー入りとなった。そして個性派長身選手の渡瀬雄太(雪印メグミルク)を加えた5人がジャンプ週間遠征メンバーだ。

さて、伝統のジャンプ週間にかける選手達として期待いっぱいなのは、ポーランド。
そのチーム力がとみに安定してきた。年長のストッフが若手選手をうまくリードする。それもいよいよ勇者マリシュの威光が前面に出てきた風でもある。
逆に開幕北欧シリーズから飛ばしていたスロベニアはトーンダウンの状況。ともすれば、最終戦の地元プラニツアの新設ラージヒル台にかけているのかとも思われるくらいに…。

強豪ドイツチームには大応援団を武器にした地の利がある。W杯初優勝を遂げた愛すべき札幌が大好きなフロイント、若手ベリンガーにベテラン人気選手シュミットの加入もうれしい。
名門オーストリアチームでは悠々のシュリーレンツァウアー、後輩たちの面倒見がよいコフラー、転倒のケガが癒えてきたモルゲンシュテルン、試合の駆け引きにたけるロイツルなどがどんと構える。
先の勝利を見据えたノルウェーチームは強者バーダルにヤコブセンがチームとファンネメルや新鋭の選手たちをリードする。

他の有力選手ではシモン・アマン(スイス)に復帰したヤンネ・アホネン(フィンランド)は、ともに持ち前の優れた技術で一発の力を秘める。

開幕戦オーベルスドルフ(ドイツ)は小高い丘の上にたたずむ厳かな台、2戦目のガルミッシュ・パルテンキルヘン(ドイツ)はバイエルン地方の高級保養地で南のアルペンバーンのそばにすっくと台が立ち、シャープこの上ないインスブルック(オーストリア)が3戦目、ラストはあの難敵だらだらアプローチのビショフスホーヘン(オーストリア)。 どのジャンプ台にも目のこえた、応援しようというファンでぎっしりと埋め尽くされる。

日本のチーム力は、いまや世界トップクラスにある。

狙うは、その名門インスブルックのベルグイーゼルシャンツェで迎える第3戦。強豪地元オーストリア勢を打ち破っての表彰台中央! しかもかつてここで優勝経験のあるレジェンド葛西紀明の勝利だ。これがいよいよ、現実のものとなってくる。

久々にわくわくするジャンプ週間だ。

〔写真3〕落ち着いたサッツから軽やかに飛び出してLH3位の伊東大貴(雪印メグミルク)
〔写真4〕惜しくも優勝を逃した竹内択(北野建設)、優勝シュリーレンツァウアー(オーストリア)、3位のべリンガー(ドイツ)
(クリックで写真拡大)

〔写真5〕リレハンメルLHで2位バーダル(ノルウェー)、優勝したフロイント(ドイツ)、3位の伊東大貴(雪印メグミルク)
〔写真6〕試合後には地元子供たちのリクエストにていねいに応えるシュリーレンツァウアー(オーストリア)
(クリックで写真拡大)

Photo & Text by 岩瀬孝文

岩瀬 孝文

ノルディックスキージャンプの取材撮影は28年以上、冬季五輪は連続5回、世界選手権は連続12回の現地入り取材。スキー月刊誌編集長を経て、2007札幌世界選手権では組織委員会でメディアフォトコーディネーターを務めた。 シーズンに数度J SPORTS FIS W杯スキージャンプに解説者として登場。『冬はスキー夏は野球』という雪国のアスリートモードにあり、甲子園の高校野球や大学野球をつぶさに現場取材にあたっている。

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