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J SPORTS J.LEAGUE

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DSC_0236.jpg昨シーズンの昇格プレーオフを戦った実力者同士のリターンマッチ。勝ち点33の6位と勝ち点27の15位が対峙する真夏の好カードはフクアリです。
5シーズン目となるJ2を戦うクラブが6月で下した決断。五輪代表を率い、ロンドンの地でベスト4まで勝ち上がった関塚隆監督を招聘し、チーム唯一と言っていい目標であり、ノルマを託した千葉。すると、初采配となった天皇杯ではJ3の長野を何とか振り切ると、リーグ戦でもアウェイの栃木戦で0-2ときっちり勝ち点3を奪うなど、上々のスタートを切って順位も6位まで浮上。今節は谷澤達也、ケンペス、キム・ヒョヌンと3人の主力を出場停止で欠きますが、大混戦のリーグからわずかでも抜け出すために、今季初のリーグ戦3連勝を狙います。
J2参入初年度は誰もが驚く快進撃を続け、昇格プレーオフまで堂々と進出してみせた長崎。今シーズンも序盤は着実に勝ち点を積み重ね、自動昇格圏内も狙える位置に付けていたものの、5月以降の14試合ではわずかに1勝と一気にペースが急落。現在はJ参入以降で2度目となる3連敗中の上、順位も15位まで落としており、一転してここまでは厳しいシーズンに。アウェイで難敵を追い落として、浮上のキッカケを掴みたい90分間です。すっかり真夏の暑さが押し寄せる中、気温は29.2度と多少は和らいだコンディション。双方にとって負けられない一戦は千葉のキックオフでスタートしました。


立ち上がりから飛び出したのはいつもの前半と違い、サポーターで埋まったホームゴール裏へ向かって攻める千葉。3分、前線で森本貴幸がうまく収め、兵働昭弘が狙ったシュートは、これが3試合目のスタメンとなった長崎のGK中村隼がキャッチ。4分、右SBの竹内彬が中央にスルーパスを通し、反応した森本が走るもわずかに届かず。6分にも中村太亮の左CKがゴール前を襲い、DFのクリアに遭いましたが、まずはホームチームが押し気味にゲームを進めます。
ただ、「最初はプレスでワイドが行く部分とシャドーが行く部分の確認で連携が取れなかったけど、誰がどこに行けばいいかというのはすぐに修正できた」(神崎大輔)こともあって、10分以降は徐々に長崎が掴んだリズム。11分には神崎とイ・ヨンジェで獲得したCKを左から岡本拓也が蹴り込み、最後は神崎がクロスバーの上を越えるミドルにトライ。13分には古部健太が右へ振り分け、奥埜博亮のクロスを佐藤洸一が頭で折り返すも、イ・ヨンジェはシュートまでいけず。14分にも黒木聖仁が素早く始めたFKから、佐藤洸一が枠へ飛ばしたミドルは千葉のGK岡本昌弘がキャッチ。16分にもCKのこぼれから、古部が左へフィードを送り、黒木が懸命に足を伸ばして折り返したボールへ、懸命に飛び付いた佐藤洸一のヘディングは力なく枠の右へ外れましたが、長崎が続けてフィニッシュを取り切ります。
長崎がこのゲームでポイントにしていたのは大きく2つ。その内の1つが「中盤の兵働と佐藤健太郎を潰しに行く」(高木琢也監督)ということ。10分以降の守備面を問われて、「守備の部分では前から行って、みんな勢いを持って行けていたので、凄くチームとしてはうまくやれているなという感覚はあった」と話したのはドイスボランチの一角に入った三原雅敏。中盤で相手のドイスボランチを2シャドーとの連携でうまく挟み、セカンドもことごとく回収したことで、一気に引き寄せたゲームの流れ。
18分も長崎。岡本の左CKにイ・ヨンジェが飛び込むも、ボールはクロスバーの上へ。20分も長崎。エリアのすぐ外でルーズボールを拾った奥埜は枠を越える左足ボレーを。22分も長崎。右サイド、ゴールまで約30mの距離から岡本が直接狙った無回転FKは枠外へ。千葉も23分には兵働が、26分には竹内がそれぞれミドルを狙うも、共にやや強引さが目立ち、前者は枠外で後者は中村がキャッチ。長崎の時間が続きます。
27分にはまさに狙い通りのシーンが。中盤でボールを持った佐藤健太郎に、長崎は3人でプレス。囲まれた佐藤健太郎のミスパスを、イ・ヨンジェはかっさらうと、そのまま右サイドをドリブルで持ち込んで枠の右へ外れるシュートまで。「中盤の選手を潰しに行くことが、我々の本当に流れを創るポイント」という指揮官の狙いを、フィニッシュへと繋げる形で見事に表現してみせたワンシーンでした。
また、長崎で積極性が印象的だったのは1トップに入ったイ・ヨンジェ。これがまだ2試合目の出場になりますが、「収まるし、前で基点を創ってくれるので、僕自身はやりやすさを感じている」と三原も言及したように、前線で体の強さを生かして基点創出に奔走。40分には岡本が森本から奪ったボールを付けると、そのイ・ヨンジェは岡本にキャッチされたものの、きっちりシュートを枠内へ。前半だけで両チーム最多となる3本のシュートを放つなど、ゴールへの意欲を前面に打ち出します。スコアこそ動きませんでしたが、「相手の勢いをモロに食らってしまった」(関塚監督)千葉を長崎が圧倒する展開で、最初の45分間は終了しました。


ハーフタイムを挟み、迎えた後半のファーストシュートは千葉。48分、左サイドを独力で運んだ山中亮輔が得意の左足でシュート。ボールはゴール左へ外れましたが、4節以来のスタメンとなったレフティが果敢なチャレンジで、「この勝負、勝とう!どっちが勝ちたいかだ!」と指揮官に送り出されたチームの気合を体現します。
ところが、スコアボードの"0"を先に"1"へと変えたのは長崎。55分、中村隼のゴールキックを左のハイサイドでイ・ヨンジェがキープ。戻したボールを神崎が縦へ運び、そのままクロスを放り込むと、中央でフリーになった奥埜のヘディングはゆっくりとゴールネットへ吸い込まれます。「クロ(黒木)が入り込んでいたので、そこを狙ったつもりだったけど、うまい具合に相手を引き連れてくれたので裏が空いた」と神崎も振り返ったサイドからの流れできっちり成果を。アウェイチームが1点のアドバンテージを手にしました。
関塚体制で臨んだ公式戦3試合目にして、初めて先制を許した千葉でしたが、この窮地を救ったのは「ここで結果を出そうという強い気持ちを持って試合に入った」レフティ。59分、ゴールまで約30mの位置で兵働がFKを小さく出すと、山中はミドルレンジから左足一閃。右スミへ飛んだボールは、中村隼の手を弾いてゴールネットへ到達します。沸き上がるフクアリ。3人の出場停止を受け、久々にスタメン起用となった山中が大仕事。再びスコアは振り出しに引き戻されました。
さらにパワーを出したい千葉は65分に1人目の交替を。大塚を下げて、田中佑昌を右SHへ投入。井出遥也が左SHへ移り、山中が1.5列目にスライドして、狙う勝ち越しゴール。67分には兵働が右へ展開したボールを田中がクロスまで上げ切り、ニアで合わせた山中のボレーは枠の右へ外れるも、攻勢を強めます。
「後半の途中からプレスに行けなくなって、そこで少し動かされた」という三原の感覚は、当然高木監督も把握。69分にまず1人目の交替として佐藤洸一と古巣対決となる深井正樹を入れ替えると、72分にはボランチの黒木と前田悠佑もスイッチさせて、もう一度中盤での強度を高め、奪われたゲームリズムを取り戻しに掛かります。
この前後の時間帯は「しっかりと収める所で収めて、形というものを少し見せられたかな」と関塚監督も振り返ったように、千葉が兵働と佐藤健太郎を中心にボールを左右に動かし、そこに田中と井出がしっかり絡んでいく形が再三。高木監督がもう1つのポイントとして挙げていた「浮き球や切り替えの中の球際勝負で勝つこと」もやや千葉に傾きつつあり、形勢は逆転しつつありました。
ただ、そこは知略を巡らす指揮官だけに的確な楔を既に。76分、前田が鋭い出足でボールを奪い、奥埜を経由したボールからイ・ヨンジェのシュートはゴール左へ外れたものの、「マエちゃん(前田)が入って、ちょっとスピードを持って行けるようになった」とは三原が認めたように、前田の投入で中盤の強度復活に成功。さらに、81分には3バックの中央に位置する山口貴弘を起点に、三原が繋いだボールを深井は左へスルーパス。神崎はわずかにオフサイドラインを出ていましたが、最も運動量を擁するWBの神崎が「オフサイドでも通らなくても、空走りでもやっていけば相手も引いてくると思うし、疲れてくると思うので続けていきたい」と話すあたりに、チームの徹底した"走る"意識を垣間見たような気がしました。
83分には高木監督が最後の交替を決断。奥埜とスティッペを入れ替え、そのスティッペをイ・ヨンジェと並べる2トップ気味の布陣へシフトして、勝ち点3への気概をピッチへ注入しますが、布陣変更で逆にやや守備面が混乱した感のある長崎を尻目に、終盤は千葉がラッシュ。85分、兵働と井出がスムーズにパスを交換し、山中が左足で狙ったシュートはヒットせず。88分、兵働が左へFKを送り、中村太亮が上げたクロスは飛び込んだ3枚のいずれにも合わず。関塚監督も90+3分には奮闘した山中に替えて町田也真人を送り込み、ゲームは最終局面へ。
90+4分は長崎。左サイドでボールを持ったスティッペが強引に狙ったミドルは、大きく枠を外れるノーチャンスのトライ。90+4分は千葉。兵働がここも左への展開を選択し、中村太亮が上げ切ったクロスをファーで叩いた森本のヘディングは枠の右へ外れ、迎えた試合終了のホイッスル。真夏の好ゲームは両者に勝ち点1ずつが振り分けられる結果となりました。


「選手たちは前半少し止まっていた感があったけど、後半盛り返して行けて何とか勝点1を奪えた」と関塚監督が話したように、千葉は前半を考えると勝ち点1を取れたのは大きいように思えます。また、主力の出場停止という事態を受けて、スタートから登場した山中がきっちり結果を出したのは今後に向けても好材料。ルーキーのオナイウ阿道もベンチ入りを果たすなど、山中や井出も含めて若手が突き上げていくことで、チームにさらなるプラスアルファをもたらしていく必要がありそうです。
「我々としては今後の、ある意味スタンダードといったものがまたできたということで、引き分けだったけど非常にプラスになるようなゲームだったと思う」と高木監督も言及した通り、長崎にとっては今後へ向けて大きな勝ち点1になったのは間違いありません。神崎も「切り替えの速さみたいな部分をちょっと忘れていたかなと思って、今日は本当に良かったと思う」と手応えを口に。"球際"や"切り替え"といったチームの生命線を取り戻す上でも、重要な90分間を経験できたようです。まだ上位との勝ち点差は大きく開いていないだけに、ここからの巻き返しが楽しみになるようなゲームだったのではないでしょうか。       土屋


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DSC_0231.jpgJ2を席巻し続ける緑と青の台風に、知将率いる熊本の赤馬が立ちはだかれるか。ここから2巡目となるタイミングで組まれた好カードはBMWです。
開幕14連勝。1つの黒星を挟み、再び6連勝。既に2位には17ポイント、7位には28ポイントの差を付け、もはやいつが"Xデー"かという話題が出てきてもおかしくない湘南。ただ、2回り目に突入するこのゲームを前に、「リセット、リスタート、リスタイルという話をした」とはチョウ・キジェ監督。数字に惑わされることなく、再び自らの目指す場所へ到達するための3つの"Re"は、既に始まっています。
4月は3連勝を含む5戦無敗で8位にまで浮上するなど、今シーズンから指揮官に招聘された小野剛監督の下、上々の序盤戦を過ごした熊本。以降も引き分けこそ多いものの、少ない失点数を武器に着々と勝ち点を積み上げていましたが、ここ3試合は11失点を喫しての3連敗。「かなり強気に攻撃へ舵を切った所で、京都戦の前半は非常に良い戦いをしたが、その後で中国で一緒にやっていた大黒選手に多少かき回されて、そこから少し後ろを気にするようになって、ボールに対するプレッシャーが甘くなった試合はあった」とは小野監督。プレスのギアを上げるキッカケを掴むには、格好の相手とアウェイで対峙します。この日もBMWには7519人の大観衆が集結。後半戦のファーストマッチは、湘南のキックオフで幕が上がりました。


先にチャンスを創出したのは熊本。4分、カウンター気味に中山雄登が少し運び、受けた澤田崇は右へ流れながら中央へ。ボールはそのまま流れてゴールキックになりましたが、悪くない展開を。7分は湘南。左サイドで少し中へ入った三竿雄斗がスルーパスを送ると、巧みに岡田翔平がラインブレイク。最後は良く戻った橋本拳人がカットしたものの、お互いに繰り出し合う決定機の"一歩手前"。
9分は湘南。三竿の左FKをウェリントンが戻し、遠藤航が体を伸ばしたヘディングはヒットせず。11分は熊本。養父雄仁の右ロングスローと右のショートコーナーはいずれもシュートへ至らず。13分は湘南。岩尾憲が左から蹴ったFKに、岡田が頭で反応するもボールは大きく枠外へ。14分は熊本。フェイスガードを着用しながら、「球際の所が重要になると思っていた」という小野監督の狙いでスタメン起用された黒木晃平が残し、片山奨典が上げたクロスを齊藤和樹は懸命にヘディングで枠内へ。ここは湘南のGK秋元陽太がキャッチしましたが、セットプレーも含めて双方にチャンスが訪れます。
熊本で目立ったのは「選手は前線からよくプレッシャーを掛けてくれた」と指揮官も認めたハイプレス。3トップ気味に配された中山、齊藤、澤田がまずは相手にしっかりファーストプレスを掛け、縦へのボールはCBの橋本と園田を中心に跳ね返し、トレスボランチ気味の上村周平、養父、黒木がセカンドに殺到するという、シンプルながら強度の高い反復を徹底。「熊本さんは本当にハイスピードでやってきていた」とチョウ監督も振り返ったように、ある程度は局面の"スピード"を重視した戦い方で、良い意味で試合を"壊す"ことに成功した印象を持ちました。
対する湘南はなかなかアタックがフィニッシュまで繋がらず、記録上のファーストシュートは31分に岩尾の横パスから、亀川諒史が強引に狙ったミドルがそれ。とはいえ、左サイドは菊池大介と三竿できっちり崩したことで、「あそこは攻守に渡ってポジション取りが難しくなる所だったので、相手があそこの裏を狙ってくる部分が少し出ていた」と策士の小野監督に31分で早くも右SBを大迫希から藏川洋平へスイッチさせたように、一定の脅威は相手の首元へ。交替直前にはその菊池と亀川の左右を入れ替えるなど、「自分ではこういう展開のこういうゲームで、前半からバンバンシュートチャンスが多い試合になるとは思っていなかった」と話すチョウ監督も、さらなる推進力の向上へきっちり着手してみせます。
そんな中、このゲーム最初の決定機は熊本に。38分、左サイドで獲得したFKを片山が素早く中央へ蹴り込むと、競り合いのこぼれにいち早く反応した中山は、1つ運んで左足でジャストミート。鋭い軌道は秋元を破るも、スタジアムに響いたのはクロスバーにボールが当たる金属音。直後にも澤田のラストパスから、齊藤がわずかに枠の右へ外れるシュートまで。公式記録のシュート数では湘南の1に対して、熊本は6。「前半はかなりお互いプレッシャーの掛け合いだった」という小野監督の言葉にも頷ける最初の45分間は、スコアが動くことなくハーフタイムへ入りました。


後半に入るとすぐさま変わったスコアボードの数字。ゼロをイチに変えたのはホームチーム。48分、直接と間接を含めれば16本目となるFK。右サイドから三竿が得意の左足で放り込むと、完全にフリーでゾーンの網目に潜ったウェリントンが頭でズドン。瞬間、緑と青のサポーターは沸騰します。「最後シュートを何本打つかというのは選手が決めることなので、シュートじゃなくてパスの可能性が高かったらそっちを選べばいいし、シュートを打っているのがいいのかという話じゃないと俺は思っている」という指揮官の言葉は、おそらくチームの共通認識。"2本目"のシュートで湘南が1点のアドバンテージを手にしました。
拮抗した展開に持ち込みながら、ビハインドを負った熊本。55分にはFKのこぼれ球をプロ初スタメンとなった上村がピンポイントで右へ送り、園田拓也の落としを齊藤がダイレクトで叩いたシュートはわずかに枠の左へ。奮闘したその上村と仲間隼斗の交替を経て、62分には再びビッグチャンス。仲間がミドルレンジから狙ったミドルはDFに当たるも、拾った齊藤は完璧なターンから枠内へ。秋元が懸命に弾き出し、飛び込んだ澤田が粘って粘って打ち切ったシュートは、ここも秋元がファインセーブで回避しましたが、同点への香りをピッチの上に漂わせます。
しかし、ここで飛び出したのは「僕が考えた心理戦に大介がよく乗ってくれたという感じ」とチョウ監督も言及した、100点満点のセットプレー。65分は前後半通じて初めてのCK。左のアークに立った岩尾は斜め後方の菊池へ。菊池が岩尾へ戻すと、ニアへ走り寄った遠藤は岩尾のパスを丁寧に落とし、最高のボールは足を止めずに回り込んだ菊池の目の前へ。躊躇なく右足で振り抜いたボールは、低い弾道でゴール左スミへ突き刺さります。「久しぶりに大介が最後フィニッシュに関わるという所で、アイツも『よし、やってやろう』という気持ちでやってもらえたのかなと。あんな難しいシュートを入れるんだったら、簡単なシュートを入れて欲しいなと思う」と笑ったチョウ監督も「エクセレントなシュート」と認めざるを得ない、完璧な流れとフィニッシュ。"3本目"のシュートで湘南が点差を広げました。
一気に厳しくなった状況を見て、小野監督は70分に3枚目の交替を決断。黒木を下げて巻誠一郎をピッチへ送り込み、前線の高さと強度を高めに掛かりますが、71分には岩尾の右CKを菊池がフリックで流し、遠藤のシュートはクロスバーの上へ。75分にも三竿がクイックで始めたFKから、菊池がわずかにゴール左へ逸れるミドルにトライ。ゲームリズムは点差そのままにホームチームへ確実に傾いていきます。
チョウ監督が次に動いたのは77分。岡田に替えて、投入したのは島村毅。その島村は3バックの左へ入り、三竿がWBへ、菊池が3トップの一角へそれぞれ上がり、高さとパワーへの備えを増強したように見えた直後、熊本の実った反攻。78分、FKの跳ね返りを拾った中山は迷わず右へ好フィード。マーカーに競り勝った巻が中央に落とすと、後方から突っ込んできたのは仲間。スライディングで押し込んだボールはゴールネットへ到達します。風雲急を告げる展開。両者の点差はわずか1点に。
79分には古巣対決となる武富孝介の左足ミドルを、熊本のGK畑実がきっちりセーブ。84分には藤田の右クロスをウェリントンが合わせたボレーは枠外。手数は湘南が2つ出したものの、「1対1のせめぎ合いとか球際の戦いとかで、ちょっと勝てなかった場面が2-0になった後に多くて、僕の交替の仕方のメッセージも悪かったかなと思っている」とチョウ監督も振り返った通り、前へのパワーと圧力は熊本に分が。
86分には養父のスローインを園田が戻し、養父が右から上げた高速クロスは秋元がパンチングで回避。87分にもゴール前でお互いが3ターンずつ入れて返してを繰り返し、最後はフリーで養父が叩いたボレーはクロスバーの上へ。追い付く可能性は十分示した中で、しかし「ある程度の所を崩せても、そこからポジションにかかわらずディフェンスして、ゴールを死守する姿勢は非常に高いものを示したのではないかと思う」と小野監督も言及した、"死守する姿勢"はあと一歩を許さず。3分のアディショナルタイムも潰し切って、試合終了のホイッスルを聴いた湘南が、着実に勝ち点3を積み上げる結果となりました。


「90分通しての選手のパフォーマンスについては、よくやってくれたと思っている」と小野監督も語ったように、熊本は一定の手応えを掴んだゲームだったように見えました。プレッシャーは前線から常に掛けながら、ある程度長いボールを多用することで相手のプレスには的を絞らせず、初スタメンの上村も含めてセカンド奪取を中盤が徹底するやり方は、首位相手にも十分効果があったのかなと。ただ、惜しまれるのはファウルが多かったこと。結果的に先制点もFKから生まれており、ギリギリの対応を強いられていたことは理解できますが、そのファウルが自らを苦しくしてしまった側面もあったように感じました。
湘南は難しいゲームをしっかり勝ち切りますね。失点直後は少しバタバタした雰囲気もありましたが、終わってみれば逃げ切りに成功。チョウ監督も「ああいう相手に対してしっかり勝ち点3を取ったというのは、1つチームとして成長だなと思います」と話しています。そんな指揮官の話で特に印象に残ったのは「『湘南って頑張るだけじゃん、勢いだけじゃん』って言われながらも、彼ら選手がそれをしっかり自分の心の中に入れて取り組んでいることがその結果に繋がっているだけで、今年勝っているからそれが凄くなったとか何か変わったとかじゃなくて、その積み重ねでしかないと思っているから、これから勝てないかもしれないし、21回勝ったことで『スゲー。ウチは強くなった』とは思ってないし、強くなったと俺が思った瞬間にチームは終わると思う」という言葉。気付けば超えていた一昨年の昇格時に挙げた勝ち星の数すらも、彼らを満足させる材料になり得ないという事実が、湘南の今後にさらなる期待を抱かせてくれるのだと思います。        土屋


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0628hiratsuka.jpg再び始まった"15"へ、さらにその先への挑戦。歴史を変え得る緑と青の勇者が、好調の黄色いカモメを迎え撃つ舞台は当然平塚です。
開幕14連勝。1つあって、また4連勝。記録的なハイペースで勝ち点を積み重ね、首位を快走している湘南。もはや、そのスタイルは"サッカー"のスタンダードとして頻繁に言及されるレベルまで到達した感もありますが、冷静と情熱の指揮官チョウ・キジェの辞書に"油断"の文字はなし。「今日の試合は"アライブ・オア・デッド"。"生きるか死ぬか"のどっちかしか内容はない」と送り出したこの試合も、目の前の90分間を揺らぐことなく勝ち切るのみです。
15位でフィニッシュした1年目を受け、迎えた柱谷体制2年目は茨のスタートとなった北九州。京都と大分に続けて敗れ、早くも行く先に暗雲が垂れ込めます。ところが、7節でJ2屈指のタレント集団・磐田に3-2で競り勝つと、10節の福岡ダービーを制して以降は2ヶ月近く昇格プレーオフ圏内をがっちりキープ。前々節は松本、前節は千葉をいずれもウノセロで粘り強く振り切り、意気揚々と首位の根城に乗り込みます。あいにくの雨にもかかわらず、平塚には6,217人の大観衆が。祝祭の続くブラジルの裏側で、我々の日常にはJリーグが。19時4分、湘南のキックオフでゲームはスタートしました。


4分に菊地俊介が枠内へ収めたオープニングシュートを皮切りに、今日も湘南の意識は縦へ。9分には右から藤田征也がクサビを当てると、3トップの中央に入った岡田翔平がうまく落とし、遠藤航のシュートは枠の右へ。10分にもルーズボールを拾った吉濱遼平がクロスバーを越えるミドルにトライ。13分にもやはりルーズボールをものにした岩尾憲がクロスバーを越えるミドル。果敢にフィニッシュを取り続けます。
この日の湘南は絶対的な存在と言っていいキャプテンの永木亮太を負傷で、9ゴールを挙げてチーム得点王のウェリントンを出場停止で欠くことに。ボランチには岩尾を菊地と並べ、3トップは吉濱、岡田、武富孝介をチョイス。さらに、ここまで全試合でスタメン起用されてきた三竿雄斗ではなく、亀川諒史が3バックの左に入るなど、見慣れない形でゲームに入りますが、吉濱も岩尾もまずはフィニッシュを取り切るなど、ピッチで繰り広げられたのはいつも通りのスタイル。
すると、躍動したのは29番のレフティ。16分には鋭いターンから惜しいミドルを放ち、その2分後にも高い位置でボールを奪い、岡田のミドルに繋げるなど、積極性の目立った吉濱が大仕事。20分、菊地から横パスを受け取った吉濱は、そのまま密集に自ら切り込んでいくと、やや対応の遅れたディフェンスが寄せる寸前にラストパス。これを武富は丁寧にゴール右スミへ流し込みます。気持ち良いくらいの仕掛ける姿勢が堂々と得点に直結。「あれが今日のメンバーの醸し出す一番良い形。強気にやってくれた」とチョウ監督も手放しで褒める一撃で、ホームチームが1点のリードを手にしました。
さて、「前半はゼロに抑えて、後半相手の足が止まった所から勝負」という指揮官の目論見が、儚くも霧散した北九州。23分に右サイドから冨士祐樹が蹴ったCKはDFのクリアに遭いますが、26分にも風間宏希が右へ展開したボールを小手川宏基が鋭いクロス。飛び込んだ原一樹の目前でカットされるも好トライ。29分にも右から入れた小手川のアーリークロスに、池元友樹が合わせたヘディングは枠の右へ外れたものの、小手川と星原健太の縦関係で組む右サイドが活性化し始め、徐々に攻撃の形が見え始めます。
それでも、ゲームリズムはやはり湘南。32分、吉濱の右CKはショートで始まり、完結を見なかったものの狙いははっきり。35分、岩尾の鋭いクサビを岡田がダイレクトで落とし、吉濱のシュートはDFにブロックされるも、スムーズな連携を。36分、吉濱の右CKは一旦クリアされましたが、最後は遠藤がシュートまで。北九州同様に、活性化したのは"右"。
追加点は、やはり"右"。39分、菊地がサイドへ振り分けたボールを、藤田は縦へ持ち出すと強引にクロス。少しマーカーをかすめ、マイナス気味に入ったボールをダイレクトで叩いたのは岡田。球体は水滴を纏ったゴールネットを力強く揺らします。「2点とも自分が狙っていたような形で点が取れたので、ちょっとビックリしちゃった」と思わず笑顔を見せたのはチョウ監督。湘南が2点のアドバンテージを手にして、最初の45分間は終了しました。


後半も勢いよく飛び出したのは緑と青の勇者。48分に藤田の突破から獲得したのは右CK。吉濱が入れたボールはDFにクリアされましたが、まずは"右"からチャンスを創出すると、51分の好機もやはり右サイドで手にしたCK。ここは藤田が蹴り込むと、丸山祐市のヘディングはドンピシャでしたが、何とボールは武富の方向を襲い、頭に当たったボールはクロスバーの上へ。少しアンラッキーな部分はあったものの、残された45分間でさらなる歓喜を狙います。
ただ、ここからはビハインドを追い掛ける北九州の時間帯。53分、左サイドで良い展開からクロスまで持ち込むと、クリアを奪った波状。風間が右へ付け、上がってきた星原のクロスを原がダイレクトボレー。ボールは枠の右へ外れましたが、ようやく崩した形からフィニッシュまで。54分にも池元が左サイドで懸命に残し、マイナスのグラウンダークロスを送ると、トラップで1つ持ち出した小手川のシュートはクロスバーの上へ。「ウチはテクニカルな選手を集めている」と指揮官も認めた、その"テクニカル"が効き始め、黄色いカモメにも飛び立つチャンスが。
怒涛の"6連続"。60分、パスカットからそのままオーバーラップしたCBの前田和哉が獲得したのは左CK。井上翔太が蹴り込んだキックはDFが何とかクリア。61分、井上の左CKが混戦を生むと、小手川のシュートはDFがブロック。61分、冨士が右CKをショートで始め、再びボールを受けた冨士のクロスはDFがクリア。62分、井上の左CKはニアでDFがクリア。62分、井上の左CKはここもニアでDFがクリア。63分、井上の左CKはこぼれ、すぐさまトライした井上のミドルは湘南のGK秋元陽太に阻まれましたが、わずか3分間で集めたCKは6本。「ショートコーナーも準備してやってきた」と柱谷監督も話したように、確かにその工夫は見られたものの、ここは凌ぎ切ったホームチーム。そして、この一連が1つの大きな分岐点に。「あそこでやられなかったのがポイント」とチョウ監督が話せば、「アレが決められなかったのは残念だった」と柱谷監督。スコアボードの数字は変わりません。
64分に1枚目のカードを切ったのは湘南。亀川に替えて、三竿をそのままの位置へ。「良いコンディションの選手がピッチに立って、後に繋ぐことはずっとやってきた。それ以上でもそれ以下でもない」とチョウ監督。あくまでそこにも指揮官の促す競争原理が見え隠れします。とはいえ、ゲームリズムはまだわずかに北九州。70分、風間が右へスルーパスを通し、星原のクロスに足を出した丸山のクリアはゴール方向へ向かうも、秋元が何とかキャッチ。72分、冨士の右ショートコーナーを替わったばかりの渡大生が戻し、シュート気味に放り込んだ冨士のクロスは枠を捉えるも、秋元が懸命のフィスティングで回避。直後の右CKも冨士のキックをニアで渡がすらし、小手川がダイレクトボレー。最後はDFのブロックに阻まれましたが、畳み掛けたい流れの中で、77分にはベテランの大島秀夫もピッチへ送り込み、まずは1点を狙います。
78分は北九州。井上が左CKをショートで出し、渡のリターンを井上が上げたクロスはDFがブロック。80分も北九州。大島の巧みなポストを起点に、渡が右へ展開。小手川の好クロスに飛び込んだ渡のヘディングはゴール右へ外れるも、替わった2トップがフィニッシュに絡む好機を創出。82分には両者に交替。湘南は岡田と中川寛斗を、北九州は井上と鈴木修人をそれぞれ入れ替え、いよいよゲームは最終盤へ。
力を振り絞ったのはホームチーム。84分、三竿の左CKに丸山が合わせたヘディングは枠の右へ。85分、中川が捌いたボールは菊池を経由し、吉濱がゴール右スミギリギリへ飛ばしたミドルは、北九州のGK大谷幸輝がファインセーブで応酬。87分、中川が思い切ってトライしたミドルはクロスバーの上へ。結果、後半に記録された3本すべてのシュートはこの3分間に。3点目への執念を、これまで出場機会の少なかった若手が貪欲に打ち出します。
90+2分、キャプテンマークを巻いた前田和哉が華麗なルーレットで前へ持ち上がり、星原が右から上げたクロスが大島の頭上を越えると、程なくして飯田淳平主審が吹いたファイナルホイッスル。「『誰と誰が組み合わさったらこうなるんだ』ということを、選手たち自身で感じてプレーすることがやはり強いチームだと思う」とチョウ監督も話した湘南が、その言葉を象徴するような"逞しさ"で、再び開始した連勝を"5"へ伸ばす結果となりました。


「後半は点を取られなかったし、自分たちらしいゲーム運びができたんじゃないかなと思う」と柱谷監督も振り返った北九州は、確かに最後の45分間はシュート数でも湘南を上回っていただけに、前半の特に受けてしまった先制点の前後までが悔やまれるゲームだったと思います。ただ、「粘り強く相手を抑えながら、何とかどこかで1点取るという流れで来ている」という指揮官の言葉にも頷けるような、守備面でのディシプリンはしっかり披露。今後も大崩れすることは考えにくく、終盤まで昇格プレーオフ圏内争いを賑わせてくれそうな印象を受けました。
永木、ウェリントンとここまで続けてきた躍進の中心にいた2人を欠きながら、まさに"しぶとく"勝ち点3をもぎ取った湘南。「吉濱と岩尾という名前を、サッカー関係者が10人いたらたぶん1人か2人しか知らなかったのが、今日で3人か4人ぐらいになったかなと思うので、彼ら2人の勇気あるプレーは監督としてすごく嬉しかった」と話した指揮官は続けて、「今日出られなかった選手、ベンチにいた選手、ケガで出られなかった選手も、彼らのプレーに励まされたんじゃないかなと思う」とも。"アライブ・オア・デッド"のスピリッツで臨んだ一戦は、あるいは誰よりも"アライブ・オア・デッド"を意識したであろう出場"一桁"のスタメン3人が、勝ち点3に加えて決して小さくないモノを、確かにチームへもたらした90分間だったようです。           土屋

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0608machida.jpg今シーズン2度目の"武相決戦"は首位と4位の上位対決。地域のライバルが激突する上へ行くか、下に落ちるかのキーゲームは町田サッカー界の聖地・野津田がその舞台です。
1年でのJリーグ復帰を掲げた昨シーズンは、監督交代などもあって結局4位と、最大にして唯一の目標には手が届かなかったFC町田ゼルビア。創設メンバーに名前を連ねたJ3を主戦場に置く今シーズンは、4年ぶりに相馬直樹監督がチームに帰還を果たすと、開幕から10戦無敗と開幕ダッシュに成功して、現在も堂々首位をキープ。「自分たちが目指しているのは、J2でどれだけ戦えるかだと思う」(リ・ハンジェ)「J2で勝てるチームになるためには、もっともっと個人個人がやらなきゃいけない」(鈴木崇文)と2人が声を揃えたように、目の前の結果と"この先"への投資を同時に手にするための1年間を戦っています。
怒涛のリーグ"5連覇"を達成し、駆け上がったJFLのステージでもいきなりの3位。J3へと参入した今シーズンは開幕直後の3月こそ苦しんだものの、元日本代表の高原直泰が試合に出場し始めた4月以降は6勝2分け2敗と大きく星を伸ばして、ここまで4位と上々の成績を残しているSC相模原。木村哲昌監督体制も3年目を迎え、さらなるステップアップを目指す上で今年が重要な1年になることは間違いありません。「ダービーということで注目をして頂いたゲーム」と相馬監督も言及した一戦には、悪天候にもかかわらず3519人のサッカージャンキーが。注目のダービーは相模原のキックオフでスタートしました。


「前半はしっかり守備から入ろう」(木村監督)と立ち上がった相模原を尻目に、まずは町田が手数。3分に鈴木崇文が蹴った左CKは高原のクリアに遭いましたが、同じく3分には右SBの三鬼海が送ったフィードを木島徹也が頭で落とし、鈴木崇文が右足で狙ったシュートは枠の左へ。5分にも鈴木崇文の右CKを深津康太が頭で繋ぐと、戸高弘貴のワントラップ反転ボレーはわずかにゴール右へ。セットプレーを中心に攻撃のペースを掴みます。
12分は相模原。左サイドを曽我部慶太とのワンツーで切り崩した高原の折り返しに、ニアへ突っ込んだ服部康平はダイレクトシュートで応えましたが、ここは町田のGK修行智仁がきっちりセーブ。21分も相模原。曽我部が左から蹴ったCKは中央にこぼれ、これに反応した天野恒太とウェズレイが重なってしまい、シュートは打ち切れなかったものの、相模原にもチャンスの芽が生まれ始めます。
基本的にはボールを後ろで動かしながら、チャレンジする局面では2トップへと長いボールを入れる回数も多かった町田に対し、高い集中力を発揮したのはキャプテンマークを巻いた工藤祐生とウェズレイで組む相模原のCBコンビ。特にウェズレイは184センチの体格を生かして跳ね返したかと思えば、地上戦でも「自分はスピードが持ち味」と言い切るだけあって、大抵の突破や抜け出しは確実にストップ。町田も23分には鈴木崇文がゴールまで25m近い距離から枠内FKを打ち込みましたが、相模原のGK佐藤健が勇気あるセーブで最後はオフェンスファウル。流れの中からはなかなかチャンスを創れません。
29分は相模原。曽我部が自ら獲得した左CKをショートで始め、天野のリターンをそのまま流し込んだクロスは、突っ込んだ高原と工藤にはわずかに合わずも好トライ。「前半の初めの方はずっとボールに触れていて、今日は感じいいなと思っていた。仕掛けとかターンとか、ボールを落ち着かせるとかは首位相手でも問題なくやれたなと思う」と話した左SHの曽我部をスイッチに、少しずつ相模原にも反撃の香りが。
牙を剥いたのは161センチの牛若丸。33分、庄司悦大が右サイドへ入れたフィードは相模原の左SB大森啓生が先に触ったものの、ウェズレイとお見合いした瞬間にボールをかっさらったのは戸高。そのまま右へ流れながら逆サイドを狙ったシュートは、ゆっくりとゴールネットへ吸い込まれます。小さなルーキーが堂々たる大仕事。「いらないミスからの失点」と木村監督も嘆く相模原に生まれた一瞬の隙を見逃さず、ホームチームが先制点を手にしました。
ところが、このリードは10分間で霧散。失点の前後から三幸秀稔と鈴木健太のドイスボランチがボールに触り出したことで、中盤でのパス回しにスムーズさが出てきた相模原は43分、曽我部のパスを引き出した三幸が右へピンポイントでサイドチェンジを付けると、ここでフリーになっていたのは高原。世界を知る男がこの状況に容赦するはずもなく、供給したパーフェクトクロス。全身を投げ出した服部のダイビングヘッドが豪快に揺らしたゴールネット。「フリーにしたら決定的な仕事をされるのも当然」とは、現役時代に高原との対戦経験もある相馬監督。千両役者がルーキーの今シーズン初ゴールをアシストして、スコアは振り出しに引き戻されました。
追い付かれた町田は45+1分、鈴木孝司を起点にリ・ハンジェが右へ回し、鈴木崇文がカットインから打ったシュートは枠の右へ。45+2分にもリ・ハンジェ、三鬼と回ったボールを、鈴木崇文がミドルレンジからチャレンジしたシュートはわずかに枠の右へ。「僕のポジションはゴールに絡まなくてはいけない」と話す鈴木崇文の高いシュート意識も同点とはいかず。最初の45分間は1-1のタイスコアで終了しました。


ハーフタイムで1枚目のカード投入を決断したのは木村監督。「中盤でのハードワークが多くなる中で、コンディション的にもスリッピーな状況で数的不利で後半を戦うのは非常に厳しい」という判断から、ゴールの起点になりながらイエローカードを1枚もらっていた三幸を下げて、佐野裕哉をピッチへ解き放ち、勝ち点3への意欲をチームへ注ぎ込みます。
すると、後半はスタートから相模原がゲームリズムを掌握。48分に曽我部のパスから服部が上げた左クロスはDFに当たってゴール方向へ向かい、修行が懸命のフィスティングで回避したものの、そのCKもチャンスに。曽我部のキックがこぼれると、佐野のボレーはDFが体で防ぎ、さらに曽我部が枠内へ収めたミドルは修行が何とかキャッチ。「うまくショートパスで打開できたりだとか、サイドに振れたりとか、あの時間帯はすごく効果的に繋げていた」とは曽我部。50分にも菅野哲也のドリブルから、曽我部のラストパスを菅野が打ち切ったシュートは平のブロックに阻まれるも、意気上がるのは緑で彩られたアウェイゴール裏。
54分も相模原。大森のドリブルで獲得したFK。左から曽我部が浮かせたキックへ、ニアへ飛び込んだフリーの服部は頭で叩くもボールはゴール左へ。56分も相模原。この日5本目となるCKを曽我部が左から入れると、ファーサイドで拾った菅野のクロスはラインを割ってしまいますが、「少しずつペースを掴めてきていた」と木村監督も振り返った通り、相模原の勢いが町田を飲み込み始めます。
ただ、「誰かがさぼっていたとか、誰かが動いてないわけじゃないけど、全体として後半の立ち上がりはフワッと入っている部分があって、そこで相手に勢いを持たれたなという部分はある」と話すリ・ハンジェは、「そこから盛り返せるのが自分たちの強み」とも。61分の木島と齋藤翔太の交替を挟んだ6分間あまりに右サイドで3度のセットプレーを集中させると、65分には鈴木崇文の左CKから、佐藤が弾いたこぼれをリ・ハンジェはそのままミドルを放ち、数人のDFをかすめたボールは左のポストに当たって、DFが何とかクリア。「アレは入ってましたよ」と苦笑いを浮かべたのは当のリ・ハンジェでしたが、一気に引き寄せたゲームリズム。
69分も町田。右サイド、ゴールまで約25mの距離から今度は曲げた鈴木崇文のFKはクロスバーの上へ。73分も町田。左から鈴木崇文が放り込んだFKを、フリーで合わせた平のヘディングは枠の右へ。76分も町田。庄司の縦パスを鈴木孝司が丁寧に落とし、星野悟がトライしたミドルはウェズレイが間一髪でブロック。青い矛は緑の盾を貫き通せるか。
「『こういう状況の中であれば、なおさらリスタートが大事になる』と言って送り出した」指揮官のメッセージを証明したのは、"1度目"のJFL時代を知るCB。76分、鈴木崇文がゴール前を狙うセットプレーで数えれば10本目となる左FKを放り込むと、ストーンの高原を越えたボールを高い打点で打ち下ろしたのは深津。濡れた芝生に叩き付けられたボールは、勢い良くゴールネットへ飛び込みます。「こういう拮抗した試合でセットプレーで取れたのは大きい」と鈴木崇文。再び町田が1点のリードを強奪しました。
「結構イケイケなムードだったが、相手にロングボールを蹴られた時に、向こうのFWやSHに基点を創られて逆に押し込まれる時間になった。あそこで1人アタックして潰すとか、明確な所をしっかりできなかった」と押し込まれた要因を話したのは曽我部。木村監督も77分には服部と鈴木健太を下げて、松本将也とフェア・モービーを同時に送り込む2枚替えで勝負に出ますが、80分に佐野と高原の連携から大森が上げた左クロスは修行がパンチングで回避。82分に中央、ゴールまで約20mの位置から曽我部が直接狙ったFKはカベにヒット。84分にも佐野が右へ展開したボールを菅野が繋ぎ、曽我部のラストパスに高原が飛び込むもオフェンスファウルの判定。1点のビハインドが重く圧し掛かります。
86分に三鬼とペ・デウォン、89分に戸高が放った惜しいミドルを経て、90+1分に鈴木崇文と藤田泰成を相次いで入れ替え、ゲームクローズに着手した相馬監督。提示された5分のアディショナルタイムも尽きかけた90+5分、高原が執念で奪ったFKを佐野が町田ゴール前に放り込んだボールはDFがクリアで凌ぎ、野津田の青いサポーターが聞いたのはタイムアップのホイッスル。「選手は本当に力強くやってくれた」と相馬監督も認めた町田が"武相決戦"を制して、今シーズン2度目のリーグ戦3連勝を達成する結果となりました。


「最低でも勝ち点1は取れた状況」と木村監督が話し、「全体を通してどっちに転んでもおかしくないゲーム」と曽我部が振り返った通り、双方に勝ち点を獲得する可能性が十分あったゲームだった印象です。そんな中で勝敗を分けたのは「我慢して90分通して最後に勝っていればいいんだという気持ち」とリ・ハンジェが語った、いい意味での割り切りと90分間のデザイン。例えばそのリ・ハンジェや、例えば深津のような経験豊富な選手が、慌てず騒がずセンターラインにどっしりと構えていることはチームにとって非常に大きなポイントだと個人的には感じました。「選手1人1人のモチベーションというのは、いくらチームで『やろうやろう』と言っていても、個人で上げていかないと。人に言われて上げていくモチベーションなんてたかが知れているので、そういう部分をもうちょっと僕も含めて自覚を持って挑まなくちゃいけない」と気を引き締めたリ・ハンジェ。物言うベテランに支えられた町田の"超戦"は、まだまだこれからが本番です。          土屋

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hitachidai0907.jpgワールドカップ前にJリーガーたちがサポーターへ送り届ける、360分間のフットボールに対する情熱。Bグループの趨勢を決める重要な一戦は日立台です。
渡部博文の劇的な決勝ゴールで逆転勝利を収めた開幕戦は2ヶ月前。ただ、甲府、大宮と続いたアウェイ2連戦はいずれもドローでグループ3位に付けているのは柏。ここから始まる2週間で4試合の強行軍を考えても、今日のホームゲームは落とせない一戦。ディフェンディングチャンピオンとしての意地を、ホームでサポーターに見せたい所です。
ここまでの3戦は2勝1分けと無傷。なかなかゴールの生まれないリーグ戦とは裏腹に、3試合7得点と逆に攻撃力が牽引する格好でBグループの首位に立っている新潟。柳下体制3年目となる今シーズン、サポーターが求めているのは間違いなくクラブ史上初のタイトルであるのは間違いない所。アウェイとはいえ、難敵をきっちり叩いて首位固めと行きたい90分間です。雨上がりの日立台が計測した気温は.度。肌寒さすら感じる5月のナイトゲームは、柏のキックオフでスタートしました。


ファーストシュートは柏。3分、右サイドで高山薫のパスからソン・ジュフンと入れ替わった工藤壮人はそのままフィニッシュ。ボールの勢いが弱く、新潟のGK守田達弥にキャッチされたものの、ストライカーが示した勝利への意欲。新潟のファーストシュートは6分。レオ・シルバとのワンツーから岡本英也が右へ付け、ルーキーながら早くもチームの重要な戦力になっている小泉慶が中へ持ち込みながらシュート。ここはDFが何とかブロックしてCKに逃れましたが、お互いに積極的な姿勢を立ち上がりから打ち出します。
そんな中、9分に早くも歓喜に沸騰したサポーターは黄色。最終ラインでボールを持った鈴木大輔は、ソン・ジュフンと大野和成の門を通す極上スルーパス。完全に裏を取った高山が折り返すと、フリーの田中順也は右足で右スミへ丁寧に流し込みます。「練習ですずっとやってきた形。薫が良いボールをくれた」と語ったレフティの"右"が飛び出し、柏がパーフェクトな崩しから先制弾を叩き込みました。
いきなり追いかける展開となった新潟もすぐさま反攻。10分にはボランチからのスタートとなった舞行龍ジェームズを起点に、鈴木武蔵を経由したボールを小泉が狙うも、渡部がきっちりブロック。直後の右CKを松原健が蹴ると、ニアに突っ込んだ大井健太郎のヘディングは枠の右へ。シュート数ではホームチームを上回ります。
ところが、次に再び決定機を掴んだのは柏。茨田陽生が立て続けにミドルを放った直後の15分、「それが自分の仕事なので、前回の試合であまり入れられなかった縦パスを入れたいというのがあった」という茨田が縦に鋭いクサビを当てると、レアンドロのパスで裏を取ったのは高山。ニアへのクロスに合わせた工藤のジャンピングボレーはクロスバーにヒットしてピッチへ跳ね返ったものの、「あそこを突いていく他にチャンスはないと思った」というストライカーの強烈なシュートに、声を失う新潟サポーター。そして、工藤の話した"あそこ"こそが序盤の大きなポイントに。
3分、9分、15分とゴールも含めて、柏が決定的なシーンを創ったのはすべて右から。この3シーンでいずれも裏を簡単に取られてしまったのは、これが新潟でのデビュー戦となるソン・ジュフン。「相手のCBの所もコミュニケーションが取れていない部分があったし、不安定な部分もあった」と工藤が話せば、「人を変えたことでハマりが見つけられなかったのかな」とは大谷秀和。柳下正明監督も「立ち上がりから守備においての役割をみんなが理解できていなくて、そこをうまく使われた」と明言したように、ソン・ジュフンと周囲の連携が不安定だったことで、どうしてもラインを上げ切れず、新潟から見た左サイドの裏を使われ放題に。また、ボランチの舞行龍も田中へマンツーマン気味に付くことで最終ラインに吸収されてしまい、5バックのような後ろが重たい時間が続いてしまいます。
20分には新潟も田中亜土夢のパスを受けた鈴木が、左からカットインしながら枠へ飛ばすも柏のGK菅野孝憲が確実にキャッチすると、25分には柏にまたもビッグチャンス。右サイドを高山と2人で崩したレアンドロが中へマイナスに送り、工藤のシュートを松原が懸命にクリアしたボールは右のポストにヒット。こぼれに反応した田中のシュートは舞行龍が体を投げ出してブロックしましたが、最初の15分よりは落ち着いてきた展開の中で「セカンドボールが拾え、バイタルで受けるという所で主導権を握れた」と工藤も話した柏のリズムは変わらず。
すると、34分にスタジアムを揺らしたのは「あの威力はイメージ以上」と本人も驚くゴラッソ。橋本和、レアンドロと回ったボールをピッチ中央で引き出した茨田は、ワントラップで持ち出すとそのままミドルにトライ。「トラップした時に若干ボールが浮いたおかげで、自分の振った足に綺麗に乗った感じ」と自ら振り返ったボールは、凄まじいスピードでゴールネットへ突き刺さります。「あれだけ速い球が飛んでいってゴールに入ってくれると気持ち良かった」という言葉にも頷ける、茨田の弾丸ミドルが炸裂。スコアボードの数字が"2"に変わりました。
前半終了間際のラッシュも柏。45分、田中が左へ振り分け、橋本が上げたクロスをニアで工藤がヒールフリックを敢行も、走り込んだ高山には合わず。45+1分にはレアンドロと工藤が絡み、ハイサイドに潜った茨田が右からクロスを放り込むと、大井が何とかクリア。45+2分にも田中の右CKがこぼれ、ゴールまで数メートルの距離から3バックの中央を任された増嶋竜也が放ったシュートはクロスバーの上へ外れ、その増嶋は頭を抱えましたが、セットプレーからも決定的なシーンを。「ゲームに入る準備が雲泥の差」とは柳下監督。柏が2点のアドバンテージを手にして、最初の45分間は終了しました。


「柏の3トップはほとんどFW3人ということで、守備になった時にボランチにマーキングさせたいと。SBはアウトサイドのWBを抑えて、最終的に後ろは5対5の形にして、その分2列目の選手をもっと前でプレーさせたかった」という狙いから舞行龍をボランチで使ったものの、「本当は90分やらせたかったけど、周りのストレスがどんどん溜まりそうだったので」やや本領を発揮できなかったであろうソン・ジュフンを下げて、小林裕紀を投入した柳下監督。舞行龍を最終ラインに落とし、全体のバランスを取り戻しに掛かります。
後半のファーストチャンスは新潟。47分、前半から積極性を見せていた松原が裏へ落とすと、マーカーを後方から追い抜いた鈴木がボールにリーチ。飛び出した菅野と交錯しながら触ったシュートは枠の右へ外れましたが、ナビスコでは得点ランクトップを走る20歳が、ゴール裏のオレンジサポーターを沸かせます。
ただ、反撃態勢に入った新潟の致命的なポイントは「球際の所もあまりプレッシャーを感じなかった」と大谷が振り返ったように、球際の緩さが如実に出た守備時のセットプレー。48分には田中の左CKを、増嶋がドンピシャで合わせたヘディングは守田がファインセーブで回避。56分にはまたも田中が左CKを蹴り込むと、工藤が密集に頭で入れたこぼれを橋本が利き足でボレー。これも守田が素晴らしい反応で掻き出しましたが、続けざまに決定的なシーンを創出します。
トドメもやはりセットプレー。58分、田中が連続して右から蹴った2本目の、トータル8本目のCKに渡部が飛び付き、こぼれたボールを再び渡部がハーフバウンドで叩いたボレーは、ゴール左スミへ一直線に飛び込みます。「甲府戦はちょっと自分たちらしくなかったというか、やらなきゃいけないことが出せなかったという所で言えば、連戦の中でリーグとナビスコは別物だけど、今日は自分たちがやらなきゃいけない部分をどうやっていくのかが非常に重要だったと思う」と大谷も位置付けていたゲームで怒涛の3ゴール。柏が大きな追加点を奪いました。
手痛い3点のビハインドを負った新潟は、失点の直前に当たる55分に鈴木と替えて川又堅碁を投入していましたが、なかなか流れを一変させるまでには至らず。65分にはレオ・シルバが左サイドへスルーパスを繰り出し、田中亜土夢の入れたクロスに川又が走り込むもわずかに合わず。68分には2枚目のカードとして岡本と田中達也をスイッチさせ、何とか図りたい攻撃のギアチェンジとパワーアップ。
それでもゴールの匂いはホームチームに。71分には高山とレアンドロの連携から、右へ展開したボールを茨田がファーへクロス。収めた田中は縦に持ち出しながら必殺の左足を振り抜くと、高速シュートはクロスバーに激しくヒット。80分にも投入されたばかりの小林祐介が中盤でボールを拾い、レアンドロとのパス交換からエリア付近へ。最後はレアンドロのラストパスがDFに引っ掛かったものの、ここ最近存在感を増し続けている19歳も、すぐさまゲームに入ってみせます。
せめて1点を返したい新潟は、「田中達也さんが入ってきて、中途半端な所で受けてターンされたりしていたので、それが嫌だった」と大谷も話したように、田中達也はかなりの広範囲を動き回って、チャンスメイクに奔走。87分には大野が上げた左クロスの処理にDFがもたつくと、その田中達也が浮き球をそのままダイレクトボレーで狙いましたが、ボールは左ポストに直撃するとそれがこのゲームのファイナルシュート。「今日の試合は攻守において新潟を上回ることができたのではないかと思う」とネルシーニョも評価を口にした柏が、グループ首位に躍り出る大きな3ポイントを獲得する結果となりました。


新潟にとってはなかなか厳しい90分間になってしまいました。「柏はこのゲームを落としたら非常にチャンスが少なくなるということで、スタートからかなりハイスピード、厳しいプレーで来るということは分かっていたはずだが、その準備をしていなかったのが、90分通してこういう結果になったんじゃないか」と柳下監督。「17番の選手の特徴が把握し切れてなく、3番の選手がどう操っていいのかで苦戦しているなと思った」と工藤も言及したように、最終ラインの不安定さが色々な所に伝染した部分は否めません。とはいえ、「彼にとっては残念な交代だったけど、まだまだゲームはあるので」と指揮官も話したように、たった1試合のパフォーマンスで色々ジャッジするのは早計。ソン・ジュフンの今後には是非注目したいと思います。
「前節甲府相手に3失点したという所で言えば、今日ゼロで抑えて結果を出したというのはものすごくチームにとって大きなこと」とキャプテンが振り返った通り、3ゴールという結果ももちろんですが、久々の出場となった増嶋がさすがのパフォーマンスで勝利に貢献したことも、この結果の意味合いをより強いものにしているのは間違いありません。ともすれば引きずる可能性もあった敗戦から、わずか中3日で掴んだ内容と結果の手応え。「順位やチーム状況をしっかり切り替えられているのかという所も含めて、重要なゲームをしっかりモノにできたのはチームが成長している部分」と大谷。埼玉スタジアムへと続く連覇への道。太陽王が再びその進む方向を自ら照らし出した水曜の夜でした。         土屋

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