レギュラーシーズン最高成績を2年連続で残しながらも、キャブスはまたしてもファイナル進出を逃した。NBAタイトルへの大きな期待を寄せられてきたが、結果を残せなかったことで、ダン・ギルバートオーナーはマイク・ブラウンコーチの解任を決断した。

「我々のプレイオフは、2年連続で早く終わってしまったという落胆などすべての要素を時間をかけて分析した結果、キャブスは違った方向に進むという結論に至った。この組織にある期待度は非常に高い。変化はリスクを負うことになるが、高いレベルの功績を手にするための壁を破るには、そうしなければならない時がある。これはその一つだ」

2005年6月にヘッドコーチとなったブラウンは、キャブスをタフなディフェンスをするチームへと成長させ、2007年にはファイナル進出を果たした。しかし、その後のプレイオフではオフェンスが機能せず、肝心な局面で相手を止められないシーンが多くなっていた。それを打破するために、今シーズンはシャキール・オニールやアントワン・ジェイミソンをトレードで獲得。リーグ最高のオールラウンダー、レブロン・ジェームスを十分にサポートできる体制が整えたはずだった。しかし、結果はカンファレンス・セミファイナルでセルティックスに敗北。ホームでのゲーム2と5は、精彩を欠いたと言われても仕方ない完敗だった。

では、セルティックスとの差は何だったのか? そのキーワードは“Stability”。なぜ、安定とか持続という意味のある単語を出したかと言うと、セルティックスは優勝した2007-08シーズン以降、基本的にスターターの顔ぶれが不動。チームコンセプトを頭と体で理解し、良好なケミストリーが構築されている点で、キャブスとは大きな違いがある。それは21世紀以降にタイトルを獲得したレイカーズとスパーズも、中核となるプレイヤーたちに変化がなかった点で、セルティックスと共通している。

キャブスのダニー・フェリーGMは2007年のファイナル以降、ジェームスをサポートする人材探しに奔走してきた感が否めない。過去3シーズンのスターターの構成を見れば一目瞭然だ。

★2007-08シーズン
SF:レブロン・ジェームス
PF:ドリュー・グッデン→ベン・ウォーレス
C:ジドルナス・イルガウスカス
SG:ラリー・ヒューズ→サーシャ・パブロビッチ
PG:ダニエル・ギブソン→デロンテ・ウエスト

★2008-09シーズン
SF:レブロン・ジェームス
PF:ベン・ウォーレス→アンダーソン・バレジャオ
C:ジドルナス・イルガウスカス
SG:デロンテ・ウエスト
PG:モー・ウィリアムス

★2009-2010シーズン
SF:レブロン・ジェームス
PF:J.J.ヒクソン→アントワン・ジェイミソン
C:シャキール・オニール
SG:アンソニー・パーカー
PG:モー・ウィリアムス

ブラウンはセルティックスのシリーズ中、選手起用のローテーションで批判された。しかし、フェリーGMによるアグレッシブな補強が、ケミストリー構築に必要な持続性を失う結果になったのは確か。フェリーはジェイミソンを2月の期限直前のトレードで獲得したが、着実に成長していたJ.J.ヒクソンの出場機会が減ってしまうマイナス要素を生み出した。セルティックスのシリーズに限らず、ブラウンはシーズン終盤以降、選手起用法で相当苦悩したという気がしてならない。結果が出なかった以上、最初に責任を取らされるのは常にヘッドコーチだ。しかし、ジェームスとともに中核となるべきプレイヤーたちを見つけ、一貫性のあるチームを作らなかったフェリーGMも、タイトル獲得失敗の一因と言える。

フリーエージェントとなるジェームスの動向が、キャブスの将来を左右する。だが、ブラウンの解任は、キャブスが直面する大きな変化の序章になるかもしれない。キャブスにとって歴史に残るかもしれない激動のオフは、7月1日本格的にスタートする。

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青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。

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