スポーツ科学研究所とは

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【所長】桜井 智野風
(サクライ トモノブ)

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乳酸のスポーツ科学一覧

2008年04月28日

『乳酸は悪者ではない!その1』

乳酸と聞くと、どうしても疲労や筋肉痛の原因であり、身体とっては良くないもの・・・と思ってしまいます。TVや雑誌、インターネット等にも「筋肉痛の原因は乳酸である」と紹介されていたのも事実です。しかし、最近のスポーツ科学により乳酸の正体が次第にあきらかになるにつれ、身体にとって乳酸は悪者でない事が解ってきました。今回はこの乳酸にまつわるお話をしたいと思います。

乳酸の役割
身体を動かすために必要なエネルギーの中心は炭水化物です。炭水化物は分解されて糖に変わりエネルギーとして利用されますが、この糖の利用過程で一時的に生成されるのが乳酸です。糖を利用してエネルギーを作り出すのは速筋線維が中心です。つまり、乳酸の多くは速筋線維で生成されるわけです。生成された乳酸は運動中のエネルギー源として遅筋線維や心筋細胞内のミトコンドリア(※1)で利用されます。このように乳酸は老廃物ではなくエネルギー源として考えるのが正しいのです。もっと端的に言えば「乳酸=糖の変化したもの」であり、乳酸ができるという事は糖を使って運動している証拠であるわけです。

どうして「乳酸=悪者」という式が出来たのか?
ではどうして乳酸が悪者になってしまったのでしょうか? 20年前くらいの教科書には「乳酸は疲労物質である」と載っていました。これは激しいスポーツ活動時に疲労して「もう動けない・・・」という選手の血液を分析した結果、著しく乳酸が上昇していたために「乳酸は筋肉の運動を阻害してしまう物質だ!」と早合点してしまったのです。では疲労の原因はいったい何なのか? 実は現在、筋肉疲労の原因はハッキリとわかっていません。疲労というのは様々な状況で様々な原因があって起きている複合的な現象です。最近ではリン酸(※2)が注目を集めていますが、これもまだ定説とは言いがたい状況です。しかし、製薬会社をはじめ様々なスポーツ関連業種の人々は、正体が無いのでは攻撃する目標がなくなってしまい、製品や指導法のPRもやりづらくなってしまうため、乳酸を悪者に仕立て上げ続けているというのが現状だと思います。人々は乳酸に悪役を押し付けたままここ数年の月日が流れているのです。

このように乳酸は我々の筋運動には欠かせないものである事が解っていただけたかと思いますが、この乳酸との上手な付き合い方やトレーニング場面での利用方法に関しては、今後のコラムをご期待ください。

桜井所長が関わった本が絶賛発売中!『乳酸をどう活かすか』

なるほど!ザ!スポーツ用語辞典

<※1>
■ミトコンドリア:
細胞中の細胞小器官で、当然、筋肉内の細胞内にも存在する。体内に存在するグルコース・脂肪と酸素から生命活動に必要なエネルギーを生成する役目を担っている。

<※2>
■リン酸:
タンパク質合成や遺伝情報の伝達に重要な働きをもち、エネルギー代謝にかかわる重要な物質でもある。筋肉内でエネルギー物質を分解する時に生成される。

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