2008年08月18日
『マラソン選手の水分補給とスペシャルドリンクの謎…その2』
女子マラソンの野口選手の欠場・・・、そして土佐選手の途中棄権、中村選手13位と非常に残念な結果に終わった日本女子マラソンでした。土佐選手のような暑さに強く、粘りがあっても様々な原因が絡まりあい棄権してしまうほどマラソン競技は過酷なスポーツです。さて、前回お話した水分補給の重要性ですが、今回は選手が個別に用意するスペシャルドリンクに関してお話しましょう。
スペシャルドリンクボトルの中身とは?
走っている選手達は、5キロごとの給水地点で各々わかりやすいように目印をつけたボトルを係員などから受け取っているのを見ることがあると思います。各々の選手が準備したスペシャルドリンクですが、いったい中身はどんなものなのでしょうか? マラソンにスペシャルドリンクが登場したのはいつからか定かではありませんが、当初はオレンジジュースや紅茶、コーヒーに炭酸抜きのコーラ等と選手が普段飲み慣れている飲料やそれをアレンジしたものが多かったようです。しかし、近年はスポーツドリンクの研究・開発が進み、多くの選手がスポーツドリンクを使用しています。中にはいくつかの市販のスポーツドリンクを混ぜ合わせてオリジナルドリンクを作成している選手もいます。
どんな成分が良いのか?
前回のコラムでも話しましたが、エネルギー生成の原料となる糖質は高濃度であれば身体への吸収が悪くなります。2~5%程度の濃度が現在のスポーツドリンクの主流です。現在の多くのトップランナーが用いているスペシャルドリンクは、レース序盤の給水ポイントでは、脱水を予防するために身体への吸収の良いもの、つまりは糖をあまり含まず電解質(※1)がバランスよく入ったドリンクを飲んでいます。またレース後半になればなるほど、エネルギーを生産しやすいように糖質の濃度が高いドリンクを飲んでいます。現在もコーヒー、紅茶、コーラ等を好んで選ぶ方もいらっしゃるとは思いますが、これらには利尿作用のあるカフェイン(※2)が含まれており、尿として水分を体外に排出してしまいます。高温の日のレースではカフェインを含む飲料はあまりお勧めできません。
温度は?
脱水になりがちな身体への水分補給という重要な役割があるスペシャルドリンクですから、身体への吸収率が高い飲料がマラソン走行中には適しています。身体への吸収ということを考えると、5℃~15℃程度が最適であるといわれています。そして、最新の研究において37℃よりも4℃の水のほうが身体への吸収も早く体温の上昇を防ぐことが明らかになっています。高温環境でのスポーツ時において、飲み物は冷たすぎると身体に負担がかかるのでは? 逆に体力を消耗するのでは? といったようなこれまでの考えを改めなくてはいけません。
給水の光景が変わった・・・!?
スペシャルドリンクは飲むだけではなく、身体にかけて暑くなった身体を冷やすために使用する選手もいます。つまりは低温を保つ事ができる容器が望まれます。国際陸上競技連盟は、北京五輪のマラソンにおいてスペシャルドリンクの容器について、保冷機能付きの金属製ボトルを使用することを許可しました。つまりは魔法瓶のような硬い容器で冷たいスペシャルドリンクを飲むことができるのですが、今回の女子マラソンではそのような光景を見つけることができましたか? 男子マラソンの時も注目して見てみてください。
なるほど!ザ!スポーツ用語辞典<※1>
電解質:
水に溶けて電気を通すミネラルであるナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのこと。電解質は体内の水分に溶けこんでおり、そのバランスは水分のバランスと連動している。我々の身体は血液中の総水分量と電解質濃度を一定に保つように調整している。<※2>
カフェイン:
コーヒー、コーラ、緑茶、紅茶、ウーロン茶、ココア、チョコレートなどに含まれる物質。中枢神経系を刺激することが知られ、興奮作用や利尿作用がある。
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コメント一覧
水分補給とスペシャルドリンクのお話、大変興味を持って読ませていただきました。
スペシャルドリンクの使用方法や成分について、もし仮に、吸収が良く、吸収率が高い飲料で糖質が多く含まれている場合、スポーツには最高なドリンクということになるのでしょうか?
糖質が多く含まれた水分の還元電位を低くすることで吸収率は向上しないでしょうか?
投稿者 nishi : 2008年09月03日 16:23
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