2007年01月31日
STAY GOLD(ステイゴールド) - 一芸選手の魅力
大島司『STAY GOLD(ステイゴールド)
』講談社(2004)全3巻
手持ちの武器は少ないものの、それを徹底的に高め、一点突破を計ろうとするスポーツ選手がマンガにはよく出てきます。彼らは時に、オールラウンドな能力を有する器用な選手よりも、強い印象を与えます。
真っ先に思い浮かぶのは、以下のようなキャラクターでしょうか。
・桜木花道-リバウンド(『スラムダンク』)
・幕之内一歩-デンプシーロール(『はじめの一歩』)
・野々村輝-登坂(『シャカリキ!』)
もちろん彼らは他の点でも優れた能力を持っている。しかし得意技への執着は「そこで負けたら存在価値がなくなってしまう」という緊張感を作品にもたらし、読者を惹きつけます。
その執着はキャラクターの不器用さを演出し、キャラクター愛を増幅させる効果もあるように思います。大空翼(『キャプテン翼』)が主人公にもかかわらず、他の登場人物に比べて人気で一段落ちるのは、彼が(サッカーでは)何でもできてしまうからではないか。
本作の主人公佳山大介は、幼少の頃からフォアハンドでのショットにこだわり続けるテニスプレーヤーです。逆にインターハイ予選最大の山場でぶつかる岡野は、「レインボーショット」と呼ばれる多彩な技を持っています。
「レインボーショット」は、ドロップ(*1)やロブ(*2)などで相手の裏を掻くテクニックの集成です。かつて大介のフォアに敗れた岡野は、必死でそれらの技を身につけた。しかし、豪快なフォアを打ち続ける大介と対比して読むと、どうにもせせこましく見えてしまうのです。
結局岡野は大介のこだわりに感染し、勝ち目の薄いフォア勝負を挑んでしまう。このような構図により、フォアばかり打つ大介の魅力がいや増していきます。
現実の世界でも、どこかで突出した選手は強い印象を残します。野茂英雄のフォーク、中村俊輔のフリーキック、マキュアン(サイクルロードレースの選手です)のゴールスプリントなど、枚挙に暇がない。
そんな一芸の魅力について考えさせてくれる作品です。
*1 ボールに逆回転をかけネット際に落とすショット
*2 相手の頭上を越えるような高い弾道のショット
■初出:『週刊少年マガジン』講談社(2004)
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『STAY GOLD(ステイゴールド)』
【ストーリー】
「赤い弾丸」と呼ばれ、中学サッカーで都の得点王になった佳山大介。その大介が、高校ではなぜかテニス部に入部することに。サッカーを捨ててまでテニス選ぶ理由とは!?


