スポーツ科学研究所とは

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【所長】桜井 智野風
(サクライ トモノブ)

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水泳のスポーツ科学一覧

2008年06月10日

『裸で泳ぐと速く泳げないの・・・?』

先日の東京辰巳国際水泳場で行われたジャパン・オープン水泳大会において、北島康介選手の世界新記録をはじめとして、「高速水着(※1)」を着た日本の選手が好記録を連発しました。水着を変えただけでこれほどの違いがあるのかと思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は水泳と水の抵抗に関して考えてみましょう。

ハイレグ&ブーメラン
数年前の競泳のための水着といえば、女子は「ハイレグ」、男子は「ブーメラン」と呼ばれ、布が小さく、身体の皮膚の多くが露出しているものが主流でした。「こんなに小さな水着であれば着用しないで裸で泳いだ方が速いのでは・・・?」と思った人も多かったのではないでしょうか?これには水の抵抗が関係しています。

水の抵抗とは・・・
空気中で手足を動かしても抵抗を感じませんが、同じ動作を水中で行った場合、かなりの抵抗を感じます。水の密度は空気の800倍、約12倍の抵抗があります。水中では動かすスピードが速ければ速いほど抵抗が増していきます。平泳ぎでは,蹴り出した足の裏の抵抗が強力な推進力になって前進するわけですが、同時に大腿部前部(腿の前面)が受ける水の抵抗は前進のための大きな妨げなっています。これは車のアクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなもので、大きくエネルギーをロスしているという事もできるわけです。このエネルギーのロスをなるべく減らす事が記録の向上には必要という事になります。泳ぐスタイルが完成形を迎えつつある現在では、水着の改良がこのロスを減らすための最大の武器となってきています。

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裸で泳ぐと・・・?
最初の疑問に戻ります。裸では速く泳げないのでしょうか? 答えは「速く泳ぐ事はできません。」人の身体には凹凸があります。この凸凹は先に述べたように前進することに対して抵抗を生み出します。特にお尻や女性の胸は大きな抵抗となってしまいます。すなわち、この凹凸を少しでも少なくする事、上から布で覆って平らに近い状態にする事は速く泳ぐために必要であり、水着はこのために重要な役割を担っています。残念ながら裸で泳ぐと水の抵抗が高くなり速く泳ぐことが出来ないのです。

ハーフパンツだけでも効果はある
北島選手などの多くの男子選手が着用しているハーフパンツ型の水着ですが、水の抵抗を考えると全身を覆うような「フルスーツ」と呼ばれる水着を着用した方がより効果がありそうに思えます。しかし、全身を覆う水着を着用すると腕のスムーズな動きを制限してしまう事も同時に起こってしまいます。ですから最も抵抗を減らしたいところ、すなわち、大腿部前面、お尻、男性器を包み込むハーフパンツだけでも十分な効果が得られるのです。   
競泳水着だけではなく、ゴーグルやキャップなどの開発もどんどん進んでいます。速さに限界はあるかもしれませんが、水の抵抗を少なく、魚のように速く泳ぐことを目標にしたスポーツメーカーの研究・開発はとどまることを知りません。


なるほど!ザ!スポーツ用語辞典

<※1>
高速水着:
「レーザー・レーサー」と呼ばれる商品。イギリスのスピード社が米航空宇宙局(NASA)などの協力を得て開発した競泳水着。水の抵抗を抑えるために生地は極薄で表面が滑らかでありながら伸びにくく身体への締め付けが非常に強い。着用した選手が世界新記録を連発しているが、国際水連は水着自体には規則違反はないと発表している。


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