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卓球のマンガ一覧

2007年02月09日

卓球社長 - 卓球に全てを委ねる社長

島本和彦 『卓球社長』 講談社(2005) 全1巻

卓球社長

スポーツから人生の教訓を引き出そうとする試みは多い。ラグビーと経営学や組織論など、相性がいいのかよく目にする(例えば大原史朗・著『組織成功の秘密はラグビー(Rugby)にある』など)。

本作の主人公である社長は、卓球に会社の経営判断や自身の進路決定を委ねる。高利な融資の受諾を賭けて卓球勝負をしたり、部下に教訓を与えたりしながら生きてきた。

新規日ビジネスの立ち上げに必要な3億円の融資を銀行に頼む時も、もちろん卓球勝負だ。自分に勝ったら何でも言うことを聞くという融資担当のセリフに社長はこう独白する。

「担保なしで3億円、貸してもらえるのか!?」(『卓球社長』 P79)

当然そんなわけはない。しかし、本気でそう思っているところが、読者の笑いを誘う。

社長はこのように生き、5つの会社を立て直し、12人の友人の危機を救ってきた。大真面目にバカらしいことをやっていると、その行為は尊さを帯びてくるのかもしれない。

■初出:『ビッグコミック』小学館(1997~1998)、『ビッグコミック1』小学館(2005)

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卓球社長

【ストーリー】

人生の判断を卓球勝負に委ねて生きていく、「燃える社長」の物語。

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2006年12月19日

ピンポン - それぞれの苦悩とヒーローによる救済の物語

松本大洋『ピンポン』小学館(1996)全5巻

ピンポン

舞台は神奈川県の高校卓球界。主に5人の選手たちがぶつかり合う。

星野裕(ペコ)
-片瀬高校卓球部に所属し、才能に飽かして本気で練習をしない主人公。高校生にして初めて味わった挫折を克服すべくもがいていく。

月本誠(スマイル)
-片瀬高校で覇気のない卓球を続ける、ペコの小学校時代からの親友。自分のヒーローであるペコの復活を望みながら、眠っていた才能を開花させていく。

佐久間学(アクマ)
-超人的な練習で才能のなさをカバーしようとする努力家。憧れのペコに勝つために卓球名門校海王学園に進み、1年生にしてレギュラー入りするが、その先で大きな挫折を味わう。

孔文革(チャイナ)
-中国ナショナルチームから外されたことで己の才能に疑問を持つ中国人プレーヤー。卓球部強化のために留学生として招かれた辻堂学院高校で復活を期すも、早々と己の限界を知る。

風間竜一(ドラゴン)
-才能と激しい努力で1年生にしてインターハイ優勝を遂げた海王学園のエース。敵なしの強さだが、勝利の呪縛に捉われ恐れを抱き続けている。

この作品は一貫して「才能」というテーマを追いかけ、それぞれの才能の多寡がもたらす苦悩が描かれている。才能を持つがゆえに苦痛を抱える者、信じていた才能に限界を感じる者、努力では補えない才能の前に屈する者。格下だったはずのスマイルに敗れたアクマは、次のセリフを残して卓球から足を洗う。

「飛べねえ鳥もいる」

直訳すると「才能のない者もいる」ということだ。チャイナもドラゴンも、それぞれ己の才能に限界を感じる場面が訪れる。

数々の挫折の物語にも心を打たれるが、苦悩の後に訪れる救いにこそ、この作品の眼目はある。

2年目のインターハイ予選で、ペコはスマイルやアクマにとってのヒーローであろうと急速に覚醒していく。そのペコに苦戦する王者ドラゴンの姿を見て、チャイナはこうつぶやく。

(「カザマには辛いな。」というコーチの発言に対して) 「どうかな。ホシノのプレーは型にはまっていないよ、コーチ。卓球が好きで仕方ないという感じさ。そういう相手と一緒にプレーできると言う事は……少なくとも俺は……」

ここでは、競争原理の頂点に立ち勝利への呪縛に捉われきったドラゴンと、誰かにとってのヒーローであろうとしながら卓球を楽しむペコの姿が対比されている。勝利への呪縛から解き放たれたチャイナの表情は、つき物が落ちたかのように柔らかだ。ヒーローの復活を観客席から見守るアクマも同様に。

ではドラゴンとスマイルはどうやって救済されるのか、それは実際に読んで確かめてもらいたい。

■初出:『ビッグコミックスピリッツ』小学館(1996~1998)

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