2007年03月14日
『フルたま』 - テニスコートで野球をする
高岡永生 『フルたま
』 講談社(2005) 全2巻
テニスマンガなのに、主人公は冒頭で野球に打ち込んでいます。こういう時は、かつてやっていたスポーツで培った能力が本題のスポーツに活きる、という展開が予想されます。
本作は野球の素振りや外野からの送球で鍛えた力が、それぞれテニスのショットやサーブに活きるという設定です。高校テニス界のスタープレーヤーが主人公タマに発した「お前はコートで野球をすればいいじゃねーか」というセリフが、作品のその後を規定します。
タマはコートで「ホームラン」(気持ちのいいショット)を目指したり、「これがオレの バックホームだぁ!!!!」と叫びながらサービスするなど、常に野球を引き合いに出しながらテニスを続けます。元野球少年にして全豪と全仏を制した90年代の名選手ジム・クーリエの存在が、彼の成長に多少の説得力を与えてくれるでしょうか。
しかしこういう選手に、純正テニス選手は反発するものです。本作でも同級生部員の百瀬君が妙に絡んでくる。百瀬との試合を通じて急速に成長するタマですが、簡単に勝たせないところに作者の良心を感じます。
タマが本格的にテニス自体を愛し始めたかなというところで連載は終了。雑誌側も人気が出るのを悠長に待っていられないのでしょうが、もう少し続けさせてほしかったとものです。ヒロインも可愛くて人気があったようですしね。
■初出:『週刊少年マガジン』講談社(2004~2005)
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『フルたま』
【ストーリー】
中学の野球部で、ホームランを打つことだけ目指して素振りを続けるタマ。しかしようやくレギュラーとして出場した試合で怪我をしてしまう。左手の握力を失い野球ができなくなったタマに、幼なじみ古都はテニスを勧めるが…。


