J1第32節 大宮×神戸@NACK5

37ポイントで13位の大宮と、31ポイントで16位の神戸。正真正銘、残留争いの大一番。「気持ちの部分で負けるといろんな部分で差が出てくる」と村上も話すなど、ここまで来れば“気持ち”のぶつかり合い。そこで上回った方がよりよい結果を得られるであろう、まさにシーズンの総決算は大宮ホームのNACK5です。序盤にまず勢いを得たのは大宮。割り切ったロングボールにラファエルが強さを見せ、相棒のイ・チョンスや中盤もセカンドを拾って攻勢に。9分には三原のパスミスを奪ったラファエルが、枠の左へわずかに逸れる強烈ミドルをお見舞いします。しかし、意外な形で生まれた先制ゴールは14分。ポポの直接FKを大宮のGK北野はファインセーブで逃れましたが、このCKからボッティが蹴ったボールは右にこぼれ、再びボッティのクロス。河本が頭に当てると、「反対側のシチュエーションはわからなかった」というマトのクリアが、なんとフリーのパク・カンジョへ。パクは難なく無人のゴールへ流し込みます。神戸からすればかなりラッキーでしたが、1点は1点。まずはアウェイチームがアドバンテージを得る格好になりました。さて、嫌な形でリードを許した大宮。26分に藤本のクロスをイ・チョンスが落として、青木が放ったシュートは三原が体でブロック。28分、ラファエルがダイレクトで浮き球をスルーパスに変え、イ・チョンスが抜け出すもわずかにオフサイド。31分、FKからマトのシュートはDFに当たって枠の左へ。失点直後こそ神戸の勢いに圧されたとはいえ、25分以降は再びペースを奪還して攻め込みます。ただ、結果としてボールを持つ時間が長くなったために、ストロングでもある2トップを生かすことがなかなかできず、スイッチを入れるポイントが見つかりません。また、ラファエルの対応に苦慮していた神戸の小林と河本で組むCBコンビも、時間を追うごとにアジャスト。やや大宮に閉塞感が漂うような展開の中で、最初の45分間は終了しました。後半は開始から鈴木監督が講じる施策。「中盤で神戸のプレスが速いので、回避してサイドに基点を置きたい」と、イ・チョンスを右サイドに出し、藤本を中へ入れて4-2-3-1気味にシフト。「縦の関係を創って外から勝負という形を意識した」とはその藤本。人を変えずに、システムを変えてきます。それでも実際後半が始まると、お互いにほとんどシュートまで持ち込むことができない状態に。すなわち膠着。時間は容赦なく経過していきます。58分、和田昌裕監督も1枚目のカードを選択。先制弾のパク・カンジョに替えて、イ・ジェミンを投入。右サイドを強化しに掛かると、すかさず鈴木監督も63分に2枚目のカード。「なかなか茂木をはがせなかったので、チョンスを左に持ってきて基点にする狙い」と、藤本を下げて石原をFWで起用。左SHの渡部がイ・チョンスと入れ替わり、再び4-4-2に戻します。すると直後の65分にはイ・チョンスがいきなり左サイドから正確なクロス。石原のボレーはわずかにゴール右へ外れましたが、早くも効果が現れます。そして67分にスタンド沸騰。鈴木の右CKは、中央の石原に当たって跳ね返ると、そこにいたのはマト。「長いキャリアの中では決めたこともある」という、利き足とは逆の右足でプッシュ。8月以降はスタメンを外れることも多かったマトの汚名返上弾。大宮が追い付きました。こうなるとイケイケのホームチーム。69分、鈴木のFKにラファエルが合わせたヘディングは枠の右へ。74分、またもイ・チョンスの左クロスを渡部が落とし、ラファエルのボレーはクロスバー直撃。逆転の機運も高まる一方。ところが77分、「出てきてからなかなか対応ができなかった」と鈴木監督も認めるイ・ジェミンが大仕事。河本のフィードから右サイドで仕掛けると、再三緩い守備を見せていた対面の鈴木をものともせず、あっさりかわすと左足で鋭いクロス。後ろに小川の気配を感じた深谷が、懸命に伸ばした足に当たったボールは無情にも自らのゴールへ飛び込みます。「サイドの守りが手薄な所をやられてしまった」と鈴木監督。神戸がまたも1点のリードを奪いました。すかさず動いた和田監督はボッティに替えて、「セカンドの拾い合いと、CBの前で競り勝ちたい」という狙いでエジミウソンを投入。田中を前に押し出し、中盤を引き締めます。負けられない大宮も、鈴木監督決断。81分に「チョンスの所で基点ができていたので、オーバーラップを1つ入れたかった」と鈴木OUTで村上IN。83分には渡部OUTで、これがJリーグデビューとなる2種登録の宮崎泰右IN。29歳と18歳に希望を託します。そしてそれが叶ったのは85分。イ・チョンスとの大きなワンツーの形で左サイドを独走した村上は「(石原)直樹がいて欲しい所にいてくれた」と中へラストパス。「いいボールが来たので、落ち着いてゴールの中へ入れるだけ」と石原は二アで冷静にプッシュ。ゴール裏のオレンジ再沸騰。常にゲームのキーとなり続けた方のサイドから崩した一撃。2-2。大宮が驚異的な粘りでスコアを振り出しに戻してみせました。ドローは限りなく負けに等しい神戸の猛攻。前へ神戸。後ろへ大宮。93分はやはり右サイド。イ・ジェミンのクロスに、右足を振り抜くポポ。枠を捉えたボール。一瞬時が止まり、直後に見えたのは懸命に弾き出した北野。タイムアップ。ドローでも、あまりに異なる勝ち点1の意味。ゲームは「勝てなかったけど大きな勝ち点1」(鈴木監督)を大宮が獲得したという結果となりました。和田監督は、「エジミウソンを入れる時に森岡を入れる考えもあった」と振り返っています。ただ、入ったのはエジミウソン。「守備的に行こうという意図ではなかった」と指揮官は話しましたが、シグナルはやはり守備重視と取れるものでした。一方の鈴木監督は、「チョンスが持ったら外を回るように指示が出ていた」という村上を攻撃的な意図で起用し、最後の1枚に選んだのはリーグ戦初出場のユース所属選手。この腹を括った采配が、自ら「非常にお互い気持ちの籠もったゲーム」と評した決戦で確かな成果を手繰り寄せたのだと思います。 AD土屋
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コメント
comment # 1
神戸にとっては痛すぎるドローでした。
ここ数年勝てば自動昇格、勝てばチーム初の一桁順位とチャンスはあっても掴み損なう勝負弱さがここでも出てしまいました・・・
しかし降格した2005年と今ではチームの雰囲気は全く違うので、厳しい状況の中でも最後まで戦い続けてほしいです。
投稿者 ぷりん : 2010年11月24日 12:27
comment # 2
この試合結果で神戸のJ1残留はかなり厳しい状況になりましたが、可能性のある限り頑張って欲しいです、既に京都の陥落が決まりこれ以上関西勢のJ2陥落は見たくないので.....それにしても関西は他地域のようにJリーグクラブが一向に増えないのが残念です。いつまでも4チームのままだから殿様商売して気が緩むんでしょう。
野球の力が強すぎるのもありますが、それは全国どこでもそうです、元気のない関西を盛り上げるアイコンとしてJリーグクラブを。
投稿者 ヴィオラサポ : 2010年11月25日 17:13
comment # 3
コメント大変遅れて申し訳ありません。
>ぷりんさん
残留よかったですね~
このゲームは常に先行しながらでしたからホントに痛いドローでしたけど、
ここからの清水、浦和と続いた連勝劇は感動的でしたね。
あの埼スタのゲームを見ていたら、チームの一体感が強く伝わってきましたよ。
>ヴィオラサポさん
神戸、可能性を諦めずに頑張りましたねえ。
でも、ヴィオラサポさんのおっしゃる通り、
関西地域のJFL所属クラブや、関西リーグからJに上がっていく
クラブがなかなか出てこないのは確かですね。
MIOびわこ草津が現状では一番位置的にも、Jを真剣に狙っているクラブでしょうか。
そういうクラブの存在って地域のサッカー熱を高める意味でも
凄く大事ですよね。
投稿者 AD土屋 : 2010年12月21日 19:18
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