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J SPORTS J.LEAGUE

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chiba0519.JPG「20年前にJリーグが発足した時からやっているチームと、20年前だったら多分田んぼか畑でサッカーをやっているチーム」(松本・反町康治監督)が12212人もの大観衆の中で対峙する一戦はフクアリです。
富山相手に3点リードから、終盤の2失点で追い上げられながらも何とか逃げ切り、今シーズン初の3連勝を飾った千葉。ここまで11ゴールと得点ランクトップを快走するケンペスに注目が集まる中、完全にSBへ定着した米倉恒貴と兵働昭弘で組む右サイドの存在感も抜群。攻撃的なスタイルでさらなる上位を窺います。
一方、延期されていた東京V戦を水曜日にこなし、勝ち点1を手に入れた松本もここ5戦無敗の9位と、上々の位置に付けています。ここまでを振り返って「全体的には悪い試合の方がちょっと多かった。それが徐々にいい試合になりつつある」と反町監督。このゲームは、20年の時を掛けて同じ位置まで辿り着いた後輩として、先輩に一泡吹かせたい一戦です。アウェイゴール裏のチケットはソールドアウト。多数の黄色と熱狂的な一角の緑が揺れる中、千葉のキックオフで注目の好カードはスタートしました。
開始16秒の閃光。田中佑昌、ケンペス、兵働昭弘と細かく回り、フィニッシュはケンペスの枠内ミドル。ここは野澤洋輔がファインセーブで回避しましたが、いきなりのフルスロットルは千葉。直後と4分にはCKを兵働が相次いで蹴り入れ、バックパスのミスから松本に献上したCKも凌ぐと、6分にも田中のボールカットから谷澤達也が枠内ミドルを放ち、野澤が何とかキャッチ。押し込み続けます。
さて、早速耐える時間を強いられた中3日の松本。難敵相手に知将の編み出したアイデアは「向こうのストロングな右サイド」を考慮した、本来は右WBを定位置にする玉林睦実の左WB起用。走力に自信を持つ玉林を「相手の右サイドとヨーイドンで競走させるイメージ」(野澤)で米倉にぶつけ、右のWBにはJリーグデビューとなるルーキーの飯尾竜太朗を抜擢。立ち上がりこそラッシュを掛けられたものの、玉林と「右サイドの専門性を発揮して、いい入り方をしたと思う」と反町監督も評価した飯尾がサイドに粘り強くフタをかぶせ、徐々に千葉の勢いを削ぐことに成功します。
21分に谷澤、佐藤健太郎と繋いだボールを、強引に米倉が大きく枠外へ飛ばしたミドルは、チーム15分ぶりのシュート。22分にも焦れたケンペスの左足ミドルはクロスバーの上へ。24分に谷澤が放ったミドルもDFに当たって野澤がキャッチ。さらに29分の兵働がチャレンジしたミドルもしっかり岩沼俊介がブロック。4本いずれのフィニッシュもエリア外から。シュート数の増える千葉も決定機は創り出せません。
松本のファーストシュートは33分。船山貴之からパスを引き出した北井佑季は縦へ。長沢駿が落とし、再びボールを呼び込んだ船山のミドルはDFに当たって岡本昌弘がキャッチしましたが、いい形からのフィニッシュワークを生み出します。ただ、1トップに入った長沢の見せ場はこれくらい。38分に田中の左クロスから谷澤が際どいヘディングを枠の右へ飛ばした直後、「ここをしっかりプレーして欲しいという所でプレーできなければ、チームの攻撃は成り立たない」と長沢を評した反町監督は塩沢勝吾との交替を決断。24歳のCFには厳しい現実が突き付けられました。
残り5分の攻防に火を点けたのは「ファーストプレーでできなかったらもう絶対できないと思ったので、そこだけは絶対体を張るぞと思って」一度クサビを捌き、味方が失ったボールも果敢なチェイスで奪い返した塩沢のワンプレー。このガッツに双方が呼応。44分は千葉。10本近くバイタルでパスを繋ぎ、最後に佐藤勇人の打ち切ったミドルは野澤が懸命にセーブ。45分は松本。北井が右から放り込んだクロスがこぼれると、船山のダイレクトボレーは岡本がファインセーブで応酬。「前半は拮抗してやっていた」とは反町監督。ある程度お互いに納得の45分間は、スコアレスで推移しました。
後半は殴り合いからのスタート。47分、相手CKからのカウンターは千葉。谷澤のスルーパスから抜け出した兵働の1対1は、しかしシュートが弱く野澤がキャッチ。松本の逆襲。野澤のスローインを受けた船山が右足アウトでDFラインの裏へ。竹内彬に競り勝った北井のシュートは、しかし枠を捉えられずサイドネットの外側に。双方が決定機を逃す展開で残り45分が幕を開けました。
50分は千葉。谷澤が右サイドから中へ送り、こぼれを佐藤勇人がミドルに変えたボールは、野澤が果敢にキャッチ。52分も千葉。兵働が右から上げたクロスは中で誰も触れず、ゴール方向へ向かうも野澤が回避。58分も千葉。竹内がフィードを裏へ落とし、米倉を経由して兵働が放ったミドルは枠の上へ。重なる千葉のチャンスと、変わらないスコアボードの数字。
「後半の松本は意図的に縦に長いボールを蹴ってきたが、そのセカンドボールが全然拾えなくて後手を踏んでしまった」と鈴木監督。60分の松本。岩沼が蹴った右FKから、「シュートチャンスを創ろうという意識はかなり高かった」塩沢が狙ったヘディングはクロスバーにヒット。
続く62分の松本。多々良敦斗がフィードを前方へ送ると、「ここに当てれば絶対に落とせてシュートにいけるなと思った」という塩沢は頭で落とし、走り込んだ北井のシュートは岡本が何とか防いだものの、流れを一気に引き寄せた松本。そこには、「裏へのボールを引き出せたし、ポストプレーでアクセントになれたかなと思う」と手応えを口にした塩沢の奮闘が間違いなくありました。
千葉の「守備よりも攻撃という選手交替」(鈴木監督)は70分。佐藤勇人に替わって、ピッチへ送り込まれたのはジャイール。これで兵働がボランチへ落ち、その前には右から田中、ジャイール、谷澤という並びに。当然狙うのは先制点。75分には松本も「結構空いてきたスペースで、ボールを受けるのは一番上手い」(反町監督)弦巻健人を、北井に替えて投入。当然狙うのは先制点。
77分の沸騰。ケンペスのパスを右サイドでもらったジャイール。正対した多々良を股抜きでかわすと、そのままニアサイドへ鋭いクロス。走り込んだ谷澤がダイビングヘッドで薄く当てたボールは、ゴール左スミへゆっくりと吸い込まれます。「最近は点を取りたいという気持ちが強かった」と語った谷澤の、実に11試合ぶりとなる今シーズン2点目は貴重な先制弾。「ボールを持つ時間が短く、単調になってしまった」(鈴木監督)中でも光った個人のアイデアで、千葉がとうとう1点のアドバンテージを得ました。
警戒していた右サイドを「非常にうまく抑えられていた」(野澤)中で、「崩されたは崩されたけど、最後は"個"の力」(同)に屈してビハインドを負った松本。79分には3枚目の交替カードとして、反町監督も「展開力があるし、ミドルも持っている」と言及した岩渕良太を岩沼に替えてそのままボランチへ。何とか1点を奪いに最後の勝負へ打って出ます。
81分は松本。弦巻の左CKを岡本が弾き、こぼれを直接叩いた船山のボレーは枠の右へ。84分も松本。玉林のスルーパスから、裏を取った船山は寄せた2人の門へラストパス。弦巻渾身のシュートは山口智が体を投げ出してブロック。85分も松本。船山が左から右足でクロスを送り、塩沢の完璧なポストを経て、弦巻の狙ったボレーはヒットせず。87分は千葉。岩渕のミスパスがケンペスに渡ると、松本の攻撃から一転して3対2のチャンス。しかし、ケンペスとジャイールを多々良が1人で食い止め、1-0は変わりません。
もはやCBの飯田真輝を最前線に上げて、意地でも負い付きたい松本。88分には多々良のフィードに飯田が競り勝つも、塩沢が収めかけたボールは山口智が未然にカット。終盤にその存在感を増していく千葉のベテランCB。1つずつピンチの芽を摘み取っていきます。そして、このシーンが松本にとっては最後のチャンス。2人残していた交替枠も89分からきっちり使い切る念の入れようで、試合をクローズさせた千葉の粘り勝ち。「非常に厳しい試合」(鈴木監督)を制し、ほぼ1年ぶりにリーグ4連勝を達成する結果となりました。
「松本相手にそんな簡単に得点できないだろうということを踏んで、今日はじっくりいこうと考えていた」と鈴木監督が話した千葉は、後半に入って先に足が止まるなど厳しい展開の中、まさにじっくり攻めてジャイールと谷澤の"個"で1点をもぎとった格好です。このゲームでも目立っていたのは、完璧なラインコントロールだけではなく、最後の局面で体を張れる山口智の存在感。彼が最後尾でどっしりと構えている限り、千葉が大崩れすることはまずないでしょう。改めてその絶対的な力を思い知らされました。
「どうやって負けるかも非常に大事。そういう意味では今日はグッドルーザーだなと僕は思っている」と反町監督も言及した松本は、まさにその言葉通りの内容だったと思います。「タフにアグレッシブに戦えていた」と野澤が話せば、「少しでもボールを収めて、ボールを前に運んでという所では五分くらいの働きはできたかなと思う」と自身のプレーを振り返ったのは塩沢。さらに、「フクアリの雰囲気も凄くて、1つ1つのスピードやパワーも今までとは違うなと思った」とデビュー戦を振り返った飯尾も、「これで少し自信になったんじゃないかな」と反町監督から及第点を与えられるなど、内容的には収穫の多い90分間だったのではないでしょうか。5勝5分け5敗という数字を問われ、「パチンコだったらフィーバーじゃないですか」と何とも"ソリさんらしい"コメントを残した指揮官。追い求める"信州松本のフットボール"は着実にその輪郭を現しています。            土屋

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mitsuzawa0516.JPG1993年5月15日。あの日、国立競技場で栄えある開幕戦の舞台に立ったトリコロールが、まさに20年後の同じ日に三ツ沢へ帰ってきました。
11節終了時で2位をキープするなど好調を維持しているリーグ戦同様に、ナビスコカップでも結果を出し続けている横浜FM。グループ首位の磐田をホームに迎え、「二兎を追うものだけが二兎を得る」(小林慎二ヘッドコーチ)と頂上奪取を懸けて、ベストメンバーを揃えてきました。
一方、森下仁志前監督の退任を受け、長澤徹ヘッドコーチが監督に昇格して、これが3試合目の公式戦となる磐田。苦しい時間が続くリーグ戦とは対照的に、ナビスコカップでは3勝を挙げており、立っているのはリーグテーブルの一番上。グループ突破のために、そして何よりチームが自信を取り戻すためにも、アウェイとはいえ勝ち点3が求められる90分間になります。
ゲームが始まる前には、20年前の国立のピッチに立ち、この日は解説者として三ツ沢を訪れていた水沼貴史氏に、当時のチャントを大音量で贈った横浜サポーター。Jリーグが積み重ねてきた歴史の重み。5月15日の「勝った方が決勝トーナメントに近付く首位攻防戦」(栗原勇蔵)は、磐田のキックオフでその幕が上がりました。
いきなりの決定機はサックスブルー。3分、左サイドで相手のボールを奪った藤田義明のクリアは、風にも乗って中澤佑二の頭上を破ります。フリーで抜け出したのは山崎亮平。迫るゴールネットと、迫る榎本哲也。山崎のシュートが当たったのは後者。土曜日のリーグ戦では土壇場のPKストップで、チームに勝ち点3をもたらした守護神が今日もいきなりビッグセーブ。先制点は記録されません。
以降のペースを握ったのは横浜。7分、中村俊輔が右から蹴ったFKは駒野友一の頭をかすめて八田直樹がキャッチ。11分、再び右サイドで得たFK。中町公祐が少しずらし、中村がキックフェイントで1人かわして右足で上げたクロスは、DFが何とかクリア。その流れから中村の左CKを、ニアで中町が合わせたヘディングは枠の左へ。15分、中村の右FKはGKがパンチング。セットプレーでのチャンスが続きます。
横浜で目立ったのは右のハイサイドを狙うシーンが多かったこと。1トップ下に入っていた中村も比較的右へ流れることが多く、磐田ディフェンスが中村にはファウル覚悟で厳しく寄せていたことも手伝い、右サイドでのセットプレーが増加。また、徐々に富澤清太郎と中町の正確なサイドチェンジも有効に、両サイドを制圧し始めたホームチーム。
16分にマルキーニョスが兵藤慎剛とのワンツーで、流れの中からのファーストシュートを枠の上へ飛ばすと、20分、22分、23分といずれも中村がFK、FK、CKと鋭いボールを中へ。23分にもドゥトラが中村へサイドチェンジを付けると、レフティファンタジスタは縦に持ち出してフィニッシュまで。ここは伊野波雅彦が体でブロックしましたが、24分も中村の右CK。ニアで中澤佑二が当てたヘディングは、シュートにはカウントされずも迫力十分。中村のキック精度もジワジワと上がり、バリエーションも豊富。ゴールの予感が漂います。
さて、ややセットプレーを与え過ぎた印象もある磐田は、13分にチョン・ウヨンのクサビを山崎が捌き、「バイタルでプレーできる」と長澤監督も評したペク・ソンドンが放ったシュートも枠の左へ外れると、以降は30分近くフィニッシュを取れない状態に。2トップにもボールが入らず、前で時間を創れないために、全体に厚みのある攻撃が鳴りを潜めます。
それでも、42分には最高の形から2度目の決定機。中央をドリブルで運んだ前田遼一のパス。山田大記が預けた山崎は絶妙のヒールでラストパス。完全に崩して山田が放ったシュートは、しかし榎本が残した足でビッグセーブ。ペースを握りながら決定機は創れなかった横浜と、ペースを握られながら2度の決定機を創り出した磐田。ただ、スコアは動かず。0-0で最初の45分間は終了しました。
後半に入り、先にスタンドを沸かせたのは「残り45分、全力で戦い切ろう」と小林ヘッドコーチに送り出されたホームチーム。47分、ドゥトラの左クロスがこぼれると、もはや横浜の大きな武器となっている富澤のキャノンミドルが炸裂。惜しくもボールは枠の右へ逸れましたが、54分にも相手のパスミスを兵藤がかっさらい、最後は中村のシュートがDFに当たってゴール左へ。積極的にゴールを奪いに出て行きます。
55分は磐田。駒野、前田、ペク・ソンドンと繋ぎ、今季初出場となった松岡亮輔のミドルはクロスバーの上へ。56分は横浜。ドゥトラの左クロスに、逆サイドから走り込んだSBの小林祐三が折り返すと、兵藤のフィニッシュは松岡が体を挺してブロック。58分は磐田。左サイドで山田が超人的な身のこなしから縦へ送ると、上がってきたSBの藤田はカットインシュートまで持ち込むも、榎本がキャッチ。横浜ペースで推移する中、磐田にも少しずつ生まれ始めたチャンス。
トリコロールの歓喜は62分。チョン・ウヨンのサイドチェンジが届かず、横浜ボールになったビルドアップから、富澤は完璧なサイドチェンジを左へ。運ぶ齋藤学。切れ込む齋藤学。いなしたヒールを中町が中央へ入れると、「ニアへDF2枚が速く入って行ったので、ファーに入った」マルキーニョスは背筋の強さを最大限に生かしたヘディングで、八田の届かない位置へボールを送り届けます。「しっかりしたベースがあってこそのヘディング」(マルキーニョス)。エースの一撃で横浜が一歩前に出ました。
エリア内での決定機数では勝りながら、リードを許した磐田。65分には駒野のラストパスから松岡がエリア内へ飛び込むも、栗原がさすがの危機察知能力で回避。66分、67分と駒野が右、左と蹴ったCKもシュートには至りません。すると、長澤監督の決断は73分の2枚替え。72分に横浜がマルキーニョスと藤田祥史を入れ替えたのを見届けると、山崎とペク・ソンドンを下げて、金園英学と山本康裕をそのままのポジションへ送り込み、一気に勝負へ。76分にはその金園が中盤で中村からボールを奪い、最後は前田がゴール右へ外れるフィニッシュ。首位堅持へギアを一段上げに掛かります。
ところが、77分に記録された追加点。菅沼駿哉のミスパスを拾った齋藤は藤田に預けてゴー。リターンを受けると、軽やかなステップからGKの股下を高速で破るシュートがカウンターの帰結点。「受ける前にあのイメージはできていた」と自ら語った齋藤のゴラッソ。点差が広がりました。
64秒後のダメ押し。磐田最終ラインでのビルドアップ。ボールを持った伊野波に敢然と向かって行った藤田は、ショルダーチャージでボールを奪うとすぐさま中村へ。中村対八田。重心を見抜いた中村は、タイミングを外してゴール左へさすがの一刺し。3-0。勝敗は決しました。
伊野波の負傷で、最後のカードは金沢浄を切ることになった磐田。「全体のポジショニングと、少し重心が前に掛かってしまった」(長澤監督)ことで喫した3失点は重くのしかかり、82分に駒野とのコンビネーションで前田が狙ったシュートもヒットせず。「後半は相手のゴールを目指すということに対して少し問題が残った」と長澤監督。対照的に「全体的にいいゲームだったと評価している」と小林ヘッドコーチ。横浜が理想的な形で勝ち点3と首位の座を奪い取る結果となりました。
このゲームに関しては、ボランチの差が如実に勝敗へ直結したゲームだったと思います。横浜の先制点はチョン・ウヨンのサイドチェンジと、富澤のサイドチェンジが得点の大きな要因。この場面だけではなく、特にサイドチェンジのアイデアと精度は富澤と中町のコンビが大きく上回っていた印象を受けました。終盤はマルキーニョス、中村、中澤を相次いでベンチへ下げるなど、余裕を持ってゲームをクローズした横浜。2004年のリーグ優勝以来、9年間遠ざかっているタイトル奪取も十分現実味を帯びる、聖地・三ツ沢での快勝劇でした。       土屋


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tochigi0512.jpgバクスターの系譜を引き継ぐ名将同士の対峙。4位栃木と2位長崎という、今節屈指の好カードとなった上位対決はグリスタです。
前節こそ愛媛の前に3-0という大差で敗れたものの、そこまでは4連勝と好調をキープ。失点もここまでリーグ2番目に少ない9失点で4位と、松田浩監督体制5年目での今シーズンは、もはや昇格争いに食い込むことへ何の意外性もなくなってきた栃木。さらなる浮上を懸けて、勝ち点2差の長崎をホームで迎え撃ちます。
一方はJリーグ昇格初年度にもかかわらず、前節のドローでとうとう2位にまで順位を上げた長崎。どのチームも簡単に勝ち点を重ねられない戦国模様を呈しているJ2の中でも、「1人1人がよく考えているので、お互いがお互いをカバーする意志統一もできている」と高杉亮太が話した通り、高木琢也監督の下、個々の力の最大値をうまく掛け合わることで、10戦無敗という快進撃を続けています。確実に夏の気配が青い芝から漂うグリスタは13時キックオフ。廣瀬浩二がボールを蹴り出し、ビッグマッチはスタートしました。
お互いに前線からのハイプレスを敢行し、なかなかチャンスが生まれずに立ち上がったゲームで、ファーストシュートがもたらした先制点。8分、自陣深くでボールを持った長崎の右WB金久保彩へ、猛然とチェイスを仕掛けたのは栃木のハードワーカー系ストライカーの廣瀬。執念のカットから中へ送ったボールはDFに当たったものの、こぼれに反応したクリスティアーノは右足一閃。ゴールネットへ突き刺さった弾丸。廣瀬とクリスティアーノの"らしさ"が融合し、まずは栃木が1点のリードを奪いました。
さて、「前からのプレッシャーは予測していた」(高木監督)中で、そこから失点を喫してしまった長崎のファーストシュートは、岩間雄大が放った可能性の薄い17分のミドルまで待つことに。「もっと相手のSBの所でハマると思ったのに全然ハマらず、後手を踏んでパスで外されることがかなりあった」と高杉が話せば、「いつもなら連動してハマる所が1人浮いたり、僕がプレスを掛けた時にパスを出されたり、うまくハマらなかった」とは左WBの山田晃平。守備の狙いが外れ、いい形での攻撃へと繋げられません。
ところが、18分にハマったもう1つの狙い。栃木が最終ラインでパスを回していたシーン。「前にも横にも行けるポジションを取っていた」山田の視界が捉えたのは、パスのわずかなズレ。「『コレは取れそうだ』と思って、思い切りプレスを掛けた」山田の足に大和田真史のクリアが当たると、ボールが選んだのは山田の足元。1つ中へ持ち出して打ち切ったシュートは、右ポストの内側を叩いてゴールへ転がり込みます。「相手の最終ラインで引っ掛けようというのは、チームとしてあった」と高木監督。狙い的中。長崎が"仕返し"のような形で追い付いてみせました。
「与えるべきではないゴール」(クリスティアーノ)でリードが霧散した栃木でしたが、失点以降もゲームは冷静にコントロール。27分には菅和範のクサビを近藤祐介が収め、クリスティアーノのパスからパウリーニョが放ったシュートはDFがブロック。33分にも近藤、パウリーニョと繋ぎ、クリスティアーノのヒールを経由して、上がってきた菅のシュートは金久保が体でブロック。「セカンドボールはだいぶ向こうに行っていた」と山田。掛かる黄色の圧力。
40分にピッチを貫いた高速カウンター。長崎のいいパスワークが神崎大輔のスルーで途絶えると、そこから栃木の雷光が発進。クリスティアーノのパスを引き出した廣瀬が左へ送ると、まったくのフリーで走り込んで来たのは「彼も菊岡(拓朗)と遜色のない状態でいつもスタンバイしてくれている」と松田監督も認めた杉本真。トラップから左足で綺麗にミートしたボールは、ゴール右スミへ迷いなく飛び込みます。今季初スタメンの小柄なハードワーカーが大仕事。再び栃木が一歩前へ出ました。
以降はホームチームのラッシュ。43分、クリスティアーノの直接FKはカベに当たりましたが、直後にも菅のフィードから廣瀬が抜け出し、杉本のあわやというシュートが。45分にはクリスティアーノの左CKを、ファーで大和田が合わせたヘディングは枠の右へ。さらに45+1分にはチャ・ヨンファン、45+2分にはクリスティアーノがそれぞれミドルを放つなど、3点目への意欲も十分。栃木が1点のアドバンテージを握って、最初の45分間が終了しました。
ハーフタイムを挟み、迎えた後半のファーストチャンスも栃木。47分、クリスティアーノが右から蹴り込んだCKを、當間建文が頭に当てたボールはわずかに枠の左へ。50分には長崎にも好機到来。前半途中に岩間の負傷交替を受けて急遽ピッチへ送り出された前田悠佑のパスから、小笠原侑生が右サイドを突破し、折り返しに走り込んだ井上裕大のシュートは、しかし枠を捉え切れず。頭を抱える井上。点差は変わりません。
「アタッキングサードから先はなかなかやらせてもらえなかった」(高木監督)状況の中、先に動いたのは元ストライカーの指揮官。61分、神崎に替えて古部健太を左WBへ投入。山田が左から右へスライドし、前田はアンカー気味のポジションへ。その前に金久保と井上を配し、前線にも水永と小笠原が並ぶ3-3-2-2気味にシフトさせ、同点、そして逆転を目指します。
とはいえ、「点を取ってからはしっかりブロックを作るのが基本」(高木監督)。水も漏らさぬと形容される栃木のゾーンブロックは、「負けている状況だから、前から行く意識はあった」(山田)長崎の侵入者をほぼ完璧に捕獲。エアバトラーの水永翔馬も大和田と當間がいい態勢では競らせず、ポジティブに膠着させた展開を生み出し、確実に潰していく時間。
高木監督の決断は75分。切った最後のカードは、山田に替えてチームトップスコアラーの佐藤洸一。最終ラインも右から高杉、下田光平、山口貴弘、古部の4バックにチェンジ。中盤は前田をアンカーに金久保と井上が1つ前へ並び、前線も水永を頂点に置いて、その下に佐藤と小笠原が入る4-3-3で最後の勝負に出ます。
逆に手持ちのカードをフルに残していた松田監督は、77分に1人目の交替。「本当によくやってくれた」と賞賛した杉本を下げて、こちらもチームトップスコアラーのサビアを前線へ投入。近藤をSHへずらし、当然追加点を狙いつつも、もう一度ハイプレスの意識を徹底させます。
長崎の3分間。85分、古部の横パスをもらい、「チャンスがあればどんどん上がっていこうと思っていた」高杉がコースを突いたシュートは枠外へ。86分、小笠原、古部と繋ぎ、佐藤が粘って足を伸ばしたシュートは菅がきっちり体でブロック。87分、山口のフィードを水永が競り合って落とすも、佐藤のミドルはヒットせず。ようやく掴んだチャンスの芽も摘み取られ、栃木は87分に近藤と三都主アレサンドロ、90分に山形辰徳と赤井秀行を入れ替える、磐石のゲームクローズ。「危ない場面もそうない」(松田監督)展開で、整えた"終わらせる"手はず。
交差した悪夢と奇跡。90+3分、GKの金山隼樹もゴール前に駆け上がってきた長崎のCK。「どんな試合でも諦めるということは、自分の中ではない。最後まで信じてゴールを目指した」金久保が右から蹴ったのは、意外にもアウト気味のストレートボール。その球体は「GKの前に立って少しでも邪魔できれば」とゴール前に入った高杉へ一直線。「結構低いボールで誰も触らなかったので、『オイオイオイ』と思いながら」突き出した頭。1秒後の狂喜。今季セットプレーでの初ゴールは衝撃の同点弾。諦めない長崎が土壇場でゲームを振り出しに揺り戻しました。
諦めない栃木。90+3分、キックオフのボールを三都主が左へ送ると、クリスティアーノは中へ。ルーズボールにいち早く反応し、宙を舞ったサビアのオーバーヘッドは、DFに当たってわずかにゴール右へ。95分10秒、熱闘に終わりを告げる前田拓哉主審のホイッスル。「2ポイントを逃してしまった」とクリスティアーノ。「我々にとっては大きな勝ち点1になった」と高木監督。両者譲らず。意味合いの大きく異なる勝ち点1ずつが、双方に加えられる結果となりました。
「コントロールできていた試合」(松田監督)にもかかわらず、最後の最後で白星が逃げていった栃木。「2点とも崩された失点ではない」(近藤)中でのドローは、悔しさが残る結果でしょう。それでも守備の安定も含めて、やはりこの順位にいるのが納得できるような強さを同時に見せてくれたのも間違いありません。今シーズンは最後まで昇格争いに絡んでいくのではないかなと、個人的には感じました。
「常に先行される展開の中で、最後のあの時間帯で追い付けたのは素晴らしい。選手たちは本当によく頑張った」と高木監督も語った長崎は、これで無敗記録を11試合まで伸ばしています。印象的な全員のハードワークを問われた山田は「ハードワークはチームの特徴というよりもしないといけないことなので、そこは毎日の練習から意識している」とキッパリ。「一戦一戦必死に全力で戦っている。そういう気持ちの部分がこういう結果に繋がっているのかな」とは金久保。旋風も14節まで吹き続ければ、もはや日常。見えてこない長崎の"着地点"は果たして何処に。       土屋


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mitsuzawa0421.jpg2006年にJ1昇格を目指し、激しく鎬を削ったのはもはや7年前。それ以来となるJ2での対戦は、日本が誇る横浜と神戸の"港町"対決です。
京都とのアウェイゲームを制し、浮上の兆しを見せつつ迎えた前節の長崎戦は、先制しながらも悪夢の逆転負けを喫し、順位を18位まで落とした横浜。今シーズンのリーグはいまだ大混戦の様相を呈しているとはいえ、これ以上の停滞は昇格という目標を達成する上でも大きなマイナス材料。難敵相手に反攻への足掛かりを掴みたい一戦です。
一方、開幕から順調に勝利を積み重ね、現在の勝ち点は2位に5ポイント差の22。もはや首位独走状態へ入っている神戸。今シーズンJ2屈指のボランチとの呼び声も高かったエステバンや闘将・北本久仁衛の離脱にも、安定のベテラン田中英雄やルーキーの岩波拓也が代役以上のパフォーマンスを披露し、層の厚さを見せ付ける結果に。この好調はホンモノでしょう。昨日に続いてコートが必要になるような寒さは気温10.4度。両サポーターがおなじみのチャントを送る中、神戸のキックオフでゲームはスタートしました。
わずか開始15秒でポポにイエローカードが提示されて幕を開けた前半。2分は横浜。松下裕樹の右FKを、大久保哲哉が合わせたヘディングは神戸GK山本海人がキャッチ。5分も横浜。武岡優斗の右クロスに、佐藤謙介が頭から飛び込むもオフェンスファウル。8分、大久保が右へ振り分け、武岡がクロスを送ると、今シーズン2度目のスタメン出場となった青木翔大はニアへ飛び込むも、ボレーはヒットせず。まずはホームチームが手数を繰り出します。
その横浜は前節まで採用していた4-1-4-1を、このゲームは4-4-2へシフト。1枚アンカーを務めていた松下の横に佐藤を置くドイスボランチをスタートからは今シーズン初めて選択し、右に武岡、左に小野瀬康介、前線に大久保と青木が並びます。これは「前半はできればゼロで抑えたかった」と山口監督が話したように、どちらかと言えば守備の安定を図るための処方箋。ただ、時にはハッキリとボールを蹴ることから、"前へのパワー"という副産物が生まれ、横浜は悪くない立ち上がりとなりました。
さて、「前半から難しい戦いになることはわかったいた」と安達監督も話した神戸のファーストシュートは10分。ゴール右寄り、約30mの距離から、ポポが直接枠へ飛ばした無回転FKは、横浜GK柴崎貴広が正面で弾き出し、拾った杉浦恭平のシュートは森下俊が体でブロック。14分にはマジーニョの左CKから、2度のシュートチャンスはどちらもあと一歩でシュートまでは行きませんでしたが、少しずつパワーを持って押し返し始めます。
神戸で目を引いたのは、ビルドアップ時にパスの逃がし所として、受けて捌いてを繰り返していた田中。「相手が組織的に取りに来るというより、前の2、3人で取りに来る感じだったので、それだったら走らせて精神的に疲れさせた方が90分間通して相手にダメージを与えられるかなと」いう思惑から、低い位置まで降りて、やや繋ぎに不安の残るイ・グァンソンと岩波のCBコンビをヘルプ。彼がタメを創っていたことが、パスのリズムを生み出し、流れを引き寄せた1つの要因だと思います。
25分は神戸。マジーニョのパスからポポが枠内ミドルを放つも、柴崎がキャッチ。以降も決定的なシーンまでは至らないものの、30分から41分までの約10分間に計5回のCKを獲得するなど、SBの奥井諒と相馬崇人も積極的に駆け上がることでサイドも優勢に。「蹴るのも悪くないし、繋ぐのも悪くない。一番良くないのは"やり過ぎる"こと。そのバランスを全員が意識している」と田中。ボールを回しながら窺うテンポアップの瞬間。
対する横浜も攻撃面ではシュートがなかなか打てないという部分はあったものの、守備では敵将の安達監督も「自分の感覚でプレーすることができる。ポジションは決めていない」というマジーニョが中へ中へ入ってくる所を、ドイスボランチがきっちり監視。田代有三の高さやポポのミドルレンジにも細心の注意を払いながら、インプレーからはチャンスを創らせません。44分には大久保、小野瀬と回り、佐藤が打ち上げたミドルは大きく枠外へ。「前半は狙いを持ったゲーム運びはできていた」と山口監督。神戸が基本的にはボールを握って進めた最初の45分間は、スコアレスでハーフタイムへ入りました。
後半はまず横浜が狙い通りに攻勢。46分、右サイドで創り直すと、SBの野上結貴が上げたクロスは大久保が手前で潰れ、青木へ届くもシュートには持ち込めず。48分には小野瀬が左から蹴り入れたCKを野上が折り返すも、シュートは打ち切れませんでしたが、これには田中も「来ましたね」と振り返ったように、横浜が勢いを持って残り45分間への決意を打ち出します。
ところが、神戸のカウンター一閃。50分、田代からのボールを杉浦が一瞬タメると、ポポが「自分で開いて創ったパスコース」へ絶妙のラストパス。右で受けたポポは「切り返して打った方がいいという判断で」、マーカーの森下をワンフェイントでインサイドへかわすと、冷徹に左足を振り抜きます。直後、揺れた"ゴールネット"と"アウェイサポーター"。神戸が1点のアドバンテージを手にしました。
54分も神戸。大屋が左へサイドを変えると、マジーニョは縦への勝負からフェイント、フェイントで1人かわし、強引に放ったミドルは枠の上へ。61分も神戸。相馬の華麗なスルーパスからマジーニョが抜け出し、少し詰まって戻したボールをポポは強引な枠外ミドル。「引いた相手を崩す1つの手になり得る」(田中)ミドルを、強烈な個性を放つブラジリアン2人が繰り出し合います。
先に動いたのは山口監督。選手の並びは後半途中で、大久保の下に右から青木、小野瀬、武岡というシャッフルを敢行していましたが、62分には交替策も決断。松下を下げて中里崇宏を「しっかりボールを受けて展開しなさい」という指示と共に、ピッチへ送り出します。
64分には神戸も、杉浦とのワンツーから大屋が枠内ミドルを放ったものの、ここからは横浜の反攻。69分、早速中里が左へ展開したボール。武岡はカットインしながら枠の右へ外れるシュート。70分、右サイドでボールを引き出した小野瀬は、左足でクロスを入れると、山本は1度ファンブルしながら、ライン上で何とかキャッチ。直後、再び動いた山口監督。青木を下げてスピードスターの黒津勝を投入。ここが横浜の勝負所。
72分は神戸に千載一遇の追加点機。岩波のクサビを吸収した杉浦のパスをポポはダイレクトで裏へ。抜け出した田代の1対1は、しかし柴崎が残した左足でビッグセーブ。「いい形だったので、アレで取れればベスト」と田中も自賛の決定機。ただ、スコアは動かず。安達監督も1枚目のカードを選択。「どうしてももう1点欲しい」状況で、杉浦に替えて送り込むのは吉田孝行。プロキャリアのスタートは横浜フリューゲルス。「自分のプロ生活の原点はすべてここにある」と語るベテランが三ツ沢のピッチへ立ちます。
俺たちの丘、沸騰。74分、ここも中里が右へ展開。小野瀬のクロスはDFのクリアに遭うも、右サイドで拾った野上。フリーでニアへ上げたボールに、頭から突っ込んだのはペ・スンジン。2階から打ち下ろしたかのような高い打点のヘディングは、ニアサイドのゴールネットへグサリ。両の拳に力を込めた山口素弘。CBが流れの中から豪快な一撃。両者の得点差は霧散しました。
残り15分。勝負の針はどちらに。76分は神戸。ポポのパスから吉田が放ったミドルは柴崎がキャッチ。77分は横浜。中里が右へ送り、小野瀬を経由して野上が入れたクロス。飛び込んだ大久保のシュートはヒットせず。80分は神戸。マジーニョの直接FKは大久保がブロック。ルーズを拾ったマジーニョと岩波の連続シュートに野上と森下が飛び込み回避。残りは10分。
勝利を手に入れるために82分、安達監督が導き出した回答は2枚替え。田代と大屋から、18歳の松村亮とCBが本職ながら「紅白戦ではやったことがある」(安達監督)ボランチ起用となった河本へスイッチ。ここが神戸も勝負所。
83分、主役は三ツ沢へ帰還した36歳。横パスを繋いだ先には左サイドの相馬。中を見た相馬。「クロスを上げる時に目が合った」吉田。CBの間に体を滑り込ませ、頭で変えた軌道の行く先は、GKの手を弾いて到達したゴールネット。そのまま飛び込んだサポーターの輪。「吉田は大事な時にばかり使ってしまう。状況が難しいと思うと使ってしまう」と指揮官も絶大な信頼を寄せる吉田の大仕事。1-2。神戸が一歩前へ出ました。
一気に苦境へ追い込まれた横浜。最後の交替は84分。武岡を下げて、負傷明けの内田智也。残り5分。88分、佐藤の右FKから、こぼれに反応した内田が左サイドから左足で繰り出したミドルは大きく枠外へ。アディショナルタイムは4分。焦る横浜はゴール前に迫れず。90+1分、ポポのミドルボレーはクロスバー直撃。そしてこれがゲームのファイナルシュート。「やっている選手も100%の内容じゃないと思っているが、1試合1試合勝って行くことが最終的な目標に繋がる」と田中。神戸が今シーズン3度目の連勝を達成し、首位をがっちりキープする結果となりました。
ホームでの連敗。なかなか思うように結果の出ない横浜ですが、山口監督は「下を向かずに、屈せずに戦おうと選手に伝えた」とのこと。10試合を終えての勝ち点9は、昨年とまったく同じ数字となりました。試合後のサポーターからはブーイングではなく、横浜コールが。「サポーターの方も非常に自分たちを勇気付けるようなコールを送ってくれたことに感謝しているし、逆にそれを返さないといけない」と山口監督。シーズンはあと4分の3。十分反攻は可能です。
ここまで落とした勝ち点はわずかに5。この好調は「正直予想していなかった」と安達監督も思わず口にするほど、神戸の歯車はうまく噛み合っています。3得点以上の選手を4人抱えているというのはリーグ最多。ゴールのバリエーションもカウンターあり、サイドアタックあり、セットプレーありと非常に豊富で、どこからでも点が取れているのは大きな強みでしょう。ただ、「今でこそ順位は1位だけど、まだ何も手にしていない」と気を引き締めたのは田中。吉田や相馬、田代、そしてこの田中といったベテランの経験は、この先もチームに大きなプラスアルファをもたらしていくのは間違いありません。           土屋

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0417mitsuzawa.jpg夢のステージで迎えた躍進の春。並み居る猛者を抑えて、堂々4位に付ける長崎。古巣対決となる知将・高木琢也監督に率いられ、乗り込むのは三ツ沢。今シーズン初の関東遠征です。
前節はアウェイ京都という難しいシチュエーションの中、1点を守り切る格好で開幕戦以来となる7試合ぶりの勝利を手に入れた横浜FC。思うように結果が出ない中でも、黒津勝や森下俊など新加入選手も少しずつチームにフィットしつつあり、次に狙うのはホームでの初勝利です。
対するは現在怒涛の3連勝中と、序盤のJ2で巨大旋風を巻き起こしつつある長崎。「1つ1つの積み重ねが連勝で、僕らはあまり意識していない」と古部健太が話せば、「全員が自信を持ってプレーしている」と岩間雄大。「負けてもともとのチームだから、変に構える必要はないし、ありのままのプレーをやろう」と指揮官に送り出された今日に、4連勝を懸けて挑みます。公式戦ではまったくの初対戦となる両者。新たな歴史のスタートとも言うべき一戦は、横浜のキックオフで時計の針が動き出しました。
まずその推進力を見せたのは、長崎が誇る左の"翼"。2分、左WBに入っている山田晃平はドリブル開始。運んで運んで、中へ低く潜ると、こぼれを拾った佐藤洸一がこのゲームファーストシュートを枠内へ収め、ボールは横浜GK柴崎貴広にキャッチされましたが、1つ前への意欲を見せると、以降はやや長崎に流れが。
前述の山田が積極的に縦へと仕掛け続けることが、全体に波及させた好リズム。7分には金久保彩が左からFKを蹴り入れ、こぼれを小笠原侑生が叩いたボレーは枠の上へ。15分にも金久保が右からアーリークロスを放り込み、こぼれを直接狙った岩間のボレーは大きく枠を外れたものの、「前半からハードに戦う予想はしていた」と高木監督も話したように、球際でもやや優位に立った長崎ペースで序盤は推移していきます。
一方の横浜は1トップに入る大久保哲哉へなかなかボールがうまく入らず、その下に構える4枚のアタッカーも厚みのある攻撃を仕掛けられません。また、気になったのはイージーなパスミス。特に中盤からサイドへ散らすボールがタッチラインを割ってしまうシーンが散見され、スタンドからも大きな溜め息が。パス回しにテンポが生まれてきません。
26分も長崎。金久保が右へ送ると、開いた小笠原はニアへクロス。飛び込んだ佐藤のシュートはヒットしませんでしたが、サイドからの崩しを披露。28分も長崎。右CKを金久保はマイナスに送り、最後は小笠原が反応するもシュートは当たらず。29分も長崎。高い位置でボールを奪うと、高杉亮太とのワンツーから佐藤洸一のシュートは横浜DFが何とかブロック。「向こうのハイテンションに、こちらがボールを持っている時に合わせ過ぎて慌てたかな」と山口監督も話した横浜は、押し込まれる時間が続きます。
ただ、山口監督が施した修正が引き寄せた流れ。30分に差し掛かる前から大久保と黒津のポジションを入れ替えると、31分には流れの中から初めてのチャンス。スローインから黒津、寺田紳一と繋がり、大久保が頭で右へ送ると、受けた黒津のクロスはGKにキャッチされましたが、ようやく創ったチャンスの芽。「少しリズムを掴んだ」(山口監督)横浜の逆襲。
39分、黒津が獲得したFK。中央右寄り、ゴールまで30mの距離から松下裕樹が直接狙ったFKは、GKに一歩の反応も許さなかったものの、鳴り響いたのは乾いた金属音。ボールは右ポストを直撃して、ピッチへ跳ね返ります。42分も横浜。左サイドでスローインの流れから、佐藤謙介が右足でクロスを送り、大久保が頭で折り返すと、松下はマーカーをスクリーンしながら反転シュート。枠へ飛んだボールは長崎GK金山隼樹がキャッチしましたが、「いずれリズムを掴むというのはあった」と山口監督。横浜が終盤に掛けては押し込む格好で、前半の45分間は終了しました。
すべてはここから。51分に沸騰した"俺たちの丘、三ツ沢"。佐藤が右へ散らしたボール。武岡優斗は右サイドを切り裂くと、素早くクロス。ファーサイドへ舞ったのはジャンボ大久保。頭で確実に捉えたボールは、サポーターがすぐ後ろに控えたゴールネットを激しく揺らします。「良い入り方をした」(山口監督)中での力強い先制点。大久保を左へスライドさせた采配スバリ。横浜が1点のアドバンテージを手にしました。
畳み掛けるフリエ。52分、佐藤謙介がDFラインの裏へ落としたパスに、走り込んだ黒津は強烈なシュートを枠内へ打ち込み、金山も呼応するファインセーブ。突如として着火したゲームの導火線。
54分に動いた高木監督。「金久保は危険なプレーをすることができるので、中央を少し活性化したい」と、佐藤洸一に替えて古部健太を左WBへ送り込み、山田を左から右WBへ。金久保のポジションを「自由にやれる部分はある」と自ら語る2シャドーの一角へ移行させます。
すると、57分にはFK、61分にはCKとセットプレーを蹴りながら、感覚を整えていた金久保の見せ場が到来したのは65分。クリアボールを拾った古部は短く金久保へ。中に少し持ち込みながら、「相手DFが足を伸ばして股が空いたので狙った」シュートは、狙い通りマーカーの股下を抜けると、そのままゴール左スミへ吸い込まれます。「振り抜く力を持っている」と高木監督も評した金久保の同点弾。スコアは振り出しに引き戻されました。
さて、西嶋弘之が負傷でピッチ外へ出ており、交替選手を用意している最中に10人で失点を喫した横浜。66分にまずはその西嶋を小野瀬康介と入れ替え、さらに69分には寺田と中里崇宏もスイッチすると、最終ラインは右から武岡、ペ・スンジン、野上結貴、森下俊という顔ぶれに変わり、失点前の「自分たちの良いリズム」(山口監督)を取り戻しにかかります。対する長崎も、少し押し込まれ始めていた右サイドにテコ入れ。小笠原と替わって、右寄りのシャドーへ投入されたのは前田悠佑。両指揮官が繰り広げる頭脳戦。激闘は残り20分の攻防へ。
70分は長崎。井上裕大のスルーパスに抜け出した水永翔馬のシュートは、柴崎がファインセーブで阻止。74分も長崎。金久保が右サイドをぶち抜き中へ送るも、岩間はエリア内で時間がかかり、シュートは弱く柴崎へ。76分も長崎。複数で囲んで相手ボールを奪い、高杉のパスから前田は枠の右へ外れるミドル。選手交替や配置転換にも「練習からやっているし、誰がどこへ動いてもみんな理解しているので、混乱することはない」と岩間。「スタメンも途中出場の選手もしっかりハードワークできている」(古部)長崎のラッシュ。
77分には山口監督の決断。大久保と田原豊を入れ替え、前線へパワーを。81分には高木監督の決断。山田と松橋章太を入れ替え、前線へパワーを。激闘は残り10分の攻防へ。
82分の絶叫。金山のパントキックを水永が得意のヘディングで繋ぎ、松橋は左へ。縦に持ち出してまたぐ「よくやるヤツ」でサイドを突破した古部の選択は、「GKや誰かに当たって入ってもいいし、とりあえず中に速いボールを入れようという"シュータリング"」。本人の「ファーまで届くように」という想定とは裏腹に二アサイドを襲ったボールは、右ポストを叩き、柴崎に当たってゆっくりとゴールへ転がり込みます。「当然スタメンで出たいけど、与えられた役割を100%こなすのがプロ」と語った古部のJリーグ初ゴールは貴重な貴重な逆転弾。長崎がとうとうリードを奪いました。
焦る横浜。いなす長崎。「選手たちがプレッシャーを掛けに行ったことで、良いボールを配球させず、最後に余力を残してランニングができた」と高木監督。「練習から凄く走っているので、それが最後の場面で出ている」と岩間。難敵相手に安定感すら感じさせるゲーム運びでアディショナルタイムの3分も危なげなく消し去ると、鳴り響いたホイッスルは4連勝を祝うファンファーレ。長崎が堂々の勝ち点3を逆転で奪い切る結果となりました。
「今は"夢"を見ている段階」(高木監督)という長崎が、"夢"を見続けられている要因がよくわかるような90分間だったと思います。「点を取った後のチームのまとまりを見ていても、一丸となってやる姿は、またチームとして成長したなと思う」と高木監督。アウェイで優勝候補の一角と対峙しても、正面からぶつかっていく姿勢を最後までピッチ上の11人が崩さなかったことが、長崎に白星がもたらされた最大の要因ではないでしょうか。「僕たちは下から這い上がってきた。失うものは何もないので、失敗を恐れずに全力でやるだけ」(金久保)。究極のチャレンジャーにとって、既にJ2は"夢"ではなく、確かな"現実"として日常へ組み込まれ始めています。
           土屋

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