第35回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会準決勝 名古屋U-18×神戸U-18@三ツ沢
セミファイナルの第2試合は、ガンバ大阪ユース、サガン鳥栖U-18、三菱養和が居並ぶBグループを首位で抜け出し、準々決勝では優勝候補の呼び声も高かったコンサドーレ札幌U-18を、エース高原幹(3年・名古屋グランパスU15)の2ゴールで振り切った名古屋グランパスU18と、2日連続で川崎フロンターレU-18と当たり、1次ラウンドでは敗れたものの、準々決勝では快勝を収めて「チームとしても、個人としても目標だった」と元横浜マリノスの野田知監督が話す三ツ沢まで辿り着いたヴィッセル神戸U-18の対峙。両者は練習試合も含めて、今年度初めての顔合わせです。
再び空を覆い始めた厚い雲から、雨粒が落ち始める中でキックオフを迎えたゲームは、まず名古屋に決定的なシーン。2分、右サイドでボールを収めた都竹俊優(3年・名古屋グランパスU15)が中へ送ると、高原は鋭いターンから左足シュート。ボールはバーを越えますが、いきなりチャンスを創出します。
序盤の名古屋で目立っていたのは、前述の都竹と高原。ボールを奪ったら比較的早く前に付けようというチームの狙いが見て取れる中、レフティで右SHの都竹はキレのあるドリブルでアクセントに。また、高原はボールを受けたら常に前を向くことが最優先事項になっている印象で、この2人の存在が、チームの攻撃におけるベクトルを縦方向へ導いていたように感じました。
14分には神戸のCB岩波拓也(2年・ヴィッセル神戸JY)がミスパス。奪った高原からパスを受けた森勇人(1年・名古屋グランパスU15)のフィニッシュはバーの上へ。21分も相手のミスパスから、高原のドリブルシュートは枠の右へ。この時間帯は名古屋ペースで推移していきます。
さて、ボールキープの時間は長いものの、なかなか攻撃の形を創り出せない神戸は、「立ち上がりはバタバタしちゃった」と野田監督も認めたように、イージーなミスを連発。普段はミドルレンジもロングレンジもほとんどミスなくパスを通す岩波にも、強くなってきた雨とピッチコンディションもあってか、14分のシーンのように信じられないようなパスミスが何本か見られ、後方からのビルドアップもままなりません。加えて、出場停止から帰ってきた松村亮(2年・宇治FC)も、持ち味の“間”で受けるプレーが影を潜め、「ブレーキになってしまった」(野田監督)感が。苦しい時間が続きます。
ところが、そんな悪い流れを一変させたのは、やはり頼れるこの男。25分、右寄りでゴールまで30m強のFK。角度的には左利きに任せるような位置でしたが、短い助走から岩波が直接狙った鋭いシュートは、ゴール前の混線でわずかに角度が変わり、そのままゴールネットへ吸い込まれます。それまでのミスを帳消しにする、CBの2戦連続FK弾。劣勢の神戸が先手を取りました。
ここからは一気に形勢逆転。「本人がやりたいと言うので」(野田監督)ケガを押して出場していた右SHの高見啓太(3年・たつの龍野西中)と、左SH小林成豪(3年・ヴィッセル神戸JY)の躍動で、両サイドを制圧。27分には小林の左クロスからチャンスが生まれ、最後は松村のシュートがバーの上へ。33分、山田真己人(3年・FCライオス)の鋭いクサビを内田祐介(2年・FCフレスカ神戸)が収め、松村のラストパスから、前田凌佑(2年・ヴィッセル神戸JY)のミドルは枠の上。直後も神戸は松村が左へ展開し、小林のクロスを名古屋DFがクリアしたボールは、わずかにクロスバーの上に外れる、あわやオウンゴールという弾道。サイドアタックに活路を見出だした神戸がリードとペースを引き寄せて、前半は終了しました。
後半は立ち上がりから一進一退の攻防。50分は神戸。高見が右サイドを駆け上がり、中へ送ったボールを松村、前田と回し、小林のシュートはサイドネットの外側へ。52分は名古屋。森が左へ流したボールを、SBの佐藤和樹(3年・名古屋グランパスU15)はグラウンダーでクロス。ニアへ走り込んだ高原は、神戸GK杉本康輔(3年・FCフレスカ神戸)ともつれ、シュートは打てず。55分は神戸。高見が一度はカットされたボールを自ら奪い返し、右からのカットインシュートはわずかに枠の右へ。57分は名古屋。森のパスから高原のドリブルシュートは、杉本がファンブルしながらも、何とかキャッチ。交互に攻守が入れ替わります。
59分には名古屋の高田哲也監督が先に交替策。左SHの北川柊斗(1年・名古屋グランパスU15)と右SBの加藤翼(3年・名古屋グランパスU15)に替えて、岩田考弘(2年・名古屋グランパスU15)と野崎椋(2年・名古屋グランパスU15)をそのままの位置に同時投入。サイドのテコ入れを図ります。ところが、その交替から3分後に次のゴールを奪ったのは神戸。62分、もはやキレキレの高見が右サイドで思い切りよく仕掛け、そのままシュート。名古屋GK伊藤悠稀(3年・名古屋グランパスU15)が弾き、リバウンドを拾った小林のシュートも伊藤はブロックしましたが、さらに詰めた内田がプッシュ。2点のアドバンテージを獲得しました。
苦しくなった名古屋は、73分に高原、75分に岩田と惜しいシュートシーンを創出すると、195センチの超長身CBハーフナー・ニッキ(2年・名古屋グランパスU15)を最前線に上げて、ボランチのキャプテン奥山政幸(3年・名古屋グランパスU15)が最終ラインに下がる、3-3-2-2に近い形で最後の勝負に出ます。
これに対して、神戸は「とにかくセカンドボールを拾うこと」(野田監督)を徹底。さらに84分には松村を下げて、「守備を頑張れる」(同)井上哲大(2年・厚木森の里中)を送り込むなど、万全を期して迎え撃つ態勢に。それでも195センチのハイタワーは強烈。87分、野崎のロングフィードをハーフナーがうまく落とし、裏へ飛び出した高原はGKの頭上に浮かしたループで、神戸ゴールを攻略。1点差に詰め寄ります。
もはやなりふり構わない名古屋は、88分に188センチの足立智紀(3年・吹田JFC千里丘)まで投入して、とにかくパワープレー。89分には佐藤の左アーリークロスがハーフナーの頭に合い、杉本がキャッチしましたが、何かが起こりそうな雰囲気は十分。勝利を目前に苦しい神戸はファウルが増え、何度も「こちらからチャンスを与えているような」(野田監督)形で、FKを浴びてしまいます。ただ、同様に焦りを隠せない名古屋もチャンスには結び付け切れず、三ツ沢に鳴り響いたタイムアップのホイッスル。神戸が99年にJユースカップを制して以来の全国制覇へ王手を掛ける結果となりました。
名古屋は昨年同様に準決勝で1点差の敗退。高原や都竹などタレントは擁するものの、ここまで勝ち上がってきた他の3チームに比べると、攻撃の明確な色は見えづらかったかもしれません。勝った神戸は、会場や日程の妙で今月だけで3試合を見ましたが、本当によくまとまったチームだと思います。中でも、やはり岩波とキャプテンの仲島義貴(3年・ヴィッセル神戸JY)のCBコンビはこの世代屈指の安定感。ファイナルで激突する異能集団の東京V攻撃陣とどれだけ渡り合えるかは、非常に楽しみです。素晴らしいゲームになることを期待したいと思います。 元・AD土屋
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第35回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会準決勝 東京Vユース×柏U-18@三ツ沢
ファイナルのリターンマッチ。昨年度も覇権を懸けてぶつかり合った両雄、東京ヴェルディユースと柏レイソルU-18が1年の時を経て三ツ沢の地へ帰ってきました。とはいえ、実は今回の大会でも両者はEグループに同居。1次ラウンドの最終日に激突し、0-2で勝利を収めた柏が首位通過。敗れた東京Vは、他のグループ2位と得失点差の比較で辛うじてグループ突破を決めたという経緯もあります。迎えた一昨日の準々決勝では、東京Vが同じ関東の強豪・浦和ユースを0-5で粉砕すれば、柏U-18は鹿島ユースに先制を許しながらも最後は4-2で快勝。今回も好バトルが期待される中、どんよりと立ちこめていた雲はいつのまにか夏のそれに。絶好のコンディションで、セミファイナルの第1試合はキックオフされました。
まずチャンスを創ったのは柏。3分、木村裕(2年・柏レイソルU-15)のパスから川島章示(2年・柏レイソルU-15)が繋ぐと、フリーで飛び出した蓮沼翔太(3年・柏レイソルU-15)のシュートは枠の左へ。6分には東京Vも反撃。南秀仁(3年・ヴェルディSS相模原)が左へ流すと、中島翔哉(2年・東京ヴェルディJY)のエリア内シュートは、柏CB郡司昌弥(3年・柏レイソルU-15)が体でブロック。8分には柏に決定機。左サイドから山中亮輔(3年・柏レイソルU-15)が上げたクロスはGKがかぶってしまい、走り込んだ中川寛斗(2年・柏レイソルU-15)のボレーはワンバウンドしてクロスバーに当たる不運。お互いにチャンスを創り合います。
ただ、両者の攻撃姿勢は対照的。柏の「レイソルらしいスタイル」と下平隆宏監督も自負する“繋ぐ”スタイルは今日も健在。象徴的なのはGKの中村航輔(2年・柏レイソルU-15)で、簡単に蹴り出すシーンは皆無。時にはサイドから戻されたバックパスを中央のボランチや攻撃的な中盤2枚にダイレクトで付けたりと、抜群の視野と足元を披露します。
一方の東京Vは、ある程度相手に回させるような形から、ポイントに入った時は「質の高いプレス」(下平監督)を前から敢行。奪ったボールは杉本竜士(3年・東京ヴェルディJY)や中島が「仕掛けなきゃ始まらないんですから」と語る楠瀬直木監督の意図を汲むようなドリブル勝負に。これには「ああいうクラスのドリブラーはあまり対戦していない」と舌を巻いた下平監督。ポゼッションとは裏腹に、攻守の切り替えの速さで上回る東京Vがゲームをコントロールします。
そして15分に先制したのは、やはり緑。相手ボールを高木大輔(1年・東京ヴェルディJY)が奪って繋ぐと、中島のパスを受けた南は緩やかなドリブルから、突如ギアを3段階くらい上げたかのような強烈ミドル。ボールはGKの脇を擦り抜け、スコアが動きました。
重いストレートを食らった柏も、17分には得意の左サイド攻略から山中がクロスを送りましたが、中とわずかに合わず。すると23分、東京Vは右サイドで中島と南の“ラモス&ビスマルク”を彷彿とさせるようなパス交換から南がフリーで抜け出し、1本目のシュートは中村航輔がよく防いだものの、こぼれを再び南がプッシュ。点差が広がりました。
さて、小さくないビハインドを追い掛けることになった柏。いわゆる“持たされている”状態に加え、「裏へ攻め急いだ所はあった」と指揮官も話した通り、なかなか3トップの中央を務める川島へボールが入らず、前線の動きも小さくなってしまいます。確かに東京Vの最終ラインは高い位置をキープし、全体がかなりコンパクトだったので、狭い局面よりスペースのある裏を狙うのはわかりますが、結果的にスタイルとの相違もあって奏功せず。東京Vがうまくハメた形からアドバンテージを握って、45分間は終了しました。
「矛盾しているかもしれませんが」と前置きしながら「負けてはいるけど攻め急ぐなと話しました」とハーフタイムを振り返った下平監督。この指示を受けて、後半はスタートから柏が攻勢。49分には平久将土(2年・柏レイソルU-15)が右へ振ると、木村を回った鈴木達也(3年・柏レイソルU-15)のクロスは何とか東京VのGK中村一貴(3年・東京ヴェルディJY)がセーブ。54分にも左サイドでじっくりボールを回しながらCKを獲得するなど、ゆったりとした前への推進力が表出し始めます。
さらに62分には「会心のセットプレー」(下平監督)が炸裂。ゴール左でのFKは、山中がまたぎ、中川がまたぎ、直接狙うかに見えた秋野央樹(2年・柏レイソルU-15)はカベの横へショートパス。潜り込んでいた中川が縦へ繋ぐと、川島がフリー。周到に用意されたトリック成就かと思われた瞬間、しかしシュートは中村一貴が足で弾き出すビッグセーブ。ゴールには届きません。
こうなると65分にはカウンターから南が左ポストにぶつけるシュートを放つなど、流れは再び東京Vへ。そんな中で、68分に柏が見せたのはシンプルなアタック。鈴木が右へ大きく蹴ったボールはタッチラインを割りそうな中、8分前に投入された荒木大吾(3年・柏レイソルU-15)は左足アウトで残すと、ドリブルで運んでクロス。走り込んだ平久のヘディングはゴールネットを捕獲。「大会前まではスタメンじゃなかった」(下平監督)23番の追撃弾は、得点ランクトップに並ぶ大会6ゴール目。ラッキーボーイの一撃で、黄色の勢いが増すかに見えました。
それでも「ウチがボールを回してたので、ヴェルディさんは後半運動量が落ちると思ったのに、落ちなかったのは予想外」と下平監督が話し、「まだまだ足りないけど、頑張ってるな、追い込んでるなという所は見えてきている」と楠瀬監督も一定の評価を与えたように、失点にも気落ちせず、攻守に集中したパフォーマンスを継続させた東京Vは、流れを完全に明け渡すことなく時間を経過させていくと、84分には攻撃陣から守備陣へ大きなプレゼント。中島のヘディングは一旦クロスバーに阻まれますが、そのこぼれから田中貴大(3年・東京ヴェルディJY)が右クロス。南を経由して、最後は再び現れた中島が確実にゴールへ流し込む3点目。東京Vが難敵・柏に昨年の返り討ちと、3日前のリベンジを果たし、連覇に王手を掛ける結果となりました。
柏はハッキリとしたスタイルを持つ好チーム。アカデミーで一貫している“繋ぎ”に特化したスタイルは一長一短で構築されるものではなく、完成度もかなり高かったと思います。近年でも仲間隼斗が熊本へ、島川俊郎が仙台へ、そして指宿洋史がジローナへ加入していったことが証明しているように、ここで育った選手は他クラブからも高く評価されており、今日は悔しい結果を享受しましたが、これをとことん突き詰めた数ヶ月後を、また見てみたいと思わせる楽しいチームでした。
「勝たせるだけならもう少し戦術的にできるんですけど、勝つだけじゃあ伸びないんで」と楠瀬監督が話す東京Vは、他から見れば「個の技術が高いし、ハードワークもできる」(下平監督)厄介なチーム。面白いのは対戦相手の監督が口を揃えて、「ウチにとってはやりにくい相手」と東京Vを評する所です。ということは、つまり他のどのチームとも異なる個性を持っているということ。「サッカーは不条理なことが起こるんで、今の内にそういう所へ追い込んでおかないと」なんてことを飄々と語る指揮官に率いられたここも、おそらく常に進化し続けていく魅力的な集団。多くの人に見てもらいたいチームです。 元・AD土屋
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第35回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会準々決勝 神戸U-18×川崎U-18@敷島
第2試合はDグループを1位で通過した川崎フロンターレU-18と、同じくDグループを2位で通過したヴィッセル神戸U-18の対戦。実は、クラ選準々決勝のレギュレーション上、このゲームは1位全体の2位と2位全体の1位が激突するというコパ・リベルタドーレス方式を採用しているため、2日連続で同じチームが対戦するという“妙”が起きた訳です。
ちなみに前日のゲームは既にほとんどグループ突破を決めていたため、一部の主力を温存した神戸に対して、「ウチはいつもベストメンバーですよ」と安部一雄監督が笑った川崎が2-0で勝利しています。このゲームは4人の主力をスタメンに復帰させた神戸ですが、“小メッシ”こと松村亮(2年・宇治FC)が出場停止、右サイドの切り込み隊長でもある高見啓太(3年・たつの龍野西中)をケガで欠いての一戦に。一方の川崎はスタメンに1年生3人が名を連ね、攻撃的な中盤には中学3年生のレフティ三好康児(川崎フロンターレU-12)を起用。かなり若いチーム構成となりました。
ゲームは、まず神戸が機先。2分に前田凌佑(2年・ヴィッセル神戸JY)、和田倫季(2年・ヴィッセル神戸JY)と繋いで、内田祐介(2年・FCフレスカ神戸)のシュートはDFにブロックされましたが、3分にも宮村哲朗(2年・ヴィッセル神戸JY)のラストパスから、内田が川崎GK飯田和幸(3年・川崎フロンターレU-15)にファインセーブを強いる枠内シュートを放つなど、攻勢に出ます。するとこのCKは和田が素早く中へ。ニアでいち早くボールへ反応した免田朋己(3年・ヴィッセル神戸JY)のヘディングはゴール右スミへ吸い込まれ、早くもスコアが動きました。
さて、いきなり追い掛ける展開となった川崎。システムは中盤が正三角形の4-3-3。攻撃の形としては中盤から早めにサイドへ付けて、そこからワイドトップが縦に勝負というのが多かったものの、太田賢吾(1年・川崎フロンターレU-15)と坂口正高(1年・川崎フロンターレU-15)で組む170センチ台CBコンビも繋ぐ意識が見られ、少しずつ落ち着きを取り戻します。
10分には三好のパスから、左トップの平敷兼(3年・川崎フロンターレU-15)がカットインシュート。19分には右トップの伊藤大夢(2年・川崎フロンターレU-15)がドリブルで2人をぶち抜き、折り返しは相馬健一朗(1年・川崎フロンターレU-15)に合わなかったものの、サイドからチャンスを創出。少しずつ展開は拮抗してきました。
神戸は「和田と内田にボールが入らなかった」と野田監督が振り返ったように、チームの持ち味である“ライン間に潜って受けてターン”の回数が少なく、どちらかと言えばチャンスは「ウチの戦術の1つ」と野田監督も認める岩波拓也(2年・ヴィッセル神戸JY)のフィードから。それでも27分には和田が高い位置でボールを奪い、再三のオーバーラップが目立っていた山田真己人(3年・FCライオス)のシュートはDFに当たってクロスバーにヒット。35分には和田のスルーパスから井上哲大(2年・厚木森の里中)が抜け出すも、飛び出した飯田がファインセーブで阻止。41分、内田のパスを受けた小林成豪(3年・ヴィッセル神戸JY)は切り返しで1人かわしてシュートを放つも、DFが執念でブロック。神戸は時折見せる個の輝きでいいシーンを創りましたが、「ボールは支配されたが、肝心要の所は防いでいた」と安部監督が振り返ったように、川崎も土俵際で踏ん張ります。前半は神戸が1点をリードしてハーフタイムに入りました。
後半もまずは47分に神戸。前田がバーを越えるドリブルシュートを放ちますが、先に決定的なシーンを迎えたのは川崎。52分、太田が右へ振ると、伊藤は得意のドリブルで縦へ運んでクロス。相馬の負傷退場を受けて、3トップ中央に入っていた平敷が出した頭は数十センチの差で届かなかったとはいえ、あわや同点というシーンに少なくない人数が詰め掛けた川崎サポーターも頭を抱えます。
直後には神戸も宮村とのワンツーから、飛び出したGKの鼻先で浮かせた内田の絶妙ループを放ちますが、わずかにクロスバーを越え、突き放し切れずにいると、流れは徐々に川崎へ。53分にはルーズボールを拾った三好が、大きく枠の上へ外れたとはいえ、積極的なミドルにチャレンジ。さらに60分には三好が球足の速いスルーパスを通すと、平敷はシュートも打てそうでしたが右へパス。DFがクリアしたボールは小さく、大野宰(3年・川崎フロンターレU-15)はフリーでシュート。ボールは神戸GK杉本康輔(3年・FCフレスカ神戸)の正面を突いたものの、このゲーム最大の決定機を創出しました。
この時間帯、野田監督はテクニカルエリアまで飛び出し、「相手と同じペースにはならない。バタバタしないで繋ぐ、繋ぐ」と指示。これについて指揮官は「早めにボールを前へ入れる時は、ウチの悪い時」と説明。神戸のリズムは明らかに崩れていました。一方の川崎で、この時間帯に躍動したのは三好。今年はずっとU-18でプレーしているという14歳は「当然ユースの子と同じ要求はしている」(安部監督)中でも、3歳近い年齢差を感じさせないパフォーマンスを披露。特にセットプレーでは鋭い弾道のキックを連発するなど、「クラブとしても彼がどうなっていくかは、非常に興味深く見守っています」という安部監督の言葉にも頷けるプレーに、今後の成長がかなり楽しみになりました。
そんな中、ゲームを決めたのは世界を経験してきた17歳。70分に内田が獲得したFK。やや左、ゴールまで25mくらいの距離から岩波が直接狙ったボールは、ゴール左スミへ一直線。GK一歩も動けず。「欠かせない存在」(野田監督)が攻撃でも威力を発揮して、待望の追加点。粘る川崎も2点のビハインドを覆す力は残っておらず、前日のリベンジを果たした神戸が、「やはり三ツ沢までは行きたかった。僕の中では、やはり横国より三ツ沢」と語る、元横浜マリノスの野田監督に準決勝での三ツ沢凱旋をプレゼントする結果となりました。
勝った神戸は必ずしも思い通りに進められたゲームではなかったように感じます。ただ、それでもしっかり勝ち切れるのは総合力の高さでしょうか。次は難敵の名古屋グランパスU18ですが、「いつもやっているサッカーを変えるつもりはないので」と野田監督。クラブ史上初となるベスト4進出の勢いを駆って、頂点まで届くかどうかは非常に楽しみです。
敗れた川崎は「内容的には完敗。選手は昨日で燃え尽きていたかもしれない」と安部監督は語りましたが、随所にここまで勝ち上がってきた理由は見えました。下級生が多く出場しているということは、それだけのびしろもあるということ。「大会通じてよくやってくれました。ベスト8は立派な成績かなと思います」と指揮官は笑顔で話を締め括ってくれました。 元・AD土屋
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第35回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会準々決勝 柏U-18×鹿島ユース@敷島
例年は1次ラウンドと準々決勝を福島のJヴィレッジで開催していた日本クラブユースサッカー選手権、通称“クラ選”。今年は震災の影響から大胡総合、玉村北部、あずまに加えて、今日のゲームが行われる敷島、前橋総合と群馬県内にある5つのサッカー場を舞台に行われています。
昨日の1次ラウンド最終日の結果を受けて、勝ち抜けた8チームで争われる準々決勝。訪れたのは群馬サッカーの聖地、敷島。東京ヴェルディユース、モンテディオ山形ユース、京都サンガU-18が集うEグループで首位通過を果たしたのは、昨年度のファイナリストであり、今年のプリンス関東2部でも無類の強さを発揮している柏U-18。目指すのは当然頂点です。
対するはセレッソ大阪U-18、アビスパ福岡U-18と共にCグループへ同居していた、優勝候補筆頭とも言うべきサンフレッチェ広島ユースを3-0で粉砕し、8分の1へ駒を進めてきた鹿島アントラーズユース。今シーズンからブラジル人のキッカ監督を迎え入れ、プリンス関東1部でも首位を走るなど、ここに来て俄然注目の集まるチームです。
さて、32.5度と黙っていても汗が滴り落ちるような暑さのスタジアムを、いきなり驚愕させる先制劇は3分。右サイドでボールを持った1トップの中川義貴(3年・鹿島アントラーズJY)は、寄せたDFの股を鮮やかに通すと左足一閃。ボールは左スミへ豪快に突き刺さります。「ペナルティエリアの中でプレーするのに一番適している、“FW気質”を持った選手」とキッカ監督も認めるエースの衝撃弾。鹿島があっという間にリードを奪いました。
「中川君のパンチ力は凄かったですね」と下平隆宏監督も苦笑いするしかないような一発でビハインドを負った柏。「相手はマンツーマンなので、どちらかのCBがフリーになる」(下平監督)ため、確かに左CBの秋野央樹(2年・柏レイソルU-15)を中心にポゼッションする時間は長いものの、なかなか攻撃をテンポアップさせるタイミングを創れず、ボールが回るだけの時間が続きます。逆に鹿島は11分に斉藤駿介(3年・つくばFC)が30m近い距離を直接FKで狙い、カベに当たるシュート。16分は中川がフィードを呼び込み、強引なミドルはゴール左へ外れましたが、前への推進力を見せ付けます。
ところが同点ゴールは意外な形から。20分、柏の左SB山中亮輔(3年・柏レイソルU-15)が大きく右へ蹴ったボールを、敵陣の深い位置で受けた吉川修平(2年・柏レイソルU-15)はライン際でDFとあっさり入れ替わります。角度のない所から余裕を持って放ったシュートは、左のサイドネットへ到達。あまりゴールの匂いがしないような流れから、柏が追い付いてみせました。
以降は柏がポゼッションをシュートへ結び付けるような形が出始め、27分には中川寛斗(2年・柏レイソルU-15)のスルーパスから平久将土(2年・柏レイソルU-15)が、32分には山中が左サイドをえぐって送ったクロスに川島章示(2年・柏レイソルU-15)が、それぞれシュートに至らなかったとはいえ、決定機を創出。そして前半終了間際の45分。右サイドを抜け出した吉川が中へ折り返したボールへ、川島はわずかに触れませんでしたが、拾ったボールから中川のスルーパスを受けた川島は3度目の正直。右スミへ冷静に流し込んだゴールは、見事な逆転弾。柏が1点のアドバンテージを得て、前半は終了しました。
迎えた後半はスタートから動いたキッカ監督。「中盤で数的有利を創れなかった」と右の鳥波将斗(3年・FC古河)に左の梶野勇太(3年・鹿島アントラーズJY)と両SHを下げて、渡辺龍太(3年・鹿島アントラーズJY)をボランチに、植野元紀(2年・アルバランシア熊本)をCBに投入。元々ボランチにいた斉藤が右SBに移り、右SBだった谷川貴也(3年・鹿島アントラーズJY)が一列前へ。CBの鈴木隆雅(3年・FCみやぎバルセロナ)が2トップの一角に入り、その下に西室隆規(3年・フォルトゥナSC)が入る、まるで柏のトップチームが時折見せるような中盤非対称の4-2-2-2にシフトします。ただ、中川は左寄りに流れたがるのでよくボールを引き出していましたが、それ以外の選手は左サイドのスペースをうまく使えず、あまりシステムチェンジも奏功しなかった印象。中盤での主導権を引き寄せられません。
こうなると勢いを増していくのは柏。65分、山中が左サイドで粘り、中へのボールが滑ったDFに当たって高く上がると、抜け目なく詰めていた平久のヘディングはDFに当たりながらGKを破り、ゴールネットに到達して3点目。さらに68分、右SBの鈴木達也(3年・柏レイソルU-15)が荒木大吾(3年・柏レイソルU-15)とのワンツーからサイドを抜け出し、正確なピンポイントの折り返し。ファーでフリーの平久が難なく押し込んで4点目。一気に点差が開きました。
ところが、まだ鹿島は死なず。70分、秋野のトラップミスをU-17W杯で共にチームメイトとして戦った鈴木隆雅がかっさらい、GKに当てながらもねじ込んで、スコアは4-2に。さらに74分にはCKの流れから、山田尚哉(3年・鹿島アントラーズJY)のクロスを鈴木隆雅が頭で枠に飛ばし、オフサイドではあったものの連続してチャンスを生み出します。
「少しバタついた」(下平監督)柏を尻目に、終盤にもラッシュを仕掛ける鹿島。86分には中川が左サイドから蹴り入れたクロスは、途中出場の鈴木歩(2年・鹿島アントラーズノルテJY)がフリーでボレーも、ボールはクロスバーの上へ。87分はGK須賀健太(3年・フッチSC)のキックをルーカストラップで収めた中川が再び左クロスを送ると、またも鈴木歩が頭で合わせましたが、またもボールはクロスバーの上へ。これにはキッカ監督も「あの終盤のチャンスが入らなかったので、今日は“我々の日ではなかった”と思うしかない」と渋い顔。土曜日のトップチーム同様、柏が鹿島を撃破する結果となりました。
敗れた鹿島は鈴木隆雅が象徴していたように、今日はそこまで劇的に機能した訳ではありませんでしたが、各選手が配置やシステムに対する柔軟性を持ち合わせているような印象を受けました。あとは個で見ると、やはり中川はゴールへの意欲を含むメンタリティが抜群。キッカ監督も言及したように、ストライカーらしい選手だなあと感じました。
勝った柏で面白かったのは、3トップの中央に入った川島。169センチと小柄ですが「降りていくタイミングの良さと、ボールを受けられる所」(下平監督)を評価されての起用。実質のゼロトップを可能にしていた、小回りの利くパフォーマンスは印象的でした。次の相手は昨年度の決勝で苦杯を嘗めた東京ヴェルディユース。「楠瀬(直木)監督とは仲がいいので負けたくないですね」とは下平監督。悲願の初優勝までは、あと2勝です。 元・AD土屋
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T1リーグBブロック第4節 国士舘×都立駒場@駒沢第2
T1のBブロック第4節として対峙するのは、共に全国の常連とも言うべき、国士舘と都立駒場です。インターハイ予選では前者が東京朝鮮、後者が都立東大和にそれぞれ一次トーナメントで敗れ、いわゆるベスト12入りを逃した両チーム。T1でも国士舘が5位、駒場が4位となかなか結果が出ない現状で、お互い夏休み最初の公式戦を制して、勢いに乗りたい所でしょう。
さて、相変わらず半袖では鳥肌が立ちそうな涼しさの中でキックオフされたゲームが動いたのは、開始早々の5分。倉澤康平(3年・東京ヴェルディJY)の左CKを、二アで合わせたのは180センチの右SB田中善貴(3年・大田糀谷中)。まずはセットプレーで国士舘がリードを奪いました。
国士舘は昨年からT1でゴールを量産している田中渓人(3年・ヴェルディ調布)と赤木隼人(3年・ヴェルディ調布)のヴェルディ調布2トップに、長いボールを合わせていく形がベース。2人とも170センチ強のサイズですが体も強く、前への推進力に優れています。13分には左からのクロスを、24分には神保瑛太(3年・Forza'02)のアーリークロスがこぼれた所を、共に田中渓人がフィニッシュまで。25分には倉澤が中央を60m近く独走して、放ったシュートは昨年度の選手権で全国のピッチを経験した駒場GK後藤謙治(3年・三菱養和調布)がファインセーブ。比較的長いボールが飛びかう中でも、全体のリズムは国士舘が握っていました。
一方、こちらも昨年度からレギュラーを務める赤沼太郎(3年・大田大森六中)と畠中潤(3年・北区桐ヶ丘中)の2トップにボールを入れたい駒場でしたが、全体のプッシュアップも遅く、ロングボールからはなかなかチャンスを創り出せません。ところがゴールは意外な形から。プレースキッカーも担当するレフティの森本航生(3年・三菱養和調布)が左サイドから入れたアーリークロスは、高く上がり過ぎてしまいましたが、飛び出したGKは目測を誤ってしまいます。するとファーサイドに潜った赤沼は、きっちり落下点へ入り、無人のゴールにヘディング。このゲーム1本目のシュートで、駒場がスコアをタイに戻しました。
嫌な流れから失点を許した国士舘。それでも39分には高い位置で神保が奪ったボールから、田中渓人が枠へ飛ばし、ペースは引き渡しません。すると42分、左サイドでタメを創ってから上げた畠中のクロスは、ファーサイドに走り込んだ窪寺東(3年・杉並アヤックス)の頭にドンピシャ。7分前のお返しとばかりに、左クロスをファーで合わせる形から国士舘が再びリードを得て、前半は終了しました。
ビハインドを背負った駒場は、後半開始から選手交替。ゲーム途中に姿を現した山下正人監督は、右SHの宇野大至(2年・府ロクJY)を乙幡亮(3年・明和FC[!])とスイッチ。乙幡を1.5列目に配し、赤沼を右SHへスライドします。この交替策が奏功。乙幡がうまくバイタルでボールを受けることで基点を創ると、つられてか畠中の収まりも向上。右にズレた赤沼のボールタッチも増え、駒場の攻撃がスムーズになっていきます。
49分にはカウンターから右サイドを赤沼が駆け上がると、中央でフリーの畠中へ。ここは飛び出した国士舘GK増子絢也(3年・八王子由井中)が果敢にキャッチしますが、54分にもチャンス到来。左サイドで畠中が粘ってキープすると、前半終了間際からピッチに立っていた広瀬大輔(2年・FC渋谷)がかっさらってドリブルシュート。またも増子のファインセーブに阻まれましたが、この時間帯の勢いは駒場にありました。
60分以降は膠着した展開が続き、何回かお互いに決定機の一歩手前までは行くものの、ゴールの匂いを漂わせるには至らず時間が経過していくと、先に運動量が落ちたのは駒場。小野寺洋平(2年・青梅第三中)の投入も、大きく流れを変えることはできません。逆に国士舘は75分、赤木の右クロスへ二アで体を投げ出して敢行した田中渓人のダイビングヘッドは枠の右へ。81分、倉澤の左FKに田中善貴のヘディングはGK正面。終盤にかけて、足が戻ってきました。さらに89分には赤木が中へ当てたボールを、途中出場の柳沢豪(2年・江東深川第三中)が落とし、同じく途中出場の川口翔大(2年・三菱養和巣鴨)がわずかにゴール左へ外れるシュート。交替選手も役割を果たします。
追い込まれた駒場は90+5分のラストチャンス。森本のFKはゴール前にこぼれるも、シュートには繋ぎ切れず、少し陽の傾いた駒沢に響き渡るホイッスル。国士舘が1点差で、大きな勝ち点3を奪取する結果となりました。
駒場に菅佑也(3年・東京ヴェルディJY)不在の影響はあったと思います。昨年もコントロールタワーとして躍動した菅は、今年も絶対的な中心選手。どこで使われるにしても高いパフォーマンスを披露できる彼が入ったチームを、次は見ておきたいですね。
国士舘は2トップの能力はある程度わかっていましたが、田中善貴や湧川徹郎(3年・東京ヴェルディJY)をターゲットにしたセットプレーも、攻撃の大きなストロングポイントでした。全体的にフィジカルは強く、90分間走り切る体力もありそうなだけに、セットプレーも含めた2トップ以外の得点力が今日のように上がってくれば、選手権での巻き返しも十分可能ではないでしょうか。 元・AD土屋
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T1リーグAブロック第4節 関東第一×都立三鷹@駒沢第2
高体連とクラブユースの所属は問わず、東京の高校年代が一堂に会して行われるTリーグ。T1からT3まで3つのカテゴリーで争われますが、いずれのカテゴリーも震災の影響を受けて大幅なスケジュール変更を余儀なくされています。中でもT1は、12チーム総当たりから6チームずつの2ブロック制になるなど、レギュレーション自体に変更が生じ、少し大会のボリュームは淋しくなりましたが、今回ばかりはやむを得ないでしょう。
今日そんなT1が見られるのは、東京の高校生を最も高い頻度でチェックすることのできる駒沢。Aブロックの第4節で関東第一と都立三鷹が激突します。春の東京を制し、全国出場も期待されたインターハイでは、國學院久我山の前に準々決勝で完敗。冬に向けて仕切り直しとなった関東第一。T1ではここまで2勝1分けでグループ首位と好調をキープしています。一方の都立三鷹はT2からの昇格組。2試合を終えて1勝1敗と悪くないスタートを切りましたが、残留を考えると勝ち点1でも獲得しておきたい所です。
連日の猛暑が嘘のように、肌寒ささえ覚えるコンディション下でキックオフを迎えたゲームは、7分に三鷹が苅部真作(3年・FC府中)のロングスローから、神山巧(3年・Forza'02)があと一歩でシュートというシーンを創り出した以外は、関東第一がゲームをコントロール。10番を背負うボランチの沓掛元気(3年・ヴィヴァイオ船橋)がいつものように低い位置まで下がって受け、左右にパスを散らしていくスタイルで、ジワジワと三鷹のスペースを侵食していくと、最初のゴールは14分。うまく崩した右サイドからゴールへの意欲が目立っていた大津風輝(3年・FCトリプレッタ)が折り返し、エリア外へこぼれたボールを飯沼京汰(3年・町田JFC)が左足ミドル。ボールはGKの脇を擦り抜け、ペースそのままに関東第一が先制しました。
レギュラークラスの福島翔太郎(3年・ヴェルディSSレスチ)と伊東礼央(3年・FC多摩)が警告累積で出場停止となった関東第一でしたが、本来はSHながらボランチを務めた飯沼と、右のSHに入った大津は、1点目に絡んだ後も好プレーを連発。特に飯沼は、最終ラインに星清太(2年・フレンドリー)という“繋げる”CBが入ったこともあって、沓掛と共にボールを呼び込み、チームの生命線でもあるパスワークを円滑に推し進めます。
三鷹も前からプレスを掛ける意思は窺えるものの、行っていなされが続く内にボールの取り所が見い出せず、ほとんどマイボールの時間を作り出せません。しかし、牙を剥く時は一瞬で。数回のピンチを乗り切って迎えた29分、右サイドから倉下勝行(3年・FCトリプレッタ)が上げたアーリークロスを、神山は完璧なボレー。軌道も枠を捉えましたが、ここは関東第一GK田畑里央(3年・ジュビロ磐田JY)がファインセーブ。千載一遇の同点機をモノにできません。
すると30分に生まれた追加点。これも右サイドを突いた形から、村岡翔太(3年・FC CONSORTE)が絶妙のクロスを送ると、ファーで待っていた165センチの谷中隆太(3年・FCナサロット)は、頭でチョコン。抜群のアジリティを持つ小柄なストライカーのヘディングで、点差が2点に広がり、前半は終了しました。
後半に入ると、ようやく通り過ぎたはずの熱帯性低気圧が舞い戻ってきたかの如く、猛威を奮った関東第一タイフーン。47分の大津、49分の大津、54分の柴田耕平(3年・フレンドリー)と連続して創った決定機は三鷹GK森亮太朗(3年・八王子上柚木中)が意地のセーブで阻止しますが、57分に村岡の狭い所を通す、SBとは思えないスルーパスから、谷中が左スミへ流し込むと、これが壮絶なゴールショーの開始を告げるゴング。
61分、三鷹のCKを奪ったカウンターから、村岡のクロスを飯沼がフリーで4点目。62分、谷中がエリア内で得意のドリブルから柔らかいラストパスを送り、3アシストの村岡が5点目。66分には三鷹も、攻撃陣では1人気を吐いていた神山がドリブルでエリアへ切り込み、GKもかわすと、もつれたこぼれを高水翔(3年・三菱養和調布)が蹴り込んで一矢を報いますが、文字通り“一矢”。
72分、谷中が左サイドをギュンギュンにえぐり、折り返したボールを竹本佳(2年・小倉南FC)が沈めて6点目。74分、大津のループパスに飛び出した沓掛が、GKを外して真横に振ると、無人のゴールへ押し込んだ飯沼のハットトリックで7点目。76分、飯沼のミドルを森が懸命に弾くも、竹本が冷徹に詰めて8点目。83分、バイタルでルーズボールを収めた大津の左足ミドルで9点目。84分には控えGK築山謙信(3年・FELICE)の登場も挟み、90分には三鷹のバックパスからエリア内で得た間接FK。竹本が小さく出したボールを、途中出場の麻村豪(3年・FC多摩)が名前の通り、豪快にぶち込んで10点目。同じく90分、大津が独走ドリブルから右スミへ11点目。このレベルではかなり珍しい11-1というスコアで、関東第一が勝ち点3と得失点差プラス10を上積みする結果となりました。
関東第一は、都内で考えればほとんどの相手にポゼッションで上回ることのできるチームだと思います。ところが、それ故にゲームの中で、ゴールより優先事項の高いプレーが出てきてしまう傾向があり、ポゼッションが勝利に結びつかないケースが見られることもあります。確かに相手との実力差はあったものの、今日手に入れた11個の“媚薬”が、彼らの最優先事項を明確にするかどうか。今後の彼らに注目したいですね。
最後に、三鷹のGK森にはどうしても触れる必要があります。少なくとも6回のビッグセーブを披露しながら、11回もゴールを割られてしまった森。7点目を奪われた辺りで一旦切れそうになった気持ちを何とか繋ぎ止め、以降も試合終了まで味方を鼓舞し続けた姿は、まさに守護神の名にふさわしいものでした。今日はこういう結果になってしまいましたが、この先きっとチームメイトが「森のおかげで勝った」と感じるゲームが必ず出てくるはずです。今後は三鷹のスコアにも注目していきたいと思います。 元・AD土屋
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高円宮杯プリンス関西1部第8節 G大阪ユース×初芝橋本@J-GREEN堺 S5
第2試合もクラブユースと高校の対峙。昨年度は屈辱の2部生活を強いられたものの、7戦全勝を果たして1年で1部に返り咲いたガンバ大阪ユースが、秋田インターハイ出場も決め、プリンスでもさらなる上位を狙いたい、同じく昇格組の初芝橋本と激突します。
13時半キックオフ。見ているだけでジリジリと肌の焼ける確かな感触があるような炎天下の元、先に飛び出したのは初芝橋本。7分、ボランチの都甲勝生(3年・神戸長坂中)が右へ完璧なパス。フリーの宝子修平(3年・長野FC)はエリア内で少しもたつき、シュートはG大阪のCB西野貴治(3年・ガンバ大阪JY)がライン上でクリア。8分、美里孝彦(3年・レオSC)がラインの裏へパスを供給し、片山義明(3年・高石中央FC)がDFと並走するも、G大阪GK田尻健(3年・ガンバ大阪JY)が何とかキャッチ。9分、都甲のミドルも田尻がキャッチしましたが、続けて相手ゴールを脅かすと、15分にも美里が3回連続でCKを蹴り入れ、3回目で田尻がファンブルするも、辛うじてボールを拾い直すなど、前へのパワーで優る初芝橋本がペースを握ります。
初芝橋本は左SHの井上賢光(3年・川上FC)が少し高い位置を取る4-4-2を採用する中で、前線に聳える180センチとわかりやすいターゲットの前田健登(3年・堺上野芝中)をシンプルに使いながら、セカンドも拾えてゲームもコントロールできる片山と都甲で組むドイスボランチが、散らしに飛び出しにと攻撃へ絡む形が多く、そのボランチがボールを握れるために最終ラインも位置取りは高く、全体的にコンパクトさを保てていた印象です。
さて、15分過ぎにそれまで静かに戦況を見つめていた梅津博徳監督から「組み立てにこだわり過ぎてるんじゃないか」と声を掛けられたG大阪は、技術の高さは垣間見えるものの、初芝橋本のコンパクトなラインの中でボールを回すシーンが多く、大きな展開が出てきません。また、2トップの小谷光毅(3年・ガンバ大阪JY)と岡本大地(3年・ガンバ大阪JY)もポストワークを意識してか、動きが小さな幅に限定されていた印象。これに対して梅津監督が「2トップにボールを入れろよ。蹴ってもいいじゃないか」と指示を出すと、22分にはキャプテンを務める山千代大斗(3年・ガンバ大阪JY)のパスを受けた岡本が、左サイドからカットインしながらフィニッシュまで。34分には高い位置でボールを奪った藪内健人(2年・RIP ACE FC)のスルーパスから、小谷が枠へ飛ばすシュート。ゲームの展開としてはかなり膠着していく中、徐々に2トップの生かし方に変化が見られます。
38分には初芝橋本に前半最大の決定機到来。右SB榎本絢太(3年・FCゴラッソ)のアーリークロスを前田が繋ぐと、走り込んだ片山はまったくのフリー。ところがシュートは枠の左へ逸れ、先制ゴールとはいきません。すると、ゲームの波はG大阪へ。
41分に藪内のパスから、粘って収めた出岡大輝(2年・ガンバ大阪JY)が至近距離から放ったシュートは、初芝橋本GK古川智也(3年・八尾ユース)がファインセーブで阻止しましたが、次の好機できっちりハント。45+1分、またも藪内がDFともつれながらスルーパスを繰り出すと、岡本は飛び出したGKを華麗にかわして、丁寧にゴールへ流し込みます。能力の高い2トップが次第に存在感を発揮していったG大阪が、その2トップの一角を占める岡本のファインゴールで先制して、前半は終了しました。
ハーフタイムを挟むと、リードを手にした余裕からか、俄然動きの良くなったG大阪がラッシュ。いきなり46分、藪内のパスを受けた小谷は鋭いターンから枠内シュート。53分、福田浩規(2年・ガンバ大阪JY)、小谷と回り、徳永裕大(2年・ガンバ大阪JY)が右サイドから枠内ミドル。55分、小谷を基点に、出岡が右へ振ったボールを福田が入れたアーリーは中と合わず。それでも圧力を掛け続けることで、ジワジワと初芝橋本のラインを押し下げ、コンパクトさを侵食していきます。
そして63分に生まれたのは青黒2度目の歓喜。パスを繋いで右サイドへ展開し、出岡が広い視野で左を見ると藪内がまったくのフリー。古川との1対1は右スミへ綺麗に流し込んだ藪内に軍配。左右の幅を最大限に活用する、素晴らしい形から奪取した追加点。点差が広がりました。
64分には左サイドをゴリゴリ突き進んだ前田が枠を捉えるシュートを放った初芝橋本は、以降左右へボールを散らそうという意識は感じられますが、攻撃の形を創り切れません。69分には右SHの宝子を下げて森永和樹(2年・ジュネスFC)を送り込みますが、劇的に流れを一変させるまでには至らず。77分には左サイドから前田が折り返したボールを、美里がシュート。最後は森永が流し込み、初芝橋本の応援サイドから歓声が上がりましたが、判定はオフサイド。ゴールを奪えません。
セーフティリードとも言える3点目で突き放したいG大阪も、79分には小谷、出岡、福田のパスワークから、岡本が右ポストにぶつけるシュート。90+2分にも、途中出場の馬場隼人(3年・ガンバ大阪JY)が上げた左クロスに、途中出場の西田康貴(3年・ガンバ大阪JY)が合わせたヘディングはクロスバー直撃。詰めた途中出場の久保賢悟(3年・ガンバ大阪門真JY)も枠を外し、これ以上スコアは動きませんでしたが、時間を追うごとにゲームをうまくコントロールしていったG大阪が、首位をキープする勝ち点3を手にする結果となりました。
序盤こそ苦しんだものの、終わってみれば悪くないゲーム運びで勝利したG大阪は、やはりタレントが揃っている印象です。わずかな修正でポイントを把握できたのは、高い能力の証明。今後はうまくいかない時の理由を自分たちで気付いて処理していくレベルにまで達すれば、全国でも上位進出が見えてくるかもしれません。 元・AD土屋
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高円宮杯プリンス関西1部第8節 京都橘×神戸U-18@J-GREEN堺 S5
今年から昨年度までのフォーマットでいう高円宮杯がなくなり、なかなか見ることができなくなりそうな東日本以外のチームをチェックすべく、今日は堺ナショナルトレセンにやってきました。ここで開催されるのは、ちょうど一回り分が終わった関西プリンス1部。天然芝のフィールドを2面使い、それぞれ2試合が行われます。J-GREEN堺S5の第1試合は、インターハイの出場権こそ逃したものの、近年かなり力を付けてきている京都橘と、5勝2分けと唯一の無敗を続ける、今や関西きっての強豪となったヴィッセル神戸U-18。なかなか見ることのできない2チームの対戦に、心を踊らせながらキックオフの時間を迎えました。
まずファーストシュートは神戸。開始2分、U-17W杯を終えてメキシコから帰ってきたばかりの岩波拓也(2年・ヴィッセル神戸U-15)がGKの位置を確認して50mくらいのロングシュートにチャレンジ。ゴールとはいかないものの、視野の広さを見せ付けます。京都橘も4分には左SBの鹿島陸(3年・京都FC長岡京)が、DFと競り合いながら強引にフィニッシュまで持ち込みますが、直後の先制弾は神戸。6分、岩波が鋭いスルーパスを繰り出すと、抜け出した内田祐介(2年・FCフレスカ神戸)が左スミへ冷静にフィニッシュ。早くも点差が付きました。
勢いを得た神戸のラッシュ。10分、松村亮(2年・宇治FC)のスルーパスに内田が反応するも、飛び出した京都橘GK永井建成(1年・京都FC長岡京)がクリア。そして12分、ハイプレスで奪ったボールを松村が左へ送ると、フリーの小林成豪(3年・ヴィッセル神戸U-15)は飛び込んだDFを切り返しでかわして、確実に左スミへ流し込みます。決定力の高さを発揮した神戸は、2点のアドバンテージを握る最高の立ち上がりでゲームへ入ることになりました。
両チームは比較的似たようなスタイルで、最終ラインからしっかり繋いで、縦にボールを入れるタイミングでスピードアップというのが狙いだったと思いますが、結果的には神戸が完全にゲームの流れを掌握します。考えられる要因は2つ。
まず1つは、4-1-4-1を敷く京都橘の中盤1枚アンカーに入った鶴見怜士(3年・京都サンガJY)の両脇に、次々と神戸の選手が潜り込んだこと。「相手の“間”で受けることは練習からやっている」と話す野田知監督ですが、それに続けた「受けたら最優先はターンです」という言葉が大きなポイント。松村、内田の2トップに加え、右に高見啓太(3年・たつの龍野西中)、左に小林を配したSHも、中央へ潜ってターンからの仕掛けを連発。ここのケアを強いられた京都橘のブロックは、どうしても選手間の距離が離れてしまい、連動した守備ができません。さらに相手からすれば厄介なのは「彼のフィードは戦術なんで」と指揮官も笑う岩波が、“間”へのクサビと裏へのフィードを共に高精度で繰り出すため、京都橘の守備ブロックは前にも後ろにも重心を置き切れなかった印象を受けました。
もう1つは「相手の左SBが中に絞りがちなので、高見を外に張らせた」(野田監督)こと。高見をチームとして使う意識が、SBの山田真己人(3年・FCライオス)の積極的なオーバーラップを後押し。中央だけでなく、このサイドで優位に立ったことも、攻撃のバリエーションという意味で大きかったのは間違いありません。
21分、松村の右FKを免田朋己(3年・ヴィッセル神戸U-15)が頭で狙うも、なんとかDFがブロック。23分、前田凌佑(2年・ヴィッセル神戸U-15)、内田と繋いで、高見のシュートはGKキャッチ。30分、岩波の鋭いクサビを受けてターンした松村のシュートはわずかに枠の左へ。32分、松村の右CKを岩波がとんでもない打点から叩いたヘディングは永井がファインセーブ。40分、宮村哲朗(2年・ヴィッセル神戸U-15)が右へ展開すると、山田のクロスに小林が合わせるも枠外へ。チャンスの数からもわかるようにゴールシーン以外にも神戸がチャンスを量産して、灼熱の45分間は終了しました。
後半に入るとスタートから動いたのは京都橘の米澤一成監督。中盤の吉川達也(2年・京都サンガJY)に替えて、若林諒(3年・宇治FC)を投入。変化を付けてきます。この交替策は奏功。若林がボールを収めることで高い位置でのアクセントができた京都橘は、少しずつ効果的なボール回しが見られるようになっていきます。ただ、リズムの良さと並行して出てきたのが致命的なパスミス。
56分、中盤での繋ぎをかっさらわれると、松村のスルーパスから内田が確実に流し込んで神戸に3点目。62分、またも中盤でイージーなパスミスを拾った前田がスルーパス。ここまで2アシストの松村は、落ち着き払って右スミへグサリと4点目。流れを掴み始めていた京都橘は、もったいない形から続けて2点を献上し、実質ゲームは決まりました。
貪欲に追加点を狙う神戸。71分、山田のアーリークロスから最後は前田。78分、高見の強烈なミドル。79分、途中出場の和田倫季(2年・ヴィッセル神戸U-15)が蹴ったCKから、同じく途中出場の松井慎太朗(1年・ヴィッセル神戸U-15)が至近距離からシュート。約10分間で3回迎えた決定機は、しかしいずれも永井がファインセーブで阻止します。
すると1年生守護神の奮闘にチームも一矢。終了間際の89分、左サイドから鹿島が思い切りよくミドルを放つと、GKも弾くのが精一杯。ここに走り込んだ伊藤大起(2年・京都FC長岡京)がプッシュ。意地を見せた京都橘が1点を返し、ファイナルスコアは1-4で神戸が無敗を守る結果となりました。
神戸は現時点でもかなり完成度が高く、正直驚きました。「帰ってきたことで、チームに落ち着きが出る」と野田監督も評した岩波はさすがのパフォーマンスでしたが、個人的には年代別代表の招集経験もある松村が見せたプレーに強いインパクトを受けました。野田監督も「アイツはウチの“小メッシ”ですから」と冗談混じりに笑ったものの、期待の大きさは彼について触れた言葉の端々から感じることができたので、また今後の楽しみが1つ増えました。とんでもない日焼けを代償にしても、実りある取材だったと思います。 元・AD土屋
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高円宮杯プレミアリーグイースト第7節 FC東京U-18×尚志@深川
5試合を消化して1勝2分け2敗。昨年度は高円宮杯、冬のクラブユースと2つの全国準優勝を成し遂げ、その“あと1つ”を乗り越えるシーズンを課せられたFC東京U-18が苦しんでいます。「もっと自信を持ってやれば、いいプレーができるのに」と倉又寿雄監督が話す、その“自信”を手にするためにも、求められるのは結果ということになるでしょう。
一方、高円宮杯プレミアという「ウチらにとっては高いレベルのゲーム」(仲村浩二監督)を戦う、福島県の尚志高校。「残留とか色々考えていましたけど、今は“サッカーがやれることを楽しむ”ことと“福島県のためにも絶対諦めない姿を見てもらいたい”ということだけですね」と仲村監督が話してくれたように、1試合1試合への想いが非常に強いチームであり、好ゲームが期待されます。バック側には“バモス!!ふくしま”の横断幕も掲出されるなど、サッカーの持つ意味を改めて考えさせられるようなシチュエーションの中で、キックオフの時間を迎えました。
少しゆったりとしたペースで立ち上がったゲーム。古巣対決に燃える尚志の金田一樹(3年・FC東京U-15深川)が30m強の距離からFKを直接狙い、クロスバーを越えましたが、8分になってようやく両チーム通じて初のシュートが記録されます。12分には東京も決定機。福森健太(2年・FC東京U-15深川)、湯浅寿紀(3年・FC東京U-15むさし)と繋いで、岩木慎也(3年・FC東京U-15むさし)のミドルは枠を捉えるも、尚志CB大貫峻士(3年・三郷JY FC)が体でブロック。15分、16分にも立て続けに東京がCKからチャンスを掴み、前者は村松知稀(3年・FC東京U-15深川)が、後者は岩田拓也(2年・FC東京U-15むさし)がゴールを狙いますが、共に尚志GK秋山慧介(2年・ヴィヴァイオ船橋)がファインセーブ。先制ゴールとはいきません。
ただ、このチャンス前後から目立ち出したのは、東京のイージーなパスミス。「中盤の高い位置でボールを奪えていた」と仲村監督が言及したように、東京はミドルゾーンで簡単にボールを失うことが多く、攻撃のリズムが生まれません。逆に尚志のSHは右の後藤拓也(3年・白河FC)も、左の皿良優介(2年・ARTISTA FC)もあまり守備意識が高くない分、守から攻へ切り替わった時に前へ掛かる人数が多く、18分には中盤で高慶汰(1年・柏レイソルU-15)が逞しく奪ったボールを、山岸祐也(3年・柏ラッセルFC)が枠の右へ飛ばすミドル。21分、安野克(3年・F.C.LIBERTAD)、山岸と回ったボールから木村篤弥(3年・三郷JY FC)がフィニッシュ。「前半はいつもいい勝負できる」とは仲村監督。潮目が変化していきます。すると24分には尚志にビッグチャンス。山岸のパスを後藤が縦へ巧みにトラップすると、完全にGKと1対1になりましたが、シュートはわずかにゴール左へ。これにはベンチも頭を抱えました。
こうなると再び東京の時間が到来。34分、完全にラインの裏へ抜け出した岩田のシュートは、飛び出した秋山がセーブ。35分、冷岡幸輝(3年・つくばFC)が左へ展開。湯浅のクロスに二アで合わせた岩田のヘディングは、クロスバー直撃。40分、山口泰志(3年・FC東京U-15深川)が絶妙のロブ。完全に1人旅となった湯浅のシュートは秋山が防ぎ、こぼれを拾った岩田のシュートはまたもクロスバーにヒット。「あそこで1点でも入っていればねえ」と倉又監督も苦笑した4連続決定機逸。得点は記録されず、前半は終了しました。
ハーフタイムを挟み、迎えた後半も入りは共にスロー気味。50分は尚志。木村のミドルはバーの上へ。54分は東京。左サイドから岩木が上げたクロスに、湯浅が飛び込むもヘディングはヒットせず。56分も東京。湯浅のミドルは枠の右へ。スコアは動きません。先に決断したのは倉又監督。「尚志はDFラインにギャップができるので、そこを使ってほしかったけど、アレだけオフサイドになっちゃうとねえ」と評した湯浅に替えて、斎藤凉汰(2年・FC東京U-15深川)を投入します。
しかし先制ゴールを挙げたのは、交替策を講じなかった側。60分、右サイドから金田が蹴ったCKは中央にこぼれ、山岸がシュート。これもDFに当たってこぼれると、最後はCBの峰島直弥(3年・三井千葉SC)が執念でプッシュ。まさに「諦めない気持ち」(仲村監督)の結晶。尚志がリードを奪いました。
追い掛ける展開を強いられた東京は2枚目のカードも早々に。63分、冷岡と二瓶翼(2年・FC東京U-15深川)をスイッチします。そして今度の交替策は奏功。それから1分後の64分、右サイドから岩木が入れたFK。反応した二瓶のシュートはDFに当たって左へ流れますが、ここにいたのは「最近安定してきてるね」と倉又監督も目を細める福森。決して簡単ではない角度ながら、二アサイドを貫く豪快なゴール。悪くなりそうな流れを食い止める、貴重な同点弾。東京がすぐに追い付いてみせました。
さらに67分にはなかなか乗り切れなかった岩田に替わり、レフティの川上翔平(1年・FC東京U-15深川)がピッチへ送り出されると、1分後にはその川上が岩木とのパス交換から枠内シュート。個性の強い下級生がチームに推進力をもたらします。70分に尚志のキャプテン三瓶陽(3年・二本松第一中)が枠へ収めた25m強のFKも、GK谷俊勲(3年・FC東京U-15むさし)がワンハンドで掻き出すと、ここからは“ホーム”チームの猛攻がスタート。
78分、福森とのワンツーから二瓶が放ったシュートは枠の左へ。86分、中央をすり抜けた川上のシュートは秋山がキャッチ。87分、中央でゴールまで20m強のFK。岩木のキックはカベを抜けたものの、秋山がしっかりキャッチ。88分、左サイドから二瓶がカットインして、枠へ飛ばしたミドルは秋山がファインセーブ。92分、またも二瓶が切れ味鋭く左サイドからカットインして、腰を回したフィニッシュはわずかにゴール左へ。そしてタイムアップを告げるホイッスル。「シュート27本だってよ」と倉又監督が何とも言えない表情を浮かべたように、再三のチャンスを生かし切れなかった東京は悔しい勝ち点1。逆に尚志にしてみれば、「後半にキレちゃうのが弱点だったけど、よく諦めずに戦ってくれた」と仲村監督も話した通り、凌いで勝ち点1を獲得したことは、今後の自信に繋がったのではないでしょうか。
東京は「例年なら今頃は決まって来るんだけど」と倉又監督も前線の顔触れに頭を悩ませる中、不動のCB小林聖弥(3年・FC東京U-15むさし)の負傷欠場により、公式戦初出場となった五勝出竣仁(1年・FC東京U-15むさし)が安定したパフォーマンスを発揮。以前より後ろからのビルドアップを重視するようになったチームにおいて、「ビルドアップという意味では意識を持っている」と倉又監督も認める1年生は、今後レギュラー争いに加わってくるかもしれません。
尚志は前に掛ける枚数を考えても、繋ぐ意識を持ちながら攻撃的な戦い方を貫く姿勢は見事。「ピッチ内でもピッチ外でもきっちりしたことをやれるようになってきている」と仲村監督。月末から開始されるインターハイでも、十分上位進出を狙える好チームという印象を受けました。福島県代表として、躍進を期待したいと思います。 元・AD土屋
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インターハイ群馬決勝 前橋育英×伊勢崎商業@敷島
昨年度は小島秀仁(現・浦和)を擁しながら、準々決勝で桐生第一を相手にまさかの敗退を喫し、全国出場を逃した前橋育英。そして、その桐生第一を延長で破って勢いに乗った伊勢崎商業が、そのまま群馬を制覇。インターハイ県代表の座を勝ち獲りました。昨年の選手権準決勝でも対戦するなど、ここ数年の群馬高校サッカー界をリードしてきた2チームの激突は、もちろん聖地・敷島です。
21秒の衝撃。まだ客席にこれから着こうという人もいるような開始早々、伊商のエース浦野悟(3年・榛名中)の左足ボレーは鋭く落ちて枠内へ。結果、クロスバーに当たってピッチに跳ね返りましたが、育英の山田耕介監督も「浦野はパワー持ってますね。アレはびっくりした」と苦笑いを浮かべるほどのインパクト。スタジアムの雰囲気が一気に締まります。
さて、育英はセットプレーからはいくつかチャンスを創りますが、伊商は中盤ダイヤモンドのアンカー気味に位置する阿久津和樹(2年)が、2人のCBと共に育英2トップを監視する「5バックみたいな」(山田監督)ブロックを築いて前のスペースを減少させ、逆に空き気味の中盤もSHが少し中央に絞る形で、鋭いボールアプローチからセカンドを拾うなど、守備面ではうまく対応。どうしてもボールは長く持たれてしまいますが、安定した戦い方を披露します。
14分には山本裕天(3年・東京ヴェルディJY)のクロスから、斎藤裕志(3年)のヘディングはゴール左へ。25分にはルーズボールを収めた山本のミドルが枠を襲いますが、伊商GK高橋秀典(2年)がセーブ。攻撃の厚みを披露するも、先制点を奪うまでには至らない育英。すると昨年度の王者が突如覚醒。28分、森勇樹(3年・大間々東中)が30m近い距離から狙ったミドルは、ほんのボール1個分くらいの差でクロスバーの上へ。29分、エリア内で浦野が力強いキープから落としたボールを、走り込んだ森がハードヒット。育英GK冨澤雅也(3年・町田JFC)が辛うじて弾き出しましたが、昨年度のタイトルが伊達ではない所を強くアピールしてみせます。
ところが、先にゴールを記録したのは「センスを持っている」と指揮官も話した横山翔平(3年・図南FC群馬)のアイデアが煌めいた育英。32分、右サイドでボールを持った横山は、伊商DFラインの裏へ絶妙なチップキック。ラインと入れ替わるように飛び出した外山凌(2年・東京ヴェルディJY)は二アで足を伸ばしてプッシュ。10番の素晴らしいアシストで、少し押し込まれる予兆があった中、「いいタイミングだったと思う」と山田監督も言及したゴールが生まれ、育英が1点をリードして前半の35分間は終了しました。
ハーフタイムを挟み、迎えた後半もファーストチャンスは育英。39分、横山の左FKに斎藤がフリーで合わせたボレーは枠の上へ外れましたが、41分には左サイドからカットインした斎藤が今度は枠内ミドル。勢いを持続させます。
決して悪い流れではない伊商も44分に1枚目の交替カードを選択。前線の神澤裕希(2年・ザスパ草津U-15)に替えて、森田大貴(2年)を投入。得意の左足がアクセントになっていたSBの瀬谷峻史(3年・新里中)を置く左サイドを中心に、1点のビハインドを追い掛けます。一方の育英も47分に交替を決断。「最近調子が悪かった」(山田監督)という松井聖也(3年・前橋FC)を、斎藤に替えて投入。するとこの采配が的中。
50分、左サイドで外山のパスを受けた白石智之(3年・前橋FC)は、ゴールラインギリギリで粘ってクロス。走り込んだ松井のヘディングは、二アサイドを破ってゴールネットに到達します。「片鱗は見せてくれたかな」と山田監督も認めた松井の一撃で、育英が大きな2点目を挙げてみせました。
育英の前線を務める斎藤、外山、松井に横山の4人は、いずれもFWとSHで併用できるタレントたち。山田監督は「そこそこのレベルでということですけど」と謙遜しますが、ゲームの流れやその日の調子を見て、交替をせずに配置を入れ替えられるのは、今後も大きなオプションになっていきそうな印象を受けました。
51分にも白石の浮かせたスルーパスに松井が抜け出し、GK高橋が飛び出して事無きを得た伊商は44分、前半から2トップ下で奮闘していた1年生の平識善昭(藤岡キッカーズ)を下げて、同じく1年生の塩谷亮介(前橋FC)を送り込み、何とか前への推進力を生み出そうとしますが、2点のリードを握った育英もしっかりゲームをコントロール。付け入る隙を与えません。
こうなると少しずつ、ピッチ上に現れてきた地力の差。54分にはCB李正珠(3年・前橋FC)がインターセプトからそのまま持ち上がり、白石が狙ったシュートは高橋がキャッチ。58分、白石がゴール左寄り、約20mから直接狙ったFKはゴール右へ。62分、またも白石が左サイドから枠へ飛ばしたミドルは高橋がファインセーブ。足が止まり始めた伊商を攻め立てます。そして、2点差のままで敷島に鳴り響いたタイムアップのホイッスル。後半は伊商に1本のシュートも許さなかった育英が貫禄の快勝。2年ぶりとなる夏の王者に輝きました。
昨年のレギュラーがごっそり抜けた育英は、まだこの選手が中心という明確な軸はないものの、やはり個々のスキルはハイレベル。前述したように、ポジションチェンジも含めた、攻撃陣のフレキシブルな流動性は相手の脅威となりそうです。「今年は全国的に見ても、各チームともそんなに差はないと思う」と山田監督。前回出場時に続く全国制覇を最大の目標に、是非群馬県勢の代表として秋田ではばたいて欲しいと思います。 AD土屋
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インターハイ東京準決勝 國學院久我山×都立東久留米総合@駒沢第2
前のゲームの熱い余韻がまだ立ちこめる中で迎えた第2試合は、1次トーナメントから勝ち上がってきたチーム同士の対戦ですが、登場するのは國學院久我山と都立東久留米総合。東京上位進出のみならず、何度も全国出場を果たしている実力校同士の一戦です。
まず先にチャンスを迎えたのは東久留米。5分、シンプルなフィードから抜け出した小山輝(2年)がクロスバーを越えるシュート。「スピードがあるので」と齋藤登監督が準々決勝から唯一スタメンで変化を付けた小山が、いきなり持ち味を披露します。ただ、少しずつペースは久我山へ移動。11分には細かいパスワークで東久留米ゴールに迫り、最後は大畑圭輔(3年・柏レイソルJY)がエリア内で倒れるもノーホイッスルとなりましたが、右高静真(3年・横浜F・マリノスJY)を前線の基点に、ドイスボランチを組んだ小泉洋生(2年・鹿島アントラーズJY)と富樫佑太(1年・ジェファFC)も前の2試合より高い位置でボールを回すシーンが多く、パスで攻撃のリズムが生まれます。すると15分、左サイドでボールを受けた山本哲平(2年・ジェファFC)は、エリア外から思い切りよくミドル。低い弾道で枠に飛んだボールはGK及ばず。流れそのままに久我山がアドバンテージを握りました。
さて、「立ち上がりは小山をサイドのスペースに走らせて、相手の強みでもあるSBの上がりを抑える」(齋藤監督)ために長いボールが多く、なかなかキーマンのFW佐々木翼(3年・東京久留米FC)が流れに絡めなかった東久留米は、20分を過ぎると少しずつボールを回す意識にシフトし始め、前への収まりもよくなっていきます。28分には多田和明(3年・FCクレセル)、西田絋崇(3年・練馬FC U-15)と繋いで、上がってきたボランチの菅谷翼(2年・FC東京U-15むさし)がフィニッシュ。枠は外れましたが、この繋いで迎えたシュートを経ると、チームとして攻撃にかけるパワーも格段に増え、五分かそれ以上に押し返す展開へ変容していきます。
それでも、久我山も完全には流れを明け渡さず。40+1分、右高のCKから富樫が繋ぐと、小泉のミドルは枠の左へ。40+2分、市木良(3年・横河武蔵野JY)から大畑を経由し、山本のシュートは飛び出した東久留米GK野中優志(2年・練馬谷原中)がセーブするも、DFに当たってゴールへ向かったボールは何とかクリア。全体としては東久留米が押し返したものの、バランス的には互角と言っていいような内容で前半は終了しました。
後半に入ると、動いたのは東久留米。小山に替えた鈴木雄大(3年・東京久留米FC)をSHに置いて、西田を2トップの一角に移す「予定通りの交替」(齋藤監督)を行います。すると、このシフトチェンジは奏功し、東久留米が攻勢に。
44分、橋詰晃(3年・FC東京U-15むさし)が右へ送ると、替わった鈴木はサイドをえぐって中へ。DFに当たった跳ね返りへ反応した佐々木のヘディングは、ほんの少し枠の上へ。51分、菅谷が中央を約60m独走しながら、左へ流れて放ったシュートは久我山GK松尾大吾(3年・浦和レッズJY)がキャッチ。前線に佐々木と西田という2つのポイントができたことで、確かに東久留米が押し込む時間が長くなったものの、同点に追い付くまでには至りません。
逆に久我山も反撃。60分、井上大(2年・横河武蔵野JY)のフィードから、右高、山本、途中出場の渡辺夏彦(1年・FCトリプレッタ)と繋がるも、シュートには至らず。64分には抜け出した山本のシュートがこぼれた所に、渡辺が詰めるも橋詰が懸命のブロック。点差を広げたい側と広げられたくない側の意地が交錯します。
齋藤監督も勝負の采配。70分、SHの春山を下げて、森田渉(2年)をCBに投入すると、それまで右SBを務めていた「元々FWで身体能力がある」(齋藤監督)多田を最前線に置いて、何が何でもという姿勢を明確に打ち出します。すると72分、東久留米にFKのチャンス。ゴール左寄り、距離は約30m。スポットに立ったのはキャプテンでエースの佐々木。直後、スタンドに訪れたのはオレンジの沈黙と水色の絶叫。右足から繰り出されたボールは、クロスバーを叩きながらもしぶとくゴールへ転がり込みます。土壇場で東久留米が同点に追い付いてみせました。
もはやイケイケの東久留米。74分、西田の縦パスから米倉翼(3年・FC東京U-15むさし)がクロスを上げると、佐々木のヘディングはゴール左へ。80分、多田とのワンツーで前へ持ち出した米倉の強烈ミドルはクロスバー直撃。80+2分、渡辺のドリブルシュートはDFに当たって、わずかにゴール左へ。ここで後半終了のホイッスルは鳴り、ゲームは10分ハーフの延長戦にもつれ込みましたが、勢いは完全に東久留米。
82分、カウンターから佐々木がスルーパス。多田の逆サイドを狙ったシュートは松尾がファインセーブ。90+1分、鈴木の右クロスから、最後は多田が枠内シュート。90+3分、中央から1点目の再現を狙った佐々木の25mFKはカベがブロック。攻守両面での切り替えに差が出てきてしまい、久我山は耐える時間が続きます。
91分には東久留米が切り札の片岡瞭星(3年・志村四中)を投入して、さらなるパワーを追加。終了間際の99分には、右サイドへの展開から、鈴木が粘って上げたクロスに逆サイドから突っ込んだ片岡はわずかに届かず。東久留米にしてみれば後半以降は圧倒的に押し込みながら、準々決勝同様に「課題の決定力」(齋藤監督)を欠き、またもPK戦で決着を付けることになりました。
ここで魅せたのは東久留米の2年生GK野中。先行の久我山1人目を完全に読み切ってセーブ。チームに大きな勢いをもたらします。キッカーも米倉、橋詰、菅谷、多田と4人目まで準々決勝とまったく同じメンバーが全員成功。そして久我山5人目のキックが無情にもバーを越え、激闘に終止符。東久留米が「久留米時代も含めた歴史の中で初めて」(齋藤監督)というインターハイ出場を決めました。
実は東久留米は沖縄への修学旅行が震災の翌日に予定されていたために中止。学校側の配慮で関西への移動教室が実施されたのですが、その期間がこの準々決勝と準決勝の間ということで、今週はほとんど練習をしないまま、決戦に臨んだとのことでした。それでも今シーズンの東京高校サッカー界で、私が個人的に見たチームの中では、おそらく現時点での完成度はナンバーワン。近年はなかなか全国でも結果の出ない東京勢というイメージを払拭するような快進撃を、秋田で披露してくれることを祈っています。 AD土屋
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インターハイ東京準決勝 かえつ有明×帝京@駒沢第2
4月の支部予選からスタートした東京のインターハイ予選もいよいよ大詰め。駒沢第2で行われる準決勝2試合の勝者が、秋田で行われる全国大会への出場権を手にします。第1試合は昨年の選手権決勝で駒澤大学高に惜敗し、4年連続の全国出場を断たれた帝京。最大の目標はその冬の王者奪還ですが、全国における現在地を知る意味でも負けられないゲームです。対するは、先週の準々決勝で第1シードの優勝候補・成立学園を6-2と粉砕したかえつ有明。3年ぶりに帰ってきた準決勝を突破すれば、初の全国に手が届きます。予想された天候とは違い、快晴の駒沢で晴れ舞台への最終関門が幕を開けました。
ゲームはおそらく30度近い気温も考慮してか、立ち上がりからゆったりとした展開に。前への圧力で上回った帝京は12分に照井久磨(3年・広島五日市FC)が獲得したFKを、松岡啓太(2年・Az'86tokyo-ome)が中へ入れるもかえつDFがクリア。また、24分には小山北斗(3年・FC東京U-15むさし)が左へ振ると、受けた伊藤遼(2年・岐阜VAMOS)のカットインシュートはゴール右へ。ただ、30分まではこの2つのシーン以外にチャンスらしいチャンスはなく、攻勢の割には手数を出せません。
一方のかえつは、序盤こそある程度長いボールを蹴るシーンも見られましたが、10分過ぎくらいからはいつもの「蹴らずに繋いでゴール前まで行こう」(かえつ有明・中込正行監督)というスタイルを表出。GKも含めて、時にはやり過ぎとも思えるショートパスを最終ラインで敢行することも少なくなく、スタンドからはザワめきも起こる中、本人たちはどこ吹く風。自信を持ってボールを繋いでいきます。31分にはその形からチャンス創出。中村哲平(3年・レイソルSS青梅)のリターンから大庭周平(3年・ジェファFC)がスルーパス。中村光春(3年・横浜FC鶴見)がオフェンスファウルを取られ、シュートは打てませんでしたが、1つ狙いを体現します。
直後の31分、帝京にこのゲーム最初の決定機。右サイドで松岡が縦パス。照井のクロスは中央へ走り込んだ大野耀平(2年・浦和レッズJY)にピタリ。ヘディングはクロスバーの上へ外れましたが、ここから流れは一気にカナリア軍団へ。35分、3バックの中央に入った新地寿史兆(3年・FC東京U-15むさし)が大野とのパス交換からエリア内へ侵入し、クロス気味のシュート。39分には小山、町田直樹(3年・東京久留米FC)、伊藤と回して、大野のシュートはDFに当たり、方向を変えてゴールに向かうも、何とか飛び付いたかえつGK大石文弥(3年・横浜FC鶴見)がビッグセーブ。さらに40+1分には、右サイドを伊藤がドリブルで切り裂いて上げたクロスに、町田が頭から飛び込むも枠を捉えられず。とはいえ、右サイドが一気に活性化した帝京がペースを引き寄せた形で、前半40分間は終了しました。
ハーフタイムを挟んで後半に入ると、まずは42分に帝京。長谷川優希(3年・グランデFC)のパスから松岡がダイレクトで枠の左へ飛ばし、ファーストシュートを取りますが、44分にはかえつにもカウンターからチャンス到来。中央でボールを運んだ藤山世開(3年・ジェファFC)が右へはたくと、上がってきたのは3バック中央の杉本一平(3年・VIVAIO船橋)。クロスはDFに引っ掛かり、シュートには持ち込めなかったものの、このCBのオーバーラップこそ「ここをこうしなきゃいけないという形はないので、それぞれが考えてやっている」(中込監督)かえつスタイルの真骨頂。するとこのチャンスから、流れはかえつへ。
50分、中村光春のスルーパスから橋村圭太(3年・横浜FC鶴見)が抜け出しかけるも、帝京CB鈴木涼太(3年・FRIENDLY)がスイープ。55分には中村哲平、鈴木美勇士(2年・FC台東U-15)、中村光春と繋いで、大庭のフィニッシュはDFに当たってゴール左へ。存在感の増してきた浜田航(3年・レイソルSS青梅)を中心とした高い流動性が、ジワジワ帝京を蝕み始めると、63分にも橋村の左クロスがクロスバーを叩くなど、予期せぬ好機も創出。先制の匂いが漂い始めます。
ところが先にゴールを挙げたのは帝京。64分、左へ流れた伊藤がマイナスに折り返すと、勢いよく入ってきた長谷川がDFと接触して転倒。主審は迷わずPKを指示します。キッカーの町田は迷いなく、ゴールのど真ん中へ蹴り込む強心臓ぶりを発揮。とうとうスコアが動きました。
追い掛ける展開となったかえつは69分、鋭いカウンターから中村哲平が左へ送ると、橋村は足元に収めて素早く右足を振り抜きましたが、ボールは左ポストを直撃。ツキもありません。逆に71分は帝京。スローインから町田を経由すると、長谷川のシュートは大石が何とか阻止。1本のパスから、ジャックナイフをかえつの喉元へ突き付けます。
かなり苦しくなったかえつは74分、中村光春がFKを獲得。スポットに立ったのは中村哲平。直後、スタンドに訪れたのは黄色の沈黙と赤の絶叫。ゴールまで約25mの距離から放たれたボールは、ゴール左スミへ魅入られたかのように吸い込まれます。「いつも練習では決めている。どちらかというと勝負強いタイプ」(中込監督)という中村哲平の起死回生弾。79分に町田が左足から繰り出したシュートもクロスバーを直撃すると、そのまま80分間が終了。組織も機能したかえつと、個人の突破が目立つ帝京という構図で10分ハーフずつ加えられた延長戦もゲームを決めるゴールは生まれず、東京1枠目の全国切符は、PK戦に決着の舞台を移しました。
初めての全国を目指す新鋭と、誰もがその名を知る超名門。メンタル勝負とも言えるPK戦において、その見えないプレッシャーは前者にかかりそうな気がしていましたが、中村哲平、浜田、鈴木、橋村とかえつは4人目まで全員がGKの逆を突いて成功。5人目の大庭も方向は読まれながら、キッチリゴール。帝京も5人全員が確実に沈め、サドンデスに突入します。
先行のかえつは中村光春が再びGKの逆を突いてゴール。そして帝京の6人目が右スミを狙ったボールは、大石が横っ飛びで完璧なセーブ。「勝っていく内にあと2つ、あと1つという意識が徐々に高まっていった」(中込監督)かえつが、あと2つやあと1つを見事に乗り越えて、創部6年目で初めての全国へ挑戦する権利を獲得しました。
新興勢力とはいえ、既に都内では上位進出の常連となっていたかえつ。「今までのかえつの中で比べても、3年生のレベルは高い」と指揮官も話すメンバーで、とうとう全国出場という確かな成果を勝ち獲りました。「全国ではチャレンジ精神でアグレッシブに戦ってきたい」と中込監督。東京の代表として、秋田で暴れてきてくれることを祈っています。 AD土屋
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インターハイ東京準々決勝 都立東久留米総合×駒澤大学高@駒沢補助
第2試合も第1試合に負けず劣らずの好カード。1回戦で個の力では劣勢だった東京朝鮮に対して、片岡瞭星(3年・志村四中)の2ゴールで快勝を収めた東久留米総合が、昨年度の選手権東京予選で帝京を撃破し、初出場となった全国でも2勝をマークするなど躍進を遂げた、1回戦シードの駒澤大学高と対峙します。
ゲームは「立ち上がりはサイドの深い所にボールを蹴り、そこから繋いでフィニッシュ」(駒澤大学高・大野祥司監督)という駒澤大学も、前線に西田絋崇(3年・練馬FC U-15)と佐々木翼(3年・久留米FC U-15)で組む強力2トップを擁する東久留米も、ロングボールを多用する落ち着かない展開に。どちらも主導権を取り切れない時間が続きましたが、流れと関係なくスコアが動いたのは9分。駒澤は相手のセットプレーを跳ね返した所から綺麗なカウンター。ハーフウェーライン付近で迫り来る東久留米最後の砦をかわした邊見洋平(3年・FC駒沢U-15)は、そのまま独走するとGKとの1対1も冷静に一刺し。駒澤がアドバンテージを握りました。
さて、リードを許した東久留米はなかなか流れの中からシュートを放てませんが、16分にはFKのチャンス。レフティ米倉翼(3年・FC東京U-15むさし)が右サイドから入れたボールは、一旦DFがクリアしたものの、佐々木が速い球足のクロスを入れると、春山美優士(3年・三菱養和巣鴨)に当たったボールを橋詰晃(3年・FC東京U-15むさし)が足を伸ばしてプッシュ。「気が緩んだわけじゃないんだろうけど」と大野監督も首を傾げるエアポケットを見逃さなかった東久留米が、スコアを振り出しに戻しました。
21分にもセットプレーから惜しいシーンを創ったのは東久留米。佐々木の右FKに、ニアへ飛び込んだのは片岡。ボールはバーを越えたものの、東京朝鮮戦でもニアへ潜り込んでヘディングを決めるなど、160センチという身長に騙されると、この男の危険な武器であるヘディングを見落としてしまいます。さらに続く東久留米の攻勢。28分、右サイドでゴールまで25mの距離から米倉が狙ったFKは、駒澤GK斉藤正樹(3年・FC東京U-15深川)がファインセーブ。29分、橋詰が中央をゴリゴリとドリブルで突き進み、こぼれ球を拾った佐々木のミドルはクロスバーの上へ。前のゲームもそうでしたが、東久留米は流れが来ている状況の時にはしっかりボールも回り出して、さらにペースを引き寄せることができるチームという印象を持ちました。
ただ、駒澤も前半終了間際にビッグチャンス。40+1分、高須雅也(3年・フレンドリー)のCKを大越龍之介(3年・奈良中)が頭で枠へ飛ばしましたが、東久留米DFがゴールライン上でクリア。スコア動かず。1-1で最初の40分間は終了しました。
後半は東久留米の攻める時間が長い展開ながら、「とにかくパスが3本と繋がらないんで」と大野監督も認める中、ある程度割り切って蹴ってしまう場面が多い駒澤は、スタイル上どうしても押し込まれてしまいますが、それを自分たちのペースとして捉えるのであれば、そこまで劣勢とも言い切れないような展開に。
46分には片岡のパスから菅谷翼(3年・FC東京U-15むさし)がエリア内から放ったシュートは、飛び出したGK斉藤がキャッチ。59分には嵐田継也(3年)の縦パスを、受けた西田が右サイドからカットインして打ったシュートは、ここも飛び出した斉藤が阻止。60分から62分にかけて3連続で東久留米にCKのチャンスがありましたが、ここも凌ぐなど駒澤の粘り強い対応が続きます。
64分、西田がカットインから枠へ打ち込んだシュートは斉藤がキャッチ。69分、米倉のCKと、こぼれを再び米倉が上げたクロスは、前者がDFのクリア、後者が斉藤のパンチングで回避。74分には佐々木のスルーパスへ反応した菅谷と、飛び出したGK斉藤が接触するも主審の判定はノーホイッスル。後半はシュートを1本も打てませんでしたが、斉藤を中心に抜群の集中力で40分間を凌ぎ切った駒澤。1-1でゲームは前後半10分ずつの延長戦に突入しました。
5分間のブレイクを挟んでも、変わらない構図。81分、右サイドを完全に崩し、多田和明(3年・FCクレセル)の折り返しを西田は完璧なタイミングのダイレクトシュートへ繋げましたが、斉藤が完璧なタイミングでセーブ。87分、佐々木のパスから西田がドリブルで切れ込むも、斉藤が飛び出しセーブ。エンド替わって93分、菅谷のパスから片岡の枠内シュートは斉藤がセーブ。95分、佐々木が左へ送ったボールを米倉がクロスに変えると、合わせた多田のヘディングはわずかにクロスバーの上を通過。結局同点に追いついて以降は再三のチャンスに恵まれた東久留米でしたが、立ちはだかった斉藤のビッグセーブ連発と、やや最後の精度に詰めの甘さを感じさせる格好で、所定の100分間も終了。準決勝進出の行方はPK戦へ委ねられることになりました。
迎えたロシアンルーレットで、主役に躍り出たのはゲーム中の守備機会が片手で数えられる程だった、東久留米のGK野中優志(2年・練馬谷原中)。駒澤の1人目と2人目を完璧にストップすると、東久留米のキッカーは2人目こそ枠を外したとはいえ、それ以外の3人は全員がGKの逆を取って成功。そして5人目の佐々木もしっかりGKの逆に沈めて勝負あり。東久留米が粘る駒澤を振り切って、全国まであと1つに迫る結果となりました。
駒澤にしてみれば、「想定はしていたので、順番も決めていた」(大野監督)PK戦までよく持ち込みましたが、最後は力尽きました。昨年度の躍進を支えたレギュラーはほとんどが3年生だったため、実質まったく違うチームと言っていいようなメンバー構成の中、「チームの“輪”を考えて、スタメンは3年生だけにした」(大野監督)成果は守備の驚異的な粘りにも現れていたものの、なかなか攻撃まではカバーできなかったようです。これで駒沢補助会場は、いずれもシード校が敗退。今年も東京の高校サッカー界は、群雄割拠の時代が続きそうです。 AD土屋
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インターハイ東京準々決勝 関東第一×國學院久我山@駒沢補助
インターハイの東京予選も今日は準々決勝。東京は出場枠が2つなので、あと2勝すれば全国切符を手に入れることができます。駒沢補助で行われる第1試合は、春の関東大会予選で東京を見事制覇したため、1回戦はシードされていた関東第一が登場。対するはハードワークに定評のある難敵・暁星を下して、勝ち上がってきた國學院久我山。準々決勝4試合の中でも最注目カードです。
ゲームは立ち上がりからボールアプローチの速さで上回った関東第一ペース。8分、小松雄貴(2年・大宮FC)からパスを受けた沓掛元気(3年・VIVAIO船橋)の左クロスを、大村俊道(2年・FC CONSORTE)が頭でゴールへ流し込むもオフェンスファウル。13分には沓掛が右へ展開。SBの村岡翔太(3年・FC CONSORTE)がSHの伊東礼央(3年・FC多摩)とのパス交換から上げたクロスに、走り込んだ飯沼京汰(3年・町田JFC)のヘディングは枠の左へ。主導権を掌握します。
関東第一の中心は10番を背負うボランチの沓掛。低い位置まで降りて、積極的にボールを引き出すと、散らしあり、ドリブルありで攻撃のテンポアップをコントロール。ゲームそのものも自らの支配下に置くような力を見せ付けます。ただ、いかんせんチーム全体でボールこそ持てるものの、なかなか厳しいゾーンに入っていくことができず、後ろでの手数ばかりが多くなってしまい、シュートを打てません。
一方、序盤は相手のハイプレスをモロに受けた格好で、チームの基点となる2トップの右高静真(3年・横浜F・マリノスJY)と山本哲平(2年・ジェファFC)にクサビが収まらず、ほとんどボールを前へ運べなかった久我山も、少しずつ本来の縦に速いスタイルを表出。32分には山本が、33分には市木良(3年・横河武蔵野)のフィードから、山本が収めて最後は山内寛史(2年・Az'86tokyo-ome)が、34分にはやはり後方からのフィードを基点に、ルーズボールを拾った大畑圭輔(3年・柏レイソルJY)が、3本続けてミドル。実際はいずれも枠を大きく外れており、そのチャレンジ単独で見れば無謀にも映るようなシーンだったかもしれませんが、シュートを打てない関東第一とは対照的に、この3連続ミドルを境にして、落ち着きを取り戻した久我山へリズムが移行。36分には右高のクイックFKに反応した市木のクロスを、ファーで山本が捉え、結果としてはオフサイドになりましたが、決定的なチャンス一歩手前のシーンを1つ創出して、前半は終了しました。
関東第一の小野貴裕監督は早めの処方箋。後半はスタートから、左SHに高速ドリブラーの谷中隆太(3年・ナサロットFC)を送り込み、少し使われ始めていたサイドに抑止力を求めます。しかし、流れは変わらず久我山。42分、カウンターから2トップだけで最前線まで運び、右高のシュートはDFがブロック。47分、右高が粘り強いキープを見せ、前半途中から出場していた白瀧秀斗(3年・Forza'02)のミドルは枠の右へ。ペースを手放しません。
すると一瞬の隙を見逃さず、それに見合った成果を挙げたのは久我山。50分、右高のドリブルで獲得したCK。その右高が素早くリスタートすると、関東第一はディフェンスが整っておらず、小泉洋正(2年・鹿島アントラーズJY)の左足クロスをファーで押し込んだのは山内。破れた均衡。久我山がセットプレーで先制ゴールを奪いました。
悪い流れの中で失点を許してしまった関東第一。52分にはボランチをバランサータイプの福島翔太郎(3年・ヴェルディSSレスチ)から、ゲームメーカータイプの関口直人(3年・WINGS習志野)にスイッチしましたが、焦りからか全体的にイージーなパスミスや呼吸の合わない場面が散見される状況下では、メークする部分を見出だせず、むしろプレスのターゲットになってしまい、停滞の遠因に。交替策もハマりません。
その間にも、白瀧や右高が着々とシュートチャレンジの回数を増やしていくと、62分には2度目の歓喜。1年生でボランチを務めた富樫佑太(ジェファFC)が左へ回すと、白瀧は主体的に仕掛けて左へ持ち出し、そのまま右スミに流し込むファインゴール。弾けるオレンジ。残り20分で久我山が2点の差を付けてみせました。
たまらず64分、関東第一も最後のカードとして竹本佳(2年・小倉南FC)を投入。67分にはその竹本が相手のボールを奪うと自らドリブル。中央を抜け出してGKと1対1になりましたが、シュートは枠のわずかに左へ。1点を返せません。久我山は71分、中盤に佐藤敦郎(2年・Forza'02)と萩原優一(1年・横河武蔵野)を前の試合に続けて送り込み、バランスを整える念の入れよう。74分には関東第一も谷中のパスに大村が飛び出してGKもかわしますが、角度がなくなってしまい、何とか上げたクロスもDFが確実にクリア。79分にも途中出場の小川絢生(2年・小倉南FC)と村岡で右サイドを崩しましたが、村岡のクロスに飛び込んだ谷中はオフェンスファウル。最後まで歯車は噛み合わず、前半途中からは実質ゲームを自分たちのスピードで進めていた久我山が、準決勝への勝ち名乗りを上げました。
春の王者だった関東第一は、結局最後まで持ち味を発揮できないまま、無念の敗退となりました。1トップに入った大村のポストプレーはほぼパーフェクトでしたが、それをフィニッシュまで繋げることができず、ついつい手数が掛かってしまうシーンが多かったような気がします。昨年から何試合も見ているチームで、最初の20分間を見た時は相当強くなったなと驚いたのですが、結果は無得点での敗退。せっかくの高い技術を、もっとファイナルサードで生かせるようにならないと、上を狙うのは難しいかもしれません。 AD土屋
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関東大学リーグ1部第8節 筑波大学×中央大学@NACK5
関東大学リーグ前期は中断まで残すところ2試合。首位の流通経済大から8位の青山学院大まで、わずか5ポイント差の中でひしめきあう、かなりの混戦模様を呈しています。今日も駒沢陸上とNACK5で2試合ずつが開催される中、向かったのはNACK5の第2試合。3勝2分け2敗で6位の筑波大と、1勝3分け3敗の10位と苦戦が続く中央大の一戦。お互いに年代別日本代表経験者を有するなど、タレント的には大学界屈指。ただ、中央大は個人的にも注目していたFWの林容平(4年・浦和ユース)と安柄俊(3年・東京朝鮮)が共に欠場。少し得点力に不安を残すゲームが続いているようです。
中央のキックオフで幕を開けた前半、まず先にチャンスを創ったのはその中央。2分、六平光成(3年・前橋育英)が右サイドをうまく抜け出し、折り返すも中と合わず。5分、澤田崇(2年・大津)、椎名正巳(4年・帝京)と繋いで、大矢雄太(4年・桐光学園)のシュートは味方に当たってオフサイドになりましたが、まずは攻勢に打って出ます。
ところが突然の衝撃。8分、筑波は自陣から谷口彰悟(2年・大津)がフィードを入れると、完全にDFラインの裏を取った赤崎秀平(2年・佐賀東)は二アサイドをぶち抜く豪快な一振り。どよめきに包まれたスタンド。シンプルな形から、あっさり筑波が先手を取りました。事故のような先制ゴールを奪われた中央は11分、細かく繋いで右に展開すると、SB田港周平(4年・桐光学園)が上げたニアへのクロスに六平が飛びこむも、ボールは枠の左へ。さらに15分、18分と続けて澤田がドリブルシュートを放つなど、反撃を見せます。
しかし、またしても赤崎。20分、中央DFのコントロールミスを高い位置で奪った八反田康平(4年・鹿児島中央)は、素早く上村岬(2年・磐田ユース)へ。上村も簡単に縦へ付けると、マーカーより一歩前に出た赤崎は逆サイドへズドン。2回の決定機で2ゴール。筑波がリードを広げました。
止まらない赤崎劇場。25分、石神幸征(4年・藤枝東)のショートパスをDFともつれながら縦に持ち出し、そのままドカン。「1点目で怖くなっちゃったのかなんなのかはわからないけど、付いていけなくなってしまった」と中央の佐藤健総監督も残念な表情。逆に「最近はボールを相手にぶつけてばっかりだったが、今日はまあまあよくコースを見つけられてた」と風間八宏監督。赤崎のハットトリックで、早くも3点差が付いてしまいました。
こうなると、筑波のスタイルも一層の切れ味を発揮。「少し中盤でボールを落ち付けられるようになってきている」と指揮官も認めたように、八反田と玉城峻吾(2年・三菱養和)を中心に巧みなパスワークで相手を翻弄。加えて、35分にはCBの車屋紳太郎(1年・大津)が、44分には右SBの石神が、それぞれロングレンジのスルーパスで好機を演出。隙を見つけたら、どこからでもチャンスを生み出す準備の意識という意味では、やはり他のチームとは一味違う印象を受けました。そして45分、上村の右CKを頭で合わせたのは車屋。「ウチのCBは跳ね返したり、高さを生かしたりすることが必要なポジションじゃないから」と風間監督は笑いましたが、その車屋の高さで4点目。筑波が大量リードを奪って、ハーフタイムに入りました。
後半は「メチャクチャやられたって訳ではない」(佐藤総監督)中央もスタートから前へ。52分、相手陣内でボールを奪うと、椎名のパスから大矢のフィニッシュは枠を捉えるも、筑波GK三浦雄也(4年・中京大中京)がセーブ。53分にも、大矢のパスを受けた椎名が1人かわして放ったシュートを三浦がキャッチ。54分にはビッグチャンス。木下淑晶(3年・作陽)の縦パスを田仲智紀(3年・浦和ユース)がダイレクトで落とすと、澤田がフリーに。しかし強振したボールはクロスバーとポストの角に激突。1点を返せません。
こうなると、ある程度は余裕を持ってゲームをコントロールしていく筑波にもチャンス到来。56分、曽我敬紀(3年・横浜FMユース)が玉城とのワンツーからGKとの1対1を迎えるも、シュートはゴール右へ。65分、古谷真悟(4年・橿原)の縦パスを上村がワンタッチではたき、八反田のシュートは中央GK岡西宏祐(3年・山梨学院大附属)がセーブ。71分には谷口のスルーパスを、赤崎がスライディングで左へ送り、曽我の巻いたカットインミドルは右ポスト直撃。再びペースを引き寄せます。
中央も71分に最後の交替カードとして奥山慎(3年・帝京)を送り込み、4-4-2にシフトして、最後の勝負を挑みます。しかし、直後に生まれたゴールも筑波。73分、赤崎からボールをもらった玉城はタメてタメてラストパス。回り込んだ赤崎のフィニッシュが左隅に突き刺さり、ダメ押しのダメ押し。「赤崎が入れただけでしょ」ととぼけた風間監督も、「今までは90分の中でいい所が出るのは5分か10分だったけど、それが60分くらいになってきたかな」と一定の評価を与える内容と結果を得た筑波が、5-0という大差で完勝を収める結果となりました。
筑波の素晴らしい所は、少し前述しましたが、GKも含めた11人がピッチのどこにいても、常にチャンスの萌芽を探し回っていることでしょうか。「まずは遠い所から見ていければいいよね」と風間監督も触れたように、繋ぐスタイルの中でも遠い所に穴が開いたら、最終ラインからでもそこを突きにかかる意識の高さは相当なもの。色々なポジションを試され、今日は最終ラインからゲームをコントロールしていた、ここまで3ゴール3アシストの車屋も、風間監督に言わせれば「期待はしてるけど、まだ前の方で使うには技術もスピードも足りない」とのこと。おそらく次に筑波のゲームを見る機会には、さらなる進化を遂げていることを予感させるような90分間でした。
余談ですが、このゲームの主審は私の高校時代の同級生でした。スタジアムに着いてメンバー表を見ると、主審の欄に聞いたことのある名前が。あまりの偶然に笑ってしまいました。今、1級審判を目指して奮闘している彼の姿を見て、私もまだまだ頑張らなきゃいけないなあと改めて思えた、貴重な取材になりました。 AD土屋
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インターハイ東京1回戦 都立東久留米総合×東京朝鮮@駒沢補助
第2試合はお互いT2リーグに所属しているとはいえ、実力は都内でもトップクラスの東久留米総合と東京朝鮮の対戦。近年の戦績を考えると、構図としては東久留米に東京朝鮮が挑む形になるかもしれませんが、「下の予選から上がって来たので、勢いはある」と東京朝鮮の高隆志監督。楽しみなカードです。
やや静かな立ち上がりを経て、どちらも主導権を取り切れずに進んでいったゲームが色を変えたのは、11分に東久留米が獲得したCK。キッカーの米倉翼(3年・FC東京U-15むさし)がニアへ蹴ると、GKの前に飛び込んだのは160センチの右SH片岡瞭星(3年・志村四中)。東久留米がアドバンテージを奪いました。
東久留米のスタイルはボールも動かせるものの、基本はトップの佐々木翼(3年・東京久留米FC U-15)と、1.5列目に位置する西田絋崇(3年・練馬FC U-15)を生かした堅守速攻。17分には東京朝鮮のCKを奪うと、カウンターから佐々木が1人でシュートまで持ち込み、相手ゴールを脅かします。
対する東京朝鮮はダイナミックな展開が多い中、驚異的なフィジカルを誇るFWのカン・グァン(3年・東京朝鮮第四中)に自然とボールが入りますが、「少しチームが頼り過ぎてる部分もある」と指揮官が話したように、1人でも打開できてしまうが故にか、周囲のサポートが遅く、なかなか組織で崩すようなシーンが生まれません。
すると31分に次のゴールを挙げたのも東久留米。ゴールラインを割りそうなボールを粘って収めた春山美優士(3年・三菱養和巣鴨)がファーへクロスを送ると、片岡が頭で狙ったシュートはフワリとした軌跡を描いて、ゴールへ吸い込まれます。小柄な片岡がヘディングで2発。リードが広がりました。
「前半は0-0でよかった」(高監督)というプランが脆くも瓦解した東京朝鮮。34分にはロングフィードをしっかり収めたカン・グァンが左へ持ち出し、枠内へ飛ばしたシュートは東久留米GK野中優志(2年・練馬谷原中)がファインセーブで阻止。0-2というスコアでハーフタイムを迎えました。
後半も最初のチャンスは東久留米。41分、きっちり回して左へ展開したボール。米倉のクロスに佐々木がヘディングで合わせるも、東京朝鮮GKリ・ヨンジン(3年・東京朝鮮第五中)がキャッチすると、ここからは東京朝鮮の時間が到来します。46分、カン・グァンが右へ持ち出しながら打ち切ったシュートは野中がセーブ。50分、右サイドをカン・グァンがぶち抜き、中への折り返しをオン・ソンテ(3年・東京朝鮮中)が狙うも、野中がビッグセーブ。51分、スローインの流れからリ・トンジュン(3年・東京朝鮮第五中)のミドルは、わずかに枠の左へ。惜しいシーンは創出しますが、1点がなかなか奪えません。
50分を過ぎると、交互に訪れるチャンス。52分は東久留米。橋詰晃(3年・FC東京U-15むさし)のスルーパスをGKリ・ヨンジンが飛び出してクリア。拾った片岡が無人のゴールへ狙ったシュートは枠の右へ。56分は東京朝鮮。オン・ソンテのCKをハン・ヨンジュン(2年・東京朝鮮第一中)が頭でドンピシャも、野中がファインセーブ。59分は東久留米。スローインから西田のミドルはわずかに枠の上へ。同じく59分は東京朝鮮。右サイドを完全に崩してカン・キソン(3年・東京朝鮮中)の優しいパスに、コ・チファン(2年・東京朝鮮中)が走り込むも、コースへ入ったDFに当たり、わずかにゴール左へ。61分は東久留米のカウンター。西田と佐々木で相手陣内まで運び、佐々木のシュートはリ・ヨンジンがブロック。攻守が目まぐるしく入れ替わる、せわしない展開が続きます。
ただ、やはり東久留米は2点のリードがあるだけに無理な前傾姿勢は取っておらず、西田と佐々木が確実に前へと持ち出す力を有しているため、ある程度余裕のゲーム運び。豊富な運動量で上回るスタイルの東京朝鮮からすれば、本来はグッとペースを引き寄せられるはずの後半に、余力を持って対応されたのも想定外だったのではないでしょうか。
終盤を迎えても、集中力の切れない東久留米ディフェンス。73分には1本のフィードをカン・グァンが収め、シュート体勢へ入った所を松本亮祐(3年・中野五中)が完璧なカット。76分にはカン・グァンも2人のDFの真ん中をぶち抜く、意地のドリブルからフィニッシュに繋げますが、ゴール右に外れ、最後まで東久留米の牙城は陥落せず。0-2で東久留米が、選手権の東京王者・駒澤大学高への挑戦権を勝ち取りました。
やはり早い時間帯で生まれた1点目が、ゲームを左右したと思います。東京朝鮮にしてみれば、それが「自信があったセットプレー」(高監督)からの失点だっただけにダメージも強烈。そして前述した通り、後半に本来のラッシュを掛けられなかったのも、前半の失点が影響していた訳です。個々の力では互角か、あるいは東京朝鮮が上回っていたかもしれませんが、チームとしてのゲームコントロールは東久留米に一日の長があったように感じました。 AD土屋
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インターハイ東京1回戦 暁星×國學院久我山@駒沢補助
高校サッカー界における2大タイトルの1つがインターハイ。8月に行われる灼熱の全国大会を目指して、各地区で予選が開始されています。首都東京も2つの全国出場枠を手に入れるべく、今日から2次トーナメントがスタート。駒沢補助の第1試合は、共に全国大会の常連とも言うべき暁星と國學院久我山が激突。1回戦屈指の好カードとなりました。
まず先にリズムを掴んだのは暁星。「一生懸命戦う、林先生のチームらしい素晴らしいチーム」と久我山の李済華監督も言及した“一生懸命戦う”部分がボールアプローチの速さに現れ、4分にはスローインの流れから最後は臼倉宏(1年・暁星中)がボレー。6分には矢野峻寛(3年・暁星中)がFKを直接狙い、12分にも矢野のFKから今度は二アで渡邊創太(1年・FC東京U-15深川)がヘディングシュート。久我山ゴールへ迫ります。中でも目を引いたのは2トップの一角に入った岡村悠矢(2年・暁星中)。恵まれた体格に高さとスピードを併せ持ち、ターゲットとして機能。チームに推進力をもたらしていたと思います。
さて、なかなかリズムに乗れない久我山。チームのストロングでもある山本哲平(2年・ジェファFC)と右高静真(3年・横浜F・マリノスJY)の2トップにボールが収まらず、基点ができないために攻撃もうまく回りません。ところが21分に先制ゴールを奪ったのは、その久我山。山本、右高と回ったボールは、ポッカリ空いたバイタルへ。待っていたボランチの小泉洋生(2年・鹿島アントラーズJY)が右足を振り抜くと、ボールは左ポストの内側を叩いて、ゴールの中へ。流れの中から初めて放ったシュートを得点に結び付けるしたたかさを発揮して、久我山が先手を取りました。
ゴールがもたらす効果はやはり絶大。以降は久我山がゲームを支配して進める形に。高い技術を見せる右高にボールが入り始めると、「前への推進力を持っていて、ポストプレーも上手」(李監督)な2トップが生きる構図。こうなると配球に特徴を持つ中盤の選手たちも生き始め、主導権を握ります。特に秀逸だったのは39分のシーン。ボランチの山内寛史(2年・Az'86tokyo-ome)が左へ振ると、SBの井上大(2年・横河武蔵野JY)は一発でサイドチェンジ。受けた右SHの佐藤敦郎(2年・Forza'02)がマイナスに折り返し、中へ走り込んだ左SHの大畑圭輔(3年・柏レイソルJY)がシュート。ゴールにはなりませんでしたが、サイドの幅をいっぱいに使った連動性の高い攻撃を披露。得点以降は久我山のいいシーンが目立つ形で前半は終了しました。
後半も先に決定機を創出したのは久我山。45分、山内が左に出したスルーパスはフリーの大畑に渡るも、トーキック気味のシュートはクロスバーの上へ。続けて47分にも決定的なチャンス。今度は右高が左に出したスルーパスが、再びフリーの大畑に渡るも、シュートはクロスバーの上へ。突き放すことはできません。
逆に中盤の配置をボックスからダイヤモンドへ変えた暁星も50分に決定機。中盤でのボールカットから素早く左へ展開。右SHから2トップ下へスライドした、キャプテンの友納健翔(3年・暁星中)がシュートを放ちましたが、枠は捉えられず。追い付けません。
48分に右SBを平野佑一(1年・東京ヴェルディJY)から市木良(3年・横河武蔵野JY)に入れ替えていた李監督は、52分に山内と萩原優一(1年・横河武蔵野JY)、54分に大畑と渡辺夏彦(1年・FCトリプレッタ)をスイッチ。中盤に1年生2人を起用してきました。そして、この交替策は中盤の引き締めという意味で奏功。「読みが速いからセカンドが拾える」と李監督も話したように、萩原と渡辺はボールへの反応が速く、攻守に渡って躍動します。55分にはいきなり渡辺が山本のチャンスを演出すると、57分にも山本が小さく蹴り出したFKを右高がフィニッシュへ持ち込み、枠の左へ外れるも久我山ペースは継続。68分、小泉が中へ送ると山本はヒール。右高が枠へ飛ばしたシュートは暁星GK関根宏一郎(2年・暁星中)がしっかりキャッチ。70分、右高がうまいトラップから抜け出し、放ったシュートは枠をわずかに逸れ、久我山が押し込みながらも点差は1点で推移していきます。
72分には暁星に大きなチャンス。途中出場の江藤綸太郎(1年・暁星中)が獲得したFK。キッカーは矢野。中央右寄り、ゴールまで約30mの距離から渾身の力を振り絞った一撃はクロスバーの上へ外れ、これが暁星の放った最後のシュート。消耗戦とも言えそうな内容のゲームを1点差で制した久我山が、関東第一の待つ準々決勝へ駒を進める結果となりました。
「少しずつレベルアップしている所です」と李監督も苦笑混じりに話してくれた久我山は、例年より攻撃が縦に速い印象。能力の高い2トップへ、まずはボールを入れてから周囲が動き出すことが多く、連動性という部分はあと一歩といった感じでしょうか。そんな中で、個人的に面白かったのは萩原と渡辺の1年生コンビ。「あの2人は“イメージ”が少しいい」と李監督が表現したように、色々な意味での“イメージ”を描く余地を残しながらプレーできているような2人だけに、彼らの成長もチーム力アップの小さくないファクターになっていくかもしれません。次の準々決勝は、今年の東京高校サッカー界の主役候補の対峙。激戦必至です。 AD土屋
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関東大学リーグ1部第7節 国士舘大学×慶應義塾大学@西が丘
先日発表されたU-22日本代表に流通経済大所属の3人が選出されるなど、近年ではかなりの熱視線が注がれている関東大学サッカー界。今日は駒沢陸上と西が丘で2試合ずつが行われる中、西が丘の第2試合となる国士舘と慶應義塾のゲームにやってきました。
「細かいミスやそういう所で、今までの戦いは結果が出ていない」と細田三二監督が話したように、3分け3敗の11位と苦しい戦いが続いている国士舘。一方、現在の順位は7位ながら、2位から勝ち点10で並んでいる6チームの中の1チームという位置付けの慶應。前節は中央大に2回先行されながら、追い付いての逆転勝利と浮上のキッカケを掴む一戦に。今日もゲームが始まると開始34秒、日高慶太(4年・桐蔭学園)のパスを右サイドで受けた山浦新(1年・東京ヴェルディユース)のクロスは、中央の河井陽介(4年・藤枝東)へピタリ。ボレーはヒットしなかったものの、いきなり流れを引き寄せると、12分にも右サイドからチャンスメイク。日高とのワンツーから抜け出した山浦が素早くグラウンダーのクロスを送ると、ニアに飛び込んだのは「新がクロスを上げてくれることはわかっていた。狙い通り」という武藤嘉紀(1年・FC東京U-18)。確実に矢印を変えたボールはファーサイドへ飛び込み、早くも慶應が先制点を奪いました。
いきなりビハインドを追い掛けることになった国士舘。13分には佐藤優平(3年・横浜FMユース)のスルーパスから、服部康平(2年・国士舘高)が抜け出し、右足を強振するもボールは左ポストに直撃。同点とはいかず、ここからは慶應が一方的に押し込む時間帯が続きます。16分、松岡淳(3年・慶應湘南藤沢)、日高と繋いだボールを武藤がミドルに持ち込み、国士舘GK石田昇平(1年・FC東京U-18)がファインセーブ。18分、河井の鋭いドリブルシュートは、またも石田がファインセーブ。21分、武藤がシュートを打ち切れず、右に流したボールを日高が放ったシュートはクロスバーの上へ。27分、松岡が左へ付けたボールを、河井がDFともつれながら持ち出してラストパス。武藤のフィニッシュは飛び出した石田が体でブロック。決定機を続けて創り出します。
慶應でポイントになったのは左サイド。細田監督も「河井がウチの右サイドに張り付いていたので危険だと思っていた。あそこを狙われた」と話したように、チームの基点が河井でできるため、慶應から見た左サイドが活性化。185センチのSB黄大城(4年・桐生第一)も再三のオーバーラップから際どいクロスを連発し、国士舘ゴールを脅かします。
26分には早くも池ケ谷颯斗(2年・札幌第一)を下げて、生方翼(4年・千葉国際)を投入した劣勢の国士舘は30分に反撃。田中俊哉(4年・札幌第一)の落としを、替わったばかりの生方がミドル。DFを掠めたボールはわずかに枠を逸れ、同点ならず。そしてこのCKから生まれたゴールは、国士舘ではなく慶應に。
佐藤のCKがこぼれたボールを奪った山浦が縦に付けると、武藤の足元へ。左右を並走する味方へのパスという選択肢も考えられる中、ドリブルから武藤がチョイスしたのは自らのシュート。これがDFに当たり、ボールは反応した石田の逆サイドへゆっくりと吸い込まれていきます。「試合前に石田に『オマエには決めさせないよ』って言われたんです」と話してくれた武藤。数ヶ月前までFC東京U-18のチームメイトだった石田から2ゴール目を奪い、リードを広げました。以降も36分には山浦、45+2分には松下純土(2年・國學院久我山)が決定機を迎えるも石田の好守に阻まれ、3点目は取れませんでしたが、最初の45分間を圧倒した慶應が2点のリードをで終了しました。
後半はスタートから細田監督が決断。田中に替えて、進藤誠司(1年・流通経済大柏)を左SHに送り込み、Jクラブ注目の吉野峻光(4年・静岡学園)は最前線へスライドします。すると50分、進藤が左サイドをドリブルで持ち上がり、枠の右へ飛ばしたシュートが形勢逆転への狼煙。53分、西山峻太(4年・室蘭大谷)の縦パスを吉野はヒールで引っ掛け、慶應GK中川翔太(4年・國學院久我山)と1対1も、シュートはクロスバー。57分、進藤は鋭い出足のパスカットから右でフリーの吉野へ。ところが吉野のシュートは枠を捉えられず。ゲームの流れは掴んだものの、エースの連続逸機で点差は縮まりません。
それでも国士舘の明らかな好転に貢献したのは、やはり進藤。「前へ行く彼のようなプレーは必要」と指揮官も認めたように、なかなかチームとして出てこなかった縦への推進力を一気にもたらし、それが技の吉野と高さの服部で組んだ2トップの持ち味を引き出す効果も生んでいたように思います。
一気に押し込みたい国士舘が、75分に切った最後の交替カードは、本来左SBのレギュラーを務めている瀬川和樹(3年・盈進)。すると効果はわずか3分後に結果として表出。左サイドで西山のパスをうまく収めたSHの瀬川は、絶妙のピンポイントクロス。服部が合わせた高い打点のヘディングが中川を破ります。1-2。途端に勝敗の行方は混沌としてきました。
81分には慶應に追加点のチャンス。武藤が左サイドを抜け出して折り返すと、中にはフリーの森田達見(3年・川崎U-18)。しかしシュートはクロスバーの上へ。「2点目までは取れるが、3点目が取れない課題」(武藤)が慶應にのしかかります。85分は国士舘。進藤のパスは吉野へ渡るも、シュートに時間がかかりサイドネット外側へ。そして89分、右サイドから蛭子順平(3年・国見)の上げたクロスは、服部を経由して瀬川へ。振り抜いた左足。直後、中川に弾かれたボール。国士舘の追撃をなんとか交わし切った慶應が、薄氷の勝ち点3を獲得する結果となりました。
流れのハッキリした好ゲームだったと思います。どちらも決定機は少なくなく、そういう面では「いいシュートでも決められなければただのキックですから」と細田監督が独特の表現で触れた部分は確かにありましたが、攻撃のアイデアは双方が発揮できていた印象です。両者が勝ち点ほどに力の差はなかったことを考えれば、まだまだリーグの混戦は続くであろうことを予感させるようなゲームでした。 AD土屋
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キリンカップサッカー2011 日本×チェコ@横浜国際
ペルー戦でスタートから採用された3-4-3がフィーチャーされている日本代表。ザッケローニ監督も「現時点ではオプションの1つ」と話していますが、ケガの前田に替わって李が入った以外は、内田、長友、吉田、本田などの海外組も含めて現状のベストメンバーがスタメンに顔を揃え、オプションとしての可能性を探るには悪くない舞台が整いました。対するチェコは「かなりの主力がいなかったので心配ではあった」とミハル・バラク監督が言及したように、3月にボルドーでインタビューしたので再会を楽しみにしていたプラシルや、ロシツキー、バロシュなど攻撃的なポジションの主力は来日せず。スタメンに国内組が5人起用されるなど、テスト的な要素の強いゲームです。
先に手数を出してきたのはチェコ。5分、カドレツのロングスローからフェニンが繋ぐと、レゼクのボレーはDFに当たって川島がキャッチ。7分、チェフのロングフィードに川島と吉田の連携が悪く、何とか川島がキャッチ。8分、左サイドからレゼクの上げたクロスは、ファーに飛び込んだペトルジェラがわずかに届かず。9分、カドレツのFKにライノフが頭で合わせたボールはクロスバーの上へ。「超満員で圧倒的に日本に有利な雰囲気」(ビレク監督)の中でチェコの攻勢が続きます。
ポゼッションでは上回るものの、なかなかチャンスを創れない日本。11分には本田のFKもカベに跳ね返されますが、直後に流れの中から迎えた好機。川島のフィードを本田と李が収め、長谷部が右サイドから上げたアーリークロスにニアへ飛び込んだのは内田。シュートには至らなかったものの、中盤4枚のアウトサイドがゴール前に詰めていくという、チームとしての攻撃的な意識が垣間見えるシーンでした。
さて、18分から37分まではお互いに1本のシュートも記録されない時間帯が訪れましたが、大きく分けると要因は2つでしょうか。1つは「チェコは高い位置にいる選手が下がってきて対応するなど警戒してきた」とザッケローニ監督も話したように、かなりラインも落としてSHも守備意識が高くなっていったチェコのブロックが堅く、内田と長友も含めたサイドアタックが繰り出せなかったこと。もう1つは3トップに縦方向の速いクサビのパスがほとんど入らなかったこと。右の本田はボールタッチこそ多いとはいえ、大半は低い位置に降りてきて受けるシーンが目立ち、攻撃をテンポアップさせる起動装置が見つからないような印象を受けました。
ただ、そんな状況打開に鞭を入れたのはキャプテンの長谷部。29分、長友のパスを受けた長谷部は素早く縦へ。李が1タッチで落としたボールを本田はトラップミスでシュートまで行けず。35分、またも長谷部の縦パスを岡崎が1タッチで捌き、李とのワンツーで抜け出しかけた所を倒されてFK獲得。遠藤の右スミを狙ったキックはチェフが辛うじて弾き出し、先制とはなりませんでしたが、「チェコはサイドを警戒してきたので中央が空いた」と指揮官も触れたように、縦へのスピードアップで中央からチャンスを創出し始めた日本に流れが傾いた形で、前半は終了しました。
ハーフタイムを挟むと、チェコに選手交替。CBのシボクを下げて、右SBにゲブレ・セラシエを投入。右SBだったロマン・フブニクがCBにスライドします。49分、相手のパスをかっさらった本田のスルーパスに岡崎が反応。うまくDFに体を入れられ、オフェンスファウルを取られましたが、後半も前半終盤の流れをそのまま持ち込むと、52分には決定機。遠藤のショートコーナーを本田が粘ってクロス。ファーで李が柔らかく折り返すと、吉田はフリーでヘディングもボールはクロスバーの上へ。絶好の得点チャンスを生かせません。
61分、遠藤の縦パスはバイタルに潜り込んだ本田へ。本田は左へ展開すると、長友はグラウンダーでクサビ。李がワンタッチで落とすと、走り込んできた本田とはやや呼吸がずれ、シュートには至りませんでしたが、これは後半を象徴するようなプレーだったと思います。というのは、「私と本田で決めた」とザッケローニ監督も言及した通り、後半の本田はワイドに開いている時間より中央にポジションを取ることが多く、前述の49分、61分とチャンスに絡んだシーンは共に中央にいたことで少ない手数でのエリア侵入が可能に。「サイドにはないが、中央はスペースがあるので、トップ下に入りながら岡崎を2トップの一角に押し出すことをやってくれた」とザッケローニ監督。本田も中央の方が持ち味を発揮しやすいのは明確で、これは後半の日本が攻勢の時間を続けられた大きな要因でしょう。
加えて、本田を生かすという意味では、62分にゲブレ・セラシエのクロスから、ややマークがずれて、ファーでフリーのレゼクに枠内ボレーを放たれた直後にザッケローニ監督が槙野と共に投入した家長の存在も見逃せません。遠藤に替わってボランチに入った家長は、投入直後こそなかなかボールに触れなかったものの、70分を過ぎると積極的にゲームメイクへ関与。74分には高く上がったルーズボールをエリア外からダイレクトボレー。枠は大きく外れましたが、高い意欲を覗かせます。
そして本田とのコンビネーションも抜群。70分から77分までに2人のパス交換は9回。短い繋ぎでリズムを生み出すと、78分には2人が10回目に交わしたパスの会話を起点に決定機創出。中盤で家長のパスを受けた本田が粘って左へ。長友のクロスはDFにクリアされますが、拾った本田は再びクロス。ファーで岡崎が叩きつけたヘディングはチェフがファインセーブ。詰めた李のシュートは誰もが入ると確信した中で、伸びたチェフの左手。チェコ・フットボール・オブ・ザ・イヤー受賞4回。UEFAベストGK受賞2回。プレミアゴールデングローブ受賞2回。ザッケローニ監督も「相手の素晴らしいGKを称賛しないといけない」と話した、世界最高峰の実力を遺憾なく発揮。チェコゴールに強固な鍵を掛け、絶大な存在感を見せ付けました。
84分にはまたも日本に形。相手クリアを拾った家長はダイレクトで縦パス。受けた本田が中へ付けたボールは、李が強引にシュートを放ち、DFにブロックされましたが、ここも起点はあの2人。縦関係に配置した場合の相性は代表でも屈指。攻撃面を考えた場合なら、このゲーム最大と言ってもいいくらいの収穫だったのではないでしょうか。ゲームは89分、93分と本田にFKの見せ場はありましたが、どちらも枠は捉え切れず、スコアレスでタイムアップ。大会は3試合共に0-0となり、史上初の3チーム同時優勝となりました。
いわゆる3-4-3問題で言えば、「ここ数日で言ったことを全部やろうと思うな。スタートポジションとフィニッシュの所だけイメージを持って、そのアプローチに関しては特に固執しないように伝えた」というザッケローニ監督の言葉がすべてではないでしょうか。ゲームがうまく回り始めた後半は、本田が中央に入る3-5-2気味の時間も長く、流れの中で数字が変わるのは必然。その中で本田を生かしつつ、守備のバランスもしっかり維持できており、「この数日間の練習だけでここまでできるというのは、容易いことではない」という指揮官の言葉は本音に近い気がします。
あとは3トップ中央のレギュラー候補へ、李が大きくアピールした印象も受けました。まだミスはあるものの、クサビに顔を出すタイミングと回数は十分に及第点。周囲との連携が向上すれば、このままレギュラーとして定着する可能性も小さくないと思います。色々と勉強になった代表戦でした。 AD土屋
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関東高校大会Aグループ1回戦 市立浦和×湘南工科大附属@敷島
敷島に移動して、次に見たのはAグループの1回戦。すなわち、各都県のチャンピオンが集まるトーナメントです。オレンジのユニフォームは埼玉を制した市立浦和。青のユニフォームは神奈川を制した湘南工科大附属。前者は選手権全国優勝4回。後者も選手権全国3位2回。名門同士の対戦となりました。
まず、勢いよくピッチで躍動したのは湘南。6分、青戸真之介(3年)のFKから、ルーズボールを徳永峻(3年)が中へ入れると、3トップの中央に入った松本拓也(2年)はフリーでトラップしたものの、シュートまで行けず。8分、GK吉川剛幸(3年)がグラウンダーで縦に付けたボールを、里吉流星(3年)はスライディングで右へ。SBの田邉郁弥(3年)を経由して、青戸のドリブルシュートは枠の右へ外れます。ただ、この8分のシーンは湘南のやりたいスタイルが凝縮されたワンシーン。GKもファーストチョイスは繋ぎのパス。逆三角形の中盤を採用した4-3-3の1枚アンカーを務める山田衛(3年)が、時折左右に開いたCBの間に降りて、ビルドアップを担うバルサスタイルによる小気味よさで立ち上がりの流れを引き寄せます。
ところが、「ボールを自分たちで動かしていこうという話はしていました」と池田一義監督が話した浦和も、徐々にポゼッションを高めながら、3トップ右の栗原幹(3年)が躍動するなどサイドを攻略していくリズムが生まれ、ペースを手繰り寄せます。すると17分、樫村涼平(3年)のパスを受けた名取優(3年)がエリア内で倒され、PKを獲得。白畑快斗(3年)が冷静に沈め、ペースを奪還した浦和が1点のアドバンテージを握りました。さらに27分も浦和。樫村が入れたCKはGKのパンチングが小さく、ゴール前へ。右サイドから栗原が思い切って狙ったシュートを、名取がチョコンと頭で方向を変えると、ボールはゴールへ吸い込まれます。勢いそのままに連続ゴール。点差が広がりました。
すっかり細かいパスワークを封じ込まれてしまった湘南は、この失点前後から方針転換。ミドルパス、ロングパスによる大きな展開に活路を見出だしにかかりましたが、いかんせんイージーミスが多く、「うまく対応できていた」と池田監督が話したように、浦和がしっかりアジャスト。2-0で前半は終了しました。
流れを変えたい湘南は、後半開始からメンバーチェンジ。高橋陸人(2年)を3トップ中央に送り込み、松本を右にスライドさせます。さらに80人近い湘南応援団から期せずして巻き起こった“カントリーロード”の大合唱。流れは変わりました。43分、青戸がゴール左20mの位置から放ったFKはバーの上へ。50分、相手DFラインの裏を完全に取った高橋の独走シュートは、ほんの少し枠の右側へ。53分、中盤のルーズボールを制した高山和也(2年)の30mループはわずかに枠外。58分、松本のラストパスに反応した高橋のシュートは浦和GK三浦拓海(3年)がファインセーブ。小さな展開を捨てたことで、後半に入ると1人1人の持つプレーヴィジョンの距離が少しずつ長くなり、前半は出てこなかったスピード感やダイナミックさが表出。うまくゲームの流れに乗った印象を受けました。
ところが、次に待っていたのは浦和の一刺し。60分、左サイドを名取が個人技で切り裂いて上げたクロスに、5分前に投入されたばかりの笠原直人(3年)が頭から飛び込み、大きな大きな3点目。勝負は決しました。以降も懸命に攻め立てる湘南の前に立ちはだかったのが、浦和のGK三浦。65分に徳永の無回転FKを的確なパンチングで弾き出すと、73分には田村竜也(3年)の強烈なシュートに、ワンハンドで反応する超ファインセーブ。74分にも青戸の難しいシュートに対応するなど、まさに守護神の名にふさわしいパフォーマンスを披露。湘南の猛攻を無失点に抑えた浦和が、見事な勝利を収めました。
ここ2年は全国から遠ざかっているものの、選手権の常連でもある浦和はよく鍛えられているチームでした。「西武台、浦和東、武南がいない中での埼玉制覇というのは選手たちもわかっているので、気の緩みはないと思います」と池田監督。前述のプリンスに参入している3強と、全国への椅子を争う有力候補であることは間違いありません。 AD土屋
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関東高校大会Bグループ1回戦 山梨学院大附属×船橋北@共愛学園G
今日から群馬県内で開始された関東高校サッカー大会。基本的に各都県の高円宮杯プレミアリーグとプリンスリーグに参戦している高校は予選に参加していないため、いわゆるビッグネームは不在かもしれませんが、逆に考えれば各地区の予選を勝ち抜くことで小さくない自信を付けたであろう、インターハイ予選のジャイアントキリング候補が集結している大会。見逃せません。
共愛学園会場の第1試合に登場するのは、激戦区の千葉を2位で勝ち上がった公立校の船橋北と、今大会の数少ないプリンス参戦組である山梨学院大附属。ただ、現在Jの数クラブが獲得に乗り出していると言われる白崎凌兵(3年)を含めたAチームは不在。実質のBチームで臨むゲームとなりました。
先にチャンスを掴んだのは船橋北。5分、小野田和貴(3年)のスルーパスから、1トップに入った桑田将平(3年)がフリーで抜け出し、力んだシュートは枠の左へ外れましたが、惜しいシーンを創出します。10分には山学。柳沢駿静(3年)のフィードに、うまくDFと入れ替わった伊藤忍(3年)が枠内へ飛ばしたシュートは、船橋北GK松本優太(2年)が弾き出し、先制ならず。24分は船橋北。後方から柳澤匡俊監督もチームの中心と認める10番の石丸純(3年)が、相手DFラインの裏へ落とすスルーパス。抜け出した桑田と、飛び出した山学GK山田純平(2年)がほとんど同時に到達したボールはゴールラインを割り、こちらも先制とはいきません。32分は山学。ロングフィードを1トップの名嘉真朝季(2年)がヒールで落とし、柳沢が狙ったシュートはDFがブロックします。
この両チームのチャンスになったシーンからもわかるように、お互い早めに長いボールを縦に入れるような展開を選択。柳澤監督は「もっとサイドから攻撃したかったんですけど」と話しましたが、同時に「1対1の部分や球際の強さは負けていた」とも言及したように、局面で劣勢になる以上はなかなか狙いとする攻撃を打ち出すまでには至らず、山学も長いボールを選択する機会が多くなれば、ボールが行き交う流れになるのも必然。やや落ち着きのない時間が続きます。前半終了間際には大森涼太(3年)のCKから、最後は粘ってルーズボールを拾った原田信雄(1年)がフィニッシュまで持ち込むも、松本がファインセーブ。最初の40分間はスコアレスで推移しました。
後半は44分に左SBを務める渡辺龍ノ介(2年)が積極的なドリブル突破からミドルを放ち、46分にも石丸のFKに飛び込んだ鎌形周(3年)のヘディングがわずかに枠の左へ逸れるなど、船橋北に勢い。ところがレフェリーの判定がゲームを動かします。52分、ドリブルで突っ掛けた柳沢が船橋北DFとエリア内でもつれて転倒。微妙なプレーでしたが、主審は迷わずPKを指示。これをキャプテンの齋藤裕貴(3年)がど真ん中へ豪快に蹴り込み、山学がリードを奪いました。
以降は重圧から解き放たれたかのように、山学の攻撃が活性化。57分、大森のパスを受けた柳沢が右サイドから絶妙のクロスを送るも、名嘉真のシュートは至近距離にも拘らず、松本がファインセーブ。61分、伊藤が単独で抜け出し、1対1から放ったシュートも松本がファインセーブ。64分、中央をフリーでぶち抜いた名嘉真のシュートはゴール左へ。追加点は奪えません。
こうなると、1点差で勝っているチームがラッシュを食らうのはサッカーの常。船橋北が72分、74分と連続してCKから相手ゴールへ迫ると、75分には最大の同点機到来。途中出場で推進力を生み出していた代田稜一(3年)のロングスローから、桑田が完全にフリーでGKとの1対1。ところが、シュートはわずかにポストの外側を通過。その後、これ以上の決定的なシーンは訪れず、山学が2回戦へ駒を進める結果となりました。
「チャンスはあったんですけど」と柳澤監督が話した通り、船橋北にも勝つチャンスはあったと思いますが、決定機の形と数はやはり山学の方に分があったと思います。「土の校庭で練習している普通の公立校」が挑んだ初の関東大会は「本当にいい経験になった」と柳澤監督。千葉の高円宮杯プレミアとプリンス組は流通経済大柏、市立船橋、八千代と強豪揃いですが、そこに船橋北が割って入れるかどうか。また1つ今後の楽しみができました。 AD土屋
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高円宮杯プリンス関東1部第6節 大宮ユース×前橋育英@NACK5
ここまで1勝1分け1敗。「ウチを考えたら、そのくらいがちょうどいい結果」と横山雄次監督は笑う大宮アルディージャユースですが、前節は優勝候補筆頭との呼び声も高かった横浜F・マリノスユースを、敗れたものの内容では圧倒。サイド攻撃を明確なコンセプトに掲げる注目のチームです。一方、2勝1敗の前橋育英は昨年度のレギュラーに3年生が多く、ほとんど再構築と言っていいチーム編成。ただ、個の能力で言ったら高体連の中でも全国トップレベル。今年も選手権の頃には仕上がったチームを見られるはずです。
ゲームは開始35秒、育英が横山翔平(3年・図南SC群馬)の落としから高森翔太(3年・クマガヤSC)が枠の右へ外れるミドルでファーストシュートを放ちますが、実質育英にとってはそれが前半唯一のシュート。「前からどんどん行こうという意識があった」(大宮・小山大貴・3年・FC深谷)という大宮が圧倒的攻勢に打って出ます。8分、右サイドでボールを持った平野篤志(3年・大宮アルディージャJY)が寄せるディフェンス2人の門を通すと、飛び込んできたのはSBの飯高颯生(3年・大宮アルディージャJY)。シュートはクロスバーに弾かれたものの、ダイナミックなオーバーラップにどよめくスタンド。10分、左サイドで小山を回って受けたSB菊池翔(2年・大宮アルディージャJY)のクロスは、中に入った吉田圭吾(3年・大宮アルディージャJY)の目前で育英CB唐木澤真也(3年・ザスパ草津U-15)が辛うじてクリア。18分、右サイドで後方から入ったボールを平野がダイレクトで素晴らしいサイドチェンジ。菊池のクロスを小山が叩いたヘッドはゴール右へ逸れましたが、この3つのシーンはいずれもSBが絡んだサイド攻撃から。「サイドから攻めるというコンセプト」(大宮・大山啓輔・1年・大宮アルディージャJY)を今日もしっかり体現します。
一方の育英は、時折中盤で奪ったボールを速く前へと運ぶ意識は窺えますが、なかなかフィニッシュまでは繋がらず。押し込まれる時間が続きます。すると、ようやく大宮の攻撃が結果を出したのは33分。CB工藤将太朗(3年・大宮アルディージャJY)からの縦パスを、大山はスムーズに右へ。飯高はファーストタッチで縦に持ち出しクロス。流れたボールを拾った小山は、ワンテンポ置いて高精度シュートをゴール右スミへ送り届けます。やはりこのシーンもサイドから。狙いがハマった格好で、大宮が先制ゴールを挙げました。38分にも面白いシーン。小沢佑太(1年・大宮アルディージャJY)に当てて、リターンを受けた大山はダイレクトで中央を射抜くスルーパス。吉田は反応できず、チャンスには結び付きませんでしたが、かなりセンス溢れるプレーでした。本人に聞いてみると「サイドからというチームコンセプトの中では出てきにくいプレー。縦に入れてサポートというのは好きなプレーです」とのこと。こういう変化を意識して付けられる辺りが、1年生で10番を背負っている理由でしょう。そのまま大宮が1点をリードして、45分間が経過しました。
さて、ハーフタイムを挟むと流れは一転。育英が攻勢に。52分、白石智之(3年・前橋FC)が縦に付け、松井聖也(3年・前橋FC)は反転からチーム51分ぶりのシュートを放つと、57分にもチャンス。高森から右サイドでパスをもらった横山はカットイン。大宮のブロックも堅く、シュートを打てないまま外に追い出され、最後は後ろに戻さざるを得ず、白石のミドルはバーを越えてしまいましたが、形としては決定機一歩手前といった所。流れを引き寄せます。すると62分に生まれたのは同点弾。松井が右サイドへ下げたボールを、山本裕天(3年・ヴェルディJY)がアーリークロス。これを二アで松井が捉えたヘッドは、ワンバウンドしてゴール左スミを捕獲。これには大宮の大山も「自分も含めたウチの対応ももっとできたけど、ヘディングが上手かった」と言及。リズムそのままに育英が追い付きました。この前後半で勢いが入れ替わったことについて、「セカンドを拾われた」とは小山。「足が止まり始めた」とは大山。「相手はカウンターの精度が時間の経過と共にどんどん上がってくる感じ」とは横山監督。表現は三者三様ですが、やはり暑さの堪えるコンディション下で、大宮は運動量が落ち、育英は落ちなかったというのは、確実にあったと思います。
ただ、スコアが振り出しに戻ってからはお互いがチャンスを創り合う展開に。64分は育英。縦パスをうまく収めた横山はターンから素早くスルーパス。抜け出した外山凌(2年・ヴェルディJY)のシュートは枠の左へ。66分は大宮。青木捷(3年・幸手西中)のスルーパスをふくらんで呼び込んだ小沢のシュートはDFがブロック。72分は大宮。平野とのコンビネーションで右サイドを破った飯高がマイナスの折り返し。中山雄希(2年・FC KASUKABE)は懐の深いキープから左足で枠を捉えるも、育英GK川原雅之(3年・前橋FC)が足でファインセーブ。74分は育英。1本のフィードに飛び出した、投入されたばかりの齋藤祐志(3年・前橋FC)が左クロス。白石が試みたオーバーヘッドはわずかにヒットせず。お互いに負けたくない気持ちが交錯します。
81分、横山監督の決断。キーマンの1人である飯高に替えて、「1対1の強さなど、“個人”に期待して」小泉郁弥(3年・クマガヤSC)を右SBへ送り込みます。ドロー濃厚の気配が漂う90分。幕切れは突然に。右サイドで下げるパスを受けた小泉は「びっくりするくらいのクロス」と横山監督も苦笑した最高のボールを中へ。二アに飛び込んだのは「いつかチャンスが来ると思ってた」という小山。高い打点のヘディングがゴールを捉え、広がるオレンジの歓喜。「勝たなきゃいけない試合」(小山)というチーム全体の想いを、最後の最後で結実させた大宮が“ホーム”で劇的な勝利を収める結果となりました。
育英はほとんど攻撃できなかった前半に引き換え、「鍛えられてるし、全然諦めない」と敵将も舌を巻くような、後半のラッシュは圧巻。やはりただでは終わらない好チームでした。特に白石、横山、松井、外山は揃ってFWも攻撃的な中盤もこなすタイプで、ここの流動性は大きな武器だと思います。今年も各大会でタイガー軍団の強さを見せてくれることでしょう。
「先週負けたのが本当に悔しかった」と横山監督が話したように、内容では圧倒しながら勝利が付いてこなかった前節を経て迎えたゲームだけに、大宮の今日に懸ける気持ちはかなり強かった様子。「最終的に誰が点を取るのかが課題」(横山監督)という中で、小山が2ゴールを挙げたのも収穫。今後に繋がる勝ち点3獲得となったようです。 AD土屋
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高円宮杯プリンス北信越1部第7節 新潟ユース×星稜@スワンフィールド
第6節が終了した時点で無敗を続けているのは、わずかに2チームとなった北信越プリンス1部。今日行われる折り返しの第7節で、その両者が対峙します。開幕戦で丸岡に10対1という衝撃的なスコアを記録するなど、ここまで5勝1分け、29得点6失点と他を圧倒して首位に立つのはアルビレックス新潟ユース。早川史哉(3年・アルビレックス新潟JY)、川口尚紀(2年・長岡ビルボードFC)、井上丈(2年・アルビレックス新潟JY)と主力3人をU-17日本代表で欠くゲームもある中、丸岡戦で驚異のダブルハットトリックという鮮烈なユースデビューを果たした渡邉新太(1年・FC五十嵐)や石附航(1年・アルビレックス新潟JY)など、1年生の台頭もあって、来年度の高円宮杯プレミア昇格を明確に見据えます。一方、4勝2分けの17得点10失点で2位を追走するのは高体連の雄・星稜。ここまで6ゴールと決定力のある中島秀隆(3年)を軸に、4勝中3試合が1点差と接戦を確実にモノにして、好位置をキープしています。会場もビッグスワンに隣接したスワンフィールド。新潟にとってはトップチームの前座的な位置付けのために、少なくない観衆が詰め掛け、非常にいい雰囲気でキックオフを迎えました。
「お互いにやりにくかったですね」と新潟の片渕浩一郎監督も苦笑するような凄まじい強風が吹く中、ゲームは早い段階で動きます。動かしたのは星稜。左サイドをキッチリと崩すとSBの尾上朋大(3年)が上げたクロスを、2列目から飛び出した辻拓郎(3年・名古屋グランパスU15)が頭で捉えたボールは、ゴールに転がり込み、開始7分でリードを奪ってみせました。続けて8分にも星稜にチャンス。GK近藤大河(1年・名古屋グランパスU15)のフィードは風に乗って最前線へ。中島のボレーはなんとか新潟GK宇野智紀(2年・丸岡FC)がセーブしたものの、まずはコイントスで選択した風上を生かす格好で星稜がリズムを掴みます。
いきなり先制を許した新潟は、「ポストプレーヤータイプがいないこともあって」(片渕監督)早川、川口、齋藤恭志(3年・アルビレックス新潟JY)が流動的にポジションを変えながら、中央に構える井上とのユニットで攻撃を仕掛けるパターンが特徴。立ち上がりは少し噛み合わないシーンもありましたが、徐々に落ち着きを取り戻すと、強風の中でもポゼッションが高まり、ペースを奪還します。すると18分、右サイドに開いてボールを受けた齋藤が強引に上げたクロスをGKがファンブル。詰めた早川が難なく流し込み、あっさりスコアを振り出しに戻しました。
以降は縦にボールを蹴るだけになってしまった星稜を尻目に、新潟がゲームを掌握。34分、相手の横パスをカットした早川がドリブルシュートを枠内へ。GKが弾いた所を川口がゴールネットを揺らしたものの、ここはオフサイド。40分、早川の素早いリスタートから井上が繋ぎ、伊藤航希(2年・アルビレックス新潟JY)の右クロスを早川が収めて放ったシュートはGKキャッチ。41分、抜群の安定感を誇るCB西村竜馬(3年・M.A.C.SALTO)のフィードを受けた川口は、ゴリゴリとドリブルで突き進み、シュートは近藤に阻まれましたがフィニッシュシーンを創出。2点目こそ生まれなかったとはいえ、豊富な攻撃パターンを披露した新潟の一方的なペースで、ハーフタイムに入りました。
後半も流れは新潟。47分、井上のCKはゴール前混戦もDFが何とかクリア。48分、井上、齋藤と回して「攻撃だけなんですけど」と片渕監督が話した右SBの江崎千尋(2年・アビスパ福岡U-15)がクロス。こぼれ球を齋藤が狙ったボレーはDFがブロック。49分、早川が自らタックルで奪い取ったボールを、そのまま持ち込んだミドルは近藤がファインセーブ。攻勢が続きます。
星稜も53分には幸運な決定機。新潟DFの信じられないようなクリアミスをかっさらった辻がGKと1対1を迎えますが、ここは宇野がファインセーブ。千載一遇の好機を生かせません。再び新潟の猛攻。56分、右サイドから齋藤が斜めに入れたパスを井上はスルー。受けた早川は完璧な切り返しでマーカーを転がしながら、シュートはバーの上へ。64分、川口がうまい反転からスルーパスを送り、早川のシュートは星稜キャプテンのCB山田直樹(3年・FC小松)が体でブロック。65分、井上の右CKは早川がドンピシャヘッドも、ボールは左ポストを直撃。勝ち越すまでには至らず。
すると、逆に風下となったことが奏功してか、「ボールを動かしてきた」(片渕監督)星稜にもアンカーに入った植田裕史(2年・京都サンガU-15)を中心に少しずつ攻撃のリズムが生まれ始め、70分にはショートパスが3本繋がり、辻のラストパスから植田が放ったシュートは西村が体を張ってストップしたものの、ボール回しからチャンスを創り出します。それでも81分には新潟。早川、川口、井上とパスが回り、上がってきた江崎が放ったシュートはゴール左へ。83分にも新潟。井上がトラップで1人かわして、振り抜いた左足ミドルは大きくバーの上へ。
そして迎えた85分、「メンタル的にも少し前に行き過ぎて、守備のバランスが崩れた」(片渕監督)相手の隙を突いたのは星稜。右サイドから廣田和将(2年)が上げたクロスに、高い打点のヘディングで呼応したのはエースの中島。劣勢を強いられてきた中で、まさに値千金とも言うべき一撃。残り5分で再び星稜がアドバンテージを握りました。
新潟は渡邉を投入して、何とか同点に追い付こうと試みたものの、92分に江崎のクロスを川口が体勢を崩しながら執念で繋ぎ、早川が合わせた決定的なボレーもわずかに枠を逸れ、タイムアップ。「こういう負け方が一番悔しい」と片渕監督。新潟からすれば、押しているチームが負ける典型のような展開で、勝ち点1のみならず3まで逃す結果となってしまいました。
「ウチになかったのはツキ」という片渕監督の言葉が、ゲームを過不足なく表現していると思います。確かにゴールを奪えなかったことが負けに繋がったのは否めないものの、それでも早川、齋藤、井上たちが織り成す、実に多くのチャンスを創出し続けた多彩な攻撃スタイルは、見る者を大いに楽しませてくれました。なかなか直接取材する機会がないのは残念ですが、次にゲームを見るのが楽しみになるようなチームでした。
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高円宮杯プリンス関東1部第5節 横浜FMユース×大宮ユース@MM21
今年も最激戦区と言っていいであろう、関東プリンス。今日はおそらく各会場の中で一番近未来っぽい、みなとみらい21トレーニングセンターにやってきました。昨年末のJユースカップではFC東京U-18を延長の末に振り切り、日本一に輝いたものの、関東プリンス1部では勝ち点差1に泣いて、高円宮杯プレミアリーグへの出場権を逃した横浜F・マリノスユース。それでも熊谷アンドリュー(3年・横浜F・マリノスJY追浜)、喜田拓也(2年・横浜F・マリノスJY)、早坂翔(1年・横浜F・マリノスJY)、武颯(1年・横浜F・マリノスJY)など年代別代表選手も抱えるなど、今年もクラブユース界を牽引する存在であるのは間違いありません。
一方、初参戦となった関東プリンス2部をいきなり7勝4分けと無敗で優勝。1部昇格を果たした大宮アルディージャユース。近年は渡部大輔、昨年の宮崎泰右とトッブチームへの昇格選手を輩出。さらに大宮ジュニア1期生で1年生の大山啓輔もU-16日本代表で高い評価を得るなど、「着実にクラブとしての体制も整ってきている」と横山雄次監督も話す、注目のチームです。
さて、そんな両者の激突は立ち上がりから“アウェイ”の大宮が主導権を奪取。いきなり2分には右サイドを完全に崩してSBの飯高颯生(3年・大宮アルディージャJY)のクロスも、ニアの小沢佑太(1年・大宮アルディージャJY)にピタリ。ただ、シュートだけが枠を捉えられず、飯高も思わず「アレは決めて欲しかったですね」と洩らす絶好機を生かせません。大宮で目立ったのは球際の強度。特に中盤での競り合いに対するボールアプローチに躊躇がなく、逆に少し球際が軽かった横浜からセカンドを含めて、ボールを回収していきます。また、2トップの一角に入った吉田圭吾(3年・大宮アルディージャJY)を先鋒にした、前からのハイプレスも強烈。14分には横浜の最終ラインがもたついた所に、吉田が猛ダッシュ。正当かつパワフルなタックルを受けたGKの鹿野洋司(1年・横浜F・マリノスJY)は立ち上がれず、交替を余儀なくされてしまいました。
ただ、それ以上に目を奪われたのは果敢なサイドアタック。「そういう特徴を持った選手がいるので、強みにしたいなと思ってる」と横山監督も話したように、右はSBの飯高とSHの平野篤志(3年・大宮アルディージャJY)が、左もSBの菊池翔(2年・大宮アルディージャJY)とSHの小山大貴(3年・FC深谷)がユニットとして抜群に機能。22分には工藤将太朗(3年・大宮アルディージャJY)の縦パスを受けた小山が、左へスルーパス。走り込んだ菊池のクロスはDFに引っ掛かりましたが2人でチャンスを創出すると、27分は右が躍動。飯高のショートパスを、平野がダイレクトで裏へ落とすと、飛び出した飯高はフリー。クロスは精度を欠き、フィニッシュには結び付かなかったものの、連続して両サイドを完全に崩します。
一方の横浜はここ数年の持ち味だった、前線の絶妙な流動性が影を潜め、前にうまくボールが入らないため、長いボールが増えてしまいます。また、全体的にプレーの判断が遅く、大宮のプレスをモロに受ける格好に。頼みの熊谷もチームパフォーマンスへ引きずられるようにミスが多く、チェンジペースを図れません。
36分には大宮に決定機。菊池のショートコーナーを平野が中へ入れると、吉田のヘディングはGKの正面を突く不運。38分にも大宮に決定機。小山、吉田、青木捷(3年・幸手西中)、平野と繋いで、飯高はクロスではなく、「練習している形ではある」というグラウンダーのパスを選択。小沢がトラップで持ち出し、枠へ飛ばしたシュートはGK鈴木椋大(3年・名古屋グランパス三好)が足でファインセーブ。45+1分にも大宮に決定機。平野が右サイドから切れ込んで打ったシュートは、辛うじて鈴木椋大が触ると、クロスバー直撃。こぼれを狙った青木のボレーはヒットせず。スコアレスながら、大宮が「前半はずっと押していた」(飯高)展開で、45分が終了しました。
ハーフタイムを挟むと、両指揮官が決断。横浜の松橋力蔵監督は宇佐見康介(2年・横浜F・マリノスJY)と汰木康也(1年・横浜F・マリノスJY)をスイッチ。横山監督は、「10番を背負うだけの選手」という大山をボランチへ送り込みます。後半もペースは大宮。49分、菊池が小山とのワンツーから鋭いターンで抜け出し、狙ったシュートはわずかにゴール右へ。51分、小山の横パスを大山はスルー。青木のミドルは枠の右へ外れますが、左サイドを基点に続けてチャンスを生み出します。横浜にようやく決定的なシーンが訪れたのは54分。木村魁人(3年・横浜F・マリノスJY追浜)とのパス交換から、鈴木雄斗(3年・横浜F・マリノスJY)が巧みにフィニッシュ。大宮GK河野隼人(2年・大宮アルディージャJY)が足で弾き出しましたが、昨年の全国制覇メンバーが個の強さを発揮しました。
再び大宮のラッシュ。57分、「アイツは1人で行けるんで」とパートナーの飯高も話す平野が持ち場とは逆の左サイドからドリブルシュートを放つも、鈴木椋大がセーブ。61分、平野のCKにGKのパンチングは小さく、青木のシュートはゴールを捉えるも、DFが何とかクリア。押し込み続けます。62分に横浜はダブルチェンジ。後半はほとんど守備に追われ続けた右サイドをそっくり入れ替え、SBにはFW登録の鈴木浩一郎(1年・横浜F・マリノスJY)、SHに高野遼(2年・横浜F・マリノスJY)を投入。さらに、70分には前線に武も送り込み、1年生2トップで劣勢打開に打って出ました。すると79分、熊谷が左サイドからクロス気味の速いボールを中に送ると、汰木を経由したボールは武の足元へ。シュートは大宮CB高野晃大(2年・大宮アルディージャJY)が捨て身のブロックで阻止しましたが、松橋監督の期待へ応えるかのように、1年生2人が決定機に絡んでみせます。
それでもまだゲームのリズム自体は大宮。ゴールが生まれそうな雰囲気も大宮サイドだったと思います。ところが試合を決めたのは、“個”の輝き。84分、このゲームで初めて前へ駆け上がってきたCBの宮本和輝(3年・横浜F・マリノスJY追浜)が、熊谷のヒールを受けるとエリア内の鈴木雄斗へ。右へ持ち出して角度を付けた位置から、右足に振り抜かれたボールはゴール左スミを捕獲。意地の一撃。苦しみ続けた横浜に先制ゴールは記録されました。
まさかのリードを許した大宮も、87分には平野のクロスがDFに当たり、ゴール方向へ。GKも見送ったボールは、しかしクロスバー。跳ね返りに反応した林崎洸(1年・大宮アルディージャJY)のヘディングも鈴木椋大が掻き出し、同点ならず。「1点入って勝ってれば、いいプレーもあったと褒められるような内容だったんですけど…」と横山監督も悔しそうな表情。大宮にしてみれば、まさに“試合に勝って勝負に負けた”結果で、横浜がリーグ初勝利を収めました。
横浜は伊東海征(2年・横浜F・マリノスJY追浜)と相場遥介(2年・横浜F・マリノスJY)をケガで、喜田を代表で欠いていたとはいえ、正直物足りない内容だったことは否めません。特に気になったのは、イージーミスに対して味方同士で文句を言い合うシーンが見られたこと。チームのまとまりという点でも、まだまだこれからといった印象です。
大宮は敗れたとはいえ、ほとんど狙い通りのゲームだったはず。「前半のいい流れの時にゴールを決めて欲しかった」という飯高の言葉に、ゲームの敗因は集約されていました。それでもサイドを徹底的に生かしたスタイルは魅力十分。「ちょっと出来過ぎでしたけどね」と横山監督は謙遜しましたが、十分今後に繋がる敗戦だったのではないでしょうか。
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高円宮杯プレミアリーグイースト第4節 東京Vユース×FC東京U-18@アミノバイタル
トップチームと同じ日に実現した、東京VユースとFC東京U-18による、ユース版東京ダービー。舞台も今年から新設された高円宮杯プレミアリーグ。格好のシチュエーションが整いました。会場が味の素スタジアムではなかったのが少し残念ではありましたが、それでも隣接するアミノバイタルフィールドでのゲーム。双方のサポーターも多数集まり、「モチベーションは高かったですよ」(東京V・楠瀬直木監督)「前座的にやれたのは素晴らしいことだね」(FC東京・倉又寿雄監督)と両指揮官。トップチームと同じチャントが響き渡る中、東京頂上対決であり、関東頂上対決であるビッグマッチは幕を開けました。
杉本竜士(3年・ヴェルディJY)が出場停止でトップのベンチ入り、楠美圭史(2年・ヴェルディJY)、中島翔哉(2年・ヴェルディJY)、高木大輔(1年・ヴェルディJY)がU-17日本代表のスロヴァキア遠征、端山豪(3年・ヴェルディJY)と南秀仁(3年・ヴェルディSS相模原)が負傷と、6人の主力クラスを欠いてのゲームとなった東京V。その影響もあってか、「相手のプレッシャーが速くて、どんどん蹴ってしまった」(楠瀬監督)ために、立ち上がりからなかなかボールが落ち着きません。この東京Vを見て「あそこまで蹴ってくるとはね」と倉又監督。ただ、こちらも現在は2種登録でのトップ帯同中ながら、今日はユースでの出場予定だった橋本拳人(3年・FC東京U-15深川)を負傷で、昨年からのレギュラーである村松知稀(3年・FC東京U-15深川)を出場停止で、ボランチの野沢英之(2年・FC東京U-15深川)をU-17日本代表で欠くFC東京もこれに付き合う形となり、ボールが両陣内を行き交う展開になってしまいます。そんな中、ミスが出たのは東京V。10分、ボランチに入った山口陽一朗(1年・ヴェルディJY)が後方に下げたFKは味方と呼吸が合わず、かっさらった岩田拓也(2年・FC東京U-15むさし)が独走。ところがシュートは枠の左に外れ、ため息と歓声がスタンドに交錯しました。次のチャンスもFC東京。14分、右サイドでSHの福森健太(2年・FC東京U-15深川)を追い越した、SBの吉田一彦(2年・FC東京U-15むさし)が中へ。ここにフリーで冷岡幸輝(3年・つくばFC)が飛び込むと、これもフィニッシュは枠の左へ。2度の決定機を生かせません。
一方、東京Vは「全体的にFWの裏ばっかりになって回せなかった」と山口陽一朗も話したように、相変わらず単発のロングボールを多用。20分にはそのフィードから相手のミスを誘い、菅嶋弘希(1年・ヴェルディJY)が仕掛けたドリブルは、FC東京のCB下川陽平(3年・FC東京U-15むさし)がストップ。25分にも長いボールから、頭で高橋愛斗(3年・ヴェルディJY)が競り勝ち、安西幸輝(1年・ヴェルディJY)のランニングボレーはバーの上へ。こちらも2回のチャンスは得ましたが、攻撃の明確な形は打ち出せません。
すると25分は再びFC東京。後方からのフィードに抜け出した左SHの岩木慎也(3年・FC東京U-15むさし)がドリブルから放ったシュートはゴール右へ。さらに30分、再び左サイドを持ち上がった岩木は、カットインからそのまま右足を振り抜くとボールは枠の右へ。「2トップがなかなか収められなかった」(倉又監督)中で、独力突破できる岩木はFC東京にとってやはり大きな武器。ゴールには至らなかったものの、チームに縦への推進力を与えます。38分には東京Vに前半最大のチャンス。エリア内で体の強さを発揮した高橋が、強引な態勢から繰り出したシュートは左ポストに激しくクラッシュ。スタンドもざわめくパワフルなシーンもゴールは生まれず、前半はスコアレスで終了しました。
迎えた後半は、開始から両指揮官が動きます。倉又監督は2トップの一角を務める斎藤凉汰(2年・FC東京U-15深川)に替えて、「スピード勝負では絶対勝っちゃう」という1年生の岸寛太(FC東京U-15深川)を投入。楠瀬監督は前半のパフォーマンスを脅威に感じた岩木対策として、右SBへ田中貴大(3年・ヴェルディJY)を送り込みます。加えて楠瀬監督は「ちょっと繋げって命令した」のと同時に、「相手のボランチの所がスッと空くので、ウチのボランチの舘野(俊祐・3年・SQUARE富山FC)をもう少し前に出した」とのこと。そしてこの指示が、東京Vに“繋ぐ”リズムを甦らせることになります。
本来は左SBを務めているものの、端山と楠美の欠場を受けてボランチに入った舘野は、慣れないポジションということもあって、特に攻撃面での役割がハッキリしていなかったような印象が前半はありましたが、後半は監督の指示が奏功してか、「今年はラインが少し間延びする傾向がある」と楠瀬監督も指摘した、FC東京のライン間でボールをうまく引き出します。すると、彼を中心に高まる東京Vのポゼッション。49分、CB吉野恭平(2年・A.C AZZURRI)のフィードを、安西、菅嶋と繋いで、舘野のミドルはバーの上へ。64分、やはり中盤のルーズボールを高い位置で回収した舘野のミドルは、FC東京のGK谷俊勲(3年・FC東京U-15むさし)がセーブ。流れの中からフィニッシュを取るシーンも増加。同じく64分には山口陽一朗のCKから、前田直輝(2年・ヴェルディJY)のミドルはわずかにゴール左へ。「回せるようになれば相手が疲れてくるので、後半はいつも自分たちのペースになる」という山口陽一朗の言葉を証明するように、流れは緑に傾きます。
もちろん「ボランチの所が空いてきたのはわかってた」倉又監督が策を施したのは69分。福森に替えて、徳田康朗(2年・FC東京U-15むさし)を山口泰志(3年・FC東京U-15深川)と中盤の底へ配し、1トップに入る岸の下へ、岩田、冷岡、岩木を並べる4-2-3-1にシフト。「中盤を厚くして」(倉又監督)バイタルを引き締めにかかります。しかし、そこからわずか4分後に均衡を破ったのは、やはりこの男。73分、右サイドに流れた高橋からのボールを受けた舘野は、バイタルに侵入すると左足一閃。ボールはゴール左スミへ強烈に飛び込みます。「選手がいないからできると言えばできる」(楠瀬監督)布陣で臨んだゲームの中で、ストロングである“繋ぐ”スタイルを取り戻した東京Vがリードを奪いました。
さて、ビハインドを負ったFC東京は76分に3枚目のカードとして、湯浅寿紀(3年・FC東京U-15むさし)を冷岡とスイッチ。再び4-4-2に戻して、ゴールを狙います。80分には東京Vが左サイドを吉野と長田海人(3年・ヴェルディJY)で崩し、前田のシュートは谷がファインセーブ。そして85分、FC東京にビッグチャンス。湯浅からパスを受けた徳田は、相手DFラインの裏へ絶妙のロブ。走り込んだ岸はスピードにも乗っていましたが、トラップで前へ持ち出すことができず、DFに潰され万事休す。ユース版東京ダービーは緑に凱歌。東京Vが2月の東京都クラブユース決勝で敗れた借りを、キッチリ返す結果となりました。
ゲームのポイントは、「ああいう所で1本でも決めてくれてれば」と倉又監督が振り返り、「ウチが凌いだというより外してくれた。今日はあそこですよ」と楠瀬監督も言及したように、前半にFC東京が外した2回の決定的な得点機でしょう。特に10分のシーンは、東京Vからすれば1年生のミスから迎えたピンチでしたし、あれで失点していればユースでの実戦経験が少ないメンバー構成だっただけに、ズルズルと崩壊してしまう可能性もあったと思います。それでも結果はそのメンバーたちが、監督のヒントによってゲームの中で修正を図り、ペースを奪取し、勝利まで掴み取った訳です。そういう意味でも、色々なサッカーのエッセンスが散りばめられた、非常に勉強になるゲームでした。
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高円宮杯プレミアリーグイースト第2節 FC東京U-18×浦和ユース@深川
先週から開幕した高円宮杯U-18サッカーリーグ2011プレミアリーグ。今日はイーストの第2節を見に、深川へやってきました。対戦カードは、第1節の青森山田戦が延期となり、実質これが開幕戦となるFC東京U-18と、先週のゲームで清水ユースを4-0と一蹴した浦和ユースの激突。お互いに頂点が明確な目標となる、強豪同士の好カードです。ただ、東京は昨年からのレギュラーだった橋本拳人(3年・FC東京U-15深川)が今日はU-18日本代表のダラスカップで不在ながら、基本的にはトップ帯同。さらにCBの石原良将(3年・FCK MARRY GOLD KUMAMOTO)がインフルエンザで欠場となり、ボランチの野沢英之(2年・FC東京U-15深川)も代表のメキシコ遠征帰りということでベンチスタートとなりました。
軽く汗ばむような陽気の中でキックオフされたゲームは、お互いボールが前に前に進むようなハイスピードな展開に。そんな中、まず個の強さを見せたのは両チームの背番号7。東京の左SHに入った岩木慎也(3年・FC東京U-15むさし)は、「ウチの武器の1つ」と倉又寿雄監督も話したように、持ち前の高いテクニックでサイドの主導権を奪取。15分には左サイドで軽やかなフェイントを披露し、2人を振り切るとシュートはDFにブロックされたものの、11時キックオフにも拘らず、多数詰め掛けたサポーターを沸かせると、20分にも積極的なミドルでゴールを脅かします。一方の浦和では、キックオフ当初4-1-4-1の中盤に当たる4枚の右に入っていた鈴木悠太(3年・浦和レッズJY)がキレのあるドリブルを連発。15分前後から左の堀田稜(3年・浦和レッズJV)と左右を入れ替え、レフティの堀田が右から左ワイドに開く鈴木へ正確なサイドチェンジを送る形も数回繰り出し、26分にはその形からチャンス到来。わずかに鈴木は届かなかったものの、攻撃に横幅の広さが出てきます。
全体を見ると、「グラウンドが良かったらもっと回されてたかもしれない」と倉又監督も認めた通り、ポゼッションでは浦和が優勢。さらに、両者の差として現れたのはFWのキープ力も含めたポストワーク。東京の2トップを務めた斎藤凉汰(2年・FC東京U-15深川)と岩田拓也(2年・FC東京U-15むさし)は、チーム自体が中盤で劣勢を強いられ、長いボールが多くなったという面は考慮の余地がありますが、流れの中へ埋没してしまいます。対する浦和の1トップ高田拓弥(3年・幸手西中)は、長いドリブルで距離を稼いだり、シンプルな捌きでターゲットになったりと、流れの中で十分に機能。この差がそのまま攻撃の回数に直結していたような印象を受けました。すると37分、高い技術で浦和のスイッチになっていた矢島慎也(3年・浦和レッズJY)が右からクロスを入れると、受けた高田を背後から東京のCB小林聖弥(3年・FC東京U-15むさし)が倒してしまい、主審はPKを指示します。キッカーの高田は確実に左スミへ。流れの良かった浦和が先制ゴールを奪って、前半は終了しました。
ハーフタイムで動いた倉又監督。斎藤に替えて、野沢をボランチへ送り込み、冷岡幸輝(3年・つくばFC)を最前線にシフトします。ビハインドを追っていた東京でしたが、「PKはあの前にレフェリーへちょっと文句を言ったので、その印象もあったと思うし、決定的なシーンは創られていなかった」と冷静に捉えていたのは小林。そして東京は、わずか10分で形勢を逆転してみせます。50分、岩木の直接FKはカベに当たりますが、こぼれを素早く山口泰志(3年・FC東京U-15深川)が拾って左へ。受けた岩木は対峙した相手DFをあっさりいなして中へ折り返すと、野沢のインサイドシュートがゴール右スミへゆっくり到達。ドリブルに浦和の4人がプレスを掛けるシーンも見られるなど、前半からキレキレだった岩木がやはり一仕事。同点に追い付きます。さらにその4分後、左サイドでボールを受けた岩木が素早くはたいたボールを、岩田は絶妙のリターン。抜け出した7番は思い切り良く左足を振り抜くと、ボールは右スミへ一直線。岩木、野沢、岩田と昨年から出場機会を得ていた選手たちの躍動。あっと言う間にアドバンテージとビハインドは引っ繰り返ってしまいました。
浦和もすぐさま反攻。60分、鈴木が左サイドを抜け出して中へ送ると、高田のシュートはヒットしませんでしたが、こぼれは繁田秀斗(2年・浦和レッズJY)の目の前へ。しかし、ここは東京GK谷俊勲(3年・FC東京U-15むさし)が体でブロックします。直後も再び浦和に決定機。右サイドを抜け出したのはまたも繁田。放ったシュートはまたも谷がファインセーブ。追い付けません。こうなると「後半は絶対相手が落ちてくると思った」とお馴染みの倉又コメントが飛び出したように、とりわけ中盤で躍動していた浦和の4枚から推進力が失われてしまいます。逆に東京は「コンビで崩すことを考えさせた」(倉又監督)右サイドも活性化。65分には右SBの吉田一彦(2年・FC東京U-15むさし)が中へ切れ込んで、司令塔ばりのスルーパス。冷岡のシュートは枠を外れましたが、惜しいシーンを創出します。
1点を追い掛ける浦和は75分から6分間で岸伯富実(2年・GRANDE FC)、小峯洋介(2年・浦和レッズJY)、西袋裕太(2年・浦和レッズJY)を投入。矢島を最前線に移し、その下に小峯、繁田、西袋、岸を並べて勝負へ出ます。83分、千載一遇の同点機。矢島の右FKに、再三守備面で強さを見せていたCBの小出啓太(3年・浦和レッズJY)がドンピシャヘッド。しかし、ボールは谷の正面へ。86分にもシンプルなフィードから、繁田が右へ流れながらこの日自身3度目の決定的なシュートを放ちましたが、わずかに枠の左へ。どうしても1点を奪えません。すると88分、浦和にアクシデント。DFラインのミスから岩田が完全にフリーで抜け出すと、一瞬躊躇してから飛び出した浦和GK三上綾太(3年・所沢JY)がスライディングで岩田を引っ掛けてしまい、一発レッド。10人での戦いを余儀なくされます。これで数的優位となった東京は91分にダメ押しの3点目。ファウルによって治療を受けていた岩田は、ピッチインしたタイミングで浦和の縦パスをそのまま全速力でカット。「ラッキーでした」と岩田も認める中、右サイドからの折り返しを冷岡がフリーでプッシュ。前半は苦戦を強いられた岩田も、後半は見事な2アシストを挙げて本来の能力を発揮。「自分たちの中でも修正できるようになってきた。いいゲームだったと思う」と指揮官も評価した東京が、終わってみれば3-1と初戦を白星で飾りました。
浦和は個々の技術は相当高かったと思います。パスワークのスムーズさも十分。あとはそれをフィニッシュワークへ繋げる部分が向上すれば、相当強いチームになりそうです。東京は「違うメンバーでもチームとして戦えるようにやってきた」(小林) ことを証明するような逆転勝利。チームの結束を高める意味でも大きな一戦だったのではないでしょうか。昨年は2度も迫りながら、あと一歩で届かなかった唯一の目標へ向けて上々の滑り出し。今後どのように成熟していくのか、非常に楽しみですね。また今年度も高校年代の熱いシーズンが始まりました。
AD土屋
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関東高校大会東京都予選1回戦 関東第一×東京朝鮮@早実G
昨年度はインターハイベスト8、選手権ベスト4と飛躍の1年になった関東第一。当時からゲームに出ていたのはほとんどが1、2年生だったこともあって、今年はさらなる躍進が期待されます。一方、東京朝鮮の昨年度は関東大会予選で3位に入りながら、インターハイは1次予選、選手権も地区代表決定戦でまさかの敗退。チームとして今年に懸ける思いの強さは容易に想像できます。カード的にはそれこそベスト8、ベスト4で激突してもおかしくないような一戦は、やはりハイレベルな内容となりました。
ゲームが始まると、先にチャンスを掴んだのは東京朝鮮。3分、リ・トンジュン(3年・東京朝鮮第五中)の高精度CKを、ホン・ユングッ(2年・東京朝鮮中)が頭でジャストミート。関東第一GK澁谷飛翔(2年・ヴェルディSSレスチ)が何とか掻き出しますが、いきなり力強さを見せ付けます。続いて6分も東京朝鮮。FWカン・グァン(3年・東京朝鮮第四中)のパスから、最後は4-1-4-1の中盤4枚センターに入ったカン・キソン(3年・東京朝鮮中)が強烈なミドル。枠は外れたものの、昨年の選手権では2トップを組んでいたアタッカー同士がコンビネーションを発揮。まずは東京朝鮮が流れを引き寄せます。ところが10分、関東第一は沓掛元気(3年・ヴィヴァイオ船橋)がFKを蹴ると、こぼれ球に反応した福島翔太郎(3年・ヴェルディSSレスチ)のシュートがゴール右スミをキッチリ捕獲。劣勢だった関東第一が先にゴールを奪いました。以降も、伝統の強靭なフィジカルに高いテクニックもミックスされた東京朝鮮の攻勢が続く展開となりましたが、次のゴールも関東第一に。23分、1トップを任された大村俊道(2年・FC CONSORTE)が、1トップ下に入った竹本佳(2年・小倉南FC)とのワンツーから抜け出すと、飛び出したGKの脇を破る技アリのシュート。2本のシュートで2ゴールを挙げる効率の良さ。流れとは裏腹に点差が開きます。
関東第一は昨年、最終ラインから“繋ぎ倒す”ようなスタイルの、ある意味特異なサッカーを貫き通して迎えた選手権の準決勝で、帝京を前に1本のシュートも打てずに完敗。小野貴裕監督も「色々と考える所もありました」と話していましたが、それを受けてか選手個々の繋ぐ所と割り切って蹴る所の判断が精査された印象。特に東京朝鮮は前からのプレスが強くて速く、もたつくとすぐに寄せられるため、多少アバウトに蹴るくらいの方がリスク自体は回避できるので、結果的にそれも奏功したかもしれません。あとは、やはり守備の安定という部分も注目すべき部分。CBの塚越拓也(3年・ジェファFC)はフィジカルの強さで相手に対抗し、「上げられたボールはGK」と小野監督が言及したように、ハイボールは186センチのGK澁谷がノーミスでキャッチ。この2枚がいることで、ある程度劣勢の時間が続いても持ち堪えることができていたのは見逃せない要素でしょう。
それでも“やり切る”という意味で東京朝鮮の力強さはやはり魅力。26分には左サイドからハン・ヨンジュン(2年・東京朝鮮第一中)が強烈な枠内ミドル。33分にもカン・グァンが左サイドをドリブルでゴリゴリ切り裂いて、強烈なシュートを枠内へ。36分、今度は中央からカン・グァンがDFを引きずりながらまたも強烈な枠内ミドル。40分、ハン・ヨンジュンがこちらも寄せるDFをものともせずに強引なミドル。チームの中でもハン・ヨンジュンとカン・グァンのが持つフィジカルは驚異的なレベルで、ゴールこそ生まれず、リードも奪われたものの、東京朝鮮の攻撃力が目立った格好で40分は終了しました。
後半も基本構図は攻める東京朝鮮、守る関東第一で推移していく中、徐々に関東第一は相手のリズムに慣れていった部分が見え、フィニッシュまで持ち込まれる場面はほとんどなくなります。体のぶつけ合いでは劣勢を強いられるのであまり目立たなかったかもしれませんが、ここぞという局面では関東第一の各選手も十分なフィジカルで対抗。また、ボールアプローチの速さで相手を上回ることが多かったのも、大きなピンチに繋がりそうな芽を未然に潰せた要因だったように感じました。
お互いにほとんどシュートのないまま経過していく時間。その状況で小野監督は68分、3枚目のカードとして高いテクニックを誇る谷中隆太(3年・ナサロットFC)を送り込みます。すると谷中はいきなり69分、巧みなボールコントロールでタメを創ると、沓掛のスルーパスから辻夏希(3年・トリプレッタ)がフリーでエリア内へ。フィニッシュには結び付きませんでしたが、攻撃のギアを一段上げてみせます。すると73分、輝いたのはやはり谷中。カウンターから中央でボールを持った谷中は、寄せたDFの間をすり抜けると独走状態に。追い付いたDFともつれる格好で打ったシュートは、GKの頭上をフワリと越えると、ゆっくりゆっくりゴールへ吸い込まれる3点目。大勢は決しました。さらに、90分にも後方からのフィードを大村が落とし、竹本が流し込んでダメ押しゴールを奪った関東第一が、実質4本のシュートで4ゴールという結果で2回戦に駒を進めました。
正直、得点差ほどの実力差はなかったと思います。今日はこういうスコアになりましたが、開始3分のシュートが入っていれば、逆のスコアになっていた可能性も十分あったでしょう。1つ間違いないのは、おそらくこの2チームが今シーズンの東京高校サッカー界におけるメインキャストを担い得る2チームであること。関東第一、東京朝鮮も含めて東京の高校サッカーは継続して見て行きたいと思います。
AD土屋
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関東高校大会東京都予選1回戦 早稲田実業×都立豊島@早実G
東京の高校サッカー界にとっては、新人戦と同じ位置付けになる関東大会予選。地区予選を免除され、都大会から登場するチームはこれが新チームになって初の公式戦となります。今日訪れたのはすっかり桜も咲き誇り、いかにも春らしい空気を纏った国分寺は早稲田実業高校。新入生も会場設営に、本部の運営にと忙しそうな様子。いよいよ2011年度の本格的なスタートですね。第1試合にはホームの早稲田実業(以下、早実)が登場。第二地区を勝ち上がってきた都立豊島(以下、豊島)と対戦します。昨年度の選手権ではベスト8。T1リーグでも6位に入るなど、近年では都内のコンペティションでも上位進出の常連。今日のメンバーも昨年からのレギュラーが半分以上を占め、さらに「入学前から頭数に入っていた」(早実・森泉武信監督)という、FWの野田絋暉と左SBの曽我巧はそれぞれ東京ヴェルディJYと大宮アルディージャJY出身の新入生。なかなか面白そうなメンバーが揃いました。
ただ、そんな早実も立ち上がりは「堅かったですねえ」と森泉監督が話したように、なかなか攻撃のいい形を創れず、逆にセットプレーからピンチを招くなど、不安定な時間が続きます。そんな中、28分に鈴木崇文(2年)が左サイドから枠内へシュートを飛ばし、豊島GK小島正太郎(3年)が何とか弾き出すと、これを機に早実怒濤の猛攻が始まりますが、それは同時に小島が魅せるファインセーブショーの幕開けでもありました。29分、西村秀樹(2年)のCKから呉田敬介(3年)のヘディングは小島がセーブ。34分、西村のCKから野田のヘディングはクロスバー直撃。同じく34分、鈴木の左クロスにまたも呉田が合わせたヘディングは小島がセーブ。36分、西村のCKから大丸瞬(3年)のヘディングは枠の左へ。37分、鈴木の折り返しを野田が丁寧なインサイドでコースを突くも、小島がキャッチ。38分、ショートコーナーから曽我の右クロスに野田が合わせるも枠の左へ。早実が圧倒的にボールを保持して攻め続け、「キッカーがいいんで」と森泉監督も認めるセットプレーからもチャンスを創出し続けたにも拘らず、奪ったゴールはゼロ。いわゆるジャイアントキリングが起こる第一要素のようなスコアレスで、前半40分は終了しました。
迎えた後半も同様の展開。46分には平澤遼(3年)の素晴らしいフィードに、牟禮宏晃(3年)が抜け出して中へ送ると、呉田を経由した西村のフィニッシュはバーの上へ。49分、CBのキャプテン奥野裕真(3年)が右へ送ったボールは、またも牟禮、呉田と回り、またも西村がシュートを放ちますが、小島がセーブ。どうしてもゴールを奪えません。ホームに多数詰め掛けた保護者の方々からも、時折聞こえてくる不安な声。嫌な流れの中で、ようやくそれを断ち切ったのは、昨年の絶対的なエースだった上形洋介(現・早稲田大)から10番を引き継ぐ新エース。57分、西村がDFラインの裏へシンプルなフィードを送ると、抜け出したのは呉田。小島との1対1も確実に左スミへ沈めます。新チーム初の公式戦に加え、大当たりの小島という二重のプレッシャーを払拭するゴール。早実が何とか先制に成功しました。こうなるとよく集中力を持続していた豊島も決壊。62分、平澤のスルーパスを受けた野田が、冷静にデビュー戦ゴールとなる2点目を流し込み、点差を広げます。以降は豊島も再び小島が2度決定機を阻止するなど、相変わらずの当たりっぷりを披露しますが、攻撃面では対抗できず。苦しみながらも早実が2回戦へ駒を進める結果となりました。
早実のメンバー表を見ると、例えば奥野は川崎フロンターレ、平澤は浦和レッズ、大丸はFC東京、鈴木は東京ヴェルディ、GKの岸浪卓志(2年)は大宮アルディージャ、渡邉卓馬(2年)はジェフ千葉、さらに前述の新入生2人などJのジュニアユース出身者が他の高校と比べても目立ちますが、セレクションは行っておらず、全員が一般入試か推薦入試での入学とのこと。ただ、森泉監督も「基本は持ち前の“ガンバリズム”を生かしたスタイル」と前置きしながら、「ウチにしては例年より技術がある」と話しています。1、2年生のレギュラーも多く、チームとして成熟していけば東京を掻き回すような、面白い存在になりそうな印象を受けました。
AD土屋
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リーグアン第25節 リール×リヨン@スタジアム・リール・メトロポール
2月27日、フランス北部に居を構えるスタジアム・リール・メトロポール。
53/54シーズン以来の優勝に向けて首位を快走してきたリールが
3シーズンぶりにトップの地位へ返り咲くべく着々と順位を上げてきたリヨンを、
ホームで迎え撃つ首位攻防戦。
ここ1週間はTV、新聞、雑誌でもこの一戦に関する話題も多く、
フランス国内における注目度の高さが窺い知れます。
共にサスペンションもなく、現状のベストメンバーが揃っただけに激戦必至。
スタンドも「サポーターにも緩さがなかった」と中山さんが振り返ったように、
ある種異様な盛り上がりを見せる中で、大一番はその幕を開けました。
やや様子見のような序盤がゆっくり経過していく中、急な転調は開始8分。
いきなり好調ぶりを見せ付けるようなフルスロットルで飛び出した
ジェルヴィーニョが倒されて獲得したリールのFK。
左サイドからアザールの蹴ったボールは、
ニアでラミがフリックすると魅入られるかのように8番の下へ。
今シーズン幾度となく目にしてきたようにゴールエリア内へ現れた
ムサ・ソウが回転しながらプッシュ。広がるホームチームの咆哮。
エースのリーグ17ゴール目が早々に飛び出し、リールがアドバンテージを握りました。
ただ、ゲーム自体は20分過ぎくらいまで比較的クローズした展開。
ゴールの次に観衆が沸いたのは、革靴を履いたピッチレポーターが
自分に向かってきたボールをダイレクトで蹴り返した時くらいで、
静かに時間が経過していきます。
リヨンのファーストチャンスは20分。
右FWに入りながら、左サイドを抜け出したブリアンが
枠へ飛ばしたシュートはGKランドローがセーブ。
続けて21分、グルキュフが右サイドでうまくボールを持ち出し、
中へ送ったボールをゴミスがヒールで流すと、ここはマヴバが何とかカットしますが、
この一連から双方の動きが少しずつ活発に。
22分はリール。右からのボールをダイレクトで
キャバイエが叩いたシュートはロリスがファインセーブ。
24分はリヨン。グルキュフからパスを受けた
ゴミスのスルーパスはブリアンも一歩届かず。
25分は再びリール。ムサ・ソウ、ジェルヴィーニョと繋いで、
キャバイエのシュートはDFが体を張ってブロック。
交互にチャンスを創り合うような流れに、
リール・メトロポールのテンションも激しくアップダウンを繰り返します。
ところがそんなスタンドに沈黙が訪れたのは26分。
右サイドの深い位置でボールキープしていたブリアンの戻しを
レヴェイエールがクロス。シェジューがクリアしたボールは
練習場でも積極的なファンサービスが印象深かったシェルストレームへ。
得意の左足から放たれたミドルは、キッチリゴールを捕獲。
わずかに網で囲まれたアウェイゾーンの一角以外は声を失う衝撃。
1-1。前半の内にスコアは振り出しに戻りました。
追い付いたリヨンは27分にクリスの負傷交替でディアカテを投入するという
アクシデントがありましたが、「ボルドー時代のよかった頃に戻ってきているかな」と
中山さんも認めたグルキュフに積極的なボールタッチが増え、
32分にも自らが蹴ったCKのこぼれ球を際どいクロスに変えるなど、
可能性を感じさせるプレーを随所で披露します。
一方のリールは、やはりジェルヴィーニョにボールが入った時は
彼の縦へ運ぶスピードに引っ張られる形で、推進力が出てくるものの
注目のアザールは攻撃に絡めず、ムサ・ソウは完全に孤立。
なかなかこれといった形でリヨンゴールに迫るようなシーンは出てきません。
38分にはやはりジェルヴィーニョが鋭い切り返しから縦に持ち出し、
フィニッシュを迎えたものの、ボールはクロスバーの上へ。
全体的にはリヨンの攻守に渡る強さが目立つ格好で、45分間は終了しました。

なかなか電話が繋がらず、少し青海のスタッフをヒヤヒヤさせたであろう
中山さんの現地レポートを経て始まった後半。
47分にまたもジェルヴィーニョが大きく外れたとはいえ、
シュートで終わるシーンを迎えると、以降はホームのリールが前へ。
中盤アンカーに入ったマヴバはもちろんですが
その前に位置する「典型的な働き者タイプ」(中山さん)とも言うべき
バルモンの献身性は特筆すべきレベルで、
トゥラランとシェルストレームを上回るセカンド奪取によって、チームに勢いを与えます。
それでも後半に入ってもアザールにいつものキレがなく、
キャバイエは比較的よくボールに絡みましたが、
基本的には前半同様ジェルヴィーニョの突破が唯一に近い攻撃の手数。
逆に58分には一瞬の隙を突いて、グルキュフがゴミスへ浮き球でラストパス。
飛び出したランドローのクリアは小さく、DFが何とか掻き出して事無きを得ましたが、
タレントの力による一発の怖さを、リヨンが突き付けます。
68分にはリールにFKのチャンス。
ボールサイドに立ったのは、キャバイエと最終ラインで奮闘していたラミ。
結果、キッカーを務めたラミのシュートはカベに当たりましたが、
跳ね返りを再びラミが強引にミドルを放つと、
枠内に飛んだボールはロリスがファインセーブ。
バレンシア入りが既に決まっており、守備面でも安定感を発揮していたCBが
惜しいシーンを創出しましたが、勝ち越しゴールとはいきません。
70分、先に動いたのピュエル監督
前半の中盤以降はすっかりボールが収まらなくなっていた
1トップのゴミスを下げて、CLでの躍動が記憶に新しいデルガドを投入。
勝ち点3を手繰り寄せるべく、ブリアンを頂点に置いた布陣に変更します。
76分、そのリヨンに大きなチャンス。
キック精度にも冴えを見せるグルキュフのFKから
トゥラランがボレーで叩いたシュートは、ランドローがファインセーブで阻止。
80分のチャンスはまたもリヨン。ブリアンが中央を切り裂くドリブルからシュート.
ランドローが何とか弾き、詰めたグルキュフのシュートは
またもランドローが果敢に全身を投げ出すブロック。
ランドローの連続セーブに阻まれたとはいえ、
リヨンに勝ち越しゴールが生まれそうな可能性が高まっていく印象の中で、
81分にピュエルが選択した3枚目のカードはピー。
この時、交替でピッチを後にするミシェウ・バストスにスタジアム中から大きな拍手。
CLでのベンゼマもそうでしたが、以前所属していた選手の帰還に
大きな拍手で歓迎するのは、素晴らしい光景だと思いました。
ルディ・ガルシアもようやく83分に2枚替え。
流れの中でボールに絡めなくなっていたアザールとムサ・ソウを下げて、
ジョーカーのトゥーリオ・デ・メロとオブラニアクを同時投入。
この終盤で勝ち点1を3に変えるべく、思い切った采配を奮います。
86分にはリヨンに決定機。右サイドを駆け上がったレヴェイエールの折り返しに
ブリアンがダイレクトで合わせたシュートはクロスバーの上へ。
試合後の中山さんレポートに向けて、既に青海と電話を繋いでいた
90分にはリールに決定機。左サイドからオブラニアクがピンポイントクロス。
トゥーリオ・デ・メロのヘディングは、しかしロリスの正面。
途中出場の2人で創ったチャンスも決勝点を奪うまでには至らずタイムアップ。
両者にとっては最低限の結果となる勝ち点1を分け合う格好で、
今節最大のビッグマッチは幕を閉じました。
以下、中山さんの感想です。

見る人にとっては緊迫感のある、いいゲームだったと思う。
リヨンは勝ち点1でも全然OKという姿勢が、特に後半は窺えた。
それもピュエルの経験と、チームの懐の深さを感じさせる部分で、
まだ十分に余力があるのは間違いない。
リールは100%ベストを尽くし、いいパフォーマンスを見せたが
大きな痛手ではないにせよ、勝ち点3は取りたかった所。
リールの攻撃力は魅力的なので、
是非CL出場権を得て、フランスのイメージを変えて欲しい。
あとは攻撃だけじゃなく、守備陣もしっかりリヨンを抑えていたので
それも上位にいる理由だと改めて感じた。
☆L’EQUIPEの採点
(リール)
ランドロー7、デビュッシー5、ラミ7、シェジュー6、ベリア5
マヴバ5、バルモン6、キャバイエ6、
ジェルヴィーニョ6、ムサ・ソウ5、アザール5
(リヨン)
ロリス6、レヴェイエール5、クリス-、ロヴレン6、シソコ5、
トゥララン5、シェルストレーム6、ブリアン5、グルキュフ6、ミシェウ・バストス4、
ゴミス6
(ゲームの採点)
★★★★☆☆

AD土屋
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リーグアン第25節 レンヌ×ランス@スタッド・ドゥ・ラ・ルテ・ドゥ・ロリアン
首位のリールから5位のパリ・サンジェルマンまで勝ち点差はわずかに4。
大混戦の様相を呈している、フランスのリーグアン。
上位5チームの中で唯一土曜日にゲームがあるのは、
ガンバ大阪の監督も務めていたアントネッティ率いるレンヌ。
24試合で18失点という鉄壁の守備をベースに、ここへきて3連勝で2位まで浮上。
今日、19位に低迷するランスに勝利すれば暫定ではありますが
首位へ躍り出ることになります。
甲高い楽器が場内を煽り、少しずつスタンドも観衆で埋まっていくと、
ルテ・ドゥ・ロリアンにも情熱が充満し、キックオフを迎えました。

長いボールが目立った立ち上がり。
攻撃の形はお互いそれほど確立されていないような雰囲気を感じさせる中、
先にチャンスを掴んだのはアウェイチーム。
9分、クードリューが素早くリスタートしたボールは、左サイドでフリーになったルデへ。
中への折り返しは呼吸が合いませんが、
ランスが一瞬の隙を突く格好でレンヌゴールへ迫ってみせます。
ところが、何ともリーグアンらしい豪快なゴールが生まれ、
ルテ・ドゥ・ロリアンに一瞬で火を付けたのは23歳のトーゴ人。
14分、ブカリは左で完全にフリーとなった味方へ出したパスが、
引っ掛けられて自分の下へ戻ってくると全力で右足を強振。
すると、そのボールはゴール右スミへ糸を引きながら一直線。
25mはあった距離を一瞬でゼロにする強烈なミドルで
好調レンヌが先制ゴールを奪いました。
早くもリードを許す格好となった降格圏内に甘んじるランスは
19分にCBのクードリューが負傷交替を余儀なくされるなど
厳しい序盤となりますが、攻撃の回数自体は互角かむしろ多いくらい。
25分には左からベディモのピンポイントクロスに
アカレがフリーで合わせたヘディングは枠を捉えられず。
27分には前への推進力が目立っていたボランチのヴァランが
右サイドをワンツーで綺麗に崩してクロスまで持ち込むなど、
チャンスも確実に創出していきます。
それでも、やはりリーグ最小失点を誇るレンヌ守備陣は強固。
特に今やフランス代表でもレギュラーを掴みつつある、
中盤アンカーに入った20歳のエムヴィラと、
マンガネの離脱を受けてスタメンに抜擢された23歳のボイェに、
21歳のカナ・ビイクで組むCBコンビの3人は、中央でいわゆる鉄の壁を形成。
少しずつランスの勢いを削ぎ落としていくことに成功します。
こうなるとペースはホームチームへ傾き、
36分にはモンターニョのミドルがランスゴールを強襲。
前半終了間際にもダンゼのフィードをモンターニョが頭でうまくフリック。
テッテイのシュートは相当力んでスローインになりましたが、
追加点の可能性を感じさせながら、ハーフタイムを迎えました。

後半もスタンドを赤く染めるサポーターの後押しを受けて、攻勢に出たのはレンヌ。
51分、テッテイのスルーパスにモンターニョはまったくのフリーで抜け出すと、
この1対1はランスのGKルニエがかわそうとしたドリブルをストップ。
54分、ルモワーヌは相手最終ラインでの緩慢なボール回しをカット。
モンターニョのラストパスから、ルロワのシュートはルニエがファインセーブ。
さらに59分、左サイドでブカリのラストパスを受けたモンターニョは
エリア内で巧みなステップからDFを1人かわしてシュートを放つも、
ボールはクロスバーの遥か上へ。2度の決定機を逃したモンターニョへは、
さすがにホームのサポーターからも大きなブーイング。
少しスタジアムにも嫌な雰囲気が流れ始めます。
追い付きたいランスのボローニ監督も65分にはルデを下げて、
スタメンが予想されていたブラジル人のエドゥアルドを投入。
相手が自ら手放しかけていた主導権を一気に奪還しようと試みましたが、
ようやくコロンビア人エースが
待ち望んだ2度目の歓喜をルテ・ドゥ・ロリアンにもたらしたのは70分。
ルロワが優しく出した最高のスルーパスを受けて、
右サイドから豪快にゴール左スミを一突き。
7月に開催されるコパ・アメリカでは日本と対峙する可能性も高い
モンターニョの今シーズン7ゴール目で、点差は2点に開きました。
追い込まれたランスは72分に最後のカードとしてセルティッチを送り込み、
何とか1点でも返そうという姿勢は窺えたものの、
フィニッシュまで持ち込めるようなアイデアもパワーも欠如。
勝利を確信したスタジアムにはわずかに一角を占める
アウェイゾーン以外の観衆で何周も何周も続くウェーブの嵐。
85分、ジェマーとのコンビネーションでヴァランが
エリア内から放ったシュートも枠を外れ、ランスはゲームオーバー。
終盤にはあのステファン・ダルマを送り込む余裕を見せるなど
アントネッティにとってみれば会心とも言えそうな勝利で、
あくまで暫定とはいえ、レンヌが10月以来の首位に立つ結果となりました。
レンヌは攻撃陣がやや決定力を欠く部分は否めませんが、
抜群の運動量で広範囲に顔を出すブカリや、
シュート精度には難があるものの、中盤から積極的に飛び出すテッテイ、
そして凄く綺麗なフランス語を話すらしいモンターニョなど、
個々のタレントは一定以上。
噂通りに堅牢を敷く守備陣は間違いなく計算できるだけに
今後も大崩れすることはなさそうなので、
最後まで優勝争いを繰り広げることになりそうです。
アントネッティ監督も、そしてクラブの広報さんも非常にいい方だったので、
クラブ史上初のリーグタイトル獲得へ向けて、是非頑張って欲しいと思います。

AD土屋
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EL決勝ラウンド1回戦2nd-Leg パリ・サンジェルマン×BATEボリソフ@パルク・デ・プランス
ヨーロッパリーグも決勝ラウンド1回戦の2nd-Legに突入。
ここが終わるとようやくベスト16が出揃います。
今回はフランスにいるということで、訪れたのはパルク・デ・プランス。
リーグでも好調をキープしているパリ・サンジェルマン(以下、PSG)と
なかなか日本人の方でも現場で見た経験を持つ方はいなそうな
ベラルーシのBATEボリソフ(以下、BATE)が激突します。
先週行われた1st-Legでは、
終盤にPSGがリュインドゥラのゴールで追い付き、2-2のドロー。
アウェイゴールも含めてホームチームに有利な条件ということもあってか
観客の出足も鈍く、PSGの選手紹介もアナウンスは11人を大声で連呼して
スタンドの盛り上げを図っているにも拘らず、
肝心のオーロラビジョンはどうしたことか5人目までで名前表示がフリーズ。
ちょっと全体的にちぐはぐな雰囲気の中でゲームが始まりました。
やはりと言うべきか、最初から飛び出したのはPSG。
4分、モーリスの右CKをエルディングが枠へ飛ばしますが、DFがライン上でクリア。
11分、エルディングが左サイドでトヨタカップのミューレルを髣髴とさせる
華麗な切り返しでDFをかわしてクロスを上げると、
ニアでリュインドゥラが合わせたシュートはゴール左へ。
ボールポゼッションは互角に近かった印象ですが、
相手陣内でプレーする時間の長かったPSGが攻勢に出ます。
BATEも決して技術は低くなく、時折中盤でも細かいパスワークを披露するものの、
中盤アンカーにキャプテンのリフタロヴィッチを置く4-1-4-1は
基本的に守備へ軸足を置く格好で、シュートまでは結び付けられず。
遠くベラルーシから駆けつけたBATEサポーターが
「バテ~」と叫んでいたので「やっぱりバテって言うんだ」と思ったのが
立ち上がり最大の個人的な見所でした。
20分には再びPSGにチャンス。
CKの流れからシャントームが右サイドをうまく抜け出し中へ送ると、
またもリュインドゥラがニアへ飛び込むも、シュートはヒットせず。
23分にもモーリス、リュインドゥラと繋いで、
エルディングの強引なシュートはDFがブロック。
徐々にポゼッションでも圧倒し始めたものの、やはりオアローとネネー不在の中で
エルディングの1トップに、右からモーリス、ボドメル、リュインドゥラをその下へ並べた
前線のコンビネーションとアイデアが不足。
リュインドゥラは積極的にボールへ絡みますが、ボドメルのボールタッチはかなり少なく、
チャンスも創り出せなくなっていってしまいます。
BATEがようやくチャンスを掴んだのは35分。
CBのシトフが前へ入れたボールは、ルディクを経由してロディオノフへ。
しかし、ボールに触る機会がほとんどなかった1トップのシュートはまったくヒットせず。
BATEサポーターのため息が聞こえてきそうな、ちょっと悲しいシーンでした。
それでも45分には両チーム通じて最大の決定機はBATEに到来。
チームの中では最も攻撃への積極性を出していた
左SBのボルダチェフが上げたクロスは、
ファーにフリーで走り込んだヴォロドゥコにドンピシャ。
体を投げ出したダイビングヘッドにパルクのPSGサポーターも凍り付きますが、
直後に歓声を挙げたのもPSGサポーター。
ボールは大きく枠の右へ外れ、前半はスコアレスで終了しました。

なんとなく始まってしまった後半は、まずBATEにFKのチャンス。
50分、10番を背負うブレッサンはFKの名手的な雰囲気でスポットへ。
雰囲気のある助走から、雰囲気のあるキックを繰り出しましたが、
ボールはとんでもない方向に飛んでいってしまいます。
サイドでの主導権争いでも相手を押し込むPSGは
51分にクレマンの左クロスをボドメルが頭で、
57分にティアネの左クロスをモーリスがボレーで、
それぞれフィニッシュまで結び付けますが、共にシュートミス。
特にモーリスのボレーはまったくのフリーだったこともあって、
パルクの観衆もさすがに大きなブーイングを浴びせます。
この頃からゲーム自体に緩さが見え始め、
PSGのブロックにも穴が開き出すと、BATEにもチャンスが。
59分にはユーレヴィッチ、ブレッサンのパス交換からルディク、
64分にはブレッサンのパスをヴォロドゥコが共にミドルを敢行。
すると、わずかながらBATEにも得点の匂いが漂い始めた時間帯で、
「0-0では勝ち進めない」と、まだ33歳のゴンチャレンコ監督も早めの決断。
ゴルディチュクとアリャフノヴィッチを相次いで投入し、
システムも4-2-3-1に変更して、1点を奪いに行く決意を打ち出します。
そして迎えた68分、BATEに千載一遇の大チャンス。
右からゴルディチェクが放り込んだボールを、
PSGのCBカマラがエリア内でまさかの空振り。
こぼれ球に詰めたアリャフノヴィッチもシュートは打てなかったものの、
さらに詰めていたブレッサンがフリーでシュート。
ところが明らかに力んだ右足から繰り出されたボテボテのボールは
Gkエデルが左足でファインセーブ。先制ゴールを奪えません。
こうなると流れは一気にPSGへ。
67分からエルディングに変わって投入されていたオアローもそうですが、
それ以上に存在感を発揮したのは、
まだリーグデビューも飾っていない弱冠18歳のケバノ。
73分にボドメルと交替でピッチへ入ると、
4-4-2にシステムチェンジしたチームの中で右SHを担当。
ここから右を中心にサイドが活性化したPSGが怒涛のラッシュを開始します。
79分、カマラのFKをオアローが頭ですらすと、
いきなりケバノは枠内シュートをBATEゴールにお見舞い。
82分、リュインドゥラが左から中へ折り返すと、
ディフェンス3人とオフェンス3人がまるでラグビーのモール状態になり、
BATEのDFが何とかクリア。
同じく82分、ケバノの右クロスを拾ったティアネが再び中へ送り、
オアローがダイレクトで左足を振り抜いたシュートはGKグトルもファインセーブ。
86分、シャントームが右へ展開したボールから、リュインドゥラのクロスに
オアローが合わせたヘディングはゴール左へ。
88分、リュインドゥラの左クロスをケバノがボレーで狙うもゴール左へ。
「まだ若いのでそっと見守って欲しい」とコンブアレ監督も語った、
昨年の仙台カップでも来日を果たすなど、U-17以降は各年代別代表に
選ばれ続けている新鋭のヨーロッパデビューにスタンドも大歓声。
結果はスコアレスドローで、アウェイゴールによってPSGが勝ち抜けという
なんとも微妙な結果でしたが、未来のエース候補が見せた躍動で
サポーターも我々も軽い興奮に包まれ、パルクを後にすることになりました。
ニースケン・ケバノ。覚えておいて損はなさそうです。

AD土屋
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CL決勝ラウンド1回戦1st-Leg リヨン×レアル・マドリー@スタッド・ドゥ・ジェルラン
過去のCLにおける対戦は6度。成績はリヨンから見て3勝3分け。
今やフットボール界における七不思議の一つと言っても
あながち大げさではないような、このリヨンとマドリーの関係。
昨シーズン、09/10シーズンも同じこのラウンドで対峙し、
やはり1勝1分けでリヨンが勝ち抜け。
マドリーは6シーズン連続でベスト16敗退という現実を突き付けられ、
シーズン後にはペジェグリーニも解任されました。
しかし今シーズンマドリーを率いるのは、あのモウリーニョ。
マドリーに襲い掛かる、2つの嫌なジンクスをこの男が払拭できるのか。
小雨のパラつくスタッド・ドゥ・ジェルランは大入り満員。
赤と青と、一部の白が交錯した観衆は40299人。
おなじみの高揚感溢れるアンセムを経て、注目の“前半90分”が幕を開けました。
序盤はまずお互いに相手の様子を窺う様な立ち上がり。
4分、リヨンはミシェウ・バストスがラインの裏に抜け出しながら
クロスともシュートとも取れない、中途半端なキックでスタンドのため息を誘発。
11分にはグルキュフのFKからDFのクリアをデルガドが繋いで
最後はクリスがオーバーヘッド気味に狙いますが、枠を大きく外れます。
この時間帯、マドリーの印象は明らかにセーフティーファースト。
最終ライン付近でのルーズボールは繋がずに、ただクリアというシーンも多く、
1トップに入ったアデバイヨールと、その下に位置するエジルは
ほとんどボールタッチがなく、攻撃らしい攻撃は皆無でしたが、
それでもテクニカルエリアに立ちっぱなしのモウリーニョはしきりに拍手。
まずは守備からの姿勢を明確に打ち出したように見えました。
ただ、一方のリヨンも4-3-3で中盤逆三角形の前2枚を務めた
グルキュフとシェルストレームがいい形で前を向くシーンが少なく、
これといったチャンスを創れないまま、時間が経過していく中、
20分を過ぎたあたりから、3トップの左右をチェンジ。
右から左にミシェウ・バストスが、左から右にデルガドが入れ替わると、
2人の積極的な仕掛けが目立ち始め、サイドの主導権を奪取。
28分にはデルガドが右サイドをスルスルと抜け出し、エリア内へ侵入。
セルヒオ・ラモスに倒され、フィニッシュまでは持ち込めませんでしたが
1つチャンスの芽を創出します。
守備に軸足を置いたマドリーも、25分過ぎからはエジルのボールタッチが増え、
中盤での優位性を獲得すると、29分にはディ・マリアがチーム初となるシュート。
31分にはグルキュフにエジルが倒されて得たFKを、
大きなブーイングを浴びながら、ロナウドはワンバウンドで右スミにコントロール。
ロリスが何とか弾き出しますが、懐に潜ませたナイフの鋭さはチラつかせます。
迎えた34分にはリヨンに前半最大のチャンス。
マドリーのCKから一気にカウンター発動。
ゴミスが左へ繋ぎ、ミシェウ・バストスが左からあげたクロスは
完全なミスキックでしたが、中央でカシージャスがファンブル。
GKのいないゴールへ向けたゴミスのシュートは、寸前で寄せたDFに当たって
わずかにクロスバーの上を通過。これにはピュエルも苦い表情。
39分、42分にも共にグルキュフのラストパスから
デルガド、ロヴレンがシュートを放ちますが、ゴールまでには至らず。
42対58というボールポゼッション率にも拘らず、シュート数は7対2。
どちらかと言えばリヨン攻勢で最初の45分間は終了しました。
ハーフタイムを挟むと、まずはマドリーの持つセットプレーの脅威が炸裂。
49分、左サイドの決して十分な角度ではない位置からのFK。
ロナウドは凄まじいコースと軌道で直接ゴールを狙い、
ボールは右のポストを激しく叩きます。
51分にもエジルのCKにセルヒオ・ラモスがヘディングで合わせ、
ロリスも及ばなかったボールはクロスバーへ。
短い時間で、ゴールの枠に2度救われたリヨン。
スタンド全体もさすがに不安な雰囲気を隠せません。
とはいえ、相変わらずミシェウ・バストスとデルガドをはじめ、
縦へと仕掛ける姿勢はリヨンの方が強く、CKとFKの獲得は多かったのですが、
肝心のキッカーを務めるグルキュフの精度がこの日はイマイチ。
55分、57分はFK、58分には2度のCKを蹴ったものの、
いずれもニアで失速してしまい、フィニッシュまで結び付けられません。
すると先に動いたのはモウリーニョ。
64分、アデバイヨールに替わって送り出したのはベンゼマ。
ピッチを去るアデバイヨールには大きなブーイングを浴びせていたスタンドも、
ベンゼマのピッチインに万雷の拍手。
しかしそんなリヨンの元アイドルは、自らの帰還に対して
暖かく迎えてくれた人々の笑顔をわずか1分で凍り付かせる仕事を果たします。
65分、左サイドで混戦気味の中からエジルが抜け出しロナウドへ。
短いパスを受けたベンゼマはカットインしながらレヴェイエールをかわし、
さらに中へ持ち出すと、腰を回してシュート。
ボールはロリスの股間を抜け、カバーに入ったクリスもわずかに及ばず。
狂喜するチームメイトとベンチ。静かに俯くベンゼマ。
誰よりもこのゲームへ懸ける想いが強かったであろう9番が
古巣に対して最高かつ最悪の恩返し。
アウェイのマドリーがリードを奪う展開となりました。
次にカードを切ったのもモウリーニョ。
68分、ケディラOUTでラサナ・ディアラIN。納得の交替です。
ピュエルも70分に2枚替えを決断。デルガドとミシェウ・バストスの両翼を下げて、
ピーとブリアンを投入しましたが、後手を踏んだ感は否めません。
案の定、失点後はなかなかチャンスを創れないまま、時間ばかりが経過。
モウリーニョは75分にエジルを下げてマルセロを送り込むと、
ラサナ・ディアラ、シャビ・アロンソ、マルセロをトレスボランチ気味に配した
4-3-3にシフトし、守備意識を一層高めに出ます。
追い込まれたピュエルの3枚目は77分。シェルストレームに替わって、ピャニッチ。
昨シーズン、サンチャゴ・ベルナベウで勝ち抜けを決めるゴールを奪った、
20歳の若武者をグルキュフと並べ、最後の望みを託します。
ピャニッチもやや強引ではありましたが、いきなりミドルを放って
強い意欲を発露させると、その姿勢が間接的にチームを救うことになりました。
83分、リヨンはピッチ中央やや右からのFKを獲得。
ここまで蹴った4本のCKと4本のFKで、ほとんどチャンスを生み出せなかった
グルキュフではなく、キッカーはピャニッチ。
十分間合いを置いて繰り出したキックは1枚の壁に当たりますが、
軌道の変わったボールを、そこまで守備で奮闘し続けていたクリスが頭で折り返すと、
ボールはほとんど仕事のできていなかったゴミスの元へ。
ボレーで叩いたボールはゴール左スミへ吸い込まれます。
スタッド・ドゥ・ジェルラン沸騰。
結果的に投入したピャニッチのFKから、
替えられていてもおかしくなかったゴミスが同点弾。
ピュエルの幸運か、ジンクスが持つ幸運か。とにかくスコアは1-1の振り出しに。
リヨンが7度目の対戦も黒星を付けられることなく、
サンチャゴ・ベルナベウへと望みを繋げるドローをもぎ取りました。
アウェイゴールを奪って、2nd-Legへ臨むマドリーが優位なのは間違いありません。
それでも、あの手詰まりに近い状況下で同点に追い付いてみせた
リヨンを実際に見てみると、ジンクスの持つ力を強く感じました。
あとはやはり負傷で欠場したリサンドロ・ロペスが復帰できるかどうかも
リヨンにとっては大きなポイント。
3月16日、サンチャゴ・ベルナベウで全てが明らかになります。

☆L'EQUIPEの採点
(リヨン)
ロリス6、レヴェイエール6、クリス6、ロヴレン5、シソコ7、
トゥララン5、グルキュフ5、シェルストレーム5、
ミシェウ・バストス5、ゴミス7、デルガド6、
(レアル・マドリー)
カシージャス5、セルヒオ・ラモス6、ペペ7、リカルド・カルバーリョ5、アルベロア5、
ケディラ5、シャビ・アロンソ6、ディ・マリア7、エジル6、ロナウド6、
アデバイヨール4、
※交替出場は共に採点なし

AD土屋
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東京都クラブユースサッカー(U-17)選手権決勝 東京ヴェルディユース×FC東京U-18@西が丘
3年ぶりにトップの東京ダービーが復活する2011年。こちらは毎年好勝負を繰り広げてきたユースの東京ダービーが早くも2月の公式戦で実現することになりました。“一冠目”を懸けたタイトルマッチのファイナルにふさわしく、会場は東京サッカー界の聖地とも言うべき西が丘。雪がちらつく悪天候にも拘らず、バックスタンドに陣取った両チームのサポーターによる、トップと同様のチャントを聞きながらキックオフを迎えました。まずはお互いピッチコンディションを確認するように静かな立ち上がりとなったゲームは、ファーストチャンスでヴェルディが先制。10分、中央からのFK。キッカーの端山豪(2年・ヴェルディJY)は直接狙うようなキックモーションから一転、密集から外したグラウンダーのボールを選択。受けた中島翔哉(1年・ヴェルディJY)が落とすと、舘野俊祐(2年・SQUARE富山FC)の右足ミドルは、ワンバウンドで加速してゴール右スミに飛び込みます。U-18日本代表にも選出されているレフティの右足が炸裂し、まずはヴェルディがリードを奪いました。ところが16分、すぐに追い付いたFC東京。右から中へ送られたボールはピッチコンディションもあって勢いが弱まりますが、ヴェルディはGKとDFの連携がうまく行かず、中途半端なクリアを蹴り出してしまいます。拾った二瓶翼(1年・FC東京U-15深川)がエリア外から思い切ってミドルを放つと、DFに当たってコースが変わったボールはゴールネットへ到達。わずか6分でスコアは振り出しに戻りました。時計の針が進むにつれて雪が積もり始めたピッチに、どうしてもアジャストしていく必要がある中、ヴェルディはGKも含めた後ろでのボール回しとその判断に危険なシーンが何回か見られ、それが結果的に失点へ繋がってしまった格好になりました。一方のFC東京は、縦への速さとフィジカルの強さというチームのスタイルがより生きやすい状況下とはいえ、21分には橋本拳人(2年・FC東京U-15深川)が体の強さを生かした驚異的なキープから絶妙の浮き球を縦に送り、岩田拓也(1年・FC東京U-15むさし)がワントラップボレーを枠に飛ばすなど、ピッチを考えたプレーを披露する場面もあり、少しずつ主導権を握っていきます。すると33分、積極的な前線からのプレスが目立ち、「今日みたいなゲームには適任」と倉又寿雄監督も認めた岩田がエリア内で倒され、PK獲得。橋本は確実にGKの逆を取り、FC東京が前半の内に逆転してみせました。ヴェルディの楠瀬直木監督も42分には金子綺杜(1年・FC ASA FUTURO)に替えて、トップの春野キャンプから戻ったばかりの杉本竜士(2年・ヴェルディJY)を投入。45分には舘野のFKが枠の右上を捉えたものの、FC東京のGK馬場拓郎(1年・Forza'02)がファインセーブで阻止。45+3分には端山のFKから、前田直輝(1年・ヴェルディJY)が狙ったボレーはバーの上へ。FC東京が1点をリードして、前半は終了しました。ヴェルディはCBに長田海人(2年・ヴェルディJY)、FC東京は右SHに岩木慎也(2年・FC東京U-15むさし)をそれぞれ投入して始まった後半は52分、ワンツーでエリア内へ侵入した端山が倒されると、主審はここもPKをジャッジ。ヴェルディは絶好の同点機を迎えます。キッカーは端山。それまでも多彩なキックを見せていた10番は左スミを狙いますが、これを馬場が完璧なシュートストップ。「国体の優勝で自信を付けたみたい」と指揮官も認める守護神のビッグプレー。1点差は変わりません。この直後くらいからさらに勢いを増した雪が描き出したのは「こんな中でやったことないよ」と倉又監督も驚く、一面の銀世界。東京、雪、決勝。まるで帝京と東福岡が激突した、98年の高校選手権決勝を思わせるようなシチュエーションの中、67分に事件。FC東京の右SBに入った吉田一彦(1年・FC東京U-15むさし)が2枚目のイエローカードを提示されて退場を命じられると、この一連から軽い小競り合いが起こってしまいます。以降は少し両者がヒートアップする場面も目立ち、判定の曖昧さも含めて主審のゲームコントロールには疑問が残りました。さて、10人になったFC東京の倉又監督はすぐに施策。二瓶を下げて、右SBに徳田康明(1年・FC東京U-15むさし)を送り込み、4-4-1である程度守備へ軸足を置きにいきます。数的には優位に立ったもののビハインドを追い掛けるヴェルディは、雪の中でも細かいパスとドリブルを織り交ぜ、テクニックの高さを披露しますが、昨年からのレギュラー小林聖弥(2年・FC東京U-15むさし)と石原良将(2年・FCKマリーゴールド)で組むFC東京CBの、前に出て潰すバワーを打ち破れません。86分、端山のミドルを杉本がわずかに触って方向を変えましたが、ここも馬場が鋭い反応でストップ。88分、左からの折り返しにフリーの端山は滑ってしまい、フィニッシュに持ち込めず、詰めていた途中出場の右SB田中貴大(2年・ヴェルディJY)が放ったシュートも、人数が少ない状況で今日は守備面の貢献が目立った岩木が体でブロック。青赤の扉に掛けられた閂は最後まで開かず。「年間通してもそんなに対戦はない」(倉又監督)ユース版東京ダービーは、数的不利にも屈しなかったFC東京に凱歌。まずは一冠獲得ということになりました。印象的だったのは試合終了の瞬間、FC東京はベンチメンバーも全員がピッチの中になだれ込んで優勝を喜び、ヴェルディには倒れ込んで起き上がれない選手が何人もいたこと。雪という予想もしない外的要因の中で、新人戦とはいえ、お互いに死力を尽くしたのがよく伝わってくるシーンでした。まだこの段階ではありますが、雪の中での激戦というシチュエーションも含めて、思い出に残るダービーを目撃できた気がします。 AD土屋
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東京都クラブユースサッカー(U-17)選手権決勝リーグ 東京ヴェルディユース×三菱養和@ランド
今年も東京の、そして全国のクラブユース界で中心的な役割を担っていくことは間違いない2つのチームが早くもランドで対峙。ヴェルディと養和の直接対決が、この2月に実現しました。「今はどういう時期と捉えているか」という質問に対して両指揮官は「まずしっかり“自分を出し切る”チャレンジをする時期」(東京Vユース・楠瀬直木監督)「ハードワークできるような土台作り」(三菱養和・生方修司監督)とお互いにまだ始動から1ヵ月ということもあって、そこまで結果にはこだわっていない様子でしたが、そこはライバル同士。ゲームが始まれば案の定、熱いバトルが繰り広げられます。まずポゼッションからペースを掴んだのは養和。中盤ダイヤモンドの底に入った川崎圭亮(2年・三菱養和調布)が、両サイドに開いたCBの間に落ちて、そこからビルドアップしていくバルサスタイルは「数的優位を創るために、選手が自分たちで考えたんだと思う」と生方監督。2トップ下の清水貴明(1年・三菱養和巣鴨)もよくボールに絡み、シュートまでは持ち込めないものの、攻勢の時間が続きます。ところが24分、その前にも惜しいミドルを放っていた、ヴェルディのボランチを務める端山豪(2年・ヴェルディJY)が再びミドルにチャレンジすると、今度はゴール左隅に鋭く到達。劣勢のヴェルディが先にリードを奪いました。するとここから形勢逆転。ヴェルディは端山を基点に、細かい繋ぎというよりは中長距離のパスを斜めに送って、サイドを攻略する形が目立ち始め、右の中島翔哉(1年・ヴェルディJY)、左の前田直輝(1年・ヴェルディJY)とSHが躍動。39分には、左に流れた中島の折り返しを端山がフィニッシュ。GKが弾いたリバウンドに金子綺杜(1年・FC ASA FUTURO)が詰めましたが、ここもGKがファインセーブ。さらに41分にも楠美圭史(1年・ヴェルディJY)がミドルを枠に飛ばすなど、ヴェルディにフィニッシュの形が多く訪れる展開に変わり、前半は終了しました。後半に入ると、1人の選手の登場が傾いた流れに拍車を掛けます。その選手は新1年、つまり現在はまだ中学3年の高木大輔(ヴェルディJr)。47分、高木は交替出場直後にも拘らず、後方からのスルーパスを呼び込むと、GKと1対1になったケースのお手本とも言うべき、左サイドからゴール右スミにインサイドで流し込む完璧なフィニッシュ。2点に差が広がりました。養和も52分には、山下由都(1年・三菱養和巣鴨)、横田修平(2年・三菱養和巣鴨)と繋いで、清水のシュートは相手DFのブロックに遭いましたが、いい形を創ります。ところが止まらない大輔タイフーン。57分、左サイドから前田が上げたクロスを、後半に入って左SBから右SHへ移った宮地元貴(1年・桐蔭学園中)が競り合うと、こぼれ球を拾った高木は頭上にボールを蹴り上げ、DFを1人外すと落ち際を左足ボレーで叩くという、58年のペレ的なゴラッソ。これには観衆も驚きを隠せず、しばらくグラウンド周辺はザワつきます。さらに1分後の58分にも、中央でボールを持った高木がDFの間合いをワンテンポ外す絶妙のスルーパス。3列目から飛び出した端山がGKまでかわして4点目。わずか15分間で15歳が見せた2ゴール1アシストに「また大輔かと言われそうですが」と楠瀬監督も軽く苦笑い。ゲームの勝敗はほぼ決まりました。以降も「ああやってさらされると、どうしてもフィジカルでやられてしまう」と生方監督も話した養和を尻目に、ヴェルディの攻撃は止まらず。66分にも前田のラストパスから、オーバーラップを敢行した右SBの安西幸輝(中3・ヴェルディJr)が枠内シュート。77分には布施周士(1年・ヴェルディSS小山)と田中貴大(2年・ヴェルディJY)という、その4分前に同時投入された2人のコンビで、右サイドを崩してシュートまで到達。層の厚さも垣間見せます。このままでは終われない養和も、79分には清水のFKがエリア内でバウンドすると、飛び込んだCBの冨田将司(2年・三菱養和巣鴨)が頭で押し込み1点を返しますが、最後に記録されたゴールもヴェルディ。92分、田中、中島、高橋と回して、左から舘野俊祐(2年・SQUARE富山FC)が入れたグラウンダークロスに、中で合わせたのは三たび高木。これでなんと2試合続けて後半の45分間だけでハットトリック達成。ヴェルディが現時点では力の差を見せ付けた格好で、11日の決勝へ駒を進めました。養和は新チームのエース田鍋陵太(2年・三菱養和巣鴨)が修学旅行から帰ってきたばかりということで、今日は欠場。「田鍋がいても結果は変わらなかったと思います」とは生方監督ですが、彼や清水、新1年の赤松謙(三菱養和巣鴨)など攻撃陣にタレントも多く、今年もJクラブを脅かす存在になるのは確実だと思います。一方のヴェルディも杉本竜士(2年・ヴェルディJY)がトップの高知・春野キャンプに帯同し、昨年はJ2のリーグ戦でゴールを挙げた南秀仁(2年・ヴェルディSS相模原)はリハビリ中と、主力2人を欠きながらしっかり快勝。楠瀬監督も「川勝監督がそういう方針でやってくれるので、トップを意識させていかないと」と話したように、ユースでの活躍がトップへ明確に繋がるという部分も含めて、今のヴェルディユースは組織としてかなりいいサイクルを迎えている印象を受けました。 AD土屋
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東京都クラブユース(U-17)選手権決勝リーグ FC東京U-18×杉並FC@小平

選手権が終わり、各都道府県でも1、2年生による新人戦が開催されている高校サッカー界。そしてJユースカップが終わったクラブユース界でも、新しいシーズンは始まっています。今日はそんなクラブユースの新人戦とも言うべき、東京都クラブユースサッカー(U-17)選手権にやってきました。対戦カードは新チーム始動2週間にして、初の公式戦を迎えたFC東京U-18と、1次リーグを3勝1敗の1位で通過してきた杉並FC。昨年のJユースカップでは東日本代表決定戦で惜しくも敗れ、あと一歩で全国を逃した強豪で、この2チームは「毎年この時期に当たって接戦になる」(FC東京U-18・倉又寿雄監督)らしいです。時折晴れ間は覗くものの、寒さが身に染みるコンディションにも拘らず、スタンドがほぼ埋まるほどの観衆を集めてキックオフしたゲームはいきなり1分、斉藤裕輔(2年・ヴェルディ調布)のFKから、長身の平林新(2年・杉並FC)が頭で落とし、オフサイドにはなったものの杉並がチャンスを創りましたが、以降はほぼ全員がしっかり引いて守りを固める杉並のブロックと、圧倒的なポゼッションからチャンスを窺う東京の、我慢比べのような展開が続きます。東京は主導権を握りながらも「もう少しサイドを変えたかった」と倉又監督が話したように、ダイナミックにボールを動かすことができず、前線の動き出しも乏しかったため、なかなかシュートシーンまで持ち込めません。さらに少しずつ杉並も守備のリズムを掴み始め、膠着した時間が続きましたが、そんな嫌な流れを断ち切ったのは1本のFK。25分、岩木慎也(2年・FC東京U-15むさし)が中央左から直接狙ったキックは無回転でゴール右スミへ突き刺さるゴラッソ。「まだ完璧じゃないけど、アレはいいコースに行きました」と本人も笑顔を見せた一発で、流れの中から決定機を創れなかったチームに先制ゴールがもたらされると、ようやく落ち着いたのかここから東京がラッシュ。30分と34分に斎藤涼汰(1年・FC東京U-15深川)が、37分には自ら「僕の持ち味なんで」と話す岩木のドリブル突破から、最後は湯浅寿紀(2年・FC東京U-15むさし)がフィニッシュを迎えるなど、杉並ゴールを脅かします。そして39分、湯浅のショートコーナーから、代表帰りの野沢英之(1年・FC東京U-15深川)が繋ぎ、キャプテンマークを巻いた山口泰志(2年・FC東京U-15深川)のクロスにニアへ飛び込んだのは斎藤。点差が2点に広がり、前半は終了しました。ハーフタイムを挟んでも勢いは変わらず。46分、右サイドを上がってきた吉田一彦(1年・FC東京U-15むさし)がクロスを上げると、後半開始から投入されたばかりの岩田拓也(1年・FC東京U-15むさし)が二アで見事なダイビングヘッド。「最近調子を落としてたけど、アレがアイツの特徴」と倉又監督も評価した、新エース候補がわずか1分で結果。3点差が付きました。攻撃の手を緩めない東京。52分に湯浅の右足クロスを、後半はボランチから2トップの一角に上がった野沢がボレー。60分には吉田のラストパスから、1トップ下、2トップの一角、ボランチと2回ポジションが変わった橋本拳人(2年・FC東京U-15深川)がドリブルシュート。共に枠を捉えながら、ここは杉並もGK神山昌士(2年・MID FC)がファインセーブ。意地を見せます。ここからはお互いに交替カードを切り合い、少しゲームは落ち着きますが、次のゴールも東京に。74分、左SBにポジションを移していた湯浅が中央を切り裂くスルーパスを送ると、抜け出した岩田は冷静にGKもかわして4点目。77分には斉藤が杉並初の決定機を迎えたものの、シュートはDFのブロックに遭って枠を外れると、84分にトドメの5点目。途中出場の二瓶翼(1年・FC東京U-15深川)が蹴ったCKを橋本が左足ボレーで合わせたボールは、クロスバーを叩いてゴールラインの内側へ。再三の決定機を逃し続けた橋本にとって、自身5本目のシュートがようやく実り、チームも打ち止め。実力差を的確に表すような5-0というスコアで、東京が新チームの幕開けを快勝で飾りました。まあ、東京にとっては最初の公式戦ということもあって、「まだまだこれからだね」と指揮官。前半の途中で4-2-3-1から4-4-2へシフトしたり、選手のポジションを入れ替えたりと、骨格が見えてくるまでにはもう少し時間がかかりそうな印象です。しかし今日は本当に寒かった!観戦に訪れた皆さん、お疲れさまでした。 AD土屋
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TM FC東京U-18×成立学園@小平

うららかな小春日和。午前中に多くのサポーターを集めたというFC東京トップチームの始動も終わり、比較的静かな落ち着いた雰囲気の中でキックオフを迎えた、あるトレーニングマッチの風景。一見、どこにでもある日常のワンシーンですが、これは今年のクラブユース界の、そして高校サッカー界の牽引者となる可能性を大いに秘めた2チームの対戦。FC東京U-18と成立学園の激突です。昨シーズンを振り返ると、高円宮杯、Jユースカップ共に準優勝と、全国タイトルまであと一歩で届かなかったFC東京。一方、満を持して宮内聡さんが総監督の立場から監督に戻り、全国を目指したものの、インターハイはベスト8で國學院久我山、選手権はベスト4で駒澤大学高に敗れ、目標を達成できなかった成立。どちらも越えるべき山は明確な1年間となるでしょう。30分ハーフ4本で行われたゲームの1本目は9分に二瓶翼(1年)のCKを橋本拳人(2年)がボレーで合わせて東京が先制しましたが、成立も昨年からのレギュラーでボランチに入った飯田涼(2年)を中心に、しっかりボールを回すスタイルで対抗。24分には、飯田、渡辺直輝(2年)と繋いで、玉井君(2年)が潰れたこぼれを渡辺が豪快に叩き込み、同点に追い付きます。すると迎えた2本目の36分、赤澤惇平(2年)が裏へ出したボールを渡辺が右サイドから折り返すとGKが弾き切れず、玉井がプッシュ。一気に逆転。さらに39分にはCB一井君(2年)のスルーパスから、山口絋範(2年)が惜しいシュート。前からのプレスもうまくハマッた成立が自分たちの時間帯を創ります。ただ、このまま黙ってはいられない東京も43分、岩田拓也(1年)がエリア内で倒され、PK獲得。これを橋本が確実にゴール。すぐさまスコアを振り出しに戻すと、以降は東京が攻めて、時折成立も鋭いカウンターを繰り出すといった展開に。それでも決定機は東京に連続。50分には福森健太(1年)のスルーパスに岩田が抜け出すも、フィニッシュは枠の左へ。53分には斎藤涼太(1年)のパスから橋本が1人かわしてシュートも枠の左へ。58分、岩木慎也(2年)のショートコーナーから、村松知稀(2年)の左クロスに飛び込んだ岩田のシュートはバーの上へ。59分、岩木の外側を回ってラストパスを受けた村松のシュートはサイドネット外側へ。成立も終盤の苦しい流れを耐え抜き、タイムアップ。いわゆるA戦は2-2のドローで終了しました。また、3、4本目のいわゆるB戦は、湯浅寿紀(2年)と1本目にも出場していた冷岡幸輝(2年)が揃って2ゴールを挙げるなど、東京が成立に6-1で快勝しています。東京はCBの小林聖弥(2年)がケガ、中盤の野沢英之(1年)、前線のブーゾ・アモス(1年)がU-17日本代表に選出される中、1トップに入った岩田の下に橋本を置く4-2-3-1を採用。右から二瓶、橋本、岩木と並ぶ攻撃的な中盤は魅力十分で、4月から始まる新設の全国リーグが今から楽しみです。また、昨年の同じ時期には5-0と一蹴された相手に、押し込まれるシーンもありながら今回はドローに持ち込んだ成立。飯田を軸にしたポゼッションも山口、渡辺、玉井を生かしたカウンターも、東京に十分脅威を与えていたと思います。こちらが戦う舞台は、昇格したプリンス関東1部。「今年の目標は魂込めてサッカーすることです」と笑った宮内監督。躍進に期待させてもらいましょう!今年もこの年代は本当に楽しみです! AD土屋
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関東サッカーリーグ2部入替戦 SGシステム×SC相模原@駒沢補助

JFLで戦っていた流通経済大FCの降格。地域決勝に臨んだY.S.C.C.の動向。JFL入替戦に回ったアルテ高崎の結果。様々な要素が複雑に絡み合い、このカードとなった関東2部入替戦。このカテゴリー間が地域と都県の境目。残るか上がるかには大きな違いがあります。残りたいのは、関東2部を6位でフィニッシュしたSGシステム。「リーグが終わった時は残ったと思って喜んだのに、9月くらいに入替戦の話が出てきた」とは梶山洋一監督。それからこの約5ヵ月あまりの色々な外的要因に翻弄される日々を経て、今日の90分間を戦います。上がりたいのは、関東大会2位で入替戦に進出してきた神奈川県リーグ1部のSC相模原。陣容を見ればとても県リーグを戦うチームとは思えず、Jリーグ参入を明確に掲げるクラブとして、11月の地域決勝で得た経験値を生かしたい所。舞台は駒沢補助。観客席はないにも拘わらず、メイン側には多数の人だかり。相模原サポーターのチャントが響き渡る中、ゲームはキックオフされました。相模原は高いポゼッションで、ボールを回すスタイル。ドイスボランチの一角に入った坂井洋平を中心に足元、足元と繋いで、サイドから崩す意図が明確で、8分には左SHを務める古賀誠史のクロスを、富井英司がシュート。SGのGK山口徹にキャッチされましたが、1ついい形を創ります。しかし、先に決定機を掴んだのは「DFラインを引いてやるのは経験がある」(梶山監督)SG。11分、一瞬のスキを突いてFKをクイックで始めると、相模原ディフェンスは誰1人反応できず、菅沼守(磐田・菅沼実の弟)がフリーで抜け出します。飛び出したGK佐藤健の果敢なセーブでゴールは生まれなかったものの、SGの狡猾なチャンスメイク。相模原は肝を冷やしました。以降は、ボールキープで上回る相模原に、縦へと速い攻撃を見せるSGという構図で推移する展開。ただ、「むしろ回してくれてる分には怖くない」(梶山監督)という共通認識を持つSGが、ボールを持たれながらも落ち着いた守備で対応し、2度ゴールネットを揺らされたピンチを共にオフサイドで切り抜けると、「関東でもイケると思う」と指揮官が太鼓判を押したSBの石川清司とSHの浜崎真人で組む右サイドをシンプルに切り裂くシーンが続出。23分、最前線に入った185センチの根本知治が競り勝ち、浜崎のシュートは枠の右へ。36分、石川が中へ当てたボールを中払伸吾が落とし、小山悠のミドルはGK佐藤がファインセーブ。20分以降はどちらかと言えばSGペースだったと思います。それでも先制は相模原。44分、左SBの鈴木隼人から出た1本のフィード。DFラインの裏へ抜け出した齋藤将基は、GKの頭上をキレイに破るループ。回すチームが1本のロングパスからゴールを陥れ、前半が終了しました。迎えた後半は、51分にゲームが動きます。「アイツが2列目から抜け出すのは狙い」と梶山監督も話し、それまでも再三チャンスを演出していた浜崎のドリブル突破に、たまらず鈴木隼人がエリア内でファウル。SGにPKが与えられます。キッカーの小山は確実にGKの逆を突いて左スミへ。スコアは振り出しに戻りました。追い付かれた相模原は57分、鈴木隼人を下げて吉岡航平を左SHへ送り込み、古賀をSBに下げた形へシフトします。ここからは、相模原が一方的に押し込む流れに。58分、右サイドから金澤大将が上げたクロスに、投入されたばかりの吉岡が頭で合わせるも、ボールはバーの上へ。66分、富井、森谷佳祐と繋いで、またも吉岡が決定機を迎えましたがDFがブロック。70分、古賀の左クロスに坂井が合わせたボレーは山口が足でスーパーセーブ。途中投入された吉岡の推進力もあって、全体的に足が止まってきたSGゴールを相模原が襲い続けますが、勝ち越しゴールには至りません。すると79分はSG、右サイドを単騎で駆け抜ける浜崎の1人カウンター。フィニッシュまで持ち込み、佐藤に弾き出されたとはいえ、驚異的な個の力を改めて観衆に見せ付けます。再び相模原のラッシュ。80分、吉岡が右へ送り、森谷のシュートはわずかにゴール左へ。84分、古賀のピンポイントクロスに、フリーの齋藤が合わせたヘディングはGK山口の正面。92分、右サイドで得たラストチャンスのFK。古賀が短く出したボールと富井の呼吸が合わず、絶好のチャンスもフイに。90分では決着付かず。ゲームの行方は10分ハーフの延長戦にもつれ込みました。こうなると「ウチは仕事が優先なので5人で練習する日もある。試合の日しか来られない選手が今日も出ている。90分以上やるのは難しいだろうと思っていた」と梶山監督も語るSGに余力は残っておらず、決壊の時は98分。右サイドから金澤が上げた素晴らしいクロスを、頭で叩き込んだのはやはり齋藤。エースの今日2点目は大きな大きな勝ち越し弾。さらに、もはやSGも後ろの枚数を削り、浜崎をFWに入れて反撃を試みる中、延長後半の105分には坂井のラストパスから、森谷が落ち着いてゴールへ流し込み、1-3。2点差が付きました。この後、SGは津村典明が2枚目のイエローカードで退場し、相模原は古賀がラフプレーで一発レッドとなりましたが、大勢に影響なし。延長でようやく地力の差を発揮した相模原が、来シーズンからの関東2部昇格を決めました。「自分たちのやり方でよく頑張ってくれた」と梶山監督が話したように、SGはよく戦ったと思います。スタメンに8人の元Jリーガーを揃えるチームに、「全員がSGシステムの社員で、練習より仕事が優先」(梶山監督)という選手たちが、粘り強く食い下がりました。こういうゲームを見ると、今回は不確定要素があまりにも多かったとはいえ、5ヵ月近くも来季の状況が見えない上に、1試合の結果で降格してしまうというのは、あまりにも酷な気が私はしました。 AD土屋
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高校選手権決勝 久御山×滝川第二@聖地国立

マッチナンバー47。国立競技場。決勝。そこに立つことを想い、それでも叶わなかった4183校の高校生も日本中から見つめる舞台で、プレーすることを許されたのはわずかに2校。京都府代表の久御山。兵庫県代表の滝川第二。関西に学舎を置く2つの高校が全国の覇権を争います。「他から見たら繋ぐ所じゃないと思っても、どこでも繋ぐのが僕たち」とキャプテンの山本大地(3年・京都紫光SC)が言うように、そのショートパスとドリブルに特化したスタイルが注目を浴びてきた久御山。1回戦では今大会最大の注目選手・宮市亮擁する中京大中京に逆転勝ちを収め、準決勝でもおそらく今大会最強だった流通経済大柏と互角の勝負を繰り広げると、PK戦をモノにしてファイナルまで勝ち上がってきました。一方、インターハイ準優勝という輝かしい結果を挙げながら、秋口には「非常にワガママなプレーをするチーム」(栫裕保監督)になってしまったという滝川第二。しかし、「みんなでコミュニケーションを取る機会が増えてきて、お互いに言い合えるようになってきた」(本城信晴・3年・イルソーレ小野FC)ことで結束を取り戻したチームは、3回戦で前回準優勝の青森山田に快勝すると、4度目のチャレンジで遂に準決勝のカベを撃破。兵庫県勢として72年ぶりの頂点を狙います。6.4度と1月らしさが戻ってきた快晴の国立には35687人の大観衆。正真正銘のラストゲームは「初めてなのでかなり嬉しかった」と久御山の足立拓眞(3年・京都紫光SC)も笑った両校の校歌斉唱を経て、激闘の幕を開けました。先に勢い良く飛び出したのは久御山。4分には林祥太(1年・SOLESTRELLA NARA2002)が左へ展開。足立のクロスへファーサイドに走った鍋野光希(3年・京都藤森中)が合わせるも枠の右へ。5分、山田修市(3年・京都FC長岡京)のクサビを、「DFラインが深かったので、CBとボランチの間でボールを受けられた」という安川集治(3年・京都FC長岡京)が収めて反転からシュートまで。10分、CKの流れから足立のミドルがDFに当たったこぼれ球を鍋野が狙うもヒットせず。「ほぐれた感じで立ち上がりは入れた」(松本悟監督)久御山が攻勢に出ます。さて、まずは押し込まれる格好になった中「奪ってからいかに速く攻められるか。攻めるためにまず守れ」と栫監督から指示を受けていた滝川第二。「Jクラブや野洲とかポゼッションされるチームとはやってきた」とはボランチの香川勇気(3年・イルソーレ小野FC)。落ち着いて序盤の押し込まれた時間を凌ぐと、16分に攻撃的な右SB濱田量也(3年・ヴィッセル神戸JY)が枠内ミドルを放った辺りから、攻撃に出ていく回数も少しずつ増えていきます。すると23分、やはり絡んできたのは強力2トップ。左サイドでのボール回しから、樋口寛規(3年・西宮学文中)のクロスに、ファーへ走り込んだ本城が頭で折り返すと、浜口孝太(3年・ヴィッセル神戸JY)はDFをブロックしながらスムーズなトラップと、スムーズなシュート。キャプテンの大会6ゴール目が飛び出し、滝川第二が先制ゴールを奪いました。その後も全体的に攻勢なのは失点を喫した久御山。29分には林の浮かせたスルーパスから、飛び出した足立のボレーはヒットせず。31分にはかなり攻撃の起点となっていた二上浩一(2年・FC solceu)のスルーパスを安川が繋ぎ、坂本樹是(3年・京都SレジョーネFC)のクロスをGKが弾いたボールに足立がヘディング。GK不在の枠内へ飛びましたが、ここは土師直大(3年・神戸西神中)が決死のクリア。追い付けません。なかなか攻撃でのリズムは出てこない滝川第二で、目立っていたのは右サイド。「相手は3トップが下がって来ないんで、サイドが空くからそこから攻めていこうと話していた」とは本城。特にSBの濱田は「ボランチの1枚やCBがズレて、好きに上がらせよう」(香川)というチームメイトの後ろ盾も得て、果敢にオーバーラップを繰り返します。するとその積極性が結実したのは39分、右サイドの高い位置でボールを受けた濱田は絶妙なスルーパス。「ピンポイントで出してくれた」ボールを受けた本城が中へ折り返すと、樋口が冷静に左スミへフィニッシュ。「右サイドを崩していくウチの特徴」(樋口)から追加点。42分にも樋口が掴んだ決定機は右ポストに嫌われたものの、滝川第二が2点のアドバンテージを握って、ハーフタイムに入りました。迎えた後半も先にゴールを奪ったのは滝川第二。53分、濱田が右サイドから左足で上げたクロスは、中央の混戦から右へこぼれ、最後は誰よりも速く反応した本城がプッシュ。0-3。点差が広がります。苦しくなった久御山。この失点を受けて、松本監督がキャプテンの山本を呼び寄せ、笑顔で掛けた言葉は「ここから追い付けたら凄いんじゃないか?」。円陣を組み、その言葉を伝えると「みんな笑顔になった」(山本)。そして、ここから本当の意味での死闘が始まります。55分、DFのクリアを安川がブロック。拾った鍋野が奪われたボールを、坂本が奪い返してシュート。GK中尾優輝矢(3年・リベルタ明石FC)もよく弾きましたが、こぼれ球を林が押し込み、久御山がようやく1点を返しますが、58分には滝川第二の反攻。中盤でボールを奪った香川が最高のラストパスを送り、抜け出した浜口が完璧なループ。「“行ける”となった所をさすが滝二」と敵将も脱帽させる滝川第二の勝負強さ。すぐさま点差は3点に戻ります。久御山は64分に鍋野を下げて赤谷直紀(1年・枚方フジタS.C.U-15)を右SBに投入。坂本と安川の2トップに、林が頂点、右に東松孝治(1年・京都サンガU-15)、左に足立、アンカーに二上と中盤をダイヤモンド気味にした4-4-2へシフト。以降もボールを回す久御山に、カウンターの滝川第二という構図の中、チャンスは滝川第二が創出。68分に樋口、75分に本城が迎えた決定機は共にGK絹傘新(3年・宇治木幡中)が阻止。81分は久御山。途中出場の沼田俊吾(3年・宇治FC)が絡み、坂本のフィニッシュは中尾がファインセーブ。83分は滝川第二。恵龍太郎(2年・ジェフユナイテッド市原・千葉U-15習志野)のセンス溢れるスルーパスに樋口が抜け出すも、絹傘が飛び出すとコントロールを失い、ゴールキックへ。すると、いざ久御山劇場の開演。83分、中央で坂本が粘って粘って、足立が繋ぐと、「ディフェンスをかわすことを考えてコースを狙った」安川のループは、飛び出したGKの頭上をフワリと越えてゴールの中へ。2-4。85分、二上が中野剣司(3年・京都小栗栖中)とのワンツーから縦に入れると、混戦から坂本が放ったシュートはGK反応できず。繋いで崩す。これが久御山スタイル。3-4。一気に1点差。「ヤバいなと思って心臓バクバクだった」と浜口。「インターハイ決勝でリードしながら守勢に回って追い付かれ、延長で逆転負けという苦い経験もしている」と栫監督。場内も異様な雰囲気に包まれます。ショートパス、ドリブル、FK獲得。攻める久御山。耐える滝川第二。しかし94分、ゲームを決めたのはやはりこの男。樋口は久御山DFに猛然とプレスを掛けると、クリアをブロックして高く上がったボールを収め、飛び出した絹傘もかわす冷徹なフィニッシュ。得点ランク単独トップに躍り出る樋口のラストゴール。そして96分55秒、国立の冬空へ吸い込まれたホイッスル。1回戦からの6試合でゲームに出場したのは24人。「1分でもいいから全員ピッチに立たせたいという想いを持っている」指揮官に率いられ、真の全員サッカーを体現した滝川第二が悲願の選手権王者に輝きました。お互いにスタイルを出し合ったゲームだったと思います。久御山は繋ぐスタイルを存分に発揮し、滝川第二は強力な2トップを生かす縦に速く力強いスタイルを存分に発揮しました。ただ、スタイルを貫き通すだけでこの2チームがここまで勝ち残って来た訳ではありません。「どんな状態にも適応することが子供たちの力量を伸ばすし、安定して力を発揮することに繋がる」と松本監督。自分たちのスタイルをゲームにアジャストさせること。久御山と滝川第二には、その柔軟性が確かにありました。思い出に残る、素晴らしいファイナルでした。 AD土屋
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高校選手権準決勝 流通経済大柏×久御山@聖地国立

優勝候補の呼び声も高い中、2点差、PK戦、1点差とスコア上に派手差はないものの、内容で見れば軽く畏怖すら感じさせるような力強さで国立まで勝ち上がってきた流通経済大柏。2度目の頂点へあと2つまで迫りましたが、今日は名古屋入団が内定している吉田眞紀人(3年・横浜F・マリノスJY)に続いて、新潟入団内定のキャプテン増田繁人(3年・FCクラッキス松戸)も練習中の負傷でベンチスタートとなりました。一方の久御山は、昨年ベスト4の関大一をPK戦で振り切り、勇躍国立へ。3年前の選手権では「初戦だったおかげで接戦ができた」(久御山・松本悟監督)ものの、惜しくも敗れた相手へリベンジを果たすには格好の舞台が整いましたが、こちらもキャプテンのCB山本大地(3年・京都紫光SC)が累積警告で出場停止となっています。お互い守備のキーマンを欠いて臨む大事な一戦は、天候も小春日和と言えそうな快晴。高校生の夢、国立決戦の開幕です。ゲームが始まると、流経は「相手のいい所を消そうという取り組みで戦ってきた」と本田裕一郎監督が話したように、4-3-3を敷いた久御山の中盤に位置する林祥太(1年・SOLESTRELLA NARA2002)、足立拓眞(3年・京都紫光SC)、二上浩一(3年・FC solceu)に、それぞれ古波津辰希(2年・小禄中)、富田湧也(3年・ジェフユナイテッド市原・千葉U-15習志野)、宮本拓弥(2年・Wings U-15)をマンツーマン気味に当てる、4-1-4-1で対抗。8分、9分と共に川本ミッキー(3年・FC琉球JY)のチャンスメイクから、田宮諒(3年・FCトリプレッタJY)、富田と好機を創ります。ただ、「3人がマンツーマンで付いたので、攻撃の時に全体のコンパクトさがなかった」(本田監督)ことが招いたエアポケット。10分、「フィードがいいので、そこから左右の展開ができる」と松本監督も話した山本不在の中で、その山本とコンビを組んできたCB塚本健介(2年・京都城陽SC)が正確なフィードを入れると、流経は今大会で起用されてきた右SBではなくCBを任された鈴木翔登(3年・坂戸ディプロマッツ)が裏を取られます。フリーで抜け出した安川集治(3年・京都FC長岡京)はGKとの1対1も、左足インサイドで難なく勝利。ゴール左スミへ転がり込むボール。普段の右SBではなくCBを任された松下千馬(3年・京都城陽SC)も「最初の10分は集中して凌ごうと話していたが、ホンマにそのくらいで入るとは思ってなかった」と思わず漏らした先制弾。まずは“繋ぐ”久御山が1本の縦パスでリードを奪いました。以降は、両チームのスタイルを考えれば繋ぐ久御山が、前からのハイプレスに特徴を持つ流経にハマる予想があった中、もちろん久御山はボールも回しますが「ちょっと蹴ることが多くなった」(松本監督)ことが結果的に奏功したような格好に。ハイプレスの餌食になるようなシーンは見られません。それでも全体的にはポゼッションでも互角か、あるいは上回った流経が徐々に攻勢。19分には宮本、田宮と繋いで、最後は進藤誠司(3年・千葉高浜中)が鋭い反転から枠内へ飛ばしたシュートは、久御山GK絹傘新(3年・宇治木幡中)がキャッチ。30分過ぎには、川本を古波津と並ぶドイスボランチに移し、田宮の下には右から宮本、富田、進藤と並べた4-2-3-1にシフトすると32分、宮本のドリブルから得たFK。富田のシュートはゴール左へ。36分、富田のクロスに進藤のシュートは弱くGKへ。42分には本田監督が、川本を下げて、今大会の流経にとって攻撃姿勢を強めるスイッチとなっている吉田の投入を決断すると、その吉田はいきなりスルーパスでチャンスを演出。リードは久御山ながら、終盤は後半の反撃を予感させる流経優勢で45分間が終了しました。ハーフタイムを挟むと、後半はまず久御山がチャンス創出。46分、足立が左サイドからカットインしてシュートを放つと、48分には足立の左アーリークロスから鍋野光希(3年・京都藤森中)がダイビングヘッド。さらに51分、坂本樹是(3年・京都SレジョーネFC)のスルーパスに、上がってきた左SB山田修市(3年・京都FC長岡京)が枠内シュート。立て続けに攻め込みます。そんな中、本田監督は53分に早くも最後のカードを切る決断。宮本OUTで杉山賢史(3年・FRIENDLY)IN。杉山が中央に、吉田が右サイドに入り、前線には県大会決勝と同じメンバーが揃います。すると54分にはいきなり杉山がFKを獲得。吉田のキックはわずかに枠の左へ。55分、中盤でボールを奪うと、富田のスルーパスから吉田のシュートは枠の右へ。56分、57分とショートコーナーから富田のクロスを途中出場のCB竹原大稀(2年・FC多摩)が連続ヘッド。60分、吉田のスルーパスから杉山が抜け出しかけるも、絹傘が飛び出しセーブ。「吉田と杉山が入ったらボールを繋ぐ」(進藤)という形がよく出た流経が攻勢を強めます。そして61分に訪れた歓喜。右サイドから吉田が鋭くカットインすると、DFを引き付けて引き付けてスルーパス。フリーで受けた杉山は、飛び出したGKのタイミングをズラし、確実に左スミへ流し込むファインゴール。「後半2トップに戻して修正できた」と本田監督も話したように、流れを強烈に掴んだ流経が追い付いてみせました。回るボール。進むドリブル。さらに「相手のプレスが速くて、後ろと前のラインが開いてしまった」とは久御山のボランチ足立。攻める赤。守る白。勢いの差は歴然でした。ところが、次にゴールを記録したのは守る白。73分、坂本の左CKは右に流れると、二上のクロスはファーサイドの坂本へ。小刻みなタッチから思い切って右足を振り抜くと、DFに当たったボールはGKの頭上を破ります。「攻められてても楽しもうと話していた」(足立)久御山が、劣勢をワンチャンスで切り裂き、再びアドバンテージを取りました。絶対の自信を持つ後半で勝ち越しを許した流経。変わらず攻める時間は長いものの、さすがに焦りからか強引なシュートも目立ち、落ち着きを取り戻した久御山もボールが回り始め、決定的なシーンを創れないままに時計の針ばかりが進んでいきます。この苦況を救ったのは、「焦っても意味ない」と冷静さを保っていた流経の“ニコラス・セイジ”。87分、相手陣内でのボールカットから杉山、田宮を経由して右へ展開すると、1人かわして縦へ持ち出した進藤が角度のない所から放ったシュートは、GKの二アサイドをぶち抜き、ゴールネットに突き刺さります。「2-1になった時にベンチも含めて勝ったと思ったが、勝ちを意識するとああいう最後の最後で…」と松本監督。「よく追い付いたと思う」と本田監督。2-2。ドロー。勝者も敗者もなし。次に進むチームを決めるためだけのPK戦は、緒方大樹(3年・帝京中)が1本セーブした流経に対して、絹傘が2本セーブした久御山に軍配。「ずっと決勝戦だと思ってやってきた」(松本監督)府立高校が、とうとう全国の決勝戦まで辿り着きました。正直に言えば、両者の実力差は小さくなかったと思います。流経を1点に抑えることができた要因を訊ねられた松本監督が苦笑混じりに「運ですね」と答えたのは本音でしょう。それでも決勝へ進めなかった流経の選手は「負けてもグラウンドの中で泣くな。家に帰って押し入れの中に入って泣け。男は意地だ」という本田先生の教えを守り、気丈にミックスゾーンへ現れ、記者陣相手に堂々とした受け答えをして、毅然と国立を去っていきました。遥かに彼らより年上の我々が見習うべき所ばかりの、素晴らしいチームでした。 AD土屋
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高校選手権準決勝 立正大淞南×滝川第二@聖地国立

優勝候補筆頭であった流経大柏のPK戦での敗退の余韻が残る中の国立での準決勝第2試合。初の国立となる立正大淞南は4試合で12得点。国立初勝利を目指す滝川第二は4試合で15得点と攻撃力が売りの両チーム。立正大淞南7得点のMF17加藤、滝川第二の6得点のFW10樋口、5得点のFW11浜口の得点王のタイトル争いにも注目の一戦。滝川第二はCB5亀岡がイエロー累積で出場停止。さらに「実力的には遜色ない。彼も頑張ってきた選手なのでどこかで使ってあげたかった」(滝川第二・栫監督)とGK中尾に代えて下出をスタメンに抜擢。試合は、両チームとも中盤をコンパクトに保ちボールへの寄せも早く、序盤は立正大淞南がやや押し込む展開に。開始から10分までに左右のMF19小田、17加藤から良いクロスが数本入るも、得点には繋がらず。滝川第二は、立正大淞南の中盤のプレスに苦しむも強力2トップの樋口、浜口に早めに預けようという意識が強く、最初の決定機は19分。左サイドからのMF14濱田のクロスを樋口がヘッドで折り返し、MF15香川がシュート。かなりの至近距離からのシュートでしたが、立正大淞南GK三山がすばやい反応の好セーブで防ぎます。38分には、滝川第二の強力2トップがこの試合初めて絡んだ展開から決定機が生まれます。11FW浜口の左サイドからのクロスに相棒の10樋口が頭で合わせるも、ここもGK三山の好セーブにゴールならず。「2トップの攻撃も相手GK、DFの気迫で止められた」(滝川第二・栫監督)。前半の終盤は、滝川第二が押し込み立正大淞南がカウンターを仕掛ける展開が多くなり0-0のまま前半終了。そして「お互いチャンスを決めきれず、前半はのびのびできたけど後半は決勝を意識したのか固くなった」(滝川第二・栫監督)。「相手の2トップの攻撃とロングスローはケアした。後半勝負になることは意識していたので、90分走りきれるMF17加藤を後半からトップの位置に上げた」(立正大淞南・南監督)という後半。47分、後半最初の決定機も滝川第二でしたがMF9本城のシュートはGK三山が左手一本で防ぎ、これを合図に両チームに立て続けに決定機が訪れます。「前半は、FWの反応が遅くてパッとしなかった」(立正大淞南・南監督)と、あまり良いところのなかった立正大淞南に53分にビッグチャンス到来。MF17加藤のパスにFW14池田が抜け出すもシュートは惜しくも枠の外へ。59分には、ショートCKから試合前の監督の予告通りのトリックプレーを見せ、観客を沸かすも得点には繋がらず。その後、立正大淞南のDFラインが樋口、浜口の2トップのポジショニングに引きずられ下がり始めると中盤にスペースができ、人数をかけて攻め込む滝川第二は、相手クリアボールやこぼれ球をよく拾い63分、MF7谷口がペナルティエリア外から右足アウトにかけたミドルを放つもこれはポストを直撃。さらに78分には、左サイドに流れていたMF9本城のクロスをFW10樋口が巧みなトラップから強烈なシュートを放つもGK正面。正面だったとはいえ、またしてもGK三山の好セーブが立正大淞南を救いました。すると終盤は立正大淞南の猛攻が始まります。86分、左サイドMF19小田のクロスをFW14池田がゴール前フリーで合わせたディングシュートはバーの上へ。その直後の87分には、この試合最大の決定機が立正大淞南に訪れます。FW14池田のスルーパスに得点王のMF加藤が抜け出し、飛び出してきた滝川第二GK下出を巧みにかわし無人のゴールへシュート。その瞬間、「抜かれた瞬間やられたと思った」(滝川第二・GK下出)と、誰もが加藤の得点王と立正大淞南の決勝進出を確信しましたが、少し打ち急ぎたかに見えたシュートは何とサイドネットへ。無人のゴールのネットを揺らすことはありませんでした。そして、お互い数多くあったチャンスを生かせずにスコアレスドローのまま、首都圏開催になってから準決勝の2試合がどちらもPK戦になったのは初めてという2試合続けてのPK戦に。先攻の滝川第二、後攻の立正大淞南、2人ずつが外し9人目に突入したPK戦。「僕はベンチだったけど県大会決勝もPK戦だった。その時は中尾が止めていたので、自分も今日止めるイメージはあった」(滝川第二・GK下出)と、決められていたら負けていた立正大淞南7人目のキッカー止め7-6でPK戦を制し、滝川第二が国立初勝利と共に初の決勝進出を決めました。(テレビ中継は、途中で終わってしまったみたいですね…。同じ業界に身を置く者としていろいろ事情があるのは理解してますが…。)決勝戦に得点王のタイトルも懸かる2トップ樋口、浜口は「今日は何もできなかった。個人タイトルよりもチームの優勝」と口を揃え、敗退した立正大淞南の南監督は「選手は本当によくやってくれた。これを新しい一歩にしたい」と選手を讃え、立正大淞南の選手たちの「国立を楽しめました」という試合後の明るい顔も印象的でした。「テクニックがあって何をするかわからない『ややこしいチーム』」(滝川第二・栫監督)と評する京都・久御山との関西対決となった決勝戦。いよいよ明後日10日(月)に4185校の頂点が決ります。 石神
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高校選手権準々決勝 西武台×立正大淞南@フクアリ

第2試合はフレッシュな顔合わせ。激戦の埼玉を2年連続で制し、インターハイに続いての全国ベスト4に王手を懸けた埼玉代表の西武台と、過去自らが記録した県勢最高成績のベスト16を突破し、さらなる高みである国立へとその歩みを進めたい島根代表の立正大淞南の対戦。前日のコイントスで淞南が白いユニフォームを着ることになりましたが、共に黄色を基調とするチーム同士の激突とあって、スタンドもカラフルに彩られながら、キックオフを迎えました。いきなり4分、ルーズボールをやや強引にボレーへ持ち込んだ大宮入団が内定している清水慎太郎(3年・浦和レッズJY)のシュートが淞南ゴールを急襲して幕を開けたゲームが動いたのは10分。動かしたのは淞南。エリアのやや外でボールを持った池田拓生(3年・大阪セントラルFC)は体勢を崩しながらも「加藤(大樹・3年・ポルベニル カシハラ)と新里(大地・3年・大阪セントラルFC)が見えたんで、この辺に出しとけばどっちか反応してくれるだろう」とラストパス。反応した加藤はダイレクトで左スミにキッチリ流し込みます。アシストランクトップのパスから、得点ランクトップのゴール。最高の形で、まずは淞南がアドバンテージを取りました。一瞬の隙を突かれて先制された西武台もすぐさま反撃。11分、右SBの澤本玲(3年・レイソルSS青梅)が上げたクロスを阿部祐希(3年・さいたま木崎中)がドンピシャヘッドも、淞南GK三山大輝(3年・IRIS生野SS)がワンハンドで超ファインセーブ。直後の中村聡一郎(3年・三菱養和巣鴨)が蹴ったCKも、ルーズボールがゴールへ向かいますが、淞南CB竹内洸(3年・益田中)がライン上でクリア。前へのパワーで反発します。25分には双方に決定機。まずは淞南。小田悠太(3年・サンフレッチェ広島くにびきFC)、池田と繋ぐと右サイドから加藤が「自分の得意な形」というカットインシュートを放つと、ボールはクロスバー直撃。一転、西武台。左サイドを抜け出した佐々木雅人(3年・所沢安松中)の左足シュートは右ポストの根元直撃。27分、縦フィードを収めた新里のゴールまで30mはある距離から狙ったボレーはクロスバー直撃。わずか3分間で3度もボールと枠がクラッシュする、動きの激しいゲームが展開されます。そんな中でも、25分以降はドリブルとショートパスで前へとボールをしっかり運べる淞南に流れは傾き、29分にもGKがクリアしたボールを、小田が蹴り返し、池田がダイレクトで反応したシュートはわずかにバーの上へ。34分には徳永裕次(3年・西成JYSC鶴見橋)が左サイドを粘り強いドリブルで抜け出し、加藤が叩いたシュートは右ポスト直撃。これで3度もポストとバーにゴールを阻まれた淞南でしたが、「物凄い個人技での決定機で、うまいこといったのがポストに当たっちゃったので、落ち着いて戦えた」とは南健司監督。中盤以降は淞南ペースでハーフタイムに入りました。後半は開始早々の41分に西武台のエースがその本領を発揮します。前半から再三いいクロスを供給していた澤本のハイクロスに、高い打点のヘディングでゴールを撃ち抜いたのは清水。当然淞南も警戒していた中、それをも上回ったストライカーの一発。ゲームは振り出しに戻りました。ここからは一気に西武台がラッシュ。43分、中村の右クロスは佐々木がDFと競り合いながら飛び込むもGKキャッチ。50分、やはり右サイドで澤本のパスから中村が上げたクロス、清水のダイビングヘッドが枠を捉えるも、「大会通じてスーパーなレベルの高い守備ができている」と南監督も絶賛する中盤アンカーの稲葉修土(2年・大阪セントラルFC)がゴールライン上でブロック。逆転とはいきませんが、澤本と中村が躍動した右サイドを制圧した西武台がゲームの波をキャッチしました。55分には阿部の左クロスから、最後は上がってきたCB町山阿記(3年・浦和レッズJY)のシュートは枠の左へ。56分、阿部が左に流れながら打ったシュートは枠の右へ。絶え間なく降り始めたのは西武台が繰り出すシュートの雨。しかし、その雲間から覗いた一瞬の光を見逃さなかった淞南は58分、キャプテン中村謙吾(3年・ガンバ大阪門真JY)のロングスローを池田が巧みなトラップから縦に持ち出すと、足を畳んだボレーはゴール左スミに突き刺さります。後半最初の決定機をモノにした淞南が、再びリードを奪いました。かなり押し込みながら、ワンチャンスで失点し、再びビハインドを追い掛ける形になった西武台は、変わらず猛攻。64分、松本和樹(3年・A.N.FORTE FC)のフィードに清水が抜け出すも、淞南の右SB椎屋翼(3年・AVANTI KANSAI.J)が何とかクリア。66分、浮き球を清水がボレーで叩いたシュートは三山がキャッチ。68分、澤本の右アーリークロスを佐々木は収めて枠に飛ばすも三山キャッチ。69分、左クロスをDFがクリアすると、トラップした清水のシュートはゴール左へ。「結構焦りはあった」と清水。時間ばかりが経過していきます。すると72分、淞南は右CKを得たものの、なんと自陣に6人を残して加藤がボールキープ。これを「アレの練習はしている。ちょっと早かったが、ロスタイムが3分くらいあると思ったので、ラスト7分を基準にして10分間やって、逃げ切れよと言っていた」と南監督。75分には佐々木のシュートが枠の左へ外れ、79分には清水のラストパスから途中出場の岡田和貴(3年・HAN FC)が放ったシュートはDFに当たって右ポスト直撃。運も味方し、淞南の逃げ切り完了かと思われた82分、まだゲームは終わっていませんでした。蹴ってタイムアップという雰囲気のゴールキックを、緊張からか三山のキックが短くなり、拾ったのは西武台。町山の左クロスを清水が頭で折り返すと、飛び込んだ末松光(3年・レイソルSS青梅)のヘディングが淞南ゴールを打ち破ります。土壇場で10番が起死回生の同点弾。直後に迎えたタイムアップ。2対2。崖っぷちから生還した西武台。「最後まで諦めないで戦ってくれた」と守屋保監督。共に初めての国立を手繰り寄せるには、PK戦での勝利が必要となりました。先攻は西武台。1人目の清水は左スミギリギリへゴール。後攻の淞南も池田が右スミへGKの逆を突いてゴール。共に1人ずつ外して迎えた4人目、5人目はお互い確実にゴールを奪い、サドンデス方式に突入。それでも西武台の6人目が枠を外すと、淞南の6人目は左ポスト。試合は決まりません。迎えた7人目。西武台のキックは淞南GK三山がセーブ。そして淞南の竹内が思い切り中央に蹴り込み勝負アリ。最後の最後で追い付かれ、「心が折れてもおかしくない」(南監督)中でPK戦を制した淞南が、「数年前だったら国立に立つなんて考えられなかった」(同)島根県勢初のベスト4進出を見事に成し遂げました。 AD土屋
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高校選手権準々決勝 日章学園×滝川第二@ニッパツ三ツ沢

3回戦で王国の静岡学園をPK戦の末に振り切り、宮崎県勢初の国立を目指す九州唯一の勝ち残り日章学園。相手は、ここまでの3試合で12得点、そのうち樋口が5得点、浜口が4得点という得点能力の高い強力2トップを擁する滝川第二。「前半は足が重かった」(滝川第二・FW11浜口)ように序盤、滝川第二にあまり迫力は感じられず、ややポゼッションに優る日章学園が何発かミドルを放つも静かな立ち上がり。そして「相手は技術のあるチームなので、たまたま良い時間に点が獲れた」(滝川第二・栫監督)と振り返った前半8分、FW11浜口が絡んだこぼれ球を拾ったMF9本城のペナルティエリア外からの狙いすましたシュートが決まり滝川第二が早々と先制。強力2トップの樋口と浜口に気を取られていると他の選手にやられる。これが滝川第二の怖さなのかも知れません。さらに、樋口と浜口は二人とも身長は170前後ですが、ガッシリした体格なので球際に強くボールがよく収まります。22分には、左サイドからのMF15香川の完璧なクロスに「ヘディングはあまり得意じゃない」と言う樋口がダイビングヘッドで飛び込む今大会6点目のゴールで2点差になり、そのまま前半終了。流れを断ち切ろうと後半開始から2人を代えた日章学園でしたが、「後半からメンバーを代えてもなかなか機能しなかった。相手は2トップへのサポートも早かった」(日章学園・早稲田監督)と、試合展開は変わらず。後半7分の絶好の位置からのMF7早稲田のFKもわずかにポストの左へ。その後もMF早稲田の正確なセットプレーからチャンスを作るも、ここまでの3試合で2失点の滝川第二のDF陣を崩せず。滝川第二は前線にタレントがいるので、相手からボールを奪ってからシュートまでが早く、後半31分には、DF4土師のロングスローを浜口が巧みなトラップから振り向きざまに足を振り抜き今大会5得点目で3-0。日章学園は、攻守の切り替えの早い良いチームでしたが、危ない場面もほとんどなかった滝川第二が快勝。7年ぶりの国立で、国立初勝利を目指します。この日もアベックゴールを決めてみせた滝川第二の2トップ樋口と浜口。個々に見せ場は作りましたが、二人の連携という意味ではイマイチだったでしょうか。それでもゴールを決めてしまう二人は「滝二の歴史を塗り替えたい」と口を揃えます。歴史が塗り替わるであろう日は目前です。 石神
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高校選手権準々決勝 久御山×関西大学第一@ニッパツ三ツ沢

ベスト8に3校が勝ち残った関西勢。今日の三ツ沢にはその3校すべてが登場。まずは、徹底したパスサッカーで初の国立を目指す京都・久御山と、昨年の準決勝での驚異的な粘りが印象的で『月まで走れ』の横断幕でお馴染みの昨年選手権ベスト4の大阪・関西大学第一の関西お隣対決。キックオフから自分たちのスタイルであるドリブルとショートパスで仕掛ける久御山は、ボランチのMF14足立を中心に細かいパスを回しリズムを作り出します。対する関大一は「ある程度パスを回されることは分かってた。不用意に飛び込まず回させておけ」(関大一・佐野監督)という試合前の指示にもあったように、久御山にボールポゼッションで圧倒され、J1鹿島内定のMF9梅鉢の単発的な突破とカウンターからのロングボールにFW10井村を走らせるというくらいしか攻撃の形が作れません。久御山ディフェンダー陣はボールを奪っても簡単にタッチに逃げたり闇雲にクリアせず、GKも含めたDFラインでこれでもか言うくらいパスを回し関大一を揺さぶり、試合は完全に久御山ペースに。すると24分、先制点は華麗なパス回しからではなくセットプレーからでした。右からのCKにDF4塚本がニアに走り込みヘッドで合わせて久御山が先制。久御山は、得点後も圧倒的にボールを支配し試合展開どおりのスコアで前半終了。打開したい関大一は、FW13徳永に代えMF11小畑を入れ中盤を厚くし、FW5濱野をトップの位置に上げ後半に挑みます。その選手交代の効果もあってか、徐々に体力に優る関大一が中盤でボールが奪えるようになり、GK樫根が好セーブでピンチを救った2分後の17分、MF梅鉢の迫力のある突破からのこぼれ球をFW井村がループ気味に決め1-1の同点に。それでも全く焦りを見せない久御山は、いつも通りの徹底した細かいパス回しから、関大一も豊富な運動量からチャンスを作り出し、後半はほぼ互角の展開のまま試合は無情のPK戦に突入。試合後「こういった展開でのPK戦はよく負けてるんで、勝敗に関係なく元気にいこう」(久御山・松本監督)と語ったように、PK戦前の久御山の選手たちの明るさは観客も少しざわざわするほど異常ですらありました。もうPK戦はくじ引きみたいなもの。2人が外した関大一に対し4人が決めた久御山が初のベスト4と同時に初の国立のピッチへ。関大一は、2年連続の国立の夢にあと一歩でした。ちょっと大袈裟でしょうが『超リトル・バルサ』的な久御山のプレースタイルは、観ていて本当に楽しめます。 石神
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高校選手権準々決勝 山梨学院大附×流通経済大柏@フクアリ

昨年の王者・山梨学院大附と、3年前の王者・流通経済大柏。共に2度目の全国制覇を狙う強豪が、準々決勝で激突します。3回戦では、山梨学院が粘る駒澤大学高を1-0で振り切り、流経柏は前橋育英をPK戦の末に下すなど、お互いに苦労しての8強進出。ここを乗り越えれば、待っているのは聖地国立のピッチです。さて、流経ボールでキックオフされると、まず目に付いたのはその流経の戦い方。山梨学院のキーマン白崎凌兵(2年・FC東京U-15むさし)には「“自称”エース殺し」(流経・本田裕一郎監督)の古波津辰希(2年・小禄中)が、ボランチのレフティ荒木克仁(2年・レイソルSS青梅)には熊田陽樹(3年・ジェフユナイテッド市原・千葉U-15習志野)がそれぞれマンツーマンでマーク。攻撃もある程度前に蹴ることで、まずはリスク回避。守備に軸足を置いた立ち上がりを選択します。対する「マンツーマンは予想通り」と吉永一明監督が話した山梨学院は、スタートから積極的なアタックで攻勢に。3分、左サイドで長谷川紫貴(3年・FC東京U-15深川)が粘って折り返し、白崎のシュートは古波津が体でブロック。15分、加部未蘭(3年・FC東京U-15むさし)のパスを受けた堤健太(3年・宇治FC)が、右サイドからカットインしながら放ったシュートはDFにクリアされましたが、16分にもチャンス。白崎の左CKをDFがクリアすると、拾った長谷川の当たり損ねたシュートを大黒貴哉(3年・ガンバ大阪堺JY)が合わせ、わずかにクロスバーの上へ。攻撃の山梨学院、守備の流経という構図がハッキリとできあがります。ただ、一見外から見ると割り切って守っていたように見えた流経でしたが、「用心深過ぎて入り方がよくなかった」とは本田監督。20分には早くも1枚目の交替カードを決断。高橋翔也(3年・Forza'02)を下げて、「蹴り合いになるとちょっと高さが足りないので、ゲームが落ち着いてから入れようと思った」という田宮諒(3年・FCトリプレッタ)を1トップに送り込み、宮本拓弥(2年・Wings U-15)を右SHにスライドさせて反撃態勢を整えます。それでも23分には山梨学院のアタック。流経ディフェンスの乱れを突いて、加部、長谷川と繋ぎ、白崎がGKも外して狙ったシュートは、ここも古波津がブロック。流れは変わりません。すると26分、ピッチ中央をドリブルで突進し始めた加部は、“流経の壁”とも言うべきCBの増田繁人(3年・FCクラッキス松戸)の繰り出したタックルをヒラリとかわすと、右へ流れながらゴール左スミへ一直線にズドン。規格外と言ってよさそうなゴラッソが飛び出し、山梨学院が納得のリードを奪いました。ところが「それがサッカー」と言いながら、吉永監督も割り切れない表情を浮かべたシーンはその2分後。28分、流経が何気なく中央に蹴り入れたFKを増田が頭で落とすと、ゴール前で混戦に。DFがクリアしたボールは、なんと宮本拓弥の頭に跳ね返ってゴールの中へ飛び込みます。山梨学院からすれば何ともアンラッキー。本田監督も「スーパーゴール」と笑った不思議な同点弾で、ゲームはタイスコアに引き戻されました。さらに本田監督は追い付いた2分後、「ちょっと使い方が早過ぎた」と話したものの、左足小指の骨折を抱えている吉田眞紀人(3年・横浜F・マリノスJY)を投入すると、31分には吉田のスルーパスに抜け出した進藤誠司(3年・高浜中)が中へ折り返し、富田湧也(3年・ジェフユナイテッド市原・千葉U-15習志野)のシュートはバーの上へ。35分も流経。吉田の右足シュートは山梨学院GK畠山睦(3年・町田JFC)が触ってクロスバー直撃。こぼれを富田が残し、宮本のシュートに田宮が詰めるも、わずかに枠の左へ。吉田が早速チャンスを演出します。36分は山梨学院。堤のパスから長谷川のフィニッシュはバーの上へ。39分も山梨学院。白崎が右へ振ると、加部はドリブルから切り返しで1人を置き去り、左足シュートは枠の左へ。30分以降は解き放たれたかのようにアグレッシブさを流経が全面に押し出したことで、一気に打ち合いの様相を呈して、前半は終了しました。ハーフタイムを挟むと、立ち上がりから「後半勝負は合い言葉」(本田監督)という流経が主導権を掌握。45分、47分と進藤の突破から続けてFKとCKを奪うと、59分にも進藤が左サイドから上げたアーリークロスに田宮が突っ込むも、大黒が何とかクリア。左サイドに位置する進藤の、ボールを呼び込み勝負する積極的な姿勢が、チームに推進力を与えます。ただ、サイドが使えるようになったのも、やはり吉田が1トップ下でタメを創って基点になったから。これは「吉田君にボールが収まってから、ウチも前に出られなくなった」と吉永監督が触れた通り、山梨学院の攻撃に対する抑止力ともなり、ジワジワと流経の勢いとバワーがピッチを侵食していきます。山梨学院からすれば、「プレッシャーを掛けられて受けてしまったので、割り切ってスペースへボールを蹴って、前から守備するのも必要だったかもしれない」と指揮官が振り返った通り、繋ぎやドリブルを意識したこともあってか、相手のハイプレスに絡め取られ、強力2トップまでボールを運ぶことができません。ただ、61分に富田、田宮と回ったボールから、最後は進藤がフリーで放ったシュートにもキャプテンの宮本龍(3年・宇治FC)が体を張ってブロックするなど、宮本やCBの関篤志(3年・FC東京U-15むさし)を中心に、守備陣は集中を切らさず奮闘。押されている割にシュートまで持ち込まれる場面は多くなく、膠着した時間が続きます。こうなると、ゲームを左右してくるのはやはりセットプレー。71分、富田のCKはDFに当たってクロスバーを叩き、再び流経のCK。またも富田が入れたボールを鈴木翔登(3年・坂戸ディプロマッツ)が頭で左へ繋ぎ、宮本のクロスを増田が頭で落とすと、ボールは田宮へ。胸でワントラップしてから、すぐに右足を振り抜いたボレーが、ゴールネットを激しく揺らします。「1試合目と2試合目は調子がよくなかったので、やっと決められたと思った」という田宮の、県予選準決勝以来となる貴重な一発。残り8分。流経がとうとう逆転に成功しました。追い込まれた前回王者も何とか白崎と加部にボールを供給しようと、最後の力を振り絞りますが、本田監督が「立ち上がりにやられたんで火が付いちゃったかな」と評した増田を筆頭に、「たっぷり自信を持ってる」(本田監督)強靱なフィジカルでチャンスの芽すら創らせなかった流経ディフェンス陣。後半は相手に1本のシュートすら許さず、そのまま貫禄の勝利。流経が3年ぶりの国立切符を手中へ収めました。非常に流経のタフな強さが際立ったゲームだったと思います。前橋育英戦もそうでしたが、前半は明らかに「とにかく守備というイメージ」(増田)。今日は結果的に30分過ぎから攻撃のスイッチが入りましたが、失点していなかったら前半はあのままやり過ごしていたはず。ただ、それが可能なのはチームに後半の40分間で勝ち切れる絶対的な自信があるからではないでしょうか。アレだけ攻撃しながら、山梨学院の強力な攻撃陣をシュートゼロに抑えたことは、本当に驚異的。2度目の頂点まで、残されたゲームはあと2つです。 AD土屋
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高校選手権3回戦 前橋育英×流通経済大柏@フクアリ

早くも3回戦で実現した関東トップクラス同士の激突は、そのまま全国トップクラス同士の激突。まだ見ぬファイナルの風景を求めて、神村学園に室蘭大谷と難敵から共に4ゴールを奪って勝ち上がってきた前橋育英。前回選手権に出場して以来となる、3年ぶりの全国制覇へ明徳義塾を2-0で一蹴し、まずまずの滑り出しとなった流通経済大柏。明確に頂点を見据える両校の対戦は、ひょっとするとベスト8以降に組まれる、どの対戦カードよりも贅沢な顔合わせかもしれません。しかし、9017人と第1試合より多くの観衆を集めてキックオフされたゲームは、唐突に動き。7分、「どんどんプレッシャーが来るからノーリスクで」(山田耕介監督)と言われていたはずだった育英のDFラインに信じられない連携ミスが生じると、かっさらった進藤誠司(3年・高浜中)のパスから宮本拓弥(2年・Wings U-15)がシュート。育英GK牛越健太(3年・F.C.CEDAC)もファインセーブで弾き出しますが、リバウンドを進藤がキッチリ流し込みます。「前半はとにかく守備というイメージだったので嬉しい予想外」とはキャプテンの増田繁人(3年・FCクラッキス松戸)。思わぬ格好で流経に先制ゴールが転がり込みました。さて、嫌な形でリードを許してしまった育英も9分、小島秀仁(3年・ヴェルディSS小山)のFKから、失点に絡んでしまった北爪健吾(3年・前橋エコー)のヘディングは、流経GK緒方大樹(3年・帝京中)にファインセーブで阻まれましたが、チャンス創出。それでも14分には逆に流経に好機。右SBの鈴木翔登(3年・坂戸ディプロマッツ)が頭で繋ぎ、富田湧也(3年・ジェフユナイテッド市原・千葉U-15習志野)のボレーはクロスバー直撃。育英はリズムを掴めません。その要因は小島と小牟田洋佑(3年・FC佐野JY)をうまく封じ込められたこと。小島には、ほとんど公式戦は初めてという熊田陽樹(3年・ジェフユナイテッド市原・千葉U-15習志野)がマンツーマン気味に付き、配球の起点を抑えにかかると、「自分がもっと動いてスペースを創り、ボールを引き出さなくてはいけなかった」と小島本人も語るなど、ある程度は策が奏功。最終ラインの増田も「熊田と古波津(辰希・2年・小禄中)がよく潰して、効いていた」と話したように、湯川純平(3年・大宮アルディージャJY)に小島と攻撃のスイッチを入れられるドイスボランチをケアしたことで、サイドからの展開も封じます。さらに育英からすれば痛かったのは小牟田へボールが収まらなかったこと。「マッチアップは全部勝ちたかったのに、立ち上がりは抑え切れなかった」とは増田ですが、実際はその増田がほとんど小牟田とのマッチアップに勝利したことで前に基点ができず、ここに当ててから次々と2列目3列目が飛び出していく本来のスタイルが出せなかったことが、攻撃が停滞した一番の理由だったように感じました。31分には右サイドで小島の左足フィードをトラップした戸内英輔(3年・クマガヤSSC)がボレーを放ちましたが、これを含めて前半の育英が記録したシュート数は3本。「ゼロゼロでOKだったのに、点まで取って」と話す本田裕一郎監督からしてもおそらくプラン以上の展開で、流経リードのままハーフタイムに入りました。ところが後半に入ると、またも意外な形でスコアが動きます。47分、育英は飯沼壮貴(3年・前橋エコー)、小島と繋ぎ、湯川のシュートがDFに当たると、ボールは高く上がってピッチへ弾みます。これに「バウンドを合わせ、体を入れてDFを抑えて足を伸ばした」という小牟田のボレーは、GKのニアサイドを打ち破り、そのままゴール。10番を背負ったストライカーの3戦連発となる同点弾。ゲームは振り出しに戻りました。すると流れは一転。途端に育英の反攻開始。50分、じっくりとビルドアップしながら、最後はエリア外から白石智之(2年・前橋FC)がトーキックで狙ったシュートは緒方がファインセーブ。52分、飯沼のシュートチャレンジも緒方が何とかセーブ。「後半は自分たちで動いてスペースを創れた」と小島。「小島と湯川に持たれて、付き切れずにサイドに振られた」と増田。育英ペースが続きます。本田監督もたまらず55分、よく役割を果たした熊田に替えて、「左足の小指が折れてるので、本当は休ませたかった」という、名古屋内定の吉田眞紀人(3年・横浜F・マリノスユース)を投入。さらに58分には菅谷大樹(2年・今市中)を下げて、中村慶太(2年・ARTISTA FC)を送り込み、吉田を1トップに入った宮本のすぐ下に置く4-2-3-1にシフトして、劣勢を跳ね返しに掛かります。育英も64分には戸内と柏俣翔也(3年・東松山ペレーニアFC)を入れ替え、小島を2トップ下に移し、湯川がアンカーに入る中盤ダイヤモンドの4-4-2にシフト。小島と吉田。浦和に名古屋とJリーグ入団が内定している2人の“14番”が共に司令塔の位置へ入り、決定的な仕事を遂行する機会を窺います。それでもよく鍛えられたチーム同士だけあってなかなかお互いの守備網は漏れず、シュートシーンを創るのも一苦労。76分は流経のビッグチャンス。中村が左へ展開し、進藤が中へ送ると吉田がシュートを放つも湯川が決死のブロック。こぼれ球に反応した富田がフリーで打ったシュートもわずかに枠の左へ。終了間際の84分、中央左寄り、ゴールまで約25mのFKは育英。キッカーの小島が短い助走からカベの右側を巻いたキックは、右ポストの外側を叩いて枠外へ。ビッグマッチは両者譲らずドロー。ベスト8進出の権利はPK戦という過酷な方法で決着を付けることになりました。先攻となった育英の1人目は小島。スタンドが固唾を飲んで見守る中、「GKを見ないで思い切り蹴った」ボールは無情にもクロスバーの上へ。後攻の流経は吉田が成功。育英2人目の湯川が左下を狙ったキックは「毎日PKの練習はしてたので自信はあった」という緒方が完璧なセーブ。流経は富田が成功。3人目は育英の北爪、流経の進藤、共に成功。育英4人目の小牟田が左スミを狙ったキックは本田監督の「最低でも1本は間違いなく止めてくれる」という信頼に応えた緒方が2本目のセーブ。「PK戦の前に「勝った」って言って送り出した」指揮官の予言通りに、毎日行ってきたPK練習の成果を発揮した流経が、次のラウンドへと駒を進める結果になりました。「育英とはしょっちゅうやってたのでお互いにやりにくい相手」と本田監督も話したように、ある程度手の内を知り尽くした両者の力は、ほとんど互角だったと思います。実際に80分間の中でも差は付きませんでした。こうなると勝敗を分けるのは小さなディテール。「ボールをセットした時に相手の選手は動揺しているのがわかったので、自分の方が気持ちで上だ、止めれるなと思った」とは2本のPKをストップした緒方。そう思えた緒方のメンタルと、そう思わせた本田監督が日頃から施してきたであろうメンタルコントロール。流経が勝ち上がった理由は、そんな部分の地道な積み重ねだったのかもしれません。 AD土屋
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高校選手権3回戦 山梨学院大附×駒澤大学高@フクアリ

初出場初優勝を成し遂げた昨年の快挙から1年。2回戦屈指の好カードと目されていた国見戦に3-1と快勝し、全国連覇へ順調なスタートを切った山梨学院。一方、国立での開幕戦で強豪・大津を破ったのに続いて、2回戦ではこれまた名門の星稜をPK戦で撃破し、3回戦までその歩みを進めてきた駒澤。関東勢同士の対戦ということもあってか、フクアリに集まった観衆は7596人。14.0度という、選手権の開催期間中にしては暖かい気候の中でキックオフを迎えたゲームは、いきなり1分に荒木克仁(2年・柏レイソルSS青梅)、3分に加部未蘭(3年・FC東京U-15むさし)がミドルレンジからシュートを放ち、山梨学院が勢い良く飛び出しますが、「最初から来ると思っていた」と山梨学院の吉永一明監督も話したように、序盤の出足で上回ったのは逆に駒澤。4分、長澤卓己(3年・東京ヴェルディ1969JY)が黒木海人(3年・ヴェルディSS相模原)とのパス交換からエリア内へ入り、フィニッシュは山梨学院GK畠山睦(3年・町田JFC)に阻まれましたが、1つ惜しいシーンを創ると、7分にも高平将史(3年・サウスユーベFC)のシュートがこぼれた所に長澤が詰め、何とか関篤志(3年・FC東京U-15むさし)がクリアしたものの、立て続けにチャンスを生み出します。12分には抜け出した白崎凌平(2年・FC東京U-15むさし)の絶妙ループを、GK岸谷紀久(3年・FC.GIUSTI世田谷)がバックステップから右手一本で何とか掻き出すと、逆に14分にはビッグチャンス到来。駒澤最強の飛び道具である黒木のロングスローに、飛び出した畠山がパンチングで弾いたこぼれ球を、長澤がダイレクトボレーで叩くと、無人のゴールへ向かったボールはわずかにクロスバーの上へ。以降も守備面においても速いアプローチで山梨学院にポゼッションを許さず、なかなか白崎と加部の強力2トップにボールを入れさせなかった駒澤がまずはゲームの主導権を奪取します。ところが、22分に荒木のFKから最後は堤健太(3年・宇治FC)が岸谷にファインセーブを強いるボレーを放った辺りから、一気に形勢逆転。24分には加部、白崎、宮本龍(3年・宇治FC)、荒木と4本続けて繰り出された山梨学院のシュートをいずれもDFがブロック。同じく24分、白崎の直接FKは枠を捉え、岸谷が何とかキャッチ。26分、堤、宮本の連続シュートも池田慶介(3年・FRIENDLY)と吉川大星(3年・深川第三中)が連続ブロック。突如開始された山梨学院の猛ラッシュに、駒澤は防戦一方となっていきます。そして遂に駒澤城陥落は30分。6分前に白崎が蹴ったのとほとんど同じ、左サイドでゴールまで約25mの位置。今度はレフティの荒木に託されたFKは、ゴール右スミへ綺麗に飛び込み、しっかり流れを掴んだ山梨学院に先制ゴールが生まれました。緩まない攻撃姿勢。33分、荒木の30m近いミドルは高く上がって右ポスト直撃。34分、堤のパスをうまいトラップで縦に持ち出した白崎のシュートは、枠のわずかに左へ。37分、白崎のドリブルシュートは岸谷がキャッチ。全体的にラインが下がってセカンドも拾えなくなった駒澤を、15対4というシュート数が象徴するように、20分過ぎからは山梨学院が圧倒する形でハーフタイムへ入りました。迎えた後半は、「リードされているので相手のパワーが上回ってくるのは確か」と吉永監督が話したように、ネジを巻き直された駒澤に再び縦への推進力が復活。黒木、高平のSHと右の吉川に、左の池田とSBも積極的にオーバーラップを敢行し、シュートには繋がらなかったものの42分、45分、46分と続けてCKを獲得すると、49分にも黒木とのワンツーで左サイドを完全に崩した池田がクロスまで持ち込むなど、両サイドの攻防で優位に立ち始めた駒澤の攻撃する時間が長くなっていきます。ただ、昨年も全国優勝を最後尾で支えたCBの関を中心に築く山梨学院の堅陣はやはり強固。加えて、碓井鉄平(現・駒澤大学)から7番を受け継いだ宮本も、抜群のバランス感覚と危機察知能力を随所に発揮し、ここぞというシーンでは必ずと言っていい程に姿を現わすと、ピンチの芽を積んでいき、駒澤にシュートまでは持ち込ませません。大野祥司監督も60分にはエースの山本亮太(3年・ヴィヴァイオ船橋SC)を下げて、東呈次(2年・FC駒沢U-15)を投入。さらに67分、開幕戦で決勝ゴールをマークした須貝暁(3年・田無第二中)を諦め、木村直貴(2年・有馬中)を送り込むと、72分にもボランチの宮崎力太郎(3年・FC.GIUSTI世田谷)と飯泉優人(1年・FC東京U-15深川)を入れ替え、高平を2トップに上げて、何とか1点を奪いに行きます。74分には山梨学院。白崎、堤と繋いで、加部がヒールで落とし、白崎が狙ったシュートはゴール右へ。76分は駒澤。黒木のロングスロー、こぼれを再び黒木が中へ上げるもオフェンスファウル。そして終了間際の79分、左サイドから黒木が中へクロスを送ると、こぼれたボールを長澤がミドルゾーンから思い切ってシュートチャレンジ。糸を引くようなボールはゴールへ一直線に向かって行きますが、直後に響いたのはクロスバーの金属音。アディショナルタイムの5分も経過すると、長い長いホイッスル。「非常にハードワークしてくるので、やりにくかった部分はあった」と吉永監督は振り返りましたが、最少得点差ながらキッチリと勝ち切った山梨学院が、史上7校目となる連覇へ向けて、3回戦を突破しました。1つ触れておきたいのは山梨学院の選手たち。苦しい試合を勝利し、喜びを爆発させてもよさそうなものですが、彼らは仲間同士の抱擁もそこそこに、駒澤の選手に駆け寄り、声を掛け、健闘を讃えていました。記憶している限りでは、昨年も山梨学院の選手たちは同じように相手の健闘を讃える姿が見られたように思います。非常にいい光景だと私は思いました。さて、実は個人的に今年の高校サッカー界で一番たくさんのゲームを取材したのが駒澤でした。4月に駒沢補助でT-1のゲームを見てから9ヵ月。失礼を承知で言うなら、あのチームがまさか選手権に出場し、2回も勝つなんて想像もしなかったことでした。高校生がいかに自信を付けて、成長していくのかをまざまざと見せてくれた駒澤の選手たちに、そして大野監督に心から感謝したいと思います。 AD土屋
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高校選手権2回戦 広島皆実×青森山田@西ヶ丘

2回戦注目のカード広島皆実対青森山田戦は西が丘サッカー場に8056人の観衆を集め超満員の中、試合は始まりました。両チームともシステムは4−4−2の2ボランチ、ただし青森山田の10番・柴崎はセンターバックの二人の前でアンカーのポジションをとっていることが多かったです。序盤は堅守・広島皆実ペース。18分FKからのチャンスに4番・森重のダイレクトシュート、23分には8番・浜田のクロスから7番・桂のシュートと青森山田のゴールを脅かします。広島皆実の10番・香山、14番・渡のドリブルが青森山田のDFを苦しめていました。 しかし前半25分青森山田はFK素早くスタート左サイド8番三田からのパスを柴崎がダイレクトで左足シュートGK西原が弾いたと所を17番・橘が詰めて先制します。 青森山田はこのゴールでイッキに流れをつかみます。3分後にも柴崎がDFの裏に左足からループパス、三田が飛び出して合わせゴールを決め0−2とします。 さすが柴崎というパスだったのですが青森山田の二人FW成田、橘がよく守備をして相手のミスを誘っていました。 前半32分広島皆実は渡のドリブルから香山が左足シュートを放ちますがGK櫛引(清水入り内定)が弾いて0−2で前半を折り返します。櫛引はキック正確で頼もしいGKでした。 後半は青森山田が広島皆実の攻撃を上手くかわして進みます。65分には成田、橘パスから柴崎のダイレクトのシュートがバーを叩きます。 一方、広島皆実は固い守りからいい形を作りますが最後のところが上手くいかずゴールを割れません。そして後半72分FW宮原(2年前の優勝メンバー)を投入、その2分後に6番前田からの浮きパスを宮原がトラップで上手くGKをかわして無人ゴールへシュート、しかし無情にも右にはずれて万事休す。昨年度準優勝の青森山田が勝って3回戦進出を決めました。 試合後、青森山田・黒田監督は「後半は2点をキープしてあわよくば3点目狙い、相手に1点取られることもっと警戒した。柴崎はクールだけど浮ついたところも無くキャプテンとしてチームをしっかり纏めている」とコメント。対する広島皆実・藤井監督は「攻撃は思った以上に良くやった、選手交代も上手くいっ た。2点失ったことは余計だったがサッカーとはこんなもの」と意外とサバサバしていました。両チームともベストメンバーで臨み、持てる力をしっかりと出した好ゲームでした。甲斐
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天皇杯決勝 鹿島×清水@国立

元日国立。9月3日13時、札幌厚別と秋津でキックオフを迎えた1回戦から数えて87試合目。さらに言えば、それこそ春先から全国中で数多のチームが参加し、敗れていったその末に待っていたのが、2011年最初の日本一を懸けた天皇杯決勝。毎年恒例となった快晴のコンディション下で、賜杯の行方が争われます。リーグ戦は4位に終わり、この大会には優勝と共にアジアへの切符を勝ち獲るという大きなモチベーションを抱いて臨んでいる鹿島。一方、既に発表されている選手に加えて、さらに何人かの主力も退団が噂されるなど、長谷川健太監督の築いた一時代の終焉を確実に迎えた清水。それぞれの想い、それぞれの決意を胸に、ファイナルにふさわしい聖地・国立競技場にて、最後の戦いが幕を開けました。5分に鹿島の大迫が、6分に清水の岡崎が共に最終ライン付近で好守備を見せたことからもわかるように、立ち上がりはお互いかなり慎重なスタート。11分に曽ケ端のフィードを野沢が収めて、鋭い反転から左足で距離のあるボレーを放ったのが両チーム通じて最初のシュートで、SBもなかなか前には出て行かず、動きの少ないゲームが展開されます。15分には鹿島にチャンス。大迫のパスを野沢が左へ振ると、興梠はダイレクトで枠へ飛ばしましたが、ボールは山本海人の正面。決定的なチャンスも先制ゴールとはいきません。20分は清水。ボスナーのフィードを岡崎がうまいトラップで縦に持ち出し、中で完全にフリーになっていたヨンセンへ上げた低いクロスは、少しズレてシュートを打てず。詰めた山本真希のシュートもGKにキャッチされ、こちらもゴールには至りません。ただ、清水が前半で迎えた決定機はこれが最初で最後。長谷川監督も「こちらがバタつく間に圧力を掛けられ、前線に基点ができなかった」と振り返ったように、ヨンセンへしっかりボールが収まるようなシーンはほとんどなく、それによって「全体的に硬く、連動してうまくできなかった」と話す藤本と岡崎も効果的に攻撃へ絡めず、手詰まりに。ほとんどチャンスらしいチャンスを創れないまま、焦れる時間が続きます。すると26分、セットプレーのチャンスは巧者鹿島。小笠原の左CKは高さのある選手が密集する二アを抜けると、反応したのはチームで3番目に身長の低いフェリペ・ガブリエル。リーグ戦でもわずか2ゴールのブラジル人が、絶対に負けられないファイナルで大仕事。鹿島が実に“らしく”、セットプレーから大事な先制ゴールを奪いました。さて、1点のアドバンテージを得た鹿島は、ここから前半終了まで1本のシュートも許さずにゲームを進めましたが、その安定感抜群の守備陣で存在感を発揮していたのが、準決勝の後半に続いてCBを任された中田。パートナーの伊野波も「経験もあるし、コンビネーションは問題なかった」と話したように、急造とは思えない落ち着いたプレーでヨンセンを封じ込め、清水に付け入る隙を与えません。これには長谷川監督も「前半は鹿島のゲーム。何もやらせてもらえなかった」とキッパリ。点差はわずかに1点でしたが、内容にはそれ以上の差を感じさせる展開で、前半は終了しました。「お前たちの方が上。自信を持ってやること」と檄を飛ばして選手を後半のピッチへ送り出した長谷川監督が、ハーフタイムで手を付けたのはシステム。4-3-3から、ヨンセンと岡崎の2トップに、藤本を右、小野を左へ置き、ボランチには山本真希と本田を並べた4-4-2へシフトします。これが「前線でタメができたし、小野と藤本がボランチの横で基点を創って、展開が非常にスムーズになった」と長谷川監督が話したように奏功。51分には市川が奪ったCK。藤本の蹴ったボールは、フリーになった小野へこぼれ、ボレーはクロスバーを越えたものの、前半はほとんど見られなかったSBのオーバーラップから1つチャンスを創出します。一転、54分は鹿島のビッグチャンス。フェリペのインターセプトから、大迫は広い視野で右サイドをフリーで走る野沢へスルーパス。野沢のフィニッシュは、山本海人がセーブしましたが、一瞬の切れ味を清水の喉元へ突き付けます。56分は清水。藤本のCKがクリアされた流れから、本田のフィードを岩下が落とし、小野の左クロスをヨンセンが折り返すと、混戦からボスナー、岡崎と押し込めず。それでも、ここに来てセカンド奪取も含めた出足の良さで上回る清水に流れが傾いてきました。そんな中で迎えた59分、相手のゴールキックを拾うと、小野のパスを受けた本田は縦パスを選択。一瞬揃ったDFラインを巧みにブレイクしたヨンセンは、「GKも前に出てきたのでちょっと触っただけ」と右足を伸ばし、曽ケ端の頭上を破るループ。懸命に戻った中田も及ばず。今日が日本でのラストゲームとなるノルウェーの巨人が貴重な惜別弾。清水がスコアを振り出しに戻しました。追い付かれたオリヴェイラ監督は迷わず決断。62分、先制ゴールのフェリペを下げて、「バイタルエリアでの落ち着いたプレーは日本で一番」と評価する切り札・本山を投入。準決勝同様、興梠を1トップに置いて、その下に右から野沢、本山、大迫の3人を並べる4-2-3-1にシフトすると、こちらも準決勝同様、本山がバイタルを泳いで受けてを繰り返す内に鹿島がペース奪還。70分、野沢がDFラインの裏へ送ったボールを岩下は見失い、フリーになった興梠のシュートは左ポスト直撃。71分、清水のパス回しを奪った興梠は左クロス、野沢の折り返しに走り込んだ小笠原のボレーは、間一髪でボスナーがブロック。攻勢だったはずの清水ゴール前が俄かに騒がしくなっていきます。そして77分、興梠が岩下に倒されて獲得したFK。中央左、ゴールまでは約20mの距離を一瞬で撃ち抜いたのは「ここは自分が行くと言って蹴った」野沢。山本海人も壁の真上を越えてきたボールに触れてはいましたが、わずかに上回ったのは鹿島の執念か。2-1。再び鹿島が1点のリードとなりました。81分、長谷川監督は小野OUTで原を前線にIN。岡崎を2トップ下に回し、本田をアンカーに、右が伊東、左が藤本という中盤ダイヤモンドの4-4-2へ。83分、トラップで新井場と入れ替わった太田の素晴らしい高速クロスは、岡崎、ヨンセンと合わせ切れず。87分、本田OUTで大前IN。さらにボスナーも最前線に上げ、「ツインタワーにして、そのセカンドを狙う形」(長谷川監督)で最後の勝負に出ましたが、急造とはいえ鹿島ディフェンスの牙城は揺るがず、らしい時間の“消し方”も健在。94分24秒、元日の空を切り裂く家本政明主審のホイッスル。「シーズンを通してタイトルを獲れずに終えるというのは、僕の中では飲み込めない結果」というオリヴェイラ監督の言葉は、おそらく鹿島の選手全員にも共通した想いのはず。このゲームをもって現役生活に別れを告げた大岩が掲げた天皇杯。2010年度最後の、そして2011年最初のタイトルは鹿島の頭上に輝きました。 AD土屋
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高校選手権1回戦 室蘭大谷×四日市中央工業@柏の葉

第2試合は高校サッカー界の超名門対決。29回目の出場となる北海道代表の室蘭大谷と、28回目の出場となる三重代表の四日市中央工業が激突します。ゲームが始まると、まずリズムを掴んだのは室蘭大谷。6分には縦へのシンプルなフィードに内山北斗(1年・コンサドーレ札幌U-15)が抜け出すと、ここは2年続けて大会優秀選手に選出されている四中工のGK村井泰希(3年・名張WEST FC)の飛び出しに阻まれますが、まずは裏へという意識を垣間見せると、16分には短い1タッチ2タッチのパスを6本繋いで四中工ゴールへ迫るなど、バリエーションを持って攻勢に出ます。すると18分に飛び出したビッグプレー。山田秀之(3年・札幌ジュニアFC)からパスを受けた石川勝智(3年・室蘭大沢FC)は、ゴールまで30m以上ある距離から突如ミドルにチャレンジすると、意表を突かれたか村井はほとんど一歩も動けず。ボールはゴール右上の絶妙なコースに吸い込まれます。1年生からレギュラーを務めながら、ラストチャンスでようやく選手権の舞台に立った10番のゴラッソ。先制ゴールは室蘭大谷が奪いました。さて、1点を追い掛ける四中工も失点の1分後に決定的なシーンを創出。エリア内へドリブルで侵入した太田尚志(3年・岡崎竜南中)が、左へ持ち出して放ったシュートはクロスバーにヒット。同点ゴールにはなりませんでしたが、相手に個人技の脅威を与えます。四中工はエースナンバーの17番を背負う山口幸太(3年・知多SC)を最前線に、やや引き気味の位置でボールを受ける太田、中盤の杉田健臣(3年・伊賀FC JY)、宮井邑誠(3年・名古屋FC)に、ボランチの福田晃斗(3年・名古屋グランパスU15)らが少ないタッチ数のパスやドリブルでボールを細かく動かすスタイル。ただ、1人1人の技術は高いものの、縦へギアを上げるプレーが少なく、フィニッシュまで繋がるシーンを創れません。さらに頼みの山口も、札幌入団が内定しており、「キャプテンでチームを鼓舞することもできるし、前の選手も思い切ってやれる所があると思う」と室蘭大谷の及川真行監督も全幅の信頼を寄せるCB櫛引一紀(3年・緑陽中)に抑え込まれ、思うようなプレーをさせてもらえません。33分には、右サイドから杉田が上げたクロスがゴール前で混戦になり、最後は山口が至近距離からシュートを放ちましたが、GK中西健太(2年・SSS JY)が弾き返し、同点ゴールならず。逆に室蘭大谷にも34分に好機到来。ハーフウェー辺りでボールを受けた内山がドリブルでグイグイ持ち上がり、1人かわして放ったシュートは村井のファインセーブに遭いますが、チームのエースストライカー安藤瑞樹(3年・浦幌中)の負傷により、スタメンに抜擢された1年生も存在感を発揮。室蘭大谷が内容もスコアも上回って、前半は終了しました。後半に入ると、ゲームの流れを大きく決定付けるゴールが生まれたのは46分。「ある程度自由にやれと言っていた」と及川監督も話したドイスボランチの一角を務める小玉翼(3年・室蘭SC)が、左サイドで石川のショートコーナーを受けると、「速いボールを入れようと思ったら、ミスキックになりました」と本人も認めたクロスが思いの外、伸びてニアサイドのいいコースへ飛ぶと、意外な軌道に一瞬対応が遅れたGKが掻き出せず、そのままボールはゴールの中へ。「ずっとケガで苦しんでいたが、彼がいるともっとウチらしさが出てくる」と指揮官も評するレフティがもたらした追加点。ゲームの動き方や展開から見ても非常に大きな2点目が室蘭大谷に記録されました。厳しいビハインドを負った四中工は48分、杉田がドリブルで1人かわしながら右へ流れ、枠に飛ばしたシュートは中西がキャッチ。樋口士郎監督も51分、宮井を下げて浅野拓摩(1年・八風中)を送り込み、太田を右SHに回して、杉田を山口のすぐ下に位置させます。それでも流れはなかなか変わらず。「前半はやられてたので、相手のドリブルにもっと距離を詰めようと話していた。そこは修正できた」とは小玉。室蘭大谷の堅い守備ブロックを前に、時間ばかりが経過していきます。74分には杉田のFKを太田がヘディングでゴールに流し込み、追撃の狼煙かと思われましたが、副審のフラッグが上がり、オフサイドでノーゴール。結局、後半は相手のシュートを1本に抑えた室蘭大谷が名門対決を制して、前橋育英との2回戦に駒を進めました。四中工はテクニックで考えれば室蘭大谷を凌駕していたと思いますが、その武器をゴールという方向に最後まで向けきれなかった印象です。エリア付近でもよくボールは回りましたが、2点を追い掛ける展開でシュートが1本しか記録されなかった辺りに、それが象徴されている気がします。勝った室蘭大谷は、櫛引を中心とした守備の強さが目を惹きました。加えて、石川、小玉の2枚が縦への推進力も備えていることで、攻撃にも厚みが出ていたように見えました。「チーム全体で粘り強くやることができた」と小玉。全員サッカーでどこまで強豪・前橋育英と渡り合えるか、非常に楽しみです。さて、この投稿が2010年最後のエントリーとなりました。2011年一発目は明日の天皇杯決勝レポートとなる予定です。今年も皆さん本当にありがとうございました。2011年もよろしくお願いします。 AD土屋
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高校選手権1回戦 駒場×滝川二@西ヶ丘

西が丘の天候は晴れ、無風とこの時期としては最高のコンディションで試合は始まりました。両チームとも4−4−2のダブルボランチのシステム。駒場はブロックを作って守り相手の背後を狙って攻撃をしけかけます。対する滝川第二は素早いプレシ