J2第22節 FC東京×熊本@国立

  • 2011年07月26日 13:30
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201107251631000[1]kokuritsu.jpg日本の夏、国立の夏。学生のフットボールファミリーにとっては、夏休みに入って最初の開催となる今節のJリーグ。首位と5位の上位対決。舞台は聖地・国立競技場です。「若い力の加速がチームの勢いを生んだ」と大熊清監督が語るFC東京。今や不動のスタメンを確保している高橋秀人と田邉草民らの台頭を受けて、「メンバーが固定できてきた」(大熊監督)最近は、前節も岐阜を4-0で一蹴するなど、ようやく“らしい”凄味が出てきました。
対する熊本も、16試合で2敗という数字は、東京、栃木と並んでリーグ最少。高木琢也監督政権も2年目を迎え、着実に昇格争いへ加わるチームにステップアップ。J2の巨大戦力にどう立ち向かうかは、知将にとって腕の見せ所でしょう。
ゲームが始まると、まず先にチャンスを創ったのは熊本。2分、原田拓の左クロスから、ルーズボールがエアポケットに。フリーになった武富孝介のシュートはDFがブロックし、拾ったエジミウソンのボレーはクロスバーを越えましたが、このゲームへ向けられた高い意欲を披露します。しかし、前半の熊本に訪れたチャンスはこれが最後。3分に田邉がミドルレンジからボレーを枠内へ飛ばし、南雄太にファインセーブを強いると、以降は「正直、向こうのレベルがすごく高かった」と原田も認めた、東京の圧倒的な攻勢が続く展開となっていきます。
7分、大きなサイドチェンジを左で受けたロベルト・セザーのカットインシュートは、何とか南がキャッチ。10分、田邉とのパス交換から完全にフリーで抜け出したロベルト・セザー対南は、コースを狭めてシュートを枠の左へ外させた南の勝利。14分、谷澤達也の左FKから森重真人のヘディングはバーの上へ。16分、谷澤の右FKからこぼれを田邉が枠内ボレーも、福王忠世が体でブロック。決定的なシーンが続きます。
東京はあらゆる面が素晴らしかったのですが、特に目立っていたのは「ボールを奪って高い位置で攻撃の起点を創ること」(大熊監督)。まず、「確かにかなり前から来てましたね」と熊本のボランチに入った根占真伍も話したように、1トップに入るロベルト・セザーがプレスを厭わず、その後ろに並ぶ田邉、羽生直剛、谷澤も“横のカーテン”的にラインを創るような守備を敢行。これで熊本はほとんど後ろからビルドアップできず、大きく蹴ってロストの繰り返しになってしまいます。
さらに、東京の繋ぐ意識はサイドアタックに直結。梶山陽平と高橋のドイスボランチを中心に、中央でのパス交換からサイドへ展開という形が多く、片方で詰まったらボランチを経由して、また逆サイドへ展開という流れもスムーズ。加えて20分にはカウンターからロベルト・セザーがしっかり繋いで、羽生のドリブルシュートは南がファインセーブで凌ぎましたが、「向こうはカウンターも最後のシュートまで行っていた」(原田)とあっては、熊本も為す術がありません。
25分、谷澤の左CKから森重真人のヘディングはGKがキャッチ。37分もカウンターから田邉がよく粘ってドリブルから左へ振ると、ロベルト・セザーのフィニッシュは南がファインセーブ。39分、エリア内で羽生が2人に前を塞がれながらも振り切ったシュートは、DFに当たってクロスバー直撃。41分、ゴールまで約30mの距離から中村北斗が無回転で枠へ飛ばしたFKも、南が何とかブロック。この時点までで、東京はシュート12本にCKが10本。一方的な展開ながら、前半は0-0で切り抜けられれば御の字という状況の熊本でしたが、43分に待ち受けていたのは最悪の事態でした。
徳永悠平が右へ振ったボールを、羽生が鋭いクロス。ニアでロベルト・セザーが潰れると、「中がスカスカだったので」全力で戻った根占は、飛び込んできた谷澤に横からチャージ。記者席から見た限りは微妙なプレーで、「僕はレフェリー次第でPKもないかと思う」とは原田ですが、審判交流プログラムで来日しているロバート・マッドレー主審はPKのみならず、根占にレッドカードを提示。これをロベルト・セザーが確実に沈め、熊本にしてみれば先制点を献上した上に、数的不利まで被る格好で前半終了のホイッスルを聞くこととなりました。
迎えた後半も続く熊本の受難。48分、梶山の何気ないクリアに、羽生と谷澤はオフサイドポジション。しかしボールに関与する意志はなく、プレーは流れましたが、福王のヘディングは左方向へ。これを戻った谷澤が拾うと、副審は1つ前のプレーを意識したのか、オフサイドフラッグを上げてしまいます。そちらがボールサイドだったこともあって、フラッグが目に入り、一瞬足が止まった熊本。一方、主審の笛が鳴らないのを見ると、一旦プレーを止めた谷澤はすぐさまボールに反応して右サイドを独走。折り返しを田邉が拾い、ロベルト・セザーからパスを受けた今野泰幸のクロスに、ニアへ潜った羽生は左足インサイドボレーをキッチリとゴール左スミへコントロール成功。あまりにも大きな2点目が東京に入りました。
高木監督も55分にはチョ・ソンジンと武富を下げて、矢野大輔と松橋章太を送り込み、システムも3-4-2にシフトして抵抗を試みますが、「11人でもやっとなのに、1人少ない状況では…」と言及したように、熊本に打つ手はなく、東京が聖地でのびのびと躍動。67分には、エジミウソンに倒されてPKを獲得した谷澤が「♪ヤザー、決めてくれ」と柏時代のチャントを受けて、自ら蹴り込み3点目。73分には田邉がクイックで右へ蹴ったFKを、呼び込んだ徳永がエリア外から豪快にネットを揺らして4点目。
そして、このゲーム最大の歓喜は87分。梶山からのミドルパスを、「一緒にプレーしていたので、私たちは連携が取れている」と信じて裏へ走ったルーカスは「ワールドクラスのトラップ」(大熊監督)で左に持ち出し、丁寧にゴールへ流し込みます。1年でのJ1復帰という、最低にして最大の目標へ向けたラストピースの復帰弾まで飛び出した東京が、「力の差は語り尽くせないぐらいある」と高木監督も脱帽した熊本を粉砕して、堂々首位を堅持する結果となりました。
敗れた熊本が監督、選手と一様に口をそろえたのは、前述していますが「レベルが違った」ということ。対戦する時期の妙もあり、最悪のタイミングで最強の相手と激突した感は否めず、スコアはショッキングかもしれませんが、選手の表情を見てもサバサバした様子。尾を引くような負けではないように感じました。
勝った東京は、「ようやくか」と一言付け加えたくはなりますが、ここに来て突出したクオリティが結果へ結び付くようになってきました。攻守両面ですべてが機能している今のスタイルこそ、おそらくサポーターが待ち望んでいた形。こうなると東京にストップを掛けるのは、至難の業になってくるでしょう。それくらい圧倒的な強さが際立つゲームでした。    元・AD土屋

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