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J SPORTS J.LEAGUE

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DSC_0099.JPG一段と冷え込み、いつ雨が降り出してもおかしくはない天候の中で行われた2014Jリーグヤマザキナビスコカップ決勝。前年まで聖地・国立で繰り広げられていた熱戦は、埼玉スタジアム2002へ舞台を移した。
リーグ2連覇のサンフレッチェ広島は主力選手が移籍。1からのチーム作りとなった今季はリーグ戦で苦戦を強いられているが、今大会では初優勝を狙う。そして7年ぶり2度目の優勝を狙うガンバ大阪はJ1復帰1シーズン目。リーグ戦序盤は苦しみながらも、W杯中断期間を経て覚醒。現在、残り3節で2位と、J1昇格1年目のチームが3冠を狙える位置に付けている。念願のタイトルを獲得するのはどちらのチームか。広島ボールで前半キックオフ。


森保監督が「試合前から程よい緊張感とリラックスを持って臨んでくれた」と話したようにチーム全体が集中し、素早い攻守の切り替えから広島が積極的に攻撃を仕掛けていく。開始3分、広島の攻撃。パスカットからボールを受けた佐藤寿人が中央突破。そのままペナルティエリアまで攻め込むが、惜しくもシュートとはならず。4分、スローインを受けて高萩が右サイドからクロス、佐藤寿人がヘディングでシュートを放ち、ヒヤリとさせるものの枠を捉えることはできない。10分、ガンバ。宇佐美のクロスから米倉が飛び出してペナルティエリアで倒されるが、その前でオフサイドの判定。
そして、ゲームが動いたのは18分。ペナルティエリア内で石原の蹴ったボールが岩下の腕に当たりハンドの判定。広島にPKが与えられる。キッカーは佐藤寿人。右下隅を狙ったボールを東口が読み、当てるもののゴールネットを揺らし20分に広島が先制。佐藤寿人はナビスコカップ通算得点記録を27に伸ばし、単独1位となった。
なんとしても前半のうちに追い付きたいガンバは27分、ワンタッチでショートパスをつなぎ中央突破。良い形で広島のディフェンスを崩し、阿部が左足でシュートを放つもジャストミートさせることができない。33分、宇佐美とパトリックのパス交換から阿部が攻め込みゴール前でシュート。上手くチャンスを作り出すが、塩谷が落ち着いてクリア。ゴールを許さない。
リードを広げたい広島は35分に待望の追加点。左サイドから山岸がクロス。ディフェンスにクリアされるものの、こぼれ球を石原がシュート。ポストに当たり跳ね返ったボールを、ゴール前に詰めた佐藤寿人が拾って本日2点目。ガンバを突き放す。
このまま2対0で前半が終了するかと思われた38分、ガンバが意地を見せる。遠藤が左サイドから中央へドリブルし、パトリックを狙って上げたクロスに上手く頭で合わせゴール。ガンバが1点を返し2対1で前半終了。逆転勝利に望みをつないだ。


前半は通常の中盤に2枚置く布陣ではなく、ダイヤモンド型の変則的な布陣を採っていたガンバだったが、後半から明神に代えて大森を投入。長谷川監督は「前半は中盤をひし形でやって非常に機能した広島との過去の対戦を優先した。前半やられているシーンはミスがらみで決して布陣が機能しなかったわけではない。明神も良く中盤で戦ってくれた。点を獲るには後ろが少し重たいように感じたので、後半は大森を入れていつもの形にした」「前線に入った時のサポートの数が少なかったので、遠藤がボランチに入ることによって前線への供給がより多くなると思った」と戦術変更の意図を説明。戦術変更により後半開始からより上手く機能しはじめたガンバ。
50分、中央でボールを受けた大森がワンタッチでクロスを上げ、パトリックが右足でシュート。強烈な一発だったが林が素晴らしい反応を見せてクリア。続く51分、左サイドから中央へ切り込んだ遠藤のパスを阿部が右足でシュート。これも枠を捉え、林が好セーブを見せるが、サポーターの声援を受け攻め続けるガンバが遂に結果を出す。54分、宇佐美が左サイドから上げたクロスに、パトリックが飛び込んでヘディングでゴール。試合を振り出しに戻す。
この勢いのまま試合を引っ繰り返したいガンバは、休むことなく攻め続ける。63分、宇佐美がドリブルで4人をかわし、ペナルティエリアに切れ込み倒される。きわどいシーンだったがホイッスルは鳴らない。67分、左サイドで大森、宇佐美とつなぎ素晴らしい崩しからゴール前のパトリックへ。上手く飛び込んでシュートを放つが、惜しくも枠を捉えることができなかった。
そして71分、山岸が足を負傷し座り込むがプレイは続行。その間に中央から崩しにかかったガンバが細かくつなぎ、パトリックのパスに合わせた阿部が左足でシュート。林がクリアするものの手前に弾き、そのチャンスを見逃さなかった大森が頭で押し込みガンバが逆転。「けが人が出ているところを突かれて3点目を決められてしまった。勝負どころになる部分で相手にチャンスを与えてしまった」と森保監督。
2点のリードから一転、今度は追いかける立場となった広島は森崎浩司、皆川を投入して得点を奪いに行くが、3点目を決めることはできずそのままゲーム終了。ガンバ大阪がナビスコカップを制し、11月22日の浦和レッズ戦に弾みをつけた。


【サンフレッチェ広島 森保一監督】
「試合を引っ繰り返され負けたのは残念に思う。
戦い方を選手に伝えるのは自分の役目だと思うし、
選手の頑張りを勝利につなげてあげられなかった自分の力の無さを痛感している」
「得点を奪った後に相手の気をしっかりと止めて、
失点を防がなければならなかった。
それはただ単純に守るというだけではなく、
相手の勢いを更に上回っていくために
攻撃のこともしっかりと考えていかなければいけなかった」
「この決勝の舞台で負けて今日の試合に限っては敗者になったが、
我々がこの決勝の舞台に勝ち上がってくるまでには
非常に苦しい戦いをチームの総合力、
そして団結力を持ってこの決勝の舞台に来ることが出来た。
選手の頑張りを誇りに思う」
「サンフレッチェに関わる全ての皆さんに
喜んでもらえる優勝を届けようと思っていたが、それが叶わず残念。
優勝したガンバ大阪の選手・スタッフそしてサポーターの皆さんに
優勝おめでとうございますと伝えたい」
【ガンバ大阪 長谷川健太監督】
「0対2になった時はもってないな、また岩下かと思った。
試合前、西村さんに『岩下にはよく言い聞かせたので
どうかレッドカードだけは勘弁してくれ』と
言って試合に入ったが、早々にPKを取られてしまった」
「宇佐美もパトリックもあれぐらい守備をしてくれれば本当に楽なのだが、
決勝戦だからあれだけやったのか、
11月22日のレッズ戦はどうなのかということが今から悩みの種」
「サンフレッチェの選手、チームが素晴らしいサッカーをしてくれたからこそ、
このような結果を得ることが出来たといっていいし、
素晴らしい決勝戦をすることができたのだと思う」
「私自身なかなか手の届かなかったタイトルを獲ることが出来たのは
素晴らしい選手たちがいたおかげ。
また、素晴らしいスタッフがここまで支えてくれたおかげだと思う。
そして、クラブもチームを支えてくれたおかげで
こうしてJ2から上がってきたチームが
まずナビスコカップのタイトルを獲ることが出来たと思うので、
今日ぐらいはみんなと一緒に喜んで、また休んでリフレッシュしたら
リーグ戦に向けてしっかりと準備をしていきたい」


鈴木

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1101fukuoka.jpg「J1というのは本当は自分が一番目標にしていた、自分が一番立ちたいピッチだった」という鐡戸裕史の言葉は、おそらく日本でサッカーをするすべてのプレイヤーの真実。大きな志を抱いて羽ばたいた雷鳥が、1つの辿り着くべき頂を懸けて戦う舞台はレベルファイブスタジアムです。
21勝11分け6敗。57得点30失点。勝ち点74の2位と堂々たる成績で、いよいよJ1昇格へあと1勝まで迫った松本。「なかなか勝ち点3を取るゲームができなかった。そんなに内容的には悪くはなかったけど、やはり現場を預かる人間としては非常に苦しかった」と反町康治監督が振り返った9月の5試合未勝利も、高く飛ぶために必要な助走期間。3勝1分けできっちりリカバーした10月を経て、「日本で一番苦しい練習をしている」と言い切れる指揮官の下、夢を現実にするための90分間に挑みます。
その松本をホームで迎え撃つのは、過去8シーズンに渡ってトップディビジョンでの戦いを経験している福岡。マリヤン・プシュニク監督体制2年目となった今シーズンは、そのプシュニク監督も「我々は良い位置に付けていた時期があった」と話したように、昇格プレーオフ圏内となる5位まで躍進した時期もありましたが、現在は4試合勝ちがなく、順位も12位まで下降。このゲームに敗れると昇格プレーオフ圏内入りの可能性が消滅するため、二重の意味で負けたくない一戦に臨みます。アウェイゴール裏には1000人を超える緑のサポーターの姿が。新たな歴史は創られるのか。注目のナイトゲームは19時4分、松本のキックオフでスタートしました。


開始5秒のファーストシュートは松本。船山貴之の短いパスから、岩上祐三は45m近いキックオフシュートを枠内へ収め、福岡のGK神山竜一がキャッチしたものの、いきなりのチャレンジに滲ませる勝利への欲求。3分に喜山康平が放った右足ミドルを挟み、4分に迎えた決定機。岩上がFKを短く蹴り出し、船山が見舞った強烈なミドルは神山が弾き出すも、左サイドで大久保裕樹が粘って残すと、船山は再びミドル。ここも神山が弾いたこぼれに、飯田真輝が至近距離から詰めたシュートは枠の左へ外れましたが、立ち上がりから松本が「他力ではなく自分たちの力で勝って昇格を決めたい」(岩上)という覚悟を前面に押し出します。
一方、3-4-3気味の布陣でスタートした福岡のファーストシュートは7分。中盤で前を向いた金森健志のミドルは大きくクロスバー上へ外れますが、10分にもチャンス。古巣対決となる左WBの阿部巧が中へ付け、エリア内へ入った金森には田中隼磨が素晴らしいカバーで寄せて、結局ゴールキックに。決定的なシーンには至りません。
松本の狙いとするハイサイド獲得はセットプレーの数と比例。13分、岩上の右スローインを田中が戻し、岩上が上げたクロスはDFがクリア。14分、続けて岩上が投げた右ロングスローはこぼれ、ここも岩上が上げたクロスはDFがブロック。15分のCKはビッグチャンス。右から岩上が蹴ったボールは飯田の頭にドンピシャで当たりましたが、「スーパーセーブ」(岩上)で神山が仁王立ち。20分には福岡も城後寿の右ロングスローを、ニアでイ・グァンソンが合わせたヘディングは松本のGK村山智彦がキャッチすると、22分も松本。岩上の右CKをニアで山本大貴がフリック。最後はDFがクリアしたものの、2度の決定機逸にも「それがサッカーだと思うし、攻められる展開もそんなになかったので、怖いというほどではなかった」と岩上が話せば、「もちろんチャンスだったので決められれば良かったけど、そんなにそこから相手に流れが行くような場面もなかった」と岩間雄大。流れは依然松本に。
23分は福岡。バイタルに潜った金森がうまく落とし、城後が左足で狙ったミドルは村山がキャッチ。25分は松本。岩上の左FKはDFがきっちりクリア。26分も松本。岩上の左スローインを喜山がスルーしたボールも、DFが確実にクリア。29分は福岡。堤俊輔の左ロングスローはオフェンスファウルになりましたが、徐々に手数はフィフティ近く。
31分はゴール・トゥ・ゴール。堤の左スローインを引き出し、中原秀人が入れたクロスを村山がパンチングで掻き出すと、一転して松本のカウンター。運んだ船山が左へ振り分け、岩沼俊介が打ち切ったシュートは枠の右へ逸れましたが、スリリングな攻防が。ただ、松本も前にボールがなかなか収まらず、セットプレーも激減して膠着した展開を強いられます。
「中盤で奪えればチャンスだけど、前に通っちゃうと攻め残っているので、そこは結構紙一重の部分」と松本のボランチを託された喜山が話したように、福岡は酒井宣福、平井将生、金森の3人とそれ以外の選手は前後に分断気味ではあるものの、逆に前へボールが入ると3人が残っているため、松本も「ボランチとディフェンスでそこはしっかりと人数を置いて」(喜山)対応。33分、左サイドで粘った金森のシュートはわずかにゴール右へ。40分にも中盤で良くボールに絡んでいた中原が縦に付け、酒井の落としを中原が自ら狙ったシュートはDFが何とかブロック。42分にも平井が右から蹴ったCKへ、ニアに突っ込んだ酒井のヘディングは大きく枠を逸れるも、チャンスの数は増加傾向に。最初の45分間は双方譲らず。スコアレスでハーフタイムへ入りました。


プレッシャーの掛かるアウェイゲームを0-0で折り返した松本。それでも、岩間が「前半はとりあえず0-0で終われれば、後半は絶対に自分たちの方が走れるし、チャンスを多く創れるという自信はあった」と語り、「今日も前半はゼロで終わって、ハーフタイムにロッカーへ戻った時に、『これは僕らのペースだよ』と声掛けした」と鐡戸も言及すると、「前半ゼロで行ければというのはあるし、たとえ失点したとしても、後半をゼロで抑えれば自分たちは自信がある」と喜山まで。チームの後半へ対する自信を証明すべく、残された45分間へいざ。
47分は松本。船山が左へ展開したボールから、岩沼の左クロスを山本が頭で合わせたシーンはオフサイドを取られましたが、サイドアタックから良い形を生み出すと、50分には岩上の左CK、52分にはやはり岩上の右ロングスローが福岡ゴール前を脅かし、57分にも岩上との連携から岩沼が放り込んだクロスはDFのクリアに遭うも、岩間の「0-0で行ければ後半に自分たちの時間が来るというのはみんなわかっていたし、自分たちのゲームプラン通りかなとは思っていた」というイメージはチームの共通認識。そして、その時は57分。
相手のアバウトなクリアボールを犬飼智也が拾い、大久保の蹴った高いフィードに山本が競り勝つと、反応していた堤がスリップ。ボールを足元に収めた船山は右に流れ、マーカーを振り切りながら右足でズドン。白黒の球体はGKの手を弾き飛ばし、ゴールネットへ飛び込みます。「ウチのエースが決めてくれた」と喜山も話した通り、やはりここ一番で頼りになるのは10番のエースストライカー。沸騰したゴール裏の歌う緑。10番を追い掛けるベンチメンバーも含めた戦う緑。まさに結集した"緑の友"。待望の先制点は松本に記録されました。
このままでは終われないホームチームもすぐさま反撃。61分、左サイドへボールを繋ぎ、平井の鋭いクロスはフリーで走り込んだ金森に届くも、ダイレクトで叩いたシュートはクロスバーの上へ。62分にはプシュニク監督も1枚目の交替を。酒井を下げて坂田大輔をピッチへ送り込み、さらなるギアアップを。68分には平井が左FKを、70分には堤が左ロングスローをそれぞれ放り込み、共に跳ね返されはしましたが、バックスタンドに陣取ったサポーターも一段階上げたボルテージ。
訪れた2度目の咆哮。吼えた主役は「今日は最初から大きなエネルギーを出したと思います。山本以外は(笑)」と指揮官から名指しで標的にされたストライカー。71分、船山を起点に松本が発動した高速カウンター。中央を運んだ岩上は「フナさんは見えたし、後ろから頑張って走っているヤマも見えた」中で、船山へのスルーパスを選択。ここは懸命に戻った中原がタックルで堰き止めましたが、"頑張って走ってきた"山本はボールを誰よりも早くかっさらうと、そのまま強烈なシュートをゴールネットへ突き刺します。「ミスが続いていたので気合を入れてやった」という田中から愛のビンタを食らい、目を覚ました20番がそのまま追加点まで。これが信州松本のフットボール。「前の3人が絡んで点を取れたということは、今年のチームを象徴しているんじゃないかなと思う」と岩上も自賛した一撃で、リードは2点に広がりました。
苦しくなった福岡は73分に2人目の交替を決断。阿部と森村昂太を入れ替え、一層前へパワーと人数を掛けに出ますが、75分には岩上の左FKをニアへ飛び込んだ山本が頭で枠内へ飛ばし、神山のファインセーブに阻まれたものの、あわや3点目というシーンも。77分には堤が左から中へ折り返し、坂田がヘディングで繋ぐと、城後のクロスは枠の上へ。容赦なく進んでいく時計の針。
意地の追撃弾は79分。ここも左サイドを上がってきた堤が中へ戻し、ワンテンポ溜めた森村は優しいスルーパス。エリア内へ侵入した平井を大久保が倒すと、飯田淳平主審は迷わずペナルティスポットを指差します。キッカーは堤。短い助走から選択したのは右。村山も同じ方向を選択しましたが一歩及ばず。1-2。両者の点差は1点に縮まりました。
終盤の失点にも「特に焦りというのはなかったし、まだ自分たちの方が1点勝っていたので、しっかりと耐えつつ、チャンスがあれば狙っていきたいなと思っていた」と岩間。反町監督が1枚目の交替カードとして、86分に山本に替えてピッチへ送り出したのは今シーズン4試合目の出場となる棗佑喜。184センチの長身ストライカーが果たすべき役目はさらなる前からの圧力。しかも守備面の。残されたのは5分間とアディショナルタイム。
89分は福岡。中原のフィードを前線に上がっていたイ・グァンソンがヘディングで狙うも、ボールはゴール左へ。アディショナルタイムの掲示。ボードに浮かび上がった数字は"4"。90+1分も福岡。平井が蹴った左CKはDFが必死に掻き出し、拾った金森のシュートもDFの人垣が決死のブロック。90+2分も福岡。ロングフィードのこぼれを、金森が打ち切ったシュートはクロスバーの上へ。「自分たちは試合中にも楽をしたら勝てないので、ピッチで戦って倒れるまで走るとか、そういう部分はここで鍛えられた部分」と喜山。着々と近付くその瞬間。
90+3分、船山との交替でピッチに駆け出していったのは鐡戸。「サポーターは地域リーグの時から破格の凄い人数で応援してくれていて、その時からやっぱりこのチームはJリーグに行くべきだって思ったし、あの人たちをJリーグに連れて行かなくてはいけないというのは使命として感じた」というチーム最古参となった16番に託されたゲームクローズ。着々と近付くその瞬間。
90+4分、右のタッチライン沿いに完璧なクリアを転がした田中は、相手が蹴り出したボールにも全速力で突っ込み、FKを獲得するという100点満点の時間消費をこの土壇場で。「実は7月頃から報道陣にも選手にも知られていないことだが、明日からしばらくサッカーをすることができない、当分休まないといけないくらい、膝の状態がよくなかった。知っていたのはメディカルスタッフと我々など限られたスタッフだけだった」と反町監督が明かし、「サッカーをやれるような状況ではなかったし、日常生活も大変だった」と試合後に自ら振り返った3番が見せた魂のワンプレー。時計を何度も気にして、落ち着かない反町監督。着々と近付くその瞬間。
94分36秒。博多の森を覆う夜空に吸い込まれたホイッスル。「正直言葉にするというのは少し難しくて、去年からレンタルで移籍してきて、サポーターもそうだしチームのみんなが認めてくれて、今年完全移籍で来たということで責任感もあるし、J1に上げるという気持ちで来たので、そういったことが叶って、夢が叶ったということで色々なことがフラッシュバックした」という岩上はピッチに座り込み、想像もできない"3番"のプレッシャーと戦い続けてきた田中は、その前任者の名前の入ったインナーシャツと共に起き上がれず。そして、その光景を『勝利の街』を歌いながら見つめるのは「かつて同じチームだった選手がアルウィンに来て試合をすると、『この雰囲気ヤバイね』っていつも言ってくれて、その度に僕は凄く幸せな舞台でプレーさせていただいているなという実感は凄くありますね」と鐡戸も感謝を口にした緑のサポーター。「色々な人の力が結集して、こうした好結果を残すことができたと感謝している」と反町監督も認めたように、それぞれがそれぞれにできることを最大限に活かして、1つ1つが欠かせないピースとなった松本山雅の壮大なパズルは、ここに"J1昇格"という1つの大きな完成図を迎える結果となりました。


7年前。東京Vの下部組織で育ち、トップチームへ昇格しながらも出場機会を得られず、当時は地域リーグだった岡山へと移籍することになった喜山。「岡山に行った時はまだ若かったし、ここで結果を出して上に行ければいいと思っていて、実際JFL、J2と岡山ではステップアップできたんですけど、そこでヴェルディに戻って出られなくなってからは自分でも自信はなかったですし、このままどうなって行くのかなというのは正直思った部分はあります。でも、絶対に諦めない気持ちは持っていたし、何とか山雅でチャンスをもらえたので、必死にやろうと。もうここでダメだったら終わりだと思っていたので、そうやってひたすら闘ってきた3年間でした」と当時と今を振り返って話してくれました。
9年前。佐賀大学を卒業後、希望していたJリーグクラブへの入団は叶わず、佐賀県リーグに活躍の場を求めた鐡戸。「自分自身30歳までプロでやれたら上出来だなって、自分のサッカー人生を振り返った時にって、それはあったんですよ。でも、山雅に来て、共にJFLに上がって、J2に上がって、マツさんと同じチームメイトになってそういう大きな目標に乗っかって行く中で、J1というのは本当は自分が一番目標にしていた、自分が一番立ちたいピッチだったし、それが実現できるというのは出来過ぎだと思います」とこれまでの道のりを感慨深そうに語ってくれました。
10年前。やはり東京Vの下部組織から堀越高校に進みながら、所属チームを求めて東京都リーグのクラブに辿り着いた岩間。「本当に始めの頃を思うと大変の一言でしたけど、やっぱり諦めずにやってきて本当に良かったなと思いますし、多くの周りの人に助けてもらったなというのをこの年になって凄く感じますね」と話しつつ、今まで自身を支えてきたものを問うと、「単純にサッカーが好きという部分と、幼稚園とか小学校の頃から夢はサッカー選手になることだったので、もちろんJ1でやるという部分も頭の中にありましたし、そこが本当にブレずにやってこれた結果かなと思います」と笑顔を見せてくれました。
「そういう選手たちの集合体だからこそ、『何とか目標を達成したい』という気持ちがより強かったんだと思います」とは彼らを束ねてきた反町監督。その反骨心については喜山が、「口には絶対に出さないですけど、それはみんなあると思うし、そのぐらい他のチームに負けない練習はしてきた自信があるので、そういうのは常にみんな胸に秘めているというか、そういうチームでもあると思います」とキッパリ。正真正銘の"雑草集団"が稀代の指揮官と極上のサポーターと巡り合い、遂に到達した遥かなる頂。「自分で諦めなければそういう舞台に立てる」(喜山)ことを見事に証明した彼らがいよいよ来シーズン戦う"そういう舞台"は、日本のトップ・オブ・トップ。Jリーグディビジョン1です。       土屋


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1019kanko.jpg勝ち点差2で競り合う6位と8位の直接対決。初めてのJ1を目指す備前のエンジと、J1復帰を虎視眈々と狙う出羽の青白が激突する舞台はKankoスタジアムです。
ここ2年は昇格プレーオフ圏内を明確に捉えたシーズンを送り、間違いなくトップディビジョンをその視界に見据えている岡山。迎えた今シーズンは序盤戦こそ二桁順位での時間が続いたものの、9節の札幌戦で勝利を収めてからは3度の連勝を含む驚異の18試合負けなしを記録し、一気に一桁順位の前半までジャンプアップ。ただ、ここ5試合は3分け2敗とややブレーキ気味で順位も6位まで下降。「どのゲームも大事だが、特に大事なゲームという位置付け」(影山雅永監督)で、再び上昇気流に乗りたいホームゲームに臨みます。
一旦の終焉を迎えたJ1生活はもう3年前。ここ2年はシーズン後半に失速し、続けて10位と難しいシーズンを強いられてきた山形。柏、札幌と2チームを昇格に導いた石﨑信弘監督が16年ぶりにチームへ復帰して挑んだ今シーズンは、一度の連勝もなく中位に甘んじてきたものの、ここへ来てようやく昇格プレーオフ圏内を窺う位置まで浮上。勝利を収めれば順位が入れ替わる可能性のある今日の一戦は、天皇杯でのベスト4進出を追い風にして、絶対に勝ち点3を奪いたい今シーズンのキーゲームです。注目の一戦を見届けようとスタジアムには7826人の観衆が。偶然にも双方のサポーターが入場する選手を迎え入れたのはまったく同じ"Over the Rainbow"。J2全体にとっても重要な90分間は、山形のキックオフで幕が上がりました。


開始早々に煌いた青白の閃光。山形のファーストアタックはディエゴが収めて右へ流し、上がってきた山田拓巳のクロスが鋭く中央へ上がると、飛び込んだ山﨑雅人のヘディングは左スミのゴールネットを揺らします。「本当に理想とした形のゴールじゃないかと思う」と石﨑監督も認めた先制弾は、その時間わずかに開始1分18秒。あっという間にスコアが動きました。
「ホイッスルが鳴ったと同時にハードワークする」(松岡亮輔)山形のギアは上がるばかり。4分にも右に流れた山﨑のパスから松岡が枠内シュートを見舞うと、8分には早くも2度目の歓喜が。最終ラインでボールを持った當間建文がシンプルにフィードを流し込むと、「パッと見たらギャップが空いていたので、良い形で抜けられた」川西翔太は独走。GKとの1対1も冷静に、ゴール右スミへボールを送り届けます。「継続して点が取れていることは良いこと」と語る川西はこれで公式戦3試合連続ゴール。山形のリードは2点に変わりました。
以降も勢いは山形。「中盤でのセカンドボールはほとんど拾われて、それで二次攻撃、三次攻撃をやられていたのでキツかった」とは久々に岡山の左WBを任された久木田紳吾。まずは、「前の3人は凄くプレッシングに行ける」と宮阪政樹も話したように、前から1トップ2シャドーがプレスを掛け、縦に入ったボールのセカンドは宮阪や松岡が殺到して奪取し、そこから縦へ早くという形を徹底。14分にはカウンターから宮阪が左へ振り分け、川西のクロスは岡山のGK中林洋次にキャッチされましたが、この場面も人数的には4対3と、山形の切り替えは実に素早く。最初の15分間でホームチームを圧倒してみせます。
さて、「今日のような立ち上がりになると、余計色々なものが圧し掛かって、自分たちらしさが出せなくなってしまうのかもしれない」と影山監督も振り返った岡山。15分に上田康太が蹴った左CKはDFにクリアされますが、17分には鎌田翔雅の縦パスから澤口雅彦が粘って2人を振り切りながら中へ。押谷祐樹のシュートはヒットしなかったものの、ようやくファーストシュートが。19分にもらしいパスワークからCKを獲得すると、20分にも千明聖典が左へサイドを変えた展開から田所諒が繋ぎ、押谷の枠内ミドルは山形のGK山岸範宏がキャッチするも、少しずつ押谷と清水慎太郎の2シャドーも流れに顔を出し始め、見えてきたチャンスの芽。
ただ、2点のリードを得たことで、落ち着いてゲームを進める山形はしたたかに。25分、後藤圭太のパスミスから川西が左へ付け、立ち上がりから推進力を生んでいたキム・ボムヨンのカットインシュートは、後藤が自ら責任を持ってブロック。その左CKを宮阪が蹴り込むと、突っ込んだ石井秀典が至近距離から放ったシュートはわずかにクロスバーの上へ。31分、右サイドで舩津徹也がスローインを放り、ディエゴのフリックから宮阪が左足で打ち切ったミドルは枠の左へ外れるも、「できるだけ前からプレッシャーを掛けて、高い位置でボールを奪っていく」(石﨑監督)狙いの徹底で明け渡さないゲームリズム。
影山監督の決断は34分。澤口の負傷で試合が止まったタイミングを見て、「久木田は左サイドで生きるかなと思ったが、逆に相手のプレッシャーで苦しむことになったので、久木田も田所も本来に戻してDFラインの安定を図った」と、久木田をここ最近の定位置だった右CBへ、鎌田を左CBへ、田所を左WBへそれぞれスライドして、全体のバランスを整え直します。
38分は山形。中央右寄り、ゴールまで約30mの位置から、宮阪が直接狙ったFKはわずかにクロスバーの上へ。40分も山形。山田のクロスから、ディエゴが右足で叩いたボレーはゴール右へ。43分も山形。キム・ボムヨンの左ロングスローをディエゴが流し、ゴール前に落ちたボールはシュートまで行けずもあわや。45+2分は岡山。久木田のロングフィードから押谷が抜け出し掛けましたが、最後はオフェンスファウルという判定に。「相手の配置が変わったからウチのサッカーが変わるという訳ではなかった」と宮阪も話した山形が、2点のアドバンテージを握ってハーフタイムに入りました。


後半のスタートから選手交替に着手したのは岡山。「立ち上がりの2失点で山形のDFラインが非常に高く、繋ぎながらという彼の良さが徐々に消されてしまった」と影山監督も評したウーゴを下げて、田中奏一を右WBへ投入。その位置にいた澤口が右CBに下がり、久木田はこの日3つ目のポジションとなるCFに移って、残り45分間へのキックオフを迎えます。
46分の好機は山形。右サイドをえぐった山田の右クロスは流れるも、拾ったキム・ボムヨンが残して、宮阪が枠の左へ外れるミドルまで。「後半もファーストプレーでサイドから崩せた」とはその宮阪。「次の点が勝負。後半立ち上がり、もう一回集中していこう」と指揮官に送り出されたアウェイチームの衰えない意欲。
とはいえ、負けられない岡山も手数を。49分、上田、田所、鎌田とボールが回り、上田が右足で狙ったミドルは石井が体を張ってブロックしたものの、持ち前のパス回しからフィニッシュまで。52分にも中盤で巧みに前を向いた千明を起点に、清水慎太郎のミドルがDFに当たったこぼれを、強引にダイレクトで合わせた押谷のボレーはクロスバーを越えるも、明らかに上がったテンポ。53分には上田が右から、田所が左から続けてCKを蹴り入れるなど、ようやくスタンドを沸かせるシーンが増えていきます。
そんな中、相手の選手交替を見て「逆に相手が裏を狙ってくるとハッキリしたし、確実にクリアしてセカンドボールもしっかり拾えていたので全然大丈夫でした」とは宮阪。57分にはサイドで宮阪と山田が粘って残したボールを、川西がクロス気味に入れたシュートはゴール左へ。63分にも宮阪がFKを素早く蹴り出し、川西のスルーパスからディエゴが枠へ飛ばしたシュートは、中林がパンチングで何とか回避。機を見て繰り出すアタックに滲ませる3点目への意志。
「ボールを持ててはいたけど、そんなに打開はできなかった」(久木田)岡山は、69分に上田が蹴った左FKの流れから、田中、田所を経由し、左サイドの押谷が右足で鋭いクロス。ファーへ飛び込んだ後藤はわずかに及ばなかったものの、惜しいシーンを。70分にも久木田がラインの裏へ抜け出し掛けるも、飛び出した山岸がきっちりクリア。73分には清水と久保裕一を入れ替え、前線のパワーを増強すると、78分にも押谷が今度は右サイドから左足で上げたクロスへ久木田が飛び込むも、ヘディングの当たりは薄く、山岸が大事にキャッチ。「点差に余裕があって、だいぶポジショニングとか裏のケアもできていた」(久木田)山形ディフェンスを崩し切れません。
69分に山﨑と伊東俊を入れ替えていた石﨑監督は、79分に2人目の交替を。川西を下げてロメロ・フランクを投入し、「チームとしてやるべきことをとことんやり抜き通す」(山岸)覚悟を一層鮮明に。影山監督も同じ79分に切った最後のカードは荒田智之。こちらもやるべきことは明確。ラスト10分。どちらが"やり抜き通す"か。
83分に記録されたゴールは"3点目"。右サイドを伊東がえぐり切ってクロスを上げると、頭に当てたボールを収めたディエゴはマイナスに中へ。「その前から結構スペースが空いているというのはあって、自分も得点を取れたらなと思っていた」という宮阪は、完璧なトラップから完璧なコントロールショットをゴール右スミへグサリ。「ディエゴともうまく顔があったし、良い所に置けたので流し込むだけだった」とは本人ですが、誰にとっても"流し込むだけ"とは言い切れない距離から繰り出すキック精度はさすがの一言。少し時間は掛かりましたが、石﨑監督も強調した"次の得点"は山形に入りました。
ストロベリー・オン・ザ・ショートケーキ。完成させたのは「彼の良さが随所に出たんじゃないかと思う」と指揮官も賞賛したナンバー10。90+1分、キム・ボムヨンのロングボールへ岡山ディフェンスの対応が曖昧に。ラインと完全に入れ替わり、独走した伊東はGKとの1対1も難なくゴール左スミへ沈めます。「先発の選手だけが選手じゃなくて、サブの選手が入ってどれだけ仕事をするかが大事」という石﨑監督の言葉を体現する伊東が乗せた"ストロベリー"。勝敗の行方は決しました。
わずかに見えた希望の光は90+2分。左サイドに開いた久保のクロスを、中央でトラップした荒田はすかさず左足で押し出すと、ボールはゆっくりとゴール左スミへ飛び込みます。直後にタイムアップの笛は吹かれましたが、「あの苦しい展開から1点取ってくれたというのは、間違いなく次に繋がると思う」とはキャプテンマークを巻いていた後藤。それでもファイナルスコアは1-4。これで勝ち点で岡山を引っ繰り返した山形が今シーズン初めて連勝を収め、今シーズン初めて昇格プレーオフ圏内へ浮上する結果となりました。


これで6試合未勝利となり、順位を8位まで落としてしまった岡山。今季最多となる4失点を喫しての完敗となってしまいましたが、「残念な結果ですが、すべてが終わった訳でもチャンスがなくなった訳でもないので、引きずらないことが大事かなと思います」と影山監督も話したように、チームは既に前を向いている印象を受けました。ここからの起爆剤について問われた後藤は、「そこまでの大きな変化というのは、たぶん凄い選手が入ってくるとかじゃないと起きないと思うので、そういう変化は狙っていない。今まで積み上げてきたものを出して、1勝すれば流れは大きく変わると思う」と継続の重要性を強調。「1試合1試合を『やるだけやったよ』と言えるような戦いをすること、準備をすることが大事」とは指揮官。残り5試合。積み上げてきたものを信じ、目の前の試合に全力で勝負する覚悟は微塵も変わりません。
「入りが良くてウチが先に2点取れたのが非常に大きかった」(山岸)「前半の2点というのが勝負を分けたと思う」(宮阪)と2人が声を揃えたように、2ゴールを含めた最初の15分間がタイムアップの瞬間まで大きな影響をもたらすゲームになりました。ただ、その15分間を呼び込んだのは「ウチは湘南とかのように完全に相手を支配できるチームじゃないので、全員がハードワークしていくしかない」と山岸が表現した山形の"ハードワーク"だったのは間違いない所。それに加えて、途中出場の伊東が2ゴールに絡む仕事をしたのも、チームに好影響を与えるはずです。"連勝"と"昇格プレーオフ圏内"。2つの初めてを同時に手に入れた山形。彼らにとって虹の向こう側で待っているものは果たして。       土屋


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1011alwin.jpg2位と6位が対峙する今節最注目の好カードは、指揮官同士もベルマーレ平塚の元同僚という因縁めいた一戦。会場は松本の聖地・アルウィンです。
昇格争いや残留争いを繰り広げているチームばかりと対戦した9月はまさかの5試合未勝利。一時は10まで開いた3位磐田との勝ち点差も5まで縮められるなど、自動昇格へ向けて超えるべき関門に立ちはだかられた感のある松本。ただ、前節の横浜FC戦は西が丘をホームの雰囲気で包み込んだサポーターにも後押しされて、6試合ぶりの勝ち点3を何とか奪取。敗れた磐田とのポイント差は再び8まで開いており、「前回の勝ちは内容的にも結果的にも大きかったので、それを無駄にしないためにも今日は勝ちたい」と喜山康平。2ヶ月ぶりのホーム勝利はマストです。
初めて開催された昇格プレーオフを勝ち上がり、歓喜に沸いたのは一昨シーズン。返り咲いたJ1の壁は分厚く、降格の憂き目に遭ったのは昨シーズン。わずか2年で天国と地獄を味わいながら、そのどちらもを経験してきた田坂和昭監督に率いられ、再び上を目指す戦いを続けている大分。28節以降は昇格プレーオフ圏内の6位をキープしており、前節は磐田をホームで下すなどその実力は確か。ここで2位の難敵を叩き、さらなる上昇気流に乗りたいキーゲームを迎えます。キックオフ前のアルウィンに咲き誇るのは、「毎回毎回力になりますし、本当にお年寄りから小さい子供までタオルを回してくれるので、凄く心強いですね」と喜山も話す、おなじみとなったタオルマフラーの花々。お互いに目指すのはこの試合の勝利のみ。問答無用の90分間は大分のキックオフで幕が上がりました。


4分の先制機はアウェイチーム。末吉隼也が当てたボールを林容平が左に振り分け、受けた為田大貴は1人かわしてシュートまで。ここは松本のGK村山智彦にファインセーブで阻まれますが、いきなりビッグチャンスを迎えると、7分にSBの安川有を起点に為田が入れた左クロスはわずかに中と合わずゴールキックに。8分にもCBの高木和道が左へ展開したボールを為田が戻し、安川のクロスは大久保裕樹が何とかクリアしたものの、まずは左サイドを中心に大分が勢いで上回ります。
10分も大分。ダニエルのパスを右から末吉がアーリーで放り込み、林が落としたボールはDFが間一髪でクリア。13分も大分。末吉の短いパスを伊藤大介はそのまま縦へグサリ。バイタルに潜った木村祐志のシュートはDFが体で弾き、直後に木村が蹴った右CKも岩上祐三がクリアしましたが、変わらない大分の好リズム。
ポイントはおそらく2つ。1つはルーズボールの制圧。4-1-4-1ではなく4-2-3-1を敷いた大分は、ボランチにダニエルと伊藤を置きましたが、「高さもあって、そこを潰し切れなかった」と喜山も言及したダニエルがことごとくセカンドへ反応することで、本人が収める場面がまず多く、そこでこぼれたサードも伊藤と1トップ下の末吉が再三スイープ。ダニエルの"迫力"が9割近い確率のルーズボール奪取を呼び込みます。
もう1つはサイドハーフの受け方。「前半はボールを動かしながら、相手のギャップを突くことができた」とは田坂監督。サイドハーフの木村と為田が中央のスペースへ巧みに潜り込み、受けて捌いてを再三。「7番(木村)が間で受けるという所をうまくやってきていた」と犬飼智也が話せば、「相手も間、間で顔を出して受けてきた」と喜山。加えてサイドハーフが空けたスペースには、SBの土岐田洸平と安川が侵入して厚みのあるアタックを。22分はまさにその形。中へ入ってきた為田が右の土岐田へ流し、間で受けた木村は縦へ。走った為田のパスから土岐田が上げた右クロスはファーまで届き、末吉のヘディングはシュートとはいかなかったものの、おそらくは狙い通りの崩しを披露。26分にはルーズボールを伊藤が残し、末吉が枠へ飛ばした強烈なミドルは村山が懸命のセーブで回避。直後にも左から為田が村山にキャッチを強いるミドルを枠内へ。ここまでのゲームリズムは圧倒的に大分。
さて、「前半は絶対ゼロで抑えないといけないというのは、もう20分くらいからずっと思っていた」と反町監督も正直な感想を口にした松本は、「簡単なミスから後手になるようなことには気を付けないと」と岩上も言及したように、守から攻へ切り替わるタイミングでのイージーミスも頻発。ハイサイドを取れないために、ロングスローも含めたセットプレーもほとんどなく、エリアまで入り込むシーンを創れません。
それでも、ファーストシュートはそのセットプレーから。30分、岩上がこの日初めてトライしたロングスローはニアサイドの山本大貴へドンピシャ。頭でフリックしたボールへ、これまたドンピシャで突っ込んだ飯田真輝のダイビングヘッドは大分のGK武田洋平の正面を突いてしまったものの、1回で相手の喉元へ突きつけた一撃必殺の脅威。
35分は松本。山本の左クロスは右へ流れるも、田中隼磨が粘って残し、岩間雄大は左足で再び中へ。岩沼俊介が折り返したヘディングはDFにブロックされましたが、2次攻撃からフィニッシュの一歩手前まで。36分に岩上がチーム2本目の枠外ミドルを打ち込むと、37分から3連続CKで相手ゴール前を脅かすなど、セットプレーの回数も増加したことでわずかに変わりつつある流れ。
41分は大分。岩間のミスパスをかっさらった伊藤は運んで左へ。為田が入れたクロスへ飛び込んだ木村のシュートはヒットせず。43分も大分。自陣深い右サイドにも関わらず、土岐田は巧みなターンで持ち出し中へ。ダニエルを経由して為田が右へ流すと、足を止めずに上がってきた土岐田はクロスまで。逆サイドから飛び込んだ安川のヘディングはオフェンスファウルを取られたものの、両サイドバックが絡んだダイナミックなアタックを。45+2分には土岐田のパスミスから松本がカウンターを繰り出すも、田中のパスがずれて山本は追い付かずにゴールキックへ。「前半失点ゼロで終わって、正直本当にひと安心した」とは反町監督。「非常に我々の狙い通りのサッカーができていた」とは田坂監督。トータルで大分が圧倒した最初の45分間は、スコアレスで終了しました。


「ハーフタイムで『強気の勝負をしろ』と話した」という指揮官に送り出され、ピッチに帰ってきたホームチーム。「ゼロで抑えたというのが、悪いなりにも良かったかなとは思う」と喜山。すると、後半は立ち上がりからセットプレーの連続。48分に岩上が左から蹴ったFKは安川がクリアしましたが、その右CKをここも岩上が蹴り込み、一旦クリアされたボールを岩沼が戻すと、ここも安川が何とかクリア。51分にも岩上が右FKと右CKを続けて放り込むなど、ようやく松本らしさの一端が。
53分はCK。右から岩上が入れたCKに犬飼がフリーで飛び込むも、頭に当てたボールは武田が何とかキャッチ。57分はFK。左から岩上が蹴ったFKは末吉が懸命にクリア。59分は大分に久々のチャンス。安川を起点に木村、伊藤と回し、ダニエルのミドルは村山が丁寧にキャッチ。62分は松本のFK。岩上が右から蹴り入れ、こぼれを岩間が叩いたボレーはヒットしなかったものの、セットプレーの増加もあって、松本が相手ゴール前に迫る回数が多くなっていきます。
前半の躍動感が時間を追うごとに失われていった大分は、相手のセットプレーが増えたこともあり、流れがその度に切れてしまったことで、前へと飛び出していくパワーが減退。とりわけハイサイドへと侵入するシーンがほとんどなくなり、逆にサイドのケアに追われた両サイドハーフもバイタルへと顔を出し切れない展開に。加えて、「前半と後半で明らかに違っていた」と田坂監督も言及した"風"と、「このくらいの長さというのは今まで経験したことがなかった」と同じく田坂監督が認めた"芝"という外的要因も相まって、全体的に足が止まり始めてしまいます。
66分は流れの中から松本にチャンス。船山貴之が右へ流し、岩上が入れたアーリークロスは飛び込んだ喜山とわずかに合いませんでしたが、悪くないチャレンジ。68分はセットプレー。岩上が右からクイックでロングスローを投げ入れ、船山が柔らかく落としたボールを山本が打ち切った決定的なシュートは武田がキャッチしたものの、あわやというシーンに沸き上がるアルウィン。69分は大分。高木のFKを岩沼がクリアし切れず、拾った木村のパスからダニエルが狙ったミドルは枠の上へ。「ウチのチャンスは相手がブロックを作った所へのミドルシュートしかなかった」と田坂監督。反転したゲームリズム。
70分に訪れた松本のビッグチャンス。最終ラインで高木が信じられないボールロスト。躊躇なく飛び出した田中は左へ最高のスルーパス。フリーでボールを呼び込んだ船山が丁寧に狙ったシュートは、しかしまったくヒットせずに大きくクロスバーの上へ。頭を抱えたのはチームメイトもベンチもスタンドも。エースが千載一遇の先制機を生かしきれません。
名誉挽回の時はそれから1分経たず。負の連鎖は若狭大志の信じられないボールロスト。かっさらった岩上は「大貴がDFを引き連れてくれて、フナさんがいたのでそこを狙って」左へスルーパス。ほとんど同じシチュエーションに、船山は「自分で決めるつもりでシュートコースを探して」中央へ切れ込み、切れ込み、丁寧にズドン。クロスバーを叩いたボールは、そのままゴールネットへ飛び込みます。「その直前に外していたので、こんなに早くまたチャンスが来るとは思わなかった」とは船山ですが、ここまで16ゴールを記録しているスナイパーは2度しくじらず。"1"という数字がスコアボードに灯りました。
受け入れ難いミスが失点に直結してしまった大分。75分にもダニエルの横パスを田中に奪われ、船山のわずかに枠の左へ外れるミドルを食らうと、田坂監督は選手交替を決断。76分に伊藤とキム・ジョンヒョンを、80分にも木村と風間宏矢を相次いで入れ替え、ダニエルをアンカーに置いた4-1-4-1にシフトして、最後の10分間で同点、そして逆転を狙います。
「今年になってからうまく最終ラインの駆け引きができるようになってきた」と指揮官も認めた10番の"イカした"ゴール。80分、岩上がロングスローのフェイクから船山に付け、リターンを入れたクロスはクリアされましたが、最後尾の大久保が自陣からフィードを送ると、絶妙のラインブレイクで抜け出した船山がまったくのフリー。代名詞とも言うべきソフトトラップからのパーフェクトループが、GKの頭上を華麗に破ります。「J2の中でも群馬と大分は非常にラインが高い設定の元でやっているチーム。そこは当然映像を見せて『狙っていく』という話はしていた」と反町監督もしてやったり。船山のドッピエッタはシーズン18ゴール目。点差が開きました。
一気に苦しくなった大分は82分、林が懸命に粘って繋ぎ、末吉がミドルを狙うも枠の左へ。83分には船山にあわやハットトリックというクロスバー直撃のミドルを打たれるなど、次の失点の可能性も。「遠く大分からもそうですし、関東組のサポーターが来ている中」と田坂監督も言及したように、少なくない人数で詰め掛けたサポーターに見せたい執念。90+3分には途中出場の松本玲が下げたボールを末吉が右から放り込み、ニアへ入った林のシュートがわずかに枠の右へ外れると、これがこのゲームのファイナルシュート。「後半も凄く我々が良かったというわけではないが、90分間通して一切止まることなく相手にプレッシャーを与え続けることができたのは、今まで厳しくトレーニングをやってきた成果だなと感じている」と反町監督も話した松本が、したたかに勝ち点3を手繰り寄せる結果となりました。


「今日の試合が全くダメだったかと言うと、そんなことはない。逆にアウェイの中で良い戦いもできた」と田坂監督が振り返った大分は、結果として前半の25分前後までにゴールを奪えなかったことが、最後まで響いてしまった感は否めません。とはいえ、前半のパフォーマンスは「前半でもし帰ってしまった人がいれば、3-0くらいでウチが負けていると思ってバスに乗っているでしょうね」と敵将の反町監督が表現したフレーズがまさに的確。45分間は2位のチームを凌駕した、中盤のボールアプローチへの意欲と効果的な流動性は今後へ向けての大きな収穫。味スタで掲げる"2度目"のシャーレを十分イメージできるような実力を、彼らは間違いなく備えています。
ホームでは8月10日の栃木戦以来、2ヶ月ぶりの白星を手にした松本。こちらは「凌ぐ時間帯というのはみんなで共有できていたし、ここでゼロで抑えようという声も常に出ていたので、チームとしてはいいこらえ方ができたと思います」と犬飼が話したように、前半を失点ゼロで乗り切ったことが終わってみれば勝利に直結。それに関しては「アンカーを置いて、トレスボランチみたいにしようかと思った」反町監督でしたが、「3人にするともっとボールの奪い所が低くなってしまうかなと」そのスライドは見送り。そこには「色んなことをやって0-1になるのと、色んなことをしないで0-1になるのなら、後者の方が良いかなと思った。今までやってきたことで自分たちで解決できる部分もあるし、色んなことをやったことで今度は元に戻すのが難しくなる」という判断があったとのこと。結果、「選手から『我慢しろ』という言葉も聞こえてきたし、そういう時間帯は当然あるから、そこで我慢し切れるようになってきたことがチームの成長になっているのかなと思う」と指揮官もその"成長"への手応えを実感している様子でした。残されたリーグ戦は6試合。「幸せなことだと思いますし、当たり前だと思ってはいけないですよね」と喜山も話した緑のサポーターの熱狂と共に。夢見た遥かなる頂の1つはもうすぐそこまで迫っています。       土屋


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J2第34節 京都×横浜FC@西京極

September 30, 2014 11:21 AM | » permalink

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0928kyoto.jpg両者の勝ち点差はわずかに1。9位と10位が生き残りを掛けてポイントを奪い合う重要な90分間は、おなじみ古都の要塞・西京極です。
地元出身の川勝良一監督が就任したのは、シーズン途中の6月末。それからリーグ戦初勝利までには3試合を要したものの、以降は4連続引き分けを含む7戦無敗など、負けにくいチームになりつつある京都。とはいえ、昇格プレーオフ圏内の少し下というポジションからはなかなか脱却できない時間が続いており、内容では上回った前節の湘南戦の勢いを盾に、ラストスパートへのキッカケを掴むための90分間に臨みます。
3連敗に続いて4連敗。夏前まではまったくと言っていいほど結果がついて来ず、一時は20位まで順位を下げた横浜FC。18節からの4試合連続ドローを好転させたのは、岐阜相手に勝ち切った22節の勝ち点3。そこから怒涛の14戦負けなしで順位も10位までジャンプアップ。大逆転での昇格プレーオフ進出を引き寄せるためにも、アウェイでの勝ち点3はマストです。日中こそかなりの暑さを感じたものの、試合前には気温も22.6度と絶好のコンディション。お互いにとってシーズンのキーゲームとも言うべき一戦は、京都のキックオフでスタートしました。


開始3分のファーストシュートは得点ランクトップのストライカー。工藤浩平からパスを受けた大黒将志は、エリア外から果敢なミドル。ボールはクロスバーの上を越えたものの、打てるなら打とうという姿勢はやはり大黒。9分に田中英雄が左から蹴ったCKは、ファーへ走り込んだ田森大己がわずかに触れませんでしたが、10分にも左SBの福村貴幸がクロスを放り込むと、工藤のフリックを駒井善成が枠の右へ外れるボレーまで。まずは「前節で躍動感や攻守のスピードをだいぶ戻せた」と川勝監督も話した勢いの継続で、京都が手数を繰り出します。
ただ、「あんなに蹴ってくるとは思わなかった」と南雄太と松下裕樹が声を揃えたように、京都が比較的シンプルに長いボールを蹴ったことで、同様にパク・ソンホというターゲットへのフィードを多用した横浜とお互い蹴り合うような格好に。13分にはそのパク・ソンホが倒されて獲得したFKを、ゴールまで約30mの位置から松下年宏が直接狙ったキックは枠の上へ。20分にも右から松下年宏が蹴り込んだFKは、DFがきっちりクリア。「前半の入り方もそんなに悪くなかった」(川勝監督)「ゲームも良い入り方をしたし、前半なんかは非常に良かった」(山口監督)と両指揮官も認める中で、流れの中からフィニッシュへは双方辿り着きません。
突然動いたスコア。23分、寺田紳一を起点に小池純輝が左へ振り分けると、上がってきた中島崇典は速いクロスを中へ。このボールへマーカーと競り合いながらニアへ突っ込んだ松下年宏の頭に当たったボールは、ゴール左スミへ吸い込まれます。唐突な先制弾に一瞬静寂が訪れ、一拍あってから歓喜に沸いたアウェイゴール裏。「今日はトップに近い位置で、前節も途中からあそこをやって非常にポイントになっていた」と山口監督も評した"ワンちゃん"の一撃で、横浜が1点のリードを奪いました。
以降も大きく流れは変わらず膠着。24分は京都。大黒のポストを受け、飛び出しかけた工藤は1つドリブルが大きくなり、飛び出した横浜のGK南雄太がキャッチ。30分も京都。左サイドから田中が中へ付け、大黒のパスはアンカーの位置から駆け上がってきた田森もわずかに届かず。34分は横浜。右サイドで松下年宏が縦に送り、寺田の折り返しをパク・ソンホがダイレクトで狙うもDFがブロック。37分は京都。田中、中山博貴、駒井と細かく回し、福村の左クロスは南がパンチングで回避。お互いに増えないシュート数。
「何もない所から」(山口監督)の同点弾で走った衝撃。45+1分、右CKの流れからキッカーの石櫃洋祐の所へボールが戻ると、「一番いい時間帯にいい勝負をして、いいボールを入れてくれた」と川勝監督も賞賛したクロスを粘って中へ。このボールをニアサイドへ潜った大黒は右足でソフトタッチ。柔らかい軌道はGKの頭上を破り、そのままゴールネットへ到達します。そのアイデアと実行力は間違いなくワールドクラス。大黒のシーズン22ゴール目はとんでもないゴラッソ。最高の時間帯で京都が追い付き、前半の45分間は終了しました。


ハーフタイムを挟んでも流れは京都へ。47分に石櫃が右から蹴ったCKはDFにクリアされますが、49分に駒井の突破から獲得した左FKを石櫃が入れると、こぼれを田森が叩いたシュートは南がキャッチしたものの、好トライ。51分には横浜も松下裕樹が35m近い距離からのFKを直接狙うも、ボールは枠の左へ。西京極を包み始めた期待感。
53分の熱狂。相手のパスが流れたボールを、CBの酒井隆介が右足アウトで縦に出すと、受けた駒井の前へ一気に開けた視界。「相手のラインがバラバラだったので、背後で勝負しようと決めていた」7番が、少し中へ持ち出しながら思い切って放ったシュートはGKの正面を突きますが、「たぶんシュートミスでシャンクした」と振り返った南は想定外の軌道を弾き切れず、ボールはゴールネットへゆっくりと収まります。「一番点を取らせたい内の1人」と指揮官も言及した駒井の、なんと今シーズン初ゴールは貴重な逆転弾。スコアが引っ繰り返りました。
ビハインドを追い掛けることになった横浜は56分に1人目の交替を。小野瀬康介を下げて、黒津勝をパク・ソンホと前線に並べ、松下年宏を右SHへスライドさせる4-4-2にシフトして同点を狙いますが、やや2トップの距離感も遠く、攻撃の形を創り切れず。66分の右FK、71分の左CK、77分の右FKといずれも松下年宏が蹴ったセットプレーもフィニッシュには至らず、流れの中からは1本のシュートも打てないまま、ゲームは最終盤の攻防へ。
78分には2つの大きなシーンが。京都は石櫃が右FKを縦にグラウンダーで流し、駒井が相手ともつれたボールを石櫃がかっさらってクロス。大黒と競った佐藤謙介にボールが当たるとゴール方向へ転がりましたが、ここは佐藤が倒れながらも自ら懸命にライン上で掻き出し、ノーゴールの判定に。一転、カウンターから黒津が前へ付けたボールを寺田が受けると、寄せた工藤のプレスで転倒。すると、井上知大主審はこのファウルにイエローカードを提示。51分にも1枚もらっていた工藤は退場となってしまい、京都は10人での戦いを余儀なくされてしまいます。
畳み掛けたい横浜。81分には野上結貴が左へ展開し、中島のクロスを小池が頭で折り返すも、京都のGKオ・スンフンがキャッチ。82分にも寺田が左へ振り分け、中島がマイナスに折り返したボールを松下年宏が狙うも、DFが何とかブロック。直後には山口監督も中島と野崎陽介を入れ替え、3-1-4-2気味の布陣でさらに前への迫力を。
84分に動いた川勝監督。田中とスイッチしたのは、これがJ2デビューとなる高橋祐治。「あの時間帯でも全然緊張するような性格でもない」と指揮官はその高橋を右SBへ送り込み、石櫃をSHへ一列上げて、「外は捨てて中の対応に絞る」守り方を徹底することで、勝ち点3への執念をピッチへ注ぎ込みます。
86分は横浜。松下年宏の右CKはオフェンスファウルに。87分も横浜。寺田のパスから、野崎が枠に収めたミドルはオ・スンフンが丁寧にキャッチ。88分も横浜。寺田が左へ展した流れから、野崎が縦に鋭く持ち出してクロスを送るも、黒津はシュートを打ち切れず。山口監督も「相手選手も退場したし、後ろは2バックくらいでいいなと」88分に佐藤と永田拓也も入れ替え、最後の勝負に。
90+1分は京都。大黒が左サイドをスルスルと抜け出し、中央へ送ったボールを駒井が待ち受けるも、ここは寺田が捨て身のタックルで掻き出して何とか望みを繋ぐと、90+4分のラストチャンスは横浜。永田が左から中へ送ったボールを野崎が拾い、密集を前にしながらも狙いすまして右スミを狙ったシュートは、ややDFのブラインドでボールが見えにくかったはずのオ・スンフンがファインセーブで立ちはだかり、直後に西京極へ鳴り響いたタイムアップのホイッスル。「タフなゲームだったけど、退場者が出た時間から徹底して4-4-1で、最後の危ない所はオーちゃんがよく防いでくれた。ここ2試合は全員がよく走り切っている」と川勝監督も手応えを口にした京都が粘り強い戦い方で、今後へ向けて大きな勝ち点3を積み上げる結果となりました。


「トレーニングの成果をリーグ戦で出し尽くすという所で、残り試合全部行きたいということを選手がよく実践してくれた」と川勝監督が話した京都は、この重要な一戦でなかなかチャンスを創り出せない中でもきっちり2ゴールを奪い切ったあたりに、2シーズン連続で3位に入っている底力を感じます。10人になってからも「ウチは徹底しているようで攻撃に出ようという意欲もあるが、そこをいかに抑えるかという本当に微妙な所」(川勝監督)も中山や田森を中心にしっかりコントロールして逃げ切りに成功。昇格プレーオフ圏内までの勝ち点差は2。残りは8試合。古都の紫がラストスパートに入りました。
「勝ち点3が取れなかったので、非常に悔しい敗戦であるのは間違いない」と山口監督が振り返った横浜は、これで4試合未勝利に。「1度流れが来なくなるとこういうことはある」と南も話したように、この停滞はここまでの勢いを削ぎかねない状況ではあるものの、試合後の選手たちの様子を見ると既に切り替えは済んでいる様子でした。経験豊富な南は「すべては残り5試合。そこも含めて何があるかわからないから、自分たちがしっかりやるだけ」とキッパリ。20位からの大逆襲に終止符を自ら打ってしまうつもりは、まだまだ毛頭ありません。          土屋

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