えー、今回は前置きなしです。いきなり本題に行きます。今週末に開催されるプレミアリーグ第26節の見どころは、ずばり、ロンドンの二大巨頭です。首都の二大クラブといえば、言わずと知れたチェルシーとアーセナルの2チームである。日の出の勢いのトッテナムに追いやられるようにして、リーグテーブルの見慣れぬ所を行ったり来たりしているが、ロンドンの元祖二強といえば、やはりこの二つのクラブと言う事になる。
今週末は何故この2チームなのか。恐らく、殆どの方がご存知の事と思うが、それはここ最近のこのビッグクラブの体たらくが大きく物を言っている。UEFAチャンピオンズリーグのファーストレグ、ミラノで大敗を喫したばかりか、FAカップ5回戦ではサンダーランドに敗れ、CLセカンドレグで文字通り神風が吹かない限り今季無冠が決定したも同然のアーセナル。片や、これまたCLファーストレグ、ナポリで情けない逆転負けと言う失態を演じ、FAカップ5回戦ではホームゲームであったにも関わらず、バーミンガム相手にアップアップ状態のドローという脱力ゲームに堕したチェルシー。このロンドンの二大巨頭のバウンスバックや如何に、と言うのが話の流れである。
外野にとってはただでさえ興味深い状況で迎える両チームの第26節なのだが、両方ともホームクラウドを前にゲームを行わなくてはならず(いっその事、アウェイの方が楽だったかもしれない)、またここに、ボルトン宮市といった我々にはたまらない醤油味が利いていたり、ノース・ロンドン・ダービーという大きなオマケがあったりして、これらが大きな付加価値となって、このスタンフォード・ブリッジとエミレーツで行われる2試合を「必見」というポディウムに乗せている。
まずはチェルシーだ。先にも結果を述べた通り、ナポリでのCLファーストレグは、非常に拙い戦い方をしてしまった。カバーニ、ラベッシ、ハムシクの三人で織りなす鮮やかなカウンターが持ち味のナポリは、剣術に喩えると「居合いの達人」みたいなものである。そんな相手に対し、チェルシーは大上段に構えて試合に臨んだ(それも剣道3級くらいの腕前で)。勝てる道理はないのである。案の定、バッサリやられてしまった。この試合でチェルシーが証明したのは、「私たち、ボール回しは上手いんです」ということだけである(約六割のボールポゼッションがそれを裏付けている)。
ビラス・ボアスは個人的に期待している監督なので、敢えて辛辣な振りをして見せているのだが、そこがプロフェッショナルな現場である以上(ましてやタイトルを義務付けられたビッグクラブだ)、理想追求と結果優先を秤に掛け、臨機応変に使い分ける大人の分別をもう少し発揮して欲しいところである(言うは易し、とはよく言ったもので、斯く言うこのワタシメもこの分別が無いので困っているのですが)。CLグループステージ最終節のバレンシア戦ではそれができたのだから、これからだって恐らくできるはずだ。
さて、この週末、かつて難攻不落の名を欲しいままにしたスタンフォード・ブリッジに乗り込むのは、目下リーグテーブルのビリ2に位置するボルトン。こちらはやるべき事がハッキリしている。1ポイントでもいいから、とりあえずポイントの加算だ。追い求めるは、結果のみ。第一、いくら短パン男のコイル監督がショートパス主体のテクニカルなフットボールを標榜しているとはいえ、“ブリッジ”でチェルシー相手に中盤の打合いを望む事など、どだい無理な話である。
試合はチェルシーがボルトン陣内でパス回しをする時間が長くなるだろう。そうなると、ボルトとしては自然の成り行きとしてカウンターに活路を見出すことになる。そこで活きてくるのが、左サイドの快速男こと宮市亮である。先のナポリ戦に於いて、ボジングワがハムストリングを痛めたので、この試合、恐らく宮市はイヴァノヴィッチと対峙する事になるだろう。スピード勝負で打ち負かすのは造作ないことである。宮市が先発すれば、この試合中、日本のお茶の間が一瞬色めき立つようなシーンが恐らく2、3度は見られるのではないでしょうか。
話は変わってアーセナル。相変わらず大一番にナイーブさを露呈してしまったヤング・ガナーズは、よりにもよってというタイミングでホームのノース・ロンドン・ダービーを迎えることになった。しかも、スパーズは優勝争いの生き残りという強固なモチベーションを両手に抱えてやってくる。レドナップ率いる軍団が、この負けられないダービーマッチに持ち込むファイティングスピリットはいつもの五割り増しとなるだろう。ここで問題となるのは、果たしてアーセナルが同じレベルまでモチベーションを高められるかというところだ。その土台となっているのが、CL出場権の4位死守と言うのは何とも心もとない。
ベンゲル監督、ここは鬼となって選手たちに戦う気持ちを注入しなくてはならない。試合のプランとしては、これまで通り、ファン・ペルシー頼みとなるのだろうが、それは問題ではない。スパーズと同じ土俵に上がる状態まで、ベンチを含めた選手全員の気持ちを持って行けるかどうかが鍵となる。と言うわけで、さしあたってこの試合の見どころは、両チーム、特にアーセナルの試合の入り方である。試合開始5分くらいまでに、何かしらの回答が得られるだろう。
平床 大輔
1976年生まれ。東京都出身。雑文家。1990年代の多くを「サッカー不毛の地」アメリカで過ごすも、1994年のアメリカW杯でサッカーと邂逅。以降、徹頭徹尾、視聴者・観戦者の立場を貫いてきたが、2008年ペン(キーボード)をとる。現在はJ SPORTSにプレミアリーグ関連のコラムを寄稿。
◆11/12 イングランド プレミアリーグ 第26節
02月25日(土)23:54 チェルシー vs. ボルトン J SPORTS 4
02月25日(土)26:24 マンチェスターC vs. ブラックバーン J SPORTS 4
02月26日(日)22:24 ノリッチ vs. マンチェスターU J SPORTS 2
02月26日(日)22:24 アーセナル vs. トッテナム J SPORTS 4
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