2008年08月12日
『マラソン選手の水分補給とスペシャルドリンクの謎…その1』
高温多湿の北京でのマラソンは過酷なレースになりそうです。選手は様々なスペシャルドリンクを用意してこのレースに臨みますが、彼らが口にするドリンクにはどんな秘密が隠されているのでしょうか? 今回から2回にわたって、水分補給とスペシャルドリンクの謎について考えてみたいと思います。
1レースで5kgの汗!? 1時間に1リットルしか飲めない・・・。
人間は高温多湿の条件化で激しい運動を行うと1時間に2~3リットルの汗をかきます。2時間以上走り続けるマラソンにおいてはその量は5リットル以上になることも珍しくありません。重さに換算すると約5kgもの汗をかくことになるのです。それに対して、人間が1時間の運動中に飲める水の量は約1リットル程度と言われています。これは、水分が吸収される前に、胃の中が水で満たされてしまうと、のどの渇きを感じなくなってしまうからです。
つまり、マラソンレースの約2時間で5リットルの汗をかいても、5リットルの水を飲むことは不可能ということです。ちなみに一流選手がマラソン競技中にドリンクとして飲む水分の量はせいぜい1リットルであり、アスリートの身体には大変な水分不足が起こっていることがわかります。
そこでスポーツドリンク! エネルギーか水分か?
そこでなるべく身体に早く吸収され、胃の中に残らないようなドリンクが考えられました。それがスポーツドリンクといわれる飲み物です。体液に近い濃度に調整され、より早く胃の中から血液中に吸収されます。ただ、長時間運動をしていると水分同様エネルギーも補給する必要があります。その為にスポーツドリンクにはエネルギーの原料となる糖質(※1)が5%程度含まれています。しかし、糖質を含む飲料は真水よりも吸収が悪いこともわかっています。吸収が悪くなると、血液の流れが悪くなり、体温を上げてしまう原因にもなります。
様々な研究により、マラソンのように2時間を越えるような持久的運動においては、糖質を含むドリンクに効果があることがわかっていますが、1時間程度もしくはそれよりも少ない時間で終わる種目では糖分を含むドリンクを飲むことは、吸収時間が遅くなり、あまりよい効果がないとも言われています。
スペシャルドリンクはすごい!
水分吸収に重点を置くのか? 後半に備えて糖質を重視するのか? 選手にとってはスペシャルドリンクも戦術の一つになるのです。一流選手が使用しているスペシャルドリンクは食品メーカー、飲料メーカーがアシストし、選手自身にあったオリジナルの飲料を開発し提供しています。その日の天候、気温、体調により含まれる成分を調整する選手もいるようです。今回はここまでにして、さらに詳しいスペシャルドリンクの科学は次回ご紹介します。
なるほど!ザ!スポーツ用語辞典<※1>
糖質:
炭水化物とも呼ばれ、タンパク質、脂質などと並び身体に重要な物質である。糖質の一種であるグルコースは筋肉の活動エネルギーとなるATPを生産するために不可欠である。
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