J2第2節 千葉×湘南@フクアリ
前節、栃木との頂上決戦は激闘の末にドロー。首位奪取とはいかなかったものの、絶対的なターゲットであるオーロイを欠きながらも、代役の久保裕一が奮闘を見せ、一定以上の内容を保っていたことは、千葉にとって1つ今後に向けての指針となり得るゲームだったはずです。逆に、現在3連敗と下降傾向にある湘南。特にここ2試合は、無得点の上に連続4失点と安定していたはずの守備が崩壊。嫌な流れをせき止めるためにも、アウェイとはいえ負けは許されない一戦と言えるでしょう。
湘南がエンドを入れ替え、千葉のキックオフで始まったゲームはまず2分、伊藤大介の左FKをオーロイが頭で落とし、佐藤勇人がワントラップから左足ボレーをバーの上へ。9分、伊藤の今度は右CKから、ニアへ走り込んだオーロイのボレーは大きく枠の右へ。11分、オーロイのポストプレーから、伊藤を経由して深井正樹が放ったミドルは、湘南GK西部洋平がキャッチ。最初の15分はチャンスの数で言うと、千葉が上回ります。
ただ、千葉の攻撃は「最もやり方が徹底しているチーム」と湘南の反町康治監督も話したように、当然オーロイへのロングボールが基本的には最優先。「セットプレーの時は僕が競って、CBがセカンドを拾い、流れの中からはCBが競って、僕がセカンドを拾うという話はしてた。前半は割とよくできていたと思う」とは、4-1-4-1の中盤1枚アンカーを務めた松尾直人。確かに、攻撃の大半がオーロイに入れてからということを考えれば、2回のセットプレーを含む3回のピンチというのは決して多くない数字。湘南からすれば、「プランに向こうが合わせてくれた」(反町監督)という感覚が、確かにあったかもしれません。
そうなると、“よい攻撃はよい守備から”。13分に放った松尾のミドル、19分に田原豊が強引に打つも菊池大介に当たったミドル、さらに23分にも坂本が放ったミドルと、この3本すべてにラストパスを出していたアジエルが、うまくボールを引き出し始め、流れは湘南へ。加えて23分のシーンはアジエルの守備が起点になってのチャンスと、10番の精力的なプレーがチームへ推進力を与えます。
すると26分、臼井幸平のフィードにマーク・ミリガンと並走していた田原は、エリア内で体を入れ替えて一歩前へ。直後、ミリガンともつれて倒れるも佐藤隆治主審のホイッスルは鳴らず。激高する湘南ベンチ。反町監督も珍しくテクニカルエリアを出て抗議しますが、当然判定は覆りません。それでも34分には石神直哉、菊池、田原、アジエルと繋いで、最後に受けた田原はシュートまで至りませんでしたが、かなり綺麗な形も創出するなど、「ゲームプラン上は悪くない」(反町監督)湘南の方が、ゴールの匂いを漂わせていたと思います。
そんな中、ゴールが生まれるのは一瞬で。38分、湘南は自陣深い左サイドで千葉のプレスを受け、クリアを中途半端に中へ。「あそこは反応が遅れた」と松尾も振り返る場面でボールを収めたのは、そこまでほとんどゲームに入れていなかった米倉恒貴。至近距離からのシュートは、西部が抜群の反応で弾き出しましたが、こぼれを見逃さなかった深井がプッシュ。「半分は米倉のゴールだと思います」と照れた得点ランク単独トップの9番が一仕事。千葉が先制ゴールを挙げました。
さて、前半の最後に気になるシーンが。45+3分、湘南のCK。キッカーの永木はCBの大井健太郎が上がってくるのを待っていると、主審はそれを待たずにホイッスルを吹き、前半を終了させます。確かに追加タイムは2分と掲示されており、所定の時間を過ぎているので、その判断は問題ないと思いますが、実は直前に石神が長い時間倒れ込んでいました。湘南側はアピールしていましたが、主審は気付いてか気付かずか、ゲームを止めずに続行。そしてCKは認められずという経緯。おそらく一度ゲームが止まっていれば、CKを蹴ることができたであろうことを考えると、湘南にしてみれば何とも言えない一連になってしまいました。
さて、前半の45分間を「湘南の4-1-4-1の形でどこにスペースが生まれるかを見つけることが、あまりうまくいってなかった」と感じていた千葉のドワイト監督は、後半開始からの交替を決断。オーロイを下げて、前節はスタメン出場した久保を送り込みます。この采配が、結果的にペースを千葉にグッと引き寄せる要因となりました。
「大きくサッカーは変えてない」(深井)ものの、元々「(伊藤)大介はいっぱいボールに触ってリズムを創るタイプで、ヨネや勇人とポジションチェンジすると右サイドが生きて、逆サイドの自分も生きる」と深井が話したように、右にいる伊藤がいい意味で流動的に動き回ることが、千葉にアクセントを加えているのですが、オーロイより機動力に優れる久保が、自らの下に並ぶ3枚と有機的に絡むことで、長いボール以外の選択肢が一気に広がります。
すると57分、次のゴールは地上戦で千葉。深井のパスを受けた米倉が左サイドから折り返し、久保の前を通過したボールに飛び込んだ佐藤のシュートは、西部の脇をかいくぐる追加点に。キャプテンの今シーズン初ゴール。平日にも関わらず、9228人も詰め掛けた観衆の大半を占める黄色が沸騰。点差は2点に開きました。
まずは1点を返したい湘南も、64分に2枚替え。菊池と坂本絋司を下げて、ルーカスと平木良樹を投入。中盤もダイヤモンドにシフトして、2トップと、その下に置いたアジエルで反撃を試みたい所でしたが、「ボールを収める所で収められなかった」と指揮官も振り返ったように、前半から孤立しがちだった田原は、布陣変更を経てもチームの基点にはなりきれず、75分にピッチへ登場した高山薫も、カンフル剤とまではいきません。
一方の千葉は「大人のサッカーができたのではないかと思う」とドワイト監督も満足そうに語った通り、後半はある程度余裕を持ってゲームをコントロール。深井も「2-0になってからは、そこまで動かないでもサッカーできた」と手応えを掴んだ様子。ゲームは2点差が付いたままで、終了のホイッスル。「ホームでエンターテイメント性の高いゲームができた」とドワイト監督も納得の内容で、千葉が湘南に快勝を収めました。
敗れた湘南は泥沼の4連敗。オーロイはうまく消していたものの、「オーロイじゃない所からの失点だったので悔やまれる」と松尾が話したように、ペースを握っていた中での失点が最後まで響いた格好です。ただ、2点目は完全に崩された形。「後半になって地力に優る方がだんだん優位性を保ってしまった」と反町監督が話したように、現状では少し力の差があったのではないでしょうか。
勝った千葉は「自分たちが主導権を握れる時間が長くなってきた」という深井の言葉にもあるように、“オーロイ以外”が攻撃の形と替わりの選手両面で出てきている印象です。本来、選手層はJ2でもトップレベル。ハッキリした形のベースに彩りが加わってきた今の千葉は、パレットに出された様々な色が、調和の取れた1つの色にうまく混ざりつつある状況に似ているのかもしれません。 AD土屋
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コメント
comment # 1
こんにちは。土屋さんのアップの早さにいつも驚かされています。
昨日、私も現地観戦しました。緑と青組びいきの私としては、フィールドや至近距離クラブ施設の充実ぶりにはうらやましい限りでした・・・。
試合内容もかなりの力の差を感じてしまいました。黄色組の大将の前・後半での大幅な戦い方の変更、選手側にもしっかり浸透していて敵ながらあっぱれでしたね。サポーターも見てて楽しいのではと感じるサッカーでした。
一方、緑と青組は、アジ君と田原君のコンビも中には見られましたが、横パスばかりで縦への動きが弱い気がしました。昨年とメンバーが大幅に入れ替わって、選手間の互いの理解に時間が掛かっていんだとは思いますが・・・。子供っぽいですが、もっとドキドキする試合を見たいですね。
月並みで恐縮ですが、これからも土屋さんの臨場感あるブログを楽しみにしております。
追伸
FOOT!ミーティングの時のチャリティでセリ落とさせて頂きましたバルサのぺろぺろキャンディー、5歳と2歳の子供がおいしくいただきました。ご報告遅くなりましたが、ありがとうございました。また、平塚においでの際には、隣駅の茅ヶ崎にから揚げセンターなるものがありますので、ぜひお立ち寄りください。
投稿者 原誠治 : 2011年06月30日 12:34
comment # 2
こんにちは、取材お疲れ様です。
この暑い中でプレイする選手たちのように観る側も元気で行きたいものです。
ジェフはベテランを中心に各年代の選手が大人びているというか、ライバルのFC東京が全体的にどこかちゃかちゃかしている感じがある中で、このような落ち着きは大きいと思います。
一方ベルマーレはどうしてしまったんでしょうねぇ.......
反町さんの事ですからここからの立て直しを期待したいのですが。
今季のJ2も徐々に展開がバラけだしましたが、愛媛FCや徳島ヴォルティスの四国勢にそろそろJ1昇格して欲しいです。
投稿者 ヴィオラサポ : 2011年06月30日 14:14
comment # 3
>原誠治さん
こんばんは。いつもチェックしていただき、ありがとうございます。
更新の早さは数少ないウリの1つだと思ってますので★
私も湘南はここ3年くらい結構取材させてもらっていますが
現状では攻撃陣のメンバー構成とコンビネーションに苦労している印象ですね。
そしてぺろぺろキャンディーのご購入もありがとうございました。
今後もFoot!をよろしくお願いいたします。
>ヴィオラサポさん
千葉は確かに安定感ありますね。
オーロイが研究されている中、久保がかなり台頭してきているのは
千葉にとって大きなポイントではないでしょうか。
湘南は昇格したシーズンも数連敗はあったと思うので、
ここから監督がどれだけ立て直せるかは注目ですよ。
投稿者 AD土屋 : 2011年07月01日 03:17
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