[写真]吉田麻也が毎週、相手ストライカーと激しくやりあう
サウサンプトンの本拠地セントメリーズスタジアム

試合後の吉田麻也の物言いが痛快だった。「ガツガツきたからね。痛かったっすよ(笑)」。8日のホームで行われたレディング戦で、吉田は左センターバックとしてフル出場。その間、ずっとロンドン出身でグラナダ代表の大型ストライカー、ジェイソン・ロバーツと激しくやり合った。

ハイボールが放り込まれるたびに、身長189センチの岩のようなロバーツの巨体に体を当て、制空権を争う。サイドライン沿いでは、まるで格闘技のように手も腕も、腰も使って激しく体をぶつけ、完璧に抑え込んだのだ。ロバーツは相当に悔しかったに違いない。

続けて「お前がそう来るなら俺も」という気持ちでプレーしていた?と記者に聞かれると、吉田はこう続けた。「そりゃそうです。それはしょうがない。向こうが先にやってきましたからね。僕はいつもクリーンにやるつもりですけど、向こうがやって来たら、やり返さないと。そういうポジションだからしょうがない。不本意ながら(笑)」

温厚でユーモアあふれる吉田が、普段はあまり表に出さない、内面の激しさをチラリと見せたことが、とても新鮮だった。左ふくろはぎを打撲して、足を少し引きずっていたが、それさえも誇らしそうだ。

いま吉田は日本史上最強のセンターバックと断言して間違いない。高さ、フィジカル、スピード、読み、さらにビルドアップ。今日のセンターバックに求められるすべての要素を兼ね備えている。日本にも、ついに世界のトップレベルで戦えるセンターバックが、誕生したのだ。

かつて名古屋でプレーしていたころは、1試合に1度くらい、多いときは数度も、ポカをするような選手だった。集中力が途切れる。そんな選手だったが、北京五輪を経てオランダへ渡り、VVVフェンロで相当に鍛えられた。はたしてキャリアのステップアップを狙い、移籍オファーを獲得するためにロンドン五輪にオーバーエージ枠で出場。その初戦、スペインに1−0で勝った初戦の吉田は秀逸だった。最終的にサウサンプトンへの移籍を成功させた。

最近、吉田が取り組んでいることは、「抑えてプレー」することだ。開幕以来、サウサンプトンは降格圏に低迷したが、現在は15位と少しずつ浮上してきた。このスランプを脱出するきっかけは、チーム戦術として、前線へロングボールを蹴る戦術に切り替えたことだった。それまでは守備陣から無理やりつなごうとして、途中でボールを奪われ、カウンターを食らって失点。そのため、チームとして、セーフティーにプレーする戦術に切り替え、いま結果が出ている。吉田は得意とする「ビルドアップ」をある程度諦めて、プレーしているのだ。「いまは結果が一番ですから。でも欲も出てくるから、それをどうコントロールするか…」と話す。

こうして吉田は毎週、トップレベルの戦いをこなしながら学び、さまざまなものを体得している。24歳という年齢からしても、もっと伸びるだろう。日本最高のセンターバックのどのレベルまで上り積めるか。若いころのリオ・ファーディナンドか、それともジョン・テリーか。ぜひプレミア屈指のセンターバックになってもらいたい。

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原田 公樹
1966(昭和41)年8月27日横須賀生まれ、呉育ち。国学院大学文学部中退。週刊誌記者を経てフリーのスポーツライターとして独立し、99年に英国へ移住。ウェンブリースタジアムを望む、北ロンドンの12階のアパートメントに住んでいる。東京中日スポーツやサッカーマガジンに寄稿し、ロンドン・ジャパニーズの不動の左サイドバックでもある。 »Twitterアカウント »メールを送る

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