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J SPORTS J.LEAGUE

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jef bel.jpgクラブ新記録の開幕6連勝という圧倒的な数字を引っ提げた湘南が、昇格候補の一角に挙げられる千葉のアウェイに乗り込むビッグマッチ。舞台はフクダ電子アリーナです。
4位、6位、5位、5位。後者の2年間は昇格プレーオフでの敗退を強いられ、J2生活も5年目に突入した千葉。同クラブの指揮官としては4年ぶりに就任2シーズン目を迎えた鈴木淳監督の下、唯一無二の目標を掲げて入った今シーズンは、ここまで6試合を消化して勝ち点10と快調なスタートダッシュとは行かず。それでもここで無敗の首位をホームで叩き、浮上へ向けた格好のキッカケにしたい一戦に臨みまず。
1つの勝ち点すら落とすことなく、開幕からここまで全勝で駆け抜けているのは降格組の湘南。稀代のモチベーターであり、稀代の戦術家でもあるチョウ・キジェ監督が率いたチームは、もはや圧倒的な信念に貫かれた"湘南乃猛風"。「今日はあえて『クラブの新記録が懸かっている』と、『その記録と記憶に残るような試合をしよう』と言って送り出した」とチョウ監督。1500人近い人数で大挙して押し寄せた緑と青のサポーターを前に、難敵をアウェイで捻り潰す覚悟はできました。2年前にもこの舞台で死闘を繰り広げた両者の対峙は、間違いなく今節最注目カード。両サポーターが最高の雰囲気を創り出す中、ゲームはホームチームのキックオフでその幕が上がりました。


先にチャンスを創ったのは2分の千葉。中盤でボールを奪った町田也真人が縦へ送り、ケンペスがドリブルスタート。決定機になり得るカウンターに対応したのは丸山祐市。1人で遅らせ、戻ってきた宇佐美宏和との連携で追い込み、結果的にはゴールキックへ。「あそこで自分がうまく対応できたというのは、1試合のコンディションを確かめられたし、調子が良いのかなと思った」と丸山。3バックの中央に入った丸山のパーフェクトな対応で、まずは湘南がきっちり相手のチャンスを潰します。
すると、ここからは「リスクを冒す勇気を持ち続けること」を指揮官に刷り込まれている湘南のラッシュ。4分には永木亮太が右へ振り分け、宇佐美のクロスが中央にこぼれると、ウェリントンと競り合った兵働昭弘のクリアはゴールへ向かうも、岡本昌弘がファインセーブで回避。6分には相手のパスミスを大槻周平がかっさらい、菊池大介のミドルはクロスバーを越えましたが、果敢なプレスからのフィニッシュに沸き上がる湘南サポーター。6分には千葉もケンペスのミドルが枠の上へ外れるも、流れは完全にアウェイチームへ。
スタイル結実の始まりは「自分の持ち味はビルドアップ」と語る長身CB。11分、最後尾でボールを持った丸山は鋭いグラウンダーのクサビを縦へ。ギャップに落ちた武富孝介がターンして左へ流すと、菊池は運んで運んで優しく外へ。大外を回った三竿雄斗のクロスに合わせたのはウェリントン。パーフェクト。パーフェクト。これぞ"湘南スタイル"。5人の完璧な連動がもたらした先制弾。湘南が"らしさ"満載の崩しで1点のリードを手にしました。
14分も湘南。右サイドを上がってきた遠藤航のグラウンダークロスに、ニアへ突っ込んだ大槻のシュートはゴール右へ。21分も湘南。ボールを持った谷澤達也を3人で囲んで奪い切り、永木のロングドリブルで獲得したCK。三竿のキックは岡本のパンチングに遭いましたが、CKへの流れを創った守から攻への切り替えは抜群。23分も湘南。一度跳ね返されたボールを大槻が拾い、宇佐美と遠藤を経て、こぼれに走り込んだ菊地俊介のミドルは枠を越えるも、「向こうは守った所からの攻撃が非常に速くて、その違いが非常に出ていたかなと思う」と鈴木淳監督が話したように、何とか水際で耐える千葉を攻め立て続ける湘南。
28分に再び揺れたゴールネット。秋元陽太が蹴ったゴールキックの流れから永木が左へ流すと、菊池はドリブルで仕掛け、一度は天野貴史に奪われ掛けたボールも再び強奪して縦へ短く。回った武富のクロスがファーまで届くと、そのポイントへ50m近い距離を全速力で駆け上がってきたのは宇佐美。叩いたヘディングはファーサイドへゆっくりと吸い込まれるファインゴール。1点目に関わったパスの正確さを指揮官に賞賛された菊池が、ここも丁寧なショートパスでゴールを演出。0-2。点差が広がりました。
「なかなか最終的な所まで入れず、サイドを変えても数的優位の状況が創れない」(鈴木監督)千葉に、ようやく到来した決定的なシーンはやはりセットプレー。兵働のピンポイント左CKをケンペスが当て切ったヘディングは、しかし湘南のGK秋元陽太が驚異的な反応で弾き出し、カバーに入ったウェリントンが懸命にクリア。千載一遇のチャンスを生かせなかった千葉と、前半最大の危機を乗り切った湘南。
格言の証明。勢いで優った後者の追加点は32分。前線で収めたウェリントンが右へ流し、遠藤のアーリークロスは中央でこぼれるも、いち早く反応したのは大槻。きっちり繋いだボールに菊地が飛び込むと、こぼれたボールに反応したウェリントンは難なくゴール左スミへ流し込みます。一番シビアなゾーンでも反応で上回ったのはすべて湘南。「ピンチの後にチャンスあり」はやはり。早くも点差は3点に。
「いつも通りたくさん点を取っても関係なく攻めるというのが自分たちのスタイル」と丸山。4度目の歓喜は3度目の2分後。34分、右サイドで宇佐美の出した縦パスへ走った遠藤は、体勢不利も競り合った井出遥也をふっ飛ばしてボールを収め、ゴールラインと並走しながらクロス。懸命にDFがクリアしたボールへ、ここも真っ先に反応した遠藤が自ら左足を振り切ると、DFに当たってコースの変わったボールは岡本も弾き切れず、そのままゴールネットへ吸い込まれます。沈黙のフクアリに響くアウェイゴール裏の大合唱。0-4。信じられない数字がスコアボードに浮かび上がります。
一向に手を緩める気配のない緑と青。39分、永木を起点に菊地が右へ展開し、遠藤のこれまた絶妙のアーリークロスへ大槻が合わせたヘディングはわずかにクロスバーの上へ消えるも、決定機逸に本気で悔しがる複数人の緑と青。44分には千葉も兵働の縦パスにケンペスが抜け出しましたが、2点目同様に全速力で戻った宇佐美が完璧なカバーリングでスイープ。確かに数字上で考えれば想像を超えたスコアではあるものの、おそらくは両者のパフォーマンスを正確に映し出したそれがこのスコア。湘南が4点をリードして、最初の45分間は終了しました。


何とかファイティングポーズを取り直したいホームチーム。鈴木監督もハーフタイムで交替に着手。町田に替えて送り込むのは、負傷から復帰したばかりの山中亮輔。ケンペスの下には右から谷澤、井出、山中と並べ、「苦しい展開だが、諦めずに自信を持って後半に入ろう」と選手をピッチへ送り出します。
ただ、後半への決意を開始早々に表明したのも湘南。永木が小さく出したキックオフを、武富は後ろへ下げずに前へ持ち出すと、ウェリントンヘ。いったんはクリアされたボールを大槻が奪い返し、ウェリントンのミドルは岡本にキャッチされましたが、その間わずかに25秒。「取られたら追い掛けない選手は僕の中では何があってもダメ」というチョウ監督の選んだ11人に迷いなし。
47分には千葉も兵働のパスから、軽快なステップでマーカーを外した井出が枠内シュートを放つも秋元がしっかりキャッチ。48分には三竿とのパス交換から菊池がアーリーを放り込み、宇佐美の折り返しを大槻が狙ったシュートはDFのブロックに遭うも、左右に揺さ振ってフィニッシュを取り切ると、直後の"揺さ振り"はそのまま咆哮へ。50分、湘南が右サイドから入れたスローインは一旦相手に渡るも、中村太亮のドリブルを宇佐美がかっさらって鋭いクロス。ニアで大槻が潰れ、ファーへ流れたボールを倒れ込みながらゴールへ送り届けたのは菊池。「正直狙っていた」という3試合連続ゴールは、前日に迎えた誕生日を自ら祝うメモリアル弾。期せずして起こった湘南サポーターによるバースデイソング。0-5。終わらない湘南のフィエスタ。
「選手も思った以上に試合の中で相手の切り替えの速さを感じたんじゃないかなと思う」と鈴木監督。55分には山中のパスから、個でも奮闘していた井出が1人かわして中へ折り返すも、天野のミドルはイケイケのチームの中で「リスク管理をこまめに90分間通してやり続けている」と語る丸山が体でブロック。58分には菊池が、62分にはウェリントンが相次いで岡本にファインセーブを強いる枠内ミドルを。緩まない湘南。変わらない流れ。
63分に右SBを天野から竹内彬に入れ替えた千葉は、65分にケンペスが左足で狙ったミドルもゴール左へ。69分には決定機。井出を起点に山中がスルーパスを裏へ通すと、3列目から飛び出した山口慶のシュートは枠の右へ外れるも、若い2人の力で流れの中からはこの試合最大のチャンスを創出。72分には既に1枚目のカードとして藤田征也を送り込んでいた湘南が、大槻と中川寛斗をスイッチ。千葉も最後のカードとして森本貴幸をピッチへ解き放ち、ゲームは最後の15分間へ。
77分に藤田が右サイドで基点を創り、ウェリントンと菊池が絡んでこぼれたボールを菊地がループで狙い、わずかにクロスバーの上へ外れたシーンを経て、79分にチョウ監督が最後のカードとしてCFへ投入した梶川諒太も短時間で一仕事。81分、その梶川はカウンターから溜めて溜めて右へ。パス自体はキム・ヒョヌンに引っ掛かりましたが、強引に体をねじ込んでボールを奪った武富は、そのまま右足を素早く振り抜いてゴール右スミへ丁寧にフィニッシュ。ピッチイン直後のファンタジスタが舞い、この日は黒子に徹していたストライカーが一刺し。1点目とは対照的ながら、これも"らしい"ゴールと表現して差し支えない一撃は、祝宴を締めくくるのにふさわしい6点目。「今日の試合の内容に関しては、15分ぐらいだったらザルツブルクと良い試合ができるかなっていう風にちょっと思いました」と、最近のフェイバリットクラブであるザルツブルクの名前を出した指揮官の言葉は、間違いなく最上級の褒め言葉。0-6という衝撃的なスコアで、湘南が千葉を粉砕する結果となりました。


実は2年前。同じスタジアムで両者は対戦しています。スコアは1-1でしたが、まさに手に汗握る好ゲーム。シーズン終了後に、弊社のオフシーズン企画でチョウ監督にスタジオへお越し頂いた際に、シーズンのベストゲームとして挙げられたのがまさにその一戦でした。会見で当時と今の違いについて問われたチョウ監督は、「2年前は千葉さんに対して良い意味でのチャレンジ精神だけでやっていて、それこそ相手に向かって行くことよりもどっちかと言ったらもう必死で頑張ってプレーするという90分だったと思うんです。でも、今日は選手が"迎え撃つこと"も"仕掛けること"もやれるメンタリティになったというか、それは僕が何かしたというのは全くないと思うし、本当に選手がそういう風に思えるようになったというのが答えの全て」だと。相変わらずの謙虚な発言ではあるものの、今シーズンから加わった選手が4人もスタメンに名を連ねるチームで、そのメンタリティが打ち出せているのは、丁寧に積み上げてきたスタイルが"本物"である証だと思います。
かつてJリーグにはこのチームと同じようなメンタリティとスタイルを持つチームが存在していました。イタリアワールドカップでユーゴスラヴィア代表をベスト8まで躍進させたサラエヴォ出身の名将が、やはりハードワークとハイリスクハイリターンをベースにこつこつと築き上げたチームは、獲得したタイトルの価値以上にそのスタイルへ浴びせられた賞賛を携え、リーグ史上屈指の好チームとして今でも語り継がれています。それでも、おそらくはかの名将が目指していた到達点には、まだまだ先があったであろうと。翻ってこの日の湘南を見ていると、そしてそのチームを率いる指揮官の言葉を聞いていると、今後の歩み次第であるいはあのチームが辿り着いた"その先"まで届いてしまうのではないかという期待を、部外者にすら抱かせてしまうような、そんな魔法の夜だったように感じます。ひょっとすると我々は、Jリーグ史にとって歴史的な90分間に立ち会えたのかもしれません。           土屋

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怒涛の5連勝は春の"突風"か、それとも当事者にとっては当然の"凪"か。圧倒的な数字でシーズンを滑り出した湘南と岡山の一戦はBMWです。
その明確に掲げたスタイルに共感する人が続出し、多くの人に惜しまれながら昨シーズンは無念の降格を経験した湘南。クラブの決断は4年前と同様に指揮官の継続。チョウ・キジェ監督に率いられ、三竿雄斗や菊地俊介などルーキーも早々に出場機会を獲得したチームは、ここまで1つの黒星もない5戦5勝と最高のスタートを。「スタイルの継続と言われているけど、実際は色々変えてるんだよ」と笑う指揮官の下、ホームでこの連勝を伸ばして、さらなる勢いに緑のサポーターと乗りたい所です。
2年連続で昇格プレーオフ圏内争いには絡んだものの、結果的にその目標へは手の届かなかった岡山。こちらも監督は就任5年目となる影山雅永が今シーズンも続投。継続性を武器に開幕を迎えましたが、富山に引き分けるとそこから悪夢の2連敗。ここまで勝ち点5の18位と、少し苦しい序盤戦を強いられています。会場は一気に冬の雰囲気が帰ってきたBMWスタジアム。気温14.6度という発表以上の寒さが会場を包む中、ゲームは湘南のキックオフで幕を開けました。


4分には永木亮太の左FKがゴール前を襲い、5分には永木と菊池大介を経由したボールから武富孝介が岡山のGK中林洋次にキャッチを強いるミドルを放つなど、手数は繰り出した湘南でしたが、その立ち上がりは少し慎重なもの。「今日は岡山さんがどういう出方をするかということを、ピッチの中で選手に判断してくれという話をしていた」とチョウ監督が言及したように、ケガ人などで相手の戦い方がやや不透明だったこともあって、まずはその判断を。時間にして約10分前後は見極める出方。
システムは一緒のミラーゲーム。相手の軸足はある程度守備に。見極め完了の狼煙は14分。丸山祐市が右からショートコーナーを繰り出し、受けた永木のパスを三竿がクロスに変えて放り込み、ここは中林にキャッチされるも、おそらくは練習通りのアタックが。直後も湘南。右のハイサイドへ潜ったウェリントンが落とし、永木が左へ送ったサイドチェンジを菊池が直接叩いたボレーは近藤徹志が体でブロックするも、流れの中からもチャンス創出。さらに、そのCKを左から丸山が蹴ると、ウェリントンの叩き付けたヘディングはワンバウンドしてわずかにクロスバーを越えましたが、明らかに湘南のギアが一段階上がります。
17分も湘南。シーズン開幕後に加入した藤田征也が右FKを入れると、DFのクリアを菊池が打ったシュートはDFがブロック。18分も湘南。右サイドのスローインから遠藤航と菊地俊介が粘り、最後は岡田翔平が至近距離から狙ったシュートは中林がファインセーブ。20分も湘南。菊地が左へ展開したボールを、菊池は右足でクロス。岡田のヘディングは枠の上に消えるも、「個でボールを運べる選手が揃っている所を止められなかった」と影山監督も話したように、個での前進をチームでの前進に昇華させていくスタイルで、さらに押し込む緑と青。
さて、シュートを打つこともままならず、忍んで耐える時間が続く岡山。「我々が攻撃に出る時にボランチを経由させてもらえなかった」とは影山監督で、実際にチームの生命線とも言える千明聖典と島田譲のレフティドイスボランチがボールを配るシーンはほとんどなく、入り掛けても湘南の3トップが果敢なプレスバックを遂行。これには遠藤も「3トップが切り替えて追って、またボールを奪い返してくれるとか、そういう所が今日も出ていたので、そういう所が失点が減っている要因でもあるのかなと思う」と明言。ウェリントンも積極的なチェイスでボールを奪うなど、守備意識は満点に近い出来。23分にはようやく掴んだCKのチャンスに、左から島田が打ち込んだボールを、林容平がうまく当てたヘディングもわずかに枠の右へ。得点の香りを漂わせることはできません。
29分にはDFの積極的な攻撃参加。左CBの三竿が菊池とのワンツーから左サイドを抜け出し、上げたクロスはGKにキャッチされたものの、「今日なんかは結構三竿君が上がっていたので、正直もうちょっと下がってくれよと思ってた」と遠藤も笑うほどの積極性をルーキーが披露。36分には右WBの藤田が岡田とのパス交換から中央へ切れ込み、エリア内まで上がってきていた菊地のシュートは中林が何とかキャッチしましたが、3列目の菊地も機を見て危険なエリアまで。39分にも永木のパスを引き出した菊池が、ドリブルからそのままクロスバーを越えるミドルにトライ。
41分には湘南乃風の真骨頂。岡田がハーフウェーライン付近で左へ振り分け、三竿がサイドを駆け上がると、一気にスイッチの入った黄緑の戦士。矢印をすべてゴール方向へ向け、相手陣内に殺到した湘南の選手は三竿も含めて8人。クロスはDFのクリアに遭いましたが、あの瞬間の迫力と勢いはまさに"湘南スタイル"と言っていいものだったと思います。
42分も湘南。菊池が左へ展開すると、三竿のクロスをウェリントンがヘディングで合わせたシュートはクロスバーの上へ。43分も湘南。三竿を起点に菊池は潰されるも、武富が中へ落としたボールを永木が狙ったミドルは枠の左へ。45+1分も湘南。ルーズボールを収めた岡田のドリブルシュートは中林がしっかりキャッチ。「三竿君とも話していたんですけど『上がったもん勝ちだ』と。それくらい後ろの3人も攻撃に対する意識があるので、そこはいい意味で続けていければいいと思う」と遠藤。シュート数は11対1。湘南が一方的に押し込んだ前半は、それでも「チャンスも創れてなくはないけど、決定的なチャンスがないような」(遠藤)45分間。スコアレスのままでハーフタイムに入りました。


後半はお互いにチャンスを創り合う立ち上がり。48分は湘南。藤田の右CKに飛び込んだ菊地のヘディングは、中林が丁寧にキャッチ。49分は岡山。左サイドから染矢が上げ切ったクロスを林が叩いたヘディングはわずかに枠の左へ。50分は再び湘南。武富、ウェリントンとボールが回り、藤田が放り込んだクロスを菊池がヘディングで狙うも枠の上へ。ミラーゲームの様相はアグレッシブに。
先に動いたのはチョウ監督。51分、岡田に替えて送り込んだのは大槻周平。好調をキープしているレフティの投入で、前線のパワーアップに着手。52分にはピッチ左、ゴールまで約25mの距離から永木が直接狙ったFKはカベに阻まれ、最後は中林がキャッチしたものの、ボルテージが自然と高まるホームのサポータースタンド。
「ちょっと愚直な感じ」とチョウ監督が評した、その"愚直"さが揺り動かしたスコア。53分、藤田の右CKは高精度。ニアでウェリントンが枠へ飛ばしたヘディングは中林もよく反応しましたが、このボールをきっちり押し込んだのは遠藤。平塚沸騰。「自分の中では相手がゾーンだったので狙っていた」とは殊勲の3番。「征也のボールに信じて入っていこうという話を昨日ずっとしていた」とは指揮官。色々な狙いが交錯し、結実。湘南が1点のリードを手にしました。
以降も攻め続ける湘南。54分、永木のリターンを受けた武富の左足シュートはクロスバーの上へ。56分、菊地を起点にここは"上がったもん勝ち"でオーバーラップした遠藤がクロスを送り、DFのクリアをそのままかぶせた菊池のボレーはクロスバーの上へ。58分、大槻のドリブルミドルはクロスバーの上へ。60分にも武富が、61分と62分にはウェリントンがいずれも枠外シュートへトライするなど、増え続けるシュート数。
「湘南が1点取った後に、我々が1点を返すパワーより、湘南のもっともっと出ていくというパワーが大きくなった」と判断した影山監督は、64分に最初の交替を決断。左WBの染矢に替えて、前節ゴールも決めているルーキーの片山瑛一を前線へ投入。石原を左WBへスライドさせて、「中盤付近でボールを拾えなくなってしまった」(影山監督)状況の打開策として、右から林、千明、島田とトレスボランチ気味に配した5-3-2にシステムを移行させ、バランスを再び整えながら同点機の到来を窺います。
すると、直後のFKを島田が際どい所へバウンドさせたボールは湘南のGK秋元陽太がキャッチしましたが、「ちょっと相手にボールを動かされる時間帯もあった」と遠藤が振り返ったように、少しずつ岡山も地上でパスが回るように。71分に島田が蹴った右CKはDFにクリアされるも好トライ。直後には片山がロングスローを続けて投げ入れ、2本目は島田が枠の左へ外すボレーまで。ようやく垣間見えた岡山の"形"。
75分には湘南も藤田の右クロスをウェリントンが撃ち下ろし、さらにそのボールへ反応した武富が頭に当てたボールは中林が抜群の反射神経でキャッチ。逆に76分には岡山にビッグチャンス。右サイドを駆け上がった久木田紳吾のクロスへ3人が殺到すると、抜けてきたボールに押谷祐樹が反応するもシュートは打ち切れず。ただ、流れの中から決定機の一歩手前まで創った岡山は、このタイミングで2枚替え。押谷と島田を下げて、三村真と加入後2試合目の登場となる上田康太を送り込み、一気に引き寄せたい流れ。
79分は湘南に2人目の交替。奮闘した藤田と宇佐美宏和を入れ替え、サイドにフタをしながら守備の安定にも着手。82分には宇佐美のクロスを菊池が頭で返し、武富はシュートを打ち切れず。88分には武富と帰ってきた中村祐也をスイッチさせ、最後まで攻め切る覚悟も鮮明に。
「あの時間帯でも走れるのは練習の成果」と胸を張る10番がもたらした熱狂。88分、右サイドでボールを持ったウェリントンが中央へ入ってくると、大外に開いた中村の内側へ全速力で突っ込んできたのは菊池。ウェリントンが最高のタイミングで出したラストパスを、ワンタッチで飛び出したGKの脇へ流し込むと揺れたゴールネット。「しっかり2点目を取りに行けて取れたというのは、1つ成長に繋がると思う」と遠藤。さらなるゴールへの渇望感をきっちり結果へ。湘南が決定的な2点目を奪い切ります。
「グループとして、チームとして同じ方向を向いて、最後2点目3点目を取りに行くという姿勢を貫けた」という指揮官の言葉に偽りなし。90+5分のラストプレー。菊池が左サイドから右足でクロスを放り込むと、ファーサイドで宇佐美が狙ったヘディングは枠の右へ外れるも、最後の最後まで目指した3点目。「我々こそが最初に土を付けようという意気込みで1週間トレーニングし、対策も練ったつもりでしたが、湘南さんが見事な戦いだったと思います」と影山監督も認めた湘南が、クラブ記録となる開幕6連勝をホームで達成する結果となりました。


前述したように離脱中の選手もいる状況を受け、「今我々が組める中で、チームとして湘南と戦っていけるだけのものを今週1週間見た中で決めたつもり」(影山監督)という布陣で臨んだ岡山でしたが、このゲームに関しては完敗と言わざるを得ない現実を突き付けられる格好となりました。ただ、逆にどの部分で屈したかは明確。「このまま湘南にやられたという思いを持ったままでいるのは悔しいですから、今度はホームの岡山の時には、ここまで走る湘南に対してもっと走って、"走る湘南"よりも"もっと走る岡山"を見せられるように努力していければ」という指揮官の決意に期待したいですね。
「新記録が掛かっている所で1つ壁を超えられたことは、『"過去最強の湘南"を創る』という意味でも大きな一歩かなという風に思う」と遠藤も話した湘南は、これで無傷の6連勝。今やどこが湘南を止めるのかが、J2最大の関心事になりつつあります。とはいえ、当事者たちは「彼らは肌感覚でJ1で通用した部分と通用しなかった部分が、脳裏に鮮明に残っていると思う」とチョウ監督も言及したように、見据えるのは昨年届かなかった部分への上積みと成長。それ故に「去年より僕らの質も上げられているなという実感はある」という遠藤の言葉も説得力と重みを増してくるわけです。6連勝の要因を問われ、「選手が自分たちの去年の悔しさを絶対に晴らそうという気持ちを年末からずっと持ち続けていますし、我々のクラブに加入した選手もいますし、全部選手の力だと思います。選手がそう思わないとそうはならないし、監督やコーチが何を言っても彼らがそう思わないと絶対にそうならないと思うので、100%選手の力だと思います」と言い切ったチョウ監督。湘南の6連勝は"突風"などではなく、あくまでも"凪"の中で淡々と、しかし確実に積み上げられたものだという印象を受けました。        土屋

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tochigi0330.jpg無敗の快進撃はさながら"イエローマジック"か。生まれ変わった北関東の雄がJ2の巨人を迎え撃つ一戦は栃木県グリーンスタジアムです。
同じ黄色をチームカラーとする昇格候補の千葉相手に快勝を収め、最高のシーズン開幕を飾った栃木。以降も横浜FC、京都とJ1経験者を向こうに回して勝ち点1ずつをもぎ取ると、前節は群馬を3-0と一蹴して北関東ダービーを完全制圧。阪倉裕司監督の下、得点ランク2位に付ける瀬沼優司がブレイクを果たし、ドゥドゥやイ・ミンスなど外国籍選手も早々にフィットするなど、これ以上ないチーム状況で元・J1王者をホームで待ち受けます。
まさかの降格から4ヶ月。大分でも実績のあるシャムスカ監督を招聘し、10年ぶりの国内復帰となった松井大輔やポポ、藤ヶ谷陽介といった即戦力を補強。1年でのJ1復帰が最大にして唯一の目標となる磐田。ところが、開幕戦は札幌にホームで黒星を喫すると、3連勝を狙った前節の福岡戦もホームで2点のリードを守り切れず、3-3という打ち合いの末にドロー。想像通りとなりつつある茨の道を切り開くためには、好調の栃木を叩いておきたいアウェイゲームです。スタジアムを包むのは試合前から降りしきる冷たい雨。15.7度という気温以上に寒さを感じる3月ラストゲームは、磐田のキックオフでスタートしました。


序盤のチャンスはセットプレーから。開始1分経たないFKは磐田。左から駒野友一が蹴り込んだボールを、フェルジナンドが頭に当てたボールはそのままゴールキックへ。6分のCKは栃木。近藤祐介が右から入れたボールがこぼれると、ワントラップで収めた大久保哲哉の左足シュートはゴール右へ。9分のFKは磐田。左からポポが速いボールを放り込み、松井のフリックに前田遼一がヘディングで突っ込んだ決定機は枠のわずかに左へ。10分のCKも磐田。一旦クリアされたボールを右から駒野が再び入れ直し、菅沼駿哉が頭で残したボールを前田が叩くも、栃木GK鈴木智幸がキャッチ。まずは両者に惜しいシーンが訪れます。
ただ、少しずつ押し込み始めたのは白いユニフォームを纏ったアウェイチーム。「普段組んでいるのとは違うフォーメーション」とシャムスカ監督も言及したように、ここまでの基本布陣だった4-2-3-1から、このゲームではフェルジナンドを中盤アンカーに置いた4-1-4-1へシフト。最前線に立った前田の後ろには右から山崎亮平、山田大記、松井大輔、ポポが並び、「我々が持っている質の高い選手を全員使おうと」(シャムスカ監督)、トライしたのは超攻撃的布陣。
「攻撃の時は流動的にチェンジしながら、相手がマークの付きにくい所にみんなそれぞれポジションを取ったり走ったり、そういう所をみんなできれば強いと思う」とは松井。22分にはその松井が左サイドで裏へ入れると、斜めに走り込んできた山崎は飛び出したGKをかわして中へ。前田に届きかけたボールはイ・ミンスが間一髪でクリアし、詰めたフェルジナンドのシュートもイ・ミンスがブロックしたものの、ビッグチャンスを創出。直後のCKから藤田義明が放ったわずかに枠の右へ外れるミドルを挟み、25分にも山田とのワンツーを敢行した松井のスルーパスから、山崎が打った決定的なシュートは鈴木智幸に阻まれましたが、「あの4人5人が攻撃の時にうまく絡んで行ければ、いい感じで攻められると思う」と語るキャプテンの松井を中心に、J2屈指のアタッカー陣がグリスタのピッチで躍動します。
さて、16分にドゥドゥがゴールまで30m近い距離から直接狙ったFK以降は、ほとんどチャンスらしいチャンスを創れない栃木。「押し込まれることは想定していたし、強い相手だということもわかって準備してきた」とは阪倉監督ですが、押し込まれる時間が長い中で手数を繰り出せず。この状況を「もう少し自分たちから動かしてという時間を増やそうと思っていた中で、キツかったらシンプルに前へというのはあったけど、受けに来る側と背後で欲しい側のギャップというのが一番良くない感じで出たなと思った」と振り返ったのは廣瀬浩二。守備時は4-1-4-1気味に、攻撃時は4-2-3-1気味になるチームの中で、特に前者の時間が長かったことで、1トップの瀬沼へのサポートも希薄になり、厚みのあるアタックを打ち出せません。
28分は磐田。前田が右へ振り分けたボールをポポがヒールで落とし、駒野の鋭いクロスは鈴木智幸が何とかキャッチ。31分も磐田。高い位置でボールを奪った山田がそのまま打ち切ったシュートはDFが何とかブロック。33分も磐田。アバウトな長いボールを山崎がしっかり収め、最後はポポが枠に飛ばした強烈ミドルは鈴木智幸がファインセーブで回避。「もっと攻撃的にしたかった」という指揮官の狙いを体現し続ける名門の圧力。
結実は36分。右サイドで駒野が縦に付けたボールを、松井は華麗にヒール。走り込んだ山田が小野寺達也に倒された位置はペナルティエリアの中。磐田にPKが与えられます。キッカーは前節こそ前田に譲ったものの、今回は「自分でボールを取りに行ったので蹴りたいなと」話した松井。ゆっくりとした助走から「GKをちょっとだけ見て、あまり動かなかったけど冷静に動かない方に蹴るという感じ」で蹴ったボールは見事にGKの逆へグサリ。「何とか崩されながらも凌いでいてのPK」(廣瀬)は栃木にとっても大きなダメージ。ゲームリズムのままに磐田が1点のリードを奪って、最初の45分間は終了しました。


後半も最初のビッグチャンスは磐田。47分、おなじみポポキャノンは一旦DFに当たったものの、こぼれたボールは松井の下へ。素早く放ったシュートは鈴木にキャッチされましたが、いきなりの好トライに沸き立つアウェイゴール裏。ところが、「後半の立ち上がりは栃木も良かった」と廣瀬が振り返った通り、48分に近藤が巧みに出した浮き球のラストパスはオフサイドとジャッジされるも、前半は漂わなかったゴールへの可能性をわずかに覗かせると、直後に訪れた千載一遇の同点機。
50分、後方へのバックパスを処理した藤ヶ谷はまさかのキックミス。至近距離で拾った廣瀬は1対1に。「凄く冷静に落ち着いていて、脇へ流し込もうと思っていた」キャプテンのシュートは、しかし自ら責任を取る格好で藤ヶ谷がファインセーブ。舞い込みかけた幸運を生かし切れなかった栃木。スコアボードの数字に変化は訪れません。
「相手に押し込まれて、苦しいながらもクリアしたボールをマイボールにできないシーンがほとんど」(廣瀬)だった前半に比べれば、ややボールを持つ時間も出てきた栃木に対して、ややリズムを抑えられた磐田のチャレンジはミドルゾーンから。54分にはフェルジナンドを起点に、ポポの左カットインミドルは鈴木智幸がキャッチ。56分にもポポと山田を経由して、フェルジナンドが左足で狙ったミドルは枠の左へ。58分にもゴール左、約25mの距離からポポが直接狙ったFKは枠の左へ。お互いに決定的なシーンには至らないまま、進んでいく時計の針。
先に動いたのは60分の阪倉監督。右サイドで守備に追われる時間の長かった湯澤洋介に替えて、永芳卓磨を投入。永芳は小野寺と並んでドイスボランチの一角に入り、廣瀬を右SHへスライドさせて狙う同点と逆転。シャムスカ監督も相次いで交替策を。62分には先制弾の松井と小林祐希を、65分には前田と金園英学をそれぞれ入れ替える攻撃的な采配。王国の指揮官に1点差で逃げ切るつもりは毛頭ありません。
71分には磐田に決定的な追加点機。金園、山田とボールが回り、ポポは右サイドへ丁寧なラストパス。受けた金園は右足を振り抜きましたが、ボールは果敢に飛び出した鈴木智幸に当たって枠の左へ。金園の悔しさを滲ませた表情が、しかし満面の笑みに変わるのはその直後。左から駒野が蹴ったCKを、菅沼がきっちりヘディングで折り返すと、ゴールに背を向けて収めた金園は鋭いターンから左足一閃。ボールは栃木の選手をすり抜けて、ゴールネットへ飛び込みます。「結果を残していかないと試合に出ることはできない」と危機感を顕わにするストライカーの貴重な一撃。とうとう点差が広がりました。
76分には印象的なシーンが。磐田が高い位置でボールを失い、攻撃から守備へと切り替えるタイミングで、相手のパス回しに対してテクニカルエリアのシャムスカ監督は、山崎に大きなジェスチャーで"戻れ"と合図。これに呼応した山崎は、全力のチェイスで相手のフィードをブロックして、スローインへボールを切ります。このワンプレーに指揮官は大きな拍手。今の磐田を貫く規律と信頼が垣間見えた瞬間でした。
76分にイ・ミンスと鈴木隆雅を、84分に近藤と久木野聡をそれぞれ入れ替え、何とかホームで1点を返したい栃木でしたが、83分に山形辰徳が左から蹴ったFKは、いい位置に飛ぶもDFに当たってわずかにゴール右へ。90+1分にチャ・ヨンファンのフィードを大久保が落とし、瀬沼に到来した決定的なラストチャンスも、右足で振り抜いたボールが突き刺さったのはサイドネットの外側。「我々の目標は5試合で勝ち点10だったので、今日の試合は非常に大切だった」とシャムスカ監督も明かした磐田が勝ち点3を積み上げ、最初の5試合で掲げた目標をきっちりと達成する結果となりました。、


「今日の試合に関しては完敗なのかなと思う」(阪倉監督)「技術の差は凄く出ていたし、ファーストタッチの差が凄く出たなと思う」(廣瀬)と2人が話したように、このゲームからは非常に厳しい結果と内容を突き付けられた栃木ですが、「たらればですけど」と言いながら、「僕が後半の相手のミスをしっかり1-1にしていれば、絶対に状況は変わった」と続けた廣瀬の言葉も確か。流れを引き寄せる潮目もなかった訳ではありませんでした。「3月の5試合を通じて、いい守備からいい攻撃をすることはかなりあった」と指揮官も認めた通り、開幕5試合という観点で考えれば上々のスタートを切ったことは間違いない所。この5試合が"マジック"ではなかったことを証明するための4月攻勢は、次節から幕を開けます。
「フォーメーションに関してはその都度考えて使い分けていきたい」とシャムスカ監督も明言した磐田は、新システムの4-1-4-1も一定以上機能した印象。特に前述した「我々が持っている質の高い選手を全員使おうという意図」(シャムスカ監督)を反映しながら、今シーズン初の完封を達成したことも今後への大きな収穫と言えそうです。「まだまだ完成度は低いけど、やりがいのあるフォーメーションかなと思う」と4-1-4-1を評したのは松井。勝ち点3の獲得に加え、戦い方のバリエーションも広がった3月ラストゲームは、磐田にとってターニングポイントになり得るゲームだったのかもしれません。       土屋


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yokohama0322.jpgトップディビジョンの味を知る者同士の直接対決。3試合を終えて、勝ち点5の9位と勝ち点4の10位という拮抗した両者の一戦は三ツ沢です。
愛媛との開幕戦、続く栃木との第2節と共にドロー。"無敗"と"未勝利"を懸けて臨んだ前節は、富山相手に先制を許しながらも、野上結貴とドウグラスというCBコンビの2ゴールで逆転勝利を挙げ、3戦"無敗"となった横浜FC。南雄太、ドウグラスと守備のセンターラインも確実にチームへフィットし、ボランチは松下年宏と魂の男アン・ヨンハが2節以降はコンビを結成して安定感をもたらすなど、新戦力もうまく融合しつつある状況で、さらなる無敗継続と連勝を目指します。
16年ぶりに雪深き地へ帰ってきた石崎信弘監督に率いられ、株式会社化へ踏み切った年に4年ぶりのJ1復帰を果たすべく、クラブとしても新たな一歩を踏み出した山形。アウェイで湘南に挑んだ開幕戦こそ敗れたものの、続く"石崎ダービー"となった札幌とのアウェイゲームは勝ち点1を奪取。迎えた前節はここまでのJ2で最も話題を振り撒いていた岐阜相手に、3-1と地力を見せ付ける快勝。昇格候補の称号を不動のものにするべく、敵地に乗り込みます。よく晴れた青空とは対照的に冷たい風が吹き付けるピッチとスタンド。まだまだ冬の気配の残る三ツ沢での一戦は、山形のキックオフで幕を開けました。


「最初の15分くらいまではいい形でシュートまで行けていた」とキャプテンマークを巻く宮阪政樹が振り返ったように、好リズムで立ち上がったのは山形。2分に萬代宏樹の落としからディエゴがボレーで叩いたボールは大きく枠の右へ逸れたものの、まずは前線のユニットでフィニッシュまで。7分には横浜も松下のパスから寺田紳一が枠内ミドルを飛ばし、山形のGK清水健太にキャッチを強いるも、8分には再びアウェイチーム。左サイドを上がってきた舩津徹也のアーリークロスへ、逆から入ってきた中島裕希のヘディングは当たらず南がキャッチ。12分にもディエゴの右FKから、こぼれを再びディエゴが中央へクロスを上げるなど、山形が積極的に立ち上がります。
この攻勢の一翼を担っていたのは、3年ぶりにJリーグへと復帰したディエゴ。「攻め残りしていて下がらず、攻撃にとって効果的なポジションに常に残っている」とそのブラジル人アタッカーを評したのはアン・ヨンハ。守備もそこそこに攻め残る分、ボールが入った時にスイッチとして機能する役割は抜群。ここへオーバーラップを繰り返すSBの山田拓巳も効果的に絡み、右サイドを中心に山形が強める攻勢。
さて、なかなかサイドの主導権も取れずに守る時間の長い横浜でしたが、「前節は早い時間帯に失点してしまったので、立ち上がりの10分間は集中して入ろうと言っていた」とアン・ヨンハ。その10分間を凌ぐと、膠着した展開の中で少しずつ攻撃の可能性も見え始めた矢先に、相手のタックルで痛んでしまい、一旦はピッチへ戻ったもののやはりプレー続行が難しくなった松下が26分に負傷退場。「色んな選択肢があった」山口素弘監督は、交替で送り込んだ黒津勝をパク・ソンホと最前線に並べ、右SHの寺田をボランチへ。小野瀬康介を左SHから右SHへ、野崎陽介を1トップ下から左SHへそれぞれスライドさせ、4-4-2への布陣変更を施します。
"ケガの功名"とはまさにこのこと。交替直後の26分、ドウグラスが好フィードを前線に放り込み、黒津がワンタッチで落としたボールへ走り込んだのは小野瀬。エリア内で舩津ともつれて転倒すると、長谷拓主審はペナルティスポットを指差します。絶好の先制機に、キッカーとして名乗り出たのはPK獲得直後からボールを離さなかった小野瀬。下部組織育ちの20歳は冷静にGKの逆を付き、サポーターの目の前のゴールネットを揺らします。「あまりああいう所に行く子ではなかったので、少しビックリした」と笑った指揮官も、「メンタル面もプレー面も逞しくなってきた」と認める小野瀬の先制弾。投入されたばかりのストライカーと逆サイドへスライドしたSHの連携で、苦しんでいた横浜がスコアを動かしました。
悪くない流れの中でビハインドを追う形となった山形。31分には宮阪が左へ捌き、舩津を経由したボールを伊東俊がグラウンダーで入れたクロスは、DFとGKをすり抜けて枠のわずかに右へ。33分にも左サイドでの崩しから秋葉勝が左足で狙ったミドルは枠の左へ。「シュートに早く持って行こうという意識があまりにも強すぎたのかな」とは石崎監督。これに関して「相手が少しボールを持ったりファウルをもらいに来て、ちょっと緩んでしまった部分がある。攻撃というよりは守備が行けなくなってしまったので良い所で奪えなかったし、相手のゴールの近くで奪えなかったことでシュートを遠くからしか打つことができなかった」と宮阪。押し気味ではあるものの、決定機まではなかなか創れません。
45+2分には中島裕希が獲得したFK。中央やや左、ゴールまで約30mの距離から伊東が枠内ギリギリへ収めたボールは、懸命に体を伸ばした南がわずかに触り、左ポストへ痛烈にヒット。直後のCKも宮阪が続けて蹴ったキックは、横浜DFが続けてクリア。「前半はちょっと攻撃の所で攻め急ぎがあった」と石崎監督。山形がペースを握っていた最初の45分間は、横浜が1点をリードしてハーフタイムへ入りました。


後半はスタートから横浜が追加点への意欲を。46分に中島崇典が左から蹴ったFKへ、ドウグラスが飛び付くもシュートには持ち込めず。同じく46分も横浜。パク・ソンホのパスからゴールに背を向けた状態で黒津がクロスバーを越えるミドル。49分も横浜。相手のミスパスを奪った黒津がDF2人の間をぶち抜き、右足で放ったシュートは清水がファインセーブで回避しましたが、「ああいう選手がサブにいるというのもこのチームの強み」と南も評したレフティの躍動で、ホームチームが手数を繰り出します。
ただ、全体の構図としては膠着状態が続く中でも再度出てきた山形の勢い。52分には宮阪のサイドチェンジを起点に、秋葉が左足で狙ったミドルは枠の左へ。53分にも細かいパスワークから伊東のパスをディエゴが右へ振り分け、山田のクロスはDFのクリアに遭うも流れるようなアタックを。54分にもディエゴが左へ回し、舩津のクロスを萬代は頭に当て切れませんでしたが、「相手も2トップになったので、ウチのCBと自分が下がって回せればいいと思った」という宮阪を中心に、ボールを動かしながら相手ゴールへと迫る黄色のイレブン。
57分に鋭いターンから小野瀬が、60分には右からのカットインで中島裕希が、それぞれ枠外シュートを放って迎えた62分。歓喜のスタンドは青白。萬代が右へ落としたボールを秋葉は素早くクロス。ここに入ってきたのは前半の内に伊東と左右を入れ替えていた中島。頭でしっかりヒットしたボールはゴール右スミへ突き刺さります。同点弾のキッカケはやはり前半から優位に立っていた右サイド。後半は特にボールをよく引き出していた中島の一撃で、スコアは振り出しに引き戻されました。
64分には左から舩津が投げたロングスローが中央へ流れ、中島裕希が丁寧に渡したボールもディエゴのボレーはヒットせず南がキャッチ。「後半もずっと押し込んでいたと思う」と石崎監督も語った通りにゲームリズムは山形。「苦しく我慢しなくてはいけない時間帯」(アン・ヨンハ)を強いられる横浜。
「必ず来ると信じていた数少ないチャンス」(アン・ヨンハ)の到来は70分。相手の縦パスを果敢にインターセプトしたドウグラスはそのままドリブル、ドリブル。右サイドを駆け上がりながら、「最後の力を振り絞って」巻き気味にDFラインの裏へ絶妙なラストパスを送ると、走った黒津は寄せたマーカーを巧みにかわし、利き足とは逆の右足でフィニッシュ。ボールはゴールネットを確実に揺らします。「ここの所のトレーニングゲームでもそういう動きを見せてくれた」と山口監督も振り返った動き出しで勝負あり。「ハーフタイムに『彼は左利きでなので、だいたい左足に切り返すから』という話を与えていた。ただ、黒津が上手かったですね」と、川崎時代の教え子を称えたのは敵将の石崎監督。再び横浜が1点のアドバンテージを手にしました。
残された時間は20分。71分に山口監督がパク・ソンホとホナウドを入れ替えると、ここから一気に動いた両ベンチ。石崎監督も75分に伊東と山﨑雅人を、79分に萬代と川西翔太をそのままの位置に送り出し、81分には両指揮官が共に3人目の交替を決断。山口監督は小野瀬を下げて佐藤謙介を右SHへ投入。石崎監督は秋葉を下げてロメロ・フランクをピッチへ解き放ち、宮阪をワンアンカー気味に残す4-1-4-1気味の布陣で最後の勝負に打って出ます。
83分は山形のビッグチャンス。ロメロ・フランクのパスを山﨑がダイレクトで返すと、角度のない位置からロメロ・フランクが左足アウトで放ったシュートは南がファインセーブ。85分も山形のビッグチャンス。山田が右から最高のクロスを蹴り込み、山﨑がドンピシャで枠へ収めたヘディングは、ここも南がファインセーブ。「守備機会がこのチームは本当に少ない。特に今までの3試合はほとんど自分が止めるシーンはなかった」という守護神が、この大事な局面でゴールマウスに掛けた強固な鉄鍵。同点ゴールは許しません。
「もうちょっとラインを上げたかったけど、どうしても相手もクロスが多くなってきて早めにラインを下げてしまった」(南)状況下でも、「左右に振られていたけど、そこをサボらずにしぶとく何度も何度もスライドして、ポジションチェンジをしながらやろう」(アン・ヨンハ)という意識は徹底されていた横浜。89分のFKも、直後のCKも集中力を切らさず確実にクリア。90分に宮阪が1人外して叩いたミドルも南ががっちりキャッチすると、それがこのゲームのファイナルシュート。ホイッスルの瞬間にベンチも含めて全員が突き上げた拳。「昇格を狙っているようなチームに勝てたので、次に繋がると思うし、繋げていかないといけないと思う」とアン・ヨンハも話した横浜が、開幕からの"無敗"継続と連勝を手にする結果となりました。


「ある時はカウンター、ある時はボールを動かして崩していく後半のようなサッカーをしていく。それが選手の中で判断できるようになっていかなければいけない」と石崎監督も言及したように、特に後半は主導権を持ってゲームを進めながら、持ち帰れる勝ち点はゼロに終わった山形でしたが、「拮抗しているのはわかっているので、勝ち負けの部分は紙一重」という南の言葉を持ち出すまでもなく、上位を狙える力を十分に有していることを証明する90分間だったと思います。あとは「ゴール前でのアイディアや精度はもっともっと上げていかないと」と指揮官も触れた最後の局面。今後の積み上げに要注目ですね。
ホームで勝ち点3をもぎ取った横浜で印象的だったのは2人のベテランの言葉。「山形が強いのはわかっていたから逆に楽しみだった。それぐらいこのチームがやれるなという手応えもあったから」と南が話せば、「ディエゴ選手は非常にクオリティの高い選手だし、そういう選手とマッチアップできるというのは喜ばしいこと」とはアン・ヨンハ。2人のプレーや発言からはこのレベルでの戦いに身を置ける喜びがヒシヒシと伝わってきました。とはいえ、最後に「2勝2分けと良い形で序盤のスタートを切れていると思うので、継続と少しずつ上乗せをしていかないと」と気を引き締めた南。『サッカーを楽しむ』ベテランが支える"ヨコハマ"が、今シーズンのJ2の中心部分へ着々と侵食し始めています。        土屋

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銀色に輝く聖杯を懸け、聖地で刃を交えてから4ヵ月と少し。一方は連覇を、一方はリベンジを誓い、再びトライするこの舞台。会場は10年ぶりの日立台です。
優勝候補との呼び声も高かった各方面からの下馬評とは裏腹に、迎えたリーグ戦はここまで2分け1敗と未勝利。システムや配置への戸惑いも選手から窺え、やや難しいシーズンの立ち上がりを強いられている柏。ディフェンディングチャンピオンとして臨むこの大会で初勝利を奪い、週末からのリーグ戦に勢いを付けたい一戦です。
リーグ連覇中の広島とアウェイで対峙した難しい90分間を制し、ここまでのリーグ戦は2勝1敗と上々のスタートを切った浦和。昨年からメンバーに大きな変化はなく、最後尾に加わった西川周作も問題なくスタイルにフィット。昨年はファイナルで苦杯を嘗めた柏をオープニングゲームで叩き、11年ぶりの戴冠へ弾みを付けるべくアウェイゲームに挑みます。会場は前述した通り、このカードでは実に10年ぶりの開催となる日立台。黄色に染まったスタンドの一角に、確かな存在感を放つ赤の一団。双方のサポーターが大声で自らのチームを後押しする中、浦和のキックオフでゲームはスタートしました。


ファーストシュートは浦和。3分、中央を原口元気が得意のドリブルで切り裂き、そのままクロスバーの上へ外れるミドル。6分も浦和。柏木陽介の左FKを李忠成が頭で残すと、こぼれを叩いた梅崎司のボレーはDFがブロック。7分も浦和。柏木が右から蹴り込んだCKに、槙野智章が合わせたヘディングは薄く当たってしまい枠の左へ。さらに9分も浦和。柏木の左CKにニアで阿部勇樹が飛び込んだヘディングはクロスバーの上へ。セットプレーも数多く獲得したアウェイチームが勢い良く立ち上がります。
リーグ戦未勝利という状況を受け、ここ3試合で採用していた4バックから3バックへと変更したネルシーニョ監督。「3バックはしばらくやっていなかった部分もあるし、細かい確認はミーティングでしかできなかった」と大谷秀和が話したように、どちらかというと守備面よりも攻撃面で序盤はなかなか感覚を掴めなかった様子。とはいえ、14分にはその大谷が左サイドの裏へ落としたボールを、走り込んだ橋本和はマーカーと入れ替わってカットインから右足でシュート。ここは西川がファインセーブで阻み、こぼれを狙った高山薫のシュートも西川がキャッチしましたが、左サイドから1ついい形を。15分にもやはり左サイドで橋本が縦へ入れたボールを、田中順也が巧みなトラップで縦へ運び、クロスは阿部がクリアしたものの、左サイドから創り出した2回のチャンス。
堂々たる中央突破がもたらした歓喜。沸騰したのは赤。17分、柏木の縦パスを李はワンタッチではたき、受けた宇賀神友弥は短いドリブルから思い切ってミドル。DFに当たったボールは左ポストを直撃しますが、こぼれにいち早く反応した梅崎が押し込んだボールは、菅野孝憲もわずかに及ばず、ゴールラインをゆっくりと越えていきます。古巣対決に燃える李のワンタッチフリックで勝負ありの感も。大サポーターを追い風に浦和がまずはスコアを動かしました。
さて、ビハインドを追い掛ける格好となった柏は「キャンプからずっとやってきたことを、試合をやりながら思い出してやっていた」と工藤壮人。ビルドアップ時は大谷が左SBの位置に落ちて、「4-1-4-1みたいな形」(大谷)で攻める中、システム的に空きがちな2列目に並ぶ"4" のアウトサイドが攻撃のキーマン。事実、20分には大谷を起点にレアンドロが右へ回すと、加速しながらマーカーを振り切った高山薫のフィニッシュは西川の正面を突きましたが、惜しいシーンを右WBが演出します。
とはいえ、大谷も「ああいうレベルの相手にやられることがあるのは仕方ないこと」と認めたように、攻撃のコンビネーションは浦和のスムーズさが上。28分には梅崎、原口、李と細かく繋がり、エリア内へ侵入した原口のドリブルは、近藤直也が決死のタックルで掻き出しましたが、33分にも右サイドで張った関口訓充が絶妙のコースと強さで梅崎へ。えぐった梅崎の折り返しに飛び込んだ原口のシュートは鈴木大輔がブロックしたものの、"らしい"アタックで虎視眈々と狙う追加点。
守備に追われる時間の長い2シャドーと1トップの距離も開いてしまい、なかなか攻撃の手数を繰り出し切れない柏の突破口はやはり"4"のアウトサイド。38分には工藤、田中と繋いで橋本が上げた左クロスへ、ファーで突っ込んだ高山のヘディングはクロスバーを越えるも、両アウトサイドでフィニッシュまで。41分に田中とのワンツーで左サイドを抜け出した橋本のクロスは永田充がクリアするも、イメージはしっかり共有。すると、1分後にデジャヴのようなシーンが。再び左サイドを田中とのワンツーで抜け出した橋本は丁寧に中へ。エリア内でのルーズボールにレアンドロとハン・グギョンが絡み、レアンドロがシュート体勢に入り掛けたタイミングで、柏木が後方からタックルを敢行すると、倒れたレアンドロを確認した岡部拓人主審はPKを宣告します。キッカーは田中。弾丸を籠めた左足を持つ男の選択は、西川を向かって左へ倒した上でのチップキックをど真ん中へ。「真ん中がGKも一番イヤかなと思って」という18番の冷静な同点弾。「前半で追い付けたことは後半の45分に向けても大きかった」と大谷。スコアは振り出しに引き戻されて、最初の45分間は終了しました。


後半はスタートから浦和に交替が。ネルシーニョ監督も「前半のワタルは途中から順也と絡みながら、単純なプレーだが相手の脅威になってクロスまで持っていった」と話したように、前半の終盤に同じ形で続けて2度自サイドを破られた関口に替えて、濱田水輝を右CBへ投入。森脇を右WBに上げる配置転換を施します。
「前と後ろが離れないというのは意識している」という大谷の話と共に、「4-4-2で少し距離感が空いたのもあって、3バックにしたことで前と中盤との距離は凄く縮まったかなと思う」と語ったのは渡部博文。ある程度は相手にボールを持たれる中でも、後半は前半よりコンパクトさを何とか堅持する柏。57分には槙野がゴールまで約25mの距離から枠へ飛ばしたFKは菅野がファインセーブで回避。60分にも原口、阿部と繋がったボールを一旦は奪った高山がロスト。阿部が至近距離から放ったシュートは、しかしここも菅野がファインセーブ。「ミラーゲームという五分の戦いをピッチ上で選手たちは見せてくれた」とネルシーニョ監督。保たれる均衡。続く膠着。
63分も浦和。槙野が左サイドを独力でぶっちぎって中へ折り返すと、最初のシュートをDFに当てた梅崎が、リバウンドを再び打ち切ったシュートは菅野がファインセーブで仁王立ち。70分も浦和。細かいパスワークが飛び出し、梅崎を経由したボールを原口がミドルレンジから狙うもわずかにクロスバーの上へ。72分も浦和。柏木の左FKに飛び込んだ濱田は頭に当て切れませんでしたが、手数の多さは浦和。赤一色のサポーターも人数以上に聞こえる国内屈指の大音量を夜空に轟かせ、負けじと黄色いサポーターも大音量で自らの戦士をサポート。会場のグングンと熱気を帯びていきます。
73分に菅野の素早いゴールキックから、田中が右足ミドルを枠内に飛ばし、ようやく後半のファーストシュートが記録されたホームチーム。とはいえ、「1-1だったし、焦ってリスクを負って行く必要もないのかなと個人的には思っていた」と振り返ったのは工藤。続けて「チームとしても行く所と行かない所はチーム全員で意識を統一して、やらなきゃいけないというのは監督もおっしゃっている」とも。"行く所"と"行かない所"のチーム内で共有された機微。
79分、驚異的な運動量で獅子奮迅の活躍を見せていたハン・グギョンが宇賀神と接触しながらボールカット。岡部主審のホイッスルは鳴らずに柏のカウンター。工藤がCKを奪うも、判定に不満の槙野は異議によるイエローカードを受けてしまいます。確かに微妙なジャッジでしたが、当然覆ることはなくCKでゲーム再開。キッカーの田中が左足を振り抜くと、そのボールを高い打点のヘディングで捉えたのは「セットプレーが鍵になると思っていた」渡部。揺れたゴールネットと黄色いサポーター。「今日は狙ってました」という今季公式戦初出場の23番が大仕事。後半2本目のシュートでスコアは引っ繰り返りました。
一転、ビハインドを追い掛ける格好となった浦和は、86分に宇賀神に替えてルーキーの関根貴大を投入。86分にDFに当たってコースの変わったハン・グギョンのミドルを西川がファインセーブで阻止すると、88分には梅崎と矢島慎也も入れ替え、若い力に同点への意欲を託します。
90分は浦和。左から柏木が上げたアーリークロスを関根がフリックすると、走り込んだ永田充のヘディングは枠に収まるも菅野がしっかりキャッチ。90+1分、エリア内右サイドでDFともつれた槙野が転倒すると、岡部主審はPKではなくシミュレーションと判断し、イエローカードを提示。既に1枚もらっていた槙野は退場処分を余儀なくされてしまいます。90+3分に交替出場したばかりの茨田陽生が決定機を逃し、90+5分に原口が枠の右へ逸れるボレーを放ち、程なくしてピッチへ響いたタイムアップのホイッスル。「失点するといつもちょっと良くない雰囲気になる所を、何とか引っ繰り返したという所はチームとしても評価したいなと思うし、この勝ちというのは相当デカいなと思う」と工藤も話した柏が、2014シーズンの初勝利をホームで収める結果となりました。


「私の見解を言わせてもらえば、我々の方がピッチの上ではベターなチームだと思っている」とペトロヴィッチ監督も話した浦和は、確かに強かったと思います。大谷も「相手も本当に力があるし、コンビネーションも2人目3人目と本当にスムーズにやってくる」と認めた通り、梅崎、原口、李の3人が織り成すコンビネーションは十分な完成度。やや判定に泣かされた印象もありましたが、リーグもナビスコカップも間違いなく頂点を狙える力を備えていることを証明する90分間でした。
「攻守のメリハリがハッキリしていたと思うので、3バックの形というのは少しずつまた見えてきたのかなと思う」(渡部)「また1つ3バックの戦い方という所の自信を付けた1試合だったと思う」(工藤)と2人が声を揃えたように、トータルでは劣勢の時間も長かった中、久々のシステムで勝ち切ったことが柏にとってポジティブな成果だったのは間違いありません。「守備の選手は我慢しながら守ってくれていたし、結果的にセットプレーの2点ではあるけど、それ以外でもチャンスは創れていたので、いい場面に目を向けながらやっていければいいのかな」と大谷。太陽王の逆襲はこの日立台からスタートします。          土屋

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