今回の年末年始の過密日程は、例年以上に数多くの波乱が起こった。世間が冬休みを終えて日常の日々に戻るのは逆に、プレミアリーグはいつもの週1-2回の試合ペースに戻り、つかの間の休息、といった印象だ。だが水面下では、移籍市場が開場したのに続き、アフリカ選手権対策が始まっている。アフリカ人選手たちが、各代表に招集されるため、ごっそりと不在になる。そのカバーをどうするか、やりくりが大変なのだ。各クラブの強化担当者はいま、代表チームへの招集をできるだけ遅らせ、早めにチームへ戻すようにネゴシエートしながら、一方で短期の期限付き移籍か、適正な移籍金で獲得できる選手がいないか、情報を集めている。

今回のアフリカ選手権は、中部のガボンと赤道ギニアの共同開催で、1月21日に開幕し、決勝は2月12日にリーブルヴィル(ガボン)で行われる。なかでも、いま注目されているのは、マンチェスター・シティーとコートジボワール代表のザオウイ監督とのトゥレ兄弟を巡る駆け引きだ。国際サッカー連盟(FIFA)のルールでは、各クラブは開幕の2週間前までに代表選手をチームに戻さなければならない。だがマンシティーのマンチーニ監督は、7日のFAカップのマンチェスター・ユナイテッド戦で出場させることを望んでいる。

コートジボワール代表は7日にパリへ集合。ミーティングをしたあと、アラブ首長国連邦のアブダビで約2週間の合宿を行うことを予定しており、ザオウイ監督は、初日からトゥレ兄弟の参加させる見通しだ。FIFAのルール通り、7日のミーティングに「出席させる」と主張する。マンチェスター・ダービーのあと、コロ・トゥレとヤヤ・トゥレが急いでマンチェスターからパリへ空路入りしても、それでもダメ、と強硬姿勢を崩していない。

アーセナルも2人の選手を失う。同じくコートジボワール代表のFWジェルビーニョとモロッコ代表のFWシャマフだ。実はこの2人のストライカーが不在になることは、FW宮市亮にとっては、大きなチャンスになる見込みだった。だがベンゲル監督は、元フランス代表でレッドブルズ(米国)のFWアンリを2カ月間の期限付き移籍で獲得すると発表した。正式決定はまだだが、アンリは1999年から2007年まで8季にわたってプレーし、370試合に出場して226得点を決めたクラブ史上最多得点王である。宮市は出場機会を求めて、他クラブへ期限付き移籍する可能性が高まった、とみるのが正解だろう。

ほかにもコートジボワール代表として、チェルシーのFWドログバやFWソロモン・カルー、ニューカッスルのティオテらも、7日朝までにパリ入りしなければならない。決勝まで進んだとして最高で5週間程度。リーグ、カップ戦を合わせて8試合ほどの欠場になるが、1勝がウン億円の価値のある強豪クラブにとっては、主力を欠くことは非常に重要なことなのだ。

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原田 公樹
1966(昭和41)年8月27日横須賀生まれ、呉育ち。国学院大学文学部中退。週刊誌記者を経てフリーのスポーツライターとして独立し、99年に英国へ移住。ウェンブリースタジアムを望む、北ロンドンの12階のアパートメントに住んでいる。東京中日スポーツやサッカーマガジンに寄稿し、ロンドン・ジャパニーズの不動の左サイドバックでもある。 »Twitterアカウント »メールを送る