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J SPORTS J.LEAGUE

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ATHLETAマッチの後に組まれた45分一本勝負の強化試合。冷たい雨が降りしきる悪天候にもかかわらず、熱心なサポーターが見つめる中、予定より7分遅れて選手がピッチに登場します。栃木はGKが吉満大介、DFは右から菅和範、坂田良太、フェリペ、中野洋司。中盤は永芳卓磨がアンカー気味に入り、その前に右から西川優大、杉本真、松村亮、河本明人を配し、1トップにイ・デホンを置いた4-1-4-1気味の布陣。松本はGKに古巣対決となる鈴木智幸。3バックは右から谷奥健四郎、坂井達弥、那須川将大で、ボランチはドリバと柴田隆太朗が並び、右に飯尾竜太朗、左に鐡戸裕史。1トップに塩沢勝吾で、その下に前田直輝と石原崇兆というおなじみの3-4-2-1でゲームへ入ります。
先にチャンスを掴んだのは栃木。左サイドを運んだ河本が上げたクロスに、杉本が合わせたボレーは鈴木がキャッチしましたが、サイドアタックから決定的なシーンを。9分に石原がミドルレンジから枠の右へ外したシュートを経て、11分は再び栃木。杉本が左へ振り分け、河本のクロスは那須川が何とかクリア。12分にも菅のパスを収めた松村が左へ流し、河本のクロスは鈴木にキャッチされたものの、序盤は河本の左サイドを生かした栃木の時間帯に。
15分も栃木。河本が左から斜めに打ち込み、杉本の落としをイ・デホンが狙ったシュートはクロスバーを越えたものの、長身のコリアンレフティは体も強く迫力十分。直後は松本。前田のパスに塩沢が走るも、ここは菅がきっちりカバーしてゴールキックに。16分も松本。柴田の横パスから前田が裏を突いたボールはDFのクリアも小さく、塩沢が懸命に追い掛けるも竹重がキャッチ。松本はなかなか手数を繰り出せません。
20分は松本。石原が果敢に狙ったミドルは枠の左へ。21分は栃木。イ・デホンが残し、杉本が打ち切ったミドルはクロスバーの上へ。23分は松本。ドリバの展開から飯尾が鋭いクロスを送り込むも、最後はDFが何とかクリア。やや松本にも手数が出てきた中で、27分に歓喜の瞬間を享受したのは黄色のゴール裏。西川とのコンビネーションで菅が中央へ侵入し、杉本のシュートはDFにブロックされたものの、こぼれに反応した河本のシュートはゴール右スミへ飛び込みます。再三良い動きを披露していた河本が見事に結果を。栃木が1点のリードを奪いました。
29分に那須川が35m近い直接FKをクロスバーの上へ打ち上げた松本は、31分に栃木のサポーターからも拍手を送られた鈴木と白井裕人を交替させると、直後に鐡戸が左から蹴ったCKのこぼれを再び鐡戸が中へ入れるも、フェリペが大きくクリア。33分には塩沢が獲得したFKを鐡戸が放り込み、こぼれを叩いた柴田のミドルはゴール右へ外れましたが、ようやく松本もセットプレーを中心に攻撃の時間を創り出します。
それでも、35分を過ぎると栃木のラッシュ。37分、杉本のパスからイ・デホンが放ったミドルは枠の左へ。38分、左へ開いたイ・デホンが裏へ浮き球を落とし、河本の速いクロスは走った松村もわずかに及ばなかったものの、ゴールの匂いは十分。39分、途中出場の荒堀謙次を起点に、中央をドリブルで進んだ永芳はスルーパス。反応した杉本へ寄せた坂井がカットしましたが好トライ。40分、松村の短いパスを杉本が左へサイドを変え、河本が敢行したダイレクトボレーは枠の左へ外れるも、個性的なアタッカーたちが貪欲に狙う2つ目のゴール。
44分には松本も"らしい"形が。白井のロングキックに塩沢がさすがの打点で競り勝つと、ルーズボールをいち早く収めた鐡戸はそのままミドル。枠へ飛んだボールは吉満にキャッチされたものの、最終盤で1つ狙いたい形からフィニッシュを取りましたが、これがこの45分間のラストチャンス。最後まで黄色と緑のサポーターが後押しし続けた強化試合は、栃木が1-0で勝利を収めました。
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土屋

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0301tochigi.jpg開幕を1週間後に控えた段階で迎える最後の実戦経験は黄緑決戦。栃木SCのサプライヤーでもある"ATHLETA"の冠が付いたプレシーズンマッチは栃木県グリーンスタジアムです。
育成型クラブとして決意を新たに臨んだ昨シーズンは12位。阪倉裕二監督体制も2年目に突入し、さらなるステップアップを狙う栃木SC。大久保哲哉や近藤祐介などアタッカー陣が移籍した中で、この日もスタメンに起用されたハン・ヒフンやパク・ヒョンジン、阪野豊史をはじめ、20代前半の選手を数多く迎え入れる補強を敢行。「開幕1週間前ということで今のチームの仕上がり具合がどれくらいかという位置付けのゲーム」(阪倉監督)ではあるものの、サポーターと勝利を喜び合う試合後まで含めて、来週の予行演習と行きたい一戦であることは間違いありません。
J2参入からわずかに3シーズン目。国内最高クラスの劇場とも言うべきアルウィンという後ろ盾も得て、トップディビジョンへの昇格を勝ち取った松本山雅FC。昨シーズンの躍進を支えた船山貴之は川崎フロンターレへの移籍を決断し、犬飼智也と山本大貴はレンタル元へ帰還することになりましたが、後藤圭太や酒井隆介、池元友樹、前田直輝など昨年のJ2で活躍の目立った選手を獲得するなど、地に足の着いた戦略を元にバージョンアップへ着手。「昨年なんてこの時期に大宮とやった時には違うシステムでやったんだから、今日の結果で一喜一憂する必要はないよ」と反町康治監督は相変わらずですが、J1での戦いへ向けて弾みを付けるべく結果も求めたい90分間に挑みます。試合前にはスタンドからグリスタおなじみの『栃木県民の歌』が。気温7.6度に降りしきる雨という観戦者には厳しいコンディションの中、松本のキックオフでゲームはスタートしました。


4分のファーストシュートは松本。喜山康平がエリアのすぐ外で倒されて獲得したFK。ゴールまで約25mの位置から岩上祐三が直接狙ったキックはカベに阻まれましたが、松本にとってのストロングでもあるセットプレーで1つチャンスを。ただ、徐々にペースを握ったのは「前半は非常にテンポも良かった」と阪倉監督も認めた栃木。11分にはCBの尾本敬からクサビを引き出した湯澤洋介が、左サイドをドリブルで運びながら思い切り良く放ったミドルは強烈に枠を襲い、松本のGK村山智彦も何とかセーブしたものの、あわやというシーンを。13分にも湯澤のドリブルから左CKを獲得するなど、ホームチームが攻勢に打って出ます。
一方、「最初は向こうの方がゴールに向かってましたし、勢いもなかった」と喜山も話した松本は、得意のハイサイドを取れずにセットプレーの脅威もチラつかすことができず、逆に15分にはハン・ヒフンのフィードから廣瀬浩二にハイサイドへ潜られ、最後は本間勲にクロスバーを越えるミドルを許すなど、続いた耐える時間帯。
すると、20分には栃木にセットプレーのチャンス。松本のビルドアップに乱れが生じ、「ちょっと相手も来ていてボールも浮いていたので、コントロールにちょっと時間が掛かった」喜山のロストを中美慶哉がかっさらうと、戻った酒井がたまらずファウル。中央右寄り、ゴールまで25m強の距離からパク・ヒョンジンが右スミを狙ったFKは、パーフェクトな軌道を描いてゴールネットへ吸い込まれます。広島から加入したレフティが名刺代わりの鮮やかな一発を。栃木が1点のリードを手にしました。
ビハインドを追い掛ける展開となった松本は、21分に喜山のパスから池元がミドルを放つもクロスバーの上へ。逆に23分には栃木も湯澤のドリブルで獲得したCKを右からパク・ヒョンジンが蹴ると、ハン・ヒフンが競ったこぼれを叩く阪野のシュートはわずかに枠の右へ。さらに26分にもパク・ヒョンジンがFKをクイックで右へ流し、廣瀬の折り返しに阪野がフリーで合わせたシュートはここもわずかに枠の右へ外れましたが、「それは個人的な部分」と言いながらも「我々のキッカーの質が上がるというのはありがたいこと」と阪倉監督も話したように、パク・ヒョンジンというキッカーを得た栃木が松本のお株を奪うような格好で、セットプレーから連続してチャンスを創出します。
27分は松本。岩上が右へ流し、田中隼磨のクロスにオビナが合わせたボレーはDFがブロック。「去年は特に(船山)貴之なんかは取った後にすぐ裏に抜けるプレーが多かったんですけど、今年はイケさんもちょっと違うタイプかなと思いますし、そういう部分で裏へのランニングが去年に比べて少なくなっているのかなというのは感じている」と口にした岩間が29分に送ったフィードは、まさにフリーでギャップに潜った池元へ届きかけるも、少しタイミングが合わずに栃木のGK桜井繁がキャッチ。「今日はオビナがヘディングの所であまり勝てていなかったので、結構どうしてもこっちの陣地でやることが多かった」と喜山。上がらない攻撃のテンポ。
それでも、ようやく35分を過ぎたあたりからは松本もハイサイドへの侵入がチラホラ。40分に喜山が左から蹴ったFKを、後藤が折り返したボールはDFにクリアされましたが、42分にはセットプレーから決定的なシーン。相手との接触でピッチ外に出ていた岩上に代わり、岩沼が蹴り入れた左CKは飛び出したGKが触れず、後藤が丁寧に枠へ収めたヘディングは気の利く位置取りでチームを引き締めていた小野寺達也がライン上で掻き出しましたが、ここに来てセットプレーの威力が。
43分は前半最大のチャンス到来。酒井のフィードにオビナが競り勝つと、裏への飛び出しを意識しているという岩間が3列目から走って中へ。池元を経由して田中が放ったシュートはDFのブロックに遭い、その田中が残したボールを上がってきていた飯田真輝がシュートまで持ち込むも、DFをかすめたボールは右のポストを直撃。最後の5分間はラッシュを見せたものの、「前半なんかは相手に押し込まれる時間も長かったですし、攻撃の面でも前に前にというプレーが少なかったですし、精度もあまり高くなかった」と岩間も言及した松本に対して、ホームチームの良い所が随所に目に付く展開で最初の45分間は終了しました。


「チームとして奪いに行けるという感じを受け取ったらみんなが行くし、危ないと思えば戻るし、というような所はできていたかなと思います」と前半を振り返った阪倉監督は後半開始から2枚替え。前半でイエローカードをもらっていた本間と西澤代志也、GKの桜井と竹重安希彦をそれぞれ入れ替え、残された45分間へ向かいます。
49分に松本は岩上が裏を浮き球で狙い、池元が走るもハン・ヒフンと尾本敬のCBコンビに挟まれ、最後は竹重がキャッチしたシーンを経て、51分は栃木。パク・ヒョンジンが入れた右FKは村山にキャッチされるも、鋭いボールを中へ。53分も栃木。左サイドで湯澤のリターンを受けた中美がクロスを送るも、阪野のヘディングは当たり切らずに枠の左へ。55分には岩間、池元と繋ぎ、オビナが中へ戻したボールを小野寺が鋭くインターセプトすると、パスを引き出した湯澤は左から50m近いドリブルで右まで運び、阪野のクロスはDFにクリアされたものの、「ハメに行ってもちょっと外されて運ばれて、またラインが下がってという場面も結構あった」と岩間も言及した通り、湯澤がチームへもたらす縦への推進力。60分にも西澤が縦に付けたボールを、ギャップで受けた廣瀬が繋ぎ、湯澤はオフェンスファウルを取られて相手ボールになりましたが、「全体的に出足とかそういうのは球際の部分も含めて、栃木さんの方が1枚も2枚も上かなという感じ」とは反町監督。大きな流れは変わりません。
嫌なムードを変えるのはやはりセットプレーで。61分に岩上の左CKをニアへ突っ込んだ酒井がヘディングで枠へ飛ばし、ここは小野寺が体を張ったブロックで何とか凌ぎ、直後に再び岩上が蹴った左CKは阪野がクリアしたものの、続けてCKで相手ゴール前を窺うと、65分に魅せたのはブラジリアンストライカー。FKの流れから上がっていた後藤が左クロスを放り込み、酒井がフリックしたボールにオーバーヘッドで飛び付いたのはオビナ。わずかに竹重が触ったボールはクロスバーにハードヒットするも、「凄いのを打ったな」と反町監督も口にしたダイナミックなワンプレーで、松本のギアが一段階上がります。
65分に池元と前田直輝が交替した松本は、69分にも大きなチャンス。飯田がさすがの打点で競り勝ったこぼれを、岩沼は右足ダイレクトでズドン。惜しくもボールは枠の左へ逸れたものの、「後半は走り負けないという自信もある」(喜山)アウェイチームへ主導権は移行。70分に酒井と坂井達弥を、74分に喜山と石原崇兆をスイッチした松本に対し、栃木も74分に湯澤と廣瀬のサイドハーフコンビを下げて、西川優大と河本明人を送り込み、試合は最後の15分間へ。
仕事をしたのは新加入の22番と決意の3番。75分は左スローインの流れ。溜めたオビナからのパスを岩上が左へ浮かせて岩沼が繋ぐと、前田は鋭い切り返しでマーカーを外して、利き足とは逆の右足でクロス。飛び込んだ田中のヘディングは竹重も素晴らしい反応で弾き出しましたが、リバウンドにそのまま頭から突っ込んだ田中の執念が勝り、ボールはゴールの中へ転がり込みます。「前田はカラータイマーが付いているので。ウルトラマンよりは長いカラータイマーですけどね。ただ、そのカラータイマーが点滅する前ぐらいまでは良い仕事をするので、その90分のカラータイマーが売っていれば買いたいんですけど、売ってないんですよね」と反町節も飛び出した前田の一仕事で、田中はいわゆるオフィシャルのゲームでは加入後の初ゴール。松本がスコアを振り出しに引き戻しました。
78分に岩上の蹴った右FKは竹重が収め、82分にパク・ヒョンジンが蹴り込んだ右CKからハン・ヒフンがヘディングをゴール左へ外すと、両チームにさらなる交替が。82分の松本は新たに10番を背負うことになった塩沢勝吾がピッチへ。85分の栃木は高精度キックで存在感を発揮したパク・ヒョンジンと阪野が下がり、中野洋司とイ・デホンがそれぞれ左SBとCFに入ります。
86分は松本。横パスをカットした岩上が、そのままドリブルから狙ったミドルはクロスバーの上へ。88分は栃木。2本連続で獲得した左CKの2本目を短く蹴り出した西澤が、中美からのリターンをクロスに変えると、西川のヘディングは枠の左へ。89分に昨年は栃木の特別指定選手だった柴田隆太朗が岩上に替わって登場するシーンを挟み、ラストチャンスは松本。90+2分、岩沼が深い位置から蹴ったFKに塩沢が競り勝つも、先に反応した尾本がクリアすると、しばらくして村上伸次主審が吹き鳴らしたタイムアップのホイッスル。両サポーターが声を嗄らした雨中の90分間は、1-1の引き分けという結果になりました。


栃木は新加入選手も数多く試合に出場していた中で、加入6シーズン目となる生え抜きの小野寺達也が印象に残りました。パク・ヒョンジンと湯澤という攻撃性の高い左サイドのカバーも的確に行いながら、42分に61分と2度に渡って決定的なピンチを個人の嗅覚で防ぐなど、その貢献度は抜群。廣瀬の交替後はキャプテンマークを託されるなど、首脳陣からの信頼の高さも感じられます。また、全体としても「守備になった時や攻撃になった時のチームとしての意思統一」(阪倉監督)は既に一定以上の水準に。「『選手同士がしっかりと良い関係を創って1年間戦うんだ』と。良い時もあれば悪い時もあると。その中でチームが一体となって戦っていく、戦い続けるということをストロングポイントにしたいということは選手たちには訴えています」と語る指揮官の下、今シーズンの栃木も対戦相手にとっては厄介なチームになりそうな雰囲気は十分に漂っていました。
「自分たちのやりたかったサッカーがなかなか今日は出せなかったのかなとは思いますね」と岩間も振り返った松本は、特に前半に関しては終盤の5分前後を除いては難しい時間帯が長く、「ペナルティエリアのすぐ近くでFKを与えてしまうと、こういうことになるというのはずっと話をしていました」と反町監督も話した"こういうこと"で失点まで許してしまうなど、反省材料の多い45分間だったのかなと。ただ、移動も含めて「結構タイトなスケジュールで今日まで来た」(喜山)こともあって、「色々な意味で体が重たかったというのは否めない」(反町監督)ことも想定済み。試合後の囲み取材で反町監督も「俺は別に悪い試合だったなんて思ってないぞ」と明言していました。「やっていることは積み重ねてきたものなので、これからもそれを精度を上げてやっていく」と喜山は話せば、「ソリさんの下でやっていることができれば、J1のどの相手にもどの選手相手にも完封できるような戦い方だと思っていますし、それは自分たちも自信を持ってやっているので、あとはそれを自分たちがどれだけ90分間を通じて100パーセントでできるかという風に思っています」と岩間も自信の一端を。松本の新たな歴史は1週間後の豊田スタジアムでその幕が上がります。        土屋


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0228xerox.jpgJリーグの球春を告げる22回目の祭典は4年ぶりの横浜開催。リーグ制覇を争った2強が再会する舞台は日産スタジアムです。
チーム創設から20年余りで初めて強いられたJ2の1年を最強の糧に変え、J1へと復帰したシーズンでいきなりリーグ戦、ヤマザキナビスコカップ、天皇杯の三冠を達成したG大阪。迎えた今シーズンもレギュラークラスの流出はほぼゼロという状況で、この日のスタメンに抜擢された赤嶺真吾やベンチスタートの小椋祥平など、計算できる実力者を迎え入れる磐石ぶり。ACLの初戦ではホームで黒星スタートとなったものの、「去年やれていたことをしっかりとやるだけで、1試合で考えがブレるということもない」と遠藤保仁。シーズン一冠目を蒼きサポーターと分かち合うため、宿敵との90分間へと臨みます。
ほとんどその手に覇権を掴みながら、シーズン終盤の失速で結果的に9年ぶりのリーグタイトルを逃してしまった昨年の浦和。リベンジを誓う今シーズンはズラタン、石原直樹、橋本和、高木俊幸、武藤雄樹、加賀健一と他クラブの主力クラスを大量に補強して、チームにさらなる活力を注入していますが、こちらもACLの初戦はアウェイとはいえ、韓国の強豪・水原三星に痛恨の逆転負け。「水曜日にACLを戦い、木曜日の朝に向こうを出発して夕方に戻り、実質的に中1日でのゲーム」とミハイロ・ペトロヴィッチ監督もタイトなスケジュールを強調する中で、負けたくない相手との負けられない一戦に挑みます。スタンドを埋めた開幕を待ちきれないフットボールジャンキーたちは実に47666人が集結。山本雄大主審のホイッスルが鳴り、宇佐美貴史がボールを蹴り出して注目の好カードはスタートしました。


主審の笛で頻繁にゲームの流れが止まった立ち上がりは、お互いに慎重なゲーム運び。ファーストシュートは7分の浦和。左WBの関根貴大が斜めのマイナスへパスを打ち込み、柏木陽介の落としを槙野智章がミドルにトライ。ボールはクロスバーの上へ外れましたが、ようやく試合にわずかな動きが。G大阪も8分には藤春廣輝からパスを受けた宇佐美が浮かせ、倉田秋がクロスを上げるも大森晃太郎には届かず、浦和のGK西川周作がキャッチ。フィニッシュには至りません。
10分を過ぎると見えてきたのはボールを持つ浦和に、ブロックを築くG大阪という構図。「前半の内にもっと自分らの時間を増やしたいというのはありました」と前置きした明神智和も、「中を閉めて外に出てから勝負というのは、ある程度チームでも練習はしていた」と言及。右の平川忠亮と左の関根に対しては、基本的にボールが入ったらSBが寄せる形で対応。これには「中を閉めたら結局サイドに出て、サイドからのクロスという所がレッズの形なので、最終的に僕らが弾けばというのはありました」とCBの丹羽大輝も同調。13分に柏木が右から蹴ったFKは丹羽がクリア。直後の右CKも柏木のキックは東口順昭がパンチングで弾き、こぼれを拾った柏木のクロスも東口が確実にキャッチ。ボールキープを主導権に繋げたい浦和も、流れの中からはチャンスを創り切れない時間が続きます。
19分はG大阪。鋭い出足でボールを奪ったCBの岩下敬輔が素早く左へ回し、得意なサイドへ開いた宇佐美は右足でアーリークロスを送るも、走った赤嶺とはタイミングが合わず。22分もG大阪。大森、倉田、宇佐美と細かくボールが回り、エリア外から倉田が放ったシュートは那須大亮が体でブロックしたものの、ようやく記録されたチームファーストシュート。
さて、「少なくとも我々は引いた相手に対しても、攻めて行こうという姿勢は見せていた」とペトロヴィッチ監督も語った浦和は、最終ラインでのパス回しからサイドまではボールを運べるものの、そこからのアタックで目立っていたのは関根のアグレッシブな単騎突破ぐらい。26分に高木が左サイドからドリブルで運んで李忠成に預けるも、リターンの呼吸が合わずにロストした場面が象徴するように、とりわけ梅崎司と高木のシャドーが流れの中に顔を出せず。「シャドーの所は捕まえづらいので、そこはボランチとCBで受け渡しの声をはっきり出すという所」(丹羽)もG大阪がうまく対処したことで、良い時に出てくる斜めのフリックも影を潜め、エリア内への侵入回数も限られます。
32分は浦和。柏木の右CKを遠藤がクリアすると、飛び付いた那須のヘディングは東口がキャッチ。35分も浦和。柏木のパスから梅崎がトライしたミドルはクロスバーの上へ。41分には森脇良太のパスを柏木が左へ振り分け、槙野がカットインから放ったミドルもクロスバーの上へ。45+1分はG大阪に久々のチャンス。赤嶺が那須に倒されて獲得したFKを右から遠藤が入れると、丹羽が頭で競り勝つもその前にオフェンスファウルの判定が。「守備の部分では練習通りにできていたと思うし、前半は特に回させてればというのはありました」(明神)「決定的なチャンスは創られていないし、やられても最後にボックス内で守ればっていうのも話していたので、押されてはいたけど精神的には安定していた」(遠藤)と両ベテランが声を揃えたように、浦和の攻撃をG大阪が落ち着いて凌ぐような展開の45分はスコア動かず。0-0でハーフタイムに入りました。


「前半は集中して我慢強く戦えた」とイレブンを迎えた長谷川健太監督も、「前半からアグレッシブに押し込むような展開を思い描いていましたが、レッズの方が非常に切り替えも早くて前線の選手のプレッシャーがキツかった」と決して狙い通りではなかった45分間への本音も。ただ、きっちりネジを巻き直して後半のピッチへ選手を送り出すと、54分には決定的なチャンスを。倉田が浮かせたパスを左から藤春がクロスに変え、走り込んだ明神はダイレクトボレーを枠内へ。ここは西川がファインセーブで応酬したものの、サイドアタックから浦和ゴールを脅かします。
55分に右サイドの高い位置を取った平川が戻し、梅崎を経由したボールから森脇がクロスを放り込み、ファーに潜った高木のシュートはヒットせずに枠の左へ外れると、浦和に1人目の交替が。その高木を下げて、ズラタンをCFの位置へ投入。李がシャドーの位置へ降りて、前線の配置転換に着手。59分には関根のドリブルをきっかけに奪った右CKから、柏木が蹴り入れたボールはニアで赤嶺にクリアされたものの、「スライドも早かったし、なかなか外を上手く使うという部分は難しかった」(平川)状況下でも、左右のサイドから1つずつ創ったチャンスの芽。
長谷川監督の決断は62分。「レッズのようにターンオーバーするメンバーはいないので、みんなで戦うしかないのかなということでベンチから使いました」というパトリックを赤嶺に替えてピッチへ。63分には浦和も槙野の素晴らしいサイドチェンジでハイサイドに走った平川が後方へ戻すと、森脇が左足で鋭いクロス。完全にラインブレイクした関根が角度のない位置で合わせたシュートはクロスバーの上へ外れるも、「外だけじゃなくて裏という部分では後半何回か取れていた」(平川)内の1つから決定機を掴みましたが、逃した魚の大きさを痛感するのはその5分後。
67分、パトリックのパスを引き出した宇佐美はスルーパスでリターン。右サイドを走ったパトリックには那須が懸命に寄せてカットしたものの、その右CKを遠藤が正確に蹴り込むと、中央でパトリックが競り勝ったボールはファーへ。ここにきっちり顔を出したのはやはり宇佐美。目の前に捉えたゴールネットへ難なくボールを送り込みます。「前半ちょっと苦しい時間帯でも後ろが耐えて、我慢強くやってくれれば前が取れるという信頼感が今はある」と丹羽も話したように、今シーズンも宇佐美とパトリックの良好なコンビネーションは健在。「FWとして1つゴールが生まれたこともポジティブに捉えられると思う」と話した39番の先制弾。G大阪が1点のアドバンテージを手にしました。
「昨シーズンのチャンピオンだけど、自陣に引いてブロックを作って、あまりチャンスらしいチャンスを創れていなかった」と指揮官が評した相手にリードを許した浦和は、69分にもパトリックとのボールの奪い合いからDFラインの連携が乱れ、宇佐美に枠の左へ外れるあわやというシュートを打たれると、72分に2人目の交替を。梅崎と武藤をスイッチして、再びシャドーの顔ぶれに変化を。それでも、76分に槙野が獲得した左FKを自ら直接狙うも、カベに当たったボールは東口が冷静にキャッチ。77分に槙野の横パスから柏木が右足で狙ったミドルは弱く、東口がキャッチ。「ボランチもヤットさんとミョウさんが中を閉めてくれていたので、なかなか相手もボールを入れづらかったと思う」と丹羽。選手交替も攻撃のテンポアップには直結してきません。
78分に長谷川監督は宇佐美を下げ、2枚目のカードとしてリンスを投入すると、80分には藤春のパスを引き出したリンスが、ファーストプレーで左サイドをえぐり切って中へ。自ら放ったシュートのこぼれに反応した倉田のヘディングは、ライン上で森脇がクリアしましたが、"仕上げの"空気も充満済み。その左CKを遠藤が蹴り込み、パトリックのヘディングは西川が何とかキャッチするも、「『ああ、去年の終盤はこういう感じで戦ってたな』みたいな感じで思い出しながらゲームの中でやっていた」と丹羽。三冠という最強の成功体験がもたらす勝ち切るためのコンセンサス。
追い込まれたペトロヴィッチ監督は86分に最後の交替を。那須を下げて鈴木啓太をボランチへ送り込み、阿部を3バックの中央へスライドさせて、シンプルなパワープレーへ移行。88分には関根が左サイドを切り裂いてクロスを上げ切り、右で拾った森脇の低いクロスにズラタンが頭で合わせるも、ボールは枠の右へ。90分には正当に見えた遠藤のタックルがファウルを取られ、浦和に与えられた間接FKを柏木が蹴り込むと、ゴール前の混戦から岩下が触ったボールを東口がキャッチ。デリケートなシーンでしたが山本主審はノーホイッスル。続いた2つの判定もあって、スタンドは騒然とした雰囲気に包まれます。
長谷川監督は90+1分に最後の交替カードを。90分間走り切った大森を下げて、「あの運動量は凄い」と"ネクジェネ"に出場したユース所属の堂安律も舌を巻く阿部浩之を投入して、取り掛かるゲームクローズ。90+2分にはリンス、阿部と回し、パトリックのパスからリンスが右スミへ飛ばしたミドルは西川が辛うじて弾き出すも、交替出場の3人だけでフィニッシュワークを。直後に遠藤が蹴った右CKに、合わせたパトリックのヘディングは枠の右へ。最後まで打ち出す2点目への意欲。
「何回か『キープしろ』と思った時もゴリゴリ行く時もあったんですけど、あれはアイツの判断なのでね」と丹羽も笑う"仕上げ"はパトリック。90+4分、槙野のパスは遠藤に当たって後方へ。拾ったパトリックはハーフウェーライン付近から阿部勇樹と完全な1対1に。足を出す間合いを与えず、最初に打ったシュートは西川もよく体に当てたものの、リバウンドをすかさず押し込んだのもパトリック。「ゴールを決めた瞬間に気持ち的に脱ぎたくなった」と振り返ったブラジリアンは、ユニフォームを脱いでバロテッリばりのゴールパフォーマンス。「いいんじゃないですか、彼らしくて」と笑ったのは盟友の宇佐美。「この前のACLの初戦で負けたことによって、もう1回勝つということに対して貪欲になれたのは良かったと思います」と明神も話したG大阪がライバルを下し、伝統の富士ゼロックススーパーカップを横浜の空へ掲げる結果となりました。


G大阪のしたたかさが際立ったゲームという印象を受けました。「できれば自分たちが攻めて勝ちたいですし、今日の勝ちに満足はできないので、もっとボールも支配したいですし、まだまだだと思いますけど」と遠藤が話したように、とりわけ前半のパフォーマンスに納得の行っていない様子は複数の選手の言葉から窺えましたが、「前半に関してはあれで最低限の所」という明神の言葉もまたイレブンの共通した意見。この日に関してはパトリックというジョーカーが控えていたこともあって、ある程度後半勝負というスタンスの中、きっちり2トップが結果を出したことで、攻撃陣と守備陣の信頼関係が一層強固になったことも間違いのない所でしょう。「勝ちを積み重ねながら、できる限り最低でも去年の良い時のレベルに持って行って、そこからさらに上積みを試合をこなしながらやっていければいいと思います」と遠藤。今シーズンもG大阪がタイトル争いの主役を演じることは疑いようがなさそうです。         土屋

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TM 千葉×山形@フクアリ

February 24, 2015 4:53 PM | » permalink

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0222fukuari.jpgトップディビジョンへの挑戦権を巡る最後の切符を争った両者が2ヶ月ぶりに再会。千葉と山形のトレーニングマッチは、おなじみフクダ電子アリーナです。
2010年に足を踏み入れたJ2でのシーズンも今季で6シーズン目。ここ3シーズンは続けて昇格プレーオフまで進出したものの、2012年、2014年と2度の決勝敗退を強いられているジェフユナイテッド千葉。今シーズンは最終ラインを束ねてきた下部組織出身の山口智を放出し、キャプテンを務めてきた山口慶も現役引退を決断。新主将には同クラブとして22年ぶりの外国籍選手の主将となるパウリーニョを指名し、関塚隆監督の下に小倉勉コーチと里内猛フィジカルコーチと、ロンドン五輪のスタッフも集結するなど、新たな改革を施しながら、不退転の覚悟で自動昇格を狙います。
劇的過ぎる守護神の決勝ゴールでセミファイナルを制すと、勢いそのままにファイナルでも千葉を下して、4年ぶりのJ1復帰を決定。さらに天皇杯でも日産スタジアムで行われた最後の1試合まで辿り着くなど、クラブ史に刻まれるようなシーズンを過ごした昨年の山形。来たるべき再チャレンジの1年に向けて、昨シーズン終盤の快進撃を支えた山岸範宏と川西翔太を完全移籍で改めて迎え入れ、CBには渡辺広大、中盤にはJリーグでのプレー経験を持つアルセウと効果的な補強を敢行。「今日の目的いうのは90分サッカーをやるということ」とは石﨑信弘監督ですが、サポーターも見守る中で開幕へ向けて弾みを付けたい一戦に臨みます。「去年から鎬を削っている」(松岡亮輔)両雄の激突を一目見ようと、スタジアムには5365人のサッカージャンキーが集結。あいにくの冷たい雨の中、11時にゲームはキックオフを迎えました。


先にチャンスを創ったのはアウェイチーム。4分、左からキム・ボムヨンが高いクロスをややアバウトに放り込み、林陵平が競り合ったこぼれを山田拓巳は左足でミドル。ボールは枠の右へ外れましたが、積極的な姿勢を打ち出すと7分にもフィニッシュが。松岡が左へ展開したボールから、キム・ボムヨンは鋭く中へクサビを当て、ディエゴが粘ったこぼれを山﨑雅人が叩いた左足シュートもゴール右へ外れたものの、「先手を取れたのかなというような入り」と當間建文も話した山形が、まずは勢い良く立ち上がります。
以降も手数は山形。13分に左CKを石川竜也が蹴ると、ファーで山﨑が折り返し、ディエゴのシュートは弱く千葉のGK岡大生にキャッチされたものの、デザイン通りのセットプレーを。14分には石川が左のハイサイドへ送り、キム・ボムヨンはフリーでクロス。これもフリーで合わせたディエゴのボレーはヒットせず、岡にキャッチされましたが、サイドアタックも機能。16分にも當間のフィードから、こぼれを山田が素早く拾ってゴール右へ外れるミドルまで。「前から連動してのプレスというのはこのキャンプでもやってきた」(林)というプレスもしっかりハマり、続く山形の好リズム。
そんな中でもとりわけ目立ったのは「しっかり前も走るし後ろも走るし。まだまだ雑な所はあるけどね。積極的にやろうという所は見えたんじゃないの?」と指揮官も認めた左WBのキム・ボムヨン。アップダウンの回数も多く、守備の取り所で前に出る思い切りとタイミングは秀逸。21分には左サイドでキム・ボムヨンが残したボールをアルセウがクロス。こぼれを再び石川が左からアーリーで蹴り入れ、林のヘディングは岡がキャッチしましたが、「(右サイドの守備は)言ってはいたんですけど、なかなかうまくいかなくて」と千葉のCB大岩一貴も言及したように、ホットゾーンは山形の左翼。
さて、24分にパウリーニョが30m近いミドルを枠内へ収め、ボールは山形のGK山岸範宏にキャッチされたものの、ようやくファーストシュートを放った千葉は「我々がプレスを脅威に感じてしまった所があったと思います」とそのキャプテンも話したように、山形のハイプレスになかなかパスを効果的に繋げません。さらに、「ああなるんだったら蹴った方が良いと思う」と大岩も語った通り、中途半端な横パスをかっさらわれてカウンターへ結び付けられるシーンが頻発。30分に谷澤達也のパスを受けた佐藤勇人は、右の裏へ狙いのあるパスを放ちましたが、新加入のネイツ・ペチュニクとはタイミングが合わずにチャンス逸。攻撃のテンポも上がりません。
34分は千葉。ルーキーながらスタメンに名を連ねたSBの北爪健吾が右サイドを上がると、森本貴幸は背面クロス。相手のクリアをペチュニクがそのまま打ったボレーは山岸がキャッチ。36分は山形。「仙台のような相手でも、あのハイプレッシャーを続ければチャンスは増えるかなと思います」と振り返った林とディエゴが高い位置でボールを奪い切り、林が左へ付けたボールをディエゴがボレー。最後は大岩にクリアされたものの、狙い通りの形から決定機を。37分も山形。石川の左CKは岡にキャッチされましたが、その岡のパスに猛然と突っ込んだキム・ボムヨンはボールカットに成功。山﨑を経由してディエゴが放ったシュートは岡にキャッチされるも、「まあ良かったんじゃない?あれはあれでね」と石﨑監督も独特の表現を使ったディエゴと林の連携も良好に、ゴールへ迫り続ける山形。
劣勢の千葉にさらなるアクシデント。39分にペチュニクがケガでの交替となり、そのままのポジションにオナイウ阿道が入ります。ただ、前半で最も良い形はそのオナイウも絡んだ43分。水野晃樹とのワンツーからパウリーニョが右へサイドを変えると、オナイウは頭で巧みに落とし、走り込んだ北爪より一瞬速く松岡がカットしましたが、ワイドを使った攻撃からあわやというシーンを。それでも「前半は凄く良い形の攻撃でゴールまで迫る場面がたくさんあった」と林が言及した通り、山形のハイプレスがハマった格好のスコアレスで最初の45分間が終了しました。


後半はスタートから千葉に2人の交替が。北爪と佐藤勇人に替わって、田中佑昌と佐藤健太郎を投入。前者は右SBに、後者はドイスボランチの一角にそのまま入ると、46分の後半ファーストシュートは千葉。谷澤のパスを引き出した佐藤健太郎は、ミドルレンジから積極的なシュートにトライ。當間がコースに飛び込んでブロックしたものの、いきなりのフィニッシュで残された45分への意欲を見せると、53分からは水野が3本連続で左CKを蹴り込むなど、ホームチームが好リズムを掴みます。
さらに、その攻勢に拍車を掛けたのが60分に水野との交替でピッチへ飛び出した井出遥也。「隙間隙間で結構受けられるようになった」(當間)「相手もやっぱり僕たちのプレスが出にくい所にボールを受けに来た」(松岡)と2人が声を揃えたように、井出と谷澤が相手の間に顔を出しながら、オナイウも縦への推進力を打ち出してスムーズなアタックの芽が。63分にはオナイウが獲得した左サイド、ゴールまで約25mのFKを直接パウリーニョが狙い、カベに当たったボールを中村が右足で打ったシュートは枠の左へ外れましたが、63分にも森本が35m近い枠外ミドルを放つなど、「もうちょっとボールを動かそうというのは監督が言っていて、そういうのはみんなが意識した」(大岩)という千葉にゲームリズムが。
「後半なかなかザキとディエゴと陵平でチャンスができていなかった」と見ていた石﨑監督は、63分に1人目の交替として山﨑と伊東俊を入れ替えると、66分にはその伊東のドリブルで奪った左FKを石川が蹴るも、林はシュートまで持ち込めず。「前から行っても奪えなかったし、それで相手にうまくいなされた」と松岡が話せば、「後半は相手も選手を替えてきましたし、自分たちが前からプレスという場面も作ることができなかった」と林。「取られた時は中盤の選手が怒っていた」と大岩も触れた千葉のイージーな横パスのミスも格段に減少し、山形はショートカウンターをほとんど繰り出せなくなってしまいます。
68分も千葉。田中の右スローインをオナイウがダイレクトで捌き、パウリーニョが左足で放ったシュートはDFに当たり、わずかにゴール左へ逸れるも惜しいチャンスを。70分も千葉。井出、佐藤健太郎と繋いで、中村が上げたクロスにオナイウが飛び込むも、ここは山岸が何とかパンチングで回避。林とロメロ・フランクをスイッチする山形2人目の交替を経て、74分は千葉のビッグチャンス。井出のパスを谷澤が左へ流し、エリア内まで上がってきた中村のシュートは山岸が懸命に弾き出したものの、「もっと太亮の方にボールを送らなきゃなと思っていたんですけど、なかなかうまくいかなかった」(大岩)状況から、ここに来てようやく中村のストロングも出始めた千葉のラッシュ。
また、そのホームチームの流れを後押ししたのは「後半はチャンスを多く創ってゴールに近付くにつれて、みんなが盛り上がってくれたのも凄く感じた」とパウリーニョも言及した黄色のゴール裏。「この素晴らしいスタジアムで、公式戦さながらの良い雰囲気の中でやれた」と松岡も話すなど、山形のサポーターも含めてスタジアムが"実戦感"を醸成していった中で、ゲームはいよいよ終盤へ。
75分は山形。キム・ボムヨンのパスから伊東が1人かわして中へ送ると、ディエゴのミドルは岡が正面でキャッチ。77分は千葉。中村の右CKにニアへ森本が飛び込むも、ヘディングでコースを変えたボールはクロスバーの上へ。78分は山形。「練習の中だけじゃわからない部分もあるからね。やっぱりこういうゲームでジェフに対してどれだけできるかいう所をやっとかないとね」と指揮官も話す中で、相変わらずの強靭なフィジカルで奮闘していたアルセウを起点に、ディエゴ、伊東、ロメロとボールが回り、ディエゴのミドルはここも岡ががっちりキャッチ。79分も山形。キム・ボムヨンの短いパスを伊東がうまく右へ。フリーで狙ったディエゴの右足ミドルはわずかにゴール右へ外れ、思わずベンチも天を仰ぎますが、少しオープンな流れの中で山形にも勝機が。「結構疲れてきてバイタルが空いてきたかないう」(石﨑監督)79分には山形も3枚目のカードとしてアルセウと宮阪政樹を入れ替え、中盤の強度を高めて向かう最後の10分間。
試合を決めたのは「自分がプレスに行っても必ずボールを奪える訳ではありませんが、それによって相手がビビッてその後のミスに繋がったりとか、そういう影響を与えないといけないと思います」と話す闘将。88分、「時間帯を考えればセーフティゾーンにクリアでも良かったし、そこであえて持ち直して無理に繋ごうとした自分と。相手をかわせれば良かったですけど、そこの技術的ものもなかったですし、技術的なものと判断的なもののミスですね」と悔やんだ松岡へパウリーニョが高い位置で鋭く寄せると、ボールは右サイドにいたオナイウの元に。少し運んで対角線に打ち込んだシュートは、山岸も反応したもののゴールネットを揺さぶります。「ゲームが始まる前に自分の心の中で『良いスタートが切れるように』という祈りを捧げました」というキャプテンの持ち味が凝縮された劇的なゴールで勝負あり。千葉がフクアリでのシーズンファーストゲームで、きっちり勝利を収める結果となりました。


「今は課題も出ないとダメですし、今が良くて本番になってダメだったらどうしようもないですし、今はあまり良くない方がいいかなとも思いますけど、結果は出したいですし、そういう面では凄く良かったなと思います」と大岩が話したように、千葉にとっては収穫と課題のハッキリした90分間だったと思います。特に目立った課題は中途半端な繋ぎのミスから、再三カウンターを食らった前半のゲーム運び。「セキさんにも『まず前を見よう』と言われている」(大岩)中で、縦パスが狙われている時に飛ばすパスやシンプルに局面を回避するような臨機応変さは、特に前からプレスを掛けてくるチームの多いJ2では絶対に必要になってくる部分かなと。それでも、パウリーニョ以外は昨年から在籍していたメンバーが顔を揃えた後半は、「やっぱりジェフの選手は個々の能力が高い」と當間が口にしたように、個を生かした連携も頻繁に出てきて、基本的なペースは掌握。「前半はチームとして少し圧力を掛けられて苦しい時間帯もあったんですけど、そこで失点をしなかったと。そして終盤は逆にプレスを掛けてゴールを奪えたと。今日はデビュー戦、1試合目として我々がゴールを決めて、勝利者としてここを去ることができるというのは本当に嬉しいことですし、良い印象があります」とパウリーニョ。残された2週間でディテールを詰めて、長崎とアウェイでぶつかる開幕戦へ向かいます。
開幕戦を想定していたかという質問に「いや、全然。だって今日初めてだもん、90分やるの」と答えた石﨑監督は、開幕戦に向けて見えてきたものに関しても「ないね。だって開幕戦がすべてじゃないし、仙台だっけ?開幕戦が大事だいうのは知ってるけど、リーグ戦の中で34試合の中でどう戦っていくかだから」と相変わらずの石﨑節。それでも「前半と後半で運動量いうのが随分落ちたよね。そういう所も、合宿が4週間続いているのもあるかもわからないけど、まずまずの感じだったんじゃないかな」と一定の手応えは掴んだ様子でした。山形で目を引いたのは、最終ラインでの落ち着いたビルドアップ。昨シーズンの終盤は急造システムだったこともあってか、ややイージーに大きく蹴ってしまう場面も多々見られましたが、この日の前半は山岸も使いながら危ない場面は後方を使って組み立て直すなど、冷静なビルドアップも披露。ただ、「もっとジェフの選手が追ってくると思っていたので、その分前半はあまり来なかった部分はあったし、それを考えたらまだ繋げていない方かなとも思いますし、ボランチを使ってもう少し回せたらもっと前は楽なのかなという。ちょっと申し訳ない気持ちもありましたけど、それはここからですね」(當間)「どちらかというと今はサイドから僕の所に入っているという場面があるので、もう少しボランチと話をして、ボランチの所から縦パスを受けて崩すというのも大事になってくると思います」(林)とボランチを使ったビルドアップへの意欲も十分。J1で戦うシーズンへ向けて、1つ上のプレーを目指す意識も確実に向上してきているようです。「ミスが出るのが練習ゲームだから、そこをどうしていくかというのがポイントじゃないの」と話す熟練の指揮官にはそのポイントもはっきり見えている様子。モンテディオ旋風を虎視眈々と狙う彼らの今シーズンにも注目していきたいと思います。        土屋

 


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1207ajista.jpg3年越しの復讐に燃える黄か、清冽なる下克上を狙う青か。来年の立ち位置を鮮明に分ける90分間のデスマッチ。昇格プレーオフ決勝は、3年目にして初めての舞台となる味の素スタジアムです。
トップディビジョンから遠ざかって早5年。過去2年は昇格プレーオフという魔物に魅入られ、国立と鳴門大塚で涙を呑んできた千葉。臥薪嘗胆のJ2で戦う5シーズン目は初めて前年と同じ指揮官で開幕を迎えたものの、その鈴木淳監督は6月で解任という結末に。それでも、後を継いだ関塚隆監督が手腕を発揮して、過去5シーズンでは最高位となる3位でプレーオフ決勝へ。このレギュレーションが採用されてから唯一の"皆勤賞"を卒業すべく、3度目の正直にドローでも昇格というアドバンテージを携えて挑みます。
クラブ史上初めてJ1という大空を舞ったフライトは、3年で一旦の終焉を。それから2年を共に10位という結果で終えると、クラブが16年ぶりに呼び戻した指揮官は、前身のNEC山形時代を知る石﨑信弘監督。シーズン序盤はなかなか結果が出なかったものの、「メッチャしごかれました」と宮阪政樹も苦笑する厳しい練習の成果が、3バックの採用と共に終盤戦へ来て一気に開花。先週のプレーオフ準決勝では、後半アディショナルタイムにGKの山岸範宏が決勝ゴールを叩き込むという、脚本家なら企画段階で突き返されるドラマチックなシナリオに導かれ、堂々とこのファイナルへ。2年ぶりとなる6位からの下克上完遂はもうすぐそこです。まっさらなピッチへ入場してきた22人の視界が捉えたのは、黄色と緑で彩られたコレオの真ん中にはためくエンブレムと、咲き誇る振り回しタオルマフラーの中央に浮かんだ2つのビッグフラッグ。歴史の証人は35504人。日本最高峰のステージを懸けた一戦は、千葉のキックオフでその火蓋が切って落とされました。


立ち上がりからピッチを支配する「プレーオフ独特の雰囲気」(石﨑監督)。4分は千葉。去年のプレーオフ敗退はベンチで迎えた佐藤勇人がCKを獲得すると、中村太亮が右から蹴ったボールは直接ゴールへ向かうも山岸がパンチング。5分も千葉。町田也真人が奪った右FKを中村が蹴るも、山岸がしっかりキャッチ。7分も千葉。中村、町田とボールが回り、谷澤達也が抜け出しかけるも、ここは「最初ははっきりしたプレーをするということをみんなに心がけさせた」という石井秀典が果敢なタックルで回避。「立ち上がりの入り方に非常に気を付けていた」(町田)千葉がスタートはやや攻勢。
9分は山形。「本当に勝ちたいという気持ちを持った方が勝つ」と言い切った石川竜也の左FKは山﨑雅人に届くも、シュートには至らず。13分も山形。再び左から石川が蹴ったFKはそのままファーに流れ、ここもフィニッシュには持ち込めず。「どうしてもなかなかボールを繋げないとか、お互いに蹴り合ってしまうとか、そういう所が今日のゲームは余りにも多過ぎたんじゃないか」とは石﨑監督。攻撃の時間が長いのは千葉。セカンドも含めたボールアプローチの速さは山形。15分を回っても両者に記録されないシュート。
19分は千葉。森本貴幸のポストプレーから、山口慶が右サイドで縦に付けると、運んだ幸野志有人は角度のない位置からシュート気味にクロスを上げるも、ボールはクロスバーの上へ。22分は山形。キム・ボムヨンが左からロングスローを投げ込み、こぼれを拾った石川のリターンをキム・ボムヨンが上げたクロスは、千葉のGK高木駿がファンブルしてCKに。千葉からすれば嫌な流れの左CKは、「スタメンは今日の昼の12時ぐらいまでわからなかったですけど、自分が入ってもやれるという自信はあった」と語る今シーズンの公式戦では2試合目のスタメンとなった林陵平のオフェンスファウルで回避。前半の半分を過ぎても訪れないフィニッシュ。
25分のファーストシュートは千葉の決定機。町田と谷澤の連携で手にした左CK。キッカーの中村が蹴り込んだボールは、中央でフリーになっていた166センチの町田へドンピシャ。「ちょっと来るような感じはしていたので、当たった感触は良かった」ヘディングはわずかに枠の左へ外れましたが、ようやく生まれたスリリングなシーンにどよめくスタンド。熱戦の導火線に火は点いたのか。
「お互いプレッシャーを掛け合う中で、アバウトでもDFラインの背後にというのは相手にとってストレスだと思うし、逆に向こうも裏に蹴ってきたことに対しても、ウチのDFラインや僕らはストレスを感じていた」と話したのは千葉において不動のボランチを務める佐藤健太郎。ある程度はいつもと違うスタイルでも、"背後"は一歩間違えればそのままチャンスに直結。「どうしてもこういう状況だと蹴り合うシーンが凄く多かったし、相手もこっちも中盤に当ててそこからというのはなかった」と林も振り返ったように、シンプルな縦の応酬が。
27分は山形。川西翔太が左へ振り分け、キム・ボムヨンが入れたクロスへ、成長著しい山田拓巳が突っ込むもオフェンスファウル。30分は千葉。右サイドで幸野が1人かわして中へ付けると、町田がトラップで前を向くも寄せた當間建文が確実にカット。33分は山形。宮阪が放り込んだ左FKから、フリーの山﨑がバックヘッドで狙ったシュートはクロスバーの上へ。35分は千葉。スローインの流れから中村が左クロスを強引に。小さいクリアに幸野が反応するも、滑ったキム・ボムヨンが目に入ったのか左足のシュートはヒットせず、山岸が丁寧にキャッチ。続く「本当にプレーオフの決勝というような、ゲームが落ち着かないような状態」(佐藤勇人)。
唐突な、故に狂喜。37分、石川、宮阪、キム・ボムヨンと3人が絡んで獲得したのは2本目のCK。スポットに立った宮阪の「太亮がゴールを狙って結構良いボールを蹴っていたので、ちょっと悔しかったから直接狙った」軌道は枠を捉えるも、高木が懸命にパンチングで回避。ただ、ボールは再び宮阪の足元へ。「そんなに中は見えていなかったけど、誰かに当たればと」右足で振り抜いたクロスを、中央で待っていたのは山﨑。ほとんどスタンディングで当てたヘディングは、右のポストを叩いてゴールネットへ転がり込みます。「最初は外れたと思ったので、喜ぶのがちょっと遅れたんですけど、最終的にはザキさんのゴールへの強い想いというか、そういうみんなの想いというのをボールに乗せてくれたんじゃないかなと思う」と宮阪も振り返った一撃。チームキャプテンの咆哮に、連なるチームメイトの咆哮。当然、その伝播はアウェイのゴール裏まで。「勝たなければJ1昇格がない」(石﨑監督)山形がスコアを動かしました。
「ウチの普段の感じではなかったけど、やられる感じはなかった」(山口慶)中で、ビハインドを追い掛ける格好となった千葉。43分には高い位置でボールを奪った谷澤が、そのままドリブルからミドルを放つもボールはクロスバーの上へ。逆に45+2分には山形にビッグチャンス。石川の左FKをファーで石井が折り返すと、飛び込んだ當間のヘディングはヒットせずに枠の左へ外れましたが、あわや2点目というシーンを。想像通りとも言うべき重苦しい最初の45分間は、山形が1点のリードを手にしてハーフタイムへ入りました。


後半のファーストシュートは青白。49分、キム・ボムヨンからのリターンを宮阪が左のハイサイドへ落とすと、最後方から駆け上がった石川の折り返しを川西がダイレクトで叩いたシュートはクロスバーの上へ越えるも、「オーバーラップも掛けたいし、攻撃の部分で貢献できたらと思っている」というベテランレフティの演出で、まずは山形がサイドから良い形を創出します。
52分は千葉。中村の右CKは山岸がパンチングで弾き出し、千葉が押し返したボールはオフサイドの判定。55分は山形。石川の左FKを石井が頭で折り返すも、高木がきっちりキャッチ。56分は千葉。左から中村が入れたFKを、ニアで山口智が薄く当てたヘディングは枠の上へ。59分は山形の好機。川西、當間とボールが回り、山田はヒールで繋ぐと、當間はエリア内へ侵入。シュートは山口智が何とかスライディングで回避しましたが、3バックの攻撃参加も出てきた山形は「連動して前の3人で行くというのをイメージしている」と林も話した前からの守備に関しても「後半はうまく前からプレスというのは行けていた」と宮阪が認めた通り、よりスムーズに。守備陣の攻撃も、攻撃陣の守備も、うまく噛み合い始めた山形に傾くゲームリズム。
60分も山形。石川の右CKは高木がキャッチ。62分も山形。石川が左の裏へフィードを通すと、縦に抜け出したキム・ボムヨンのクロスは高木が何とかセーブ。65分も山形。相手GKのキックを前に出てインターセプトした山田はそのままドリブル開始。谷澤と中村の間を果敢に突き進み、最後は谷澤のファウルで倒されたものの、J1を経験している生え抜きの25歳が披露する積極性。
その山田のサイドはこの一戦の重要なキーポイント。千葉のストロングは明らかに左サイドであり、すなわち中村のオーバーラップとクロス。それはもちろん山形も織り込み済みで、「去年一緒にやっていた太亮なんで、僕らは同い年だけど、負けたくないという気持ちは僕より強いものがあったと思う」と宮阪も認めた山田は、「とにかく今はチームが勝つために自分ができることをやろうと思っていた」とキッパリ。続けて「自分のプレースタイルとは今日はちょっと違ったけど、左サイドを抑えるという意味ではある程度合格点は与えていいのかなと思う」と言及したように、心中覚悟で中村を抑え込むことに成功します。
66分には目まぐるしい攻防。右CKを石川が蹴り込むと、高木のパンチングから一転、千葉の高速カウンター。右サイドで谷澤が繋ぎ、受けた幸野は左へ大きくサイドチェンジ。町田と松岡亮輔は1対1。町田のカットイン、カットイン。一瞬置いて狙ったシュートは、しかし松岡が体でブロック。こぼれたボールも松岡が大きくクリア。コンディション不良でプレーオフ準決勝を欠場したボランチが、必死の対応で危機回避。スコアは変わらず。残された時間はあと20分。
73分は山形。中村とのパス交換でファウルをもらったのは「『自分が自分が』と難しいことをするのが頑張るということではなくて、周りをうまく使いながら良いポジションを取ってとか、それを連続しさせていくことがチームとして望ましいと思う」と語る佐藤健太郎。中村の左FKをニアで森本がフリックすると、松岡が懸命にクリア。拾った佐藤勇人が戻し、山口慶の右クロスに山口智が宙を舞うも、最後はしっかり競りに行ったキム・ボムヨンがオフェンスファウルを奪って危機回避。この一連を受けて、「後半の途中から千葉の左サイドの谷澤と中村の所で崩しが入ってきたので、それに対してこのままではやられるかなと」判断した石﨑監督は、両チーム通じて初めての交替を決断。殊勲の山﨑を下げて、ロメロ・フランクをそのままシャドーに投入し、サイドのケアにも余念なし。
76分に川西のパスから宮阪が思い切ったミドルを枠内へ飛ばしたシーンを見届け、関塚監督もようやく1人目の交替に着手。77分、町田に替わってピッチへ解き放たれたのは切り札のケンペス。リーグ戦13ゴールとチームのリーディングスコアラーでもある9番に託された、昇格へと続く扉を開けるために必要なゴールという名の鍵探し。
78分は千葉のビッグチャンス。中村の左FKはクリアされましたが、相手ボールを山口智が高い位置で奪い返すと、そのまま中央へ。走り込んだ谷澤のミドルは枠を捉えるも、山岸が横っ飛びで掻き出すと當間がヘディングで間一髪のクリア。79分も千葉。ケンペスが粘って取った右CKを中村が入れるも、林が高さを生かして確実にクリア。80分も千葉。中村が左サイドで縦に送り、走った谷澤がエリア内で仕掛けるも、當間が何とかスライディングでクリア。そのCKを中村が放り込み、キム・ヒョヌンが高い打点のヘディングで叩くも、混戦から石井が大きくクリア。残された時間はあと10分。
2人目の交替は先に千葉で85分。幸野と田中佑昌のスイッチで、サイドのギアを大きくチェンジ。後に山形で87分。松岡と舩津徹也のスイッチで、中盤のパワーとスピードを再度増強。89分は千葉。森本、ケンペスと2トップが絡んだお膳立てのパスに谷澤が走り込むも、飛び出した山岸が大事にキャッチ。「後半15分くらいから普段足が攣らない俺も攣ってきましたからね。攣らない俺が何でこんな攣ってんだと思った」という林もこの時間で前線から必死のチェイス。アディショナルタイムは4分。J1か、J2か。その明確な境界線はあと240秒とわずかで。
90+1分は山口智もキム・ヒョヌンも含め、「最後はみんなヘディングの強い選手が上がって来ての放り込み」(石井)に打って出た千葉の決定機。飛び出した山岸より一瞬早くボールに触った森本が右から折り返すと、反転したケンペスがきっちり枠内へ収めた左足シュートは、しかし全力で戻った山岸がファインセーブで仁王立ち。拾った谷澤は4人のDFが囲い込み、何とかクリア。直後も千葉のフィニッシュ。田中が相手のクリアを頭で差し戻し、ケンペスが競ったこぼれを山口智がエリア内へグラウンダーで。マーカーを弾き飛ばした谷澤の反転シュートは、ここも山岸ががっちりキャッチ。「今年は浦和でなかなかチャンスが掴めなくて、言葉は悪いかもしれないですけど、モンテディオ山形に拾ってもらった感じはある」と準決勝後に語った守護神のオーラは、試合前にゴール裏を包んだビッグフラッグの炎そのもの。「本当に彼がチームに入ってくれたおかげで一つにまとまった」と指揮官も認める山岸を中心に、途切れない山形ディフェンスの集中力。90+2分には最後の交替カードとして走り切った川西をイ・ジュヨンに入れ替え、きっちりと時間を使いながら待ち侘びるその瞬間。
佐藤勇人が大きく蹴り出し、ケンペスが頭で繋いだボールに山口智が反応するも、石川と石井が2人でカバーに入り、ボールがゴールラインを割った94分30秒、味の素スタジアムを切り裂いたファイナルホイッスル。「サッカーには技術とか戦術とか体力とか色々な要素があると思うが、その中で特にこの終盤にかけて選手が良くなってきたのは、その戦う気持ちの所。今の山形の選手はJ1に出したら技術、戦術の所でかなり劣ると思うが、"戦う"部分に関してはどこよりも強くなったんじゃないかなと思う」と石﨑監督。調布の空に響き渡る山形の凱歌。6位でプレーオフへ滑り込んだ青白の侍が、虹の向こうに待っている4年ぶりのJ1復帰を勝ち取る結果となりました。


「この1年間戦って、本当に色々な選手が試合に出たんですけど、全員がハードワークした結果、J1昇格という形に繋がったんじゃないかなと思います」と石﨑監督が話した通り、山形の昇格はまさにチーム力の勝利だったと思います。この一戦のキックオフをピッチで迎えた11人の内、開幕戦にもスタメン出場していたのは4人のみ。今や欠かせない戦力となった山﨑と川西の2シャドーも、スタメンに定着したのはチームが3-4-3を基本布陣にシフトした9月からであり、3バックの中央を務め上げた石井もリーグ初スタメンは22節でようやく。「ディエゴの代わりをよくやってくれたんじゃないかと、本当に彼以上の仕事を今日はしてくれたと思う」と指揮官から名指しで賞賛された林に至っては、昨シーズンに負ったケガの影響もあってリーグ戦のスタメンは1試合もありませんでした。ただ、その林が「どんな時も真摯に取り組んできたから今日90分ピッチに立てたかなと思うし、自分の力というか、それは色々な人の支えがあったんですけど、そういうのが今日のピッチを引き寄せたと思うので、これからの教訓になると思います」と笑顔を見せれば、石井も「常に試合に出られない時でも、僕自身がまずは腐らず、どんな状況でもしっかりやるというのは意識してやっているので、そういう姿を見て、たぶん今は出ていない選手もそういったモチベーションでやってくれていると思う」とキッパリ。そして彼らがそういう姿勢でトレーニングに臨んでいたのは、おそらく「選手のサッカーに取り組む所というのを一番大事にしていきたい。サッカーを上手になりたいとか、試合に勝ちたいとか、さらに上のレベルに行きたいとか、そういう気持ちの部分を強く持ってもらわないと」という想いで指導に当たる指揮官を見ているから。「来週も凄い練習をすると思うんですけどね」と苦笑いしながら宮阪が口にした練習の先に待つ今年最後の大一番が終わった横浜の空に、再び山形の凱歌が上がっていても、決して不思議ではありません。      土屋


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