2006年12月19日
佐藤秀峰傑作短編集 ハードタックル - 「ブラックジャック」へと連なる熱き精神
佐藤秀峰『佐藤秀峰傑作短編集 ハードタックル』小学館(2005)全1巻
『ブラックジャックによろしく』や『海猿』でおなじみの佐藤秀峰が、ラグビーとヨットを題材に熱き精神を描いた短編集。「ブラックジャック」の主人公・斉藤先生がスポーツをやったらこうなります、といえば雰囲気は伝わるだろう。
作品1「おめでとォ!」
企業の広告塔としてヨット競技に臨むワタナベとスズキの男女ペア。現実に妥協し夢を忘れていくワタナベに、スズキはコンビ解消を告げる。スズキへのライバル心と恋心が、ワタナベの熱意を呼び覚ます。
作品2「ハードタックル 狼少年の逆襲」
小学生の頃から共にラグビーをプレーしてきたタクミとさくら。二人の夢は一緒に日本代表でプレーすることだ。
その後ラグビーでは平凡な公立高校に進学したタクミだが、一目ぼれしたクラスメートの女子とラグビー部員の前で「俺のキックは成功率100%…!」というホラを吹いてしまう。嘘を糊塗するためにラグビーから逃げ続けるタクミに奮起を促したのは、ラグビー名門校に進学した親友のさくらだった。
作品3「キムラ!立修大学ヨット部奮闘日誌」
女キャプテン・チハルが率いる立修大学ヨット部だが、大会当日に部員7人中5人が退部してしまう。残された3年生部員木村が、ヨット部存続を賭けて大会で奮闘する。
これら3篇はどれも「困った事態になる→奮起する→突き抜ける」という構造になっている。この最後の突き抜け方が作者ならではの熱さに満ちており、作者独特の絵と同様、読者の毛穴からやる気が吹き出してくるような作品集だ。
■初出:『週刊ヤングサンデー』小学館(1998)


