先週のコラムで、ファイナルにおける5つの注目点をリストアップした。ゲーム3までの戦いを振り返ると、これらの注目点が勝敗を左右する要素になっている。その一方で、予想外の驚きがあったのも事実。今回は注目点の検証と今後のシリーズを左右しそうなカギをリストアップしてみる。

(1)コービ対セルティックスのチーム・ディフェンス
ゲーム1で強烈な存在感を見せたコービ・ブライアントだったが、ゲーム2はファウルトラブルによってアグレッシブさを少し失った。ゲーム3では29点を記録したが、FG試投数が29本。セルティックスのディフェンスはシリーズの経過とともに厳しさを増し、ペイント内になかなか切れ込めない状況にある。と同時に、ゲーム3の4Qでは、無理なシュートが多かったのも事実で、フィル・ジャクソンコーチは「トニー・アレンがいいディフェンスをしていたし、レイ(アレン)もいい仕事をしていたと思う」と語っていた。ゲーム3で効果のあったデレック・フィッシャーとのピック&ロールで、ブライアントがおとりとなったり、プレイメーカーとしての役割をもう少し果たすことも必要だろう。フリースローについては、白星だったゲーム1が9本、ゲーム3が8本成功と、前回指摘した10本に近い数字を残したのに対し、ゲーム2はわずか3本。レイカーズが勝利を手にするには、ブライアントのフリースロー成功数が多いほうがいいことに変わりはない。

(2)Rondooooooooo!
ゲーム2でトリプルダブルを記録し、4Q終盤の猛チャージで勝利を決定付けた局面では、レイアップ3本とジャンパーを成功。フィッシャーの3Pシュートを背後からブロックし、6点リードで迎えた残り39.8秒には、ブライアントからスティールを奪うすばらしいディフェンスを見せた。セルティックスの中では、ロンドがシリーズを通じて最も一貫性のあるプレイをしている。ブライアントにマッチアップされながらも、シリーズ平均は14.3点、7リバウンド、8.7アシスト。今のセルティックスは、ビッグ3以上にロンドの出来が勝敗を左右すると改めて指摘したい。

(3)Gasoft or Gastrong?
ゲーム1と2を見る限り、パウ・ガソルはケビン・ガーネットを圧倒していた。インサイドの激しい攻防に屈することなく、リバウンド数では22対8という大差。ゲーム1では8本のオフェンス・リバウンドを奪った。オフェンスではポストアップに固執せず、左右の動きがいまひとつなことの多いガーネットに対し、ゴールに正対してからのドライブを効果的に使っている。また、一連のパスワークからフリーになると、ミッドレンジのジャンパーを確実に決めている。ゲーム3では開始早々からガーネットがエンジン全開となり、ディフェンス対応でかなりのエネルギーを費やした。そんな状況でも13点、10リバウンドのダブルダブルを記録したあたり、ガソルが2年前から大きく変貌したことの証と言える。今のところはGastrongである。

(4)良いロン、悪いロン、普通のロン
ゲーム2の前日、ロン・アーテストは「オフェンスはロッタリーみたいなもの」と話したが、ゲーム1での3Pシュート3本を含む15点はそれを象徴するもの。ポール・ピアースが24点を奪ったと言え、勝敗に大きな影響を与えるものでなかったのは、アーテストのディフェンスによるところが大きい。試合開始直後、レスリングのようにピアースと交錯してフロアに倒れ、ダブルテクニカルを取られたが、冷静さを失うことなくプレイし続けた。これは良いロン。ゲーム2ではピアースを10点に封じたが、オフェンスはいい結果のロッタリーといかず、勝利に貢献できなかった。ゲーム3では1Q序盤でファウルトラブルとなり、出場時間も23分21秒と限られたものに終わった。しかし、ピアースもファウルトラブルに巻き込まれ、チームも勝利。ゲーム2と3は普通で、今のところ悪いロンは姿を現していない。

(5)ビッグプレイを決める脇役はだれか?
これはシリーズ前の予想どおり、デレック・フィッシャーがゲーム3で存在感を示した。ゲーム3での4Qにビッグショットの連発に加え、レイ・アレンに対してもすばらしいディフェンスをしていた。心身ともに非常にタフであり、ブライアントが絶対的な信頼を置くベテランは、レイカーズにとって欠くことのできない存在。セルティックスのケンドリック・パーキンスが、「彼にプレイを決めさせてはいけない」と言うのは的を得ている。セルティックスで注目したグレン・デイビスは、ゲーム2で8点、7リバウンド、ゲーム3が12点といい仕事をしている。しかし、インパクトという点では不十分。ラシード・ウォーレスが腰の状態が悪化しているだけに、ゲーム4以降デイビスの活躍はセルティックスの勝利に必要な要素となりうる。

★今後のカギ

・セルティックスが誇るビッグ3、ピアース、ガーネット、R.アレンがそろって活躍できるか?
ゲーム3まで3人そろって貢献するシーンがないのは驚き。2年前に比べ、心身ともに強靭さを増した今のレイカーズ相手には、3人の合計が50点以下だと厳しい。得点源であるピアースが20点以上、3人で55点以上稼いで勝利を手にできるかに注目。

・ペイント内におけるバイナムの存在
右ひざの痛みを抱えながらも、アンドリュー・バイナムは奮闘中。ゲーム2の21点以外、オフェンスで目立つシーンは少ない。しかし、213cmの身長を生かしてのリバウンドやブロックショットは、ペイント内の攻防でレイカーズがフィジカルなセルティックスに負けていない一因となっている。また、バイナムのポストプレイは、レイカーズのオフェンスが機能させるうえでも非常に重要である。

・ファウルトラブル
シリーズを通じてレフェリーの笛は厳しいが、今後も続きそうな予感がする。両チームともヘルプでの無駄なハンドチェック、ボールのないところでのポジション争いで、ファウルをしないディフェンス対応が求められる。

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青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。

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