ルイス・スコラを初めて見たのは、2001年夏、さいたまスーパーアリーナで行われたヤングマン世界選手権。そのとき、すごくうまいという印象を持った。スペインにあるユーロリーグの強豪、タウ・セラミカで着実に力をつけたスコラは、2004年のアテネ・オリンピックではアルゼンチンの金メダル獲得に貢献。平均17.6点、5.1リバウンドの数字を残し、決勝のイタリア戦では、チーム最高の25点をマークした。

国際試合やユーロリーグで実績を作ってきたスコラだが、NBAではパワーフォワードとしてサイズ不足(206cm)、運動能力も高くないから通用しないと言われた。しかし、2007年にロケッツ入りすると、それが誤りであることを証明。今年のプレイオフでは14.4点、8.4リバウンドという活躍で、ロケッツのカンファレンス・セミファイナル進出に貢献した。

スコラの強みは、ポストプレイからの得点が非常にうまいこと。クイックネスや跳躍力に頼るのでなく、スキルを駆使するタイプなのだ。NBAのビッグマンにマッチアップされても、フットワークとフェイクによって得意なパターンのシュートへ持ち込むことができる。スピンムーブからのレイアップ、フックショット、フェイクからディフェンダーの下をくぐってレイアップを決めるアップ&アンダーは、しばしば見られる得点パターン。これらのプレイは、いずれもリムの下で勝負するものばかりである。

アジア選手権で日本が10位と散々な結果に終わった一因に、インサイドでオフェンスをクリエイトできる人材不足がある。倉石平ヘッドコーチは最終戦後、「インサイドで得点が取れず、基点にもなれず、守ることもできませんでした」とコメントしたことでも明らかだ。日本人ビッグマンは運動能力で劣るかもしれないが、スコラが持っているスキルを身に着けることは十分可能。国際試合で戦えるビッグマンを育成していくうえで、スコラのプレイを参考にすべきではないだろうか。

もちろん、スコラのすごさはスキルだけでない。すばらしいメンタルタフネスの持ち主であり、ハードワーカーだ。アメリカ大陸選手権では、多くのNBAプレイヤーが不参加を決意する中、スコラはチームを世界選手権に導くためにチームを牽引。代表としてプレイする姿勢とメンタリティは、日本が見習うべきだろう。「重要なプレイヤーがいないけど、残った仲間で戦うつもりだ。このトーナメントは大きなチャレンジであり、世界選手権出場のために全力を尽くす」という言葉どおり、ベネズエラとブラジル相手の2連敗で1次ラウンド敗退の危機からアルゼンチンを救った。ホークスのアル・ホーフォードとマッチアップしたドミニカ戦では、30点の大爆発で2次ラウンド進出に導いた。

アメリカ大陸選手権は、2次ラウンド以降J SPORTSで放映予定。アルゼンチン戦が放映された場合は、スコラのプレイにぜひ注目してほしい。

青木 崇

NBA専門誌「HOOP」の編集者から98年秋にフリーのバスケットボールライターとなり、ミシガン州デトロイトを拠点に取材を続ける。 最近のお気に入りプレイヤーは、昨年のヨーロッパ選手権優勝と、世界選手権でアメリカを倒す原動力となったギリシャ代表のガード、 セオドロス・パパルーカス。NBAでは人間性のよさを理由に、ドウェイン・ウェイド、エルトン・ブランド、マイケル・レッド、チャウンシー・ビラップス、 パウ・ガソルがお気に入りのトップ5。