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0422koma2-4.JPG因縁の"十条ダービー"がクォーターファイナルで実現。今シーズンのT1でも既に対戦した帝京と東京朝鮮のリターンマッチは、雨脚の強まる駒沢第2球技場です。
ここ2シーズンは続けて選手権予選のファイナリストに。全国大会への復帰へあと一歩と迫るなど、日比威監督の下でかつての栄光を取り戻すべく、確実に復権への道を歩んでいる帝京。今シーズンは守護神の和田侑大(3年・FC東京U-15むさし)やキャプテンの菅原光義(3年・S.T.FC)といった最上級生や、三浦颯太(2年・FC東京U-15むさし)に佐々木大貴(2年・FC東京U-15むさし)の2年生コンビを筆頭に、昨年の経験値を携えた主力が多数残っており、期待値はかなりの高さ。今大会も東海大菅生に4-1、修徳に3-0と実力派を複数得点で退けた勢いを持って、この準々決勝へ挑みます。
昨シーズンはリャン・ヒョンジュ(早稲田大)にキム・テウ(朝鮮大学校)と攻守の軸にU-19北朝鮮代表を擁したものの、関東大会予選とインターハイ予選は準々決勝で敗退を突き付けられ、選手権予選でも2年続けてベスト4で涙を飲むなど、悲願の全国出場には届かなかった東京朝鮮。迎えた今シーズンはT1リーグでこそなかなか結果が出ていないものの、「イギョラ杯もそうですけど、いろいろな大会に出させていただいて、その経験を積んだことが生かされているんじゃないかと思っています」と新指揮官の姜宗鎭監督が話した通り、充実した春休みを挟んで臨んだ今大会は日大鶴ヶ丘に6-0、東京実業に2-0と連続完封でこのステージまで。明らかな上り調子でダービーへ向かいます。夕闇迫る駒沢には前述したように大粒の雨が。ライバル同士の80分間は帝京のキックオフでスタートしました。


ピッチにも水が浮き始めるコンディションの中、8分のチャンスは帝京。ミドルレンジから岡本良太(3年・FC明浜)が狙ったシュートは枠の右へ逸れるも、果敢なチャレンジを。逆に18分は東京朝鮮。ムン・インジュが自ら蹴った右CKのルーズボールを拾ってクロスに変えると、中央に飛び込んだリュウ・ユウォン(3年・千葉朝鮮中)のシュートは右のポストを叩き、左のポストにも当たってピッチ内へ。まずは東京朝鮮に決定的なシーンが訪れます。
26分は帝京。ボランチの渡辺楓(3年・横河武蔵野FC JY)を起点に、中央をドリブルで運んだ三浦はゴールまで25m近い位置から左足一閃。ボールは右のポストを直撃しますが、素晴らしいミドルに沸き上がる応援席。36分は東京朝鮮。ホン・リジン(2年・東京朝鮮第一中)が短く付けたボールから、ムン・インジュが叩いたミドルはクロスバーにハードヒット。両チームの司令塔を務めるレフティ同士が撃ち合った好ミドル。
そんな中、前半終了間際にスコアを動かしたのはカナリア軍団。38分に三浦が左サイドへ展開すると、1年生ながらスタメンに起用された左サイドバックの石井隼太(1年・FC東京U-15むさし)が丁寧なクロスをファーサイドへ。ここに走り込んだ中村祐隆(3年・西東京保谷中)のヘディングは、雨粒を切り裂いてゴールネットへ突き刺さります。「前半は押し込まれるシーンがあって、自分たちも耐える時間があった」とムン・インジュも振り返った前半は、帝京が1点のリードを奪って40分間が終了しました。


後半は「ハーフタイムに『このままじゃダメだし、もっともっと自分たちはできるから、自分たちを信じて相手チームより走って、そういう所から勝っていこう』とみんなイチからリセットした」とキャプテンのハン・ヨンギ(3年・東京朝鮮第一中)も言及した東京朝鮮のラッシュ。43分にムン・インジュが蹴った右CKはDFのクリアに遭い、直後に左からここもムン・インジュが入れたCKにチョン・ユギョン(2年・東京朝鮮第一中)が競り勝つも、最後はオフェンスファウルを取られたものの、明らかにアクセルを踏み込んだレッドタイガーの咆哮は47分。
左サイドで得たFKが中央にこぼれると、エリア右寄りでボールを収めたリ・ヒョンジェ(3年・東京朝鮮第一中)は、中央を窺いながら縦に絶妙のラストパス。「『中に出しちゃうかな』と思ったらこっちを見てくれていて、ちょうど目も合って思い通りに来てくれた」とそのパスを振り返ったハン・ヨンギのシュートはGKも弾き切れず、ゴールネットへ吸い込まれます。「人一倍声を出すのと、1点でも入れてチームの雰囲気を上げていくのを目標にしています」と語るキャプテンが気合の一撃。スコアは振り出しに引き戻されました。
「勝つためには得点を入れないといけないので、ウチが入れれば1-1で延長戦もあるし、後半の最初の20分で1点を目指していこうという所はハーフタイムに伝えました。思ったより早い時間に入ったのでちょっとビックリしたんですけど(笑)、うまく行き過ぎちゃいましたね」と笑ったのは姜監督ですが、49分には逆転のチャンス。リ・リョンジェ(3年・東京朝鮮第一中)のパスから、ホン・リジンが左足で左スミギリギリへ収めたミドルは、和田が横っ飛びで何とかファインセーブ。入れ替わったゲームリズム。ペースは東京朝鮮へ。
押し返したい帝京。50分にはここも積極的にオーバーラップしてきた石井のクロスから、佐々木が打ったシュートはDFに当たって枠の右へ。直後に三浦が蹴った右CKはシュートまで至らなかったものの、57分には同点機。佐々木が右へ振り分け、サイドバックの岩本嶺(3年・帝京中)が上げたクロスから岡本が打ち切ったヘディングは、東京朝鮮のGKチュウ・サンホン(3年・神奈川朝鮮中)がファインセーブで回避。58分にも右サイドから佐々木が放ったシュートはサイドネットの外側へグサリ。ようやく帝京にも次の得点の香りが漂い始めます。
63分は東京朝鮮。左サイドでボールを持ったキム・セリュン(3年・東京朝鮮中)が、カットインから枠へ収めたミドルは和田がキャッチ。64分も東京朝鮮。ホン・リジンが縦に打ち込み、粘って収めたハン・ヨンギの強引なミドルはゴール左へ。67分も東京朝鮮。ムン・インジュが蹴った右CKを、打ち下ろしたチョン・ユギョンのヘディングはゴール左へ。「ハーフタイムで本当に良い心構えができたと思います」とハン・ヨンギも口にした東京朝鮮が一段階踏み込んだアクセル。
狂喜の瞬間は69分。カウンター気味に相手陣内へ駆け上がった東京朝鮮のアタック。運んだキム・セリュンが左へ流すと、しっかり走っていたリ・ヒョンジェは粘って粘ってフィニッシュまで。右スミへコントロールされたボールは、ポストの内側に当たって、そのままゴールネットへ転がり込みます。「流れから点が取れるチームではないので、今まではセットプレーの点が多かったんですけど、今日は流れの中から点が取れましたね」と笑ったのは姜監督。東京朝鮮がスコアを引っ繰り返しました。
追い掛ける展開となった帝京は続けざまに交替を。70分に奮闘した石井と中田廉太郎(3年・横浜F・マリノスJY)を、72分に入澤大(2年・FC東京U-15深川)と石川航大(1年・鹿島アントラーズつくばJY)を相次いで入れ替えるも、右からチョン・リュンギョン(3年・東京朝鮮中)、チョン・ユギョン、リュウ・ユウォン、リ・ヒョンジェで組んだ4バックを中心に途切れない東京朝鮮守備陣の集中力。75分には1人目の交替として、右サイドハーフのキム・ヒョンジュン(2年・東京朝鮮第一中)とハ・ジュノン(2年・東京朝鮮第一中)をスイッチして取り掛かるゲームクロ-ズ。残り時間は5分間とアディショナルタイムのみ。
1点の遠い帝京は75分に岩本を下げて、194センチの赤井裕貴(2年・FC東京U-15むさし)を前線に送り込んで最後の勝負に打って出ましたが、80分に1年生センターバックの柳大弥(1年・三菱養和調布JY)が左から中央へ蹴り込んだFKもチュウ・サンホンのパンチングに阻まれると、これがこのゲームのラストチャンス。「ウチらの良い所は団結力なので、みんなで声を出して最後までやる所が今日は良かったと思います」とムン・インジュも笑顔を見せた東京朝鮮が、逆転勝利を手にしてセミファイナルへと駒を進める結果となりました。


雨中の激闘を制した東京朝鮮。「4月1日にT1でウチのグラウンドで当たって、内容的には悪くなかったんですけど、最後の最後にアディショナルタイムにFKでやられたので、そのリベンジということもあって選手たちのモチベーションは高かったですし、それがうまく表現できて、今日は最高の形で良かったと思います」と姜監督も話したように、前回の対戦では悔しい負けを喫した帝京にきっちりリベンジを果たした格好になりましたが、「2点目が入った時は勝ったなと思いました」とムン・インジュが口にすれば、ハン・ヨンギは「1点目でこの調子で行けるかなと。勝てる気はしましたね」とのこと。チームにも小さくない自信が芽生え始めているようです。「この関東大会予選へ臨むに当たって全員でミーティングを開いて、『出る選手だけじゃなくて全員で戦おう』と。それで気持ちを1つにして臨むという所からやって、そこがどう出ているかはわからないですし、まだまだ足りない所もあるんですけど、応援してくれている子たちも含めて1つになっていっている過程で、それが良い結果に出ているのかなと思います」と姜監督も一体感に手応えを掴みつつある様子。着実に成長を遂げている東京朝鮮も今後が楽しみなチームの1つです。     土屋


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0422koma2-3.JPG昨年度のインターハイで全国を経験した両雄が激突。東海大高輪台と関東第一のクォーターファイナルは、引き続き駒沢第2球技場です。
各ポジションにタレントを擁し、激戦の東京予選を勝ち抜いて全国の舞台まで辿り着いたのはインターハイ予選。選手権予選は準々決勝で帝京に屈したものの、シーズンを通じて大きなインパクトを残した昨シーズンの東海大高輪台。迎えた今シーズンは「僕もこの子たちも今年はゼロからのスタートだから『時間は掛かるよ』って言ってます」と川島純一監督も話したように、リーグ戦は開幕5連敗と苦しい時期を過ごしましたが、今大会は創価と日本学園を共にPK戦で下して、きっちり準々決勝まで。「確実に良くなってきています」と指揮官も認める状況の中、楽しみな一戦に臨みます。
2年連続でインターハイ予選を勝ち抜くと、勢いそのままに選手権予選も粘り強く勝ち上がって、とうとう初めて冬の全国へ。その全国では開幕戦で野洲を下し、2回戦では正智深谷に劇的な逆転負けを喫したものの、ここ数年で確実に経験値を積み上げている関東第一。主力の大半が卒業した今シーズンは、T1リーグこそ実践学園とFC東京U-18(B)に敗れましたが、直近の3試合で3連勝を飾るなど、調子は間違いなく上向きに。今大会も初戦で都立高島に3-0で勝利を収めると、2回戦では難敵の都立駒場も2-1で撃破。一定以上の手応えを携えて準々決勝に挑みます。とうとう持ち堪えていた駒沢の上空からはポツポツと雨粒が。注目の好カードは雨模様の中でキックオフを迎えました。


先にチャンスを迎えたのは高輪台。4分に左サイドでボールを持ったキャプテンマークを巻く本多翔太郎(3年・GRANDE FC)が鋭いシュートを枠内へ。ここは関東第一のGK北村海チディ(2年・GRANDE FC)がファインセーブで回避したものの、いきなりのファーストシュートに意気上がるタイガー軍団。一方の関東第一も15分には右から小関陽星(2年・町田JFC)がCKを蹴るも、高輪台のGK横田萌樹(3年・横浜FC鶴見JY)が確実にキャッチ。16分に嶋林昂生(3年・町田JFC)のパスから篠原友哉(3年・府ロクJY)が狙ったミドルは枠の左へ。お互いに手数を出し合ってゲームは立ち上がります。
ただ、少しずつ攻勢の時間を引き寄せたのは高輪台。22分には松永浩誉(3年・横浜FC鶴見JY)が右へ付けたボールを、1年生ながらスタメンに抜擢されたサイドバックの藤井一志(1年)がクロスまで持ち込み、突っ込んだ松永はシュートこそ打てなかったものの好トライ。29分には決定機。ここも松永が右へ流し、中込雅樹(2年・インテリオールSC)がマイナスに折り返すと、フリーで待っていた前田佑哉(3年・FC.PROUD)のシュートは枠を越えてしまい、思わず前田も頭を抱えましたが、サイドアタックにゴールの雰囲気が。
32分も高輪台。前線でマーカーと競り合いながらボールを収めた中込が、そのまま放ったシュートは北村が懸命にキャッチ。35分も高輪台。松永が短く付け、本多が枠へ飛ばしたミドルは北村がキャッチ。37分も高輪台。本多がドリブルで突っかけ、鈴木啓太(3年・GRANDE FC)が左足で打ち込んだミドルは、ここも北村が何とかキャッチ。39分は関東第一。右から小関が蹴り入れたCKは、そのままゴールキックへ。「お互いに勝ってきている同士だから、ゲーム内容で圧倒はないだろうなと思っていました」とは関東第一の小野貴裕監督ですが、前半は守備面でも小林陸玖(3年・ヴェルディS.S.AJUNT)と今井創一朗(3年・C.A.ALEGRE)のセンターバックコンビが安定感を発揮した高輪台がペースを掴んだままに40分間が終了しました。


ハーフタイムに動いたのは関東第一。1トップに入った小柳陸(1年・FC府中)に替えて、古宇田旭(2年・横浜F・マリノスJY追浜)を右サイドハーフに送り込み、村井柊斗(3年・FC多摩)の下に右から古宇田、小関、重田快(3年・バンデリージャ横浜)を並べる布陣でペース奪還へ。49分には古宇田の右クロスをファーで収めた重田のシュートは枠の左へ外れますが、先制への意欲をフィニッシュへ滲ませます。
52分は高輪台。松永が果敢に打ったミドルは北村がキャッチ。53分は関東第一。嶋林のパスを引き出した篠原が、狭い所に潜って打ち切った左足のシュートはクロスバーの上へ。55分は高輪台にセットプレーのチャンス。中込の突破で獲得したFK。中央右寄り、ゴールまで約25mの位置から松永が直接狙ったキックは枠の右へ。
58分は関東第一。「1回も大きいミスがないし、サイドバック慣れしている」と指揮官も高評価を口にする右サイドバックの田中大生(1年・横浜FC JY)が左FKを蹴り込み、中央でシュートには至らなかったものの、ルーキーが悪くないキックでチャンスを演出。60分は高輪台。GKの位置を確認した志村貢令(2年・ジェファFC)がゴールまで40m近い距離のロングシュートを敢行すると、わずかに枠を越えましたが、そのアイデアにどよめくスタンド。スコアは変わらず、後半も既に半分が経過。
62分は関東第一。重田のパスから篠原が打ったシュートはDFが弾き出し、こぼれに反応した村井の左足シュートは横田がキャッチ。67分は高輪台。運んだ中込が後ろに戻し、本多が右へ展開したボールを松永が叩いたワントラップボレーは北村が丁寧にキャッチ。68分は関東第一。ボランチの今野綾仁(3年・フレンドリー)を起点に篠原が浮かせると、重田が放ったシュートは横田がキャッチ。高輪台の前田と村井悠人(3年・川崎チャンプJY)を入れ替えた1人目の交替を経て、69分には松永の左FKからこぼれを思い切り良く藤井が枠外ミドルまで。お互いにやり合いながら、気付けばいよいよ残り10分間の攻防へ。
80+1分に訪れた関東第一にとって絶好の先制機。右サイドに開いた小関が得意の左足で入れたインスイングのクロスに、ドンピシャで合わせた重田のヘディングは枠を捉えるも、横田が抜群の反応でファインセーブ。80+3分は高輪台にチャンス。この時間帯に駆け上がったルーキーの藤井が右クロスを上げ切り、中央でルーズボールをさらった鈴木のミドルは枠の上へ。80分間では決着付かず。セミファイナルへの切符は前後半10分ずつの延長戦で争うこととなりました。


延長開始から高輪台に2人目の交替。右サイドで奮闘した1年生の藤井に替えて、小松崎大樹(2年・クリアージュFC)を左サイドバックへ投入し、サイドの攻守にテコ入れを図りますが、とうとうスコアを動かしたのは関東第一の2年生レフティ。83分に篠原からのパスを右で受けた小関は、キックフェイントを織り交ぜたドリブルで中央を横断しながら左足一閃。ボールは右スミギリギリのゴールネットへ突き刺さります。「『ここでそれかよ』って思いました」と小野監督も笑いながら振り返った一撃はまさにゴラッソ。小関の先制弾で関東第一が1点のリードを奪いました。
追い掛ける展開となった高輪台も84分に反攻。相手陣内へ押し込んだ流れから村井悠人が思い切り叩いたミドルは、クロスバーに激しく当たってノーゴール。89分には志村と箱田詩音(3年・FC渋谷)をスイッチすると、90分には鈴木がミドルを狙うも、嶋林が体を投げ出してブロック。直後の90分にも右サイドバックへ移った阿部泰世(2年・GRANDE FC)が中央へ折り返し、松永が左スミへ飛ばしたシュートは北村がビッグセーブで阻止。スコアは0-1のままで、ゲームは延長後半の10分間を残すのみ。
ここで粘り強さを見せたのは関東第一ディフェンス。右から田中、関口聖人(2年・フレンドリー)、キャプテンの小野凌弥(3年・WINGS U-15)、嶋林で組んだ4バックに守護神の北村を加えた守備陣は、ラインをきっちり保ちながら高い集中力で破綻の色を見せず。98分に右から松永が蹴ったCKを北村が弾き出し、そこからのカウンターで重田が掴んだGKと1対1のチャンスは横田のファインセーブに阻まれ、追加点とは行きませんでしたが、最後まで高輪台にゴールを許さず、見事にシャットアウト。「ゲームとしてはお互いにサッカーをちゃんとやれたから、面白いなと思って見ていました」と小野監督も話した一戦は、小関の決勝点で関東第一が準決勝へと勝ち上がる結果となりました。


お互いに持ち味を出し合った好ゲームでした。「だいぶ形もできてきてるでしょ」と川島監督も話した高輪台は、T2リーグでの不調が嘘のようにスムーズなアタックを再三披露。「今年は全員が同じ絵を描けてサッカーをやれたら強いですよ。何せ今年は例年に比べて個性がありますから。速いヤツもいるし、大きいヤツもいるし、それぞれの個性が生きれば、時間は掛かると思うけど面白いと思いますし、それを信じてやっていくしかないですね」と1ヶ月前に指揮官が言及していた通り、この関東予選の3試合で確実にチームは同じ絵をイメージし始めている様子。ここからの高輪台からは目が離せません。
「今週は相手というよりも自分たちが良い所を出したいなと。ちょうど力が抜けるのはわかっていたので、今までみたいに『勝たなきゃいけない』とか『これをやらなきゃいけない』とかじゃなくて、1週間ずっとコンディションを良くすることだけ考えてやってきた」と小野監督が語った関東第一は、早くも勝負強さを持ち合わせている印象を受けました。昨年度のチームも一昨年度のチームも、決してうまく行かないゲームでも焦れずに戦えるメンタリティを有していましたが、その2年間を知っている小野や篠原をはじめとした3年生たちが、きっちりゲームをコントロールできているのかなと。これで都内のトーナメントコンペティションは何と12連勝。3大会連続優勝まではあと2つの勝利のみです。         土屋

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0422koma2-2.JPG第2試合は今シーズンの注目校同士の対峙。2試合9得点の攻撃力で勝ち上がってきた早稲田実業と、優勝候補筆頭の呼び声も高い実践学園のクォーターファイナルは、引き続き駒沢第2球技場です。
昨年度の選手権予選は躍進の大会。準々決勝で結果的に優勝する関東第一を相手に、残り5分まで2点のリードを奪い、最後は驚異的な粘りの前に追い付かれ、延長戦で涙を飲んだものの、鮮烈な印象を残した早稲田実業。そのゲームに出場していた主力が4人残った今シーズンも、リーグ開幕戦を3-0でモノにすると、今大会は淑徳巣鴨を2-0、明大明治を7-0で下し、新チームの公式戦はいまだ無失点での3連勝。「少しでも自分たちの時間帯やボールのタメを創ってやろうということに関しては、ここ数年の中では良いかなと思っています」とは森泉武信監督。一定の自信を携えて強豪相手の一戦へ挑みます。
昨年12月の横山杯では、並み居る強豪を抑えて見事優勝を勝ち獲ると、迎えた今シーズンのT1リーグでも昨年度の選手権全国出場校の関東第一と駒澤大学高に加え、國學院久我山にも勝利を収め、ここまで5勝1分けで首位に立つなど、周囲からの評価も非常に高い実践学園。「去年T3でほぼ同じメンバーで戦ってきて、リーグ戦は結局去年も負けていないし、今年もそのまま負けていないので、勝ちグセみたいなものが付いていますね」と今年のチームを評するのは深町公一監督。今大会は初戦で大雨というコンディションの下、大成に延長戦で2-0と競り勝つと、2回戦は成立学園との大一番を2-1で制してこのステージへ。「Tリーグ、関東、インハイ、選手権、全部獲りに行くのが目標です」と言い切るのはキャプテンの尾前祥奈(3年・江東深川第四中)。"四冠"へ向けての第一歩を踏み出すべく、この準々決勝へ臨みます。まだ上空はかろうじて雨の落ちてこない曇天模様。楽しみな80分間は実践のキックオフでスタートしました。


まずボールをキープしながら攻撃の時間を長く創ったのは実践ですが、「スペースを消された時に、さらにそこに飛び込んで行ける選手がいなかったのかなと」と内田尊久ヘッドコーチが話した通り、際どいゾーンにはなかなか侵入できず。13分には浦寛人(3年・GA FC)がミドルを放つも、早実のGK関口恵允(3年・レッドスターJY)ががっちりキャッチ。20分にも山内稔之(2年・AZ'86東京青梅)、高須史弥(3年・ヴェルディS.S.AJUNT)と繋いだボールを、前原龍磨(3年・三菱養和調布JY)がさらってドリブルで突っかけるも、ボールは少し伸びて関口の元へ。決定的なシーンには至りません。
逆に22分は早実にチャンス。前線で宮脇有夢(3年・湘南ベルマーレU-15平塚)がタメを創り、今野駿(3年・横浜青葉台中)、木下悠人(2年・FC.GIUSTI世田谷)とスムーズに回ったボールを、ボランチの土居隆馬(3年・石川星稜中)がミドルまで。ここは実践のGK成田雄聖(3年・S.T.FC)がキャッチしたものの、小気味良いパスワークでフィニッシュを記録。実践も27分には右から山内がFKを、直後にも左から高須がCKを蹴り込むも、どちらもキャプテンマークを巻いた秋元浩希(3年・多摩大目黒中)が丁寧にクリア。攻守に出てきた早実のリズム。
29分は早実。秋元の右FKに宮脇が頭で落とすも、飛び込んだ木下には届かず。33分も早実。木下が粘って右クロスを送り、こぼれを叩いた今野のシュートは実践3バックの左に入った三澤健太(3年・昭島瑞雲中)が体でブロック。その右CKを今野が放り込むと、鈴木俊也(2年・FC東京U-15深川)のヘディングは成田がキャッチ。36分は実践にチャンス。石本耀介(3年・青山SC)のドリブルで獲得した右CKを山内が蹴り入れ、ファーで当て切った浦のヘディングは枠の左へ。38分は再び早実。今野、木下とボールを回し、宮脇が敢行したスライディングシュートは成田が何とかキャッチ。「展開的には互角の時間帯もあったかなと思います」とは森泉監督。やや早実が押し戻した感のある前半は、スコアレスで40分間が終了しました。


後半の立ち上がりは早実ペース。いきなり41分。木下が左へ展開し、ドリブルで持ち出した亀井英志(2年・早稲田実業中)のクロスは成田にキャッチされたものの、鋭いサイドアタックを。45分にも鈴木が左へフィードを送り、収めた左サイドバックの市橋宗一郎(3年・練馬大泉中)のクロスに今野が飛び込むも、成田が何とかキャッチ。48分にも今野の右CKを亀井がヒールで残すと、ゴール前は混戦に。ここもシュートには至らなかったものの、「入りの所がいつものウチの流れじゃなかったのかなというような気はします」と内田ヘッドコーチも認めたように、早実に漂うゴールの雰囲気。
そんな流れを一掃したのは「成立の時に点を取ったこともあって、周りの応援してくれているみんなにも『今日も頼むよ』と言われていたので、『決めてやろう』という強い気持ちを持ってできた」というナンバー10。52分に齋藤彰人(3年・FC多摩)が後方から丁寧なピンポイントフィードを蹴り込むと、一度は空振りした武田義臣(3年・FC.Branco八王子)は体勢を立て直してインサイドでシュート。GKに当たってゴールへ向かったボールは、懸命に戻ったDFのクリアも一歩及ばず、ゴールネットへ飛び込みます。武田はゴール直後、「本当に嬉しくて、応援してくれているみんなの元に走っていきました」と大応援団の元へ一直線。実践が先にスコアを動かしました。
畳み掛けたい実践は58分にもチャンス。山内の右CKをファーで齋藤が折り返し、三沢が合わせたヘディングはDFが体でブロック。直後の右CKも山内が蹴り込み、反応した北條滉太(3年・FC杉野)はシュートまで持ち込めず。61分は早実にチャンス。右に開いた宮脇のクロスにへ、走り込んだ今野はわずかに届かず。実践ベンチも61分に交替を決断。石本に替えて、大関友貴(3年・FC多摩)を送り込むと、2度目の歓喜もすぐさま。
62分。前原を起点に北條が左へラストパスを送ると、山内は得意の左足で強烈な枠内シュート。関口もファインセーブで応酬しましたが、ここに誰よりも速く反応した武田が丁寧にボールをゴールネットへ押し込みます。「打った山内は自主練でよくああいう形をやっていたので、僕が『打て!』って言ったんですけど、本人は打つか迷っていたらしくて。こぼれ球に上手く反応できたので良かったです」と明かしてくれた武田はこれでドッピエッタ。両者の点差は2点に開きました。
2点のビハインドを追いかける展開となった早実も、失点直後の62分に1人目の交替を。亀井を下げて、大森悠平(3年・さいたま尾間木中)を投入し、サイドの推進力向上を図りますが、次に得点を記録したのも実践。66分に前原が右へ振り分けたパスから、受けた大関はサイドをぶっちぎって中へクロス。ニアに全力で突っ込んできた高須のボレーは、鮮やかにゴールネットを揺らします。「固められた時にサイドを有効に使えなかった」(内田ヘッドコーチ)前半から一転して、見事なサイドアタックで追加点。スコアは3-0に変わります。
反撃の一手は69分。折れない早実は土居が左へ素晴らしいスルーパスを通し切り、上がってきた市橋は丁寧にクロス。これをエリア内で待っていた宮脇は確実に右スミのゴールネットへ送り届けます。「彼がラクできるような形で、もう少し前目にいればいいんですけどね」と話したのは森泉監督ですが、勘所を押さえたポジショニングとシュート技術はまさにゴラッソ。10番の追撃弾。再び点差は2点に縮まりました。
勝負の一手は得点直後の69分。森泉監督は右サイドバックで奮闘した吉岡直輝(2年・浦和レッズJY)に替えて、宮本潤(3年・練馬石神井中)をセンターバックに投入し、ボランチの高橋一真(2年・Forza'02)が宮本と最終ラインの中央を組み、秋元が右サイドバックにスライド。センターバックを務めていた鈴木を宮脇と最前線に並べ、狙う同点とその先。69分には3人をぶち抜いた前原のシュートも関口が執念のファインセーブ。2点差のままでゲームは残り10分とアディショナルタイムへ。
71分には実践に2枚替え。殊勲の武田と前原を、そのまま重枝俊亮(3年・FC GABE)と浅野遙輝(3年・FC多摩)とスイッチして、前からの圧力を再び。73分は早実に決定機。時間を創った鈴木が右へ流し、宮脇の枠内シュートは成田がファインセーブで回避。73分は実践にもビッグチャンス。ミドルレンジから北條がトライしたシュートはクロスバーを直撃し、跳ね返りを浅野が当てたヘディングは枠の上へ。76分は早実にまたも決定機。エリア内で2人をかわした鈴木が、利き足とは逆の右足で打ったシュートは成田がここもファインセーブで凌ぎましたが、「もともとミッドフィルダーやフォワードの子」(森泉監督)という鈴木の際立つ"個"。双方が繰り出し合うチャンス。尾前を中心に集中を保つ実践ディフェンス。
76分は実践。マーカーを引き付けた浅野のラストパスから、抜け出した重枝のループはクロスバーの上へ。78分は早実。左サイドを抜け出してエリア内へ入った土居のドリブルは、最後のタッチが大きくなってしまい成田がキャッチ。直後も早実。秋元のFKを今野が残し、鈴木のミドルはクロスバーの上へ。80分は実践に4人目の交替。山内と川口大輝(3年・足立千寿桜堤中)を入れ替えて、取り掛かるゲームクロ-ズ。80+2分は早実のラストチャンス。中央左寄り、ゴールまで約25mの位置から鈴木が直接狙ったFKはクロスバーの上に消え、程なくして吹き鳴らされたファイナルホイッスル。見応え十分の80分間は早実も一歩及ばず。「本当に苦しいゲームの時に失点をしないチームだなと。集中が切れないですし、最後まで泥臭い所までやり切れるようになってきているのかなという気はします」と内田ヘッドコーチも評価を口にした実践が、國學院久我山の待つセミファイナルへ駒を進める結果となりました。


早実の健闘が光ったゲームでした。「子供たちはやってきたことをフルに出したとは思いますが、ゴールを奪う、ゴールを守るという部分での差が大きな差になったかなと思います」と森泉監督。特にこの80分間では『ゴールを守る』という部分で相手に1枚上回られた面は否めませんが、鈴木や木下、宮脇など個性豊かなタレントを随所に擁し、ここからチームとしてどこまで伸びていくのかは非常に楽しみです。ただ、もちろんその早実をきっちり退けた実践の勝負強さもまた本物。「チームに手応えはありますけど、今は結果が出ているということに甘んじることなく、自分たちは他のチームに比べたら個人としては上手くない思うので、チーム一丸となって戦っていきたいと思います」と話した武田の言葉をおそらくはチーム全体が共有している実践は、やはり今シーズンの東京高校サッカー界を牽引していく有力候補だと思います。        土屋


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0422koma2-1.JPGセミファイナル進出を懸けた一戦は都内屈指の好カード。昨年度の選手権全国ベスト8校でもある駒澤大学高と、一昨年度の全国ファイナリストに当たる國學院久我山のビッグマッチは駒沢第2球技場です。
2年連続での全国ベスト8を経験した選手のほとんどが卒業し、「まだどこを見ても新チームっぽいですよね」と大野祥司監督も口にしたように、イチからのチーム作りとなっている今シーズンの駒澤大学高。T1ではここまで1勝1分け4敗となかなか結果が付いてきていない中で、この関東予選でも初戦で一時は逆転を許す苦しいゲームの末に、都立葛飾野を延長で何とか振り切ると、2回戦の保善戦は3-0で制してこのラウンドへ。T1では久我山に0-4で敗れているだけに、そのリベンジと準決勝進出を同時に果たしたい80分間に臨みます。
全国準優勝から一転、昨シーズンは都内のトーナメントコンペティションでも上位進出を果たすことができず、悔しい1年を過ごした國學院久我山。その全国を知る平田周(3年・FC東京U-15むさし)や上加世田達也(3年・Forza'02)が最上級生となり、「チームとしては東京の全タイトルを獲るという目標を立てている」と話すのは木下陽(3年・S.T.FC)。ここまでT1リーグでは4勝1敗と悪くないスタートを切っており、今大会も学習院を5-0、暁星を4-1と倒してクォーターファイナルまで。都内"一冠目"を狙う上でも乗り越えるべき難敵相手のゲームへ挑みます。会場の駒沢は暑過ぎず寒過ぎずの曇天模様と悪くないコンディション。注目の一戦は駒澤のキックオフでスタートしました。


ゲームがスタートしてすぐに目に付いたのは駒澤の守備。戦線へ帰ってきた齋藤我空(2年・Forza'02)を最後尾に余らせ、米谷拓海(3年・FC東京U-15むさし)は宮本稜大(2年・東急SレイエスFC)に、秋遼太郎(3年・Forza'02)は鵜生川治臣(3年・前橋JY)に一定のゾーンからは徹底してマンマーク。右の萩原裕太(3年・FC町田ゼルビアJY)と左の石澤浩太朗(3年・Forza'02)も含めた5バック気味の布陣で、まずはディフェンスの安定を図って立ち上がります。
7分のファーストシュートは久我山。センターバックの澤田雄大(3年・FC多摩)が枠へ収めたミドルは駒澤のGK鳥山力(2年・FC東京U-15深川)が確実にキャッチ。11分にも左サイドバックの竹浪良威(2年・FC東京U-15むさし)を起点に内田祐紀弘(3年・Forza'02)が繋ぎ、三富嵩大(3年・横河武蔵野FC JY)がシュートまで持ち込むも、ここは駒澤のボランチに入った青山慎二(3年・三菱養和調布JY)が体でブロック。ボールこそ握る久我山もなかなかブロックの中へは割って入れません。
14分も久我山。高橋黎(2年・ジェファFC)のパスを受けた鵜生川が1人外し、左足で打ち切ったシュートは枠の右へ。19分も久我山。高橋のシュートは齋藤が体で弾き出し、鵜生川のシュートも萩原が体を投げ出してブロック。20分も久我山。高橋が残し、竹浪が狙ったミドルも鳥山がキャッチ。「もう少し無理にでもこじ開けられるようなスプリントや動き出しを出せれば良かったかなと思います」とは平田。創り切れない決定機。
一方、ある程度後ろ重心に構えつつ、長いボールやカウンターでチャンスを窺う駒澤。28分には石澤が鋭いパスカットからドリブルで持ち上がり、右へ流したボールへ中村一貴(3年・FC東京U-15むさし)が走るも、久我山の左サイドバックに入った山口隼介(3年・東急SレイエスFC)がきっちりクリア。直後にも中村の右ロングスローがこぼれ、拾った米谷のクロスは平田がキャッチ。ファーストシュートを放つまでには至りません。
32分は久我山。内田のパスを鵜生川がギャップでもらい、宮本が打ったシュートは秋がブロック。36分は駒澤。両チーム通じて1本目のCKを野中康平(3年・川崎フロンターレU-15)が蹴り込むも、三富が確実にクリア。39分は久我山。三富が短く繋ぎ、澤田が思い切って狙ったミドルはクロスバーの上へ。40分は駒澤。中村がフィードを蹴り込むと、抜け出し掛けた保科一生(2年・東京久留米FC U-15)はオフサイドを取られたものの好トライ。最初の40分間はスコア動かず。0-0でハーフタイムに入りました。


後半も先にチャンスを掴んだのは久我山。43分に上加世田が左のハイサイドにフィードを通し、抜け出した宮本が中へ戻すも井上翔太(2年・ジェファFC)はシュートを打ち切れず、詰めた高橋のシュートはDFが何とかクリアすると、清水恭孝監督は49分に1人目の交替を決断。鵜生川に替えて木下をそのまま1トップ下に送り込み、高めたいバイタルでのコンビネーションとモビリティ。
ところが、51分に決定的なシーンを迎えたのはそれまで1本のシュートもなかった駒澤。保科が右へ展開したボールを、1人かわした中村はグラウンダーで中央へ。ここへまったくのフリーで走り込んだ野中は、少しDFに当たったボールとステップが合わず、フィニッシュまで持ち込めなかったものの、絶好の先制機にどよめくスタンド。53分には青山のパスから保科が右へ流れながら、枠の右へ外れるファーストシュートも記録。一瞬で牙を剥く駒澤らしさは健在。
58分は久我山。高橋が縦に付け、反転した宮本の強引なシュートは枠の右へ。61分も久我山。右サイドで竹浪がスルーパスを通し、高橋の折り返しに中央で混戦が生まれるも、2度のシュートチャンスは石澤と野中が全力で戻ってブロック。直後に久我山は2人目の交替。井上と永藤楓(3年・Forza'02)を入れ替え、永藤は左ウイングへ入り、内田が左ウイングから右ウイングへスライド。駒澤も63分に保科と江藤惇裕(2年・坂戸ディプロマッツ)をスイッチして、前線の顔ぶれに変化を加えます。
66分は久我山。内田の左CKに永藤が飛び込むも、シュートはヒットせず。67分も久我山。高橋のショートパスを引き出し、三富のミドルはゴール左へ。69分は駒澤に決定機。三沢延幹(3年・Forza'02)が右へ流すと、2人のディフェンダーの間に割って入った中村は左足一閃。ここは平田が正面でキャッチしたものの、「1本のチャンスが本当に大ピンチになってしまっていた」とは平田。赤黒軍団がちらつかせる鋭利なアタック。70分は久我山。三富、山口、永藤と細かくボールが回り、木下が枠へ飛ばしたシュートは鳥山がキャッチしましたが、久我山もらしい形でフィニッシュまで。駒澤は2人目の交替として中村と細川竜征(2年・Forza'02)をスイッチ。いよいよゲームは最終盤へ。
74分は久我山。木下が高い位置でボールを奪い、そのまま運んで放ったシュートはDFがきっちりブロック。80+1分は久我山に3人目の交替。宮本を下げて、1年生の加納直樹(1年・ジェファFC)をそのままセンターフォワードの位置へ。80+3分も久我山のチャンス。内田、竹浪とボールが回り、左へ流れた三富のシュートは三沢が執念のブロックで阻止すると、ここで後半終了のホイッスル。両者譲らず。セミファイナルへの挑戦権獲得は前後半10分間の延長戦へ委ねられることになりました。


動きの少なかった延長前半は、それでも久我山にビッグチャンス。85分に右から三富が蹴り込んだCKヘ、ニアに突っ込んだ永藤のヘディングは鳥山が正面でキャッチしたものの、あわやというシーンに頭を抱える久我山ベンチ。エンドが変わり、迎えた延長後半は撃ち合う展開に。91分は駒澤。野中の左クロスに細川のヘディングは合わせ切れず、平田がキャッチ。92分は駒澤に3人目の交替。野中と涌井蓮(2年・国立第一中)を入れ替えて、サイドの運動量向上に着手。93分は駒澤。萩原のロングスローから江藤が右クロスを蹴り入れ、三沢が叩いたシュートは枠の右へ。正真正銘のクライマックス。スコアに変化は訪れるか。
94分は久我山。三富の右クロスに永藤が合わせたボレーはDFが体を張ってブロック。97分は駒澤4人目の交替として、青山と菅原弦人(3年・九曜FC)がスイッチ。99分は久我山。ゴール前で粘って収めた永藤のシュートは、鳥山が確実にキャッチ。直後は駒澤。右に開いた菅原のクロスに、全力で飛び込んだ涌井のシュートは平田がキャッチ。100分は久我山にビッグチャンス。永藤、木下と丁寧に繋ぎ、内田が右スミギリギリへ飛ばしたシュートは鳥山がファインセーブで仁王立ち。その右CKを三富が上げるもシュートは打てず、高橋の右クロスも鳥山が冷静にキャッチ。最後に久我山は内田と戸坂隼人(1年・FC東京U-15むさし)を入れ替えるも、とうとうお互いにスコアは動かず。0-0。勝敗の行方はPK戦へともつれ込みます。


先行は駒澤。1人目の米谷とGKの平田はFC東京U-15むさし時代のチームメイト。同級生対決となったこの1本は米谷が平田の逆を突いて右スミへ成功。後攻は久我山。1人目の三富は左スミギリギリへコントロールし、鳥山も一歩及ばず。駒澤2人目が左を狙ったキックは、完全に読み切った平田がビッグセーブ。久我山2人目は永藤。右上の凄まじいコースに飛んだキックは確実に成功。1-2。2人目で両者に差が付きます。
駒澤3人目は齋藤。短い助走からタイミングを外し、完璧なキックで中央左寄りへ収めて成功。久我山3人目は山口。今度は左上を狙ったキックも、同じ方向に飛んだ鳥山は届かず。駒澤4人目は江藤。左スミへ打ち込んだキックは平田の逆を突いて成功。久我山4人目は木下。右スミへ4本目にして初めて鳥山の逆を突いて成功。そして迎えた駒澤5人目。中央左寄りへ飛んだキックは、平田が2本目のビッグセーブを披露して勝負あり。「後から言うとアレなんですけど、今日は正直『止められるな』と。そう思っていて全然止められない時もあるんですけど(笑)、今日に限って言えば止められる感じがありました」と笑顔で振り返った平田の活躍で、久我山がセミファイナルへと勝ち上がる結果となりました。


「カップ戦を勝ち上がるためには皆さん色々なことをやってきているので、そんな簡単には勝てないとは思ってましたし、ある程度覚悟していましたけど、本当に苦しみましたね」と清水監督が話し、「T1で戦っているチームがここまで守ってくるとこじ開けるのは難しいですね」と平田も口にしたように、100分間に渡る駒澤の粘り強い守備が際立ったゲームだったのは間違いありません。だからこそ、こういうゲームを苦しみながらもモノにした久我山の勝負強さも特筆すべき部分かなと。「今年はトーナメントで勝たないとなと。リーグ戦もそうなんですけど、トーナメントで勝たないと認めてもらえないというか、『"東京一"になるには一発勝負でも勝たなきゃいけない』というのはみんなで話しています」と平田が話したように、まずこの関東予選のタイトルを奪取することは、選手たちにとって外せない大きな目標。「必ず苦しいゲームがどこかで来るというのはチームに言っていたので、その苦しみが来たと。それを乗り越えたということだけは勝負弱いチームでもないんだろうなとも思っていますし、可能性を感じている部分もありますね」と指揮官も言及する『17'久我山』の"一冠目"まではあと2勝です。       土屋


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0409shigaku2.JPG1回戦屈指の好カードは雨脚の強まるコンディション下で。T1リーグで無敗を続ける実践学園と進境著しい大成が激突する一戦は引き続き新小岩私学事業団総合運動場です。
昨シーズンは関東大会予選こそベスト4まで勝ち上がったものの、インターハイ予選は1次トーナメントで姿を消し、選手権予選も準々決勝で成立学園に競り負けるなど、狙った結果には届かなかった実践学園。迎えた今シーズン。「みんなマジメな子が多いですし、自分の与えられた役割を1つ1つやってくれているチーム」と深町公一監督が評したチームは、Tリーグでも昨年度の選手権代表校の関東第一と駒澤大学高を相次いで撃破し、ここまで5戦無敗の堂々首位。各校からのマークも厳しくなってきた中で、シーズン最初のトーナメントコンペティションに挑みます。
近年では上位進出の常連。昨シーズンもインターハイ予選では1次トーナメントで國學院久我山と2-3の殴り合いを演じ、選手権予選でも全国ベスト8まで駆け上がった駒澤大学高を向こうに回し、0-1と最後まで食い下がるなど、確実にさらなるステップアップを視野に捉えている大成。新チーム最初の公式戦となった第7地区新人選手権大会では、2度のPK戦を粘り強く制しながら、5連勝で見事に地区制覇を達成。水曜日のT2リーグでは國學院久我山(B)を逆転で下しており、良いイメージを携えて難敵相手の初戦に向かいます。1試合目以上に激しくなった雨で、ピッチには多数の水たまりが。難しいコンディションの中、実践のキックオフでゲームはスタートしました。


先にチャンスを掴んだのは実践。2分に右サイドで獲得したCKをレフティの山内稔之(2年・AZ'86東京青梅)が蹴り込むと、こぼれを叩いた岩本連波(2年・FC杉野)のミドルは大きく枠の右へ外れましたが、まずはセンターフォワードが果敢なチャレンジを。11分は大成にもファーストチャンス。相手のFKを奪った所からカウンター発動。右サイドをグングン運んだ井上雄斗(3年)のクロスはDFが何とかクリアしたものの、大成も切れ味鋭いアタックを披露します。
ただ、「ちょっと今日はどうしようもなかったですね」と深町監督も言及したピッチコンディションもあって、お互いにある程度蹴り合うしかない展開の中で、徐々に押し込み始めたのは実践。16分に石本耀介(3年・青山SC)の仕掛けで得た右CKを山内が蹴るも、DFがしっかりクリア。直後に3バックの左を務める三澤健太(3年・昭島瑞雲中)がクロスを上げ切り、山内が狙ったミドルはDFをかすめてわずかに枠の右へ。その右CKを山内が入れると、飛び込んだ三澤のヘディングはわずかにゴール左へ。「何気に今年の子たちはセットプレーで取れているんですよね」と指揮官も話すセットプレーを中心に攻勢は実践。
一方、1トップの宮川諒也(3年・S.T.FC)に加え、その下へシャドー気味に入った澤頭元希(3年・ジェファFC)と井上へ早めにボールを入れて攻め切りたい大成。19分には岩下海斗(3年・八王子松が谷中)のパスから井上がクロスまで持ち込むも、実践の右センターバックを務める斎藤彰人(3年・FC多摩)が確実にクリア。逆に20分は実践。ミドルレンジで前を向いた浦寛人(3年・GA FC)がトライしたシュートは枠の上へ。スコアに変化は訪れません。
27分は実践。武田義臣(3年・FC.Branco八王子)のシュートは水たまりで減速し、大成のGK柴田憲伸(3年・府ロクJY)が丁寧にキャッチ。30分も実践。右から山内が蹴ったCKに、走り込んだ斎藤のヘディングはゴール左へ。33分は実践の決定機。左から前原龍磨(3年・三菱養和調布JY)がクロスを入れると、浦のシュートはDFのブロックに遭うも、武田が枠へ収めたシュートは柴田がファインセーブで応酬。38分は大成。澤頭を起点に井上が右からクロスを放り込み、宮川が当てたヘディングは実践のGK成田雄聖(3年・S.T.FC)がキャッチ。「前半はほぼグラウンダーのパスが通せる状況ではなかったので、割り切って前のサイドの所に蹴って、そこにフォワードが感じて走るというスタイルで行きました」と前原が振り返った実践優勢の前半は、スコアレスで40分間が終了しました。


ハーフタイムを挟むといきなり大成にビッグチャンス。45分にボランチの安東瑞生(3年・Forza'02)が蹴った長いFKをGKがファンブルして、ボールはゴール方向へ。ここはカバーに入った実践のボランチ北條滉太(3年・FC杉野)が懸命にクリアしたものの、あわやというシーンに沸き上がる大成応援団。48分にも安東が蹴り込んだ左FKを成田がファインセーブで凌ぐと、並木稜太郎(3年・練馬谷原中)の右CKから安東が残し、水越巧真(3年・FCトリプレッタJY)のボレーは枠を越えましたが、勢い良く後半を立ち上げたのは大成。
「後半の入りという部分でうまく行かなくて、良い形で入れなかった」とキャプテンの尾前祥奈(3年・江東深川第四中)も口にした実践は52分、石本が右からミドルを打ち切るも枠の上へ。60分に山内が蹴った右FKも柴田が確実にキャッチすると、双方が切り合った交替カード。61分は大成。果敢なサイドアタックが目立った井上を下げて、北村将尚(3年)を投入。63分は実践。岩本に替えて重枝俊亮(3年・FC.GABE)を送り込むと、67分にも石本と大関友貴(3年・FC多摩)をスイッチして勝負に出ます。
68分は実践。フィードを巧みに収めた武田が、そのまま持ち込んだミドルはクロスバーの上へ。71分も実践。大関が蹴った右FKに、斎藤が合わせたヘディングは柴田がキャッチ。74分も実践。重枝が粘って手にした右FKを山内が蹴り込み、こぼれを再び山内がクロスに変えるも、宮川が大きくクリア。押し切りたい実践。耐え切りたい大成。
75分は実践。今度は武田が獲得した右FKを山内が入れるも、飛び出した柴田がキャッチ。76分は大成に2人目の交替。安東と内海陸人(3年)を入れ替えて狙う先制弾。77分は実践。大関のFKを柴田がパンチングで防ぐと、こぼれに反応した三澤はシュートまで至らず。79分も実践。北條、重枝と繋いで、山内が打ち切ったシュートはわずかに枠の左へ外れ、頭を抱える実践ベンチ。80+2分には大成に千載一遇の先制機。並木の右CKにドンピシャのタイミングで飛び込んだのは澤入航哉(3年・FC府中)。高い打点で打ち下ろしたヘディングは、しかしわずかにゴール左へ外れ、頭を抱える大成ベンチ。80分間では両者譲らず。勝敗の行方は前後半10分ずつの延長戦へともつれ込むこととなりました。


少し雨脚も弱まり、ピッチコンディションも回復しつつある中で開始された延長。86分は実践。大関の右クロスから、こぼれを左足で打ち切った北條のミドルは枠の右へ。87分も実践。斎藤が右へ送り、重枝のクロスへ山内が走り込むも、果敢に飛び出した柴田が体に当てるファインセーブで何とか回避。「PKはちょっと嫌だった」(前原)「PK戦に入ったらマズいなというのがあった」(尾前)と2人が口にした言葉はおそらく実践の共通認識。大屋颯太(3年・FC多摩)、河原井陸(3年・FC多摩)、澤入で組んだ3バックを中心に、高い集中力でゴールに鍵を掛け続ける大成。残されたのは延長後半の10分間のみ。
実践を救ったのは「もっと点を取りたいし、点を取れない試合があると悔しい」と言い切るナンバーセブン。93分に重枝、浦と回ったボールを左で受けた前原は、少し中央に潜るとエリア外から右足一閃。糸を引くように地を這いながら枠を捉えたボールは、左スミギリギリのゴールネットへ突き刺さります。「もともとカットインからニアへのシュートというのを自主練からずっとやっていて、グラウンド状況もボールが滑るというのがあったので、ちょうどいい感じに滑って練習通りでした」と振り返った前原は、「応援が多くて感謝していたので、すぐ応援団の所に行きました」と雨の中で声を出し続けていた応援団の中央へ一直線。広がった歓喜の輪。とうとう実践が1点のリードを手にしました。
追い込まれた大成の猛ラッシュ。94分には右から河原井が蹴り込んだFKを宮川が執念で押し込み、DFがクリアしたボールはわずかにクロスバーの上へ。95分も大成。左CKを水越が放り込むも、成田が懸命のパンチングで再びCKへ。今度は右から並木が蹴ったキックは、ここも成田が何とかパンチング。3連続CKの3本目を左から水越が入れると、大関が必死にクリア。一転して押し込む大成。耐え凌ぐ実践。
実践ベンチはこの土壇場で2枚のカードを切る決断。97分には山内と山野大地(2年・東京久留米FC U-15)を、98分には浦と人見隼斗(3年・フレンドリー)を続けて入れ替え、1点を守りきる覚悟を鮮明に。100+1分は大成。右から並木が蹴ったCKは実践ディフェンスが何とかクリア。直後にここも並木が入れた右CKは成田がパンチング。延長後半だけで5本のCKを集めた大成の執念。いよいよゲームはクライマックス。
試合を決めたのは途中出場のストライカー。100+2分に押し込まれ続けていた実践のカウンターが炸裂。運んだ前原が丁寧にラストパスを送ると、抜け出した重枝のシュートは柴田がビッグセーブで防いだものの、こぼれを冷静にゴールネットへ流し込んだ重枝の一撃で勝負あり。「結構キツイ試合だったんですけど、最後はフォワードの2人が、シゲとマエが取ってくれたので、とりあえず結果は出たかなという形でした」と尾前も語った実践が延長戦までもつれ込む激闘を制し、2回戦へと勝ち上がる結果となりました。


「もう日替わりでヒーローが出てくるので、誰かに頼るというチームではないですし、あとは失点が少ないのが今年のチームの良さだと思います」と今のチームを評した深町監督。実は今シーズンに入ってから、公式戦で失点を許したのはわずかに1試合のみ。その堅守を支えている尾前は「自分たちは個の力がそんなにないので、チームとしてまとまりを持ってやるとか、当たり前のことを1つずつやっているだけですよね。だから結果が今の所は出ているのかなと思います」と話してくれました。次の対戦相手は成立学園。T1リーグでは4-0で倒している相手ですが、当然成立もリベンジを狙ってくるはず。今から非常に楽しみな対戦であることは間違いありません。      土屋


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