J2第23節 湘南×熊本@平塚
前々節は昇格圏内をキープし続ける千葉を2-0と撃破し、7試合ぶりの勝利を挙げたものの、前節は中位に付ける大分に1-3で敗れるなど、なかなか調子が上がってこない湘南。そろそろリーグも折り返し地点に差し掛かることを考えれば、1つ負けが先行している数字を、五分へ戻しておきたいゲームです。一方、先週の国立ではFC東京相手に5-0と大敗を喫した熊本。前半で退場者を出したとはいえ、試合後選手たちが口を揃えたのは「レベルが違った」というフレーズ。今日のゲームはメンタルのリカバリーが問われる一戦です。
7月最後の日にしては23.6度と相当涼しい中で始まったゲームは、まず熊本にチャンス。2分、「アジリティを期待して」(高木琢也監督)7試合ぶりにスタメン起用された松橋章太が右サイドで縦へ転がし、武富孝介の外を回った市村篤司がクロス。ボールは長沢駿にキッチリ合い、ボレーは当たらなかったものの、敵将の反町康治監督も「相手のストロング」と評した右サイドから形を創ります。
湘南も同じく2分には臼井幸平が右サイドからカットインミドルを枠へ飛ばし、熊本GK南雄太がセーブ。5分も湘南。永木亮太のパスを受けた高山薫が、左から切れ込んで枠の左へ外れるシュート。10分も湘南。菊池大介が思い切りよく放った30mミドルは、南が確実にセーブ。手数を繰り出すホームチーム。ただ、展開自体は「あそこまで下がってくるとは思わなかった」と高木監督が話した湘南が長いボールを多用したのに対して、繋ぐ意識の高い熊本はポゼッションで上回り、わずかに攻勢。
11分には湘南がボールロストを連発した流れから、西森正明が左足でクロスバーを越えるフィニッシュ。13分、武富のミドルは湘南CB大井健太郎の頭に当たり、高く上がるとクロスバーの上にヒット。14分、吉井孝輔のミドルは枠の右へ。ポゼッションの割にはミドルばかりが目立ったにせよ、熊本がある程度主導権を握っていたと思います。とはいえ、皮肉にもポゼッションが災いしてか、長沢と松橋の2トップにボールが入る場面は少なく、逆にシンプルな攻撃を繰り返す湘南に少しずつ流れが移行。
21分、臼井、永木、佐々木竜太と回り、坂本絋司のシュートは熊本のCBを務める福王忠世が体でブロック。25分には熊本に訪れたFKのチャンスを原田が外すと、ホームチームに決定機。29分、福王のパスを受けた西森が緩慢なターンでボールをさらすと、かっさらった永木の前には南とゴールだけ。シュートは枠の左へわずかに逸れ、スタンドからは溜め息も漏れますが、31分にも再び決定機。中盤でのガチャガチャした混線から、坂本が触ったボールを持ち出した永木は独走。今度は慎重に南もかわし、無人のゴールへ流し込んだはずのボールは、諦めずに全力で戻った35歳のエジミウソンが超スーパーブロック。「今までの我々にはあまりない、奪ってからのスピードアップ」(反町監督)で連続した絶好の先制機を生かせません。
さらに45分、菊池の左CKをニアに走り込んだ高山が頭に当てたボールは、ほとんどゴールに入りかけていましたが、ライン上にいた南が驚異的な反応を見せ、足でクリア。湘南からすれば、15分以降は狙いがハマりながらも、ゴールだけが生まれなかった展開。前半はスコアレスで終了しました。
後半はまず熊本にチャンス。49分、長沢の落としから、武富が右クロス。こぼれ球に反応した原田のミドルは、DFに当たってわずかに枠の右へ外れます。すると、ここを凌いだ湘南が歓喜の時を迎えたのは51分。菊池が左へ展開すると、佐々木はカットインしながら強烈なミドルを枠内へ。南も懸命に弾きましたが、ここに詰めていたのは高山。前半からプレーというよりも判断にキレがなく、なかなかゲームに入れていなかった“パイナップルARMY”が大仕事。ようやく湘南がリードを奪いました。
さて、「0対0だったら僕は引かせたと思う」と語った高木監督でしたが、ビハインドを負ったからには前へのパワーが求められる中、61分には松橋と西森を下げて、宇留野純と片山奨典を同時投入。さらに68分には最後のカードとして、吉井とファビオをスイッチすると、武富と長沢を2トップに据えて、その下はファビオ、右に宇留野で左に片山、アンカーにエジミウソンという配置で勝負に出ます。
73分にはエジミウソンを起点に右サイドで市村を経由し、ファビオのクロスに長沢が頭を伸ばしたものの、シュートには持ち込めず。75分前後からはエジミウソンをCBの間に落とし、原田と武富にボランチを組ませ、前線は右から宇留野、長沢、ファビオを並べた3-4-3に切り替え、何とか1点をという姿勢を打ち出しますが、「リードされたことで長いボールを頼りにしてきてくれた」とは反町監督。今日は石神直哉の出場停止を受けて、左SBにはCBもできる山口貴弘が入っていたため、前半から長沢は167センチとDFラインで最も背の低い臼井サイドへ流れていましたが、「自分たちの判断で幸平と健太郎が替わって対応していた」(反町監督)ことでカバー。加えて、176センチのCB遠藤航も10センチ以上高い長沢に堂々と競り勝つシーンも。チャンスを創らせません。
むしろ終盤は湘南に追加点のチャンスが連続。76分には熊本のミスパスから、永木、菊池、佐々木と繋がり、菊池のシュートはゴール左へ。77分、高山のラストパスから佐々木のシュートはゴール左へ。83分、菊池と永木でお膳立てしたハン・グギョンのミドルはバーの上へ。86分、菊池が右サイドから上げたクロスに、佐々木が頭で合わせたシュートは南がファインセーブ。最後までゴールへの意欲は衰えません。
90+2分、熊本のラストチャンス。矢野大輔のフィードをファビオがワントラップボレーを放つも、ボールはクロスバーの上を通過。「非常に気持ちの入ったゲームになった」と反町監督も評価した湘南が、難敵熊本から勝ち点3を奪取する結果となりました。
熊本はあらゆる手を尽くした感はありましたが、ゴールが遠いゲームになってしまいました。「負けるには惜しいなあというゲーム」と高木監督も振り返ったように、チーム力の差はほとんどなかったと思いますが、実はリーグワースト2位の15得点という数字を考えれば、「フィニッシュも含めて、アタッキングゾーンのクロスやクロスの入り方」(高木監督)には向上の余地がありそうです。
勝った湘南は、点が取れそうで取れなかった前半に集中を切らさず、守備陣が破綻をきたさなかったことが「どちらに転んでもおかしくないゲーム」(反町監督)をモノにした要因ではないでしょうか。ようやく底は脱した感があり、「ほとんど横一線」(反町監督)の昇格戦線に再び殴り込む準備は整いつつあるような印象を受けました。 元・AD土屋
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J1第19節 川崎×浦和@等々力
2005年3月12日。J1再昇格を果たした川崎が等々力に浦和を迎え、一時は2点をリードしながら終了間際に闘莉王の同点弾を食らい、勝ち点1を分け合った激闘から早6年。両者が対峙するゲームは常にスペクタクルな展開になる印象が、私にはあります。順位こそ5位と12位の対戦ですが、浦和は現在公式戦8試合負けなしと好調をキープ。好バウトの予感が漂う一戦は、キックオフ直前から雨足が増してきた等々力です。
立ち上がりから綺麗な攻撃を繰り出したのは川崎。3分、小宮山のクサビを小林はダイレクトで落とし、左に開いてジュニーニョのリターンを受けると中へ。DFのクリアを登里がシュートに変えたボールは枠を外れますが、しっかり崩してチャンスを創出します。5分には菊地が左へ正確なフィードを送り、ジュニーニョのクロスはファーへ走り込んだ田坂にピタリ。ボレーはヒットしなかったものの、加速する川崎の勢い。
ところが先制ゴールは唐突に。10分、山田直輝が左へ振ると、柏木は絶妙の浮き球スルーパス。菊地と小宮山の間から一歩前へ出たマルシオ・リシャルデスがシュート体勢に入り、小宮山が懸命に足を伸ばすと、ボールはゴール左スミへ吸い込まれてしまいます。ただ、確かに結果はオウンゴールでしたが、「ゴールに絡むプレーがしたいと思っていた」と話した柏木のパスで勝負あり。浦和が“個”の閃きで1点のリードを奪いました。
さて、エアポケットを突かれる形で失点を許した川崎は、ビハインドにもかかわらずラッシュ継続。11分には小林が繋ぎ、ジュニーニョのラストパスに登里が抜け出すも、飛び出した浦和GK加藤がキャッチ。12分にもジュニーニョとルーキーながらドイスボランチの一角を担う大島僚太のパス交換から、最後にジュニーニョが放ったシュートはスピラノビッチが体でブロック。浦和ゴールへ襲い掛かります。とりわけ、川崎で活性化していたのは左サイド。「(浦和から見た)右サイドは注意しろと言われていた」とは、右SHに入ったマルシオ・リシャルデスですが、その言葉通りに小宮山の果敢なオーバーラップに浦和が手を焼くシーンもしばしば。ゲームはかなり動きのある展開となりました。
ただ、15分を過ぎると浦和がボールを保持する時間が長くなり、同時にゲームは膠着。この理由としては、「コンディションがよくなく、動き切れていなかった」とペトロヴィッチ監督も評した1トップのデスポトビッチにボールが入らず、その下に位置する山田直輝も“受けて捌いて”にはさすがの才を発揮しますが、ゴールへ向かうプレーにまでは至らず。キープしている側にシュートまでの道筋が見つからず、自然とゲーム全体の動きが少なくなっていった印象です。
それでも30分には止まらない小宮山が、左サイドをスルスルと持ち上がって2人をかわし、枠内ミドル。44分にも小宮山のパスから、登里が同じロンドン世代の高橋をぶち抜いて上げたクロスに、走り込んだ山瀬のヘディングはバーの上へ。45+2分には浦和も小宮山のボールロストを起点に、デスポトビッチとのワンツーからマルシオが強烈な枠内シュートを放ちますが、川崎GK相澤に阻まれて追加点とはいかず。45+3分には再び左サイドの川崎。ジュニーニョのクロスに、再びチャレンジした山瀬のヘディングはバーの上へ。スコア上はアウェイチームが上回りましたが、内容はホームチームが一方的に攻め立てるような形で、前半は終了しました。
後半は開始からカードを切った相馬直樹監督。大島に替えて、病み上がりの中村を強行投入。さらに縦へのパワーを強めに掛かります。対する浦和は「プレスを掛けるラインを高めにして、真ん中が数的不利になる前に潰しきろうという形」(ペトロヴィッチ監督)をハーフタイムに指示されますが、さほどうまくいかず、やはり川崎が攻勢。
52分にはジュニーニョのドリブルがこぼれた所を、登里が枠外もシュートチャレンジ。同じく52分、中村のパスをジュニーニョがヒールで繋ぎ、右へ流れながら放った山瀬のシュートは加藤がファインセーブ。53分、中村の左CKは小林が頭にしっかりヒットさせるも、加藤が正面でキャッチ。惜しいシーンを連続して創ります。
54分には浦和に決定機。カウンターからマルシオが右へ展開し、原口のクロスはファーで待っていた山田直輝へ。ワントラップから冷静に繰り出したループは、詰めていたデスポトビッチがオフサイドを取られたため、「2-0にできるチャンス」(ペトロヴィッチ監督)は生かせませんでしたが、1つカウンターの脅威は突き付けます。
川崎も58分、田坂が相手のハンドを誘発させて奪ったFK。自ら直接狙ったボールはクロスバーにヒットし、スタンドをどよめかせるも、63分には浦和がこの日一番のスムーズな連携からチャンス。山田直輝が左へボールを送ると、柏木のパスをマルシオはダイレクトで捌き、デスポトビッチの左クロスはDFに当たり、飛び込んだマルシオの頭にも当たって、最後は相澤がキャッチしましたが、サイドをうまく攻略してみせます。
しかし、65分に山田直輝が田中と交替で下がると、直後の柏木が蹴ったFKから、こぼれを入ったばかりの田中がわずかにクロスバーの上へ外すシュートを放ちはしましたが、リンクマンを失ったことで、浦和の攻撃は停滞。逆に川崎は68分に山瀬とのスイッチでピッチへ登場した楠神が、持ち前の技術とスピードで攻撃の加速スイッチに。
79分には相手のCKから一転カウンター。ボールを持った楠神は長い距離を持ち上がりながら、最高のスルーパスを右へ。抜け出した田中裕介のシュートは、しかしここも加藤がファインセーブ。さらに83分、中村の右CKからこぼれたボール。拾った小宮山の豪快なミドルは、再度加藤がファインセーブ。トップ昇格9年目にしてリーグデビューを果たし、定位置まで掴んだ26歳が好守連発。まさに最後の砦として、「ボールを動かしながら、ゲームの主導権を握ることができた」(相馬監督)川崎の前に立ちはだかります。
90+6分のラストチャンス。福森晃斗の右CKは小林まで届きましたが、少し高さが合わなかったヘディングはヒットせず。「内容は川崎の方がよかった」と指揮官も認めながら、加藤とスピラノビッチを中心に守備の集中が切れなかった浦和が、冒頭に紹介したゲーム以来続いていた等々力でのリーグ戦無敗記録を7に伸ばして、勝ち点3を奪取する結果となりました。
勝った浦和は総シュート5本、枠内シュート2本で勝ち切る効率のよさ。「守らざるをえない形」(ペトロヴィッチ監督)の中で、加藤のファインセーブ連発も光りましたが、同様にスピラノビッチの体を張ったパフォーマンスも出色でした。「チームの中で迷いがなくなってきている」とは柏木。結果が内容を向上させるか。今後の浦和に注目です。
敗れた川崎は決定機も創り出し、「十分なボリュームを持ったゲームができた」(相馬監督)のは確か。正直、今日のゲームはツキに見放された印象で「サッカーとはこういうスポーツ」という指揮官の言葉に頷かざるを得ない気がしました。 元・AD土屋
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J2第22節 FC東京×熊本@国立
日本の夏、国立の夏。学生のフットボールファミリーにとっては、夏休みに入って最初の開催となる今節のJリーグ。首位と5位の上位対決。舞台は聖地・国立競技場です。「若い力の加速がチームの勢いを生んだ」と大熊清監督が語るFC東京。今や不動のスタメンを確保している高橋秀人と田邉草民らの台頭を受けて、「メンバーが固定できてきた」(大熊監督)最近は、前節も岐阜を4-0で一蹴するなど、ようやく“らしい”凄味が出てきました。
対する熊本も、16試合で2敗という数字は、東京、栃木と並んでリーグ最少。高木琢也監督政権も2年目を迎え、着実に昇格争いへ加わるチームにステップアップ。J2の巨大戦力にどう立ち向かうかは、知将にとって腕の見せ所でしょう。
ゲームが始まると、まず先にチャンスを創ったのは熊本。2分、原田拓の左クロスから、ルーズボールがエアポケットに。フリーになった武富孝介のシュートはDFがブロックし、拾ったエジミウソンのボレーはクロスバーを越えましたが、このゲームへ向けられた高い意欲を披露します。しかし、前半の熊本に訪れたチャンスはこれが最後。3分に田邉がミドルレンジからボレーを枠内へ飛ばし、南雄太にファインセーブを強いると、以降は「正直、向こうのレベルがすごく高かった」と原田も認めた、東京の圧倒的な攻勢が続く展開となっていきます。
7分、大きなサイドチェンジを左で受けたロベルト・セザーのカットインシュートは、何とか南がキャッチ。10分、田邉とのパス交換から完全にフリーで抜け出したロベルト・セザー対南は、コースを狭めてシュートを枠の左へ外させた南の勝利。14分、谷澤達也の左FKから森重真人のヘディングはバーの上へ。16分、谷澤の右FKからこぼれを田邉が枠内ボレーも、福王忠世が体でブロック。決定的なシーンが続きます。
東京はあらゆる面が素晴らしかったのですが、特に目立っていたのは「ボールを奪って高い位置で攻撃の起点を創ること」(大熊監督)。まず、「確かにかなり前から来てましたね」と熊本のボランチに入った根占真伍も話したように、1トップに入るロベルト・セザーがプレスを厭わず、その後ろに並ぶ田邉、羽生直剛、谷澤も“横のカーテン”的にラインを創るような守備を敢行。これで熊本はほとんど後ろからビルドアップできず、大きく蹴ってロストの繰り返しになってしまいます。
さらに、東京の繋ぐ意識はサイドアタックに直結。梶山陽平と高橋のドイスボランチを中心に、中央でのパス交換からサイドへ展開という形が多く、片方で詰まったらボランチを経由して、また逆サイドへ展開という流れもスムーズ。加えて20分にはカウンターからロベルト・セザーがしっかり繋いで、羽生のドリブルシュートは南がファインセーブで凌ぎましたが、「向こうはカウンターも最後のシュートまで行っていた」(原田)とあっては、熊本も為す術がありません。
25分、谷澤の左CKから森重真人のヘディングはGKがキャッチ。37分もカウンターから田邉がよく粘ってドリブルから左へ振ると、ロベルト・セザーのフィニッシュは南がファインセーブ。39分、エリア内で羽生が2人に前を塞がれながらも振り切ったシュートは、DFに当たってクロスバー直撃。41分、ゴールまで約30mの距離から中村北斗が無回転で枠へ飛ばしたFKも、南が何とかブロック。この時点までで、東京はシュート12本にCKが10本。一方的な展開ながら、前半は0-0で切り抜けられれば御の字という状況の熊本でしたが、43分に待ち受けていたのは最悪の事態でした。
徳永悠平が右へ振ったボールを、羽生が鋭いクロス。ニアでロベルト・セザーが潰れると、「中がスカスカだったので」全力で戻った根占は、飛び込んできた谷澤に横からチャージ。記者席から見た限りは微妙なプレーで、「僕はレフェリー次第でPKもないかと思う」とは原田ですが、審判交流プログラムで来日しているロバート・マッドレー主審はPKのみならず、根占にレッドカードを提示。これをロベルト・セザーが確実に沈め、熊本にしてみれば先制点を献上した上に、数的不利まで被る格好で前半終了のホイッスルを聞くこととなりました。
迎えた後半も続く熊本の受難。48分、梶山の何気ないクリアに、羽生と谷澤はオフサイドポジション。しかしボールに関与する意志はなく、プレーは流れましたが、福王のヘディングは左方向へ。これを戻った谷澤が拾うと、副審は1つ前のプレーを意識したのか、オフサイドフラッグを上げてしまいます。そちらがボールサイドだったこともあって、フラッグが目に入り、一瞬足が止まった熊本。一方、主審の笛が鳴らないのを見ると、一旦プレーを止めた谷澤はすぐさまボールに反応して右サイドを独走。折り返しを田邉が拾い、ロベルト・セザーからパスを受けた今野泰幸のクロスに、ニアへ潜った羽生は左足インサイドボレーをキッチリとゴール左スミへコントロール成功。あまりにも大きな2点目が東京に入りました。
高木監督も55分にはチョ・ソンジンと武富を下げて、矢野大輔と松橋章太を送り込み、システムも3-4-2にシフトして抵抗を試みますが、「11人でもやっとなのに、1人少ない状況では…」と言及したように、熊本に打つ手はなく、東京が聖地でのびのびと躍動。67分には、エジミウソンに倒されてPKを獲得した谷澤が「♪ヤザー、決めてくれ」と柏時代のチャントを受けて、自ら蹴り込み3点目。73分には田邉がクイックで右へ蹴ったFKを、呼び込んだ徳永がエリア外から豪快にネットを揺らして4点目。
そして、このゲーム最大の歓喜は87分。梶山からのミドルパスを、「一緒にプレーしていたので、私たちは連携が取れている」と信じて裏へ走ったルーカスは「ワールドクラスのトラップ」(大熊監督)で左に持ち出し、丁寧にゴールへ流し込みます。1年でのJ1復帰という、最低にして最大の目標へ向けたラストピースの復帰弾まで飛び出した東京が、「力の差は語り尽くせないぐらいある」と高木監督も脱帽した熊本を粉砕して、堂々首位を堅持する結果となりました。
敗れた熊本が監督、選手と一様に口をそろえたのは、前述していますが「レベルが違った」ということ。対戦する時期の妙もあり、最悪のタイミングで最強の相手と激突した感は否めず、スコアはショッキングかもしれませんが、選手の表情を見てもサバサバした様子。尾を引くような負けではないように感じました。
勝った東京は、「ようやくか」と一言付け加えたくはなりますが、ここに来て突出したクオリティが結果へ結び付くようになってきました。攻守両面ですべてが機能している今のスタイルこそ、おそらくサポーターが待ち望んでいた形。こうなると東京にストップを掛けるのは、至難の業になってくるでしょう。それくらい圧倒的な強さが際立つゲームでした。 元・AD土屋
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J1第4節 横浜FM×山形@ニッパ球
破竹とも言うべき4連勝で、順位も2位まで上がってきた横浜。リーグ2番目となる失点の少なさも目立ちますが、ここに来て3戦連発と調子を上げてきた渡邉の活躍も見逃せません。一方、4試合白星から見放されている山形は、3試合続けてのノーゴールが象徴するように、ここまでわずかに10得点と深刻なゴール欠乏症。降格圏脱出に向けて、得意の三ツ沢から勝ち点を持って帰りたい所です。
公式記録の27.2度という数字よりは涼しさを感じる中でキックオフを迎えたゲームは、電光石火の先制劇。中澤のクリアを大黒が頭で落とし、谷口がスルーパスを送ると、DFの間を擦り抜けた渡邉は独走。GKとの1対1も確実に右スミへ制し、スコアボードに“1”が躍ったのはわずか開始17秒。覚醒したストライカーの4戦連発弾。両チームの今をあまりにもハッキリと映し出すような衝撃。あっという間に点差が付きました。
さて、いきなり嫌な形でリードを許してしまった山形でしたが、10分には秋葉のパスから今シーズン初スタメンとなった宮崎が左足ミドルでチーム1本目のシュートを放つと、直後にも下村が粘って左へ回したボールを太田が繋ぎ、宮沢がGKにキャッチされたもののシュート気味の鋭いクロス。13分には石川の右FKから、こぼれを左へ展開すると、宮崎のクロスに合わせた太田のボレーは横浜の小林に体でブロックされるも枠内へ飛ぶなど、チャンスを連発。ゲームの入りは最悪でしたが、全体のラインもコンパクトに保ち、ボールアプローチでも上回った山形にペースは傾きます。
この流れに関しては、確かに山形もよかったのですが、「先制でちょっと緩んだのか、特にパスミスが多かった」と木村和司監督が苦虫を噛み潰したように、横浜の低調なパフォーマンスに因る所も大。「自分たちの攻撃でミスがあって、そこからカウンターを食らってた」とは中盤ダイヤモンドの底に入った小椋。とりわけ右サイドに位置する中村は、普段のクオリティから考えれば信じられないようなイージーミスの連続。途中からは完全に山形のボール奪取のターゲットになってしまい、34分にはその中村のパスミスをかっさらった宮崎が右サイドからドリブルで切り込み、フリーの太田はシュートを大きくふかしてしまったものの、決定機にまで結び付けられてしまいます。
さらに37分には、エリア外でルーズボールを収めた秋葉がハードヒットさせた左足ボレーは、クロスバーにもハードヒット。そもそも石川が戦列復帰したことで、山形は「左サイドからの攻撃はうまくできていた」(宮崎)上に、横浜はそのサイドでのボールロストが多い状況に、木村監督もたまらず2トップ下の谷口と中村を入れ替える処置。リードは横浜でしたが、ゲームの主導権は山形が握って、最初の45分間は終了しました。
後半はスタートから膠着した展開ながら、リズムは変わらずやや山形。55分には、右サイドから上がった園田の高精度アーリークロスに、飛び込んだ太田はわずかに届きませんでしたが、右サイドも活性化。「相手の思惑通りに進んでいないのは感じてた」と下村も振り返ります。
すると、57分にはやはり左サイドからチャンスメイク。秋葉が溜めて溜めて縦へ送ると、宮沢はDFとGKの間にグラウンダーのクロス。流れたボールを拾った宮崎が思い切り良く右足を振り切ると、軌道は枠を外れていましたが、ボールスピードが速かったために中澤へ当たり、そのままゴールへ吸い込まれます。「とりあえず蹴ったら、当たって入っちゃったみたいな。ラッキーでした」と本人も語った通り、確かに運も味方しましたが、流れを見れば必然とも言うべきゴール。スコアはタイに引き戻されました。
先に動いたのは木村監督。63分に中村と大黒を下げて、小野とキム・クナンを同時投入。なかなか上がってこない全体の機動力へてこ入れを図ります。70分には横浜に決定的なチャンス。小野がドリブルから左へ振ると、そこにはフリーのキム・クナン。ところがフィニッシュは、飛び込んだ山形DFが懸命のブロック。絶好の得点機も生かせません。
こうなると、「足が相当止まっていた」(下村)横浜に対して、山形がラッシュ。73分、石川のピンポイント左クロスに太田が合わせたヘディングは、今日2回目のクロスバー直撃。76分、秋葉の巧みなヒールパスから、追い越した石川のクロスはわずかに中央と合わず。78分、反応の鈍い2人の相手を尻目に、右サイドの深い位置でルーズボールを奪った大久保は中へ。フリーで走り込んだ下村のシュートはバーを越えましたが、勢いはアウェイチームにありました。
そんな中、山形は78分に「彼のクロスを考えると1枚前で使いたかったが、首が痛いということで」(小林監督)石川と小林亮をスイッチ。同時に園田と宮本も入れ替え、「守備的にできる選手」(同)を両SBへ配置することで、指揮官は少なくとも勝ち点1は確実に手に入れたい采配を奮います。
お互いに悠、アーリアジャスールと“長谷川”を3枚目のカードとして切り合い、迎えた4分の追加タイムも着々と経過。三ツ沢をドロー決着の雰囲気が支配する中、94分30秒を回った、まさにラストプレー。カウンターから獲得した右CK。兵藤が蹴ったボール。競った2人のDFより高く高く舞ったキム・クナン。頭にヒットした球体は左のポストへぶつかり、転がり込んだ行方はトリコロールの咆哮。昨年在籍したものの、真価を発揮したとは言い難かった古巣を、絶望に突き落とす痛烈な一撃。勝ち越しゴールと同時にタイムアップ。「最初の15秒と最後の15秒だけのゲーム。こういう勝ち方もあるんだな」とは木村監督。苦しみながらも、何とも好調のチームらしい勝負強さを発揮した横浜が、着実に勝ち点3を積み上げる結果となりました。
「中身は何もない。結果オーライにしちゃいけん」と指揮官も吐き捨てた横浜は、確かに見るべき部分の少ない90分プラスアルファに。「途中から4-4-2のドイスボランチにして、自分たちもブロックを作った方が、こういう相手にはバランスが良くなっていたかもしれない」と小椋。その見方は一理あるように感じました。
敗れた山形は、率直に言って「もったいない試合」(小林監督)の一言。2度のクロスバー直撃など、ツキに見放された面もありました。ただ、最後の失点の伏線になったのは、少し雑な攻撃から食らったカウンター。「バランスをもう少し考えていれば勝ち点1は取れたはず」(小林監督)なのも確かであり、ディテールではあるものの、だからこそ“3”なのか“1”なのかを突き詰めないと、結局“1”を獲得するのも難しいという厳しい現実を、改めて痛感させられるゲームになってしまいました。 元・AD土屋
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J2第20節 京都×栃木@西京極
J1からの降格チームであり、新監督に日本代表のコーチを務め、甲府を昇格に導いた経験を持つ大木武氏を招聘したことで、今シーズンの有力な昇格候補と目されていた京都が苦しんでいます。現在は直近の連敗含む3戦勝ちなし。トータルでも3勝3分け8敗の17位と、まさかの下位に低迷。何とか浮上のキッカケを掴みたい所でしょう。一方、8勝4分け2敗の2位と昇格圏内をキープし続けている栃木は、ここ7試合負けなしと、もはや上位の貫禄すら付いてきた印象。対照的な両チームの激突は、18時キックオフでも暑さの残る西京極です。
立ち上がりから、なかなかお互いに攻撃の手数を出し切れない中、7分には京都に決定機。渡部博文の「安易に出したパス」(松田浩監督)をかっさらった京都は、高い位置からカウンター。伊藤優汰のラストパスに、内藤洋平がコースを狙ったシュートは右ポストを直撃。中山博貴がこぼれに詰めるも、カバーに入った栃木DFが何とかクリアで逃れましたが、栃木からすれば嫌なゲームの入り方になってしまいます。
ただ、それでもチャンスを創り出すのは勢いの為せる業か。10分には角度のない所から、チェ・クンシクがシュートを枠へ飛ばすと、2度目のチャンスは確実に。15分、右サイドから杉本真が入れたアーリークロスを、うまい体の使い方で収めたチェ・クンシクは、コースを狭めるべく飛び出したGK水谷雄一の股間を射抜く、冷静な一撃。アウェイチームが、先にゴールを記録しました。
さて、決してリズムは悪くないにもかかわらず、先制を許してしまった京都ですが、失点以降もいい形は創ります。20分、エリア内で収めたドゥトラのシュートは、わずかに枠の左へ。22分、中盤ダイヤモンドの右に入った駒井善成が右へ流し、3トップの右を務める伊藤を追い越した、3バックの右を務める酒井隆介のクロスはDFがクリア。23分、駒井が右へ振ると、伊藤はピンポイントで折り返し、力んだドゥトラのシュートはヒットしませんでしたが、完全に栃木を崩してチャンスを量産します。
京都が攻撃的に出ていけた理由は主に2つ。1つは「こぼれをドゥトラに拾われて、ターンされることが多かった。彼をフリーにし過ぎた」と栃木の松田浩監督が話したように、チームトップスコアラーの久保裕也が期末テストのために試合を欠席する中で、3トップのセンターに入っていたドゥトラが時には中盤まで降りてボールを引き出したりと、広範囲に渡って基点創りに奔走。「CB2人がドゥトラへチェックに行かず、見ているシーンは問題だった」と松田監督も話した部分については、当のCB大和田真史も「ドゥトラ1人にラインを下げられることが多かった」と振り返るなど、ドゥトラへの対応で後手を踏んだ感は否めません。
もう1つは、「ドゥトラはCB2人が見て、3トップのサイドはSBに任せた」(大和田)栃木に対し、特に3トップの右に入った伊藤が自由を謳歌。伊藤はかなりワイドに張り出していましたが、「駒井や内藤さんがドゥトラとの間に入って、受けたボールを僕にくれたのでやりやすかった」とは本人。大和田も「伊藤にボールが収まっているイメージはあった」と認めています。
結果としてスコアは0-1で栃木がリードしていたものの、「あまりにも前半からミスが多かった」(松田監督)栃木に、「今まで出たゲームの中で、前半は一番楽しかった」と伊藤が話した京都。結果と内容が相反する形で、45分間は終了しました。
後半は負傷の影響と、「3バックの外側をうまく使ってくれれば」という指揮官の思惑で、栃木はスタートからチェ・クンシクと廣瀬浩二をスイッチしましたが、流れは変わらず。57分には、またも右サイドを崩して獲得した右CK。チョン・ウヨンのボールはDFがクリアしましたが、拾った中山の鋭いクロスを秋本倫孝が折り返し、ドゥトラのヘディングはGKキャッチ。61分には中山、内藤、駒井と繋いで、伊藤の狙いすましたシュートはバーの上へ。やや膠着状態ではありましたが、ペースは京都が握っていました。
ところが伊藤に対して「だんだんボールがもらえず、仕掛ける位置が低くなってきた」と判断した大木監督が、62分にその伊藤を下げて中村太亮を送り出すと、「向こうの選手交替で流れがこっちに来たかなと思った」と松田監督も言及したように、流れが一変。64分にリカルド・ロボがエリア内でさすがの切れ味から枠内シュートを飛ばすと、杉本に替えて松田監督が2枚目に切った水沼宏太というカードも加速装置に。67分には、その水沼が右サイドで素晴らしい縦パス。走った廣瀬のクロスにロボが合わせるも、ボールはゴール左へ。74分、鋭い出足でボールカットした本橋卓巳がそのままボレー。栃木が攻勢を強めます。
大木監督も74分には安藤淳に替えて中村充孝を投入。75分には水沼の左クロスから高木和正が、76分には高木のCKから大和田が、それぞれチャンスを外し、以降は京都も持ち直しますが、思いの外に失われた“12分間”の影響は大きく、決定的なチャンスは創れません。
そして終了間際に迎えた京都のラストチャンス。90+2分、自ら倒されて獲得したFKのスポットに立ったのはドゥトラ。目的地までは約25m。静まり返る西京極。走り出す9番。すると、ボールは左に弧を描いて描いて、目的地へ見事到達。爆発するピッチ、ベンチ、スタンド。「最後までよく戦ったと思う」と大木監督も語った京都が劇的な同点弾で、勝ち点1を強奪する結果となりました。
栃木は「全体としては低調な出来」と松田監督が渋い表情を浮かべたように、普段はあまり見られないようなイージーミスが多く、自ら流れを手放してしまったような印象です。ただ、それでもアウェイで勝ち点1を積み重ねたのは、内容を考えれば十分な成果。上位チーム特有のしぶとさを感じました。
京都は「悪くないゲームだった」と大木監督が話した通り、大半の時間で主導権を握ってゲームを進めており、最初の決定機をモノにしていれば、あるいは大勝の可能性もあったはず。それでも最終盤に追い付いてのドローは、今後への“キッカケ”として十分な要素でしょう。駒井、伊藤、酒井とルーキーも確実に計算できる戦力へと成長しているだけに、一度波に乗り切ればまだまだ上位への道は閉ざされていないと思います。 元・AD土屋
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J1第2節 大宮×広島@NACK5
今シーズンのJリーグ七不思議に入って来そうなトピックスは“ホーム未勝利の大宮”。4勝6分け3敗の10位と、数字だけ見れば決して引っ掛かることのない成績にもかかわらず、ホームに限ってみれば3分け3敗という現状。サポーターのためにも、そろそろ勝ち点3という歓喜をNACK5にもたらしたい所です。
対する広島は、前節のG大阪戦で打ち合った末に5-3で敗北。今日の一戦を「美しさではなく、どうしても3ポイントを取りに行くゲーム」(広島・ペトロヴィッチ監督)と位置付け、リアリスティックに勝ち点を拾う意識を、ある程度選手に徹底させた様子。そしてゲームは、そんな広島の意図が色濃く反映された展開になっていきます。
4分、石原が置いたボールをイ・チョンスがミドル。7分、東、石原と繋いでイ・チョンスがミドル。9分、石原が粘って残し、上田がミドル。12分、ラファエルが右へ展開すると、受けた東の左足アーリークロスに、ラファエルが頭から飛び込むも西川キャッチ。13分、村上の左クロスを森崎和幸がクリアし損ねたボールは、あわやオウンゴール。15分、上田の右CKはエリア外で待つ村上に渡り、ワントラップからのシュートはDFがブロック。17分、右サイドから上田が上げたクロスに、ラファエルが合わせたヘディングは枠外。ラファエルのパートナーには石原を起用し、イ・チョンスを左SHに回す「攻撃的なチームには攻撃で上回らなくてはいけない」という指揮官の言葉通りに、大宮が圧倒的に攻め立てます。特にここまで名前がよく出てきていることからもわかるように、今シーズン2試合目のスタメンとなった石原が積極的にボールを引き出し、チームにいいリズムを生み出していました。
一方の広島は20分、森崎和幸の鋭いタックルから李が左へ回し、ムジリが無理矢理打ったミドルがファーストシュート。「前の3枚が攻撃の所で早くボールを失うシーンが多かった」というペトロヴィッチ監督の言葉も確かにその通りですが、そもそもチームとして勝負させていたポイントは基本的にミキッチの右サイドくらい。3バックの中央を務める森崎和幸も「サイドでボールを持たれても、最後の所は体を張ろうと思っていた」と話しています。
こうなるとボールを保持している時間は長いものの、相対的な意味で“持たされている”ような大宮は「前半はミドルシュートが多いので、決定的な所まで行けていない」と鈴木淳監督も話したように、広島のブロックを切り崩すような仕掛けに乏しく、かなりゲームは膠着状態に。35分にはイ・チョンスが巧みなステップで左サイドをえぐり、折り返したボールをラファエルがフィニッシュへ持ち込むも、枠を捉えられなかったシーン以外は、ほとんどチャンスらしいチャンスも創れないまま、前半終了のホイッスルを聞くことに。「前半で点を取られたら負けると思っていた」(森崎和幸)広島からすれば、納得のスコアレスで45分間を終わらせることになりました。
ハーフタイムを挟み、迎えた後半のファーストチャンスを結果へ結び付けたのは広島。49分、3対3のカウンターに対して、やや淡泊な大宮ディフェンスの対応から得たCK。森崎浩司の蹴ったボールに、マーカーを完全に外して頭を振ったのは盛田。元ストライカーのJ1通算3ゴール目は、チームのプランを考えてもかなり大きく、かなり重要な一撃。チーム3本目のシュートで、広島がスコアを動かしました。
さて、最初の被決定機で先制を許してしまった大宮。失点直後は少し押し込まれたものの、56分にカウンターから東、シュートを打ち切れなかったイ・チョンス、村上と繋がり、最後は石原がバーの上へ外したとはいえ、惜しいシーンを創出すると、再び攻勢に。57分にも石原とラファエルで回すと、DFが触ったボールを東が枠へ飛ばし、西川のセーブに阻まれますが、スタジアムを沸かせます。
すると61分、キム・ヨングォンに当たったような形のボールは、前線にいたラファエルの元へ。スルーパスに石原が抜け出すと、飛び出した西川と接触して転倒。西村雄一主審はPKを指示します。絶好の同点機に、キッカーはラファエル。ゆっくりとした助走から左へ蹴られたボールは、しかし完璧に読み切った西川が完璧なセーブ。「みんなに迷惑かけたくない気持ちが強かった」という守護神のビッグプレーが飛び出し、ゴールを許しません。
以降も構図は変わらず、「DF3人とGKも含めて、後ろだけでも我慢しようと話していた」(森崎和幸)広島は、最後の局面一歩手前でしっかりチャンスの芽を潰す意志統一を見せ、危ないシーンもそれほどありません。71分には広島の最終ラインで信じられないパスミスが発生しましたが、石原はシュートを打つまでにもたついてしまい、枠へ飛ばせず。
79分には青木に替わって藤本、84分にはイ・チョンスに替わって渡邉と、選手も入れ替えながら、なんとか1点を返そうと大宮が前掛かりになる中、「守備でしっかり全員が集中して戦った」(ペトロヴィッチ監督)広島の堅陣は揺るがず。90分に追加された4分も潰し切ったアウェイチームが、「我々は決して相手よりベターではなかった」と指揮官も認める中、粘り強く勝ち点3を持ち帰る結果となりました。
敗れた大宮からすれば、「選手がよく頑張ってくれて、非常に良いゲームができた」という鈴木監督の言葉にも頷けるような内容だったと思います。ただ、シュート数も17対5と圧倒し、ボールも長く保持しながら、手元に残った勝ち点はゼロ。振り返ればラファエルのPK失敗よりも、前半にあった決定機逸が最後まで響きました。
勝った広島は、「決して良い勝ちであるとは思っていない」とペトロヴィッチ監督は話しましたが、おそらく今日のプランから考えれば、パーフェクトに近い勝ち点3奪取。完封の立役者と言っていい森崎和幸は「この時期は運動量も上がらないが、こういう勝ち方もしていければ、涼しくなった時にパスサッカーもできると思う」と長いスパンで考えた際に、この勝利が持つ意味の捉え方を披露。夏の戦い方という面では、単にいい悪いということではなく、非常に興味深い内容と結果のゲームだったと思います。 元・AD土屋
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J2第19節 湘南×東京V@平塚
4試合続けて無得点での4連敗を喫し、ズルズルと順位が下がってきてしまった湘南。4試合ぶりに帰ってきたホーム平塚でなんとか負のスパイラルを脱出したい所です。対する東京Vは5点、4点、3点と3試合で12ゴールを奪う好調をキープ。特に前節は水戸に前半で2点を先制されながら、終わってみれば3点を奪い返しての大逆転勝利。順位も9位まで浮上するなど、現時点ではJ2屈指の勢いを有しています。実は5勝3分5敗で勝点18同士の対戦。現状の混戦模様を考えれば、勝った方が上位に食い付いていく可能性の高いゲームは平塚です。
湿気の高いコンディションもあってか、お互いに攻撃の手数も少なく、少しフワッとした雰囲気で立ち上がったゲームは、唐突に動いたスコア。10分、マラニョンがラインの裏へうまく抜け出し、戻ったマーカーも何とかクリアしたものの、ルーズボールにいち早く反応したのは飯尾一慶。左足で右スミを確実に射抜き、アウェイの東京Vがチームの好調そのままに先手を取りました。
さて、またもビハインドを背負ってしまった湘南。前線の顔触れも試行錯誤が続く中、今日は「機動力を生かすことが大事かなと感じて」と反町監督が説明した佐々木竜太と高山薫の2トップでスタートしましたが、ここと周囲のコンビネーションがなかなか合いません。「相手の2トップがポストタイプではないので、前へ行き過ぎないようには考えていた」と話したのは東京Vの高橋祥平。その高橋と土屋征夫で組むCBは2人とも前へ強いタイプですが、どちらかと言えば独力での突破に特徴を持つ相手2トップをうまく封殺。16分には菊池大介が放った枠のわずか左へ外れるミドルと、20分には中盤で囲まれた小林祐希のロストから、高山にドリブルシュートを許した2つのシーン以外は、チャンスを創らせません。
すると30分、「タクマくんの所でボールが収まるのでやりやすい」と左SBの和田拓也も称賛する阿部拓馬が、ラインブレイクの才も発揮。小林がDFラインの裏へ最高のミドルパスを落とすと、並走していたマーカーを置き去り、飛び出したGKの頭上をフワリと破るループで、ゴールを陥れます。全体的にボールを持つ時間が長かったのは湘南だった印象ですが、スコアは東京Vの2点リードという形になりました。
嫌な流れを断ち切れないホームチーム。ただ、アジエルだけは右サイドから中央辺りをうまく漂い、可能性を感じるプレーを披露します。これには川勝良一監督も「マラニョンの守備が遅れてて、アジエルに(和田)拓也の前を使われた」と言及。当の和田は「アジエルに付きっきりになってしまった」と状況を振り返ります。
するとおそらく反町監督が2トップに期待したであろう“個”の発露は35分で、やはり右サイドから。鎌田翔雅が裏へ入れたボールを、ややルーズな対応になった和田と体を入れ替えた高山が中へ送ると、ニアで潰れた味方を尻目に、ファーで待っていた佐々木が素早くプッシュ。2トップの持ち味がよく出た一発。スタジアムがようやく揺れます。さらに43分にはトリッキーなFKから、アジエルが左へ振ったボールを高山が折り返すと、大井健太郎が放ったボレーは東京Vの人垣がブロック。流れをわずかに引き寄せます。
ところが、これを持続させられないのが苦しい現状か。45+2分、飯尾のリターンを受けた阿部がエリア内へ侵入すると、湘南CB遠藤航と接触して転倒。かなり微妙なシーンではありましたが、福島孝一郎主審が指し示したのはペナルティスポット。「自分が取った時は自分で蹴ろうと思っていた」阿部がGKの逆を付いて確実に加点。1-3でアウェイチームが小さくないアドバンテージを得て、前半は終了しました。
「相手が前半で3点取れたということは、我々も取れるということだ。強い気持ちを持って戦え」と指揮官から檄を飛ばされた湘南。後半スタート早々の46分には、右サイドから鎌田が入れたグラウンダーのアーリークロスを、高山がダイレクトでシュート。ボールはクロスバーを越えたものの、まずは気持ちを見せて残りの45分間へ入ります。それでも50分には和田が左サイドからカットインミドルを枠内へ飛ばすと、54分にも菊岡拓朗の左CKを土屋が高い打点でヘディング。4点目には至りませんが、東京Vもペースを簡単に渡しません。
58分に反町監督が1枚目の交替策。苦しいゲームとなった高山を下げて、今シーズン2試合目の登場となる中村祐也をピッチへ送り出します。これで少し前線にリズムが生まれ、64分には左サイドでその中村が直接FKを狙うシーンを迎えるなど、2点目への期待がスタジアムへ確実に高まる中、71分にカウンターから菊岡のスルーパスへマラニョンが反応。1対1は西部洋平に軍配が上がったものの、「スピードや判断をできるだけスピーディーにして、相手の背中で勝負する」(川勝監督)東京Vにチラつかされるナイフも脅威となったか、湘南はいい流れの時間帯が続きません。
79分には石神直哉とアジエルに替えて、田原豊とルーカスを投入し、3-4-3にシフトした湘南は直後の80分、佐々木の強引な突破から、菊池が枠の右へわずかに逸れる決定機を迎えましたが、以降は「苦しかったけど、気持ちで負けたら終わりだと思ってたんで」と笑った高橋の奮闘も含む、東京V守備陣の集中は切れず。「連戦の最後、ここで連勝を止めたくない」という監督の想いに応えた東京Vが怒濤の4連勝を飾る結果となりました。
勝った東京Vで目立っていたのは飯尾のバランス感覚。「マラニョンとチビ(飯尾)はお互いが入れ替わるということで、固定ではない」と話す川勝監督も「チビが気を利かせている」と認めたように、後半は少しアジエルのケアも含めてか、飯尾が左サイドをケアする時間が長く、これが奏功した形で、前半は突かれていたサイドにうまく蓋。アジエルも決定的な仕事はできず、79分に交替を余儀なくされてしまいました。先制弾も含めて、飯尾の貢献度は非常に高かったと思います。
さて、これで5連敗となった湘南は、「こういう流れのよくない時に、簡単にゴールまで運ばれてしまう」(反町監督)ことも目に付きますが、まずチームから覇気が感じられません。七夕仕様のユニフォームも流れを変えることはできず、サポーターも短冊に願いとして書き込みたいことだらけであろう現状を、どう打破するかは歴戦の将・反町康治にとって腕の見せ所です。 元・AD土屋
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J2第2節 千葉×湘南@フクアリ
前節、栃木との頂上決戦は激闘の末にドロー。首位奪取とはいかなかったものの、絶対的なターゲットであるオーロイを欠きながらも、代役の久保裕一が奮闘を見せ、一定以上の内容を保っていたことは、千葉にとって1つ今後に向けての指針となり得るゲームだったはずです。逆に、現在3連敗と下降傾向にある湘南。特にここ2試合は、無得点の上に連続4失点と安定していたはずの守備が崩壊。嫌な流れをせき止めるためにも、アウェイとはいえ負けは許されない一戦と言えるでしょう。
湘南がエンドを入れ替え、千葉のキックオフで始まったゲームはまず2分、伊藤大介の左FKをオーロイが頭で落とし、佐藤勇人がワントラップから左足ボレーをバーの上へ。9分、伊藤の今度は右CKから、ニアへ走り込んだオーロイのボレーは大きく枠の右へ。11分、オーロイのポストプレーから、伊藤を経由して深井正樹が放ったミドルは、湘南GK西部洋平がキャッチ。最初の15分はチャンスの数で言うと、千葉が上回ります。
ただ、千葉の攻撃は「最もやり方が徹底しているチーム」と湘南の反町康治監督も話したように、当然オーロイへのロングボールが基本的には最優先。「セットプレーの時は僕が競って、CBがセカンドを拾い、流れの中からはCBが競って、僕がセカンドを拾うという話はしてた。前半は割とよくできていたと思う」とは、4-1-4-1の中盤1枚アンカーを務めた松尾直人。確かに、攻撃の大半がオーロイに入れてからということを考えれば、2回のセットプレーを含む3回のピンチというのは決して多くない数字。湘南からすれば、「プランに向こうが合わせてくれた」(反町監督)という感覚が、確かにあったかもしれません。
そうなると、“よい攻撃はよい守備から”。13分に放った松尾のミドル、19分に田原豊が強引に打つも菊池大介に当たったミドル、さらに23分にも坂本が放ったミドルと、この3本すべてにラストパスを出していたアジエルが、うまくボールを引き出し始め、流れは湘南へ。加えて23分のシーンはアジエルの守備が起点になってのチャンスと、10番の精力的なプレーがチームへ推進力を与えます。
すると26分、臼井幸平のフィードにマーク・ミリガンと並走していた田原は、エリア内で体を入れ替えて一歩前へ。直後、ミリガンともつれて倒れるも佐藤隆治主審のホイッスルは鳴らず。激高する湘南ベンチ。反町監督も珍しくテクニカルエリアを出て抗議しますが、当然判定は覆りません。それでも34分には石神直哉、菊池、田原、アジエルと繋いで、最後に受けた田原はシュートまで至りませんでしたが、かなり綺麗な形も創出するなど、「ゲームプラン上は悪くない」(反町監督)湘南の方が、ゴールの匂いを漂わせていたと思います。
そんな中、ゴールが生まれるのは一瞬で。38分、湘南は自陣深い左サイドで千葉のプレスを受け、クリアを中途半端に中へ。「あそこは反応が遅れた」と松尾も振り返る場面でボールを収めたのは、そこまでほとんどゲームに入れていなかった米倉恒貴。至近距離からのシュートは、西部が抜群の反応で弾き出しましたが、こぼれを見逃さなかった深井がプッシュ。「半分は米倉のゴールだと思います」と照れた得点ランク単独トップの9番が一仕事。千葉が先制ゴールを挙げました。
さて、前半の最後に気になるシーンが。45+3分、湘南のCK。キッカーの永木はCBの大井健太郎が上がってくるのを待っていると、主審はそれを待たずにホイッスルを吹き、前半を終了させます。確かに追加タイムは2分と掲示されており、所定の時間を過ぎているので、その判断は問題ないと思いますが、実は直前に石神が長い時間倒れ込んでいました。湘南側はアピールしていましたが、主審は気付いてか気付かずか、ゲームを止めずに続行。そしてCKは認められずという経緯。おそらく一度ゲームが止まっていれば、CKを蹴ることができたであろうことを考えると、湘南にしてみれば何とも言えない一連になってしまいました。
さて、前半の45分間を「湘南の4-1-4-1の形でどこにスペースが生まれるかを見つけることが、あまりうまくいってなかった」と感じていた千葉のドワイト監督は、後半開始からの交替を決断。オーロイを下げて、前節はスタメン出場した久保を送り込みます。この采配が、結果的にペースを千葉にグッと引き寄せる要因となりました。
「大きくサッカーは変えてない」(深井)ものの、元々「(伊藤)大介はいっぱいボールに触ってリズムを創るタイプで、ヨネや勇人とポジションチェンジすると右サイドが生きて、逆サイドの自分も生きる」と深井が話したように、右にいる伊藤がいい意味で流動的に動き回ることが、千葉にアクセントを加えているのですが、オーロイより機動力に優れる久保が、自らの下に並ぶ3枚と有機的に絡むことで、長いボール以外の選択肢が一気に広がります。
すると57分、次のゴールは地上戦で千葉。深井のパスを受けた米倉が左サイドから折り返し、久保の前を通過したボールに飛び込んだ佐藤のシュートは、西部の脇をかいくぐる追加点に。キャプテンの今シーズン初ゴール。平日にも関わらず、9228人も詰め掛けた観衆の大半を占める黄色が沸騰。点差は2点に開きました。
まずは1点を返したい湘南も、64分に2枚替え。菊池と坂本絋司を下げて、ルーカスと平木良樹を投入。中盤もダイヤモンドにシフトして、2トップと、その下に置いたアジエルで反撃を試みたい所でしたが、「ボールを収める所で収められなかった」と指揮官も振り返ったように、前半から孤立しがちだった田原は、布陣変更を経てもチームの基点にはなりきれず、75分にピッチへ登場した高山薫も、カンフル剤とまではいきません。
一方の千葉は「大人のサッカーができたのではないかと思う」とドワイト監督も満足そうに語った通り、後半はある程度余裕を持ってゲームをコントロール。深井も「2-0になってからは、そこまで動かないでもサッカーできた」と手応えを掴んだ様子。ゲームは2点差が付いたままで、終了のホイッスル。「ホームでエンターテイメント性の高いゲームができた」とドワイト監督も納得の内容で、千葉が湘南に快勝を収めました。
敗れた湘南は泥沼の4連敗。オーロイはうまく消していたものの、「オーロイじゃない所からの失点だったので悔やまれる」と松尾が話したように、ペースを握っていた中での失点が最後まで響いた格好です。ただ、2点目は完全に崩された形。「後半になって地力に優る方がだんだん優位性を保ってしまった」と反町監督が話したように、現状では少し力の差があったのではないでしょうか。
勝った千葉は「自分たちが主導権を握れる時間が長くなってきた」という深井の言葉にもあるように、“オーロイ以外”が攻撃の形と替わりの選手両面で出てきている印象です。本来、選手層はJ2でもトップレベル。ハッキリした形のベースに彩りが加わってきた今の千葉は、パレットに出された様々な色が、調和の取れた1つの色にうまく混ざりつつある状況に似ているのかもしれません。 AD土屋
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J2第18節 千葉×栃木@フクアリ
7勝2分け2敗、勝ち点23で並ぶ2位と1位の直接対決。わかりやすい204センチのターゲットと、普通では考えられないロングスローワーを得て、J2の序盤戦を席巻した千葉。一方、松田浩監督らしいキッチリとした4-4-2スタイルはベースに持ちながら、ゲームの流れを見て選手たちがフレキシブルに修正を図れる領域まで確実に到達している栃木。共に黄色を基調とした、関東に本拠地を置くチーム同士の対峙。おそらくここまでのJ2全体を見ても、最大のビッグマッチでしょう。ゲーム前から両チームのサポーターもヒートアップ。栃木のCB渡部博文も「アップしている時から絶対に勝ちたいという、いいモチベーションになった」と話す最高の雰囲気に包まれた一戦は、栃木のキックオフで幕が開きました。
ゲームはいきなりフルスロットル。2分、大久保裕樹のロングスローをチェ・クンシクが頭でフリックすると、右足のアウトサイドで押し込んだのはリカルド・ロボ。千葉のお株を奪うかのような形から、最後はさすがの嗅覚を見せたブラジル人ストライカーの先制弾。いきなり栃木が先制します。これで勢いに乗った栃木は猛ラッシュ。4分、左サイドのタッチライン際で粘り強くマイボールに収めた水沼宏太のシュートは千葉GK岡本昌弘がファインセーブ。そのCKから、鈴木修人の蹴ったボールは、水沼が頭で合わせるも当たりが弱く、岡本がキャッチ。6分、パウリーニョの縦パスを高木和正がヒールで流すと、リカルド・ロボのボレーは枠の右へ。4本のシュートを序盤に集めます。
「立ち上がりはよくなかった」というドワイト監督の言葉を聞くまでもなく、苦しい展開を強いられた千葉。オーロイを出場停止で欠く中、「オーロイがいなかっただけで他は変わらない」(松田監督)「オーロイがいてもいなくても同じようなやり方」(水沼)と2人が口を揃えたように、スタイルは一緒。9分に伊藤大介の左CKは、二アの混戦からクロスバーにヒットしますが、この辺りから流れが一変します。
シュートこそなかったものの、ジワジワと千葉が押し込み始め、サポーターが創り出す「一種独特の雰囲気」(松田監督)もホームチームを後押し。すると25分、栃木のクリアを拾ったファン・ゲッセルが左へ振ると、「ファーストタッチが真ん中に入って、ファーに蹴るのが難しかったので、アウトにかけてニアを狙った」深井正樹のミドルは、イメージ通りの完璧な軌道を描いてゴールに突き刺さるゴラッソ。スコアは振り出しに戻されます。
止まらない千葉特急。34分、青木良太のスローインから、久保裕一が左サイドをドリブルで運んでクロス。DFに当たり、フワリと中央へ浮かんだボールを、走り込んだ米倉恒貴がボレーでプッシュ。「いいリカバーをすることができた」とドワイト監督も評価した逆転劇。スコアは引っ繰り返りました。
10分過ぎからかなりの劣勢に陥った栃木。「久保へのロングボールが多く、ポジション間が開いてしまって、セカンドを拾えなかった」とはCBの渡部。そのセカンド奪取で後手に回ったボランチの鈴木は「ウチの2トップを相手のボランチまで戻らせるのかどうかを、ハッキリさせればよかった」と詳細な補足。鈴木は攻撃面でも「もっと簡単に裏のスペースを使えれば」と、攻守両面でうまく回らなかったチームを振り返ってくれました。
ただ、そこで終わらないのが首位に立っているチームの証か。37分、チェ・クンシクのパスから鈴木が右クロスを送り、水沼がヘディングを枠へ飛ばすと、わずかに引き戻したゲームの波をしっかりキャッチ。40分、那須川将大の右FKはゴール前で混戦に。左へ流れたボールに反応したリカルド・ロボは、なくなった角度などものともせず、豪快に千葉ゴールをぶち抜く同点弾。様々なエッセンスが凝縮されたような前半は、スペクタクルという面でも申し分のない4ゴールが生まれる45分間。首位攻防にふさわしい展開で、ハーフタイムを迎えました。
後半はスタートから「まず1回落ち着こう」と声を掛けた松田監督が交替策。負傷を抱えるチェ・クンシクと廣瀬浩二を入れ替え、前の機動力を高めます。52分は栃木。高木の右FKはサインプレー。大外でフリーになっていた大久保は、ワントラップからシュートを放つも、揺れたのはサイドネットの外側。56分も栃木。カウンターから高木のクロスが中央でこぼれると、拾ったパウリーニョのミドルはわずかにバーの上へ。62分は千葉。カウンターから米倉が右へ送ると、佐藤勇人はすかさず逆サイドへ。フリーの久保はオフサイドになりましたが、チャンス創出。どちらもペースは取り切れない中でも、特に守から攻への切り替えはお互いに速く、カウンターが大事な要素となっていきます。
65分には千葉。伊藤、米倉、青木良太とボールが回り、久保のシュートは栃木GK武田博行が弾き出し、ゴールならず。69分は栃木。これもハーフカウンターから水沼のパスを鈴木が粘って前へ。上がっていたSB宇佐美宏和のクロスはファーへ流れてしまったものの、双方チャンスの芽は覗かせます。
71分、ドワイト監督が1枚目のカード。久保を外して青木孝太を送り込み、前線でターゲットとなる選手のタイプを変えてきました。75分は一瞬のエアポケット。狡猾なリカルド・ロボが突如放ったミドルは、何とか岡本がセーブするも、流れと関係なく訪れたリカルド・ロボの決定機。一瞬の怖さを植え付けます。83分は千葉。山口慶のフィードを、深井がドリブルから左へ送ると、米倉の決定的なシュートは武田が飛び付いて阻止。86分には栃木。途中出場の河原和寿が左へ展開し、リカルド・ロボのクロスを自ら受けましたが、シュートは打ち切れません。最後までお互いに攻める姿勢を見せ合った好ゲームは、それ以上スコア動かず。「J2の中でもトップレベルのゲームをすることができた」とドワイト監督も言及する内容で、お互いに勝ち点1を分け合う結果となりました。
トータルで見れば、「相手の時間帯が今までのゲームで一番多かった」(高木)「ある程度自分たちのリズムで進めることができた」(深井)と2人が話したように、千葉のペースで進む時間の長いゲームだったと思います。それでも、先制して一時は逆転されながら追い付く展開は、栃木にとって「最低限の結果」(水沼)であり、「できれば勝ちたかったのが正直な気持ち」(松田監督)とのこと。この言葉が今シーズンを明らかに昇格のチャンスと捉えているチームの意識を表していると思います。次に両者が相見えるのは、10月23日の第32節。その時もこのカードが首位攻防戦として注目を集めている可能性が十分にあることを予感させる、素晴らしいゲームでした。 AD土屋
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J2第18節 東京V×岡山@味スタ
共に3勝3分け5敗同士で14位と15位。前節は富山に今シーズン最多となる5ゴールを奪って大勝。その流れを継続させて1つでも順位を上げていきたい東京V。一方、「前節は自分たちのよさを出せず、腑甲斐ない戦いをしてしまった」と影山雅永監督が振り返ったように、ホームで水戸に0-1で敗れた岡山。こちらもなかなかメンバー構成が安定せず、試行錯誤が続いている印象です。
さて、ゲームが始まるといきなり動いたスコア。6分、左サイドから菊岡拓朗がニアへ落としたCKを、岡山のチアゴがクリアしきれず、揺れてしまったゴールネット。記録上は菊岡のゴールとなりましたが、限りなくオウンゴールに近い形で東京Vが先手を取ります。さらに畳み掛ける緑。9分、小林祐希が右へ展開すると、森勇介はドリブルで縦へ運び、グラウンダーで最高のクロス。走り込んできた河野広貴は左足アウトで面を合わせるようなボレー。ボールはニアサイドを滑るように貫きます。高いイメージのシンクロと、それを具現化する高い技術。間違いなくJ1クラスのゴラッソで、点差が開きました。
早くも2点を奪われた岡山は、チアゴへボールを入れる意識は窺えますが、長いボールの精度も低く、前で収まりません。また、共にレフティの千明聖典とキム・ミンキュンで組んだドイスボランチも、捌くばかりで縦へのスイッチを入れられず。結果、18分の近藤徹志が入れたフィードをチアゴが強引に持ち込んだ可能性のない枠外シュートと、21分に右サイドから後藤圭太が上げたクロスに、臼井仁志が合わせたヘディングの2本が前半に記録されたすべてのシュート。かなりの劣勢を強いられる展開となりました。
ただ、「早い時間帯で点が入ったので、落ち着いてプレーできた」(川勝監督)東京Vもややイージーなミスも少なくなく、ゲーム自体のペースはかなりダウンしてしまいます。そんな中で次に生まれたゴールは岡山の致命的なミスから。34分、左から阿部拓馬が上げたクロスを、絞っていた小林優希は難しい高さのボールだったとはいえ、クリアしきれずに小さく落としてしまいます。狙っていた河野の素早いシュートは右ポストを直撃しましたが、こぼれ球を河野が自らプッシュ。3-0という大差が付いて、45分間は終了しました。
前半は「まったく自分たちのサッカーができなかった」(影山監督)岡山は、47分に右サイドで澤口雅彦が付けたボールを、Jリーグ初スタメンとなった清水ユース出身のルーキー石原崇兆がクロス。臼井は空振り、シュートシーンにはならなかったものの、ようやく初めて形らしい形を創出すると、51分にもチアゴ、千明と繋いで、最後は臼井が枠の右へ逸れるミドルにチャレンジ。ここに来て、攻撃の時間が出てきます。
ところが60分に次のゴールを決めたのも東京V。左サイドの高い位置で和田がドリブルからバックパス。河野のピンポイントクロスに、ファーサイドで合わせたのは、彼女が来日したばかりだというマラニョン(エルゴラ・田中直希記者情報)。プライベートも充実したブラジル人ストライカーの今シーズン初ゴール。実質、勝負は決しました。
東京Vは2点目が右から森のクロス、4点目が左から河野のクロスと、両サイドからゴールに繋がる形を創りました。これに関して「今まではサイドにボールが入った時にガス欠していたので、そこから早くボールを入れたいと話していた」と川勝監督。サイドから一発のクロスで決め切るパターンが出てくると、当然得意の中央突破も効果的になるはずで、そういう点ではイメージという意味でも非常に大きな2つのゴールだったのではないでしょうか。そして61分、ゴールを決めたマラニョンに替わって、ピッチへ登場したのは高木善朗。オランダ・エールディヴィジのユトレヒトへ移籍する18歳の国内ラストゲームに、スタンドからも温かい拍手が送られます。
“キビダンゴ”のチャントで選手を鼓舞するなど、東京まで駆け付けたサポーターのためにも、何とか一矢は報いたい岡山。65分には臼井に替えて、東大卒のルーキー久木田紳吾を投入。66分にはチアゴのショートコーナーから石原が切れ味鋭いドリブルを見せ、1人かわして上げたクロスは何とかDFがクリア。68分には小林のFKから、澤口のヘディングはわずかにバーの上へ。71分、小林の右CKはGKがキャッチ。ここに来て、セットプレーからチャンスを創り出します。
さらに71分には「イライラさせることができたと思う」と川勝監督も話したチアゴと岸田裕樹がスイッチ。75分、澤口の右クロスに岸田が下がりながらうまく当てたヘディングは枠の上へ。79分、澤口が右サイドで粘って折り返したボールを、キムはダイレクトでシュートに変えるも、わずかにゴール左へ。80分、小林のCKから、澤口のヘディングはバーの上へ。「俺たちはもう少しやれるという姿勢を見せられた」と影山監督も語ったように、この時間帯は岡山が反攻。特にほとんどのチャンスに顔を出していた澤口の奮闘ぶりは圧巻。このゲームでは彼が最も気持ちの入ったプレーをしていたと思います。
残り時間で言うと、85分に投入されたアポジがその俊足で場内をどよめかせ、89分には千明がミドルで東京VのGK柴崎貴広にセーブを強いると、ゲームの終了を告げるホイッスル。東京Vがホームのサポーターに大勝での勝ち点3をプレゼント。高木のメモリアルゲームに華を添える結果となりました。
勝った東京Vは、イージーミスからリズムを壊すシーンもあったものの、押し込まれた後半の時間帯は4点をリードしてから。「チームとして行く所と行かない所の統一感を持とう」(川勝監督)という課題は、今日のゲームでいうとある程度クリアしていた印象です。前述した2点目は軽くJ2レベルを凌駕した、驚異的なゴール。個の力は抜群なだけに、チームとして確実にステップアップしていけば、まだまだ上位を十分に狙えるチームという印象を持ちました。 AD土屋
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J1第17節 柏×G大阪@日立台
今シーズン初めての完敗をホームで磐田に喫して迎えた前節の福岡戦は、苦しみながらも勝ち点3を獲得。再び訪れた水曜開催のホームゲームで、連勝を飾って首位固めといきたい柏。一方、ACL敗退以降はなかなか結果が付いてこないゲームが続き、2試合消化が少ないとはいえ、順位も8位と中位に甘んじる中で、9ゴールとチームのみならずリーグのトップスコアラーだったアドリアーノの中東移籍が決定。「少ないオプションでガンバらしさを構築していく」と西野朗監督は話しましたが、指揮官としては何とも頭の痛い所でしょう。
さて、開始29秒でレアンドロ・ドミンゲスがいきなり飛ばしたミドルが打ち合いの号砲。3分、縦パスをカットした加地がそのまま持ち込み、平井のシュートはゴールネットを揺らすもオフサイド。9分、村上の縦パスを茨田がクロスに変えたボールは、ニアへ入り込んだ北嶋がバックへッドで狙うも、DFがブロック。ハイテンションの攻防が続きます。
すると最初のゴールが生まれたのは、このCKから。10分、レアンドロが蹴ったボールは中央を抜けてファーサイドへ。フリーになっていた田中が、迷わずダイレクトで左足を振り切ったシュートはゴール右スミへ一直線。2試合ぶりのホーム勝利へ向けて、幸先良く柏がリードを奪いました。
「そう簡単には崩し切れない、バランスのいいレイソル」(西野監督)に先手を取られたG大阪でしたが、まったく怯まず。11分、遠藤の右FKから平井が一度は空振りしたものの、再びチャレンジしてチーム初シュートを枠に飛ばすと、すぐさま生まれた同点弾。14分、二川のパスを受けた宇佐美は、右サイドから左へ縦断しながらドリブルで運び、中に切り返すとパスを選択。遠藤は冷静に1人をかわすと、ゴール右スミへ丁寧なシュートを置きにかかり、見事成功。早くもお互いに1点ずつを奪い合う展開になりました。
以降も、16分と20分共にうまく合わせた北嶋のボレーや、22分にカウンターから遠藤が繋ぎ、最後は宇佐美がカットインから強烈な枠内シュートを放つなど、スピーディーな展開は変わりません。ただ、そんな落ち着かない展開を嫌ってか、4-2-3-1でスタートした布陣から、20分前後に中盤をダイヤモンド気味に組み替えて4-4-2にシフトした柏は、確かに守備こそ一定の安定感を取り戻したものの、25分にカウンターから茨田が放ったミドルが前半最後のシュート。G大阪の攻める時間が長くなっていきます。この要因は、やはり「遠藤をフリーにしてしまうシーンが多かった」(柏・ネルシーニョ監督)こと。3列目からスルスルと上がってくることの多かった遠藤に対して、柏は誰が掴みに行くのかが曖昧に。29分には加地とのパス交換から、飛び出してきた遠藤がわずかに枠の左へ外れたシュートをお見舞い。さらに「2トップの方がガンバのサッカーはできる」と話したイ・グノや二川、宇佐美もサイドでバイタルでとボールタッチが増加し、これで「ガンバに創らせてはいけないパスのリズム」(ネルシーニョ監督)が生まれ、攻勢になっていった印象です。共にスピーディーに攻め合う流れだったのは間違いありませんが、ペースはG大阪に傾いて、前半は終了しました。
後半は再びシステムを変えて、「相手のドイスボランチに茨田とレアンドロをマンツーマン気味に付けた」(大谷)柏。しかし、その効果がハッキリと判明する前にゴールを挙げたのはG大阪。51分、左サイドから下平の上げたクロスがファーに流れると、拾った遠藤は後ろへ。加地は自らカットインすると左足でシュート。DFに当たったこぼれをプッシュしたのは平井。なかなか攻撃のいい流れに乗れなかったものの、一発で起用に応えたストライカーの逆転弾。リードは入れ替わりました。
さて、逆転を許した柏でしたが、失点前から全体的に流れはよくなり、攻撃の手数も増えていました。失点後も58分にジョルジ・ワグネル、レアンドロ、大谷と回り、茨田のミドルはわずかにゴール右へ。60分にも、田中のラストパスを受けたレアンドロが、左へ持ち出しながら枠を捉えたシュートは、藤ヶ谷がファインセーブ。決定機も創出します。
ところが次にゴールが記録されたのもG大阪。62分、うまくマークを外した遠藤が右へラストパス。イ・グノは右への持ち出しが1つ多く、角度がなくなってしまいましたが、「思い切り打とうと思って」振り抜いたフィニッシュは、ニアサイドを豪快に看破。1-3。G大阪が2点にリードを広げました。
「中盤をニュートラルに持っていって、チャンスを創る」(ネルシーニョ監督)という狙いは体現されつつあった中で、一瞬の隙から突き放された柏は、66分に2枚替え。北嶋と大谷を下げて、工藤と兵働を投入。するといきなり直後に左サイドを崩し、田中の折り返しはフリーのレアンドロに渡ると、シュートは藤ヶ谷にキャッチされましたが、2度目は外さないのが10番のスナイパー。1分後の67分、茨田のパスを引き出したレアンドロは、躊躇なくミドルにチャレンジ。DFに当たってか、わずかにコースの変わった弾道は藤ヶ谷を通過し、ゴールネットへ。またも点差は1点に縮まります。
これで流れは完全に「選手を替えてチャンスも創り、攻撃もスピーディーになった」(ネルシーニョ監督)柏。69分には兵働のスルーパスから工藤が抜け出すも、シュートは藤ヶ谷の正面。74分には疲労の色濃いワグネルを橋本と入れ替え、攻守両面でバランスを整えつつ、勝負に出ます。この勢いに西野監督もたまらずイ・グノを下げて内田を中盤に投入。「レアンドロがカウンターを狙ったり、2トップに近い所にいたので、まずそこを掴ませる」(西野監督)と、トレスボランチの4-3-1-2にシフトしますが、効果薄。78分には武井の不用意なロストから、橋本を経由して、受けたレアンドロは中央をドリブルで運び、枠内へミドル。同点、そして再逆転をも期待する雰囲気が日立台に満ち溢れます。
そんな中、決着は突然に。80分、二川が右サイドで何気なく始めたFKが内田、山口と渡って左へ回ると、下平はギアを一段上げて縦へ運び、思い切りよく放ったミドルがゴール右スミを確実に捕獲。56試合目にしてJリーグ初ゴールとなった伏兵のダメ押し弾が飛び出し、「突き放せたことが今日の収穫だと思う」と西野監督も話したG大阪が、首位の柏を打ち合いの末に撃破する結果となりました。
スペクタクル度の高い好ゲームだったと思います。柏も前半に一度は手放した流れを、後半に入って完全に取り戻し、敵将も最後は「5-4-1にしてディフェンシブに戦わざるを得ない状況だった」と認めるなど、敗れたものの首位に立っている理由をある程度は証明したのではないでしょうか。ただ、やはりトータルではG大阪の方が一枚上手。「非常に厳しい試合だったが、今の状況下でやれることは100%出し切って戦えた」と西野監督が話したように、2点を奪われながら4点を取るスタイルは「ガンバと言えばガンバ」(西野監督)。現時点での実力差がそのままスコアに反映されたようなゲームという印象を受けました。 AD土屋
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J2第17節 草津×京都@正田スタ
FC東京、千葉と昇格の本命候補に挙げられている強豪を相次いでホームで撃破。ここまで5位とJ2の“台風の目”的な存在として注目を集めている草津。一方、大木武新監督を招聘し、1年でのJ1復帰を目標に掲げながら、ここまでわずか2勝しか挙げられず、19位とあまりにも苦しいスタートとなった京都。今日は「凄く緊張していたけど、チームの力になれると思っていた」という33歳の鈴木慎吾と、「結果を残すことだけを考えていた」という18歳の伊藤優汰が揃って今シーズン初スタメン。前節の勝利で得た流れにうまく乗りたい所です。
さて、ゲームは4分に熊林親吾のクロスにアレックスが、13分にはまたも熊林の今度はCKから御厨貴文が、共にヘディングで枠を狙いましたが、ゴールとはいかず。ただ、手数は草津が出しますが、全体としては「前半の入り方が非常に悪い」(草津・副島博志監督)「試合の入り方としては非常によかった」(鈴木)と2人が口を揃えたように京都ペース。特に3トップの右に入った伊藤と、中盤の右サイドに入った加藤弘堅のコンビネーションがよく、草津の左サイドを崩しにかかります。
すると14分に生まれた先制ゴールも、やはりそちらのサイドから。加藤のパスを受けた伊藤は「スピード勝負だと思って行ったら、うまいタイミングで抜けた」とドリブルで切れ込み中へ。加藤のシュートは草津のGK北一真が弾きましたが、最後は中山博貴がプッシュ。流れをしっかり結果に繋げた京都がリードを奪いました。
その後も変わらず京都攻勢。押し込まれた草津はファウルやクリアで逃げるのが精一杯という場面が続き、鈴木と加藤が精度の高いプレースキックでゴール前を脅かします。草津も30分には櫻田和樹のパスを受けて、ここまで沈黙を余儀なくされていたラフィーニャが反転ミドルを枠へ飛ばしますが、京都のGK水谷雄一が何とか防ぐと、直後に追加点。31分、草津の最終ラインで生まれたイージーな連携ミスから、内藤洋平が左へ繋いだボールを、走り込んだ鈴木は「気持ちを籠めて」得意の左足で左スミへグサリ。ゴール後、一直線にベンチへ走り、大木監督に抱き付いたシーンについては「自然と走って行っちゃった。新人のような喜び方で恥ずかしいんですけど」と照れ笑い。チーム最年長のベテランが挙げた今シーズン初ゴール。アウェイチームが点差を広げました。
まったくと言っていい程に攻撃の手を繰り出せなかった草津。1つの停滞した要因は中盤での劣勢だったと思います。京都のシステムは3-4-3でしたが、中盤はダイヤモンドを採用していたものの、右の加藤と左の鈴木は中に絞る場面が多く、ボランチの櫻田も「僕とマツさん(松下)の周りに4人いるような感じ。どんどん選手が湧いて出てくるような感じだった」と述懐。アウトサイドは3バックと3トップのサイドプレーヤーがしっかりケアしていたため、中盤の4枚が広い範囲でのセカンド奪取に貢献したことで攻撃の厚みをもたらし、草津には「判断とサポートの遅れ」(副島監督)を誘発させてパスワークを分断。キーマンの熊林もほとんどボールに触れないとあれば、自然と草津の攻撃は鎮火。40分に松下が枠へ飛ばした30m近いFKも、水谷がファインセーブで阻止。京都からすれば100点満点に近いような内容で、前半は45分が経過しました。
ところが後半は一転、立ち上がりから草津が圧倒的にペースを握ってしまうのだから、サッカーはわかりません。46分、ラフィーニャからのパスを萬代宏樹はシンプルにはたくと、エリア外で受けた櫻田は「思い切り打っておこうと」果敢にミドルへチャレンジ。ボールはゴール左スミへ豪快に飛び込み、本人も「7年間で敷島では初めてのゴール」と語る記念弾は、すなわち追撃弾。たちまち点差は1点に縮まります。
前述したように、このゴールで流れは一気に草津へ。52分、ゴール右、約25mの位置からラフィーニャが狙ったFKはカベがブロック。56分、60分と続けて熊林が狙ったFKはシュートまで繋がらなかったものの、「相手の勢いに負けた訳じゃないけど、押し込まれてしまった」と鈴木が振り返ったように、京都は一気に苦しい展開を強いられます。
ペースが入れ替わった理由の1つには、「前の選手の球離れがよくなったので、攻撃がスピードアップした」(櫻田)ことが挙げられそうです。実際に46分のゴールも、萬代が簡単に落とした所から。ボールの回りが速くなったことで、京都も前半ほど的を絞り切れず、結果として選手間の距離が開いてしまったために、それが攻撃面での「ボールを貰いに来る選手がいない」(大木監督)という部分にも繋がり、攻守両面で機能性が低下してしまいました。
イケイケの草津。61分、萬代、熊林と回してラフィーニャのシュートは水谷がファインセーブ。そして62分、櫻田が左へ展開したボールを、熊林は細かいステップワークから中へ上げると、完全にフリーとなった萬代がヘディングでゴールへ流し込みます。千葉戦、東京V戦と連続ゴールをマークしていた萬代の3戦連発弾。到来したビッグウェーブを見事に乗りこなした草津が、あっという間にスコアを振り出しへ戻しました。
「逆転できそうな雰囲気」(松下)が充満したスタジアム。67分には萬代、ラフィーニャと繋いで、アレックスのシュートはわずかにゴール左へ。73分、熊林のロングスローから松下がボレーで狙うも、水谷がキャッチ。確かに3点目が入りそうな雰囲気は草津にありました。ところが再び流れを京都へ引き戻したのは、大木監督の采配。75分、鈴木に替えて、「ボールを受ける選手を置くために(中山)博貴を下げて、(中村)太亮で盛り返して行こうと。」(大木監督)送り出されたのは中村太亮。すると76分にはゴール前の混線から、その中村太亮が強烈な枠内シュート。ここは北に阻まれましたが、直後の77分にもチャンス。中村太亮からパスを受けた中山が左サイドを切り裂き、「マイナスに来るなと感じて」走り込んだ伊藤が左足を振り抜くと、揺れたネット。18歳のJリーグ初ゴールは大きな勝ち越し弾。次の1点は耐えに耐えていた京都が狙いを体現して記録しました。
リードを許した草津は79分に熊林のCKから、アレックスの放った強烈ボレーも水谷がファインセーブで阻止。81分には永田拓也と櫻田を下げて、田中淳とリンコンを投入しましたが、指揮官も「あまり機能しなかった」と認めたように、交替は奏功せず。逆に「ボールを受ける選手を置くために中山を下げて、太亮で盛り返していこう」というプランが当たり、84分には伊藤のクロスから中村太亮がフリーでヘディング。北にキャッチされましたが、完全に形勢を引っ繰り返すと、87分に生まれたダメ押しゴール。軽率なキープを見せた田中から草津陣内深くでボールを奪った内藤が中へ。受けた伊藤の「コースはなかったけどDFの股下を狙った」シュートは、ゴールネットに到達。「シュートを打つタイミングは独特。非常によかったと思う」と大木監督も評価したルーキーの2発で、京都が今シーズン初の連勝を決める結果となりました。
時間帯によってどちらに流れが来ているかが、かなりハッキリしていたゲームでした。全体の流れとしては、草津が逆転していてもおかしくなかったと思います。そんな「いわゆる負けパターン」(鈴木)を若手の力で跳ね返しての勝利は、ひょっとすると京都にとってターニングポイントになり得る、大きな勝ち点3奪取となるかもしれません。 AD土屋
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J1第16節 川崎×広島@等々力
今節最大の注目カード。序盤こそなかなか安定しない戦いが続いていたものの、ここに来て5試合連続負けなしで5位まで浮上してきた川崎。対するはそのスタイル上、どうしても攻撃陣に注目が集まる中、今シーズンは柏と並ぶリーグ最少の7失点と守備陣の安定感が光り、3位に付けている広島。上位同士の直接対決です。
攻撃的なスタイルのチームが顔を合わせるとあって、立ち上がりからのフルスロットルを予想していた所もあったのですが、実際は相当スローな立ち上がり。5分に川崎は稲本の鋭い縦パスから、山瀬のシュートがDFに当たってGKにキャッチされるシーンを創り、17分にはバイタルでルーズボールに反応した稲本が、西川にファインセーブを強いる左足ミドルを飛ばしましたが、この2つのシーンだけが開始30分までの両チームで、ゴールの匂いを感じさせたシーン。ボールキープは6対4か、あるいは7対3くらいの割合で川崎に分があったものの、そこまで川崎が攻勢だとも言い切れないような展開が続きます。
広島の攻撃が機能しなかった要因の1つは、佐藤、李、森崎浩司で形成した前の3人にまったくボールが入らなかったこと。単純に「簡単なミスが多かった」(李)こともありますが、川崎のCBを務めた井川が「ナビスコでやっていたので、修正できた所はあった。SBとも声を掛けて受け渡しはうまくできていたと思う」と話したように、割と最近に広島と対戦した経験から、ある程度は相手の動きを把握していたことがプラスに働いた様子。ライン間のスペースもドイスボランチと確実に監視し、ほとんど自由を与えなかったために、「前線でのコンビネーションもよくなかった」とペトロヴィッチ監督も触れた通り、3人のコンビネーションを完全に分断。さらに「相手の特徴でもある、切り替えの所で負けていなかった」(田中裕介)ことも、磐石のカウンター対応に繋がっていた印象です。
34分には李がこのゲームで初めて前を向いて仕掛けると、スルスルと抜け出しますが、柴崎が鋭い読みでインターセプト。すると直後の35分、柴崎が左へ回したボールを小宮山はダイレクトでアーリークロス。ニアへ走り込んだ矢島は、ヒール気味のアウトサイドで枠へ飛ばすと、ボールはクロスバーを叩いてゴールの中へ。「川崎もそれほどチャンスらしいチャンスがあったとは思えないが…」とペトロヴィッチ監督は話したものの、ワンチャンスをしっかりゴールへ結び付けた川崎の技術と狡猾さはやはり特筆すべきポイント。その前から少し主導権を握り始め、活性化していた左サイドを使った形というのも見逃せない部分でしょうか。川崎からすれば望外とは言いませんが、それに近い1-0というスコアで、前半の45分間は終了しました。
後半はペトロヴィッチ監督もスタートから決断。リーグ戦初スタメンの右WB石川大徳を下げて、ミキッチを投入。すると47分には森崎浩司のパスを受けたミキッチが、マイナスにピンポイントの折り返し。中島には川崎DFが寄せたためにシュートは打てませんでしたが、1つ形を創ると、48分にも森崎浩司が左へ展開。山岸のアーリークロスは佐藤のヘディングシュートへ。ようやく広島にこのゲーム初シュートが記録されるなど、「後半はいい形で入った。攻撃がうまく行き始めた」と指揮官も言及。52分にはトミッチとムジリを入れ替え、畳み掛ける態勢を整えます。
一方の川崎は「どうしても受けてしまって、ボールを保持できなくなった」(相馬監督)打開策として、54分には小林に替えてジュ二ーニョがピッチへ。すると10番は55分に小宮山のクロスへ合わせたヘディング、57分には左足ミドルと、交替直後から推進力をチームにもたらすさすがのパフォーマンスを披露。そして58分に飛び出したビッグプレー。広島が狙ったクサビを抜群の出足で奪った菊地は、そのまま全速力で最前線へ。左サイドから矢島が上げたクロスに、そのまま突っ込んだ菊地のヘディングがゴールに突き刺さります。言わば2人だけで完成させた「クラシックなカウンター」(ペトロヴィッチ監督)でしたが、その一連の鮮やかさは最高級。リードが広がりました。
少しリズムも取れてきた所で痛恨の2失点目を喫した広島は、最初の45分間に比べれば格段にボールも回るようになり、67分にはショートパスを繋いだ流れから獲得したCKを森崎浩司が蹴り入れ、盛田が頭で枠の上へ飛ばすシーンも創りましたが、「パスミスが多いのはウチのサッカーじゃない」と李も語った通り、イージーなミスからカウンターを受けるシーンが頻発。71分にはカウンターからジュニーニョ、山瀬と回して、田坂のシュートは懸命に戻った森崎和幸が体でブロック。事なきは得たものの、逆にピンチも増えてしまいます。
対して「全体の運動量も落ちて、自分たちでボールを動かせなくなっていた」と判断した相馬監督は、72分に矢島と中村、82分に稲本と横山をスイッチ。最終盤に向けててこ入れを図るも、ここからは広島が意地の反攻。83分、ムジリが右へ大きく展開すると、追い付いたミキッチのクロスを佐藤が頭で狙うも枠外。85分、森崎浩司のミドルパスを井川がクリアミスすると、高萩はダイレクトでシュートを放つもヒットせず。88分、佐藤の巧みなポストプレーから、山岸の素晴らしい左足クロスは、ムジリわずかに届かず、万事休す。「みんな慣れてきて、自分の色をわかってきた」と小宮山が話したように、かなりチームとしてもうまく回り始めている川崎が、2試合ぶりのホーム勝利をサポーターへ届ける結果となりました。
広島は連戦を見越して、ややターンオーバー的にメンバーを入れ替えましたが、「何人かはいい出来だったが、何人かは期待していたプレーではなかった」とペトロヴィッチ監督も明言したように、ハマらなかった部分のパワー不足がそのまま敗因に繋がったような印象です。さらにペトロヴィッチ監督は「自分たちができないことまで始める傾向が見られた」とも言及。次のホームで迎える山形戦で真価が問われそうです。
勝った川崎は「今日は菊地だったけど、2試合で6人がゴールしているし、誰からでもゴールが取れることを証明できた」と井川。攻守両面で「今までやってきたことが形になってきた」という田中裕介の言葉も頷けます。しかも、前節、今節とどちらも絶対的支柱の中村をスタメンから欠いての連勝。そこからも川崎の成熟度が着実に上昇している印象を受けました。 AD土屋
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J1第15節 柏×磐田@日立台
7勝1分け1敗。2位の広島に“1ゲーム”以上のポイント差を付けて、首位を快走する柏。上位対決となった前節も横浜FM相手にシュート4本での完勝を収めるなど、昨シーズン途中から取り組んできた“J1を見据えた戦い方”が間違っていなかったことを、圧倒的な結果で証明し続けています。
そんな柏と対峙するのは、3勝4分け2敗で7位に付ける磐田。小林裕紀、山田大記とセンス溢れるルーキー2人が早くもチームの主力として大車輪の活躍。今日は山崎のU-22代表選出を受けて、前線では金園英学がリーグ戦初スタメンに抜擢され、試合開始のピッチには大卒1年目トリオが勢揃い。若い選手が多いため、伸びしろという意味でも楽しみなチームです。
さて、ゲームが始まると好調そのままに勢い良く飛び出したのは柏。いきなり1分、田中の突破から奪ったCK。ジョルジ・ワグネルのキックに、合わせた村上のヘディングはクロスバーの上へ。4分、レアンドロ・ドミンゲスの右FKに、二アで北嶋のバックへッドはDFがブロック。5分、レアンドロの右CKから、川口がパンチングしたルーズボールを、栗澤がボレーで狙うも枠の上へ。それでも積極的な仕掛けから獲得したセットプレーで、柏が攻勢に出ます。
ところが、10分に磐田が駒野、山田と繋いで創った前田のシュートチャンスを、栗澤が間一髪のタックルで凌いだ辺りから、ペースは緩やかに磐田へ移行していきました。この日の柏は攻撃的な中盤がレアンドロを中に置いて、大津は左に開かせる、少しいびつなボックスを採用。右サイドを少し空けるような形でゲームに入ります。「ミーティングでそこはしっかり言われていた」(藤田)という、「レアンドロがかなり中に絞るので、そのスペースを使おうということ」(ジウシーニョ)。これだけなら、おそらく他のチームも当然実行してくることですが、この策を磐田がより有効なものにしていた理由は、前線からの激しいプレッシング。特にドイスボランチの一角を担う小林が「レアンドロの位置は、那須さんと2人でかなり確認していた」と話したように、「柏の攻撃の中心」(磐田・柳下正明監督)であるレアンドロへのプレスがかなり速く、前を向く状況を創らせません。ここでスイッチが入らない柏は全体的にパスワークがブレ始め、逆に磐田は「奪ったボールから左サイドをうまく使える」(藤田)状況に。左サイドの活性化は、さらに右サイドの勢いも生み出し、「サイドの主導権が取れて、ウチのリズムになった」と小林。磐田が流れを掴みます。
すると18分に駒野がドリブルからカットインミドルを放ち、菅野のファインセーブを引き出すと、2分後に歓喜。20分、右サイドから駒野が中へフィードを送ると、ファーへ流れつつあったボールを、村上と入れ替わりながら収めたのは金園。バウンドを合わせて振り切ったボレーが、豪快にネットを揺らします。0-1。アウェイの磐田が先手を取りました。
さらに磐田の狙いが完全にハマったのは28分。ハーフウェー付近で、柏CBの増嶋に前田が激しいプレスを掛けてボール奪取。金園がドリブルでエリア内まで運び、最後は必死に戻った増嶋のスライディングを受け、シミュレーションでイエローカードをもらうという、やや不可解な判定でゴールは生まれませんでしたが、高い位置で奪ってフィニッシュまでという狙いを、一歩手前まで体現します。
磐田の前にほとんど相手陣内までボールを運べなくなった柏。たまらず、ネルシーニョ監督も30分過ぎにはレアンドロを少しサイドに押し出し、左右対称のボックスにシフト。ここからは少し磐田が対応で後手を踏み、柏はむしろ中央を効果的に活用。40分には栗澤が北嶋とのワンツーから枠内シュート。さらに44分は決定機。大谷のクサビを大津がヒールで落とし、田中のシュートはわずかに枠の右へ。磐田ゴールを脅かします。しかし45分、ゴールキックの流れから磐田のチャンス。フィードを金園が右へ丁寧に落とし、駒野が上げたクロスはニアへ飛び込んだ前田にピタリ。「柏がクロスに弱いというのは言われていた。狙い通り」とは藤田。磐田にしてみれば、最高の時間帯に生まれた追加点。リードが広がり、ハーフタイムに入りました。
2点のビハインドを負った柏。ネルシーニョ監督も後半開始から2枚替え。田中と大津を下げて、ホジェルと茨田を投入。「もっと前からハメてボールを奪っての攻撃」(ネルシーニョ監督)を指示します。これで多少持ち直した柏は攻撃の手数も多くなり、押し込む時間が続きますが、うまくいかないチームを象徴するようなシーンは55分。中央左寄り、ゴールまで約25mのFK。好機にサポーターの期待も高まる中、レアンドロはキックの直前に足を滑らせ転倒。スタンドは溜め息に包まれます。
そして58分、レアンドロ、栗澤と回ったボールを茨田がシュートに持ち込むと、キャッチした川口は素早く左へ展開。サイドをフリーで駆け上がったパク・チュホは、完璧なグラウンダーのボールを中へ送り、難なく前田がプッシュ。理想的な形で、理想的な3点目。今日の流れから考えても、勝負は決しました。
せめて1点は返したい柏も、70分には「どうしても前掛かりになって、守備のスペースを空けていた」(ネルシーニョ監督)ワグネルと橋本を入れ替え、いくつかチャンスは創りましたが、周囲となかなかプレーが噛み合わないホジェルがブレーキに。藤田が「ペナルティエリア内で持たれるのは嫌だったけど、ボランチとうまく挟めたので簡単に落とされるシーンはなかった」と話せば、そのボランチの小林も「CBとコミュニケーションが取れて、ホジェルへの対応はすぐ修正できた」と言及。こうなると柏はあまり機動力のない2トップで変化を生み出すのは難しく、決定的なチャンスは創れずじまい。ネルシーニョ監督が「文句なしにジュビロの勝利」と認め、柳下監督も「非常にいいプレーをしてくれた」と振り返ったゲームは、最後まで集中力が切れず、運動量も落ちなかった磐田の完勝で幕を閉じました。
ゲームの潮目を分けたのは、前半終了間際の逸機とゴールだったと思います。結果論ですが、田中のシュートが入っていればタイスコア。柏にすれば後半のカードの切り方も変わっていたはずです。柳下監督も「1-0でリードしてて、危ない場面があったが、相手がシュートを外してくれた直後に2点目が入ったのがこういう結果になった」と言及していました。ただ、それを含めても今日の磐田はほぼパーフェクトな内容。「前節は負けたが、選手たちもすぐに切り換えて柏戦に向けて準備できていたので、相当気合が入っていた」という指揮官の期待に、最高の結果で応えてみせました。 AD土屋
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J2第16節 湘南×栃木@平塚
現在、6試合連続負けなし。しかも連勝で2位まで浮上してきた湘南。今日のスタメンにも今シーズンの新加入組が6人も顔を揃えるなど、昨シーズンとはまったく別のチームと言っても差し支えなさそうなメンバー構成ですが、9試合でわずかに3失点という守備面の数字も、大きな変化と言えるでしょう。
一方、開幕3連勝で首位に立つなど、目標として掲げる“J1昇格”を明らかに現実のモノとして捉えている感のある栃木。ここ最近は勝ったり負けたりで、順位も4位に下がってはいるものの、上位は勝ち点差が非常に詰まっているため、1回勝てば一気にジャンプアップが可能なだけに、アウェイとはいえ結果を出したい一戦です。
さて、やや湘南がボールキープの時間を長く持ちながら立ち上がったゲームは、6分に水沼宏太がパウリーニョとのパス交換から、枠内へ左足で飛ばしたのが栃木のファーストシュート。10分には石神直哉の35m近い無回転FKが枠の左へ外れたのが、湘南のファーストシュート。なかなか動きが出てきません。そんな中、12分に突如として巻き起こった栃木のショートカウンター。右サイドを駆け上がった水沼はリカルド・ロボとワンツーの形から抜け出すと、そのままシュート。ここは湘南のGK西部洋平がセーブしましたが、こぼれに反応したロボは豪快にゴールネットを揺らします。実はノーゴールが6試合も続いていたロボ。それでも「ゴールができないのは起こり得ること。自分の力を信じていた」という言葉を証明するゴールは、貴重な先制弾。アウェイの栃木がリードを奪いました。
チームのスタイルを考えても、早い時間帯での得点は栃木にとってかなりのアドバンテージかなという個人的な認識があったのですが、「先制直後はここ5分を集中しようと言っていた」とはCBの渡部博文。この数試合は失点で流れを手放すことが多かったようで、まずは5分間をしっかり乗り切るのが最優先事項。そして、その5分間を無失点で切り抜けると、栃木の湘南に対して敷いたプランが間違っていなかったことを立証する時間が続きます。
栃木の最終ラインは、右から宇佐美宏和、渡部、大久保裕樹、那須川将大が並びましたが、これは今シーズン初めての組み合わせ。松田監督は「高山が今の湘南の攻撃を牽引している選手なので、彼のスピードを消そうという編成」と説明。「CBのどっちがスピード対応かという話はしていなかったが、間合いを空けることを考えてやった」と渡部が話したように、抜群のスピードを誇る高山には距離を取ることでうまく対応。高山本人も「足元の周りも含めて、スペースがないのは常に感じてた」と言及。まずはキーマンの1人を流れから消し去ります。さらに、栃木ではなくてもどのチームも潰しにかかるであろうアジエルに対しては「まず裏をケアして、持ったら間合いを詰める」(渡部)ことを徹底。ラインを下げることも辞さず、裏のスペースを埋め尽くし、さらにバイタルへの侵入はパウリーニョと鈴木修人のドイスボランチと共同監視。これでJ2屈指の司令塔は下がって受けることが多くなり、一発でやられる恐怖はかなり軽減。「前半はやられる気がしなかった」という渡部の言葉を待つまでもなく、シュート2本という数字以上に湘南を抑え込んだ栃木の1点リードで、前半は終了しました。
この状況下で策士・反町康治が動かない訳はありません。後半開始から、田原豊と岩尾憲を同時投入。システムも「4バックでやっていると相手の思うツボ」と、4-4-2から3-4-3へシフトして反撃態勢を整えます。すると、53分にはビッグチャンス到来。田原が果敢なプレスで渡部からボールを奪うと、自らドリブルで切れ込み、重いシュート。栃木GK鈴木智幸が弾いたボールは、再び湘南へ。右サイドから鎌田翔雅が上げたクロスを、ここも田原がヘディングで狙いましたが、立ちはだかる鈴木智幸のファインセーブ。追い付けません。
直後には栃木に決定機。55分、湘南のキャプテンマークを巻いた遠藤航が自陣でボールロスト。奪ったチェ・クンシクが右へはたき、ロボは西部もかわしてフィニッシュ。戻った鎌田は懸命のカバーでゴールを死守したものの、湘南にしてみれば集中力を欠いた軽率なプレー。流れを掴み切れません。また、システム変更自体も、松田監督が「3-4-3のチームは少し前の3連戦でやっていたので、多少印象に残っていたかもしれない」と話し、反町監督も「相手の8枚のブロックが引いたのは思い通り。そこで3バックのサイドにいる遠藤と鎌田にドリブルで持ち出すアクションを話したが、アジエルが引いてきて近いところでパス交換していたら相手は何も怖くない。能動的にやったつもりだけど、積極性があまり見られなかった」と言及するなど、栃木がうまく対応。「前の人数が多ければ多いほど、ゾーンは難しくなる。後半は多少マンツー気味にやった所はある」とは渡部。この辺りの柔軟性は、ただ4-4-2を“やらされている”だけではないことをよく現しているのではないでしょうか。
そして69分、高木和正のCKから相手のクリアを拾うと、鈴木修人は縦にフィード。走り込んだ渡部が、飛び出した西部の目前でバックヘッドを敢行すると、ボールはゆっくりとバウンドしながらゴールへ飛び込みます。「今までのゴールは全部修人さんのパス」と話す渡部は、これでチームリーディングスコアラーのロボに並ぶシーズン3ゴール目。点差が広がりました。
苦しくなった湘南は70分に3枚目のカードを決断。坂本絋司を下げて、菊池大介を右のWBへ投入。直後のFKは田原にピタリと合ったものの、「2回もゴール前3mでキーパーにパスしているようじゃ、ゲームには勝てない」と指揮官も辛辣な言葉を発したように、またも鈴木智幸のファインセーブを引き出す、正面へのヘディング。「全体としては非常にウチらしい、カチッとした試合をやってくれた」と松田監督も評価する内容で、栃木が快勝を収める結果となりました。
栃木は相当“いいサッカー”をやっていたと思います。いわゆる「ディシプリンを持った」(松田監督)典型的な4-4-2のスタイルではあるものの、渡部が話してくれたように守備面ではゾーンとマンツーマンを柔軟に使い分けるなど、ただやらされているサッカーではないことも、実際にスタジアムで見てわかりました。例えばバルサのような派手さはない分、あまり表現として使われることはないかもしれませんが、この日の栃木のようなスタイルも“いいサッカー”と言うべきだなあと個人的には思いました。 AD土屋
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J1第14節 大宮×浦和@NACK5
2008年9月21日以来となる、NACK5スタジアム大宮でのさいたまダービー。実は前回も取材に訪れていたのですが、その時は凄まじい雷雨によって開始13分で一時中断。50分近く経ってから再開するという、かなり珍しいゲームだったのをよく覚えています。今日は懸念されていた雨もすっかり止んで、気候的にも絶好のコンディション。オレンジと赤でスタンドは埋め尽くされました。
3勝3分け2敗と白星こそ先行するものの、実は3勝すべてをアウェイで挙げており、「こればかりはどうしようもないというか、何とも言えないです」と鈴木淳監督も苦笑いを浮かべた大宮は、ダービーでホーム初勝利を掴み、中位脱出を図りたい所。対する浦和はいまだ1勝の14位と苦戦が続く中で、スタメンに大きな変化。「(ナビスコの)山形戦で素晴らしいプレーをした。自信を持って使った」とペトロヴィッチ監督が評したGK加藤順大がリーグ戦デビューを果たします。お互い上昇へのステップにしたいダービーは19時3分、大宮のキックオフでスタートしました。
まずはホームチームが先に枠内シュート。2分、右サイドから渡部が左足の正確なクロスを上げると、ラファエルのヘディングは加藤に届きます。さらに8分、ゴール左約25m強の距離からイ・チョンスのFKも枠を捉え、加藤がファインセーブ。14分、バイタルでボールを拾ったラファエルはドリブルしながら、こちらも枠内へしっかりシュートを飛ばし、加藤を攻め立てます。浦和も16分に反撃。マルシオ・リシャルデスが左へ回し、高橋からのリターンを受けた原口がフィニッシュを取り、チーム初シュートを放つと、3分後にもチャンス。数本のパスを繋いで、最後は鈴木の右アーリーに飛び込んだ高崎は頭に当て切れず、シュートとはいきませんでしたが、形は創ってみせます。
スコアは0-0で推移していく中、全体で見ればややペースを掴んだのは大宮。ペトロヴィッチ監督が「向こうはロングボールをラファエルに入れて、イ・チョンスが裏に抜けてセカンドを拾う」と話し、鈴木監督も「前半は長いボールでDFラインの背後を突いて、セカンドをうまく拾えた」と振り返ったように、長いボールを強力2トップが収め、東と藤本がそこに絡んでいく形をある程度徹底。22分にはイが、29分にはラファエルがフィードからフィニッシュまで持ち込むなど、リズムを引き寄せます。
すると36分、渡部のパスからラファエルが無回転ミドルを放ち、ここも加藤のファインセーブに阻まれましたが、直後にビッグチャンス。右サイドでスローインを受けた渡部は「シンプルなクロスも面白いなというイメージ」で右足の切り返しから、左足でクロス。「その前にも似たようなシーンがあり、DFの前へうまく入れていたのでゴールが決まるような予感はしていた」ラファエルのダイビングヘッドが炸裂。ホーム初勝利へ向けて、幸先良く大宮が先制しました。
決して悪い訳ではない浦和は、39分にも鈴木の右アーリーが高崎へ。トラップまではうまくいきましたが、一瞬もたつくと飛び出した北野にキャッチされ、シュートは打てず。40分にエジミウソンが強引に放ったミドルはバーの上へ。内容はほとんど互角に近い中でも、2トップがより機能した大宮が1点をリードしてハーフタイムへ入りました。
ペトロヴィッチ監督1人目の交替は後半開始から。高崎に替えて、負傷明けの田中をピッチへ送り込みます。ただ、後半も先にチャンスをモノにしたのは大宮。53分、上田の右CKを中央で完全にマークを振り切り、フリーになった深谷が余裕のダイビングヘッド。「毎週毎週トレーニングで確認しているが、毎回同じように簡単に相手がヘディングできる状況になるのは信じられない」とペトロヴィッチ監督も呆れ気味に語った浦和のルーズな守備を突いて、大宮がリードを2点に広げました。
ところが直後にまたもゲームは動きます。55分、ギャップで受けた田中は左へ。1人気を吐いていた原口のクロスにマルシオが走り込むと、藤本に倒されたという家本政明主審の判定で浦和がPK獲得。エジミウソンが確実に沈め、たちまち点差は1点に戻りました。結果としてPKを招くシーンも起点になった田中の投入は奏功しました。鈴木監督が「田中の所が剥がされることが多くなり、マークが曖昧になって押し込まれた」と話し、ボランチの青木も「田中が1.5列目みたいな感じで、ある程度マークをハッキリさせようと話していたが…」と言及したように、比較的自由な位置取りでボールを引き出す田中を大宮は捕まえ切れず、これが右のマルシオと左の原口のボールタッチが増えた要因にも繋がり、浦和の攻勢が続きます。
64分に上田のCKをまたも深谷が枠へ飛ばしたヘディングは、高橋がライン上で決死のクリアを見せるなど、流れも浦和へ。67分には柏木のラストパスからエジミウソンが右ポストにぶつける豪快なシュート。完全に形勢は引っ繰り返りました。これに関しては鈴木監督が明快に理由を答えています。曰く「前半の攻撃が単調になってしまい、浦和を走らせることができず、後半はキツくなるだろうと予測していた」とのこと。浦和は長いボールの対応にDFラインこそ苦慮していたものの、中盤より前は比較的ディフェンス面での負担は重くなく、これが後半のスタミナ維持に結び付いたのは確かだったと思います。逆に大宮は「もう少しコンパクトにやりたかったが、DFラインをどこまで下げられるかは難しい所。セカンドボールが拾えなくなった」と青木。70分に東が広い視野からお膳立てした決定機も、イのシュートは枠外へ。苦しい時間が続きます。
ペトロヴィッチ監督も72分に最後のカードを決断。鈴木に替えてマゾーラを前線に投入。田中が右SH気味に移り、超攻撃的布陣で一層の圧力強化。勝負に出ました。ここで魅せたのは、今やチームの絶対的な主力として、常に気持ちを前面に押し出しながらプレーしてきた20歳の若武者。78分、宇賀神とのパス交換からトップスピードにギアが入った原口の高速スラローム。エリア内で一旦は倒れながら、そのまま左足を振り切ると、執念は結実。ゴール右スミに突き刺さったボール。「気持ちだけで決めた」と語る一撃は、まさにワールドクラス。衝撃的な同点弾で、スコアは振り出しに戻りました。
ここからは打ち合い。82分は浦和。マルシオのCKがこぼれ、拾った永田のスルーパスからマゾーラのフィニッシュは北野がファインセーブ。85分は大宮。後方からのフィードをイがフリック。石原が左へ回すと、イのシュートは右ポスト直撃。跳ね返りを途中出場の金久保が押し込むも、こちらも途中出場の渡邉が最後に触ってしまいオフサイド。93分も大宮。坪内のクサビを金久保がワンタッチでフリーのイへ。シュートを放つも、懸命に戻ってブロックしたのは柏木。両指揮官が「見ている皆さんには喜んでもらえたのではないか」と口を揃えたゲームは2-2。勝ち点1ずつを分け合う結果となりました。お互い最後まで攻撃的な姿勢を貫いた、ダービーの名にふさわしい好バウトだったと思います。 AD土屋
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J2第15節 草津×千葉@正田スタ
引き分けなしの4勝4敗。今シーズンのJ2では間違いなく最大のビッグチームであるFC東京に土を付けたかと思えば、下位チームにあっさり負けたりとなかなか安定した結果を出すまでには至らない草津。今節の相手は東の横綱であり、首位を快走する千葉。「上位についていけるか下位に飲み込まれるかの分岐点になる」(草津・副島博志監督)一戦です。一方、前述したように6勝1分け1敗と確実に勝ち点を積み重ね、首位をキープしている千葉。どうしてもオーロイに注目が集まりますが、攻め上がりを自重するSBも含めて、きっちり築いていく守備ブロックも強固。現時点では間違いなく昇格の最有力候補と言えるでしょう。注目の関東対決は正田醤油スタジアム群馬です。
まず先に攻勢を取ったのは千葉。3分、青木良太が左サイドを駆け上がってクロス。フリーのオーロイが長い左足を振ったボレーはヒットしませんでしたが、5分にもルーズボールを拾った伊藤大介が枠内ミドル。続いて9分、熊林親吾のミスパスを奪った深井が、ドリブルからやはり枠内シュート。積極的なチャレンジが続きます。
ただ、当然最初は規格外の高さを生かすスタイルに、どれだけインフォメーションがあっても戸惑う部分はあったと思いますが、徐々に慣れてきた10分あたりからは、草津も冷静に対応。「ロングボールの出所を抑える」(副島監督)部分では、「DFラインの選手が深い位置にいる時は追わなくていいから、ちょっと高い位置に来たらプレッシャーを掛けてくれと言われていた」とFWの萬代宏樹。これは2トップのパートナーを務めるラフィーニャも同様で、プッシュアップに専心していた最終ラインと最前線をコンパクトに保つための施策。それが遵守されたことで、「セカンドボールもうまく拾えていた」(櫻田和樹)草津が少しずつ守備から攻撃のリズムを創り始めます。
13分、松下裕樹の縦パスを萬代が収め、アレックスが右へ展開。上がってきた古林将太のクロスはGKにキャッチされたものの、1つ形を創ると、2分後には決定機。15分、右サイドをアレックスと萬代で崩し、最後は熊林が右スミギリギリにコントロールしたボールは、岡本がファインセーブ。千葉ゴールを脅かします。
以降は19分に伊藤がゴール左寄り約25mのFKを枠に飛ばし、草津GK北一真にファインセーブを強いたシーンと、28分にカウンターからアレックスのミスクロスがクロスバーを直撃したシーンくらいが、攻撃の見せ場。なかなかオーロイの“次”を生かしきれない千葉と、長いボールの飛びかう展開にストロングの中盤を使いきれない草津。膠着した流れになってしまいます。
40分には伊藤の縦パスから深井が飛び出したGKの鼻先でシュートを放ちますが、カバーに入った永田拓也がクリア。42分、伊藤のCKを3戦連発と絶好調の“ストライカー”竹内彬が頭で狙うも、DFがなんとか掻き出し先制ならず。最初の45分はスコアレスで終了しました。
迎えた後半、先に動いたのはドワイト監督。2列目に入り「孤立してしまうシーンが多かった」(伊藤)マット・ラムに替えて、太田圭輔を投入します。そして50分に動いたスコア。ゴールを奪ったのは、ベンチが動かなかったホームチーム。左サイド、アレックスのパスを受けたラフィーニャが深くえぐって柔らかい浮き球で折り返すと、全速力で飛び込んできたのは褐色の弾丸アレックス。脅威のブラジリアンコンビが炸裂。草津が先手を取りました。さらに54分、松下と熊林のパス交換から、オーバーラップの古林がマーカーを切り返しで翻弄すると、フィニッシュまで。勢いが出てきました。
さて、なかなか攻撃のリズムが創れない千葉。「もっと2列目がどんどん飛び出してくると思っていたが、そうでもなかった」と松下が指摘したように、後半開始からの交替も効果は薄く、シュートも打つことができません。すると、64分に「1-0で負けていたので、前線にパワーを持ちたい」とドワイト監督が切ったカードは久保裕一。下がったのは太田。わずか19分間のプレーとなった太田には、なんとも言えないゲームになってしまいました。
4-4-2にシフトし、「動きながら基点を創れる」(伊藤)久保が入ったことでダブルターゲットを得た千葉でしたが、それでも「ヒデ(中村英之)とミク(御厨貴文)がファーストDFでしっかりアタックしてくれるので、オーロイの所でサンドできていた」と櫻田。DFラインも高い位置をキープし続け、全体の集中も切れずに時間を経過させていきます。そんな守備陣に攻撃陣が最高の形で応えたのは80分。ラフィーニャを起点に高速カウンター発動。熊林が粘って左へ繋ぐと、駆け上がる永田の前には広大なスペース。余裕を持って中へ入れたボールを、トラップする余裕を見せたラフィーニャが思いっきり叩き込み、スタンド沸騰。2-0。リードを広げます。
止まらない敷島劇場。90分、松下から回ったボールを櫻田は絶妙のスルーパス。走った萬代はGK岡本より一瞬早くボールに触り、少し角度はなくなったものの、自らゴールラインと平行にドリブルして、無人のゴールへプッシュ。直後にはオーロイのポストプレーからPKを与え、深井に1点は返されましたが、「1点で終わらず、2点目3点目と攻める姿勢を最後まで保てたことに、チームとしての成長を感じた」と指揮官も納得の表情を浮かべた草津が、今シーズン初めての2点差勝利で首位千葉を粉砕する結果となりました。
千葉はドワイト監督も「ウチが完全に主導権を握った試合ではなかった」と認めたように、オーロイというよりも、そのセカンド奪取も含めて2列目がうまく機能せず、攻撃の形を創りきれませんでした。「焦る気持ちはあったが、トーレ(オーロイ)で競り勝てる部分はあるんで」と伊藤が話したように、常に強烈なファーストオプションがあるため、なかなかセカンドオプションに踏み切るタイミングが難しいのは確か。このゲームで言えば、セットプレーで威力を発揮するロングスローワーのミリガン不在が小さくない影響を与えたと言えるでしょう。
勝った草津は、186センチの中村をCBに入れましたが、オーロイとの身長差は18センチ。それでも「他の選手がオーロイに競り勝っているシーンを映像で見たら、早めにジャンプした方が勝てる確率は高かった」と中村。もちろん競り負ける場面もありましたが、試合終了のホイッスルが鳴ったのと同時にピッチへ倒れこむほど食らい付く姿勢を前面に押し出し、オーロイから自由を奪ったプレーは特筆すべきものでした。「いい運動量でやれたと思う。動きの質が上がった気がする」とは中村同様、勝利の瞬間にピッチへ倒れこんだ櫻田。草津にとっては今後に向けて大きな手応えを掴む1勝になったようです。 AD土屋
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J1第13節 甲府×山形@中銀スタ
前節の横浜FM戦は、前半での4失点が響いて大敗。小瀬に帰還してのホームゲームでは、名古屋戦に続いて確実にホーム連勝となる勝ち点3を獲得したい甲府。一方、大きな注目を集める中で行われたみちのくダービーはホームで手痛い黒星を喫し、現在3試合連続で完封負け。「同じような順位のチーム」(秋葉)を叩いて、何とか浮上のキッカケを掴みたい山形。ここまで1勝同士。勝ち点6の13位と勝ち点4の17位が対峙する一戦は、梅雨入りを改めて実感するような冷たい雨の中でキックオフを迎えました。
「立ち上がりはよくなかった」と甲府の三浦俊也監督も認めたように、いいゲームの入り方をしたのは山形。2分、佐藤が左へ展開すると、廣瀬を経由して宮本がクロス。ダニエルのクリアに遭ったものの、以降も速いボールアプローチで、セカンドも含めてボールを回収。そこからうまくサイドに基点を創り、攻勢の時間が続きます。
山形でアクセントになっていたのは、このゲームがJリーグ初スタメンとなった左SHの伊東。サイドにこだわることなく積極的にボールを引き出し、13分には左サイドからグラウンダーの素晴らしいサイドチェンジで廣瀬のシュートをお膳立てするなど、CBの園田も「いい活力剤になってくれた」と認めるパフォーマンスで、チームに推進力を与えます。本来、山形は守備のタスクがはっきりしているため、割と個人のプレーエリアが決まってくるのですが、伊東は広範囲に顔を出しながらリズムを創る、チームの中でも希有な存在。このゲームでは、そのプラス面がよく出ていたと思います。
ところが、好リズムも暗転。21分、山形の左SBを務める小林がイージーなパスミス。阿部のカットから、犬塚が左へ展開。永里を追い越して受けたボールを、吉田がクロス。ハーフナーが競り合ったこぼれを永里がシュートに持ち込み、これは山形GK植草がよく弾きましたが、いち早く反応したハーフナーが頭でプッシュ。「自分たちのペースでできない時間が15分前後続いた中での先制点」(三浦監督)で、甲府がリードを奪いました。
「最近は個人のイージーミスで失点を食らってるのが凄く多い」(小林監督)中、山形はこのゲームもパスミスをキッカケに失点。「3連敗している中での失点で、嫌な感じが脳裏をよぎった」とは園田。またかというような雰囲気は正直あったと思います。ただ、過去3試合と違ったのは躍動していた伊東の存在。26分、スローインの流れから、古橋がボールをキープ。宮本の上げたクロスが密集の外に流れると、そこにいたのは伊東。巧みにバウンドを合わせて叩いたボレーは、飛び付く甲府GK荻を破ってネットへ到達。「失点して硬くなるなって言ってもなっちゃう中で、チームを助けてくれた」と指揮官も称賛する伊東のJリーグ初ゴールが飛び出し、ゲームは振り出しに戻りました。
以降は40分にショート、ショート、ロングというシンプルな3人目を生かす形から、ハーフナーが完全にラインの裏へ抜け出しながら、トラップしきれずにチャンスが潰えたシーンはありましたが、全体的には山形ペース。この理由として大きかったのは園田と石井で組む山形のCBコンビが、ハーフナーに入るクサビをことごとく遮断していたこと。特に園田は「ほとんどマンツーマンでやってる感じ」だったハーフナーとの空中戦にも「競る前に離れて、距離を取ってから行った。どう行けば勝てるかは徐々に掴めた」と手応えを語ったように、互角以上の勝率。キーになるセカンド奪取も佐藤と秋葉を中心にして優位に立ち、「前半に危ないやられ方はほとんどなかった」と秋葉も語るなど、結果的には「前半は山形のペースだなあと思った」と三浦監督も話すような45分間となりました。
後半スタートから動いてきたのは、その三浦監督。内田に替えて、「攻撃に停滞感を感じたので、タメを創ったり周りの選手を生かしたりすることを期待して」片桐を投入。すると、48分には早速片桐が右サイドで阿部とのパス交換から対面のDFを1人かわすと、アーリークロス。ハーフナーが頭で落としたボールはクリアされたものの、名古屋戦でもゴールを生み出したホットラインがいきなり見られました。53分には小林監督も1枚目の交替を決断。1トップ下の古橋を船山へ入れ替えます。54分も甲府のチャンス。替わったばかりの船山が軽いプレーでボールロスト。阿部、山本と繋ぎ、吉田の左クロスに合わせたハーフナーのヘディングは当たりが薄く、植草がキャッチしますが、サイドをしっかり攻略。手数は甲府が多い中、お互いサイドに収まるポイントがあるため、互角の攻防が続きます。
山形が迎えたビッグチャンスは61分。左サイドで船山からパスを受けた伊東のクロス。ニアの密集からボールを持ち出したのは長谷川。GKも外し、至近距離から枠へ飛ばしたシュートの帰結は、ゴールカバーに入っていた山本の頭によるクリア。ゴールを決めるのにも匹敵する、キャプテンのビッグプレー。勝ち越しは許しません。ここからゲームは膠着。62分、甲府は負傷の犬塚を諦めて保坂を投入。68分、山形はゴールを決めた伊東と宮沢をスイッチ。77分、甲府は永里を下げて、切り札の柏をピッチへ。ただ、いずれの交替策も劇的に流れを変える要因とはなり得ず、どちらも攻撃をシュートまで繋げることができません。
85分は甲府。市川の右クロスから、二アで阿部が巧みにフリックしたボールは、飛び込んだハーフナーもわずかに届かず。そして90分には山形にビッグチャンス。攻撃に人数を掛けていた相手の裏を取ったカウンター。抜け出したのは長谷川。追い掛けるDFはわずかに1人。中にはフリーで船山。しかし、選択としてはワーストに近い、距離があり角度のない位置から放たれたシュートは、サイドネット外側にヒット。チームも自身もゴールが遠いだけに「プレッシャーが掛かっていたのかな」と秋葉。92分に片桐のCKを信じられない打点の高さで叩いた阿部のヘディングも、わずかに枠の右へ逸れ、タイムアップ。共に勝ち切れない現状を象徴するような1-1というスコアで、ゲームは終了しました。
87年生まれ、J2でブレイク、守備に特徴のあるチームの長身ターゲットと、共通項の多いハーフナーと長谷川。この2人がどれだけ機能するかがゲームの流れを左右すると予想していたのですが、それぞれ園田とダニエルに封じ込まれ、ポストワークは不発。それでもハーフナーはゴールへの嗅覚を発揮し、長谷川は2度の決定機を失敗。その部分が結果に与えた影響は大きなモノとなりました。スケールの大きさは十分で、日本人にはサイズを含めても珍しいタイプの2人なので、是非フル代表に到達するようなパフォーマンスを今後も期待したいと思います。
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J1第12節 山形×仙台@NDスタ
![201105230056000[1]yamagata2.jpg](http://www.jsports.co.jp/tv/foot/201105230056000%5B1%5Dyamagata2.jpg)
![201105230115000[1]sendai8.jpg](http://www.jsports.co.jp/tv/foot/201105230115000%5B1%5Dsendai8.jpg)
仙台にとって「震災後、初めてブーイングで迎えられた試合」(仙台・手倉森誠監督)。通算で34回目を数える今回の“みちのくダービー”は、その開催自体に大きな意味合いを持つ特別なダービー。モンテディオ山形とベガルタ仙台。東日本大震災で甚大な被害を受けた東北地方に本拠地を置く、たった2つのJリーグクラブが、震災後初めて激突するという、東北のサッカー界、あるいは東北のスポーツ界にとっても歴史的なゲームはNDソフトスタジアム山形で行われます。
1勝1分け4敗の17位。第9節では今シーズンのJ1を席巻している柏にここまでで唯一となる黒星を付けたものの、ここ2試合は磐田と大宮に連敗。なかなか勝ち点が伸びない中、何とか流れを変えたい山形。3勝3分けの3位。前節の磐田、前々節のC大阪と共に後半アディショナルタイムの失点で勝ち点2を逃してしまいましたが、バランスの取れた戦い方でいまだ無敗を続ける仙台。置かれている状況は対照的ですが、まだ序盤戦とは言っても、このゲームの結果いかんが今後に大きな影響を与えるのは間違いない所。キックオフ前には雨も上がり、スタジアムを埋め尽くした青と黄色は18008人。13時4分、関口がボールを小さく蹴って、ダービーの火蓋は切って落とされました。
3分、仙台のファーストチャンス。リャン・ヨンギを起点に、太田が左へ繋ぐと、パク・チュソンは精度の高いクロス。赤嶺のヘディングはヒットせず、GK植草がキャッチします。6分に角田の強引なミドルを挟み、14分にはまたも左からチャンス。これもリャンを起点に、関口を経由して赤嶺のクロス。前節ゴールを決めている右SBの菅井が走り込み、宮沢が間一髪でクリアしたものの、「前半にいくつか続いたクロスは怖い感覚」と小林伸二監督も話したように、仙台がサイドを意識した形からチャンスを創出します。ただ、このシーンだけを抽出すると、仙台がきっちり回してサイドを攻略していた印象を受けるかもしれませんが、実際は割と手数を掛けずに長いボールを使うシーンが多く、山形も立ち上がりから「シンプルに前へ前へ入れてくる」(手倉森監督)形を選択したために、序盤はお互いに慎重な時間帯が続きます。
17分は山形。長谷川が粘り強いキープから左へ展開。小林のクロスを仙台ディフェンスがクリアすると、宮沢がボレー。ゴールとはいきませんが、ようやく1本目のシュートを記録します。19分は仙台。2人のDFが寄せる間をぶち抜いたパクが中へ。赤嶺の落としを太田が枠内へ。23分も仙台。左サイドからパクがここもいいクロスを上げると、飛び込んだ菅井のヘディングは叩きつけ過ぎ、GKにキャッチされましたが、磐田戦でもゴールを生み出した、左SBのクロスに右SBが飛び込むというシーンが見られました。さらに25分にも仙台は怒濤の4連続CKを記録するなど、サイドの攻防も含めてこの時間帯までは、ある程度仙台が主導権を握っていたと思います。ところが、仙台が前半で記録したシュートは、この一連のCKから角田が放ったヘディングが最後。少しずつ山形が持ち直し、展開も五分に近い所までは引き戻すことに成功しました。
実際、「前半はいい入りができた」と小林監督が話し、「前半は全体的に押し込めていたと思う」とボランチの佐藤も言及したように、山形からすれば自らの右サイドから多少攻められるのは想定内。また、確かに攻撃の手数は食らったものの、中央をしっかり締めることで、仙台に決定機と呼べるようなシーンはほとんど創らせておらず、これも冷静なゲーム運びを実行できた一因でしょう。こうなると、山形にも勢い。30分、植草のロングキックを長谷川が頭で繋ぎ、廣瀬のクロスは宮沢がわずかに届かず。32分、自ら得たFKを直接狙った古橋のシュートはカベに当たりましたが、スタンドの青を湧かせます。「ロングボールでボランチとCBの間を広げさせられ、セカンドを拾われて苦しい時間帯はあった」と手倉森監督も話し、「セカンドの反応はこっちの方がよかった」と石井。シュート数は4対7で仙台が上回りましたが、25分過ぎからはある程度狙いがハマり出し、いくつかのチャンスも創り出せていた山形にとっては、スコアレスながら「立ち上がりと終了間際の失点が多い」(石井)という課題もクリアするなど、決して悪くない45分間だったようです。
ところが、ハーフタイムを挟むと「ボールに行けず、後半は入りが悪かった」(小林監督)山形を尻目に、1本のセットプレーを生かしたのは仙台。52分、リャンが右サイドから入れたFKを角田が頭でクリーンヒット。ボールはクロスバーを激しく叩きましたが、こぼれ球に誰よりも早く反応したのは白の25番。「元々は攻撃的なMFの選手。そういう感覚はゴール前に行けばある」と手倉森監督も認める、山形出身の菅井がダービー初ゴール。アウェイの仙台が先制ゴールを奪いました。
これで3試合続けてビハインドを追い掛ける形になった山形は、1枚目のカードとして59分に宮沢と伊東をスイッチ。62分にはその伊東が小林とのコンビネーションから、左サイドを崩しての折り返しは、中と呼吸が合わずにチャンスは潰えたものの、好機を演出します。それでも、リードを奪った上に「CBとボランチの間を後半は修正した」(手倉森監督)仙台は守備に比重を置きながら、少ない手数でカウンターというスタイルを徹底。中でもボランチに入った角田は、厳しい局面でのスイープや、セカンドを奪取する出足の良さで、存分に持ち味を発揮。山形の中盤に自由を与えません。
70分には古橋の右CKを石井が完璧に頭で捉えたものの、ボールは枠のわずか左へ外れ、山形最大の決定機も同点とはいかず。小林監督も71分には古橋を下げて下村を投入。秋葉を1トップ下に移し、下村と佐藤のドイスボランチで勝負に出ますが、「判断が遅れて、いいタイミングで前にパスを出せなかった」と佐藤が話したように、テンポアップするような前へのボールが入らず、ボールの回し自体も遅くなってしまい、なかなかシュートへ持ち込むまで至りません。さらに85分には長身FWの大久保を送り込み、パワープレーを試みると、その直前くらいから不思議と山形が風下になるような風が吹き始め、長いボールがしっかりゴール前まで入らない状況になってしまいます。逆に仙台はここ2試合の課題として挙がっていた「最後の時間の使い方」(手倉森監督)も、コーナー付近でのボールキープに加えて、「ボールを繋ぎながら時間を使うこと」(同)にチャレンジし、確実に時計の針を進めることに成功。そして93分11秒、ゲームの終演を告げるホイッスル。0-1。みちのくダービーはアウェイの仙台が凱歌を揚げました。
負けた山形は「前半凄く頑張ってくれた」と指揮官も認める内容ながら、後半のファーストピンチでFKから手痛い失点。以降は「少し冷静じゃなくなったのかなあ」と佐藤が話したように、「最近は点が取れていなかったので1点が重い」(小林監督)中でほとんどチャンスを創れず。キックオフ前には青い星のコレオグラフィでチームを鼓舞したゴール裏のサポーターに大ブーイングを浴びる結果となってしまいました。
勝った仙台は14回目となるダービー勝利で無敗をキープ。「無失点に抑えたことは非常に大きい」と手倉森監督が話したように、前節3失点を喫した守備陣の奮起で、3試合ぶりの完封勝利。ここまで来ると、もはやこの躍進はフロックで片付けられないでしょう。現在の両者における勢いが如実に現れたダービーだったと思います。 AD土屋
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J1第12節 横浜FM×甲府@日産
前節は広島と打ち合いを演じた末に3-2で敗れ、今シーズン初黒星を喫した横浜。それでも昨シーズンは苦しんだ渡邉が前線で軸として定位置を確保。また、新加入の谷口や小林も既に欠かせない戦力として躍動するなど、4位という現在の順位も頷ける安定感を誇っています。対する昇格組の甲府は、昨シーズン王者の名古屋を小瀬に迎えた前節で3-1とようやく今シーズン初勝利を記録。残留という大きな目標に向けても、アウェイとはいえ、上昇気流に乗って勝ち点を持ち帰りたい一戦です。26度、快晴という絶好のコンディションながら、観衆は17151人と少し寂しい数字。空席の目立つ日産で、ゲームはキックオフを迎えました。
4分、中村の縦パスに、持ち前でもある相手DFラインとの駆け引きから抜け出した大黒。中への折り返しはDFにカットされましたが、2分後にはさらなるチャンス。6分、やはり谷口の縦パス1本から、渡邉がまったくのフリーで抜け出します。甲府GK荻がファインセーブで凌ぎ、スコアは動かなかったものの、ボールを回しながら縦へとシンプルに蹴り込む形から、横浜が続けてチャンスを創出。すると11分、横浜が奪ったCK。キッカーの中村から「ニアに立っとけ」と言われた谷口は、ニアサイドのゴールカバーに入った伊東とハーフナーの間へ潜り込み、難なくヘディング。谷口の移籍後初ゴールが飛び出し、ホームチームが先手を奪いました。さらに14分、やはり中村の縦パスから谷口が抜け出すもオフサイド。ただ、常に裏を狙っているタイプの大黒と渡邉で組む2トップに加え、今日は中盤ダイヤモンドの頂点に入った谷口が、いずれも開始15分までに1本のパスで裏を突く形を体現。「ラインの間でアクセントになりながら、相手が前に出てきたら裏に出ることは話していた」と中村。狙いがハマります。
そして次のゴールも横浜。17分、大黒からパスを受けた谷口はドリブルから右へラストパス。渡邉は飛び込んだ永里を冷静な切り返しでいなすと、さらなる冷静さでゴール左スミを射抜くフィニッシュ。攻撃的なタスクを託された3人で奪った追加点。2点差が付きました。こうなると止まらないトリコロール。19分には中村が右足のミドルを枠へ飛ばし、甲府ゴールを脅かすと、3度目の歓喜は25分。渡邉が左へ展開したボールを、上がってきた波戸は切り返して中へ。しっかり走り込んでいた渡邉がワンタッチでコースを曲げ、大黒が鋭い腰の回転から左足ボレーを叩き込みます。これで早くもアタッカートリオ揃い踏み。大きな大きな3点目が横浜に入ってしまいました。
さて、シュートを1本も打てないままに、3つの失点を重ねてしまった甲府。「前からのプレスが効かなかった」とは左SHの永里。「最終ラインもよくなかったけど、ボールの出所にプレスが掛からず、いい状態で蹴られてしまうシーンが多かった」とは右SBの市川。やはりプレスがうまく掛けられず、「サイドも使われ、中も使われてキツかった」と左SBの吉田が振り返った状況になってしまったのは、チームの共通認識。さらにドイスボランチの一角で「テルさんとは2枚でコースを切りながら、前の中盤の選手も見ながら」守備に奔走した保坂は、「プレスの行き方が中途半端だったというのは感じた。結果的にだけどああなるんだったら、ラインを落としても良かったし、行くならもっとタイトに行ってもよかったと思う」と話しています。そういう意味でも、「自分が思うようなことをやってくれた」と木村和司監督も称賛した谷口の、少し浮いたポジショ二ングが甲府に混乱をもたらしたのは間違いなく、それは攻撃のユニットが機能したことで「相手のFWの良さを出させてしまった」(甲府・三浦俊也監督)ことにも繋がってしまいました。
甲府も37分にはCKを獲得し、38分には永里がやや強引な左足ミドルで実質チーム初シュートを放っても流れは変わらず。逆に40分、栗原の正確なクサビを谷口は完璧なボストプレーで右へ。開いた渡邉がクロスを上げると、ニアへ飛び込んだ大黒が確実に頭でゴールへ流し込みます。クサビ、ポストプレー、開いてクロス、ニアに入ってヘディング。まるで練習の1コマかと見紛うほどの、基本的なプレーと動き方を忠実に実行して奪った4点目。大差が付いたとはいえ、内容を考えれば決して驚きではないスコアで、両チームの平等な45分間はコントラストを描きました。
正直、「前半で決まったな」(木村監督)「ゲームは前半で決まってしまった」(三浦監督)と両指揮官が話した中での後半45分間に、取り立てて見るべきシーンがなかったのは仕方がないことでもあり、少し寂しいことでもありました。あえて甲府で光明を見出だすとすれば、後半スタートから投入された2人が悪くないアピールを見せたことでしょうか。右SHに配された柏は、持ち前のドリブルを生かしながら積極的に突破を試みます。また、片桐も最初は左SH、途中からはボランチとしてよくボールに絡み、64分には無回転ミドルでチーム初の枠内シュートを記録するなど、攻撃のリズムを生み出していました。とはいえ、実際ゲームの流れを劇的に変えるまでには至らず、4点ビハインドでの登場ということを考えれば、少し物足りなさは残ります。
一方の横浜は「ハーフタイムで監督に『ここからやっと久々に“ちゃぶれる”時間が来たな』と言われた」(中村)後半で、決定機に数えられそうなシーンは2回ほど。87分には途中出場のキム・クナンがDFをかわしてシュート。荻が弾いたボールに、こちらも途中出場の長谷川が飛び込むも、荻がファインセーブ。92分にも兵藤とのワンツーからキムがフリーで打ったシュートはバーの上へ。「後半も5点目6点目を取りにいけと言ったんですけど、言うことを聞かんかったね」と木村監督も苦笑するなど、あまり収穫を得られるような45分間にはなりませんでした。そういう意味でも少し消化不良というイメージを残しつつ、横浜が勝ち点3と得失点差プラス4を上積みして、ゲームは終了しました。 AD土屋
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J1第11節 川崎×鹿島@等々力
川崎と鹿島。2005年の川崎再昇格以降、リーグとナビスコを合わせて18回の対戦は、川崎の9勝2分け7敗とかなり拮抗していますが、そんな結果以上に、2008年リーグ戦の等々力、2009年ナビスコの等々力、さらに2009年リーグ戦の荒天による延期と再開試合など、印象に残るゲームの多い両者の対峙。5試合を終えて2勝3敗と黒星が1つ先行するなど、まだ相馬直樹新監督のスタイルが浸透しきっていない印象の川崎と、ACLを並行して戦う中で、リーグ戦は1勝1分け1敗という成績もさることながら、3試合で7失点と守備に綻びが見られる鹿島。お互い「勝ちが欲しいゲーム」(相馬監督)は等々力です。
まず勢い良く飛び出したのは川崎。5分、矢島が岩政から体でボールを奪い取り、サイドネット外側へぶつけるシュートを放ったのが猛攻の号砲。6分、田中裕介のスローインから矢島、ジュニーニョと繋いで、山瀬のシュートはGK正面もゴールへの意識を前面に打ち出します。すると10分、早くも3本目となるCKを中村が少しゴールから離して蹴り込むと、菊地が頭を伸ばし、こぼれたボールに反応したのはジュニーニョ。これが小笠原の股間をすり抜け、ゴールに転がり込みます。ケガで出遅れたエースの今シーズン初ゴールで、いきなり川崎が先手を取りました。
なおもホームの進撃。12分、中村のボール奪取から矢島のシュートは枠内へ。15分、再び中村のボール奪取からジュニーニョの枠内シュートは曽ヶ端がセーブ。17分、ジュニーニョが右へ展開し、田中裕介のクロスに矢島が合わせるも、岩政が何とかブロック。18分、CKの流れから中村が右クロスを放り込み、登里のシュートは曽ヶ端がキャッチ。川崎の一方的な展開になってしまいます。
「前半の鹿島は眠っているように見えたが」という会見での質問に対して、「僕も同意する」とオズワルド・オリヴェイラ監督が話したように、あらゆる面で後手に回った感のある鹿島でしたが、特に気になったのは攻守の切り替えの遅さ。24分には小笠原が蹴ったFKをクリアされて浴びたカウンターに対して、リアクションが極端に遅く、青木はやむを得ずイエローカード覚悟のファウルで流れを切りましたが、ストロングとも言うべき部分で相手に上回られる鹿島らしくない時間が続くと、31分に川崎が追加点。中村からパスを受けた矢島は、狭い局面から優しいラストパス。「ヤジがいい所にボールを落としてくれた」という山瀬は、やや角度のない所からサイドネットへ一刺し。曽ヶ端は一歩も動けず。リードは2点に広がりました。
鹿島も39分、相手のミスからカウンター。西、遠藤が絡み、野沢の左足ミドルは枠を捉えたものの、相澤が好セーブ。ようやくフィニッシュを取りましたが、前半はこれが流れの中から生まれた唯一のシュート。内容を考えれば妥当か、あるいは川崎にもっと点が入っていてもおかしくない展開で、45分は終了しました。
「もったいない前半」と切り捨てたオリヴェイラ監督がハーフタイムに檄を飛ばしたのは、火を見るより明らか。すると後半開始わずかに13秒。右サイドから野沢が入れた低空クロスに、頭から飛び込んだのは興梠。ボールはわずかにゴールの右へ外れましたが、ここから鹿島が牙を剥いて襲い掛かります。49分にも小笠原、興梠、野沢、大迫とパスが繋がり、獲得したCKは岩政が頭に当てきれなかったものの、止まらない勢い。そして50分、後方からのフィードを大迫が競り勝つと、興梠は右へ。野沢がグラウンダーで絶妙のクロスを送り、遠藤が確実にゴールへ流し込みます。攻撃的なポジションを務める4人全員が絡んで奪った一撃。等々力の雰囲気が一気に変わりました。
直後の51分には川崎。小宮山の縦パスに抜け出した登里が左からマイナスに折り返すと、ジュニーニョのフィニッシュが枠の右へ外れる決定機はありましたが、以降のペースは完全に鹿島。要因としては「こちらのラインが下がり、足が止まってルーズボールが拾えなくなった」ことを相馬監督は挙げています。これを「鹿島は大きな展開が増えて、味方の距離が離れてしまった」と補足するのは川崎のゴールマウスを守る相澤。この鹿島に長いボールが増えたことは、川崎のラインを間延びさせて、中盤でボールを拾うための人数とスペースを確保する効果と同時に、中盤で頻繁に起きていたイージーなミスを奪われてのカウンターを激減させる効果も、結果的にではありますが併せ持っていたように感じました。
60分には相馬監督が最初の交替。登里を下げて「ルーズボールが拾えない中盤を助ける」狙いで横山を投入し、中村を1列前へ押し出します。62分、伊野波が右へ蹴ったフィード。野沢はトラップミスを南米のプレイヤー並みに生かし、浮き球で中へ入ると左足シュートを枠の左へ。63分、右サイドから遠藤がカットインしながら打ったシュートは、DFに当たってなんとか相澤がフィスティング。72分、野沢の左CKを二アで合わせた興梠のヘディングは、またも相澤がファインセーブ。水際でリードを保ちます。勝負を賭けたオリベイラ監督の決断は77分。大迫と体の重さを隠せなかった小笠原に替えて、カルロンと増田を同時投入。直後にはカルロンが高さを生かして頭で繋ぐと、遠藤の右足シュートは枠の左へ逸れましたが、同点ゴールが生まれそうな雰囲気は十分に感じられました。
ところが、次のゴールは同点弾ではなく、ダメ押し弾。78分、鹿島陣内で相手の浮かせたボールを柴崎晃誠が跳ね返すと、中村はワンタッチから刹那、最高のスルーパス。「感覚でダイレクトでコースを変えた」小林のシュートは、ゴール左スミへ転がり込みます。2戦とも途中出場ながら、ホーム連発となった小林のスーパーサブ襲名ももちろん称賛の対象ですが、やはり中村のキラーパスは圧巻。大きな1点が川崎に入りました。
苦しくなった鹿島は82分、野沢に替えてルーキーの柴崎岳を投入。92分にはスローインの流れから、その柴崎岳がヘディングで前へ送り、カルロンが自ら放ったシュートのこぼれ球を押し込んで1点差までは詰め寄りますが、反撃もそこまで。96分6秒、激闘に終止符を打つホイッスル。「今日はどうしても勝つという気持ちが表れていた」と指揮官も言及した川崎が勝ち点3を手にする結果となりました。
鹿島はやはり「戦うとか機動性とかシステムとか戦術的なもの以前に、気持ちを入れて試合に入らなければならない」とオリヴェイラ監督も嘆いたように、前半の不出来が全て。後半にあれだけペースを奪還するのは強いチームにしかできないことですが、それ故に残念な勝ち点0となってしまいました。
川崎は山瀬に待望の加入後初ゴールが生まれ、小林も自身の地位を確立するようなダメ押しゴール。「少しずつ形になり始めてきたのかな」と山瀬も話した攻撃面に、一定の手応えを感じた様子。「やりたいサッカーを相手は関係なしにしてやれるようにしていきたい」(相澤)というレベルまで、もう一息の所まで来ているような印象を受けました。 AD土屋
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J1第11節 新潟×柏@ビッグスワン
5試合を消化した時点で2勝3分けと負けなし。失点もリーグ最少タイの2失点と、堅い守備をベースに上々のスタートを切った新潟。ただ、攻撃の中核を担っていたチョ・ヨンチョルとブルーノ・ロペスが共に負傷欠場。さらにスタメンが予想された川又も体調不良を訴えたため、黒崎久志監督は酒井高徳の弟で18歳のルーキー酒井宣福を起用してきました。一方、ビッグスワンへ乗り込んできたのは昇格組ながら堂々の首位に位置する柏。前節も浦和相手に完勝を収め、その猛威はJ1を席巻中。ディフェンスリーダーを務めるパク・ドンヒョクの離脱も、増嶋が代役以上の活躍で完全にカバー。磐石の布陣でこの一戦に臨みます。
ゲームは6分、木暮がほとんどフリーで左サイドからアーリークロスを放り込み、三門がわずかに届かなかったシーンと、9分に北嶋のポストからレアンドロ・ドミンゲスが右へ展開し、酒井宏樹のクロスが中と合わなかったシーンが、20分までに両チームが創出したすべてのチャンス。ほとんど動きのない展開が続きます。
当然、「失点が少なく速いカウンター」(柏・ネルシーニョ監督)を特徴とするチーム同士の対峙と言う面もありましたが、それ以外にも両SBが共に積極的なオーバーラップを敢行する所や、ドイスボランチはバランスを重視し、そこまで前に出ていく回数は多くない所など、両者は非常に似た部分の多いチームという印象。加えて「相手SBへプレッシャーに行くため」(栗澤)に、柏の攻撃的な中盤に入ったレアンドロと大津もワイドに開いたポジションを取ったことで、システム的にも一般的な中盤ボックスの4-4-2同士となり、完全にマッチアップする状態。これも動きの少ない展開の一因になったように感じました。
ところが、「システム上、マンツーマンになる分、個の力はウチの方があるのでチャンスは増えるかなと思っていた」と栗澤。そして、ゲームを動かしたのもその“個”の輝きでした。23分、左サイドの深い位置からジョルジ・ワグネルのスローイン。レアンドロと相手DFが競り合ったルーズボールへ飛び込んだワグネルは、巧みなコントロールからボールを浮かしてDFを外すと、利き足とは逆の右足一閃。直後、激しく揺れたゴールネット。「レイソル対策でスローインからああいうコンビネーションがあるとは言っていた」ものの、「ブラジル人は浮き球の処理に長けている所はある」と黒崎監督も認める技術の高さを発揮したワグネルのゴールで、柏が先手を取りました。
追い掛ける展開となった新潟は35分、三門、ミシェウと繋いで、木暮がダイレクトでスルーパスを狙い、酒井宣福が感じ切れなかったものの、意図ある惜しいシーンを創り出すと、「35分くらいまではコントロールしていたが、その後の7、8分は相手のペースに陥ってしまった」とネルシーニョ監督も言及したように、42分にも連続してCKを獲得するなど、反攻態勢に入ります。45分には木暮が左サイドから右足で上げたクロスを、エリア内へ走り込んだ本間が落とすと、ミシェウがボレー。ヒットせずに柏GK菅野が難なくキャッチしましたが、ボランチの飛び出しというゲームをブレイクする要素から、1本目となるシュートを新潟が記録して前半は終了しました。
ハーフタイムを挟むと、ネルシーニョ監督は「ニュートラルにする力が弱まっていたので、守備をもう少し前から仕掛けよう」と明確に修正。51分には木暮のサイドチェンジから、ミシェウがフリーになりかけたシーンも、察知した大谷が圧巻のスイープ。「隙がなくてやりづらかった」とは本間。新潟はシュートまで持ち込むパワーを出させてもらえません。ただ、北嶋が「オーガナイズされた守備にやりにくさはあった」と言及したように新潟も守備面での破綻はなく、膠着した時間が経過していきます。こうなると、当然ではありますが、ゲームを揺り動かすキーファクターはセットプレー。そして今シーズンの柏には、そのセットプレーで威力を発揮するレフティがいるのです。61分、左サイドでFKのポイントに立ったのはワグネル。左足から放たれた軌道は、鋭い弧を描いて近藤の頭にヒット。0-2。ゲームの流れを考えると、決定的とも言うべき2点目を今シーズンの「レイソルの武器」(黒崎監督)で柏が強奪しました。
なんとか反撃の糸口を掴みたい新潟は70分に小林と長谷部を、76分には酒井宣福と加藤を相次いでスイッチ。木暮を前線に押し出し、三門がボランチへスライド。SHは右に長谷部、左に加藤を配し、変化を付けたものの「2点入ってしまってからは前に出ていけなかった」と指揮官も振り返ったように、チャンスメイクまで至らず。逆に81分には酒井宏樹の縦パスから、完全にフリーで抜け出した途中出場の工藤が、熾烈なFWのポジション争いへ自身をアピールする冷静なゴール。「1勝1勝自信を積み上げていっている。これからの自信に繋がる大きな勝利」とネルシーニョ監督も満足そうな表情を浮かべた柏が、首位らしい磐石のゲーム運びで、アウェイから勝ち点3を持ち帰る結果となりました。
新潟は主力の不在も含めて、うまくチームが回らないゲームになってしまいました。それを象徴するようなシーンは83分。イージーなパスミスで自らレアンドロにボールを渡してしまった千葉が、ふてくされたようにタラタラ歩いて守備対応に移ります。その後、千葉は大野との交替を命じられましたが、黒崎監督の「何回もミスをしたので替えた」という言葉を待つまでもなく当然の交替。千葉はなぜ自分がここまでリーグ戦全試合でフル出場していたかを改めて考える必要があるでしょう。猛省を促したいと思います。
柏は前半に先制、セットプレーで追加点、途中出場の選手がダメ押しと、まさに強いチームの勝ち方で首位キープ。「こういう相手から点を取って勝てたのは、強くなってきたかなと思う」とは北嶋。いよいよ勢いもホンモノの予感を帯びてきています。 AD土屋
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J2第11節 湘南×愛媛@平塚
2勝1分け1敗の3位。ある程度スタートダッシュに成功した感のある湘南ですが、ここ2試合は共に無得点。反町康治監督もシステムを4-2-3-1から、開幕戦以来となる巻佑樹と佐々木竜太の2トップを敷いた4-4-2へシフトして、ゴールを強く意識した布陣でゲームに臨みます。一方の愛媛は、2連勝の後で現在は2連敗中。ただ、前節の千葉戦もやや不可解な判定で退場者を出してから、終盤に勝ち越しを許す展開。チームとしての戦い方がハッキリしている好チームなのは間違いありません。平塚の気温は26.1度。まるで初夏を思わせるような快晴の中、キックオフを迎えました。
ゲームはかなりスローペースな立ち上がり。11分。ルーズボールを拾った石神直哉が無回転ミドルを枠へ飛ばし、愛媛GK川北裕介が弾き出したのが両チーム通じて最初のシュート。全体的には少し湘南の方が比率として攻撃の時間が長かったものの、主導権を取り切るところまでは至りません。わずかに湘南が攻勢に出ていたのは、やはりアジエルの存在。彼がボールを持った時には周囲もスイッチが入り、前へと飛び出す人数も多くなっていくのは間違いないでしょう。逆に愛媛はそのスイッチを入れる選手がなかなか見つからず、「体力的にも前から行けず、中途半端な形になった分、押し込まれた」(渡邊一仁)部分があり、その差が湘南攻勢の要因だったと思います。
25分、そのアジエルがFKを短く出し、永木亮太のリターンを受けると、DFラインの裏へ絶妙のロブ。佐々木竜太はわずかに届かず、シュートは打てませんでしたが、10番が愛媛に脅威を突き付けます。とはいえ、強みが弱みに変わるのもサッカーの面白い所。33分、愛媛のカウンター。高杉からボールを受けた渡邊は「アジエルが守備をあまりしないのはわかっていたので、ボールを奪ったらそのスペースを突ける」とやや中央左寄りをフリーで運ぶと、浮き球の勝負パス。このボールが「どうしても押し込まれるので我慢しようと思っていた。形は狙い通り」という内田健太に届きます。GK西部洋平の位置取りがうまく、「思い切り打つか、浮かすか、ちょっと迷った」内田は前者を選択し、豪快に枠を外してしまいましたが、劣勢の中で浴びせた一太刀。そして、これは両チーム通じて前半唯一の決定機。「前半は相手にスペースを与えたものの、そんなにクリティカルなチャンスは与えなかったと思う」とはバルバリッチ監督。シュート数も湘南の2に対して、愛媛は3。かなり膠着した展開で、最初の45分は推移しました。
後半はスタートから湘南に動き。佐々木を下げて、ルーキーの高山薫を前線に送り込みます。すると49分、アジエル、ハン・グギョンと繋いだボールを左サイドの深い位置で受けた高山は、華麗なシザーズで縦に抜け出しクロス。GK川北が何とか抑えたものの、「左右のスペースに走って、ペナの横から基点になれ」という指揮官の指示を早速実行してみせます。そんな高山が主役の座に躍り出たのは59分。自陣左サイドでボールを奪った湘南は、坂本がシンプルにはたくと、前を向いたアジエルはフリー。全力で裏へ走り出した高山のスピードを、最大限に生かしたシルクパスがフワリ。高山対川北。勝ったのは高山。「予想以上に嬉しかった」というルーキーのプロ初ゴールを、なんと8人がゴール裏まで走って祝福。反町監督も「あそこで決めないのが高山で、決めちゃったら高山じゃない」と笑顔。湘南が先手を取りました。この失点に対して、バルバリッチ監督は「ボランチが2人とも前に出てしまい、そこを突かれて失点してしまった」と会見で2度も言及。これには当のボランチを務める渡邊も「確かにそれは監督から言われてる。体力的なモノから来る集中の欠如だったかもしれない」と認めています。バルバリッチ監督からすれば、かなり悔しい失点だったようです。
追い掛ける格好となった愛媛は、失点の直前に内田を下げてジョジマールを投入していましたが、「期待していた程の効果は得られなかった」(バルバリッチ監督)ために、なかなかチャンスを創り切れません。77分には赤井秀一、杉浦恭平と続けて決定的なシュートを放つも、共に西部がファインセーブ。スコアは動かず、時間が経過していきます。愛媛2枚目のカードは78分。杉浦に替えて福田健二。そして、この交替がさらなるドラマを巻き起こすことになりました。
前述したようにジョジマールがうまくゲームの流れに乗れず、攻め手を欠いていた愛媛。ところが、この交替で「フクさんが入って、前に簡単に入れるってハッキリした」と渡邊。長いボールが増える中、「3連戦の最後のゲームで、気温が上がってきてというのはあった」(反町監督)からか、湘南は全体的にラインが下がり、受けるような時間が続いてしまいます。そして迎えた87分、「フクさんには練習から前に蹴れって口酸っぱく言われてた」渡邊が正確なフィード。受けた福田は「僕もその部分は自信を持ってる」と、胸で正確なポストプレー。1人、2人、3人。左から右へキックフェイントでスライドしながら3人を振り切った齋藤学は、冷静に左スミへ転がすフィニッシュ。「1人の力で試合の流れを変えることができる」とバルバリッチ監督も称賛する、新エースがもたらした歓喜。両者が勝ち点1を分け合って、ゲームは終了しました。
愛媛は「ケガ人が多くて、非常に編成が難しかった」(バルバリッチ監督)中でも、コレクティブな戦い方が印象的でした。選手に話を聞いていても、相手の特徴とそれへの対策がよく整理されていることがわかります。これで3試合勝利からは見放されていますが、キッカケ次第では上位に食い込んできても不思議はないでしょう。
湘南もこれで3試合勝ちなし。「思い切りの悪さがチームに閉塞感を与えている所がある」と反町監督が話したように、90分間で放ったシュートはわずかに5本。本数が多ければいいという訳ではないにしても、「ピッチの最後の3分の1に入った時の潔さ」(反町監督)は課題として残りました。失点はリーグ最少をキープしているだけに、あとは攻撃陣の爆発が待たれる所です。 AD土屋
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J1第10節 柏×浦和@国立
柏にとっては2年ぶりに開催された聖地国立でのリーグ戦。ホームゲームで24222人と発表された観衆の数字と、アウェイゴール裏を埋め尽くしたファナティックな“赤”が、J1の舞台へ帰ってきたことを何より如実に証明しています。おなじみ柏のソウルソング“柏バカ一代”に対しても、コールリーダーの話には耳を傾け、歌が始まると同時に大音量の浦和レッズコールで打ち消しにかかる辺りはリスペクトの現れ。ゴールデンウィーク最後のゲームは、降りしきる雨をモノともしない熱狂の中で幕を開けました。
電光石火。先制は柏。右サイドで酒井がレアンドロからのリターンを素早くクロスに持ち込むと、ニアへ飛び込んだのは2戦連発弾でスタメンの座を勝ち取った北嶋。ゴールネットが揺れたのは、開始わずかに56秒。「取るべき人が取ってくれた」と大谷も話す、エースの3戦連発弾で、ホームチームがいきなりアドバンテージを奪取しました。そして、この1点は柏にとってゲームプランを一層思い通りに運ぶための、大きな要素となったのです。
立ち上がりの15分くらいまでを全体で見れば、ポゼッションで上回っていたのはやや浦和。7分には原口がミドル。8分には柏木のCKから、原がヘディングシュート。16分にはマルシオ・リシャルデスの縦パスを、うまく反転した原がフィニッシュ。先制ゴール以降は、3分にレアンドロがミドルを放った以外にチャンスのなかった柏を、手数でも上回ります。ところが、「浦和が攻めてくれれば攻めてくれるほど、ウチのチャンスだと思ってやってた」と話したのは柏不動のボランチ栗澤。この発言の真意は、ネルシーニョ監督が明らかにしてくれました。曰く「浦和が攻撃に出た時は柏木が上がって、山田が1人アンカーで残る。その山田の両脇にスペースが空くので、相手のサイドバックと2列目、トップの連携をブロックしてニュートラルにすれば、奪った後に山田の周囲のスペースへ効果的にボールを入れてカウンターができる。そういうトレーニングは積んできた」と。浦和はここ最近採用していた4-3-3から、柏木と山田暢久をドイスボランチ気味に置く4-2-3-1でスタートしましたが、柏も「3トップなのでサイドに基点を創られると厳しくなる」(栗澤)と攻撃的な中盤をいつもより外側に配置。これにより、「マークに付く人をハッキリできた」(栗澤)ことで、まずはサイドでの攻防で機先を制します。これを嫌がってか、原とマルシオは比較的中央に位置を取りましたが、結果として流動的過ぎることで、フォローを得られなかったエジミウソンが孤立。マルシオも埋没する中で、ボールの集まった柏木が前に出ていくのはいわば必然だったとも言えると思います。これに「1点目を取ったことで相手が多少前がかりになった」(大谷)部分もプラスされ、柏の前にズラリと好条件が揃いました。
そして、まさにそのカウンターが発動したのは21分。浦和のCKを跳ね返すと、自陣からレアンドロは左へ最高のロングパス。受けた大津が短く繋ぐと、エリア外から「低く抑えて打とうと思っていた」ジョルジ・ワグネルのミドルがゴールの左スミ下へ突き刺さります。形こそ相手のセットプレーを奪ってからだったものの、カウンターからの結実という面ではまさにネルシーニョ監督の狙い通り。点差が広がりました。
以降もボールを握りながら、前が手詰まりになった浦和は22分という早さで宇賀神を下げて野田を投入する荒療治に出ましたが、「もうちょっとカウンターが速くて、前に出てくると思っていた」と増嶋が話したように、なかなか縦へ加速するスイッチが入りません。一方の柏は34分、レアンドロのスルーパスから大津のシュートは枠の左へ。39分、大津のパスを受けたレアンドロがダイレクトではたいたスルーパスはわずかに北嶋届かず。さらに41分、自陣でボールを奪うと栗澤が繋ぎ、レアンドロのパスはまさに孤軍奮闘を強いられた柏木がクリアしましたが、このカウンター時に柏が掛けた人数は、守る浦和の倍。「奪った後のレアンドロが空いた所を突いていこうと言っていた」(栗澤)狙いも、それまでのチャンスすべてにレアンドロが絡むなど完璧に体現。攻守でポイントをしっかり押さえた柏が2点をリードして、45分間は終了しました。
後半も先にチャンスを創ったのは柏。47分、大津が左サイドで粘り、ワグネルのクロスは田中がヘディングで枠へ飛ばしましたが、山岸がファインセーブ。さらに51分には再びレアンドロを経由した高速カウンター。フィニッシュには結びかなかったものの、後半もカウンターが大きな武器になり得ることを証明します。まずは1点を返したい浦和は58分、右サイドでマルシオからボールをもらった原が強烈なミドルを枠内へ。59分、またも右サイドで柏木が溜めると、上がった高橋のクロスは柏DFがクリア。この前後から原と高橋には積極性が出始め、右サイドが活性化してきますが、もう1つアクセントが足りず、決定機を掴むまでには至りません。
ペトロヴィッチ監督は65分、スピラノビッチに替えてエスクデロを投入。山田暢久がCBに下がり、柏木をアンカーに、その前へエスクデロ、マルシオ、原、原口を並べる4-1-4-1気味にシフト。67分には原がドリブルで華麗に2人を置き去るも、3人目の大谷がスイープ。68分、エスクデロの右クロスを、二アでエジミウソンがすらし、マルシオが走り込むも、シュートは力み過ぎてヒットせず。2点が重くのしかかります。
70分、ネルシーニョ監督が切った1枚目のカードはワグネルに替えて橋本。すると橋本はいきなり71分、74分に積極的なオーバーラップから田中の決定機を演出するなど躍動します。一方、77分にペトロヴィッチ監督が切った最後のカードはマゾーラ。これで、攻撃的なポジションには原口、エスクデロ、マゾーラとドリブラー3人が並びましたが、率直に言って機能していたとは言い難いと思います。
逆に、冴えまくるネルシーニョ采配。83分、レアンドロの左FKを二アでその8分前に投入されていた澤がヘディング。山岸が辛うじて触り、ポストに跳ね返ったボールはDFがクリアしましたが、そこにいたのは「彼は今、ゴールの匂いがすごくしているのでしょう」と指揮官も笑顔で言及した北嶋。3-0。勝敗は決しました。浦和も92分、相手が一瞬見せた隙を突いて、最後まで戦う姿勢を見せていた原口が1点を返しましたが、時すでに遅し。「戦術をしっかり理解して、90分継続して遂行できた」とネルシーニョ監督も認める完勝で、柏が早くもシーズン4勝目を挙げる結果となりました。
浦和は個人のプレーは規則的なのに、チームとしてのプレーが規則的ではないように見え、強烈な個の組織化に苦しんでいる印象です。特に今日もかなり突かれていた、攻守のトランジションの遅さは致命的。厳しいゴールデンウィークとなってしまいました。
勝った柏はスカウティングも含めて、あらゆることがハマった、まさに完勝。ネルシーニョ監督も「今シーズンの5試合の中でも、今日は戦術面で一番良い内容だった」と手応えを語りました。J2を戦ってきた昨シーズンから確実に積み上げてきたベースも、さらにワンランク上がってきている太陽王。“日の出の勢い”はまだまだ止まりそうにありません。
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J2第10節 東京V×FC東京@味スタ
3年ぶりの再会はJ2での対峙。共に昇格を唯一の目標に頂く東京VとFC東京。東京ダービーが味スタに帰ってきました。ただ、東京に本拠を置くライバルという以上に、J1復帰にとって蹴落とさなくてはならないライバルという側面も強い両者の激突。スタジアムを埋めた“東京サポーター”は28832人。この一戦でしか歌われないチャントが渦巻く中、20度目となるキックオフを告げるホイッスルが吹かれました。
先にチャンスを掴んだのはFC東京。4分、最終ラインで少しもたついた深津に激しく寄せた梶山がボール奪取から、足を伸ばしてオープニングシュート。前節から戦線復帰した土肥が辛うじて弾き出しますが、まずは勢いを表出させます。5分は東京V。ユースから昇格したルーキーの小林がシンプルに縦へ。走った平繁はカバーに戻った森重と入れ替われず、オフェンスファウル。ここは結果的にシュートまで至らなかったので、あまり印象に残らないシーンだったかもしれません。ただ、これは“繋ぐ”スタイルを標榜する東京Vが隠し持った狙い。「後ろの4人のカバーの関係がうまくいってないように見えたし、森重と今野の間が空く」(川勝良一監督)というのはインフォメーション済み。実際に平繁が抜け出したのはCBのまさにど真ん中で、狙い通りの動き出しだったのは間違いありません。
6分はFC東京。阿部の左クロスを、高松が頭で叩いたボールは枠の左へ。14分は東京V。河野、菊岡、井上と回して、河野の左クロスを平繁はシュートまで持ち込めなかったものの、ヴェルディらしいスタイルを見せ付けます。15分はFC東京。右サイドから中へ付けた椋原のパスを高松がエリア内で収め、徳永を経由した羽生の左足ミドルは枠の左へ。15分まではダービーらしい、チャンスを創り合う展開となりました。
ところが、以降は「相手の流れの時間がいつもより長かった」と阿部が話したように、東京Vへ流れが傾きます。1つの要因は1トップ下へ入った河野が、幅広くボールを引き出したこと。ともすればそれは課題ともされているようですが、この前半に関しては動きの少ないFC東京の中盤をアクティビティで上回ったことは、リズムを生み出すことに繋がっていた印象です。もう1つの要因は「やれないことはないなと感じた」という小林の存在。5分のように縦への脅威をちらつかせながら、時間帯では繋ぎの潤滑油にも。このユース出身の2人のレフティが、ペースを引き寄せる上で小さくない役割をよく果たしていたと思います。さらに、平繁の負傷を受けて28分からピッチに登場した平本は、いきなり1分後に菊岡のフィードを受けて裏へ。最終的には森重のカバーに遭いますが、替わったばかりの平本もしっかりCBのギャップに潜る狙いを体言したように、東京Vはやりたいことがハッキリしていました。
一方のFC東京は「自分たちが持ってる時も崩す所まではいかない」と今野が話したように、攻撃はかなり手詰まり。こちらの要因は「2トップにほとんどボールが入らず、高い位置で基点ができなかった所」(大熊監督)。特にロベルト・セザーは果たすべき役割が明確に見えず、ピッチを浮遊。「ウチはCBが強いので、プレスバックしても潰せる」と東京Vのボランチを任された小林も話すなど、FC東京のアタッカー陣を消し去りつつ、縦と横を使い分けながら攻めた東京V優勢で45分間は終了しました。
後半も勢いは東京V。50分には河野が獲得したFK。菊岡が入れたボールを土屋が完璧なヘディングで枠に運びますが、ここは今野が必死にクリア。先制とはいかないものの、決定機を掴みます。苦しいFC東京に追い打ちを掛けるような判定は54分。エリア内で倒れたロベルト・セザーに対して、飯田淳平主審はシミュレーションと判断し、イエローカードを提示。前半にも1枚もらっていたため、35分近くを残して退場となってしまいました。
ここがゲームの潮目。結果として、この退場によってゲームの流れは一転、ほとんど五分か、あるいはややFC東京ペースに変化します。FC東京側からすれば「1人少なくなってやることがハッキリした」(椋原)のが好転した形。59分には高松に替わって谷澤が入り、鈴木を最前線に押し出した4-4-1にシフトすると、61分にはその鈴木が足元でボールキープする土肥に激しく襲い掛かり、あわやというシーンを創出。さらに68分、羽生に替えてペドロ・ジュニオールを1トップに送り込んでからは、一層戦い方に統一感が出てきます。逆に東京Vは「もっとチーム状態に余裕があれば、外をうまく使って相手を引き出したり、攻撃の人数に厚みを増せたが、多少焦りはあった」と川勝監督。小林も「ゴールを狙う意識が強過ぎて、前へ前へになってしまった」と話しています。また、「前半飛ばしたこともあって」(川勝監督)全体の運動量が低下したタイミングも、FC東京に10人でのゲームリズムが出始めたのと結果的にマッチした印象。まさに「サッカーにありがちな1人少なくなった方が頑張る」(川勝監督)要素が重なって、ゲームが変容したのだと思います。
78分、FC東京に訪れたビッグチャンス。右サイドで谷澤からのリターンを受けた椋原のクロスは絶妙。ペドロ・ジュニオールの頭にピタリと合ったものの、ボールはゴール左へ。アウェイ側の青赤が頭を抱えます。81分、鈴木のCKをファーで今野が叩いたボレーは、土肥が何とかキャッチ。攻勢はFC東京。さらに最終盤には思わぬアクシデント。所定の90分を回ってから、土肥が負傷によりプレー続行不可能に。既に3枚のカードを使っていた東京Vは「DF陣は絶対変えたくなかったので、身長もあるからアイツが。結構やりたそうでしたけど、逆に(笑)」(土屋)と平本が色の違うユニフォームを着込み、ゴールマウスに立ちます。時間は96分。谷澤の蹴ったCKは、ゴール前で混戦になりましたが、なんとかシュートを打たれる前にDFがクリア。98分41秒、終了を告げるホイッスル。東京ダービー第1弾は両者譲らず。スコアレスドローという決着を迎えました。
東京Vは前半の出来からすれば勝ち点3を奪いたかった所ですが、「シンプルだけどゴールに向かう所は多少見えてきた」と指揮官も話したように、繋いでいく中でも縦へ一気にスピードアップする形から何回かチャンスを創れたのは収穫。連敗も3でストップするなど、上昇の兆しになり得るゲームだったのではないでしょうか。
一方、やや深刻なのはFC東京。平山、米本、石川と絶対的とも言うべき中心選手の離脱は確かに痛い所ですが、そういう時のために大量補強を敢行したはず。特にボランチはJ1と比べても見劣りしない選手層を誇るにも拘らず、徳永を起用せざるを得ない辺りに、チーム作りが思うように進んでいない現状が垣間見えます。また、4試合を終えてわずかに1ゴールしか奪えていない攻撃面も課題が山積み。しばらく茨のJ2道が続くかもしれません。
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J1第9節 川崎×磐田@等々力
再開幕初戦はホームで仙台に劇的な逆転負け。金曜日のゲームも昨シーズン王者の名古屋に完封負けと、連敗を喫してしまった川崎。何とか悪い流れを変えたい相馬直樹監督は、故障で出遅れていた“王様”ジュニーニョのスタメン起用を決断。さらに、稲本の負傷欠場を受けてボランチには中村を配置し、SHも右に田坂、左に山瀬とメンバーに変化を付けてきました。一方、磐田のスタメンは前節からCBのイ・ガンジン、左SBの山本脩人、前線の山崎と3人が変更点。開幕3試合で1勝2分けとある程度結果が出ているだけに、アウェイとはいえ勝ち点3を持ち帰って一層の自信に繋げたい所。水色を基調とするチーム同士の一戦は小雨の等々力です。
ゲームは非常に慎重な立ち上がり。お互いに単発で終わる攻撃が多く、なかなかシュートシーンを創れません。先にいい形を迎えたのは磐田。9分、後方からのフィードを前田が頭で落とすと山崎が繋ぎ、小林のミドルはDFにブロックされますが、シンプルに前田に当てて展開というチームの核となる狙いから、チャンスを生み出します。すると20分にも磐田に好機。川崎DFのクリアを拾った駒野が前田に付け、左へ展開したボールを山田がクロス。DFのクリアでCKになりましたが、速い攻撃で川崎を脅かすと、駒野が蹴ったCKは前田が頭でジャストミート。相澤のファインセーブが飛び出し、先制とはいかなかったものの、決定機を創出しました。
さて、20分までシュートを小宮山の強引なミドル1本に抑えられていた川崎は、「仙台戦と名古屋戦は中、中からの攻撃が多かった」(井川)ことから、「もっとサイドから攻めようと話していた」(柴崎)にも拘らず、2トップを除いてSHも含めた8枚のブロックで守る相手を引き出す仕掛けに欠け、狙いを体現できません。そんな中、流れを変えるプレーが見られたのは22分のシーン。自陣でボールを持った中村の裏を狙ったシンプルな縦パスに、走ったジュニーニョは潰され、チャンスにはならず。それでも直後、中村のスルーパスから左サイドを抜け出したのはまたもジュニーニョ。クロスは中と合いませんでしたが、「2人の縦への意識はアクセントになる」と井川。この辺りの時間帯から急激に中村のボールタッチが増え、それに比例して川崎の攻撃が勢いを増していきます。24分、山瀬のパスを収めた矢島が繋ぎ、ジュニーニョのシュートはバーの上へ。26分、中村が小宮山とジュニーニョを連続して壁に使うワンツーから、最後は捕まりましたがエリア内へ侵入。28分、左サイドで小宮山と山瀬のパス交換から、最後は中村がバーを越えるミドル。小宮山、山瀬と左サイドの2人が躍動。中村を中心にチームのリズムが生まれます。
すると、その傾いた流れを加速させるシーンが訪れたのは30分。田坂へのファウルを犯した山本脩人に西村雄一主審が提示したのは、2枚目のイエローカードと、それに伴うレッドカード。磐田は残り60分以上を10人で戦うことになりました。柳下正明監督は山田を下げて金沢を送り込み、4-4-1にシフトして対応。36分、小宮山とのワンツーから山瀬の折り返しは、ジュニーニョに合うもシュートがヒットせず。45+1分、ゴール左、約25mの位置から中村のFKは枠のわずか右へ。スコアレスとはいえ、攻の川崎、守の磐田という形がより明確になって、前半は終了しました。
ハーフタイムを挟んでも、当然流れは変わらず。「もう攻められるのはしょうがないので、前と後ろをコンパクトにした中で踏張ろうと」(那須)いう磐田を、川崎が押し込みます。48分、中村の右CKを菊地が頭で競り勝つと、ボールはフリーのジュニーニョへ繋がるも、ヘディングはゴール左へ。51分、またも中村の右CKから、最後は小宮山が放ったボレーはバーの上へ。53分、山瀬が左サイドをドリブルで切り裂き、上げたクロスへ飛び込んだ矢島のヘディングは枠に飛ばず。56分、前半途中でケガの田坂と交替した登里と田中で右サイドを崩すも、矢島はシュートまで持ち込めず。62分、中村の高速縦パスを受けた矢島が、右へ流れながら打ったシュートは枠の左へ。「サイドは機能していたと思うし、仙台戦や名古屋戦よりフィニッシュも増えていた」とは柴崎。「10人になってからもバランスよく守備していた」とは柳下監督。攻守の構図こそハッキリしていたものの、お互いにこのシチュエーション下では決して悪くないパフォーマンスを披露しながら、時間が経過していきます。
71分、中村の縦パスをジュニーニョがうまく引っ掛けて、シュートを放つも枠の左へ。78分、中村が山瀬とのパス交換から左へ送ると登里はフリーでしたが、トラップが大きくなり川口がキャッチ。直後にもジュニーニョのラストパスから登里が抜け出すも、飛び出した川口がファインセーブ。日本を背負った守護神の貫禄。スコアは動きません。
79分、相馬監督の決断。「左サイドからかなりクロスが上がっていたので、クロスに入る人数を増やしたい。右サイドから思い切って突っ込めばチャンスが来るからと送り出した」小林が、登里に替わってピッチへ登場します。84分には磐田に決定機。駒野のFKから、一瞬のエアポケットを見逃さなかった前田が左足ボレー。ボールはわずかに枠を逸れましたが、後半最初にして最大のチャンス。2年連続得点王の怖さを垣間見せます。逆に川崎が掴んだ決定機は87分。左サイドで2人を外した中村がクロスを入れると、飛び込んだのは小林。まさに指揮官の采配ズバリ。ところが頭に当てたボールは枠を捉えられず。等々力にため息が広がります。
時間は90分に突入。もはや万策尽き果てかけたかに思われた時、突如としてスタジアムに訪れたのは歓喜と熱狂。左サイドから小宮山が上げたクロス。ジュニーニョのシュートはDFがブロック。再びジュニーニョのシュートもDFがブロック。「よく覚えてないけど転がってきた」ボールをプッシュしたのは、右から詰めていた小林。「途中から試合に出ても、なかなか結果が出せずに悔しい想いをしていた」ストライカーのJリーグ初ゴールは、チームに勝ち点3をもたらす貴重な貴重な決勝弾。川崎が土壇場で連敗をストップする大きな勝利をモノにする結果となりました。
磐田は「後半44分まで非常に良い仕事をした」という柳下監督の言葉が全て。チームのスタイルとして、前線が1枚になると攻め手が相当限られるのはやむを得ず、ドローで十分という戦い方は奏功していましたが、最後の最後で決壊してしまいました。ただ、「全員で守る意識はできていた。戦う姿勢は今後に必ず生きる」と那須。守備面では一定の手応えを掴んだようです。
川崎は前述したように、サイドを使う意識の高さが攻撃のバリエーションを増やした印象。特に決勝点にも繋がった左サイドは、山瀬に小宮山と単騎でもコンビネーションでも崩せる2人がかなり効いていました。「今日の勝利をキッカケにできれば、自分たちの自信に繋がる」と柴崎。川崎にとっては、苦しみながらも結果と自信を手に入れた価値のあるゲームだったのではないでしょうか。
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J2第9節 草津×熊本@正田スタ
3月5日の開幕から2ヵ月弱。Jリーグの中で最も遅い「待ちに待ったホーム開幕」(草津・副島博志監督)を迎えた正田醤油スタジアム群馬。アウェイ開催の2試合を経て、ようやく自らが熱量を注ぎ込む戦士たちを目の前で応援する機会を得た草津サポーターを中心に、スタジアムへ集まったフットボールジャンキーたちは3258人。“俺達に出来る事を”と“共に歩もう”の間に日の丸をあしらった横断幕が掲出される中、その場にいた全ての人々による黙祷が捧げられ、ゲームはキックオフを迎えました。
先に勢い良く飛び出したのは、開幕2連勝と上々のスタートを切った熊本。4分、エリアのすぐ外でボールをうまく収めた長沢駿が、思い切り良く左足を振り抜き、GK北一真の好セーブに阻まれたものの、いきなり草津ゴールに襲い掛かります。さらに15分、地元凱旋となる群馬出身の仲間隼斗が粘って繋ぎ、市村篤司のクロスに頭で合わせたのはここも「高さの部分ではどのチームにも勝てている」と話す長沢。「最初は入るかなと思ったけど少し軌道が逸れていった」(長沢)ボールは左のポストを直撃しましたが、惜しいシーンを創出します。
熊本のシステムは中盤ダイヤモンドの4-4-2。長沢と仲間の2トップで、その下にファビオが入る形を採用する中、「ちょっとビックリしたピッチの悪さ」(熊本・高木琢也監督)とあれば、当然共に190センチを誇る長沢とファビオを目がけたロングボールは第一の選択肢。特に長沢の高さは序盤から効果的で、「セカンドを拾おうとすると中盤も最終ラインも引いてしまう。ある程度全体が下がるのは仕方ない」と副島監督も話したように、草津は自陣へ押し込められてしまいます。ところが、先制ゴールを奪ったのは劣勢の草津。17分、右サイドの深い位置でボールを残したアレックスが中へ送ると、萬代宏樹はスルー。ここへ「スルーと声を掛けて」走り込んだ熊林親吾が右足のダイレクトで叩くと、ボールは右スミギリギリに飛び込むファインゴール。「別に仲良くないです」とスコアラーも嘯く、元ベガルタコンビの巧みな連携で、ホームチームがリードを奪いました。
そして、このゴールが双方の形勢を入れ替える効果をもたらします。草津は、「相手はCBの背後がウイークポイントと捉えていて、そこをスピードのある2トップが狙う」(副島監督)形を多用。また、これが熊本のプレスを外す作用ももたらし、相手に攻撃の時間を与えません。さらに、躍動が目立ったのは右SBに入った古林将太。32分には松下裕樹のサイドチェンジを受けると、積極的なカットインを試み、自らフィニッシュまで。40分にも彼のドリブルが萬代のシュートに繋がるなど、サイドの推進力として機能していたと思います。一方の熊本は、「なるべく近くでプレーすることを言われていた」(仲間)前の3人がなかなか有機的に絡めません。中でもファビオはボールを受けるポイントが掴めず、ピッチを彷徨ってしまう羽目に。「前の3枚は流動的だったけど、CB2人と僕でうまく回しながら我慢して対応した」とは草津のボランチを務める松下。15分以降で熊本に記録されたシュートはゼロ。ゴールを機にバランスを整えることに成功した草津が1点のアドバンテージを持って、ハーフタイムに入りました。
後半開始から動いたのは高木監督。「今日のピッチは彼の持ち場じゃなかった」と仲間に替えて、Jリーグデビューとなる中京大から加入したルーキーの齊藤和樹を投入。「とにかくゴールに向かう動きを意識した」(高木監督)交替で、まずは1点を狙います。すると47分、いきなりそのルーキーにチャンス到来。市村が右サイドの深い位置から中へ折り返すと、受けたのは齊藤。ゴールへのコースも空いており、絶好機に見えましたが、持ち出しを選択し、DFに入れ替わられオフェンスファウル。「意表を突くトリッキーなプレーがある」(高木監督)「足元に巧さがある」(熊本・根占真伍)と2人が口を揃えた特徴を聞けば納得できる部分はあるものの、ルーキーがデビュー戦で見せるファーストプレーとしては消極的。以降、齊藤には数回のチャンスが訪れましたが、いずれも無難なプレーチョイスに終始。この状況で起用されたことからも容易に想像できる期待の大きさと裏腹に、チームの停滞を招く一因になってしまった感は否めません。
50分には後方からのフィードを長沢が落とし、ファビオの左足シュートは枠の右へ。53分にも草津DFラインの連携ミスを突いて、ファビオが独走。DFに背後から倒され、ファウルかと思われたシーンに野田祐樹主審のホイッスルはならず、チャンスは潰えてしまったものの、ファビオに積極性が戻ってきただけに、それをユニットとしての攻撃に昇華できなかったのは熊本にとっても痛かった部分でしょう。それでも攻勢は熊本。63分、片山奨典の左クロスから、こぼれを狙った筑城和人のミドルはクロスバーの上へ。64分、廣井友信のフィードから最後は片山のボレーもクロスバーの上へ。68分、根占のパスを受けたファビオは、コンタクトで1人弾き飛ばすドリブルを披露し、シュートを放つもGKキャッチ。1点が重くのしかかります。
高木監督2枚目のカードは72分、片山に替えて大迫希。3枚目は80分、筑城に替えて、こちらもJリーグデビューとなる大阪教育大から加入した田中俊一。システムも3-1-4-2へシフトして、「ボックスの中にとにかくボールを入れる」(高木監督)姿勢を明確に、最後の勝負へ打って出ます。しかし、「ゴール前にかなり人もいて、ガッチリ守ってきてる感じ」と長沢も話した草津の堅陣はCBの中村英之と御厨貴文を中心に聳え立ち、揺るがず。副島監督もようやく80分に切った1枚目のカードは、「前でのキープ力が欲しかった」とアレックスに替えてラフィーニャ。さらに88分には熊林を下げて、DFの田中淳を送り込むと、92分には古林と佐田聡太郎のSB同士を入れ替える、念の入れよう。93分には田中のロングスローからフリーになった櫻田が、絶好の決定機を決め切れないシーンもありましたが大勢に影響なし。「よくファイトして、集中してやってくれた」と指揮官も称賛した草津が“再”開幕2連勝かつ今シーズンのホーム初勝利をサポーターに贈りました。
1点に泣いた格好の熊本は、昨シーズン飛躍的に向上した組織での守備ブロック形成はほぼ問題なし。あとはいわゆるアタッキングサードの部分ですが、「こういうゲームに出続けるシーズンは初めて」という長沢と、「監督の信頼度を上げて90分間出たい」という仲間の2トップは補完性も高く、コンビが熟成してくれば、ファビオも含めたユニットはJ2を席巻する可能性を十分秘めていると思います。
勝った草津はパワーに強みを持つ相手の攻撃陣に対して「ウチのCBもよく跳ね返したし、うまく凌げたと思う」と松下が話した通り、無失点で終えたのは、19歳の古林に20歳の永田拓也という、非常に若いSBを含んで構成される最終ラインにとって大きな自信になったはずです。「昨シーズンは開幕5連敗が重くのしかかった。そういうイメージを払拭する意味でも結果は凄く大事」と副島監督。季節外れの“空っ風”をJ2前線に巻き起こす準備は十分整っています。
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J1第7節 大宮×柏@NACK5
“日常”という言葉が本来どういう意味を持つのかということを、おそらく日本中が考えていたであろう、この1ヵ月あまりの時を経て、今日“Jリーグのある日常”が我々の下に帰ってきました。ただ、依然として普通の“日常”を取り戻すことも叶わない、たくさんの方々がいることも決して忘れることはできません。試合前に行われた、今回の大震災で亡くなられた方々へ向けた黙祷。大宮サポーターから巻き起こった「頑張れ日本」コール。今シーズンのJリーグはプレーする選手、監督やコーチをはじめとするクラブスタッフ、声援を送り続けるサポーター、そして我々メディアの人間にとっても特別なシーズンであり、その意識は常に持ち続けていかなくてはならないと思います。
さて、大宮は開幕戦の4-2-3-1から、中断期間のトレーニングマッチでも採用されていた4-4-2へシフトチェンジ。柏はおなじみの中盤4枚が中に絞った形の4-4-2で、再開幕に臨みます。 最初にチャンスを掴んだのは柏。開始わずかに1分、茨田が長いドリブルから左へ送り、最後はジョルジ・ワグネルのシュート気味にも見えたクロスはオフサイドとなりますが、開幕戦の好調を維持するかのような出足を見せます。しかし、3分に柏陣内深くでパク・ドンヒョクのクリアをブロックした流れから、渡部がわずかに枠の左へ外れるシュートを放つと、ここからは大宮が圧倒。6分、杉山の右クロスをラファエルが胸で落とし、東の左足ボレーはバーの上へ。16分、上田が開幕戦の鹿島戦でネットを揺らしたのとほとんど同じ、右寄りのゴールまで約25mの位置から繰り出したFKはわずかに枠の右へ。惜しいシーンを続けて創出します。
大宮がペースを握った要因の1つは、2トップの「しっかりボールを収められる」(茨田)技術。イ・チョンスもラファエルも前線に張るタイプというよりは、広範囲に動いてボールを引き出すことが多いタイプ。「ボランチとCBの間で受けて起点を作られたので、そこの受け渡しをスムーズにできれば良かった」と柏のボランチに入った大谷も振り返ったように、柏は相手2トップへ入るボールに的を絞り切れず、後手を踏む格好に。また、その影響もあってか、中盤を務める4枚の距離感が遠く、セカンドもほとんど大宮が奪取。「ボールも非常に動くようになってきた」と鈴木淳監督が言及した通り、上田の配球を中心に大宮が中盤を制圧しました。
もう1つの要素は、バックスタンド側、つまり大宮の左サイドであり、柏の右サイドにおける、サイドの主導権争い。柏で開幕戦から唯一のスタメン変更となった右SBの酒井は、今日がJ1デビュー。「緊張しやすいタイプ」(大谷)ということもあってか、立ち上がりからミスが目立ち、本来の攻撃性を発揮できません。逆に大宮の左SB村上は、19分に青木からのパスを受けると積極的に飛び出し、イ・チョンスからのリターンをエリア内でのフィニッシュに繋げるなど、攻撃面でも推進力を存分に披露。「SBを起点にされてゲームを創られた」とは茨田。中盤とサイドを制すれば、流れは当然大宮に傾きます。
28分には栗澤とワグネルの呼吸が合わず、かっさらった渡部がシュートまで持ち込むも、ゴール左へ。33分、今度は最終ラインの近藤がスリップすると、拾ったラファエルのドリブルシュートは菅野がファインセーブ。こぼれに反応したイ・チョンスをパク・ドンヒョクがエリア内で倒し、微妙なシーンではありましたが木村博之主審はノーホイッスル。45+2分、ラファエルとのワンツーで抜け出した渡部の突進は、菅野が飛び出してセーブ。8対2というシュート数が示すように、大宮ペースで前半は終了しました。
ハーフタイムを挟み、両チームとも選手交替はなし。ところが「相手陣内でスペースが創れず、我々のペースにできなかった」と判断したネルシーニョ監督は、しっかり“魔法”を掛けていました。その“魔法”とはシステムチェンジ。4-4-2から、田中を最前線に置いて、その下に右から茨田、レアンドロ、大津を並べる4-3-3気味の4-2-3-1にシフト。すると、後半開始から2回続けて酒井が深い位置まで切れ込んでクロス。共にキックミスになったものの、「ユースから一緒にやってるので特徴はわかっている」と話す茨田が明確に自身の前へ入ったことで、酒井が積極性を取り戻すと共にサイドの攻防で優位に。また、守備面でも「プレッシャーを掛ける所が明確になった」(茨田)ため、中盤でのボール奪取の増加に比例して、キープする時間も増加。深谷も「相手のフォーメーション変更に対してバタバタしてしまった」と認めています。
そして、乗った流れのままに記録された先制ゴール。55分、右サイドを上がってきた酒井からパスを受けたのは「相手のマークが凄く外れやすくなった」と感じていた田中。ミドルレンジから「ファーサイドに枠を外さないよう意識して」放ったミドルは、DFに当たりながら枠へ飛ぶと、北野は弾くのが精一杯。詰めたレアンドロのシュートが、左のポスト内側を叩いて、右のサイドネットに突き刺さります。45分間で2本だったシュートを、10分間で3本積み重ねての一発。アウェイの柏がアドバンテージを得ました。
前半の攻勢がすっかり影を潜めてしまった大宮。「相手のシステム変更によって、守備より攻撃がうまくいかなくなった」と鈴木監督。サイドの攻防も劣勢を強いられますが、それ以上に頼みの2トップへ縦パスが入らなくなってしまいます。これも柏にとって攻撃の時間が増えたことで、ドイスボランチがある程度余裕を持って2人を迎撃することができたから。「ゲームの中で修正できたのは良かった」と大谷も手応えを語っていました。75分に鈴木監督は1枚目のカードを起用。上田を下げて藤本を送り込み、ラファエルを頂点に置いた4-2-3-1にシフト。80分には左SHに移ったイ・チョンスのクロスから、こぼれをボランチに移った東が狙いますが、菅野がしっかりキャッチ。得点を許しません。さらに大宮は切り札の石原を投入すると、再び4-4-2に戻して勝負。91分、左サイドで泥臭く繋いだボールを東が上げると、石原が驚異的な打点のヘディングを見せるも、菅野がキャッチ。「苦しい時間帯にも慌てないで立て直す力を、去年積み上げられた」という田中の言葉にも納得のウノセロ。昇格組の柏が見事開幕2連勝を飾りました。
大宮は悪くないゲームだったのは間違いありません。完全に主導権を握った前半は圧巻の機能性だったと思います。それだけにそこでゴールを奪えなかったのは痛恨でしたが、「今シーズンずっと言ってきてることが、徐々にできるようになってきている」と鈴木監督。2トップや東、上田、キム・ヨングォンなど個で勝負できる選手が中心を担うなど、今シーズンの大宮は一味違いそうですね。
勝った柏はネルシーニョ采配が相変わらずズバリ的中。前述の田中に加えて、「システム変更がハマったけど、去年から色んなシステムでやっているので混乱はなかった」と大谷が話したように、積み重ねて来たものが着実にチームへ根付いている印象です。上々のJ1帰還を果たした太陽王の勢いは、そう簡単に止まりそうにはありません。
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TM 横浜FC×草津@西が丘
昨日、バルサTVチャンピオンズリーグの収録でJ SPORTSにいらっしゃった平畠さんに教えて頂き、今日は西が丘へ行ってきました。当初のスケジュールではまさに今日の15時キックオフ@正田醤油スタジアムでJ2第7節として開催されるはずだったカード。横浜FCと草津のトレーニングマッチです。この対戦が西が丘で実現するというのは、おそらく今後もまずないと思うので、そういう意味でも非常に貴重なゲームだと言えるでしょう。また、いよいよ再開幕が1週間後に迫ったタイミングとしては、より公式戦に近い意識でのゲームとなるはず。コンコースでも募金活動が行なわれる中、今回の震災で亡くなられた方々へ黙祷が捧げられ、キックオフを迎えました。
横浜FCのスタメンはGKが関憲太郎。DFが右から柳沢将之、パク・テホン、飯尾和也、宮崎智彦。中盤はドイスボランチがルーキーの佐藤謙介と藤田優人で、右SHが寺田紳一、左SHが高地系治。FWは西田剛と藤田祥史です。一方の草津はGKが橋田聡司。DFは右から古林将太、中村英之、有薗真吾、永田拓也。ドイスボランチが松下裕樹と戸田和幸。SHは右が林勇介で、左が熊林親吾。2トップは萬代宏樹とアレックスが並びます。
序盤はまず草津がラッシュ。前線からの積極的なプレスが功を奏し、横浜を押し込みます。6分には左サイド、ゴールまで約30m弱の位置から松下が狙ったFKはカベに当たってゴール左へ。そのCKを熊林が蹴ると、中村の枠へ飛ばしたヘディングは横浜DFが何とかクリア。13分には鮮やかなボール回しから、右へ流れた松下のクロスを熊林がヒールで落とし、萬代がシュート。ボールはクロスバーを越えますが、このシーンにも顔を出した熊林と松下がボールの収め所となり、中盤を掌握した草津は17分にもアレックス、林、アレックスと繋いで、最後は松下の左足ミドルが関を強襲。「15分くらいまではよかった」と松下も話したように、仕上がりの良さを感じさせるプレーを披露します。ただ、先制ゴールを挙げたのは逆に15分くらいまで防戦一方だった横浜。19分、宮崎のドリブル突破から得たCK。高地の蹴ったボールをファーでパク・テホンが叩くと、橋田もよく弾きましたが、こぼれ球を佐藤がプッシュ。ファーストシュートを結果に結び付けました。
最初のピンチで失点を喫した草津も、21分には戸田の縦パスを萬代が落とし、アレックスのミドルは枠を捉えるも、関がファインセーブ。反発力を見せましたが、以降は中盤での優位性をなかなかフィニッシュまで繋げることができずに、少しずつトーンも下がってしまいます。すると、次のゴールを決めたのも横浜。36分、中盤でボールを持った高地はラインの裏へ絶妙なフィード。走った藤田祥史はマーカーを切り返しで軽くいなすと、得意の左足で冷静に流し込むファインゴール。2-0と点差が開きます。ここからは勢いを得た横浜が逆にラッシュ。41分、左から藤田優人の上げたクロスを、ファーで藤田祥史が折り返し、宮崎のシュートは橋田がキャッチ。44分、宮崎のパスを左サイドで受けた寺田がカットインミドルを枠の左へ。45分、佐藤のダイレクトパスから高地のミドルはゴール右へ。藤田祥史へのクサビへ、2列目の寺田と高地や3列目の佐藤がうまく絡んでいく形でリズムを掴んだ横浜が、2点のアドバンテージを得て、1本目は終了しました。
迎えた2本目。横浜は寺田に替えて、ルーキーの荒堀謙次を送り込み、中盤の配置も高地と藤田優人がボランチで、右に荒堀、左に佐藤へシフトします。先にチャンスを創ったのは、ハーフタイムにかなり副島博志監督から檄を飛ばされたという草津。48分、アレックスのスルーパスに抜け出し、GKと1対1を迎えたのは林。ところがシュートを打つタイミングを逸すると右へ流れてしまい、中への折り返しもDFがクリア。最高の決定機もモノにできません。57分も再び草津。何度か積極的なオーバーラップを見せていた古林のクロスがこぼれると、エリア右でボールを拾ったのは林。中央にフリーの味方が控え、ファーサイドも空いていましたが、林の選択は強引なシュート。対峙した飯尾が腹部でブロックし、ここもゴールとはいきません。林は盛岡商業で選手権優勝を経験し、浦和に加入したものの3年間で公式戦出場は6試合にとどまり、今シーズンから完全移籍で加入した21歳。左利き独特のリズムもあり、チャンスにはしっかり顔を出しているだけに、今後実戦経験を積めば草津にとっても強力な武器となりそうな印象を受けました。
さて、前半終盤のいい流れから再び停滞してしまった感のある横浜は62分に選手交替。西田に替わってピッチへ飛び出したのは背番号11。この男の登場には、スタンドも敵味方関係なく大歓声。西が丘も一層華やいだ雰囲気を纏います。すると、直後に横浜が追加点。64分、柳沢の縦パスをゴールラインギリギリで追い付いた荒堀が中へ折り返すと、待っていた佐藤が豪快にゴール右スミへ。開幕スタメンを勝ち取ったルーキーの今日2点目で、スコアは3-0となりました。
決して少なくないサポーターも詰め掛ける中、このままでは終われない草津もようやく66分に反撃。左サイドからロングスローが入ると、こぼれを収めた林がショートパス。これを熊林が難しいタイミングにも拘らず、ダイレクトで右足を振り抜くと、ボールはゴール右上ギリギリをピンポイントで捕獲します。これには草津サポーターも大きな拍手。ようやく紺と黄色の歓喜が広がりました。このゴールも素晴らしかったですが、やはり草津の攻撃における熊林の存在感は絶大。長短のパスを駆使して攻勢劣勢問わず、常に局面を打開する力を発揮していました。ちなみに熊林は試合後、なぜか流れで平畠さんと私に缶コーヒーをおごってくれました。だからという訳じゃないですけど、頑張って欲しいですね。
終盤は両チームとも少しずつメンバーを入れ替えたこともあって、コンビネーションというよりは個での打開が多くなっていきます。68分は草津。フィードのこぼれを拾った萬代のミドルは、鋭い弾道でわずかに枠の左。75分も草津。高地のパスミスをかっさらったリンコンのミドルは関がファインセーブで阻止。なお、リンコンは68分に投入されたばかりでしたが、このシュートで足を痛めて負傷退場。わずか10分弱の西が丘となってしまいました。84分は横浜。中央右からのFK。カズが動かし、高地が止めて、再びカズが狙ったシュートはバーの上へ。87分も横浜。ショートコーナーから野崎陽介のうまく巻いたロングシュートはわずかにバーの上へ。結局、これ以上スコアは動かず、2本目は1対1で終了しました。
3本目は共に大幅なメンバー変更。横浜はGKがシュナイダー潤之介。DFが右から5番の練習生①、森本良、中野洋司、井手口正昭。中盤はボランチが7番の練習生②と14番の練習生③のコンビで、SHは右が荒堀、左が野崎。前線はカズと20番の練習生④。草津はGKが北一真で、114分から伊藤拓真。DFは右から佐田聡太郎、田中淳、御厨貴文、ルーキーの星野悟。ドイスボランチは同じくルーキーの山本啓人と髪を伸ばした櫻田和樹。右SHにU-23所属の横山輝佳、左SHに前田雅文。2トップは山田晃平が少し下がりめに入り、U-23所属の吹田諒と並びます。ゲームは開始早々の92分、右サイドから横浜が崩し、最後は練習生③が豪快にゴール。109分にも横浜がいい形で崩し切り、枠は捉えられませんでしたがカズのシュートへ繋げます。草津は123分、6分前に投入されたU-23所属の白井拓路が上げた左クロスから、前田を経由して、山田のシュートはバーの上へ。131分は横浜。練習生④のパスを受けたカズがシュート。DFの跳ね返りを野崎が狙うも、伊藤がファインセーブ。3本トータルでの結果は4-1で、横浜が勝利を収める結果となりました。
草津は結構メンバーが入れ替わった印象です。昨シーズン終盤に怒涛の4連勝を飾った時の、4試合目の相手が横浜でしたが、「そのゲームと今日の両方でスタメンだったのは俺とクマ(熊林)とアレックスだけですよ」と松下。特にサイドプレーヤーは古林、永田、林といずれも90年代生まれと、かなり若返りました。現状では課題も見え隠れするものの、前述の古林と永田は年代別日本代表も経験していますし、林も含めてポジションをしっかり確保すれば大ブレイクする可能性は十分に秘めています。そしてその3人を初めとした若手の成長が、チームの躍進にとって必要不可欠な要素であるのは間違いありません。
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TM 大宮×新潟@熊谷(3、4本目ver.)
いわゆる主力組の登場となった3本目。このカードはリーグ再開後、3試合目となる5月7日にNACK5でのゲームが組まれています。また、もうおなじみですが大宮の鈴木淳監督は前新潟監督。そして新潟の黒崎久志監督は鈴木監督政権下のコーチであり、元大宮の選手。さらに言えば新潟の白井淳GKコーチも元大宮の選手&GKコーチ。結構、縁のあるチーム同士の対戦です。
メンバーは大宮がGK北野。DFは右から渡部、深谷、キム・ヨングォン、村上。中盤はボランチが青木と上田、右SHが東、左SHが藤本。2トップはイ・チョンスとラファエルです。一方の新潟はGKに東口。DFは右から藤田、千葉、石川、酒井高徳。中盤は小林と本間のドイスボランチで、SHは右が三門で左がチョ・ヨンチョル。前にはミシェウとブルーノ・ロペスが入ります。
まず、最初にチャンスを掴んだのは大宮。3分、村上、藤本、イ・チョンスと繋いで東のシュートは東口を強襲。8分にも藤田のバックパスが弱くなった所に、左SBの村上がダッシュ。間一髪でクリアとなりますが、村上が2つのチャンスに顔を出すなど、積極性を発揮します。ところが徐々にリズムを掴み始めたのは新潟。14分に右でボールを持った三門が素晴らしいサイドチェンジ。チョ・ヨンチョルの落としを受けた酒井はエリア内へ侵入。シュートまでは行けなかったものの、このプレーが象徴するようにうまくサイドの幅を使う形が出てきたことで、攻撃が回り出します。中でも当然と言えば当然ですが、やはりチョ・ヨンチョルの推進力は特筆モノ。黒崎監督も「ヨンチョルは行けちゃうからね。行くなと言う訳には…」と苦笑したように、ある程度ボールを持ったら勝負というのは前提で、実際にそれがチャンスに結び付いてしまいます。鈴木監督も「サイドで的を絞れず、崩されることもあった」と言及していますが、彼をどう封じていくかは今後も対戦相手を悩ます部分でしょう。ただ、試合後に黒崎監督が「サイドに人がいて、真ん中にいなくなっちゃう。外、外に逃げてしまうところはある」と話していたのも、非常に興味深いポイントだと感じました。
さて、大宮は開幕戦で選択した4-2-3-1ではなく、4-4-2でスタート。「チョンスとのプレーは慣れ親しんでいるし、システムは問題ない」とはラファエル。実際、新潟のCB石川が「食い付くと裏を取られるというのもあって、クサビに対して甘くなった部分があった」と振り返ったように、2トップはしっかりボールを収められ、ここからはチャンスの萌芽が見られたのですが、今日の両SHを務めた東と藤本はどちらかと言えばサイドプレーヤータイプではなく、どうしても中央に入ってくることが多かったので、バイタル付近が混雑していた印象です。その影響もあってか、前半はボランチの上田がほとんど攻撃に絡んできませんでした。ビルドアップ能力は最終ラインも含めて非常に高い中で、ややサイドの使い方には課題が残ったかもしれません。40分は新潟。ブルーノが倒されて得たFKを藤田が直接狙うも、バーの上へ。41分も新潟。中盤でミシェウの巧みなヒールを起点に、途中出場の川又が左サイドから絶妙のクロスも、ブルーノのボレーは枠に飛ばず。3本目はスコアレスで45分が経過しました。
4本目はいきなり素晴らしい高精度サイドチェンジの応酬で幕開け。48分、千葉のレーザービームがチョ・ヨンチョルへ。直後、キム・ヨングォンのレーザービームがラファエルへ。Jでも屈指の好フィードキッカーがスタンドを沸かせます。しかし、この直後には新潟がゴール前で信じられないクリアミス。青木のシュートは東口が弾き出しますが、やや直前とは落差のあるプレーでした。51分は新潟にチャンス。うまくボールを奪った千葉からミシェウへ。川又のパスからブルーノが潰れ、酒井のシュートは北野がファインセーブ。そしてこのCKから生まれたゴール。藤田のボールに合わせたのは「狙い通りの所に来たのでバッチリでした」という石川。トータルスコアでも、1-2と新潟が逆転に成功します。
ここからは、大宮の運動量が全体的に低下し、61分には相手のミスを突いてラファエルが、65分にも中央をドリブルで切り裂いてイ・チョンスがフィニッシュまで持ち込むものの、やや単発の攻撃が多くなり、なかなかゴールの可能性が見えて来ない中、輝いたのはやはり10番。70分、少し新潟ディフェンスの対応がルーズになった所を見逃さず、ラファエルが右へ短いラストパス。「角度がなかったけど思い切って打とうと思った」東のシュートは激しくゴールネットを揺さぶります。東も素晴らしかったですが、ラファエルのパスも秀逸だったのは間違いありません。72分には新潟も三門のCK、混戦の中から千葉がカンフーキックボレーで枠を捉えたシュートは北野がファインセーブ。するとその1分後、今度は長いボールを東が落とすと、ラファエルの躊躇なく右足で撃ち抜いたミドルは問答無用の再逆転ゴール。本人も「3ヶ月に1回出るか出ないかのゴール」と笑うゴラッソで、今度は大宮が1点をリードしました。やはりラファエルは一味違いますね。隣で見ていた新潟担当のライターさんとも話していたのですが、ゴールに絡む部分だけではなく、チームへのロイヤリティ、つまり献身性の部分も含めてトータルでの能力はJの外国籍選手の中でも超トップレベル。彼1人を追って観戦してみても、相当面白いのではないでしょうか。
と、ここまではかなり白熱した展開で、スタンドもいい意味で盛り上がっていたのですが、80分にミシェウとイ・チョンスが小競り合いを起こした辺りから、会場の空気も一変。加えて、ちょっとどういう方が担当だったのかはわかりませんが、主審も動揺したのかジャッジが一気に曖昧になり、「イライラしてコントロールを失ってしまった」(石川)のはピッチ上のみならず、スタンドからも怒号が飛び交うような事態に。終盤はスタジアム全体がナーバスさを抱えたまま、ゲームが壊れた状態でタイムアップを迎えてしまったのは何とも残念でした。
「フィジカルコンディションが上がってきたのは大きい」と試合後に語ったのは鈴木監督。大宮は4本通じて見ても、選手層の厚さはかなりのモノがあるだけに、個々のコンディションが整えば開幕戦で一端を示したようなスタイルで1年間走り切れそうな感じは受けました。特に中盤は最激戦区。システム、メンバーの組み合わせ含めて今後が大いに楽しみです。
そして「しっかりとやるべきことはできた。チームとしてここにきていい感じでできている」とは黒崎監督。3、4本目で言えば、内容では新潟の方に少し分はあったと思います。攻撃面はある程度計算できそうな感じですが、「ここの所は失点が多い」と指揮官も語る守備面では、少しエリア内での対応で後手を踏む場面も見られた印象。また、どうしても攻撃力の高い右サイドは守備時に狙われる傾向があるだけに、その対策も1つポイントになりそうです。後は、記者陣からもサポーターからも大人気の川又を少し長めに見られたのは今日の大きな収穫でした。
AD土屋
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TM 大宮×新潟@熊谷(1、2本目ver.)
4月23日の再開が2週間後に迫ったJリーグ。再開というよりも、むしろ再開幕という色合いが濃い中、各地でJクラブ同士によるトレーニングマッチが数多く行われています。今日訪れたのは熊谷。Jリーグの公式戦も開催される熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で、大宮アルディージャとアルビレックス新潟が対戦。入場は無料でしたが、義援金活動も行われており、コンコースには募金を呼び掛ける大きな声が響き渡っていました。
さて、ゲームは45分ハーフの2試合という定義だったようですが、ここでは45分×4本のトータルで1試合という形で話を進めたいと思います。いつものようなチャントではなく、大きな拍手に包まれてスタートした1本目。大宮はGKが江角。DFは右から渡邉、福田、坪内、鈴木。中盤は片岡と金澤のドイスボランチに、右SHが金久保、左SHがユースから昇格したルーキー扱いとはいえ、昨シーズンの終盤はリーグ戦でも起用されていた宮崎泰右。2トップは石原と、1月の高校選手権で脚光を浴びた清水慎太郎が入ります。対する新潟は、GKに加入が発表されたばかりの小澤英明。DFは右からキム・スンイル(練習生)、17歳でユース所属の西村竜馬、大野、岩崎陽平。中盤は長谷部と菊地がボランチに並び、SHは右が木暮で左がルーキーの酒井宣福。前線には大島と田中の前橋育英コンビを揃えてきました。
まず最初に目を引いたのは大宮の最終ライン。簡単にクリアできる場面でも丁寧に繋ぐ意識が高く、イージーな判断ミスでボールロストしそうな局面はありましたが、開幕戦のメンバー構成で考えればいわゆる“控え組”に見られたこの姿勢は、今シーズンの大宮を象徴しているように感じます。そして、先に流れを掴んだのも大宮。特に目立っていたのは「縦に速いという長所が出たかな」と鈴木淳監督も言及した宮崎。左サイドを単騎で抜け出すシーンを再三創り、8分にはやはり左サイドを独走して中央へ折り返すと、石原を経由して金澤がミドル。枠は外れたものの、サイドを崩してフィニッシュへと繋げます。しかし、20分には劣勢の新潟に決定機。素早いスローインを田中が収め、3列目から飛び出してきた菊地のラストパスは大島へ。シュートはわずかにゴール右へ逸れましたが、連動性の高い攻撃でした。動き出したゲームへつられるように、動いたスコア。直後の21分、エリア内で前を向いた金久保の選択肢は右へのスルーパス。ふくらんだ清水が右足で振り切ったシュートは、左スミへ豪快に一直線。「こういうゲームでいつも結果を出している」(鈴木監督)18歳の先制弾。大宮がリードを奪います。以降も右の金久保、左の宮崎とまったくタイプの異なる両翼が、異なるストロングを存分に発揮した大宮ペース。30分には宮崎がエリア内で相手との接触にも持ち堪え、石原がフィニッシュまで。37分には金久保のCKから、片岡のヘディングがクロスバー直撃。スコア以上に大宮優勢で1本目は終了しました。
2本目はお互いになかなかチャンスのないまま推移する中、59分に新潟が小澤と替えて渡辺泰広を投入すると、ゴールマウスに立ったクラブ期待のルーキーは途端に多忙を強いられます。いきなり60分、大宮は右サイドで渡邉が1人かわして送ったクロスを石原が、63分には左サイドから宮崎のクロスにまたも石原が、共に頭で合わせ、渡辺がどちらもファインセーブ。新潟も69分には、4分前に送り込まれたばかりのユース所属でありU-17日本代表候補でもある早川史哉が、酒井へ惜しいスルーパスを繰り出すもシュートまで行けず。70分は再び大宮。木原正和の投入で1列上がった渡邉のクロスを、石原がトラップでDFの頭上を浮かせ、放ったボレーは枠の左へ。74分、金久保が中央やや右から放ったFKは渡辺がファインセーブ。積極的に追加点を狙います。ただ、「アレだけチャンスを創りながら決めきれなかった」(鈴木監督)大宮に対して、最後の最後で新潟のアタックが結実。91分、CBの大野が鋭い出足で前へとボールを運び、酒井の左クロスがクリアされたこぼれを長谷部がミドルレンジからボレー気味に叩くと、ワンバウンドしたボールは江角をすり抜け、ゴールへ到達します。2シーズンの期限付き移籍から帰還した、ユース出身のいわば“生え抜き”が最後に大仕事。実質90分を通じて唯一の枠内シュートで1点を奪った新潟が追い付き、1、2本目の結果はドローということになりました。
大宮は前述した金久保と宮崎が出色のパフォーマンス。金久保は昨シーズンも十分活躍しましたし、宮崎はチーム全体を見てもウイングタイプはほとんどいないので、今シーズンはかなり出場機会が増えそうです。新潟では2種登録のCB西村が健闘していました。森保一コーチも「最初はどうなるかと思ったけど頑張ったね」と話したように、J1でもトップクラスの身体能力を誇る石原に苦しめられるシーンが多かったものの、後半は何とか懸命に対応。尻上がりに安定感が出てきたように見えました。また、早川も短い時間の中で随所にセンスを披露。最近はあまり代表に招集されていないようですが、是非U-17ワールドカップのメンバーに入って欲しい選手です。この90分間に関しては黒崎久志監督も「若い選手たちが頑張っているので、底上げはできてきている」と一定の評価。普段なかなか見る機会の少ない選手たちが多数見られて、個人的には非常に楽しい1、2本目でした。こちらが思いのほか長くなってしまったので、3、4本目ver.はまた後ほどアップします。
AD土屋
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TM 川崎×横浜FC@等々力
“
苦しい時こそ俺達川崎は共にアツく支えます!!!”。ゴール裏に掲げられた横断幕のメッセージに共感するフットボールファミリーが、公式戦さながらの15241人も詰め掛けた等々力。今日は川崎と横浜FCのチャリティートレーニングマッチに行ってきました。この両チームで等々力といえば、昨年の天皇杯でも延長にもつれ込む激闘を繰り広げた好カード。しかも45分3本というレギュレーションも、色々な選手を見たいという観点からは絶好の機会。今回の震災で亡くなられた方々へ黙祷が捧げられ、キックオフを迎えました。
川崎はGKが杉山。DFは右から田中裕介、井川、横山、小宮山。中盤はドイスボランチが柴崎と稲本で、右に登里、左に中村。2トップには楠神と矢島が並びます。一方の横浜はGKがシュナイダー潤之介。DFは右から藤田優人、森本良、飯尾、宮崎。ボランチはファビーニョと高地で、SHは右が寺田で左がエデル。前線はカイオと藤田祥史のコンビです。ゲームは9分に早くもエデルが負傷交替となり、井手口正昭が入るなど少しフワフワした立ち上がりとなりますが、この雰囲気を切り裂いたのは、開幕戦でもスタメンに抜擢されるなど相馬監督の信頼も厚い登里。10分、中央から左へドリブルで突き進む彼を、横浜はファウルで止めるのが精一杯。川崎がFKを獲得します。キッカーは中村。中央左寄り、ゴールまで25m弱の距離から14番が気持ちを乗せたボールは、右スミギリギリのネットを完璧な軌道で捕獲。GKは一歩も動けないファインゴール。等々力が1ヵ月ぶりの歓喜に包まれました。
畳み掛ける川崎。14分、中村の鋭いスルーパスを右サイドの深い位置で受けた楠神がエリア内へ侵入すると、藤田優人はたまらずファウル。このPKを矢島がGKの逆を突いてキッチリ沈め、2点に差が広がります。以降もチャンスは川崎に多く、攻勢の時間が続く中で、目立っていたのは登里の積極性。1点目に結び付いたようなドリブルはもちろん、17分には田中裕介の横パスをスルーして、そのまま縦に走り、中村からのダイレクトパスをシュートに持ち込むなど、幅広い動きを披露。さらにその登里と、中村、矢島、楠神の4人が流動的に前線を泳ぎ、常にスペースを創って潜ってを繰り返すと、横浜は後手を踏み続ける格好で、一方的な展開となってしまいます。加えて41分には中村のパスを矢島がダイレクトではたいたパスに、後方から走り込んで来たのはボランチの柴崎。バランスも取れて、前へも飛び出せる柴崎の加入は、中村を攻撃的なポジションで使える点においても、大きな効果を発揮していると言えそうです。結局45分間を終えたスコアはそのまま2-0となりました。
2本目の川崎はGKが相澤。DFが右から田中裕介、菊池、横山、小宮山。ボランチが田坂と柴崎。右SHには静岡学園から加入したルーキーの大島僚太で、左SHが楠神。山瀬と久木野に2トップを組ませます。一方の横浜は右SBに柳沢、左SBに中野、左SHに開幕スタメンを勝ち取った中央大出身のルーキー佐藤謙介と3人を投入してきました。メンバーが入れ替わったこともあってか、お互いになかなか攻撃の形が創れない流れの中で、目を引いたのは川崎の大島。昨年の高円宮杯で初めて見た時にも強いインパクトを受けた選手でしたが、57分にはオフサイドとなったものの山瀬に巧みなスルーパスを通すなど、持ち前のセンスを発揮。自然とコールする機会の多くなったサポーターにも、名前を印象付けるようなパフォーマンスを見せていたと思います。
64分には川崎が3人同時投入。伊藤が右SBに、関西大から加入した大学界ナンバーワン左SBの田中雄大が当然左SBに、吉田がボランチに入ります。そしてスタジアム全体が最高潮と言っていい盛り上がりを見せたのは67分。登場したのは4日前、日本中に、そして世界中に存在するフットボールファミリーの魂を激しく揺さぶるゴールを決めたばかりのカズ。スタンドに向けて手を振る役者ぶりに、川崎サポーターからも巻き起こる「♪カズカズカズカズゴ~ル」のチャント。これにはさすがのカズも「フロンターレの選手に悪いなと思いました」と苦笑いを浮かべましたが、やはり“キング”の存在感は絶大でした。
68分、相馬監督は前線に駒澤大から加入したルーキーの棗佑喜、CBに薗田と、さらに2枚を入れ替えます。この辺りから川崎がややペースを掴み始めると、次のゴールを挙げたのもホームチーム。82分、大島が左サイドからグラスカットの絶妙なパスを送り、最後は山瀬がエリアやや外から豪快なミドルを一刺し。酉年コンビで追加点を奪った川崎が3-0とリードを広げて、2本目は終了しました。
普段なかなか公式戦では見るチャンスの少ない選手が見られるので、個人的にはかなり楽しみにしていた3本目が、実は一番エンターテイメント性に富んでいた45分間。川崎はGKがウズベキスタン遠征から帰国したばかりのU-22日本代表の安藤駿介。DFが右から同じくU-22日本代表候補のルーキー實藤友紀、薗田、伊藤、田中雄大。中盤はボランチに吉田と、桐光学園から加入したルーキーの福森晃斗。右SHが田坂で、左SHが山瀬。FWは棗と、こちらは米子北から加入したルーキー谷尾昴也となりました。横浜はGKが関。DFは右から柳沢、藤田優人、中野、宮崎。中盤は底に佐藤と井手口の大卒コンビで、右が田中雄大と高校の同級生で、同志社大から加入した荒堀謙司。左が野崎。2トップはカズと西田です。
まず先に相手ゴールを脅かしたのは18歳の福森。97分、中央から強烈なミドルを枠へ飛ばすと、直後のCKでも田坂のキックに頭で合わせるなど、CBからボランチへコンバートされた中でシュートへの強い意識を打ち出します。ところが次にゴールが記録されたのは横浜。104分、佐藤のFKはゴール前の密集を抜けると、そのまま右スミへ吸い込まれます。実際はシュートを狙ったわけではなかったと思いますが、SHにボランチと2つのポジションで好パフォーマンスを見せた佐藤へのご褒美ということなら、納得できるようなゴールだったのではないでしょうか。
109分、川崎が2枚替え。再登場の大島と一緒に投入されたのは、U-18に所属する小口大貴。すると左SHに送り込まれたこの16歳は、柔らかいボールタッチと積極的な仕掛けで、大観衆を前に堂々としたプレーを見せ、スタンドを沸かせます。121分には實藤の縦パスに抜け出した棗が、自ら獲得したPKを沈めて点差を再び3点に広げ、こちらもユース所属の萩間大樹が右SBに投入された直後、124分には小口に見せ場。左サイドでボールを持つと、スルスルとドリブルで中へカットインしながら思い切りよくシュート。ボールはクロスバーを大きく越えましたが、その積極性にサポーターからも小口コール。4月29日から始まる関東プリンス2部に向けて、また楽しみが1つ増えました。なお、ゲームは129分、柳沢の右クロスを荒堀が二アでうまく合わせたゴールで打ち止め。4-2で川崎が勝利を収めています。
しかしやはり週末にサッカーがあるというのは、本当にありがたいことですね。カズが「15000人も集まってくれて本当にありがたいし、サッカーはやっぱりいいなとしみじみ感じました」と語った言葉が強く印象に残りました。
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TM FC東京×横河武蔵野FC@味スタ
FC東京と横河武蔵野FC。同じ西東京を拠点にしながら、公式戦ではなかなか対戦することのない2チームが、味の素スタジアムで激突するトレーニングマッチ。試合前には選手も参加した募金活動やオークションが行われるなど、チャリティーマッチ色も十分に含んだこのゲームに集まった観衆は9236人。フットボールファミリーの絆が強く感じられるような“東京ダービー”は、味スタ版の「You'll Walk Never Alone」と今回の震災で亡くなられた方々への黙祷を経て、キックオフされました。
東京はGKが塩田で、DFは右から椋原、森重、高橋、阿部。ボランチは大竹と梶山で、SHは右が羽生、左が谷澤。2トップは平山と鈴木でスタートします。対する横河はGKが飯塚渉。DFは右から鹿野崇史、瀬田達弘、金守貴紀、小山大樹。中盤はボランチが岩田啓佑と桜井直哉。右が林俊介で、左が高松健太郎。2トップはやや引き気味に関野達也が入り、前には「ウチに今までいなかったタイプ」と依田博樹監督も評した、5年ぶりのチーム復帰となる小林陽介。中でも新加入の鹿野は、昨年の関東大学リーグを圧倒的な成績で制した明治大の主力メンバーで、依田監督も「経験も十分あるし、期待しているのは確か」と語る注目選手です。
まずはお互いに相手の出方を窺うような、静かな立ち上がり。ボールキープ率は東京が上回るものの、横河もマイボール時は繋ぐ意識が高く、一進一退の攻防が続く中、先にビッグチャンスを掴んだのは横河。12分、CBの瀬田が右へ流れて送ったクロスを、関野が巧みなポストプレーで落とし、走り込んだ高松が鋭い切り返しで1人かわすと、高橋がエリア内でたまらずファウル。西村雄一主審はPKを宣告します。絶好の先制機。キッカーは関野。短い助走から蹴られたボールは塩田の逆へ。アウェイ側スタンドから誇らしげに巻き起こる“ムサシノ”コール。横河が1点のリードを奪いました。
いきなりビハインドを背負った東京も、17分には羽生のパスから平山が決定的なシュートを放ったものの、その平山と同い年で流通経済大時にはユニバ代表の経験もあるGK飯塚が驚異的な反応でファインセーブ。逆に横河は林が負傷交替を余儀なくされ、都丸昌弘が急遽ピッチに入るアクシデントにも拘らず、18分には岩田の素晴らしいサイドチェンジを受けた鹿野が鋭い突破で右サイドを抜け出し、最後は小林が枠内シュート。場内を沸かせます。20分には鈴木のCKから梶山の枠内ボレーは飯塚がファインセーブ。こぼれを狙った森重のヘディングは瀬田が間一髪でクリア。集中力も切れません。
しかし、ようやく東京の個が炸裂したのは、この流れからのCK。大竹の高精度キックを、平山が頭でズドン。力技で横河ゴールをこじ開けました。それでも25分には椋原のクロスから平山のヘディングがクロスバーを叩くと、跳ね返りに詰めた大竹のシュートは飯塚が何とか飛び付き、再びクロスバー直撃。「ある程度コンビネーションの合った“1本目”の選手たち」(依田監督)は、大半が当初の予定通りに35分で交替となりましたが、1対1というスコア以上に強い印象を観る者へ与えてくれたと思います。
なかなかボールデッドとならず、ピッチサイドへ7人が並ぶ光景にスタンドもザワつく中、横河はDFが右から勝野洋平、熊谷寛、小山、遠藤真仁、ボランチが平岩宗と桜井、右SHが都丸で左SHが長沼圭一、2トップが山下真太郎と、FC東京U-18出身の永露大輔に変わりました。すると、やはり交替の時間帯と途中出場の難しさからか、特に守備時におけるサイドでの連携が乱れてしまい、36分には椋原の右クロスに羽生が見せたダイビングヘッドは枠の上へ。2分後にも鈴木が右サイドを突破し、羽生のシュートは平岩が体で決死のブロック。一気に劣勢を強いられます。そして41分、最終ラインでのパス回しがズレた所を平山に奪われ、梶山が飯塚もかわして難なくゴール。さらに44分には、大竹の狭いスペースを巧みに通したスルーパスから、鈴木の反転シュートで3点目。45分にも谷澤が右サイドをフリーで駆け上がり、最高のクロスに平山が頭で合わせて4点目。「連続して失点したのは反省点」と依田監督。4-1と点差が開いて、前半は終了しました。
迎えた後半はスタートから東京が中村と古巣対決となるGKの廣永を投入。横河もGKがユース出身の藤吉皆二朗に替わります。すると後半も先にゴールを奪ったのはJFLチーム。54分、永露の強烈な左足ミドルをU-18の後輩でもある廣永がファンブル。走り込んだ都丸が押し込み、4-2。2点まで差が詰まります。さらに58分には長沼のアーリークロスを、山下がジャストミートでボレー。今度は廣永がキャッチしましたが、横河が再びゲームの波へ乗り直したように見えました。そんな流れを断ち切ったのは、「観ている人たちが少しでも楽しい気持ちになってくれれば嬉しい」と語ったエース。61分、中村のシュートはGK、谷澤のシュートはDFにブロックされるも、嗅覚鋭く押し込んだのは平山。見事ハットトリック達成の役者ぶり。ゲームは決まりました。
62分、横河は8枚替え。DFは右から花本剛泰、林真人、平岩、遠藤。ボランチが浅川智と常盤亮介で、SHは右が野木健司、左が日本大の関東2部昇格に貢献した新加入の小野祐輔。2トップが加藤と薗部良となりました。一方の東京も66分、既にピッチへ送り出された柳楽、上里に加えて、田邊に下田と同時にU-18から2種登録でのトップ帯同が発表された橋本拳人が登場。今日のボールパーソンを務めていたU-18のチームメイトに「目が合った時、笑われました」と話した17歳が、「初めての味スタ」を踏みしめました。だいぶメンバーも変わり、少しルーズな展開になっていくと、やはり隠し切れない実力差。70分には横河の花本が廣永に好セーブを強いるシュートを放ちましたが、それが横河にとってこのゲーム最後のチャンス。72分、大竹がドリブルでエリア内へ侵入すると、こぼれ球を平山が押し込み、6点目。87分、田邉が右サイドを抜け出し、中央の中村がゴール右スミへ流し込んで7点目。91分には中央やや左25m強の位置から、大竹がFKを直接左スミへ沈めて8点目で打ち止め。最後はホームチームが格を見せた形で、ゲームは終わりました。
さて、横河は練習場が三鷹の市街地にあるのですが、現在の諸事情を考えて照明が使用できない状況に。選手たちはそれぞれ仕事をしながらプレーしているため、本来は夜にしか練習ができない訳です。依田監督は「しばらくは朝の7時から8時でやるしかないですね」と苦笑いされていましたが、JFL自体の開幕時期も現時点ではハッキリしておらず、厳しい環境でのトレーニングを送ることになりそうです。昨シーズンは12位でしたが、今日のゲームを見る限り、十分上位を狙える力はありそうなので、是非今シーズンのJFLを掻き回す存在になって欲しいと思います。
また、本日のゲームは現在福島第一原発事故により味の素スタジアムに避難されている方の中で、95名の方が観戦したということです。「自分たちはサッカー選手なんで元気や勇気を伝えられるようにしたい」と平山が話せば、「僕らはプロじゃないし、やれることはサッカーだけじゃないので、社会貢献も含めてやれることをやっていこうと話しています」と依田監督。個人的にも、サッカーに関わることのできるありがたさを痛感した1日でした。
AD土屋
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J2開幕戦 湘南×岡山@平塚
51試合にも及ぶ激闘の末に勝ち獲った昇格。しかし、勇躍乗り込んだJ1で彼らを待ち受けていたのはあまりにも厳しい日々。突き付けられたのは1年での降格という現実。再びその場所で戦う資格を得るための2011年シーズンが湘南にも訪れました。開幕戦のスタメンには6人の新加入選手と、昨年から出場はしていた2人のルーキー。ベンチの7人はGKの野澤洋輔を除いて全員が新加入。ある意味、まったく別のチームに生まれ変わったとも言うべき湘南が平塚に迎え撃つのは、Jリーグ加盟3シーズン目となる岡山。今シーズンは現役ブルガリア代表でもあるストヤノフが加入し、新しく導入された3バックシステムも評判は上々。楽しみな対戦は、気温18度と春の到来を思わせる陽気の中でキックオフを迎えました。
平塚の緑と青がいきなり弾けたのは、開始わずかに7分。高い位置でボールを奪った湘南は、アジエルがヒールで右へ送ったボールを永木亮太がクロス。すると中で合わせたのは、インターセプトの流れで前線まで駆け上がってきていたCBの大井健太郎。岡山のGKリ・チャンガンも弾き切れず、ボールはゴールラインを越え、湘南に先制ゴールが記録されます。そしてこれは同時に「電光掲示板ができて、初めて我々の得点シーンが見られた」(湘南・反町康治監督)記念すべき瞬間。幸先よく1点のリードを奪いました。続く歓喜。14分、GK西部洋平のフィードを巻佑樹が高い打点のヘディングで流すと、DFより先にボールへ反応した佐々木竜太が、飛び出したGKより一瞬速くボールに追い付き綺麗なループ。「常に点を獲れる選手でいたい」という新ストライカーにも移籍後初ゴールが飛び出し、点差が広がりました。
さて、「立ち上がりが勝負だと言っていた」(岡山・影山雅永監督)中でいきなり2点のビハインドを負った岡山。3-4-2-1に近い布陣を敷く中で、いわゆるWBの位置に入った右の久木田紳吾と左の田所諒は縦のスペースへ入っていく意識も高く、特に田所は何度もサイドで受けてからクロスを上げるシーンを創りましたが、「クロスは湘南の2CBにことごとく捕まってしまった」とは影山監督。「3バックでサイドから早めにクロスを上げてくるのは予想してた。そのボールにも対処できた」とは反町監督。結果、サイドはチャンスを創出する以上に、WBが前へ出た分空いたスペースを使われるシーンが多く、ここが序盤の劣勢に繋がった印象です。
ただ、2失点を喫してからは岡山にも流れが。18分にCKの流れから大道広幸のクロスを後藤圭太がヘディングで枠へ飛ばし、西部のセーブに阻まれましたがいいシーンを創出すると、以降はボランチの千明聖典と2シャドーの一角を占める臼井仁志がよくボールに絡み、ポゼッションではむしろ岡山が優位に。23分には大道のCKから、こぼれをストヤノフが狙ったミドルはわずかにバーの上へ。26分、大道、千明、中野裕太と細かく繋いで、千明のミドルはバーの上へ。32分、大道のCKにまたも後藤が合わせたヘディングは枠の左へ。少しずつゴールの匂いが漂い始めます。
ところが次のゴールも湘南。34分、坂本絋司のパスから中央へ侵入した右SBの臼井幸平は、菊池大介のうまいリターンを受けると、ダイレクトでゴール左スミへ蹴り込むファインゴール。「攻撃に移る時の、前の選手を越えていくスピードやパワーは高い点数」と指揮官も評価した部分が結実した3ゴールで、湘南がセーフティに近いリードを得て、ハーフタイムに入りました。
後半に入ると岡山は「2、3日前まで腿が気になっており、長引いてしまうかの判断で私が決めた」と影山監督も言及したように、ストヤノフが交替で退いてしまいます。40分には絶妙のロングフィードで岸田裕樹の決定機を演出しており、18歳で開幕スタメンを勝ち取った湘南のCB遠藤航も「警戒していた部分ではあった」と話していただけに、精神面も含めて岡山にとっては大きな痛手になったことは否めません。やや膠着した展開が続く中、先に動いたのは影山監督。56分、中野に替えて三木良太を投入。1トップの選手を入れ替えます。
しかし、次にスコアを動かしたのも湘南。57分、巻のパスから岡山DFがクリアしきれず、菊池に当たったボールを、ここも素早い反応で佐々木がプッシュ。「佐々木選手を捕まえることが難しかった」と敵将も認める佐々木の2発目で4-0。その1分後にもエリア内でボールを持った菊池が澤口雅彦に倒されると、村上伸次主審の判定はPK。キッカーは昨シーズン1試合も出場することの叶わなかったアジエル。「自分に自信があったし、自分で決めるんだという気持ちがあった」というキックは中央に突き刺さります。実に2009年9月2日以来、1年半ぶりとなるキングのゴール。とうとう点差は5点まで広がりました。こうなると反町監督も余裕を持った選手交替。71分には「昨日までできるかどうかという状態だった」坂本に替えて平木良樹をボランチへ投入。76分には久々の出場だったアジエルに替えて、「調子を上げてきてサイドもできる」ルーキーの高山薫がデビュー。3枚目は84分、「次の相手にはバスケットボール選手がいるので、場に慣れるという意味では最優先」と永木に替えて186センチのソン・ハンキをCBへ送り込むなど、それぞれ明確な意図での交替も敢行し、ある程度はテスト的な部分にも着手できた湘南が衝撃的とも言えるスコアで開幕勝利を手にしました。
岡山は正直5点差で負けるような内容ではなかったと思います。「自分たちでバタバタしてしまった感はあった。開幕戦に初めて出る選手の、若さの悪い面が出てしまったかな」と影山監督。きっちり組み立てて崩す意図は窺えましたが、少し中長距離のパス精度が低く、サイドチェンジはことごとく引っ掛かっていたので、その部分は改善の余地がありそうです。
そして湘南も5点差で勝つような内容ではなかったと思います。「MFと前線の選手が合ってない。それを合わせるにはちょっと時間が足りなかったところはある」と反町監督が話したように、2トップ、特に巻の能力を考えると、もう少し生かし方が確立されればスムーズに攻撃できる回数も増えていきそうです。ただ、裏を返せばそれだけ伸びしろが残されているということ。次の千葉戦は2節にして、今後の行方を考える上で大事な一戦になるのは間違いありません。 AD土屋
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J1開幕戦 柏×清水@日立台
太陽王の凱旋。2年ぶりとなるJ1へ帰ってきた柏。再びクラブの誇りを取り戻し、日本のフットボールファンにその存在を認めさせるためのシーズンが幕を開けます。対峙するのは、長谷川体制に終止符を打ち、イラン代表監督を務めていたアフシン・ゴトビを招聘。主力の顔触れも大きく入れ替わり、“新生”という印象も強い清水。お互い理由は異なれど、勢いを付けるという意味では「ただの1試合ではない」(柏・ネルシーニョ監督)開幕戦。黄色と一部のオレンジが沸騰する中で、日立台の春が開宴しました。
ゲームが始まると、まずは昨年と同じシステムでメンツも変わらない柏の中盤が躍動。特に2年連続の開幕スタメンに「監督の信頼も厚くなってるなと思う」と話した茨田は、レアンドロ・ドミンゲスと絶妙の距離感で攻撃にアクセントを加えていきます。また、12分には右SBに入った新加入の増嶋がロングスローを投げると、清水GK山本海人のファンブルからあわやというシーンに。今年の新たな名物になりそうなプレーにスタンドもどよめき、雰囲気を一層盛り上げます。さらに、左SBでの起用となった最注目のジョルジ・ワグネルも15分には高精度フィードを一発でレアンドロへ通し、シュートシーンを演出。継続性の持つ強みに新戦力の個も見せた柏がガッチリ主導権を確保しました。対する清水は、システムも昨シーズンの4-3-3から4-2-3-1に変わり、伊藤の1トップで、その下に大前、小野、アレックスが並ぶフレッシュな布陣でしたが機能性に乏しく、イージーなミスも連発。「バックパスに詰めて行こうと話していた。それで相手も慌ててくれた」と柏2トップの一角を占めた田中も言及したように、後ろでのビルドアップも不安定で、「我々は最初の20分間ナーバスになっていた」とゴトビ監督も認める、苦しい立ち上がりを強いられます。
すると21分、「去年からFWとして見ていた。彼は前でやった方が生産性が高い」という指揮官の評価で最前線に入った大津が得たFK。キッカーのワグネルが左足を振り抜くと、「普段から練習しているので自信を持って蹴れた」というボールは完璧な軌道を描いてゴール右スミへ吸い込まれるゴラッソ。ベンチへ一直線に走り出したワグネルを抱擁で迎えたネルシーニョ監督。期待のブラジリアンが挨拶代わりの一発をぶち込み、ホームチームが1点のリードを奪いました。以降も全体のペースは柏。清水も3年目にしてようやく定位置を掴んだ感のある大前こそオーバーヘッドを枠に飛ばすなど体のキレを感じさせるようなプレーを連発しますが、いかんせんグループで崩す意図が希薄。伊藤とその下に位置する小野が絡むシーンもほとんどなく、2人とも孤立してしまうなど厳しい時間が続きます。「選手が変わってもフォーメーションが一緒なら大丈夫」とは茨田。昨年からの上積みも感じさせるパフォーマンスを披露した柏が、攻守に圧倒して45分間は終了しました。
後半に入っても流れは変わらず。「前半は結構裏に抜けていたが、後半は少し中に入ってスペースを空けることを意識した」と茨田が話したように、ワグネルのオーバーラップも回数が増え、逆サイドの増嶋も積極的にスペースへ飛び出すなど、「今日のキーはサイドのスペース」とゴトビ監督も話したサイド攻撃は、柏に一層厚みが出ていきます。62分には増嶋、レアンドロと繋ぐと、最後はワグネルが枠内シュートまで持ち込むなど、両SBが関与してのフィニッシュワークでチャンスを創出。そして迎えた65分、ワグネルのCKが流れたボールを左サイドで大津が拾ってクロス。これをDFがクリアしきれず、パク・ドンヒョクが冷酷に一突き。2-0。点差が広がりました。止まらない太陽の輝き。67分、ワグネルのアーリークロスにファーへ走り込んだ増嶋のヘディングはわずかに枠の右へ外れましたが、流れの中から左SBのクロスに右SBが飛び込むシーンは圧巻。両者共に指揮官の起用へ応えてみせます。すると68分、清水のFKから一転、柏のカウンター発動。人数は柏5人に対して清水3人。ボールを持った茨田は「レアンドロのスピードを止めずにいいパスが出せた」と納得のラストパスを左へ。レアンドロはGKとの1対1も冷静に右スミへ流し込み、3-0。ゲームは決まりました。
もはや混乱状態に陥った清水はカウンターへのケアも散漫。72分にも清水のCKからまるでデジャヴのようなシーン到来。今度は田中が左へ流すと、待っていたのはまたもフリーのレアンドロ。今度はドリブルが大きくなり山本海人に阻まれましたが、4分間に同じようなシーンが2度も連続したあたりに、清水の現状が凝縮されていたように感じました。加えて攻撃陣も55分にはほとんど何もできなかったアレックスに替えて高原を最前線に置き、伊藤を左SHへ移しましたが、高原は体のキレを個人では感じさせたものの、組織へと融合させる段階にはなく、結局チーム全体で見ても後半のシュートは1本のみ。79分にはボスナーが大津への危険なタックルで一発レッドを食らうなど、最後まで攻守が噛み合わずじまい。「前半も後半もレイソルが数段勝っていたと、皆さんも思ったのではないでしょうか」とネルシーニョ監督も語るほど、申し分ない内容を見せ付けた柏が、華々しくトップディビジョンへの帰還を果たしました。
清水は残念ながら非常に辛いスタートを切ったと言わざるを得ません。客観的に見ても「力の近いチーム同士の対戦」(ゴトビ監督)だっただけになおさらでしょう。このゲームに関して言えば、岩下と枝村のドイスボランチが攻守に中途半端だった気がします。キック精度と展開力は別物なので、ここである程度ボールを落ち着かせることができないと、いくら小野を1トップ下へ置いてもゲームを創るのは難しいかもしれません。
逆に勝った柏はもはや阿吽の呼吸とも言うべき、栗澤と大谷で組むドイスボランチのバランス感覚がとにかく秀逸。栗澤はセカンド奪取にゲームメイクにと、とにかく至る所に顔を出し続けてチームのリズムを司り、それを大谷が後方から絶大な存在感で支える関係が完全に確立。この2人の補完関係がJ1でも大きな武器になることも再確認できたと思います「すべての試合が最初で最後と思って、90分で勝つために全てを出し切らなくてはならない」とネルシーニョ監督。この気持ちを持ち続けている限り、柏の躍進は止まりそうにありません。
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J2開幕戦 FC東京×鳥栖@味スタ

19回目となる春の訪れ。ようやくJリーグのある日常が我々の下へ帰ってきました。すべての人が待ち焦がれたシーズンの芽吹きに胸を踊らせる開幕戦。フランスから帰国したその足で向かったのは、創設メンバーとして参加し、昇格という成果と共に1シーズンで駆け抜けた1999年以来となるJ2を戦うことになったFC東京が開幕を迎える味スタ。相手はユン・ジョンファン新監督が就任し、岡本知剛、國吉貴博など積極的に補強した中盤か魅力的な鳥栖。カードとしてもかなり興味深い一戦です。ゲーム前にはスカパラの華やかな演奏で彩られた味スタへ、詰め掛けたフットボール好きの数は「本当にたくさんの人が来てくれた」と新キャプテンの今野泰幸も驚く21408人。長く険しいであろう旅路は14時5分、その第一歩が踏み出されました。
東京はJ2の中で異例とも言うべき大量補強へ踏み切ったにも拘らず、新加入組でスタメンに名を連ねたのは左SBに入ったレンタルバックの阿部巧と、左SHの谷澤達也のみ。指揮官も続投ということもあって、最終ラインでこそパスは回るものの、基本はそこから平山相太の頭と、鈴木達也の裏へ目がけて繰り出すロングボールが多く、18分に鈴木のCKから中村北斗が大きくふかしたシュートがチームのファーストシュート。なかなか攻撃の形を創れません。
対する鳥栖は「もっと緊張するかと思ったけど、予想外にスムーズにゲームへ入ってくれた」とユン監督も話したように、中盤でも岡本と藤田直之のドイスボランチが散らし、両SHの國吉と柳澤隼がボールを受けてアクセントになるなど、むしろ中盤では優勢。大熊清監督が「鳥栖は繋ぐ所は繋ぐし、実力はある」と言うのも頷ける内容を披露します。すると33分には決定機を創出。岡本のクサビを基点に、中央を巧みなパスワークで完全に崩すと、最後は豊田陽平がエリア外から左足でシュート。ボールは激しくクロスバーを叩き、先制弾とはなりませんでしたが、東京サポーターは一瞬色を失ったに違いありません。続く41分にも、岡本が奪ったFK。藤田が小さく出して、30m近い距離を直接狙った國吉のミドルは枠を捉え、塩田が何とかセーブ。そのCKも藤田のキックに、クロスバーを越えはしましたが豊田がフリーでヘッド。セットプレーでも鳥栖にチャンスが生まれます。
「1人1人ミスが多かったし、バランスも悪かった」(今野)東京は、前半終了間際に羽生直剛の横パスへ走り込んだ高橋秀人のミドルが1本目の枠内シュート。頼みの平山もさすがに空中戦では優位に立ちましたが、そのセカンドやそれ以外の部分では、高い危機察知能力を発揮し続けたCBの木谷公亮を中心とする鳥栖ディフェンスがことごとく勝利。流れとしては鳥栖ペースとも言えそうな45分間は、スコアレスで終了しました。
後半開始から手を打ったのは大熊監督。中村を下げて、「回数は少ないが、ボールを運べたり、危険なモノは持ってる」ロベルト・セザーを投入します。これで鈴木が右のSHへ移ったことが結果的に奏功。49分には相手のミスパスを奪った谷澤が右へ付けると、鈴木がフィニッシュ。52分にも相手のミスパスを基点に、またも谷澤のラストパスから鈴木がシュート。どちらもゴールのわずか左へ外れましたが、鈴木の広範囲に渡る動きが東京に欠けていたダイナミズムをもたらし、サイドでの主導権も徐々に獲得していきます。
58分には鳥栖にチャンス。右サイドから田中輝和、國吉と繋いで、エリア内へ侵入した柳澤はDFとの接触で倒れかけますが、バランスを取り戻して倒れずに放ったシュートはDFに当たり、GKがキャッチ。安易に倒れず、シュートまで持ち込んだのは大いに評価されるべきですが、倒れていればPKだった可能性も否定できず、ここは1つのポイントだったかもしれません。
そして訪れた青赤の歓喜。61分、森重が左へ振ったボール。後半に入って一層縦への意識からオーバーラップが増えていた阿部がクロスを上げると、GK室拓哉の伸ばした手と平山の頭とボールがクラッシュ。こぼれ球を谷澤が押し込みます。ややオフェンスファウルにも見え、決めた東京の選手たちも、スタジアムの雰囲気も少し時間が止まったような格好の中、「ああいうのでもゴールはゴールなんで」と笑顔を見せたのは谷澤。苦しみながらホームの東京がリードを奪いました
59分には柳澤に替えてキム・ビョンスクを送り込んでいたユン監督もすかさず2枚目のカード。63分、國吉と野田隆之介をスイッチ。早坂良太を前線から右SHに落として、豊田と野田の2トップにシフト。高さとパワーを兼ね備えた2人で、今野、森重真人が聳える東京ゴール陥落を試みます。それでもボールが回るシーンはあるものの、シュートまで繋がるシーンは皆無。「とにかく勝ち点3が欲しかった」(今野)東京の気迫にゴールへの香りを遮断されてしまうと、76分には最後の交替枠で藤田と米田兼一郎をスイッチしたものの、以降は1本のシュートも打てず。
逆に大熊監督は86分に「ボランチの所は締めてもう1点という形で」羽生に替えてホベルトを送り込む念の入れよう。89分には「4ヵ月くらい試合に出てないので、もう少し動きの量と質を上げていかなくては」(大熊監督)というロベルト・セザーがハーフウェーライン辺りからスルスルとドリブルで持ち上がり、室にファインセーブを強いるようなシュートを放つ収穫も。「内容的にはそんなによくなかった」(谷澤)中でも、今シーズン求められる勝ち点3はしっかり奪い切り、FC東京はただ1つの目標を達成するための長い長い道程を歩み出しました。
敗れた鳥栖は「これから先、期待の持てるいいチームに仕上がってきたんじゃないか」とユン監督も話した通り、チームとしての機能性は一定以上のものを見せてくれたと思います。ただ、中盤での優位性をフィニッシュに繋げる部分はもう1つ。豊田を軸にして、パートナーやシステムをどう固めていくかは、新監督の手腕が問われることになりそうです。
東京は今日に限って言えば、昨シーズン終盤からメンバーの顔触れも含めて大きな変化はなく、攻撃はやはり長いボールが中心になりそうな雰囲気。プレシーズンの好調が伝えられた大竹洋平の出場機会がなかったのは少し残念でしたが、当然長いボールの多いスタイルが悪い訳ではないので、ブレずに突き詰めていけば勝ち点を積み重ねていくことはできそうです。さあ、2011年のJリーグ開幕です!
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第17回ちばぎんカップ 柏×千葉@柏の葉
“西大寺の裸祭り”“諏訪の御柱祭”“吉田の火祭り”と並ぶ日本四大奇祭(諸説アリ)にして“FIFAワールドカップ”“UEFAチャンピオンズリーグ”と並ぶ世界三大カップ戦。プレシーズンマッチにして唯一無二のダービー。伝統と信頼のカップ戦、ちばぎんカップが今年も千葉へ、いや、日本へ帰ってきました。注目度の高さを物語るかのように、観衆もこの時期のゲームにしては異例とも言えそうな9249人が集結。キックオフ前には両チームの選手が入り混じって、仲良く写真撮影。実に“ちばぎんカップ”らしい雰囲気の中でキックオフを迎えました。柏のスタメンはGK菅野、DFが右から村上、パク・ドンヒョク、近藤、橋本。中盤は栗澤と大谷のドイスボランチに、右がレアンドロ・ドミンゲス、左が注目の新加入ブラジル人ジョルジ・ワグネル。2トップには林とホジェルが並びます。一方の千葉はGKが岡本、DFは右から山口、竹内、青木良太、坂本。中盤は底に佐藤勇人と伊藤を置いて、右が青木孝太、左が深井。前線にはこちらも204センチの巨人系ストライカーとして注目を集めるオーロイが聳え立ち、少し引き気味に米倉という4-2-3-1をドワイト新監督は敷いてきました。さて、ゲームは2分に柏がいきなり決定機。ワグネルが挨拶代わりの高精度CKを放つと、パクのヘディングは千葉ゴールを強襲。岡本のファインセーブに阻まれたものの、6分にはレアンドロが中央から惜しいシュートを放つなど、「立ち上がりはリズムが創れて悪くなかった」(柏・ネルシーニョ監督)「初めの10分間はいいサッカーができなかった」(ドワイト監督)と両指揮官も認めたように、まずは柏がペースを握ります。千葉はロングボールが多い中、「フィジカルは100%」と自ら語るオーロイは確かに競り勝つのですが、やや周囲との距離感が遠いこともあって効果的な攻撃が繰り出せず、逆に22分にはパクのロングフィードをワグネルがうまく頭で落とし、ホジェルがフィニッシュまで持ち込むなど、むしろ柏が長いボールからチャンスを創出してみせます。ただ、20分を過ぎると、村上と橋本の両サイドバックに押し込まれっぱなしだった山口と坂本が、サイドの深い位置から割り切ったアーリークロスをオーロイへ当てるシーンが見え始め、26分には山口のクロスをオーロイが競り、こぼれを伊藤がシュート。28分には坂本のクロスをオーロイが落とし、オフサイドにはなりましたが米倉が抜け出す形も。「コンビネーションができて、オーロイを使えるようになってきた」とドワイト監督も言及したように、少しずつ連動したプレーが増え、30分には伊藤がクロスバー直撃のミドルを放つなど、流れを引き寄せます。対する柏は、「裏に1人が抜けるというのはやっているが、チームを通じて少ない印象はある」と大谷が話したように、レアンドロとワグネルは足元で受けるタイプで、林とホジェルも触ってリズムを創るタイプなので、バイタルが混み合うことも多く、加えて2トップは「紅白戦で20分くらいならあるけど、ほとんど組んだことはない」(林)コンビ。手詰まり感は否めなかった印象で、オーロイという戦術がハッキリしていった千葉に主導権は移り、前半は終了しました。すると、ハーフタイムを挟んで迎えた52分、やはり千葉はこの人が一仕事。左から深井が上げた高いクロス、オーロイが落下点に入ると近藤が競り合いに行きましたが、少し覆いかぶさる格好になると、井上知大主審はホイッスルを鳴らし、PKを指示。厳しい判定にも思えましたが、オーロイは「前半から体を持たれてるのはアピールしてたので、審判がよく見ていてくれた」としてやったり。深井が菅野に触られながらも左スミに蹴り込み、千葉が先制点を奪いました。さて、「ハイボールからのプレーに後手を踏んで、リズムが乱れてしまった」と語るネルシーニョ監督は、59分に1枚目のカードとして栗澤と茨田をスイッチ。すると60分には、村上、レアンドロと繋いだボールに大谷が走り込んでミドル。64分にもホジェルとのパス交換からワグネルが右足でシュート。共にDFのブロックに遭いましたが、徐々にゾーンが綻び始めた千葉を柏が侵食。70分には林に替わって1分前に投入された工藤が、いきなり枠内シュート。71分には、これまた橋本に替わってピッチに立ったばかりの大津が、左サイドを切り裂いて中へ折り返すと、レアンドロのボレーは左ポストを直撃。「交替で前に行けるようになり、力が抜けてテンポアップできた」と指揮官も言及するなど、途中出場となった20歳前後の3人が躍動して、再び柏がペースを奪還します。また、大津の投入に伴い、空いた左SBに入ったのはワグネル。これには「しっかり計算していた想定通りの交替」とネルシーニョ監督が話せば、「求められるポジションをこなす準備はしている」と本人。1つのオプションとしてシーズン中にも見られそうです。しかし、それでもある程度中央を締めた千葉の守備網も最後の部分は堅固。84分、レアンドロのCKにパクが頭で合わせますが、ここも岡本がファインセーブ。「守備の約束事はよくできた」とドワイト監督も話した堅陣は最後まで崩れず、4分間のアディショナルタイムも潰し切ってタイムアップ。PK戦で勝った昨年に続いて、千葉が連覇を達成しました。柏は「試合をこなしながらゴールへの道を思い出していく。これは時間の問題」とネルシーニョ監督も語ったように、攻撃陣のコンビネーションはこれからといった様子。それでも、途中から出場した茨田、工藤、大津が「チームの流れを創ってくれて、シュートチャンスが増えた」と指揮官も認める働きを見せたのは、大きな収穫でしょう。千葉は「いい方向に向かってるんじゃないか」とドワイト監督。オーロイの高さが強烈な武器になることは、十分過ぎるほどわかりました。あとはミリガン、ファン・ゲッセル、マット・ラムと今日は欠場した3人の外国籍選手をどう組み込んでいくかが大きなポイントになりそうです。待ちに待った開幕まで、あと2週間。“Jリーグのある日常”が帰ってきます! AD土屋
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TM 湘南×甲府@馬入
3月の開幕までちょうど1ヵ月。各クラブとも今シーズンを戦うメンバーの顔触れもほとんど決まり、これからチームとしての輪郭を形作っていくことになります。今日訪れたのは馬入ふれあい公園。“蹴燃”をスローガンに掲げ、反町康治監督体制下で2回目となる昇格が最大の目標となる湘南と、柏と共に磐石に近い成績で昇格を果たした2007年以来となるJ1で、まずは残留が現実的な目標となるであろう甲府のトレーニングマッチ。新シーズンへの期待と、特設フードパークへの期待からか、土手を埋め尽くした優に2000人を超えていたであろう両クラブのサポーターで、反町監督も「観衆が多くてよかったな」と話すほどの熱気に包まれる中、45分×3本のトレーニングマッチはキックオフを迎えました。1本目のメンバーは湘南がGK西部、DFは右から臼井、ソン・ハンキ、遠藤、小澤。中盤はアンカーにハン・クギョンで、右に日体大から加入したルーキーの岩尾憲、左に坂本、頂点にアジエルのダイヤモンド。2トップは巻と佐々木の新加入コンビです。一方の甲府はGKが荻、DFは右から石原、ダニエル、山本、内山。中盤は保坂と新加入ブラジル人のフジネイがドイスボランチを組み、右に阿部で左に永里のボックス。2トップはハーフナーにパウリーニョとなりました。ゲームは6分に湘南がチャンス創出。アジエルのスルーパスから佐々木が抜け出し、惜しいシュートを放ちますが、立ち上がりに攻撃のリズムを掴んだのはむしろ甲府。7分にはパウリーニョのループ、17分にはパウリーニョのパスから永里がカットインしてミドルをクロスバーの上にぶつけます。甲府で目を引いたのはボランチに入ったフジネイ。「守備もしながらやる意識を持たなくてはいけない」とは本人ですが、「攻撃が特徴なので預けるようにしている」とパートナーの保坂が話したように、かなり前まで出ていく印象。体の強さも含めた攻撃の能力は十分披露した中、自身も自覚している守備面の課題をどこまで意識できるかが、甲府の鍵を握って来そうな気がします。そんな中、先制は押し込まれていた湘南。24分、アジエルが狭い所を通す“らしい”スルーパスを繰り出すと、左足を思い切って振り抜いた佐々木のシュートは、右ポストを叩いてゴールの中へ。「仕事量は足りないが、決める力はあるな」と反町監督も一定の評価を口にした佐々木の一撃で、湘南がリードを奪いました。以降は、ややペースの落ちた甲府に対して湘南のボールキープが長くなる展開に。31分にはアジエルのケガを受けて、永木が交替で入るアクシデントはあったものの、38分には右サイドから積極性の目立った岩尾が上げたクロスを、巻が頭で狙うなどサイドからの形も創ります。逆に甲府は永里こそ左サイドでアクセントになりましたが、チームとして強力2トップを生かすまでには至らず。「去年の湘南得点王と福岡得点王、J2得点王経験のある2トップと、まずはこの4人を使ってみた」とは三浦俊也監督。保坂も「攻撃は監督からどういう風にやるというのは出てない」と話したように、攻撃面の連携はこれからといった様子。1本目はそのままのスコアで終了しました。2本目は湘南がGKに阿部、CBに山口、中盤は底が松尾、右に永木、左に坂本、頂点に菊池の4枚で、前線は巻と「ルーニーになってくれたら(笑)」と指揮官も期待を懸けるファビーニョ。甲府はGKが荒谷、DFは前半終了間際に山本と替わった冨田がそのままCBで、右SBに津田が入りました。さらに67分には湘南が5枚替え。DFは右から鎌田、山口、大井、石神。中盤の左に平木、FWにルーキーの高山薫という布陣に。甲府も67分に左SBへ犬塚を入れると、71分には7枚替え。CBに小林が入り、中盤は井澤と養父がボランチで、右が柏、左が内田。2トップは松橋とキム・シンヨンに変わります。展開自体はやや湘南ペースで推移しながら、70分過ぎに双方が施した大きなメンバー交替以降は甲府に流れが傾き、84分には「かなり速かったし、なかなかよかったね」と三浦監督も評した柏のクロスを、松橋が頭でねじ込む同点弾。90分間のスコアは1-1ということになりました。なお、3本目は共にチャンスを創り合うオープンなゲームになりましたが、お互いゴールは奪えず。メンバーは湘南がGK松本、DFが右から鎌田、山口、大井、石神、中盤アンカーに松尾で途中から遠藤、右が松浦、左が岩尾、頂点が平木、前は菊池とルーカス。甲府がGKにルーキーの岡大生、DFは右から津田、小林、冨田、井澤、中盤はボランチに内田と養父、右に柏、左に片桐、前が松橋とキム・シンヨン。途中から最終ラインは右から犬塚、津田、小林、井澤となっています。湘南は7日から「半袖短パンで過ごすことになる」(反町監督)タイ・バンコクでキャンプ開始。甲府も同じく7日から宮崎・綾町でキャンプに入ります。いよいよ開幕も近付いてきましたねえ。 AD土屋
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J1第34節 浦和×神戸@埼スタ

3月6日に開幕した2010年シーズンのJリーグも、とうとう今日が最終節。それぞれのチームが、それぞれの決着を付ける日です。私が最後に見たかった決着の行方は、やはりJ1の残留争い。ほとんど一騎打ちの様相を呈しているFC東京と神戸の決着をこの目で確かめるために、埼玉スタジアムへ向かいました。ここ6試合は3勝3分けという、驚異的としか言いようのない結果を残し、特に前節の清水戦では10人になってからの決勝ゴールで勝ち点3を獲得した神戸。現状ではリーグの中でも最も調子のいいチームかもしれません。その神戸を4万5千の埼スタで待ち受けるのは、フォルカー・フィンケ監督体制下としてもホーム最終戦となる浦和。どちらの“赤”がより燃えたぎるのか。そして神戸に奇跡は起きるのか。第34節。泣いても笑っても最後の90分間は家本政明主審のホイッスルでその幕を開けました。立ち上がりから「浦和はホーム最終戦なのでかなりの勢いで入ってくるだろうと予想していた」と和田昌裕監督が話した神戸は、石櫃と茂木の両SBも攻め上がりを自重する格好で、まずは守備に軸足。対する浦和も早めに縦を狙う選択が目立ち、なかなかボール回しにリズムが出てきません。18分には浦和が先に決定機。エスクデロ、柏木と繋いで、ポンテが右サイドへ振ると、高橋の折り返しをエスクデロがシュート。ここは神戸GK徳重が足で防ぎますが、1分後にも再び浦和のチャンス。ポンテがエジミウソンとのワンツーから抜け出し、放ったシュートはこちらも再び徳重がファインセーブ。「(徳重)健太がよく2本止めてくれた」とは北本。神戸は守護神の連続セーブに救われます。すると24分にチャンス到来。吉田がDFラインの裏へ出したボールに小川慶治朗が走り、フィニッシュまで持ち込むと、これは岡本拓也がブロック。高校3年生同士の攻防は両者譲りません。そんな中、ゲームが動いたのは意外な形から。31分、何気なく茂木が前へ蹴り入れたフィードに対応したのは、「CBのポジションで緊急事態を迎えていた」(フィンケ監督)チームで、今シーズン初スタメンとなった濱田水輝。ところがその濱田がGKへ頭で戻したボールは短く、「相手のDFラインもプレスを掛けるとアタフタしてたんで、1本来るかなと思ってた」という吉田が拾います。まったくのフリーで迎えた山岸との1対1も、冷静に右スミへ。ベテランがこの大事な局面で大仕事。勝つしかない神戸がリードを奪うと、以降は「先制点の重みで呪縛から解けた」と北本が話したように、バランスを維持しながらリスクを賭けずにゲームをコントロール。45分間は神戸がアドバンテージを握った形で終了しました。ハーフタイムのスタジアム。場内アナウンスで告げられた西京極のスコアは、1-0で京都リード。どよめくアウェイゴール裏。「他会場の経過は出ている選手には伝えてないし、僕も知らなかった」とは和田監督ですが、この時点で不利なはずだった神戸が一転、このまま行けば逆転残留という状況が生まれます。後半も先にチャンスを掴んだのは神戸。47分、右サイドからボッティが上げたクロスに、小川はフリーでボレーを放ちながら枠の左へ外してしまいましたが、その18歳が2分後に貴重な働き。49分、浦和の縦パスに体を入れたCBの北本は「僕のファウルかと思ったけど」、笛が鳴らないと見るやパスカットから「チャンスだったので」そのままオーバーラップ。この流れから抜け出した小川が濱田に倒されると、家本主審が指し示したのはペナルティスポット。神戸に追加点の絶好機が訪れます。このプレッシャーの掛かる場面。本来のキッカーはポポでしたが、「蹴りたそうな顔してポポに「俺に任せてくれ」と言った」のは吉田。倒れた山岸の治療と、「不安がとても大きくなってしまった」(フィンケ監督)ために施された濱田と堀之内の交替も含め、3分近い中断を挟んで迎えたPKにも、「絶対に入れる自信はあった」と話した男の度胸は本物。指揮官も「真ん中に蹴ってましたもんね」と苦笑するほど冷静なキックが揺らしたゴールネット。0-2。吉田の今日2点目となる一発でリードが広がります。止まらないクリムゾンレッド。59分、「言い続けていたファーストディフェンス」(和田監督)を吉田が激しいチェイスで敢行。乱れた浦和のパスを奪うとボッティ、ポポを経由したボールはフリーのパク・カンジョへ。「痛み止めの注射も切れて、痛い中なんとかやってた」パクは、山岸との1対1も難なく左スミに一刺し。飛び出した“カズダンス”ならぬ“パクダンス”。0-3。この時点で神戸が見せていた守備の安定感を考えても、ゲームの大勢は決しました。ある意味、このゲームの神戸は“狡猾”だったと思います。実際にはおそらくここ数試合と比べても、チーム全体が見せた前への推進力はむしろ少ない程。それでも相手のミスを突き、PKを獲得して、高い位置でボールを奪ってのカウンターから3ゴールを奪取。まるで常勝チームの勝ちパターンかのような展開は、この苦境を強いられる中で神戸が身に付けてきた「チームに生まれた自信」(吉田)の象徴だったのではないでしょうか。63分には左サイドを素晴らしいターンで抜け出した宇賀神の折り返しから、エスクデロが打ったシュートには3人のDFが体を投げ出してブロック。守備陣の集中も途切れません。和田監督は74分、ポポに替わってルーキーの森岡亮太を投入すると、81分には吉田とイ・ジェミンを、83分に足をつった茂木と小林を入れ替え、万全を期すゲーム運びを披露。そして、交替で退くポンテに万雷の拍手がスタジアム中から贈られるシーンを経て、“ケーキに苺を乗せた”のは10代コンビ。93分、森岡は高いテクニックで右サイドを切り裂くと中へ折り返し、実は記録された4本のいずれもが決定的なシュートだった小川が、ようやく4本目で結果。0-4。終盤戦のキーマンとなった高校生のダメ押しゴール。点差はさらに開きます。西京極は京都に追加点。ベンチ前に集まる神戸の選手たち。94分、鳴らされたのはゲームの、そしてシーズンの終わりを告げるホイッスル。「とりあえずみんなで行こうと言っていた」(吉田)和田監督の下に駆け寄った全ての選手と全てのスタッフで広げた歓喜の輪。最後にJ1残留という決着を付けたのは神戸でした。確かに奇跡だったのかもしれません。10試合勝利がない状況から、最後の7試合は4勝3分けと逆に負けなしというのは、現実離れした数字と言えるでしょう。ただ、和田監督は試合後の会見でこう話しました。「チームが変わったのは一体感。ベンチ全員が一緒になって喜べる、悔しがる、泣ける、そういうチームにはなったのかな」。きっとそれを手に入れるのは口で言う程簡単ではありません。そして、それを生み出したのは「和田さんのためにもという気持ちがあった」(河本)「何とか和田さんを男にしたいとみんな思ってた」(吉田)「和田さんが監督になってこういう結果が出せた」(ボッティ)と皆が声を揃える指揮官への想い。「とにかく選手たちは凄いとただただ思うだけ」と言い切った和田監督その人が自ら“一体感”を創り出し、残留という“必然”を呼び込んだのだと私は感じました。 AD土屋
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J1第33節 湘南×C大阪@平塚

11年ぶりに復帰したJ1の壁は厚く、苦しい戦いを余儀なくされた結果、既に来シーズンはJ2で戦うことが決まってしまった湘南。ホーム最終戦で平塚へ迎えるのは、共に昇格を果たしたC大阪。同期として意地を見せたい所です。そのC大阪は、現在4位とACL圏内も狙える好位置をキープ。残る2試合で結果を出して、昨シーズンの広島が見せた躍進の再現を狙います。ゲームはかなりゆったりとした立ち上がり。最初のシュートは9分のC大阪。寺川から中盤でボールを奪った丸橋が、家長からのリターンを受けてミドルを枠内へ。さらに12分にはマルチネス、13分には清武が積極的なシュートチャレンジを見せると、20分に決定機。清武が右へ展開し、酒本のクロスをアドリアーノがボレーで狙うと、枠に飛んだボールは阪田がライン上でクリア。C大阪の攻勢が続きます。そんなチームの中で、存在感を示したのは3シャドーの中央に位置する家長。湘南はハン・グギョンが1枚でアンカーを務めるために、うまくその両脇に潜ると、前を向いてはチャンス創出。29分にも、DFラインの背後へ走り込んだアドリアーノへ浮き球でピンポイントパス。アドリアーノのトラップミスで決定機とはいかなかったものの、惜しいシーンを生み出します。対する湘南も、33分には攻撃で素晴らしいコンビネーション。村松のクサビを阿部が落とすと、永木は狭いコースを選択してスルーパス。臼井にはわずかに届かなかったとはいえ、ようやく数人が絡んだパスワークからチャンスの萌芽を紡ぎ出します。それでも、なかなか前でしっかりとボールを収めることができないため、スイッチが入りそうな場面でも攻撃に人数をかけ切れず、阿部やエメルソンが孤立してしまう面は否めず。どうしても相手陣内に入ると、DFラインの裏へボールを蹴っては、そのままGKにキャッチされるか、ゴールラインを割るシーンばかりが目立ち、前半のシュートはゼロ。ただ、C大阪もシュート数こそ10本を記録したとはいえ、湘南に「ディフェンスの激しさをぶつけてこられた」(レヴィー・クルピ監督)ことと、サイドを崩してからのクロス精度が低かったことで、決定的なシーンには至らず。前半は共に無得点のまま、45分が終了しました。後半はスタートからC大阪が猛攻。48分、酒本の右クロスからアドリアーノが放ったヘディングは臼井が体でブロック。同じく48分、相手DFラインの裏へ抜け出した乾のシュートはサイドネットの外側へ。49分、アマラウのミドルは枠の左へ。一方的に押し込みます。すると53分に動いたスコア。酒本のCKは湘南DFがクリアで逃れますが、清武が拾うと受けた丸橋は突如、無回転ミドル。揺れて落ちたボールは野澤も弾き切れず、ゴールの中へ。再三のクロスもなかなか精度が上がらなかった丸橋の、無回転が枠を捉えるという不思議な一撃。とうとうC大阪に1点が入りました。こうなると「失点してしまうとみんな下を向いてしまう」(反町監督)今の湘南も何とか踏みとどまってきたものの決壊。62分、中央やや右、ゴールまで約20mの距離でC大阪が得たFK。丸橋が動かし、アマラウが右足を振り抜くと、DFに当たってコースが変わったボールは、ゆっくりとゴールへ吸い込まれ、0-2。65分、アマラウ、清武、乾と繋いで最後はマルチネスが二アサイドを豪快に撃ち抜き、0-3。大勢は決しました。ホーム最終戦で何とか1点は返したい湘南。反町監督も67分にエメルソンを下げて馬場を投入。74分には寺川に替えて中村を送り込み、もう一度攻撃陣の立て直しを図りますが、一向にギアが上がる様子もありません。83分に孤軍奮闘していた坂本の放ったシュートが、何とチームが記録した初シュート。直後に坂本とチェ・スンインをスイッチし、4-4-2へ変更した布陣も奏功せず。逆に88分には右サイドから乾が入れたグラウンダーのクロスを、阪田はクリアしきれず痛恨のオウンゴール。「今年に入ってバージョンアップしたチームと、逆にバージョンダウンしてしまったチームとの差があったのかな」と反町監督。1年で残酷なまでに開いてしまった両チームの力を如実に現わすスコアで、C大阪がアジアへの道に望みを繋ぐ結果を得て、ゲームは終了しました。「なかなかいいゲームができたと思う」(クルピ監督)「今日は良さがほとんど出なかった」(反町監督)という両指揮官の言葉がすべてを言い表わしていると思います。とうとうその姿を現した、待望の799型“大型ビジョン”に一度もサポーターを涌かせるようなリプレイが流れることはなく、何とも残念なこけら落としとなってしまいました。最後に田村雄三が今シーズン限りでの引退を発表しました。まだ27歳ですが、その両ヒザはもはや限界に達していたようです。昨シーズン、反町監督が導入した4-3-3のキーマンは、間違いなくアンカーに入った田村でした。そしてその激しいプレーが、チームの昇格に多大なる貢献を果たしたのは、今更言うまでもありません。1つの大きな決断をした彼に、あと1試合残ってはいますが、心からの「お疲れさまでした」を贈りたいと思います。 AD土屋
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J1第33節 FC東京×山形@味スタ

既に優勝と2チームの降格は決定。最大の注目は残る1枠の降格を回避すべく、瀬戸際の戦いが続く残留争い。32ポイントで16位の神戸と、35ポイントで15位のFC東京に絞られた感のある過酷なサバイバル。今日は先にゲームを行っていた神戸が、清水を相手に10人になってから執念の決勝ゴールを挙げて3ポイントを獲得しており、暫定とはいえ東京と勝ち点で並んでいます。その結果を受けてのキックオフとなるホーム最終戦の相手は、前節の勝利で残留を決めた山形。ある意味対照的な立場に置かれた2チームの激突となりました。ゲームが始まると、まずは東京がラッシュ。3分、中村の左クロスは平山へわずかに届かず。7分、石川の右クロスを大黒はマークに付いた西河をハンドオフしながら、ヘディングを放つとボールは枠の左へ。さらに9分、石川のサイドチェンジを受けた羽生が中へ折り返すと、こぼれを拾った梶山のシュートはバーの上へ。「立ち上がりは点を取りに来るだろうと思った」と山形の増田が話した通り、東京が勢い良く飛び出します。13分には山形。GKへのバックパスも含めて1分近くボールを回し、前田のフィードを長谷川が収め、最後は小林がミドル。1つしっかりとしたポゼッションからフィニッシュまで繋げますが、流れは変わらず。16分は再び東京。西河のパスミスから、奪った石川が中へ送ると、平山に訪れた決定機は寸前で西河が自らカット。18分にも小林のパスミスから、最後は平山が抜け出し、1対1は山形GK清水がファインセーブを見せたものの、相手のミスから2回の大きなチャンス。さらに24分には石川のCKから、梶山のヘディングは枠を捉えましたが、清水がキャッチ。ゴールが少しずつ近付いているような雰囲気は確かにホームチームにありました。ただ、「立ち上がりを抑えれば自分たちのペースになると思っていた」と増田が話せば、「シュートは打てなかったが、バランス自体は悪くなかった」と小林伸二監督。すると、少しずつ「勝たなきゃいけないという堅さは感じた」と大熊監督も評した東京はトーンダウン。前線で体を張った平山の奮闘に対する周囲の呼応も少なくなり、ほとんどチャンスを創れなくなってしまいます。こうなると山形にも好機到来。31分、伊東が左へ流し、小林のアーリークロスは長谷川へわずかに合わず。33分、長谷川のポストワークから、またも小林のクロスに北村が合わせたボールは、東京のGK権田が何とかセーブ。いい形を創り出します。山形で目立っていたのは、Jリーグ初スタメンとなったルーキーの伊東。割合ポジションとプレーエリアが決まっているチームの中で、自由な位置取りからよくボールに絡んでアクセントを加えるなど、好プレーを披露。小林監督は「もう少し高い位置でボールが持てれば、スピードがあるのでもっと脅威になったと思う」と語りましたが、今までの山形にはいなかったタイプで可能性を感じさせたと思います。ややリズムが掴めなくなった東京にさらなるアクシデントは35分。そこまで右サイドから再三鋭い突破を繰り出していた石川が、負傷でリカルジーニョと交替を余儀なくされてしまいます。44分には平山、羽生と繋いで、エリア内で大黒がシュート態勢に入るも、戻った伊東が間一髪でクリア。山形ペースと言ってよさそうなスコアレスで、前半は終了しました。後半は立ち上がりから膠着。53分に動いたのは大熊監督。大黒を諦め、前田を投入を選択。58分には小林監督も1人目の交替を決断。「2トップも考えたが、相手が1トップで前田と羽生が(ワンボランチの)佐藤の脇を狙い始めたので、中盤3枚の方がうまく守れる」と長谷川の所へそのまま田代を投入します。それでも展開に与える影響が少ないと見るや、次の交替は両指揮官ともほぼ同時に近いタイミング。64分には大熊監督が最後のカードを決断。羽生に替わったのは森重。平山の1トップで、その下には右から前田、一列上がって梶山、リカルジーニョ。ボランチにはやはり徳永が一列上がり、森重はCBに入ります。65分は小林監督の2枚目。いい働きを見せていた伊東を下げて、「途中から入れると左サイドからのクロスの質は高くなる」と宮沢を投入。サイドを意識させるような交替策を採ってきます。これが奏功したのは東京。74分、右サイドから森重が入れたボールを梶山が流すと、受けた平山はキープしながら反転して素早くシュート。ボールはDFに当たったことで、綺麗な弧を描いてゴール右スミへ吸い込まれていきます。瞬間、大熊監督も思わず派手なガッツポーズ。東京の中で最も闘志を前面に押し出していたストライカーが大仕事。東京が先制。1点のリードを奪いました。その後も78分には森重がクイックで始めたFKを梶山が繋ぐと、平山のシュートがわずかに枠の右へ外れましたが、1点目とまったく同じ選手の流れで決定機を創るなど、東京に勢い。逆に山形は77分、北村に替えて下村を送り込んでいましたが、あまり効果を得られずに時間を消費していました。ところが「そんなに危ない場面もなかった」(今野)、そして「サイドを割られるのはあまりなかった」(大熊監督)にも関わらず、サイドから一瞬の隙を突いたのは86分の山形。左サイドで小林が縦に付けたボールを、宮沢はうまくタメてからリターン。外を回った小林が「(田代)有三なら強く飛ばせる」と柔らかいボールを中へ送ると、その田代は長く、そして高い跳躍から絶妙のコースへ頭で一刺し。「サブで満足してる選手はいないと思う」とベンチスタートを強いられたチームトップスコアラーが意地の一発。小林監督も「この前点を取ったのに、今日も途中からだったので、そのストレスが点に結び付いたかな」と笑う田代の技ありゴールで、山形が追い付いてみせました。もはや東京も今野を最前線に上げた90分以降はノーガードの殴り合い。90分は東京。梶山、今野、梶山と推移したボールを最後は今野が左足で狙うも枠の右へ。91分は山形。宮沢のFKを秋葉が枠内へ飛ばすも、権田がキャッチ。93分も山形。佐藤が右へ送り、田代が最高のクロスを上げると、飛び込んだ宮沢のダイビングヘッドは、わずかにゴール左へ。カウンターから完全に崩し切った形に、歓声と悲鳴が交錯します。94分は東京。最後は前田がスライディングでボールに食らい付いたシュートは清水がキャッチ。そして長いホイッスル。タイムアップ。東京が挙げたポイントはわずかに1。その分だけ神戸にリードしたまま、残留争いの結末は最終節へ持ち越されることになりました。ゲーム内容としては、8対9というシュート数が示しているようにほとんど互角だったと思います。それでも、東京にしてみれば残り15分でエースが先制ゴールを挙げても、ワンチャンスを生かされて追い付かれてしまう辺りに、今シーズンの苦闘がよく表れているのではないでしょうか。「最後の1試合は悔いが残らないように、全力でチーム一丸でやっていきたい」と大熊監督。東京に訪れるのは歓喜か、それとも悪夢か。その答えはあと90分間を終えればハッキリします。 AD土屋
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J1第32節 大宮×神戸@NACK5

37ポイントで13位の大宮と、31ポイントで16位の神戸。正真正銘、残留争いの大一番。「気持ちの部分で負けるといろんな部分で差が出てくる」と村上も話すなど、ここまで来れば“気持ち”のぶつかり合い。そこで上回った方がよりよい結果を得られるであろう、まさにシーズンの総決算は大宮ホームのNACK5です。序盤にまず勢いを得たのは大宮。割り切ったロングボールにラファエルが強さを見せ、相棒のイ・チョンスや中盤もセカンドを拾って攻勢に。9分には三原のパスミスを奪ったラファエルが、枠の左へわずかに逸れる強烈ミドルをお見舞いします。しかし、意外な形で生まれた先制ゴールは14分。ポポの直接FKを大宮のGK北野はファインセーブで逃れましたが、このCKからボッティが蹴ったボールは右にこぼれ、再びボッティのクロス。河本が頭に当てると、「反対側のシチュエーションはわからなかった」というマトのクリアが、なんとフリーのパク・カンジョへ。パクは難なく無人のゴールへ流し込みます。神戸からすればかなりラッキーでしたが、1点は1点。まずはアウェイチームがアドバンテージを得る格好になりました。さて、嫌な形でリードを許した大宮。26分に藤本のクロスをイ・チョンスが落として、青木が放ったシュートは三原が体でブロック。28分、ラファエルがダイレクトで浮き球をスルーパスに変え、イ・チョンスが抜け出すもわずかにオフサイド。31分、FKからマトのシュートはDFに当たって枠の左へ。失点直後こそ神戸の勢いに圧されたとはいえ、25分以降は再びペースを奪還して攻め込みます。ただ、結果としてボールを持つ時間が長くなったために、ストロングでもある2トップを生かすことがなかなかできず、スイッチを入れるポイントが見つかりません。また、ラファエルの対応に苦慮していた神戸の小林と河本で組むCBコンビも、時間を追うごとにアジャスト。やや大宮に閉塞感が漂うような展開の中で、最初の45分間は終了しました。後半は開始から鈴木監督が講じる施策。「中盤で神戸のプレスが速いので、回避してサイドに基点を置きたい」と、イ・チョンスを右サイドに出し、藤本を中へ入れて4-2-3-1気味にシフト。「縦の関係を創って外から勝負という形を意識した」とはその藤本。人を変えずに、システムを変えてきます。それでも実際後半が始まると、お互いにほとんどシュートまで持ち込むことができない状態に。すなわち膠着。時間は容赦なく経過していきます。58分、和田昌裕監督も1枚目のカードを選択。先制弾のパク・カンジョに替えて、イ・ジェミンを投入。右サイドを強化しに掛かると、すかさず鈴木監督も63分に2枚目のカード。「なかなか茂木をはがせなかったので、チョンスを左に持ってきて基点にする狙い」と、藤本を下げて石原をFWで起用。左SHの渡部がイ・チョンスと入れ替わり、再び4-4-2に戻します。すると直後の65分にはイ・チョンスがいきなり左サイドから正確なクロス。石原のボレーはわずかにゴール右へ外れましたが、早くも効果が現れます。そして67分にスタンド沸騰。鈴木の右CKは、中央の石原に当たって跳ね返ると、そこにいたのはマト。「長いキャリアの中では決めたこともある」という、利き足とは逆の右足でプッシュ。8月以降はスタメンを外れることも多かったマトの汚名返上弾。大宮が追い付きました。こうなるとイケイケのホームチーム。69分、鈴木のFKにラファエルが合わせたヘディングは枠の右へ。74分、またもイ・チョンスの左クロスを渡部が落とし、ラファエルのボレーはクロスバー直撃。逆転の機運も高まる一方。ところが77分、「出てきてからなかなか対応ができなかった」と鈴木監督も認めるイ・ジェミンが大仕事。河本のフィードから右サイドで仕掛けると、再三緩い守備を見せていた対面の鈴木をものともせず、あっさりかわすと左足で鋭いクロス。後ろに小川の気配を感じた深谷が、懸命に伸ばした足に当たったボールは無情にも自らのゴールへ飛び込みます。「サイドの守りが手薄な所をやられてしまった」と鈴木監督。神戸がまたも1点のリードを奪いました。すかさず動いた和田監督はボッティに替えて、「セカンドの拾い合いと、CBの前で競り勝ちたい」という狙いでエジミウソンを投入。田中を前に押し出し、中盤を引き締めます。負けられない大宮も、鈴木監督決断。81分に「チョンスの所で基点ができていたので、オーバーラップを1つ入れたかった」と鈴木OUTで村上IN。83分には渡部OUTで、これがJリーグデビューとなる2種登録の宮崎泰右IN。29歳と18歳に希望を託します。そしてそれが叶ったのは85分。イ・チョンスとの大きなワンツーの形で左サイドを独走した村上は「(石原)直樹がいて欲しい所にいてくれた」と中へラストパス。「いいボールが来たので、落ち着いてゴールの中へ入れるだけ」と石原は二アで冷静にプッシュ。ゴール裏のオレンジ再沸騰。常にゲームのキーとなり続けた方のサイドから崩した一撃。2-2。大宮が驚異的な粘りでスコアを振り出しに戻してみせました。ドローは限りなく負けに等しい神戸の猛攻。前へ神戸。後ろへ大宮。93分はやはり右サイド。イ・ジェミンのクロスに、右足を振り抜くポポ。枠を捉えたボール。一瞬時が止まり、直後に見えたのは懸命に弾き出した北野。タイムアップ。ドローでも、あまりに異なる勝ち点1の意味。ゲームは「勝てなかったけど大きな勝ち点1」(鈴木監督)を大宮が獲得したという結果となりました。和田監督は、「エジミウソンを入れる時に森岡を入れる考えもあった」と振り返っています。ただ、入ったのはエジミウソン。「守備的に行こうという意図ではなかった」と指揮官は話しましたが、シグナルはやはり守備重視と取れるものでした。一方の鈴木監督は、「チョンスが持ったら外を回るように指示が出ていた」という村上を攻撃的な意図で起用し、最後の1枚に選んだのはリーグ戦初出場のユース所属選手。この腹を括った采配が、自ら「非常にお互い気持ちの籠もったゲーム」と評した決戦で確かな成果を手繰り寄せたのだと思います。 AD土屋
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J2第35節 千葉×北九州@フクアリ

前々節に柏が、前節に甲府が、それぞれJ1昇格を決めたため、残された切符はわずかに1枚。3位の福岡を5ポイント差で追い掛ける4位の千葉からすれば、江尻篤彦監督が今シーズン限りで退任することが既にクラブから発表されており、「残り4試合 エジさんを漢にしよう」とサポーターがゴール裏に掲げた横断幕と同じ気持ちを、選手も持っているはずです。一方の北九州も、地域リーグ時代から指揮を執っていた与那城ジョージ監督の、今シーズン限りでの退任が決定。何とか30にまで伸びてしまったリーグ戦連続未勝利という不名誉な記憶を断ち切りたいという気持ちは大きいはず。共に黄色をイメージカラーに持つチーム同士のナイトゲームは、北九州のキックオフでその幕を開けました。開始直後の18秒、右サイドから太田圭輔が入れたクロスを青木孝太がワンタッチで落とし、佐藤勇人がわずかに枠を外れるシュートをいきなり放ったのは、千葉の覚悟の現れ。5分、太田のアーリークロスに青木孝太が頭で合わせたボールは、北九州GK水原大樹がキャッチ。8分、佐藤勇人の左アーリークロスは、谷澤達也にドンピシャもヘディングはバーの上へ。「立ち上がりに物凄い勢いで来られて、マークのズレが凄いあった」と与那城監督が振り返り、「サイドからのクロスにマークが甘くなるのは予想通り」とは7月25日の柏戦以来、久々のスタメンとなった中後雅喜。すると、やはり先制ゴールもサイドアタック。9分、左サイドで工藤浩平とのパス交換からアレックスが上げたクロスに、飛び込んだ谷澤がヘディングで一刺し。「思うようにいい形で攻撃できた」(佐藤勇人)千葉が、狙い通りにリードを奪ってみせます。流れは完全に千葉。それまでを見ても、大量点が入る一方的なゲームになってもおかしくない展開だったと思いますが、14分に宮川大輔が強引にミドルを放ち、北九州にもシュートが記録されたのを境に、風向きが変化していきます。その要因として考えられるのは2つ。1つは、左のSHに入っていた関光博がポジションに捉われず、幅広い動きから積極的にFKを含む7本ものシュートを放っていったこと。もう1つは、「CBが2枚引いててカバーがない状態だったので割とうまく受けられた」と話したFWの中嶋雄大が、バイタルに潜ってボールをよく収めたこと。41分には千葉も谷澤がバックステップから無回転ミドルを枠内へ飛ばし、水原のファインセーブに阻まれるシーンを創りますが、終わってみれば共に9本ずつのシュートを記録するなど、序盤の一方的な展開から、「シュートで終わられることが多く、リズムを取られた」と佐藤勇人も認めたように、最後はほとんど互角と言っていいような展開に変容したゲームは、千葉が1点をリードして45分間が終了しました。後半もサイドを使う形で千葉にチャンス。47分、佐藤勇人の右クロスに谷澤がヘディングを放つも、水原がキャッチ。58分には坂本が右サイドから左足で上げたクロスに、飛び込んだ青木孝太のヘディングも水原がキャッチ。「2点目がなかなか取れない」(佐藤勇人)時間が長くなっていきます。対する北九州は、CBに入った長野聡が「今日は後ろから自信持って回せた」と話したように、少しずつショートパスを繋ぎながらアタックに出るシーンも見られ、いいリズムの中でゲームを進めていくと、73分に結実。左サイドを上がってきたSBの冨士祐樹が、大島のパスをダイレクトではたき、中嶋もダイレクトで巧みに落とすと、冨士が右足を振り抜いたボールはゴール左スミへ吸い込まれます。「無我夢中であんまりよく覚えていない」という冨士は、これが5年ぶりとなるJリーグ2ゴール目。アシストの中嶋も「まさか右足で決めるとは」と驚いたレフティの一発で、北九州が力強く追い付きました。さて、千葉からしてみれば少しずつリズムを手放してしまった上に、失点まで喫する最悪のシナリオに。江尻監督も、77分にはボランチの中後を下げてネットを投入。前に人数を掛けますが、焦りからかなかなか形を創り出せません。最終盤の84分にも青木孝太と林丈統をスイッチして、前へのパワーを増強したものの、シュートが遠い千葉。その間にも時計の針は無情なまでに進み続け、サポーターの声も悲鳴混じりに。88分には佐野裕哉のCKから、大島のヘディングは枠の右側へ。90分、関、佐野と繋いで、大島のシュートはバーの上へ。92分、中嶋、関と繋いで途中出場の長谷川太郎が放ったシュートもバーの上へ。「90分間ハードワークしてくれていい試合ができた」と与那城監督も目を細めた北九州が、2点目を取ったとしても何らおかしくないような流れの中、しかし最後に輝いたのは「引き分けじゃダメなんだと、ずっと言いながらプレーしていた」という闘将でした。93分のほとんどラストプレー。右サイドから工藤が左足で放り込んだボールは、北九州DF必死のクリアも小さくなります。すると、そこに走り込んだ佐藤勇人が左足一閃。難しいボレーで狙ったシュートは、左のポストを叩いて、内側へ跳ねると、転がり込んだのはゴールの中。「最後まで勝ち点3しか考えていない」という7番が土壇場で2試合続けてチームを救う決勝ゴール。千葉生還。奇跡の逆転昇格に向けて、わずかな望みを繋げる劇的な勝利を収めました。忘れてはいけないのは北九州の健闘。「いい内容で試合を終われたことは非常によかったなと思う」と与那城監督も話したように、50人前後で大きな声量を最後までキープし続けたサポーターと共に強く印象に残る、とても30試合も勝ちがないとは思えない、素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれました。「サポーターと選手の意地が最後に出た」(江尻監督)千葉。最悪に近いタイミングで発表された指揮官の退任を受け、奮起した選手たちが最後の最後で諦めない姿勢を結果に繋げてみせました。果たして今日呼び込んだ奇跡が、さらなる奇跡を引き寄せるのか。泣いても笑っても、残された時間はあと270分です。 AD土屋
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J1第31節 FC東京×川崎@味スタ

3月に開幕したJリーグも、あっという間に終盤戦。残すは今日を入れても4節のみ。それぞれのチームにそれぞれの決着が付けられていきます。味の素スタジアムは多摩川クラシコ。前節の横浜FM戦に競り勝ち、残留争いの渦中からわずかに首を出したFC東京と、水曜日の天皇杯で山形との激闘の末にPK戦で敗退し、「唯一タイトルの懸かった試合もなくなった」(高畠勉監督)川崎の対戦。ややモチベーションの差は懸念されますが、今年最後のクラシコに期待を込めて、キックオフを迎えました。2分に平山のドリブルから、最後は石川がカットインしながら枠に飛ばすシュートを放って始まったゲームは、「相手もそんなにハイペースで来てる訳じゃなかった」とその石川が振り返った通り、かなり静かな立ち上がりに。10分にはジュニーニョがミドルレンジから、トーキックで権田の好セーブを引き出すシュートをお見舞いしましたが、特に最初の30分間でそれ以外にゴールを予感させるようなシーンは皆無。膠着した時間が続きます。川崎は絶対的な支柱である中村が出場停止。さらに田坂が負傷で欠場する中、中盤はドイスボランチに稲本と谷口を配して、SHは楠神にヴィトール・ジュニオールという並び。これが結果的に今日のドイスボランチの特性からか、構成力は落ちるものの、守備のバランスという意味では普段以上に整った印象。加えて負傷を抱えているはずのジュニーニョとヴィトールの推進力が、十二分に生かされるようなカウンターも見られ、安定した守備からいくつかチャンスの萌芽は創り出します。逆に東京は、前節で覚醒した感のあった平山こそ基点を創って奮闘しますが、いかんせん周囲のフォローが少なく、なかなか決定的なシーンを生み出せません。36分に東京が掴んだチャンス。石川のCKを平山が頭で合わせ、体を投げ出した森重のヘディングは川崎のGK相澤がしっかりキャッチ。45分間で記録されたシュート数は東京の3に対して、川崎が2。妥当なスコアレスで前半は終了しました。ハーフタイムを挟むと、後半は開始早々にゲームが動きます。47分、ハーフカウンターは川崎。左サイドを楠神がドリブルで持ち上がり、ジュニーニョを経由したボールは矢島の足元へ。スクリーンから反転して左足で振り切ったシュートは、「見えない所からボールが出てきた」という権田を破ってゴール右スミへ。歓喜の色はスカイブルー。アウェイチームが1点のリードを奪いました。さて、ホームで追い掛ける展開となった東京。大熊清監督は「(後半開始から)10分くらいで入れようと思っていた」リカルジーニョを50分に前倒しで投入。さらに57分には大黒に替えて、右SBに椋原を送り込み、「久々の右SBで駆け上がるパワーやタイミングが多少悪かった」(大熊監督)徳永をボランチに上げ、梶山を平山のすぐ下に置く4-2-3-1へシフトして勝負に出ます。それでもしばらくはリズムに変化のないまま推移しましたが、65分にジャッジの妙が展開に変化を。左サイドに張り出し、再三ドリブルで仕掛けながら、ことごとくチャンスに結び付けられなかったリカルジーニョが、ここも強引なドリブルで突っ掛け、相手DFと接触。微妙なプレーでしたが、山本雄大主審は川崎のファウルを指示します。このFKを石川が枠に直接飛ばし、相澤がなんとかセーブ。しかしこのCKから、石川のキックに森重がダイビングヘッドを敢行すると、ゴールネットはボールを捕獲。1-1。25分を残して、結果だけ見ればリカルジーニョ投入が奏功した格好で、東京が追い付いてみせました。高畠監督の決断は69分。楠神OUTで黒津IN。黒津はそのまま右SHに入る、超攻撃的布陣を断行。73分には矢島の巧みなポストプレーから、ヴィトールが中央を抜群のスピードでぶち抜き、シュートはわずかに枠の右へ外れましたが、衰えないカウンターの恐怖を一瞬で植え付けるプレーを披露。80分には稲本のレーザーフィードを右サイドで受けた黒津が、中村をあっさりかわしてサイドネットの外側を強襲するシュート。ただ、決定機は川崎にありましたが、同点後の東京も前へのパワーは強まり、攻撃の時間は明らかに増加。まさに「どっちに転ぶかわからない展開」(高畠監督)だったと思います。こうなると勝敗を分けるのは往々にして「致命的なミス」(大熊監督)。84分、ヴィトールの何でもないフィードに対応した森重は、なぜかボールに対して手を出してしまいます。すると、山本主審のホイッスルは鳴らず、ボールを拾った「DFの手に当たって方向は変わったが、前半からDFの裏にボールをくれと要求していた」という10番は、やや中途半端に前へ出てしまった権田の頭上を緩やかに越えていく、完璧なループでフィニッシュ。ジュニーニョのJ1通算100ゴール目となるメモリアル弾が飛び出し、川崎が再び勝ち越しました。追い込まれた東京。「短い時間だったのでペナの中に人を入れたい」と大熊監督が切った最後のカードは、天皇杯で2ゴールの活躍を見せた大竹ではなく前田。それでもスタンドを沸かせるようなシーンを創れないまま、時間ばかりが経過していきます。94分、権田も上がった東京のラストチャンス。米本のFK、こぼれ球を平山が懸命に抑えて枠に飛ばしましたが、相澤が横っ飛びで弾き出し、鳴らされたタイムアップのホイッスル。今シーズン最後のクラシコは川崎に軍配。ACL圏内確保に向けて、価値のある3ポイントを敵地から持ち帰る結果となりました。勝ち点3だけではなく、勝ち点1までもその手からこぼれ落ちた東京。「ウチは勝ち点1を狙いに行くチームではないが、勝ち点1でもOKと言わなきゃいけない状況」とは権田ですが、「みんなで2点目を狙いに行く姿勢はあった」と大熊監督。結果は個人のミスが失点に直結してしまったとはいえ、オープンな打ち合いの様相を呈した75分以降に、チーム全体の意志統一ができていたか否かには疑問が残ります。「最低限もう1点取られないようにするのが課題」と米本。その“課題”を“最低限”のレベルまで引き上げるために残された試合は、あとわずかに3つしかありません。 AD土屋
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J2第34節 草津×岡山@正田スタ

現在の順位は15位と17位。いよいよ佳境を迎えている昇格争いとは無縁の位置となってしまった、草津と岡山の対戦。気温も11.3度。日曜19時半キックオフのナイターということもあってか、観客数も今シーズン最少の2232人と、何とも淋しい雰囲気の中でゲームは始まりました。立ち上がりからお互いになかなかシュートを打てない中、いきなりゲーム自体のファーストシュートがゴールに直結。13分、左サイドでボールを持ったアレックスの右足クロスに、ニアへ飛び込んだのは高田保則。「ゲームのリズムを取り戻してきたので、頭から使った」という副島博志監督の期待に応える、草津の“9番”が一仕事。ホームチームが先制ゴールを奪い、まずはリードしました。アウェイでいきなりの失点を喫した岡山は、15分に澤口雅彦のクロスをヘディングで合わせた左SHの小林優希が、スピードと左足を駆使して一人気を吐きますが、いかんせん周囲のフォローが乏しく、効果的な攻撃には繋げられません。それでも徐々に手数が増えていったのは岡山。「ボランチの櫻田(和樹)と西澤(代志也)がボールを引き出せず、DFもサイドに追い込まれてロングボールが多くなってしまった」と副島監督も振り返ったように、草津も先制したとはいえ、その後はリズムを掴み切れません。すると案の定、次のゴールは岡山に。41分、カウンターの形から、草津は2回フィルターをかけ損なうと、右サイドを白谷建人が独走。味方が中央をフリーで並走する2対1の状況下で、白谷の選択は自らフィニッシュ。ボールは確かな意志を持って、サイドネットに突き刺さります。「前半に関してはある程度、ゲームもボールも動かすことができた」と影山雅永監督も手応えを口にするようなパフォーマンスを披露した岡山が、ドローに追い付いてハーフタイムへと折り返すことになりました。さて、前半終了間際に「不注意から」(副島監督)失点を喫した草津。ここ7試合は複数得点がなく、苦しい後半が予想された中、そんな空気を打破したのは48分のゴラッソ。熊林が右から蹴り入れたCKに反応したアレックスは、難しいジャンピングボレーにチャレンジすると、ジャストミートしたボールが豪快にゴールネットを揺さぶります。「練習でもセットプレーでよく点を取っている。感覚は持っていた」と副島監督。「ゴールを決めるために練習してきた」というブラジル人の来日初ゴールが飛び出し、草津が再び1点のリードを奪いました。こうなると、「後半は相手がギアを一段上げてきた」と敵将の影山監督も認めたように、完全な草津ペースへ。54分、佐田聡太郎の右クロスに合わせたアレックスのヘディングは、わずかにゴール左へ。63分、熊林のスルーパスに反応した高田が、左サイドからカットインして強烈なシュートを枠に飛ばすと、ここは岡山のGK真子秀徳がファインセーブ。そのCK、熊林の入れたボールを最後はアレックスがクロスバー強襲のボレー。「ホームではなんとしてでも結果を出したい」(副島監督)草津の猛攻が続きます。影山監督も68分、1枚目のカードとして、前節決勝点となるJ初ゴールをマークしたリ・ドンミョンを切ってきますが、流れは変わらず。逆に77分は草津。後半のチャンスをことごとく演出し、まさしくピッチの支配者と言うべき存在感を発揮していた熊林が、直接狙ったFKは右ポスト直撃。3点目へチャレンジする姿勢が、ピッチの草津イレブンから確かに伝わってきます。82分にはGK常澤聡が判断ミスで飛び出してしまい、こぼれを拾ったリ・ドンミョンがシュートを放ち、わずかに枠を外したようなシーンもありましたが、その他では概ね安定したゲーム運びで、終盤は確実にクローズ。結果、覚醒したアレックスの1ゴール1アシストの活躍で、草津が寒さの中でも声援を送り続けたサポーターへ勝ち点3を贈り届けました。群馬の夜は確実に冬の気配。シーズンの終わりはもうすぐそこまで近付いてきています。 AD土屋
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J1第28節 湘南×大宮@平塚

台風の接近に伴って延期されていた第28節の9試合目は、残留争いを繰り広げる18位湘南と14位大宮の対戦。置かれている立場こそ微妙に違えど、共に負けられないゲームなのは間違いなく一緒。特に湘南は平日のナイトゲームにも関わらず、チームをサポートしようとスタジアムへ足を運んだ多くの人たちに戦う姿勢を見せる義務があります。やや冷え込みも厳しくなった11月の仕切り直しは、気温14度の中でキックオフを迎えました。湘南はスタメンを見ても少しシステムが予想しにくい中、ゲームが始まってみると反町康治監督の選択は3-4-2-1。田原の下には、シャドー気味に三平とエメルソン。中盤4枚は右に臼井、左に古林で、中央が田村と坂本。3バックは右から村松、遠藤、山口という並び。最終ラインのセンターには、何と17歳が入ります。ただ、「サイドに1回入った時にちょっと下がり過ぎちゃった」とは遠藤ですが、立ち上がりから概ねうまく守備陣をコントロール。イ・チョンス、ラファエルの大宮が誇る強力2トップにも確実に対応し、まずは立ち上がりの15分を凌ぎ切ります。ところが、その直後に落し穴。中盤でのビルドアップ、チャンスになりかけた所で山口はボールが足に着きません。奪った大宮のカウンターから、ラファエルが村松に倒されFKに。やや右、ゴールまで約25mの距離から金久保の右足が繰り出したキックは綺麗な弧を描き、都築は一歩も動けず。「金久保の直接FKは資料になかったのでちょっと想定外」と苦笑したのは反町監督。「繋ぎの所でミスが出てしまった」と都築。ある程度いい立ち上がりを見せていた湘南でしたが、「つまらないミス」(反町監督)から先制を許す展開になってしまいました。さて、大宮からすれば「湘南とシステムが違って、最初は守備の所でズレがあり、捕まえづらかった」と鈴木淳監督が振り返ったように、やや難しいゲームの入り方となった大宮でしたが、リードを奪うとある程度守備に軸足を置きながら、様子を見るような格好に。32分には、その少し前から勢いが出始めていた湘南に決定機。田原からのパスを受けたエメルソンは左へスルーパス。走り込んだ古林のシュートは、しかし枠を捉えられません。すると迎えた33分、イ・チョンスからのリターンをもらったラファエルは「考える時間はなかったが、わずかだけどコースはあったので」迷わずミドル。これがDFに当たって少しコースが変わると、ゴール右スミへ吸い込まれていきます。内容にそれほど差はなかったものの、前半が終わった時点でのスコアは0-2。今シーズンで複数得点を挙げたのはわずか6試合の湘南。「0-1で折り返せば風向きはこっちに来ると思っていた」という指揮官の思惑も儚く霧散し、手痛いビハインドを負ってハーフタイムへ折り返しました。攻めるしかなくなった反町監督は、後半開始から決断。田村を下げてハン・グギョンを送り込み、攻めの姿勢を鮮明に。「しっかりポゼッションはできていた」と遠藤が振り返れば、「前節よりも攻める内容はよかった」と都築。決して悪くなかった湘南は、56分にこそイ・チョンスに決定的なシーンを創られながらも何とか凌ぐと、60分には三平に替えて、「やりきることが少なかったので、それを意識した」という阿部を投入。より前への意識を打ち出します。64分には、中盤でエメルソンがボールカット。田原とのワンツーからエリア内へ侵入するも、切り返して放った左足シュートは弱く、GK北野がキャッチ。68分にも坂本、エメルソンと繋いで、田原のミドルはバーの上へ。2点が重くのしかかります。そして70分にゲームは決着。右サイドから金久保が入れたFK、湘南ディフェンスのクリアは高く舞い上がり、こぼれ球を藤本がうまいボレー。これが左ポストに当たった跳ね返りを深谷が体で押し込みます。「大宮は36%セットプレーから点を取っている」(反町監督)と十分警戒しながらも、結局「セットプレーとロングシュートにやられた」(遠藤)結果に。0-3。緑と青の勇者を信じるサポーターには、辛い展開となってしまいました。ホームチームがようやく一矢を報いたのは90分。左サイドからエメルソンが蹴ったボールを、バックヘッド気味にゴールへ流し込んだのは、「ジャーンと2つのゴールを約束していた」という阿部。その約束の半分は果たしたものの、反撃もそこまで。「我々に多大な貢献をしてくれたジャーンを、いい形で送り出そうという話をした」とは反町監督ですが、4年間DFラインを牽引し続けたJ1昇格の功労者とのお別れは、何とも寂しい幕切れとなってしまいました。大宮は序盤こそ少し混乱したとはいえ、先制後はうまくゲームをコントロール。前節の山形戦に続き、残留に向けて大きな大きな勝ち点3を獲得しました。「2勝したのがどう出るかは予断を許さない状況」と鈴木監督は気を引き締めますが、これで15位FC東京、16位神戸との勝ち点差は5。わずかながら有利な立場に躍り出たと言えるでしょう。一方、ゲーム終了後にはゴール裏のサポーターから「プライド見せろ」コールを浴びてしまった湘南。11シーズンぶりに帰還したJ1からの降格は、早ければ次節に決まってしまいます。「やろうとしている気持ちは変わらない」と都築。「プライドを持って戦うしかない」と反町監督。“プライド”という何とも抽象的なモノが、今この状況だからこそ問われています。 AD土屋
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J2第33節 柏×岐阜@日立台

2009年11月28日。涙の降格から1年。いよいよ柏がJ1復帰を懸けたゲームに臨みます。「第1節からファイナルだと思ってやっているので、1試合ずつ極端なことを言えば“生きるか死ぬか”でやってきた」(柏・ネルシーニョ監督)積み重ねが、20勝9分け2敗という素晴らしい成績に。引き分け以上で昇格が決まるとはいえ、目指すのはただ勝利のみ。日程の関係上、ホームで昇格を決められるのはおそらくこれが最後のチャンス。サポーターと共に歓喜を分かち合うためにも、負けられないゲームは“太陽王”の名にふさわしく、強い日差しが射し込む日立台でキックオフを迎えました。3分に中盤でのルーズボールを収めた田中秀人のパスから、嶋田正吾がしっかり枠にミドルを飛ばし、ゲームのファーストシュートを記録した岐阜は、「前半に関しては、守備をしっかり固めてカウンターというパターンに徹した」と倉田安治監督も話したように、スペースをしっかり埋めたゾーンの4-4-2を選択すると、22歳の吉本一謙と36歳の秋田英義で組むCBが積極的なプッシュアップを行い、高いラインを保ったことで、全体のコンパクトさを維持。これにはネルシーニョ監督も「守備を徹底して走るし、サボらないので非常にやりづらい。キーになる選手が消されていた」と苦しめられたことを認めています。実際、7分にはレアンドロ・ドミンゲスのCKから、近藤直也がわずかにバーを越えるヘディングを放ちましたが、以降はボールキープこそ長いものの、流れの中からはなかなか決定的なシーンを創り出せません。逆に岐阜は、嶋田と左SHに入った押谷祐樹がカウンターの先鋒に。14分には押谷が無回転ミドルを枠内へ。30分には、嶋田が西川とのワンツーから右サイドに持ち出し、最後は右SBの新井涼平がフィニッシュ。「焦れて前掛かりになった所でカウンターを受けた」とはネルシーニョ監督。ボール支配とは裏腹に決定機へ繋がりそうな攻撃の手数は、ほぼ互角で推移していきます。少しモヤモヤしつつあった日立台がようやく沸いたのは33分。中央、ゴールまで約25mの距離からレアンドロが狙ったFKはクロスバー直撃。チーム最多タイの10ゴールをマークしている司令塔が、個の脅威を岐阜に突き付けてみせます。45分には北嶋の巧みなポストプレーから、左サイドを抜け出した蔵川洋平のクロスは流れ、拾った酒井宏樹が右サイドをえぐって折り返すと、蔵川のダイレクトシュートは枠の右へ。両SBが揺さぶりを掛けて創り出したチャンスもゴールには至らず。前半は「我々がうまくコントロールして進めていった」という倉田監督の言葉も頷けるような、岐阜のプラン通りに近い形で、45分間が終了しました。後半はスタートから岐阜に選手交替。あまり流れに乗れていなかったFWの佐藤洸一に替えて、永芳卓磨を左SHへ投入。前には押谷が上がり、嶋田と2トップを組むことになります。48分には柏にチャンス。大谷秀和のフィードを北嶋が収め、林陵平のシュートは秋田がブロックも、こぼれをレアンドロが再びシュート。枠は逸れましたが、このゲームではなかなか見られなかったアタッカー陣のコンビネーションで、惜しいシーンを創出します。すると、57分に日立台の黄色が噴火。近藤が獲得したFKをレアンドロがファーへ送ると、高い打点で林がヘディング。ここに飛び込んだのは、まるでここに合わせてきたかのような終盤戦の絶好調男・北嶋。そのまま見送っても入っていたようなボールに、頭から飛び込んだ執念が自らのゴールという記録を呼び込み、「林〜、ごめんなさい」とおどける一幕も。不動の9番が大舞台で価値ある先制弾。柏が昇格を引き寄せる、大きなリードを奪いました。倉田監督も59分、ボランチの池上礼一を下げて、川島眞也を送り込み、少し運動量が落ちてきた中盤を引き締めにかかりますが、あまり効果は得られず、どうしてもスペースが空き始めてしまいます。70分には北嶋がレアンドロとのワンツーで抜け出し、綺麗な左足ボレーを放つと、ボールは枠のわずか右へ。71分、酒井が右サイドを茨田陽生とのワンツーで抜け出し、上げた速いクロスは二アでDFが何とかクリア。74分、レアンドロ、林、茨田と細かく繋いで、レアンドロが左へ送ると、走り込んできた蔵川のシュートはGKがキャッチ。「サイドのスペースにもう少しMFが流れて攻撃しよう」というネルシーニョ監督が送った指示も高いレベルで実行した柏が、果敢に追加点を狙います。岐阜も76分には最後のカードを投入。足を攣った阪本一仁に替わって入ったパク・キドンが前線で押谷と並び、嶋田を2トップ下に配して、川島がアンカーに入る中盤ダイヤモンドの4-4-2で、最後の反撃を試みます。しかし83分、新井が大谷への危険なタックルで提示されたイエローカードは今日2枚目。岐阜は厳しい状況に追い込まれました。そして、もはやその瞬間へのカウントダウンが始まっていた90分、右サイドで6分前に投入された田中順也が粘って中へ送ったボールを林が落とすと、大谷は躊躇なく右足を振り抜き、ゴール左スミへ豪快に一刺し。全試合にスタメン出場してきたゲームキャプテンの今シーズン2点目は「思ったよりも“持ってる”なと思った」と笑う、バースデー翌日ゴール。勝利を確信したスタンドはもはや総立ち。さらなるデザートは94分。蔵川のクロスを、替わったばかりのホジェルが体を張ってキープしながらエリア内で倒されると、岡部拓人主審の判定はPK。キッカーのレアンドロが左スミに蹴り込み、フィエスタは終演。終わってみれば3-0。「僕らは90分を見てゲームをしている」とは大谷。トータルのゲームマネジメントで差を見せ付けた柏が、ホーム日立台で1年でのJ1復帰を見事に決めてみせました。石崎体制の終焉。新監督の就任。急激な方向転換。浸透しない新機軸。後手に回った監督交替。結果、4年ぶりの降格。負のスパイラルから抜け出せず、2度目のJ2生活を強いられた柏。しかし、「ネルシーニョの言うことがこの1年で浸透してきた」と北嶋が語ったように、シーズンを通じて勝利という結果を積み重ねることで、攻守に力強さを感じさせる素晴らしいスタイルが少しずつ、確実に構築されていった印象です。「手応えは100%感じている。4試合を残しての昇格、こういうシーズンにできたことは結果が証明している」と5度日立台の宙に舞った指揮官。1シーズンで見違えるように逞しくなったチームは、どんな時も声援を送り続けて来たサポーターに少し早い、それでも最高の「クリスマスプレゼント」(ネルシーニョ監督)を贈り届けてくれました。 AD土屋
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J1第29節 大宮×山形@NACK5

前節のゲームが台風の影響で10日に順延。勝ち点としてもデリケートな位置に付ける大宮は、暫定の15位として実質2試合続けてのホームゲームに臨みます。対するは、逆に台風接近下の埼玉スタジアムで浦和相手にワンチャンスをモノにして、貴重なアウェイでの勝ち点3をもぎ取った山形。J1も2シーズン目となり、確実にチームとしてもレベルアップしているのは間違いありません。秋をすっ飛ばして、冬の気配を感じるナイトゲームはNACK5スタジアム大宮です。先にチャンスを掴んだのは山形。6分、左サイドから宮沢が中へ送り、佐藤の強烈な“右足”ミドルはGK北野が何とかストップ。さらにこぼれへ詰めた宮沢の“右足”シュートは、またも北野がファインセーブ。レフティ2人の右足シュートが、大宮ゴールを脅かします。さらに15分には、坪内のクリアミスから得たCK、増田のボールを前田が頭で合わせ、最後は石井が飛び込むも押し込めず。ただ、「自分たちがボールを運べたり、テンポよくできた」と小林伸二監督が語れば、石川も「自分たちでボールを持てた」と同調。大宮の鈴木淳監督も「長谷川への長いボールで基点を創られた」と認めたように、最前線に入った長谷川の巧みなポストワークと、相手CBとボランチのギャップにうまく潜った増田がボールを引き出すことで、山形が主導権を奪取します。一方、ラファエル、イ・チョンスの強力2トップまでボールが入らず、苦しい展開を強いられていた大宮ですが、守備面ではある程度安定したパフォーマンスを披露。「クロスの対応は非常によかった。人をよく掴んでいたので、サイドからはあんまりやられないかなと思った」とは鈴木監督。正直、山形のアンカーに入った佐藤へのアプローチがハッキリしないまま、かなり自由に散らされるシーンが多い中で、坪内と深谷を中心に最後の局面で跳ね返すパワーは堅持。劣勢の中でも、少しずつゲームを膠着状態に持ち込んで行きます。すると、前半終了間際のアディショナルタイムに、両チーム通じて唯一のブラジル人が個の力を発揮します。45+1分、金澤の速いクサビを絶妙のタッチで足元に置いたラファエルは、相手が寄せ切る前の2タッチ目で右足を振り抜くと、ボールは豪快にゴールネットを捕獲。「アプローチが弱かったとはいえ、たった1回のチャンスをものにされた。ストライカーという感じ」と前田も素直に認める10番のファインゴール。前半唯一のシュートを結果に繋げた大宮がアドバンテージを握って、前半を折り返しました。それぞれ増田と鈴木のFKで幕を開けた後半。54分に北村が坪内に倒され、再び山形がFKを獲得。スポットには増田と石川。GKの北野は自分の左側にカベを立たせ、右寄りにポジショニング。キッカーからすれば右側が空いており、普通に考えれば右利きが巻いて蹴るのがセオリーでしたが、増田がまたぐと、石川が左足一閃。ボールはカベを越えて、北野から逃げるようにゴール右スミへ飛び込みます。やはりその左足が誇る精度は日本屈指。鈴木監督が「ハーフタイムにファウルをできるだけしないようにと言っていた」と話し、坪内も「やってしまいましたね」と振り返ったように、警戒していたセットプレーから失点を喫してしまった大宮。石川のスーパーな一撃で、ゲームは振り出しに戻りました。畳み掛けたい山形は、61分に長谷川を下げて、切り札の田代を投入。67分にも宮沢とキム・ビョンスクを入れ替え、パワーの増強を図って、逆転を狙いに行きます。しかし70分に輝きを放ったのは、そのわずか1分前に投入されたオレンジの9番でした。金久保の左CKから得た、逆サイドの右CK。再びキッカーの金久保が入れたボールは、二アで深谷が合わせるとラファエルに当たり、こぼれた所へ真っ先に反応した石原が執念のプッシュ。「ノッてる選手なので気を付けとけと話をしていた」と小林監督は悔しがり、「ルーズボールへの反応の速さは彼の持ち味。期待に応えてくれた」と鈴木監督はしてやったり。川崎戦に続いて、途中出場でのファーストタッチで結果を出した、チームトップスコアラーのゴールで、大宮が再びリードを奪いました。逆に再びビハインドを追い掛ける形になった山形は、何とか田代を使おうとする姿勢は見えるものの、田代の“次”がなかなか見えてこない展開に。特徴が違うとはいえ、長谷川が広範囲に動いてボールを収めるのに対して、田代は中央で構えて高さで勝負することが多く、結果として「縦に速くなったり、ロングボールが増えて、リズムが悪くなってしまったと思う」と石川。前線に蓋をしてしまうようなシーンが目立ち、全体的にノッキングを起こしてしまいます。それは75分に宮本と下村をスイッチして、増田を田代と最前線に並べる4-4-2にシフトした後も改善されず。終盤は完全にパワープレーへ撤したことで、押し込む時間も長く、86分には増田の左足、91分には田代の頭と際どいシーンも創りましたが、最後はマトを投入して5バックで守りを固めた大宮を崩し切れず、タイムアップ。大宮が残留に向けて、非常に大きな勝ち点3をホームで獲得する結果になりました。「サッカーだけ見れば、山形の方がいいサッカーをしていた」という前田の言葉を待たずとも、間違いなくゲームの主導権は山形にあったと思います。それでも「自分たちがいい時にやられてる」とは小林監督。なまじ押し込んでいたことで、細かい部分での守備意識が弛んだ2回のピンチを、いずれも得点に繋げられる格好に。「経験のなさ」(前田)を露呈する、何とも悔やまれる敗戦となってしまいました。勝った大宮は、今年もこの時期特有の勝負強さを発揮。こちらは押し込まれる「非常に苦しいゲーム」(鈴木監督)だったことが、むしろ意志統一という面でプラスに働いた印象です。これで勝ち点は31。水曜に開催される延期分の湘南戦に勝利すれば、残留へ向けて一気に有利な状況が待っています。 AD土屋
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ナビスコ決勝 磐田×広島@国立

サックスブルーの復興。90年代後半から00年代前半まで誇った隆盛も今は昔。2008年には入れ替え戦も経験するなど、苦しい近年を強いられている磐田。実に2003年の天皇杯以来となる日本一までは、あと1勝です。紫の勇躍。J2降格の憂き目に遭って3年。J1に復帰しただけではなく、今シーズンはACLにも出場し、チームのスタイルと共に独自の存在感を築き上げた広島。19年目の初戴冠はすぐ目の前です。磐田サポーターが白とサックスブルーに浮き上がらせたのはチームフラッグ。広島サポーターが白と紫に浮き上がらせたのは黄色いカップ。39767人を数える証人を集めた最後の聖戦、いざ開幕。両チーム通じて最初のシュートを放ったのは16分の磐田。中央やや左、ゴールまで約20mの距離から上田が狙ったFKは、わずかにバーの上へ。21分、槙野が右に展開したボールを、ミキッチが中へクロス。走り込んだ森脇のヘディングは枠の左へ。3バックの左右両サイドが共に絡んでの“らしい”フィニッシュが、広島の初シュート。ただ、「入りがあまりよくなかった。磐田は後ろからのポゼッションをしっかりケアしてきた」と広島のペトロヴィッチ監督が話せば、「広島も慎重になっていたので、穴がなかなかできなかった」と磐田の柳下正明監督。前述した2本のシュート以降は、29分にイ・ガンジンの素早いFKから、山本脩人の左クロスがジウシーニョの背中に当たり、枠外に飛んだ1本を含めた3本のみが、30分までに記録された両チーム通じてすべてのシュート。柳下監督も「初めの30分くらいは申し訳ないゲームをしたのかな」と苦笑いを浮かべましたが、実にファイナルらしさを感じさせる重苦しい展開が続きます。そんな空気が打破されたのは36分。「磐田は前からフォアチェックに来ていた」とペトロヴィッチ監督が振り返ったように、磐田の狙いは高い位置で奪ってからの速攻。その急先鋒としてなかなかボールに触れない中でも、決して怠ることなくプレッシャーを掛け続けていたジウシーニョは、この場面でもキッチリ中島に寄せると、その激しさにたまらず中島が下げたボールを、焦りが伝播したのか、西川はキックミス。拾った船谷は右へ展開し、前田が上げたクロスに自らフリーで走り込むと、「苦手なので当てることを意識した」というヘディングで西川の股間を破るゴール。流れの中からは初めて訪れたチャンスで一刺し。磐田が先手を取りました。しかし、いつもほどポゼッションも取れず、苦しい中でミスから失点を喫した広島もすぐに反撃。43分、右サイドでボールを持ったミキッチは、船谷、山本脩人、那須と迫り来る相手を軽やかにかわすと、ニアへクロス。左アウトを選択した李のシュートは、当たり損ねが幸いして、コロコロとゴール右スミへ転がり込みます。ほぼ2ヵ月ぶりのスタメン起用に応える、クロアチア人の好アシスト。GKの西川も参加した、11人で矢を射るパフォーマンスも飛び出し、広島が追い付いて最初の45分間が終了しました。ハーフタイムを挟み、後半開始から高柳に替えて、山崎を送り込んでも途切れない広島の勢い。48分、双子のパス交換から、和幸のフィードに抜け出したのは山岸。川口との1対1も冷静に股間の下を抜いたシュートが、ゴールに吸い込まれます。流れを掴んだ広島が見事に逆転してみせました。さて、前半でケガを負っていたイ・ガンジンに替えようと、既にピッチサイドで大井をスタンバイさせていたタイミングで、アンラッキーな失点を許した磐田。51分に右サイドをうまく抜け出した西のループも枠を捉えられず、ペースを引き戻せません。ペトロヴィッチ監督は56分に、早くも2枚目のカードとして、森崎浩司と青山をスイッチ。一方の柳下監督も60分、先制弾の船谷を下げて、「どんどん仕掛けろと言われていたし、途中で入った選手がやるしかないと思っていた」という菅沼を投入します。すると、ここからゲームの潮目が変化。63分、上田、西、那須と左右に揺さぶり、最後はジウシーニョのヘディングは枠内も西川キャッチ。67分、左サイドの菅沼を起点に那須が右へ展開。西のクロスを、ニアでジウシーニョがすらすと、菅沼の決定的なヘディングはオフサイド。72分、菅沼のサイドチェンジを受けた西の右クロスに、ファーでフリーの菅沼が放ったボレーは森脇がクリア。連続してピッチの横幅を使ったアタックで揺さ振る磐田。「自分たちのペースでゲームを運んでいた」とは柳下監督。この流れで、77分には最後のカードとしてジウシーニョOUTで山崎IN。勝負に出ます。耐える時間帯の広島。ペトロヴィッチも決断。78分、「体力的に限界で交替せざるを得なかった」ミキッチと替わったのは、切り札の佐藤ではなく横竹。ミキッチの位置には森脇が上がり、横竹が3バックの右に入ります。しかし、残り時間が10分以上ある段階で切った3枚目の守備的なカード。「4バック気味になってもいいので、僕は守備を重点的にやっていた」と森脇。「守ろうという意識はなかったが、そうなってしまった」と森崎和幸。これで全体のラインが下がったことが、結果的に磐田の猛攻を呼び込む格好になります。80分に上田のCK、81分に上田のFK。83分、上田の左クロスに、フリーの山崎がボレーも槙野ブロック。そのCK、上田のキックを古賀が頭で合わせるもバーの上へ。そして迎えた89分、またしても上田が蹴ったCKはニアでフリーになった那須がヘディング。西川も懸命に弾きましたが、ここに詰めていたのは「必ずチャンスが来ると信じていた」18番。アシストこそあったものの、それ以外では槙野と森脇に終始抑え込まれていた前田の、このゲームファーストシュートは起死回生の同点弾。磐田生還。2-2。カップファイナルは、5年ぶりの延長戦で雌雄を決することになりました。94分は広島、高萩の左足ミドルがクロスバー直撃。99分は磐田、上田のFKは最高のコースに飛びますが、西川が右手1本で超ファインセーブ。譲りません。そして102分、磐田はやはりセットプレー。上田の左CKを、またしても二アで那須が頭に当てると、菅沼のボレーはゴールネットを揺らします。3-2。再逆転。今度は磐田が1点のリードを奪いました。気落ちした広島にさらなる牙を剥く磐田。104分、山崎は前田とのワンツーで抜け出すと、「ディフェンスもシュートコースも見えていた」と右足一閃。4-2。「今非常に好調で、使ってみたいというのは初めからあった」という指揮官の采配ズバリ。点差が広がります。それでも諦めない広島。延長前半のアディショナルタイム、まったく同じ位置で2回のFKを自ら獲得した槙野が2本目に蹴ったボールは、伸ばした川口の右手を掻い潜ると、紫のサポーターへもたらされた歓喜。4-3。このゲームに不可能はないのでしょうか。またカップの行方は不透明に戻り、最後の15分間に突入します。109分、試合を決めたのはやはりこの男。古賀のFKを、胸トラップから縦へ持ち出した前田が強引に打ったシュートは、ブロックに戻った森崎和幸の足に当たり、ゆっくりとゆっくりと西川の頭上を越えて、枠の中へ。5-3。柳下監督も「ベンチでコーチ陣と「凄いな」と驚いていた。90分過ぎてからまた一段とアイツの凄さが出た」と手放しで称賛したエースの一撃。延長だけで生まれた4ゴール目はあまりに大きな追加点。磐田戴冠へのカウントダウンが確かに始まります。諦めない広島。115分、執念の象徴とも言うべき槙野のシュートは、わずかに枠の右へ。諦めない槙野。122分、エリア内へ切り込みPK獲得。自ら蹴ったキックは、しかし「最後の場面しか仕事してないんで」と笑った川口が意地のストップ。死闘にピリオド。古豪復活。磐田が「粘り強さが出てきている、その象徴のようなゲーム」(川口)を制して、ナビスコ王者に輝きました。理屈抜きに素晴らしいゲームでした。両チームの選手たちに心から感謝したいと思います。 AD土屋
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J2第32節 千葉×甲府@フクアリ

わずか3つの枠を奪い合い、鎬を削ってきたJ2の長い戦いも残すは7節。確実に決着の時は迫っています。現在51ポイントで4位。クラブ史上初めてとなるJ2降格から10ヵ月。1年でのトップディヴィジョン復帰を唯一にして最大の目標に掲げる千葉を待っていた苦闘。25節で福岡に敗れ、入れ替わる格好で昇格圏外に押し出されて以降は、1度も浮上することなく4位に甘んじています。現在59ポイントで2位。昨シーズンはわずか1ポイント差で涙を飲んだ無念を糧に、9節以降は常に昇格圏内をキープしてきた甲府。ここ3試合は連続引き分けとやや停滞気味ですが、昇格への比較対象となる千葉からは是が非でも勝ち点3を勝ち取りたい所。今後のスケジュールを見ても、4位以内に位置するチーム同士の直接対決はこれが最後。黄色に包まれたスタンド。一角には凛とした青。大一番は13393人をフクアリに呼び込んで、戦いの火蓋が切られました。共に攻守の切り替えも速く、縦への意識が非常に高いハイテンションな立ち上がりに好勝負の予感。7分、甲府は青木良太のトラップミスを奪うと、藤田健、パウリーニョ、藤田、秋本倫孝と繋いで、最後は藤田がフィニッシュ。11分にも横パスをカットした柏好文から、右のハーフナー・マイクにボールが渡り、中へのパスは何とかDFがカットしますが、千葉の不安定なパス回しを突いて、甲府がチャンスを創ります。ホームの千葉も直後に反撃。11分、アレックスの左クロスに、飛び込んだ青木孝太の当たりは薄く、ファーに流れると深井正樹が至近距離からフリーでシュート。これは甲府GK荻晃太が体でファインセーブ。先制とはいきません。すると、スコアが動いたのは16分。最終ラインでボールを持った甲府のCB山本英臣は「全体的にマークが浮いてるのは見えてたので、そのズレを見逃さずに」縦へフィード。このボールに、「彼がいいボールを蹴るのはわかっていた」というパウリーニョは、ラインギリギリで抜け出すと、左から豪快に逆サイドのゴールネットを射抜きます。青の沸騰。まずは甲府がシンプルな縦パス1本でアドバンテージを握りました。さて、「ハーフナーの“周り”だとトレーニングしていたが、イージーなミスから計算外の失点」と江尻篤彦監督も振り返ったシーンでビハインドを負った千葉は26分、倉田が中央を強引にドリブルで切り裂き、ミドルを枠内へ。27分には青木孝太が粘って左サイドを抜け出し、谷澤達也を経由して、走り込んだ山口慶のシュートは枠の左へ。この27分のシーンが象徴するように、少しずつサイドの深い位置に簡単な長いボールやドリブルで侵入し始めた千葉が、今度は主導権を奪取。縦への推進力も勢いを増し、攻勢の時間を創ります。38分にはオーバーラップしたアレックスのクロスを、青木孝太がヒールで落とし、深井がボレーで枠を捉えますが、荻はしっかりキャッチ。得点以降は押し込まれる時間が長い中、「前線からよく動いてプレッシャーを掛けてくれた」と山本も振り返ったように、チーム全体の連動した守備が機能した甲府がリードして、前半は終了しました。ハーフタイムを挟み、迎えた後半は50分、52分と千葉がアレックスのFKからチャンスを掴んだものの、これを2本とも決定機に結びつけられずにいると、再び形勢は逆転。55分、柏が右サイドを独走して前へ運び、藤田のパスからハーフナーのシュートはゴール右へ。58分には柏が得た、右サイドからゴールまで約30m弱のFKを、パウリーニョが絶妙のコントロールで右スミへ飛ばすも、岡本昌弘がファインセーブ。63分にはまたも柏が右サイドをぶっちぎり、クロスはわずかに中と合いませんが、追加点の可能性を感じさせます。序盤から目立っていたとはいえ、この時間帯に存在感を色濃くしたのは、6試合ぶりのスタメンに抜擢された柏。「スピードを生かして引っ張ることで、アレックスの攻撃力を削ぎ、高い位置にアレックスが来た時は守備もできるので」と指揮官は起用理由を明かしましたが、実際はアレックスの抑止力として以上のパフォーマンスを披露。ある意味、甲府の攻撃を牽引していたのは、このルーキーだったとも言えそうな奮闘ぶりでした。さて、スコアも内容も劣勢に陥った千葉。江尻監督の決断は63分。山口に替えて米倉恒貴を投入。さらに、70分には深井を諦め、伊藤大介を送り込み、何とか局面を打開しようと手を尽くします。すると、期待に応えたのは柏同様にルーキーの伊藤。71分、縦へのクサビを巧みにターンしながら受けると、素早くスルーパス。エリア内へ潜った青木孝太をダニエルが倒すと、西村雄一主審の判定はPK。苦境で23歳コンビが大仕事。千葉は大きな同点機を獲得します。キッカーはアレックス。右スミを狙ったボールは、方向を読んだ荻が差し出す左手のわずか上を通過。黄色の沸騰。1-1。スコアはイーブンに引き戻されました。勝ち点3が欲しい江尻監督は畳み掛ける交替策。76分に谷澤を下げ、3枚目のカードとして切ったのはキャプテンの工藤浩平。「個性の違う選手が次々に出てくる」(甲府・保坂一成)千葉の厚い選手層。チームの“攻める”姿勢を感じ取ったサポーターも枯れ掛けた声を振り絞ります。81分、カウンターから伊藤の強烈なミドルは枠のわずか左を急襲。83分、ショートコーナーで工藤からのリターンを受けたアレックスのシュートは、ハーフナーが滑り込んでブロック。そのCK、アレックスのボールに、米倉のヘディングはバーの上へ。千葉が押し込みます。そんな中で訪れた86分、老獪な茶野隆行に競り負けるシーンもありながら、「前で体を張れてた」ハーフナーが、その茶野からファウルを獲得。FKのスポットに向かったパウリーニョは、相手の態勢が整わない内に、意を決したような素早いキック。「蹴った瞬間にボールが逃げていくのが見えた」と本人が話した軌道は、ユラユラと高速でゴール右スミを捕獲。「あれは日本人じゃできない個人技」とハーフナー。「ここ一発をみんなずっと待ってた」(内田監督)パウリーニョの今日2点目で、甲府がまたも勝ち越してみせました。追い込まれた千葉も猛攻。89分には右からのクロスを青木孝太がワントラップして、うまいボレーを枠に飛ばしましたが、ダニエルが決死のブロック。同じく89分、千葉の連続シュートも、甲府が体で連続ブロック。95分のラストプレー、伊藤のFKも甲府が掻き出すと、降りしきる雨を切り裂いたホイッスル。「お互い熱い気持ちを持ってファイトした試合」(山本)は甲府に凱歌。4位千葉との勝ち点差を11に広げ、悲願の昇格を大きく手繰り寄せる勝利をモノにしました。両者の実力はほとんど互角だったと思います。千葉も攻守に渡って、90分間闘っていました。勝敗を分けたのはわずかなディテール。しかも、それは「追い付かれてもチーム全員が上を向いて、引き分けじゃなくて勝ちに行く姿勢があった」と山本が語った部分。勝因を問われた保坂が少し考えてから「気持ちじゃないですかね」と口にした、まさに“気持ち”でわずかに上回ったのが甲府だったように、私は感じました。 AD土屋
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J1第27節 大宮×川崎@NACK5

前節はマトが前半でレッドカードを受けたこともあって、G大阪に5-1と大敗。残留争いの渦中からなかなか抜け出し切れない大宮は、さらにクラブの不祥事まで発覚するなど、ピッチ内外で苦しい状況に立たされています。今日の相手は2005年の昇格同期である川崎。こちらも首位名古屋の背中は霞んでしまったものの、ACL出場権は確保したいところ。ただ、やはり大宮にとっては「失った信頼を取り戻すためにも、気持ちを見せて絶対に勝ち点3を取らなくてはいけない」(深谷友基)ゲームだけあって、開始18秒でラファエルのパスからイ・チョンスが決定機を掴めば、3分にも金久保のCKからイ・チョンスが頭で狙うなど、勢いを打ち出します。ところが、先制点はアウェイチームが記録。5分、ヴィトール・ジュニオールがカベに当てたFKの流れから、自陣深くで深谷のクリアボールは高く上がってしまい、落下点で競り勝った矢島は、黒津からのリターンを縦に持ち出し、豪快に逆サイドへ蹴り込みます。ケガで苦しんできた男が今シーズンリーグ初スタメンで見事に結果。川崎が先手を取りました。「2回ミスが続けば失点の可能性は高くなる」と坪内が話したように、ミス絡みの嫌な失点を献上した大宮の続く受難は6分後。6本もパスを細かく繋いだ川崎のアタックから、一度はこぼれたボールを中村は絶妙なスルーパス。小宮山がマイナスに折り返すと、走り込んだのは右SBの森。「入り方は良かった」(川崎・高畠勉監督)川崎が11分間で2ゴールを奪い、チームのスタイルを考えても圧倒的優位に立ちました。さて、「集中力のなさと気の緩み」(深谷)からいきなり2点のビハインドを負った大宮は21分、粘って繋いだ金久保の横パスを金澤が思い切りよくミドル。クロスバーに当たって落下したボールはゴールラインを割ったようにも見えましたが、岡野宇広副審の旗は上がらず、岡田正義主審もノーゴールを支持。ツキもありません。ここからは少し大宮も中盤が落ち着きを取り戻し、ボールが回るシーンも出てきたとはいえ、これも2点のアドバンテージを握った川崎の圧力が少し軽くなったため。それでも28分には、中盤でのルーズボールを田坂がダイレクトでスルーパス。うまいボディシェイプから抜け出した黒津のシュートはゴール右へ。37分には小宮山のフィードに矢島が競り勝ち、黒津に渡りかけたボールを何とか深谷がクリアしてピンチ脱出。加えて、「前半の40分くらいにポゼッションしてキープする時間があった」と高畠監督が語ったように、20本近くパスを回して回して、というシーンも披露した川崎が速攻、遅攻、セットプレーとあらゆる形からチャンスを創出。公式記録のシュート3本が意外なほど、完全にゲームを掌握しました。大宮も39分に絶好機。坪内の何気ない縦パスを諦めずに追った鈴木がDFと入れ替わり、中へ折り返すも、入り過ぎた藤本はシュート打てず。結果的に「マークの確認ミスとセカンドボールがまったく拾えず苦しんだ」(鈴木監督)立ち上がりの失点を引きずる形になってしまった大宮を川崎が圧倒して、ハーフタイムに入りました。後半もいきなり46分にヴィトールがミドルで北野を脅かし、川崎が攻勢を継続させる中、1つのセットプレーがゲームの流れを変えることになります。48分、コーナースポットに立った金久保は「対応がずっと甘いなと思っていた」ショートコーナーを選択。藤本のリターンを右足アウトで中へ送ると、ニアで青木がフリック。深谷のシュートは相澤に当たるも、再び深谷がプッシュ。「おいしいところを押し込んだだけ」というCBの嗅覚で、点差は1点に縮まります。ただ、これで流れが一変した訳ではありません。49分には中村が後方からのボールをうまく収め、わずかに枠を外れるシュート。58分には森の無回転ミドルがクロスバーとポストのカドを直撃。60分には右サイドから森が送ったクロスに、矢島のヘディングは枠の右へ。チャンスは川崎も創っていました。大宮から見ればそれを凌いでいる内に少しずつ「セカンドを拾えるようになって攻撃の足掛かりになった」と鈴木監督が振り返る展開になっていったような気がします。68分、イ・チョンスとのワンツーから右スミギリギリを狙った金澤のミドルは相澤がファインセーブ。そのCKから金久保のボールを、坪内が合わせたヘディングも相澤がファインセーブ。攻める大宮。そして引き寄せた波を、しっかり結果に昇華させたのは直後の69分。またも金久保のCKから、右サイドに流れたボールをイ・チョンスが中へ。こぼれを拾った藤本がヒール。再びこぼれを拾ったラファエルがニアへグラウンダーのボールを送ると、「クロスはいいボールが入っていたのでそれに合わせろと」指示を受けて1分前に投入されたばかりの石原が「イメージ通り」とニアに飛び込み、見事なワンタッチゴール。先制、追加点という完全な勝ちパターンだった川崎相手に追い付いてみせました。結果的に「流れは抑えていたが、セットプレーの対応で隙を与えてしまった」(高畠監督)ことから2点を失った川崎もラッシュ。76分にヴィトールが蹴ったCKの流れから、田坂の右クロスを菊地が頭で落とし、途中出場の小林悠がボレーで狙うも、枠の右へ。さらにここからの10分間で3本のCKを奪うなど、3連勝への執念を前面に押し出します。86分には中村のパスから矢島が抜け出し、エリア内へ侵入した所で倒されますが、岡田主審はノーホイッスル。逆に大宮は88分、相手FKを奪ってカウンターに入り、イ・チョンスが素晴らしいクロスを中へ。トラップで前へ持ち出した市川がエリア内で倒されますが、こちらも岡田主審はノーホイッスル。どちらのプレーもPKと判定されて然るべきプレーに思えたものの、どちらにもPKは与えられず、そのままドロー。川崎は痛恨の、大宮は「勝てなかったけれども、非常に大きな勝ち点1」(鈴木監督)を手にする結果となりました。このゲームにおける1つのポイントとして、大宮アタッカー陣のポリバレントさが挙げられるのではないでしょうか。68分に石原が投入された際、退いたのはボランチの青木でしたが、鈴木監督は「金澤を替えてCBとの守備のバランスを崩したくなかったし、青木は中盤でボールを失う機会も多かった」と言及しています。つまり、どちらかのボランチを切るつもりで、攻撃的なポジションにいた4人を替える気はなかったということ。ハナから金久保をボランチに落とそうと考えていたようです。さらに、石原がFWに入ると、金久保がいた左SHにはラファエルがスライド。そして追い付いてからは、再びラファエルが前線に上がり、イ・チョンスが左SHへ。石原も実際はSHをこなすため、鈴木監督もカードを切らずに布陣をいじることができる訳です。そして、結果的に69分のゴールに絡んだのは順番に金久保、イ・チョンス、藤本、ラファエル、石原。この5人に、今日も終盤に投入されたFWとSHをこなす市川を加えた6枚の起用法が、残留への鍵を握っている気がしています。 AD土屋
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J2第31節 柏×熊本@日立台

柏サポーターにとって今日のゲームはただのリーグ戦における1試合ではありません。なぜなら日立台に乗り込んでくる熊本のGKは、「12年もいたスタジアムなので、ここでやるのは特別」と自ら話す南雄太。2005年の降格も、2006年の昇格も、そして昨年の降格も、いい時期も辛い時期も想いを共有してきた守護神の帰還。選手紹介のアナウンスには、大きな拍手と大きなブーイング。そして、熊本を率いる高木琢也監督も「“雄太を男にしてやろう”と言って送り出してくれた」と当の南。このGKを様々な感情を持った眼が見つめる非常に不思議なゲームは、コイントスでエンドが入れ替わり、南が柏の熱狂的サポーターを背負う形でキックオフを迎えました。開始37秒、林陵平のスルーパスに北嶋秀朗が抜け出し、南との1対1は枠を外したものの、いきなり決定機で幕を開けたゲーム。熊本は「CBがいつものメンバーじゃなく、うまく連携ができなかったので」(高木監督)、3-4-1-2という意外なシステムを選択してきます。ただ、立ち上がりこそいきなり大ピンチになりましたが、右からチョ・ソンジン、堤俊輔、福王忠世と並んだDF3枚が、柏の2トップに入った林と北嶋に対して1枚余らせながらケアする形を採り、早いチェックで高い位置での基点潰しに成功します。さらに、攻撃面では「相手のボールアプローチを考えて、ワイドプレーヤーを置く方がポイントが創りやすい」と右に宇留野純、左に片山奨典を配置し、中盤は中に絞る形が特徴の柏を牽制。加えて、19分に渡辺匠のパスから松橋章太が掴んだ決定機と、23分に松橋の右クロスから、最後はカレン・ロバートがボレーを枠に飛ばした決定機と、この2回の鋭いカウンターで配給役になったのは2トップ下に入ったファビオ。ネルシーニョ監督も「前半は対応が中途半端でファビオにカウンターの基点を創られた」と認めたように、普段とは異なる位置での起用にも「中盤の難しさを肌で感じた」と振り返りながら、しっかり応えてみせます。それでも、2回のピンチを切り抜けてからは、やはり柏が攻勢に。28分には大谷秀和の縦パスに、7月17日以来となる13試合ぶりの出場を果たした大津祐樹が反応して、左足で狙ったシュートは南がファインセーブ。36分には田中順也が右へ流れながらラストパスを送り、林がフィニッシュに持ち込むと、これも「ある程度運ばれても最後の所はやらせてなかった」と語る南が超ファインセーブ。ゴールは奪えなかったものの、レアンドロ・ドミンゲスの出場停止と、茨田陽生のボランチ起用に伴い、攻撃的な中盤を任された田中と大津がチャンスに絡み始めます。柏も徐々に手応え。そして熊本は2回あったチャンスのどちらかで先制点さえ奪えていれば、ほぼ満点と言っていいようなゲーム運びで前半は終了しました。後半に入ると、先に熊本が決定機を創出。52分には宇留野のパスから、軽い対応の近藤直也と入れ替わったカレンがわずかにゴールの左へ外れるシュートを放ちます。しかし、この後はひたすら柏が攻め続ける展開に。ボランチの大谷も中盤の底から効果的なパスを送りますが、55分の大津、57分の北嶋とシュートまで持ち込めません。60分、大津、北嶋と繋いで田中のフィニッシュは南がキャッチ。「相手の攻撃のリズムや流れの中でうまく対応できた」と高木監督。熊本も集中が切れません。1つ柏から見て、なかなかいい形でフィニッシュまで行けなかったのは、ネルシーニョ監督も言及した「サイドから攻撃を仕掛けたが、決め球の質を欠いた」部分でしょう。後半は、「修正してカウンターに落ち着いて対処できた」(ネルシーニョ監督)ため、前半以上に右の村上佑介、左の橋本和とSBがオーバーラップする機会が多かったにも関わらず、中央にしっかり合うようなクロスは共にほとんど繰り出せず。「相手が5バック気味で、クロスはファーに蹴っていたがそれ一辺倒になってしまった」と橋本。スタジアムにも何度となく溜め息が漏れてしまいます。68分には大津が北嶋とのワンツーで抜け出すも、左足のシュートはバーの上へ。動いたネルシーニョ監督。直後に田中を下げて、工藤壮人をそのまま中盤に配置。76分には林に替えて、ホジェルを最前線へ投入します。78分にはそのホジェルが、北嶋から受けたボールをミドルエリアから枠内へ飛ばすも南がセーブ。82分、大谷のフィードをホジェルが落とし、北嶋のシュートは枠の左へ。ネルシーニョが切る最後のカードは右SB。残念ながら1本たりともクロスを中に合わせることができなかった村上と小林祐三をスイッチ。サイドのパワーを増強します。86分には、その小林が左へサイドチェンジ。工藤のシュートは左サイドネットの外側に。高木監督も2枚目のカードを88分に。前線の松橋を下げて、筑城和人を右SHに投入。ドローOKの意志を統一させに掛かりました。89分、大津の左クロスをニアで北嶋が合わせたボールはバーの上へ。アディショナルタイムは6分。94分、小林が北嶋とのワンツーで右サイドを切り裂き、ラストパスを大津が狙うも、南ががっちりキャッチ。95分、橋本のクロスはファーへ。フリーのホジェルがうまくミートさせたボレーは、南が弾き出しゴールならず。「とにかくゴールを取れなかった試合」とネルシーニョ監督。「前節負けて、柏のアウェイで戦うという状況を考えればよく頑張ってくれた」と高木監督。双方譲らず。スコアレスドローがゲームの終着点になりました。熊本は「勝つためにこの戦術、やり方が一番合っていることを選手たちが理解してくれた」と高木監督が評価したように、このゲーム限定とも言えそうなシステムと戦い方を、よく遂行したと思います。「最近できてなかったので、ゼロに抑えられたのは良かった」と南。守備面では大きな収穫を得たようです。柏も無得点に終わったとはいえ、「自分たちの意図した攻撃は生み出せていた」(北嶋)「攻撃の形ができていたし、やっていることは間違いじゃない」(大津)と2人が話した通り、悪くない内容でした。勿論フィニッシュの精度は問われるものの、「相手のGKが改めていいGKだと思った」という北嶋の言葉を、多くの選手も感じたのではないでしょうか。そんな南は「これだけ温かく迎えてもらったので、しなきゃいけない」と、試合後は柏ゴール裏、メインスタンド、バックスタンドへ律儀にご挨拶。「やっていて楽しかった」と再会の90分間を堪能して、日立台を後にしました。 AD土屋
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J1第26節 川崎×山形@等々力

日曜日のナビスコ、水曜日の延長を含めて120分まで戦うことになった天皇杯を経て、「中2日のキツい日程」(川崎・高畠勉監督)でリーグ戦を迎えた川崎。ただ、ポジティブな材料は、代表で欠場していた中村の復帰。本人も「代表戦は少ししか出ていないので、自分がやるしかない」と高いモチベーションでこのゲームに臨みます。一方、前節のG大阪戦を逆転で制して、勝ち点を30点台に乗せた山形は、天皇杯も湘南に快勝するなど上り調子と言っていいでしょう。空を見上げれば、広がるのは秋を思わせるうろこ雲。シーズンも終盤へ差し掛かってきたことを確かに感じながら、キックオフの笛を聞きました。静かな立ち上がりで幕を開けたゲームは、予想通り攻める川崎に守る山形という構図を形成。それでも、「ゲームの入りは悪くなかった」と小林伸二監督も話したように、山形は相手の2トップのスピードを警戒してか、いつもよりややDFラインこそ低かったものの、ある程度安定した守備網を敷き、ゲームを膠着させていきます。なかなかチャンスを掴めなかった川崎は15分、ジュニーニョが左から上げた弱いクロスに楠神が反応してシュート。GKに当たったこぼれを再び楠神が中へ折り返すと、ヴィトール・ジュニオールのシュートは石井がライン上で何とかクリア。17分には中村が左へ展開した流れから、最後はジュニーニョが枠へ飛ばしたボールは、石井の頭に当たってクロスバー直撃。川崎からすれば「いい流れの中で点が取れなかった」(高畠監督)のは、3日前と同様。逆に山形は「今日はツイてるかなという感じはした」と小林監督。案の定、27分には石川が中央やや右、ゴールまで30m近い距離から、川崎GK相澤にファインセーブを強いる素晴らしいFKを披露。さらに、32分にはカウンター炸裂。90分通じてポストプレーをほとんどノーミスでこなした長谷川が左サイドでキープすると、追い越した宮沢はサイドチェンジ。ここに上がってきた下村が狙ったミドルは、相澤のファインセーブに阻まれましたが、いい形を創り始めます。しかし、そんな展開の中で一瞬の隙を見逃さなかったのは「後半は疲れて押されるのはわかっていた」という頼れるキャプテン。38分、ピッチ中央で下村のプレーに佐藤隆治主審はファウルのホイッスル。正直、微妙な判定ということもあってか、一瞬山形の各選手は動きを止めてしまいます。これを察知した中村は素早くリスタート。山形の中盤アンカーで奮闘していた佐藤が「切り替えが遅くて後手を踏んでしまい、慌てて行ったらかわされた」と振り返ったように、パスを受けたジュニーニョは寄せる佐藤を股抜きでかわすと、ゴールまで25m近くはある距離を一直線に、かつ一瞬で貫く強烈ミドル。ボールはゴールネットを激しく揺らします。「川崎には、ある程度組織になってなくてもやれる個の力を感じる」とは長谷川。キャプテンの機転に、エースの決定力。まさに2つの“個”だけで奪った先制ゴール。ホームチームがリードを確保して、45分間は終了しました。ハーフタイムを挟んで後半に入ると、開始早々の47分、売店やトイレから戻ってくるのが遅れた人は後悔するようなゴラッソが生まれ、試合の流れを大きく決定付けます。左からヴィトールが蹴り込んだCKは、中央で混戦に。すると、わずかにこぼれたボールを伊藤がキープすると、「見えてないかなと思ったけど出してくれた」という中村へラストパス。受けた中村がエリアの外から左足を振り抜くと、ボールは完璧な放物線を描いて、ホームサポーター側のゴールを捉えます。「力を抜いてうまく蹴れた」と自ら振り返る追加点。高畠監督も「ケンゴのゴールが非常に大きかった」と認める一発で、川崎が2点のアドバンテージを得ることになりました。さて、1試合平均得点が1点を切る山形にしてみれば、難敵川崎相手に2失点はあまりにも痛いビハインド。56分、GKとの激突で負傷した宮崎に替わって田代が投入され、システムも4-1-4-1から4-4-2へシフト。まずは1点を返しに行きます。63分には石川の縦パスを田代がヒールで落とし、宮沢がクロスを上げるも長谷川にはわずかに届かず。64分には下村と廣瀬を、75分には宮沢と太田をスイッチする「攻撃的なカード」(小林監督)で運動量の低下は否めないはずの相手を崩しに掛かりましたが、「チャレンジという意味でもちょっと受け身になってしまった」(石川)チームになかなかスイッチは入らず、82分に田代とのコンビネーションから長谷川が放ったミドルも、相澤がしっかりセーブ。「よく相手の動きと状況を見て戦ってくれた」と高畠監督も納得の表情を見せるなど、疲労をチームとしての総合力でカバーした川崎がそのまま山形をシャットアウト。仕切り直しの一戦で快勝と言っていい内容を見せ、勝ち点3を上積みする結果となりました。敗れた山形はいつもに比べて、「ボールを繋いで持っていく所でイージーミスがいくつかあった」と指揮官も言及したように、うまく前へ運べないシーンが頻発。「相手のアプローチの迫力に圧されてしまって、潰されるシーンもあった」とは佐藤。前半に勝負を掛けたかった相手の勢いに飲まれたまま、最後まで攻撃のリズムを創り出すことができなかった印象を受けました。勝った川崎は、苦しいスケジュールをはねのけての見事な勝利。「ギリギリの所で頑張って勝てた」(中村)ことは、今後に向けて勝ち点3と同じくらいの価値があったかもしれません。現実的に残されたタイトルはやはり天皇杯。悲願の戴冠へ、機は十分過ぎるほど熟しています。 AD土屋
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J2第29節 柏×栃木@日立台

前節は3位の福岡に大きな力の差を見せ付けての完勝。今シーズン2度目となる5連勝を飾るなど、1年でのJ1復帰に向けてもはや秒読み体勢に入ったと言っても過言ではない柏。今日のゲームで日立台に迎えるのは、11戦連続無敗を達成するなど前半戦のビッグサプライズとなった栃木。中断明けからはやや調子を落としているとはいえ、昇格圏内の福岡とは12ポイント差の10位。ここからの巻き返し次第では、まだまだ十分上位を狙える位置に付けています。残り試合数も共に一桁の9試合。新・東武線ダービーは西日の射し込む日立台です。2分、柏は橋本和が左サイドから送ったパスに林陵平が抜け出しますが、シュートは栃木GK武田博行がファインセーブ。6分、大谷秀和がクイックでリスタートしたボールを、橋本が左クロスを上げ、ニアサイドで北嶋秀朗がフリックするも、そのままゴールキックへ。共にゴールへは繋がらなかったものの、主導権を握ったサイドから崩す形を創出します。この柏がサイド、特に左サイドで優位に立った理由として考えられる要因は、4-4-2の攻撃的な中盤がレアンドロ・ドミンゲスに茨田陽生と揃って中央寄りにポジションを取るので、ぽっかり空いたサイドのスペースへSBが侵入していたこと。「逆にその裏を突ければチャンスになる」とは栃木の阪倉裕二コーチですが、サイドに流れてくる柏FWに対してゾーンを敷く栃木はSBが対応するために、どうしても上がってくる柏のSBは、栃木のSHがケアせざるを得ない中で、そもそも栃木の中盤は流動性が高く、特に攻撃から守備に切り替わる際にも中央に柏の選手が多く残っているので、まずはそこを消すのが優先に。そうするとサイドが空いてしまって使われるケースが頻発したのかなと。柏不動のボランチ栗澤僚一も「中に食い付かせて、外に出すのはある程度狙い通り」と話しています。22分にはサイドを崩して得た連続CKの2本目、レアンドロのキックに近藤直也がヘディングで合わせますが、ボールはクロスバー直撃。柏にゴールが生まれるのは時間の問題のような展開の中、しかし1人のブラジル人が日立台を凍り付かせます。28分、左サイドで「ここ最近調子が良かったのと、(リカルド)・ロボとの相性」(阪倉コーチ)からスタメンに抜擢された船山貴之のショートパスに、一瞬の加速でDFと入れ替わって抜け出したリカルド・ロボは、ゴール右スミへ完璧なコントロールシュート。これぞブラジル人ストライカーと誰もが唸るゴラッソで、最初の決定機を見事に生かした栃木が先制してみせました。さて、「ワンチャンスを生かされて」(柏・ネルシーニョ監督)失点を喫したホームチームの反撃は、それから1分も経たない内に。29分、茨田、大谷と繋いでレアンドロが左へ浮き球を送ると、フリーで待っていたのは北嶋。ファーストタッチで前を向くと、ドリブルから「あのタイミングしかなかった」という間合いで右足アウトを振り抜き、確実に揺らすゴールネット。「娘が来ている3試合は全部ゴールを決めている」と笑う“パパ”の同点弾で、ゲームは振り出しに戻りました。以降、再び柏が押し込みますが次の決定機は栃木。40分、赤井秀行のサイドチェンジを受けた船山は、エリア内でパク・ドンヒョクをかわしてフィニッシュまで持ち込むも、シュートは枠の左へ。44分、武田のキックから柏のCB2人がボール処理に手間取っていると、リカルド・ロボが頭でかっさらってフリーでシュート。菅野孝憲のファインセーブで柏は事無きを得ますが、少し栃木の2トップには手を焼いた格好で、ハーフタイムを迎えました。後半に入ると、60分までの15分間でCKを5回奪うなど、立ち上がりから柏がラッシュ。49分には林、50分には栗澤、51分には北嶋、57分には近藤と橋本がそれぞれCKからチャンスを掴むも、なかなか枠内へシュートを飛ばせません。前節は1枚も交替のカードを切らなかったネルシーニョ監督も、58分には茨田を下げて澤昌克、62分には林を下げてホジェルを投入。「サイドに散らして、揺さぶりながら大きく広げてこじ開けようと」試みると、63分に決定的なチャンスが到来。栗澤、ホジェルと繋ぎ、大谷が右へ送ると、レアンドロはまったくのフリー。ところが2回放ったシュートはいずれも武田が弾き出し、勝ち越しならず。ジリジリした時間が続きます。逆に栃木からすれば、「かなり押し込まれた状況で、攻撃に出ていくまでの力がなかった」と阪倉コーチも認めたように、防戦一方となる展開を強いられたものの、ここぞという場面では大久保裕樹とヨ・ヒョジンの両CBを中心に体を張ってよく守り、敵将のネルシーニョ監督も「栃木もいい面が出た所はあったと思う」と認める程に、水際で踏みとどまる意地を見せます。さらに70分からの10分間で、船山から廣瀬浩二、リカルド・ロボから林祐征、水沼から岡田佑樹と、比較的似たタイプ同士の交替でカードを3枚使い、何とか全体の運動量増加を図ると、83分には相手のミスを突いて、岡田と廣瀬の2人だけでフィニッシュまで到達するシーンも。柏は93分のラストチャンス、レアンドロのCKから最後は澤のクロスにホジェルが頭で合わせましたが、ボールはクロスバーを掠めて枠外へ。「皆さんが思っているより、最後はしっかり守ってるという風に見てたかもしれない」とは阪倉コーチ。集中を切らさなかった栃木がキッチリ守り切った形で、結局両者勝ち点1を分け合う結果となりました。柏はサイドも崩していい形も創りましたが、粘る栃木に根負けした印象です。「シュートやクロスの判断も含めた“決め球”の質」を指揮官は課題に挙げたものの、今日に限っては相手の守備を褒めるしかなかったような気もしました。一方の栃木は、先制直後の失点こそ悔やまれますが、首位相手に「体を張るという部分ではよくやってくれたと思う」と阪倉コーチも一定の評価を与えたように、よく耐えたと言えるでしょう。「しっかり点も取ったし、どんなサッカーであれ、やれたことはやれた」とは水沼。昇格に向けては痛いドローかもしれませんが、チームとしては大きな価値のある勝ち点1だったのではないでしょうか。 AD土屋
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J2第28節 横浜FC×富山@国立

開幕3連勝と最高のスタートを切りながら、以降は5連敗と4連敗が1度ずつと苦しい中盤戦を強いられていた横浜FC。ところが、中断明けは9試合を戦って5勝2分け2敗と大きく勝ち点を伸ばし、現在9位と再び上位を狙える位置にまで浮上してきました。聖地国立開催となる今日の相手は昇格2シーズン目となる富山。横浜とは対照的にここ7試合勝ちがなく、現在は4連敗中。加えてこのゲームはチームのトップスコアラー黒部光昭が出場停止で不在と、苦戦は免れそうにありません。ガチャピンの選手紹介という何とも珍しいイベントを経て始まったゲームは、案の定立ち上がりから横浜が圧倒。3分に武岡優斗がカイオとのワンツーから抜け出し、右サイドネット外側に強烈なシュートを打ち込むと、9分にもエデルの左アーリークロスが、裏へ走るカイオに通る寸前で富山の左SB谷田悠介にクリアされ、フィニッシュまでは繋がらなかったものの、まずは積極性を打ち出します。ただ、12分にエリアの外側で横パスを7、8本回して、最後はエデルが焦れたようなミドルをクロスバーの上へ打ち上げたシーンが象徴するように、かなり全体のラインを下げてブロックを築くような富山ディフェンスの前に、カイオも引いて受けたがるシーンが増えてきたこともあって、横浜もなかなか縦への効果的なボールが入らなくなり、少しずつ落ち着きを取り戻した富山が逆にポゼッションで上回るような展開に変容していきます。しかし、楚輪博監督が「選択肢がボールを繋ぐという意識なのか、フリーでやっててもパスを選択してしまう」と語った通り、ボールを保持する時間は長くなったものの、効果的な縦パスやサイドからの崩しは出て来ず、シュートはまったく打てません。すると28分、横浜は右サイドでクサビを武岡が巧みなワンタッチで繋ぎ、難波、ホベルトを経由したボールはカイオの足元へ。ゴールまで約25mの距離から、10番は右スミに曲げて落とすゴラッソ。流れを引き戻した横浜が先手を取ります。さらに39分、左サイドで「彼に求めたいのは攻め込んで、相手が攻撃する時間をなくすことで“守備”をすること」と指揮官に言及されたエデルが、いい意味で期待に反して低い位置までプレスに戻って奪ったボール、八角が絶妙のアーリークロスをDFとGKの間に落とすと、飛び込んだ難波はGKをワンタッチでかわして難なくゴール。一時は嫌な展開になりかけたとはいえ、結果的には富山のシュートをゼロに抑えた横浜が、2点のリードを奪ってハーフタイムへ折り返しました。後半は富山が51分に谷田の左クロスから、ようやく木本敬介のヘディングでチーム初シュートを記録しますが、ボールはバーの上へ。そして58分、柳沢将之のCKをまったくのフリーになっていた渡邉将基が頭で叩き込み、横浜に3点目。「1人1人マークは掴めているのにフリーでやられるということは、意気消沈してるのかなと思った」と楚輪監督。実質試合の行方は決しました。せめて1点は返したい富山も69分、朝日大輔が右サイドでDFと競り合いながら粘って上げたクロスから、途中出場の平野甲斐がヘディングをクロスバーにぶつけますが、岡宏道主審は朝日がファウルを受けたというジャッジで富山のFKを指示。そのFKも平野が入れたボールをニアへキン・ミョンヒが頭から飛び込んだものの、ボールはわずかに枠の右へ。スコアを動かせません。そんな中で迎えた71分、今日一番の歓声に包まれてピッチに登場したのは「国立競技場は特に20代の頃、30代の頃、代表の頃のことを思い出していつも入っていく。グラウンドに入ると、日本のサッカー界が積み上げてきた歴史、悔しいこと、皆で歓喜したこと、いろんなことを思い出す」というカズ。さすがにスターは姿を現しただけでも十分その価値を感じさせましたが、その3分後にはただのスターではなく、ホンモノのスーパースターと呼ばれる理由を自らの足で証明してみせます。74分、カズが倒されて得たFK。本来はFKキッカーのカイオは「カズがここまでやってきたことを考えると絶対譲らなきゃいけない」とカズにキッカーを譲ります。固唾を飲んで見守るスタジアム。短い助走から繰り出されたキックは「力を抜いていいイメージで蹴れた。入った感触はあった」と本人も手応えを語ったように、美しい軌道を描いてゴール左スミへ吸い込まれます。その瞬間、スタジアムは記者席も含めて凄まじい雰囲気に。「入れた瞬間の盛り上がりは感じた。素晴らしい雰囲気の中でダンスを踊らせてもらいました」と振り返る“カズダンス”が飛び出すと、ピッチ上の選手はもちろん、ベンチからもスタッフを含めたほぼ全員が飛び出し歓喜の輪が。「ここで久々にゴールできて嬉しく思う」という国立でのゴール。私は瞬間、97年9月7日のことを思い出していました。日本がまさに世界への扉を開いた、フランスワールドカップの最終予選第1戦。代表のエースとしての重責を見事に結果へと昇華させた、あの伝説の4ゴールの中でも4ゴール目と、それに続いてメインスタンドへと走り出す姿。おそらく日の丸を背負った彼としては最後に輝きを放った、あの日から13年。43歳になっても、なお現役プレイヤーてして戦い続ける男の閃光。舞台も観客の数も違うかもしれませんが、ひょっとすると13年前のあの日よりずっと価値のある瞬間に居合わせることができたのかもしれません。さて、富山も85分にはカン・ヒョンスのFKから、そこまではキッカーを務めていた平野が「いいシュートだったと思う」と自画自賛する、173センチとは思えない程に高い打点のヘディングをねじ込んで1点を返しますが、反撃もそこまで。「結果も内容も勝利に値する形になったのかな」と岸野靖之監督も納得の横浜が、最高のデザートまで提供してくれるようなゲーム運びで、さらに上位との差を詰める勝ち点3をモノにしました。富山は率直に言って相当厳しい状況だと思います。黒部不在を差し引いても、攻撃のアイデアや連動性はほとんど見られず、「点を入れられるとお手上げみたいになっちゃう」と楚輪監督も苦笑い。残り試合で意地を見せて欲しい所です。勝った横浜は、内容も先制ゴール以降はほぼパーフェクトに近い形。「チームとしては絶対なくさなきゃいけない」と岸野監督も触れた最後の失点は確かに余計でしたが、いい形で次節の甲府戦に臨みます。それにしてもやはりカズは凄いですね。素直に頭が下がります。「自分はいいプレーをしたいし、いいプレーをできると思っているし、チャンスをもらえれば活躍できると信じている」と話せば、「明日の新聞楽しみにしてますよ。ソフトバンクだと思うけど」と報道陣を笑わせる一幕も。やはりスターは、いや、スーパースターは最後までスーパースターでした。 AD土屋
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J1第24節 川崎×G大阪@等々力

勝ち点38で6位につける川崎。一方、勝ち点40で4位まで浮上してきたG大阪。共に今シーズンの目標は言うまでもなくリーグタイトルであり、そのためには独走を許している名古屋との勝ち点差をこれ以上離されるわけには行きません。「終盤に向けての大一番」(川崎・高畠勉監督)という位置付けは、おそらく双方共通の認識。何度となく激突してきた両雄のビッグファイトは、20837人を集めた等々力です。ゲームは、「スタートからオフェンシブに入れたのがよかった」と西野朗監督も言及したG大阪が攻勢に。5分には宇佐美のパスを受けたルーカスが、鋭いターンから強烈なシュートを枠内へ飛ばすも相澤がセーブ。9分には安田の柔らかいスルーパスに宇佐美が飛び出し、GKをかわしてシュートを放つもボールは左ポスト直撃。これ以外にも、2トップが前をしっかり向いて仕掛けるシーンが目立ち、「スピーディーな展開」(橋本)を創り出します。すると12分、左サイドからのCKをショートで出した遠藤は、二川からのリターンを大外まで打ち上げ、高木が頭で折り返した所に詰めたのは中澤。ややGKへのファウルにも見えましたが、高山啓義主審の判定はゴール。勢いのままに、まずはG大阪が先手を取りました。さて、いきなりの失点を食らった川崎。中村が体調不良でベンチスタートとなり、ボランチは古巣対決となる稲本と横山のコンビ。「イナさんが前に行くんで、僕はある程度守備で耐えてから出ていくイメージ」とは横山ですが、相手の勢いに押される格好で、なかなか攻撃にまでは関与できません。この苦しい時間帯で、チームに勢いをもたらしたのは右SHの田坂。谷口をベンチに追いやり、出場停止以外はすべてのゲームでスタメンと成長著しい25歳が、劣勢の中盤を覆そうと奮闘する中、21分に決定的な仕事をしてみせます。横山が中盤でボールを奪うと、パスをもらった田坂は躊躇なく相手DFラインの裏へ絶妙のフィード。収めた黒津は並走していた高木を緩急で翻弄すると、右足で豪快に揺らしたネット。今シーズンから確固たるレギュラーポジションを得た2人で、シンプルな形から奪った同点弾。ゲームは振り出しに戻りました。以降、31分には川崎が再び裏へフィードで走らせた黒津の折り返しから、ヴィトール・ジュニオールがフィニッシュを取ったものの、藤ヶ谷がファインセーブで阻み、38分にはG大阪、武井のスルーパスからルーカスが狙うと、相澤のセーブに遭い、拾った宇佐美のシュートは大きくバーの上へ外す、という双方1回ずつの決定機を創り合うにとどまります。この要因としては、川崎側から見ればやはり中村の不在。横山も非常に技術が高く、狭い局面打開などはまったく問題ありませんが、長いクサビや大きなサイドチェンジといったパスでは14番に一日の長があり、どうしてもダイナミックさが出てこなかったのは否めないでしょう。対するG大阪は「本来のパフォーマンスではまったくない」(西野監督)遠藤をボランチ起用し、「ヤットがフルじゃない分、みんなの運動量が上がっている」(橋本)のは確かなのですが、今日に限っては二川の不調が誤算。個人的には日本屈指のプレーメーカーだと思っている彼が、普段では見られないようなミスを連発。これが伝播したのか、両チームともイージーなミスが散見され、この2チームの対戦らしからぬ内容で前半は終了しました。後半はまずG大阪が攻勢。50分には二川のクロスにルーカスが頭で合わせますが、枠の左へ。56分、遠藤のピンポイント高速パスをルーカスが狭いスペースで止めてから素早くシュートを枠内に。60分にも安田、橋本と繋いで最後は宇佐美がフィニッシュ。チャンスを創り続けます。押し込まれる展開に、たまらず高畠監督もとうとうジョーカー投入を決断。62分、ヴィトールに替えて中村を右サイドの攻撃的な中盤へと送り込みます。すると「ケンゴが出てきてかなりディフェンスを強いられる時間もあった」と西野監督が話したように、やはり絶対的なキーマンを組み込んだ川崎が一気に形勢逆転。65分にはジュニーニョのスルーパスに、ラインギリギリで飛び出した田坂のシュートは藤ケ谷がファインセーブ。66分、中村の思い切ったミドルはDFに当たり、こぼれにジュニーニョが反応しますが、わずかに届かず。等々力の空気も一変します。67分には両チームが同時に選手交替。川崎は稲本OUTで谷口IN。G大阪は二川OUTで「スピードをアクセントに」(西野監督)と平井IN。システムも平井の1トップで、その下に右から宇佐美、遠藤、ルーカスと並べる4-2-3-1にシフト。また、これには「ヤットの状態があまりよくなかったが、あまりにも拮抗して替えづらかったのでディフェンスに負担がかからないように」(西野監督)という側面もあったようです。ただ、この交替策を経ても、川崎ペースは覆らず。G大阪は79分、安田の左クロスから4分前に投入された佐々木が右ポストにぶつけるボレーを放ちますが、川崎も80分に小宮山、83分に谷口とフィニッシュまで持ち込み、流れを明け渡しません。そしてゲームが動いたのは最終盤の86分。川崎は鋭いカウンター、中村とジュニーニョのパス交換から、最後は途中出場の矢島が狙いましたが、DFに当たってバーの上へ。「明らかにCK」(稲本)のように見えましたが、高山主審の判定はゴールキック。川崎が抗議をしている隙に、G大阪は素早くリスタート。藤ケ谷、安田と左サイドで繋ぎ、遠藤が中へ入れると、「シュート以外の形が取れなかったので思い切って打った」というルーカスの強烈なミドルが激しくゴール右上に突き刺さります。「切り替えが遅れたかなというのはあった」と高畠監督。「こういうゲームでは相手のキッカケをもらわないとなかなか入らないのかな」と橋本。確かに高山主審のジャッジやゲームコントロールに不安定な部分があったのは否めませんが、最後は「あんまりレフェリングとかは気にせずできる選手が揃っている」(橋本)G大阪が、よりゲームの潮目を読み切って勝ち点3を獲得する結果になりました。 AD土屋
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J1第24節 FC東京×大宮@味スタ

城福監督解任後、16位のFC東京が初めて迎えるリーグ戦は勝ち点3差で前を行く14位大宮との激突。9年ぶりに指揮官として帰還した大熊清監督の初陣は、いきなりの残留争い直接対決です。清水に快勝したかと思えば、鹿島に完敗してみたり、なかなかチーム状況が読みにくい大宮は、金澤が出場停止のボランチにイ・ホ、CBには前節に続いて今シーズン2度目のスタメンとなる福田を起用。やや守備に不安を残すメンバー構成となります。一方の東京で一番の変化は、リカルジーニョを左SHに起用し、最前線で大黒のパートナーに平山を指名したこと。実際ゲームが始まってみると、東京が鮮明に打ち出したのは平山の高さを最優先に活用するスタイル。最終ラインである程度繋いだら、シンプルにフィードという形を多用していくと、これが奏功した格好で東京が攻勢に。19分には縦フィードを平山が頭で落とし、最後は3列目から飛び出した森重がエリア内でフィニッシュ。ボールはクロスバーの上へと消えていきますが、1つ狙い通りの形で決定機を創出します。ただ、少し気になったのは2トップのコンビネーション。大黒は「相太(平山)といい距離感でやれてた」と話しましたが、平山が裏へ落として大黒が走り込むようなシーンはなかなか創れず、チームもまず平山へのハイボールを選択したために、「大黒にはほとんどボールが入らなかった」とは大熊監督も認める程。前半45分間で記録したシュートもゼロで、大黒の良さを生かすには難しい展開だったと思います。また、「平山へ入れてくるボールのセカンドが拾えず、運動量も東京が上回っていて後手後手に回る展開」(大宮・鈴木淳監督)の大宮でも特に空いていたのは右サイド。少し藤本と村上の連携が乱れがちになる中、東京は左SHのリカルジーニョへボールが入るケースが多かったのですが、「かなりサイドに開いていたので、ある程度持たれるのはしょうがないと思った」とは大宮のCB坪内。確かにボールが入ってからのリカルジーニョは、速攻時も遅攻時も自分で行くのか周囲を使うのかのタイミングが曖昧で、そこからフィニッシュまで繋がったのは数える程。攻撃している時間の長さの割に、ゴールの予感は漂って来ません。41分には石川のパスを右サイドで受けた平山が、柔らかいラストパスを送り、またも飛び出してきた森重がシュートを放ったものの、大宮CB福田俊介が体でブロック。奪えない先制ゴール。すると42分には大宮にチャンス到来。ラファエルが右へ展開したボール、軽い対応の中村と入れ替わった藤本は縦に持ち出してシュート。ここは権田がセーブしましたが、ようやく大宮も惜しいシーンを創ります。入れ替わる攻守。今度は東京に決定的なシーン。45分、椋原の右グラウンダークロスは中で誰も触れず、ボールはファーサイドのリカルジーニョへ。GKの北野もクロスに出ていたため、空いたゴールにシュートを流し込むも、ライン上で福田に掻き出され、スコアを動かせません。東京からすれば、攻守に圧倒しながら何とももどかしい45分間が経過しました。後半も立ち上がりから東京のラッシュ。48分、リカルジーニョの左クロスを平山がうまく落として、大黒のボレーはGK正面。51分、平山のパスからリカルジーニョの強烈な左足シュートは北野がファインセーブ。51分、53分と続けざまに平山が放ったシュートは、前者がわずかにクロスバーを越え、後者は北野がストップ。あと一歩でゴールという時間帯が続きます。さらに勢いを増したい大熊監督が、57分に切った1枚目のカードは大黒に替えて大竹。送り込まれた大竹もすぐ流れに乗り、左サイドでドリブルやシンプルなパス捌きで、チームにアクセントをもたらします。しかし、もはや決壊間近と思われた大宮を甦らせたのは鈴木監督の決断。63分、藤本を下げて石原をFWに投入し、「どこで使うかがキーになっている」と指揮官が捉えていたイ・チョンスを右SHにポジションチェンジ。これを境に「サイドに基点が作れるようになってペースが掴めた」(鈴木監督)大宮がジワジワと攻撃の手を強めると、69分に大きな議論を呼ぶであろうシーンが訪れます。大宮は北野のパンチングからカウンター発動。金久保が素晴らしいサイドチェンジを右へ送ると、イ・チョンスはあえてマイナス気味に速いクロスを中へ。プルバックしたラファエルがボレーで叩くと、ボールはクロスバーに当たり、バウンドしてゴールラインを越えましたが、名木利幸副審のフラッグは上がりません。記者席から見た限りは明らかにゴールでしたし、金久保も「入ったように僕には見えた」と振り返ったものの判定は覆らず、0-0は続きます。それでも流れは変わらず、71分にも石原が惜しいシュートを放つと、その2分後にとうとう「耐えていればいずれチャンスは創ってくれる」という坪内をはじめとした守備陣の期待に、攻撃陣が応えます。73分、右サイドでラファエルが粘って粘って混戦を抜け出し、ファーサイドへクロスを上げると、「ヘディングの感覚とかわかんないんで、とりあえず当てとけという感じで」飛び込んだのは金久保。「なかなか結果が出なくて焦る気持ちはあった」と語るルーキーのJリーグ初ゴールが飛び出し、自分たちの波をしっかりと掴んだアウェイチームが大きな1点をもぎ取りました。さて、「決定的なチャンスもあった」(大黒)にも関わらず失点を許した東京は、大宮と対照的に交替策もハマりません。67分にリカルジーニョとのスイッチで投入された重松も持ち前のシュート意識を打ち出せず、78分には前田を入れて変則の3-4-3にシフトしたものの、「守備をしながらチャンスがあったら攻撃しようと思っていた」と語る右WBの石川も、3人が攻め残りする相手に実質SBのような位置取りを強いられてしまいます。「最後の10分間はパワープレーになってしまった」と大熊監督。そして89分にはマトを平山のマンマーカーとして送り込む徹底した鈴木監督の采配。加えて最終盤には、ラファエルとイ・チョンスが2人だけで決定機を創り、2人だけで時間も巧みに消費させるなど、“質”の高さを存分に披露。崖っぷちでの直接対決は、耐えて耐えて奪った1発を守り切るという、何とも“らしい”勝ち方で、大宮が勝ち点3を強奪する結果となりました。大宮で見逃せないのは前節からの成長。「アンラッキーなこと」(鈴木監督)でゴールを取り消されたものの、前節の鹿島戦でジャッジにナーバスになったことで崩れてしまった経験から、「今節は前節の教訓を生かすことができた」と鈴木監督も言及した通り、気持ちを切らすことなく4分後にホンモノのゴールを決めてみせました。鈴木監督も「今日の一番の勝因」として、その精神的な部分を挙げており、色々な意味で勝ち点3以上に価値のある勝利となったようです。敗れた東京は、一方的に攻めながら一発に沈むという、まさに流れの悪いチームの典型的な内容で大熊体制初陣を飾れず。劇薬もとりあえずの効果は見られず、いよいよ最悪のシナリオが現実味を帯びてきました。果たしてこのまま沈没してしまうのか。残されたのはあとわずかに10試合です。 AD土屋
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J2第26節 千葉×柏@フクアリ

ちばぎんカップも合わせれば今シーズン3度目の顔合わせとなる、千葉と柏の“千葉ダービー”。今回は4位と首位、勝ち点差13で迎えた残り11試合での対峙。特に千葉は前節敗れた福岡と入れ替わるような形で、昇格圏外へと押し出された格好となり、このゲームでは勝利のみが求められます。キックオフ直後、両チームの布陣を見てみると、意外にも共に中盤がドイスボランチのボックスで構成された4-4-2。柏は「太田、佐藤、工藤、谷澤の4人が入れ替わり立ち替わり動いてくるのに対応するため」とネルシーニョ監督。千葉は「相手のシステムの何通りかはシミュレーションしてきた」と江尻監督。双方ある程度は相手を意識した形でゲームに入りました。開始57秒、右サイドを小林祐三がえぐり、折り返しを北嶋がフィニッシュまで持ち込んだシーンにダービーへの決意を滲ませた柏は、9分に早くもスコアを動かします。大谷秀和が巧みに左へ展開すると、橋本和の鋭いアーリークロスはGKを越えて、「練習からワタル(橋本)がどういうボールを蹴るのかはわかっていたので」とファーに走った林へピタリ。これを直近5試合で4ゴールを挙げて、ポジションを自らの足で奪取したストライカーが逃すはずもなく、確実に頭で一突き。「J1で活躍して代表に選ばれたい」と公言する林の先制弾で、まずは柏がリードしました。さらに16分、パク・ドンヒョクが、レアンドロ・ドミンゲスのCKからヘディングを右ポストにぶつけるなど、柏が主導権を握ったように見えましたが、直後に落とし穴。17分、千葉は佐藤勇人が左へ回し、受けた和田拓三がクロスを送ると、柏DFは4人がボールウォッチャーに。谷澤は抜けてきたボールを、インサイドのダイレクトボレーでゴール右スミへ流し込みます。これがダービーか。千葉も最初の決定機を確実に仕留め、ゲームは振り出しに戻りました。そしてここからは一気に千葉が流れを掌握。23分には和田の左クロスから、中央でこぼれたボールを太田がボレーで枠へ飛ばし、菅野孝憲がファインセーブ。25分、太田のヒールで右サイドを抜け出した青木良太のクロス、谷澤はニアへ飛び込み、間一髪で柏DFがクリア。31分、右サイドの太田が左足でクロスを上げると、青木孝太のヘディングはゴール左へ外れたものの、惜しいシーンを何度も創出します。この要因は、柏のサイドにおける守備。「相手のSBに誰が付くのかで後手を踏んでしまった」と栗澤が振り返ったように、千葉はゴールシーンと23分は左SBの和田、25分は右SBの青木良が絡んでいます。柏の両SHに入ったレアンドロと茨田陽生は比較的中央でボールに関与するシーンが多く、攻から守に切り替わる際にはどうしてもサイドのスペースを埋め切れないため、そこを突かれてのピンチが連続した格好となった訳で、「SHが行けなければSBが行く」(栗澤)という確認はしていたようですが、なかなか徹底できずに圧倒的な千葉ペースになっていました。そんな中、劣勢の柏を救ったのは4節以来のスタメン出場を果たした32歳。33分、林、茨田と左へ繋いだボールを、橋本は中へ高速クロス。ニアに全速力で突っ込んだ北嶋秀朗は、右足アウト気味にニアサイドへ気持ちで押し込みます。「いいことが起きるのを待ってるんじゃなくて、自分から起こしてやると思っていた」というベテランの今シーズン初ゴール。栗澤の「僕たちみんながあの姿勢を見習わなくてはいけない」という言葉に誰もが頷くような男が決めた一発を境に、あれほどまでに押し込まれていたのが嘘のように、「ゲームを落ち着いて運べるようになっていった」(ネルシーニョ監督)柏が1点をリードして、ハーフタイムに入りました。後半に入ると、スタートから2アシストの橋本が負傷で蔵川洋平との交替を余儀なくされましたが、攻勢は柏。50分、レアンドロのスルーパスから北嶋が抜け出し、放ったシュートは千葉GK岡本昌弘がファインセーブ。54分は千葉のミスから、大谷のラストパスをレアンドロが右サイドネット外側へ強烈なシュート。56分、北嶋がヒールで流すと茨田がGKと1対1になりましたが、岡本が再びファインセーブ。柏の時間が続きます。「うまく左サイドを突かれてしまって」(江尻監督)ピンチを連続で招いた苦しい千葉は、60分に太田を下げて伊藤大介を送り込み、青木孝の1トップで、その下に右から谷澤、伊藤、工藤と並べる4-2-3-1にシフトしましたが、何しろシュートが打てません。ところが73分、中盤で伊藤のターンを引っ掛けた栗澤に岡田正義主審は2枚目のイエローカードを掲げ、退場に。柏はワールドカップ中断明けの上位対決で必ず出していた退場者を、今日も出してしまいました。これを受けて江尻監督も勝負に。74分には、工藤OUTで倉田秋IN。80分には、1分前に惜しいボレーを枠に飛ばした山口慶OUTで林丈統IN。前線にスピードとパワーを持った選手を並べて、ゴールを狙いに行きます。ネルシーニョ監督も76分に林を下げて、澤昌克を投入。これで7分前から出場していたホジェルの1トップで、中盤は右に澤、左にレアンドロ、ボランチが大谷に茨田という4-4-1で対処します。すると81分、この状況下で飛び出したのは意外にも柏の追加点。「どういったシチュエーションでも期待できて、計算できる選手」と指揮官も称賛した澤が、粘り強いキープから右へ送ると、やや角度はなかったものの、直接ゴールを狙える距離で受けたホジェルは冷静に中へ。レアンドロは心憎いバックヒールで千葉ゴールを陥れ、1-3。南米仕込みの3人だけで挙げた、大きな大きな追加点が柏に記録されました。それでも諦めない千葉。2分後の83分、倉田のパスから、伊藤は相手DFの股を抜くスルーパス。これを青木孝が右足で豪快に叩き込み、再び1点差に。フクアリのボルテージは最高潮に達します。ゲームも最終盤。攻める千葉、守る柏。第4審が掲示したアディショナルタイムはなんと6分。さすが岡田主審。盛り上げどころをわかっています。すると94分、青木孝のクロスともシュートとも取れるボールはクロスバーに直撃すると、谷澤の目の前へ。18031人を集めたスタジアム中が息を呑みましたが、力んでしまったか、シュートはヒットせず枠を捉えられません。そして鳴り響いたのは、試合終了を告げるホイッスル。その瞬間、両チームの選手たちがピッチに崩れ落ちるほどの死闘は、「本当に一番大きかった収穫は、選手が最後まで頑張ってくれたこと」とネルシーニョ監督も讃えた柏に凱歌が上がりました。ゲーム前から黄色で埋め尽くされるスタンドが創り出した最高の雰囲気に、全力で応えた選手。J2頂上ダービーにふさわしい極上の夜だったと思います。 AD土屋
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J1第23節 湘南×川崎@平塚

前節の敗戦を受けて、屈辱の最下位転落となった湘南と、優勝が遠のく7位転落となった川崎。お互いに3連敗同士と負のスパイラルに歯止めを欠けたい一戦は、終わってみれば「スピードと技術の差が結果に表れた試合」(湘南・反町康治監督)となってしまいました。26.1度という数字以上に秋の訪れを実感するような気候の中で始まったゲーム。まず布陣を確認すると湘南は3-4-3。「典型的な2トップに後手を踏むようなディフェンスをしていた」(反町監督)ことから、ハッキリと3バックで2トップを見るような形を採ったホームチームでしたが、その効用を確認する間もない3分で牙を剥いた川崎。左サイドからヴィトール・ジュニオールがドリブルでスルスルと持ち上がり、強烈なシュート。野澤もよく弾きましたが、詰めていたジュニーニョがあっさりプッシュ。あまりにも呆気なく先制ゴールを奪ってみせました。当然、ここ9試合勝てていないという状況の湘南にすれば「早い段階の失点で動揺があった」(村松)のは間違いなく、この後も「3バックがずっと後ろに張り付いて、ボランチの前にプレスが掛からないからディフェンディングサードまで簡単に運ばれる」(反町監督)シーンが多発。正直、川崎のやりたい放題に近い光景がピッチ上で展開されます。そして21分には、ヴィトールからパスを受けたジュニーニョが、黒津との素早いワンツーから抜け出し、確実に右スミへフィニッシュ。まるで先日カンプノウで見た、バルサ×パナシナイコスでメッシが決めた3点目のようなゴラッソ。早くも2点差が付いてしまいます。この1点目から2点目までの、真綿で首を絞められるような時間帯に関して、GKの野澤は「2失点目の前に相手のプレッシャーを感じて、その部分で立て直せなかった」と振り返り、反町監督は「残念ながらDF陣はパニックになってると思う」と述懐。湘南にとっては苦しい時間が続きます。26分にはクロスバーが、30分には野澤が阻んだものの、今日が誕生日の稲本が高精度ミドルを続けて2発お見舞いすると、たまらず反町監督も右から島村、村松、山口、小澤が並ぶ4バックにシフトしましたが、34分には3失点目を献上。阿部がボールを奪われた所から川崎のカウンターが発動。黒津が左へ送り、ヴィトールのクロスを、寄せの甘い相手の対応を嘲笑うかのように悠々と胸トラップで収めたジュニーニョは、悠々と華麗なループを左スミへ流し込み、前半だけでハットトリック達成。湘南も41分にほとんどゴールが生まれる匂いのしない状況から、寺川が強烈なミドルをねじ込んだものの、スコアは1-3。湘南には厳しい内容と結果で、45分間は経過しました。後半は頭から田原とユース所属で今日がJリーグデビュー戦だった遠藤航に替えて、ヴァウドとエメルソンを投入した湘南。「あの2人は果敢に出ていくような気持ちを出していた」とは野澤ですが、残念ながら大勢に変化なし。53分、ヴィトールのCKから黒津のヘディングが左ポストに当たると、その1分後、ジュニーニョのうまいフェイクからマイナスの戻しに、中村もワンフェイク入れて、エリア外から豪快なミドルを一刺し。1-4と再び3点差。そして、60分からの15分間はこのゲームの中で、最も川崎がかさに掛かって怒濤の攻撃を繰り出した時間帯。66分にはヴィトールのスルーパスから、抜け出したジュニーニョがうまいループ。67分にはヴィトールのCKから、こぼれ球を拾った田坂が強烈なボレー。73分には小宮山のクロスから中央でどフリーのジュニーニョがボレー。74分にはヴィトールが4回近い切り返しで対面のDFを翻弄し、受けた小宮山もワンフェイクからミドル。この4本のシュートはいずれも枠を捉えていましたが、いずれも「何があっても自分の仕事をしっかりやりたい」と言う野澤が“超”を付けてもいいようなファインセーブを繰り出し、ゴールを死守します。しかし75分、野澤を撃ち抜いたのはヴィトールの25m近い弾丸ミドル。これで1-5。77分にはヴァウド、エメルソンと繋いで、寺川が場内アナウンスもゴールと勘違いする程、強烈なシュートをサイドネットに突き刺しますが、惜しくも外側部分。そしてトドメの6点目は88分、中村の縦パスを途中出場の谷口が戻すと、小宮山はいわゆる左45度の“小宮山ゾーン”からスピードのあるコントロールショットを右スミに。湘南は今シーズン最多失点タイ、川崎は今シーズン最多得点。1-6という衝撃のスコアで、川崎が連敗を3でストップさせる結果になりました。勝った川崎は「前半の1失点が余計」(高畠勉監督)とはいえ、ほぼ満点のゲームでしょう。今後に向けて色々なパターンからのゴールが生まれたのも収穫。多数詰め掛けたサポーターにとっても大満足の夜になったのではないでしょうか。敗れた湘南は「目の前の選手に打たれて入っているゴールが何本もあった。DFの1対1の部分でも甘過ぎた」と野澤が話せば、「シュートモーションの時に誰も寄せてない。プレッシャーに行ってない部分が多かった」とは村松。確かに後半の3ゴールはその面が顕著に出た失点でした。ただ、それ以上に厳しいなと感じるのは、選手たちから気力が伝わって来ない点でしょう。個人としても、チームとしても相当差があったのは事実ですが、それだけ川崎と差があるチームはJ1にも他にいくつかあると思います。それでもここまで一方的にやられるチームはなかなかないはず。もはや気持ちが切れているなら、結末は決まってしまいます。残り11試合、チームはサポーターに何を見せてくれるでしょうか。 AD土屋
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ナビスコ準々決勝1st-Leg FC東京×清水@味スタ

久々の開催となる、リーグ戦よりわずかに長い歴史を有したヤマザキナビスコカップ。今日はベスト8の1st-Legが4試合同時に行われます。味スタでは、Aグループを首位通過したFC東京と、Bグループを2位で通過した清水の対戦。東京にしてみれば、ディフェンディングチャンピオンということ以上に、「とにかくリーグ戦が不本意な結果なので」(鈴木達也)チームとして浮上のキッカケを掴みたい一戦でもあります。ゲームが始まると、やはり最初の90分間ということもあってか、お互いにそこまで強みも穴も見せないような探り合う展開に。特に清水は「決して引いて戦ったつもりはないが、この日程と暑さの中での5連戦はやってる方しかわからない」と長谷川健太監督も苦笑したように、ややペース配分を考えてか、あまり中盤の前目に入った伊東と兵働を経由することなく、縦へ長いボールを入れるシーンが目立ちます。それでも19分にヨンセンが梶山にボールを奪われた直後、すぐに猛然とチェイシングを開始し、森重から再び自分でボールを奪い返したシーンに象徴されるように、守備では全員が勘所を押さえたパフォーマンスを披露し、簡単には東京に付け入る隙を与えません。なかなか清水ゴールに迫り切れない東京は、31分にリカルジーニョが右サイド、ゴールまで25m強の位置から左足でミドルを枠の左へ外したのが、最初に迎えた惜しいフィニッシュでしたが、それ以前から可能性を感じさせていたのは、右サイドの縦関係。「外から見ていてダイナミックさが欠けていたので、ガムシャラに行くことも大切だと思っていた」というSBの椋原は、全体的に動きの少ない展開の中でも、果敢なオーバーラップでチームに推進力を与えます。そして、その椋原の前に入ったSHの鈴木も、「(椋原)健太とは練習の時からコミュニケーションを取っているのでかなりやり易い」という言葉通り、39分には椋原が外を全速力で回ったのを利用して、カットインからシュートを狙うなど、意志疎通の高さを証明するようなチャンスを創出。CKも前半の4本すべてが右サイドで獲得したもの。ここを起点に東京が終盤は押し込むような形で、45分間は経過しました。後半は「押し込めるであろうことは想定していた」と城福浩監督が語ったように、前半終盤の勢いそのままに東京が攻勢。47分、50分とリカルジーニョが左へ流れてのクロスからチャンスを創り、58分には梶山から左へ展開されたボールを、中村が強引に抜け出してフィニッシュまで持ち込むなど、左サイドからの攻撃も活性化し始めます。さらに59分には椋原が獲得したCK、鈴木のボールを二アでキム・ヨングンが頭で合わせると、ワンバウンドしたボールはわずかにクロスバーの上へ。ややオープンになってきた中でも、東京が前へと出続けます。しかし、これがリーグ戦で首位争いを繰り広げるチームの底力か。68分、左から兵働が送ったクロスを、ヨンセンが頭でループ気味に狙ったシュートがわずかに枠を逸れると、直後に訪れた清水のカウンターは岩下が起点になり左へ。受けた兵働のアーリークロスに、岡崎はワンバウンドしたボールを少し下がりながら、ヘディングでコントロール。これがゴール左スミに飛び込み、「言い訳にはならないが」と前置きしながら「そこまでボールがあまりゴール前に来てなかった」と今野も言及したように、ほとんど初めて掴んだと言っていい決定機をキッチリ生かした清水が、アウェイゴールという大きな意味も持つ先制ゴールを奪いました。さて、「鋭いのはわかっていたので、すごく警戒していた」(城福監督)カウンターから失点を許した東京は、69分にリカルジーニョを諦め、重松を投入。さらに75分には大竹に替えて徳永をボランチに送り込み、森重をCBに下げて、今野を右SHに移した布陣で勝負に出ると79分、ややペースダウン気味だった椋原が久々に右サイドを駆け上がって奪ったCK、鈴木の蹴ったボールを、森重がドンピシャのヘディングでゴールに叩き込みます。「ウチはセットプレーでそんなに決めることはなかったんで、練習から迫力を持って行けるように取り組んでいた」という守備の要が一仕事。ゲームは振り出しに戻りました。残りは10分。城福監督が得点時のCKで、大黒に替えて平山を投入していたのを受けて、長谷川監督も81分に辻尾に替えてボスナーをCBへ投入。平岡を右SBにスライドさせ、高さに万全の備えを見せる采配に出ます。一方、城福監督は同点後に、右の今野と左の鈴木をスイッチ。85分には鈴木のパスを、「言われたポジションで頑張るしかない」と話した今野が柔らかいワンタッチで、わずかに重松へは届かなかったもののチャンス創出。能力の高さを存分に発揮します。清水も89分には藤本の浮き球パスを、枝村がダイレクトワンツーで返し、再び受けた藤本のラストパスからヨンセンがシュートを放ちましたが、ここは東京DFがブロック。180分間で争われる最初の90分間は、ホームチームが「最低限の結果」(森重)を得て、残りの90分間へ突入することになりました。清水にしてみれば、中3日だった東京に対して、中2日で臨んだゲームだけに「この暑さの中でフルに走り回って、アグレッシブに戦うことは厳しい」(長谷川監督)中で、1点を奪ってのドローは上々の結果。天皇杯を挟んでの2nd-Legにわずかながらアドバンテージを持って、臨むことになります。一方、追い付いてのドローとなった東京ですが、今日の主役とも言うべき右サイドの2人が「点を取られてからも自分たちのサッカーを続けられた」(椋原)「じっくりサッカーができた手応えはある」(鈴木)と、共にチーム自体へポジティブな感想を抱いていたことが、興味深いと思います。次は双方揃って中2日同士。日本平は熱戦必至です。 AD土屋
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J1第21節 横浜FM×新潟@日産

前節は最下位京都相手に、土壇場で飛び出した河合の決勝ゴールで辛くも勝った横浜FM。スタメンの入れ替わりもいまだに多く、なかなか安定した力を発揮できません。一方の新潟は、山形に敗れて連続無敗記録がストップしたにも関わらず、迎えた清水、川崎との上位対決に見事連勝。さらに上を狙える力が間違いなく付いてきていると言えるでしょう。ゲームが始まると、序盤から攻勢に出たのは新潟。ドイツ・フライブルクへの加入が決定した矢野に替わって、前線には大島が起用されましたが、大島もキャラクターがハッキリしているのと、ワンタッチで味方へ繋ぐプレーは矢野よりも数段上。実際、「外国人3人は常に注意してなければいけない」(木村和司監督)と横浜も警戒していたミシェウ、チョ・ヨンチョル、マルシオ・リシャルデスとの連携も上々で、6分にはチョ、大島、ミシェウと細かく繋いで、最後は左SBの酒井がエリア内まで侵入するシーンを創出。11分には、左サイドからドリブルで持ち込んだミシェウがクロスバー直撃の強烈なシュートを放つなど、ゲームの主導権を奪取します。さらに23分には、本間が出した横パスを左で受けたチョが縦にリターンすると、ここに走り込んだのは本間。スルーパスこそ球足が長く、GKにキャッチされましたが、3列目からも躊躇なく飛び出す辺りに、チームとしてトレーニングを重ねながら築いている連動性を感じました。しかし、25分に横浜の左SBに入っていた波戸がカットインから惜しいシュートを放ったシーンを境に、流れはガラッと変わります。この時間帯まで、新潟ペースの一因を創っていたのは、敵将の木村監督も「うまく基点になっていた」と認めるチョ。シュートこそなかったものの、左サイドでボールを受けると、その大半で縦へ抜け出し、味方の攻め上がりを促進させていました。ここが横浜サイドに与えた印象はかなり強かったようで、黒崎監督も「横浜は前に出てこず、長いボールが多かった」と苦笑。思い切りのいいオーバーラップが持ち味の右SB天野も、自重してチョ対策に当たります。この好調ゆえに招いた包囲網の増強で、徐々に「左サイドから崩せなくなっていった」(黒崎監督)のは、1つポイントだったように感じました。33分、栗原がドリブルで運んで左へ送り、波戸の右足クロスを、山瀬が頭で合わせるも枠外へ。39分、中村が右へ展開したボールを、天野はマイナスへ折り返し、兵藤のシュートをDFがブロックしたこぼれ球に小野が反応しますが、シュートはわずかにゴール左へ。横浜がラッシュ。42分には新潟にも決定機。マルシオが大島とのワンツーから抜け出し、フリーでシュートを放つと、GK飯倉がよく飛び付きセーブ。前半は新潟、横浜と流れが入れ替わる中、「お互いにイーブン」(黒崎監督)のスコアレスで終了しました。後半に入ると、早々にゲームが動きます。47分、カウンターから中村は、足の裏でワンタッチすると、次のタッチで素早く「練習でもトップスピードになると速いんで」と評した山瀬にスルーパス。並走したDFに対して、わずかに走り勝った山瀬は左足アウトで飛び出したGK黒河の上へと浮かせるフィニッシュ。まさに個の煌めき。2人だけで横浜が先制ゴールを奪ってみせました。ここからは気をよくしたのか、ボールも集まり、自身のリズムで周囲を動かし始めた中村の躍動で、完全に横浜がペースを掴みます。対照的に、「相手の勢いに押されてしまって」(黒崎監督)劣勢を強いられた新潟は、後半開始からミシェウとチョのポジションを入れ替えたものの、逆にチームに好影響を与えていた流動性が、ミシェウを左サイドへ移したことで失われた印象に。指揮官は59分に大島を下げて、明堂和也を前線に送り込みましたが、なかなか流れにうまく入っていくことができず、攻撃の活性化とまでは到りません。すると、またも横浜がしたたかに個の力で追加点。71分、山瀬がクイックで始めたFK、走った小野が収めて戻すと、中村は左サイドから中へ入りながら、なんと右足のミドルにチャレンジ。ボールは絶妙のコースを捉え、ゴール右スミへ吸い込まれます。「(渡邉)千真とかが決めてくれないんで」と笑った中村の右足ミドルが炸裂。意外な形で点差が開きました。2点のビハインドとなった新潟は、失点直前の69分に新加入のジョン・パウロをボランチへ送り込み、何とか反撃の糸口を探りますが、まったくと言っていい程にチャンスは創れず。加えて78分にはチョが相手との競り合いで肘を痛めて負傷退場を余儀なくされるなど、悪い流れを好転させられません。横浜のトドメは85分、中村のCKを中澤が頭に当てたボールに、原ジャパンにも選出されている栗原が、GKの黒河に競り勝ちます。このこぼれ球を、栗原とツインシュート気味になりながら、「だいぶ動けるようになった。もう先発で出られる状態ではある」と木村監督も話した途中出場の長谷川がプッシュ。横浜が夏休み最後のゲームに駆け付けたサポーターへ、約1ヵ月ぶりのホーム勝利を贈ることになりました。新潟は、特に前半は攻守に高い連動性を発揮しましたが、終わってみれば3-0。「まだまだ力不足の所は否めないような気がした」と黒崎監督も振り返っています。ただ、千葉と永田が見せるビルドアップ能力の高さや、西の機を見た効果的なオーバーラップなど、全体的に見るべき所も多く、違う試合をまた見てみたいと思わせるチームでした。勝った横浜は、「久々に3点取れて気持ちいいですね」と木村監督も満面の笑顔。もやもやしたゲームが続いていただけに、これが浮上のキッカケとなるでしょうか。「(自身の)コンディションは上がってきている」と中村。眠れるカモメの今後に注目です。 AD土屋
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J2第24節 栃木×熊本@栃木グリーン

昨シーズンは栃木が17位で熊本が14位。今シーズンも正直アウトサイダーと目されていた両チームが、6位と5位の上位対決として激突。2010年のJ2を振り返った時に、間違いなくその躍進が特記されるであろう、両者の対戦は栃木グリーンです。中断を挟んで4連敗と、6月7月は底に入った栃木でしたが、ここ2試合で勝ち点4を奪取と復調傾向。ただ、今日はFWのチェ・クンシク、CBのヨ・ヒョジンが揃って出場停止。替わりに林祐征と落合正幸がスタメンに名を連ねます。対する熊本は、前節の東京V戦で、4試合目にしてようやく8月初勝利。ファビオにも10試合ぶりのゴールが生まれるなど、浮上するムードは十分です。さて、開始わずか18秒、今シーズン2度目のスタメンとなった林がいきなり左足ミドルを放って高い意欲を見せると、3分には高木和正のCKから、ここも林がフリーでヘディングをゴールへ突き刺します。村上伸次主審がオフェンスファウルを取ったために、結果的にはノーゴールとなったものの、まずは際立つ林の強さで栃木が攻勢。しかし、6分には熊本もセットプレーで反撃。片山奨典のCKから、こぼれを福王忠世が枠内に飛ばし、栃木GK武田博行のファインセーブに遭いながらも、1つ決定的なチャンスを創ります。以降は一進一退の展開が続く中で、14分には栃木に気になるシーンが。熊本のシンプルな縦フィードに宇留野純が走ると、飛び出したGK武田は触れず、カバーに戻った入江利和が何とかクリア。「GKも含めて最終ラインの対応が悪かったので、突いていこうという所はあった」とは熊本の高木琢也監督。栃木からすれば一抹の不安を感じさせるプレーだったと思います。15分、パウリーニョがリカルド・ロボとのワンツーからシュート。直後にも入江の折り返しをリカルド・ロボがオーバーヘッドで狙うと、この2つのチャンスからは流れが栃木に。要因としては「トップに入った後のセカンドボールをなかなか拾えなかった」と高木監督が振り返った通り、ある程度は林とリカルド・ロボへのロングボールが多かった栃木の圧力に対して、熊本のCBとドイスボランチの間が空いてしまったことが挙げられますが、それだけにもう少し栃木のドイスボランチに入ったパウリーニョと本橋卓巳が前へ出ていければ、もっとチャンスは創れていたような印象です。実際、押し込んでいたとはいえ、16分から30分までの15分間で栃木のシュートは1本も記録されていません。それでも、今の栃木にはこの男が。31分、リカルド・ロボが高木とのワンツーを経て、角度のない所から枠内へシュート。そこから得たCKも、高木のボールをリカルド・ロボが枠内にヘディング。共に南雄太の好守に阻まれましたが、再び高木が蹴ったCKに食らい付いたのもリカルド・ロボ。これが3度目の正直とばかりにネットを揺らし、流れを掴んだ栃木が先手を取りました。ここからは一気にオープンな打ち合いが開幕。35分は熊本、吉井孝輔が飛び出して上げたクロスを、フリーのカレン・ロバートはヘディングで狙いますが、武田がファインセーブ。36分は栃木、赤井秀行の折り返しを高木が利き足とは逆の右で合わせるも枠外へ。44分は熊本、片山のクロスをカレンが頭に当てると、今度は左ポストを直撃。スコアは動きませんでしたが、何かは起こりそうな展開で前半は終了しました。後半に入ると48分、電光石火で生まれたのは同点弾。ファビオが倒されて得たFK、片山のボールにファーサイドで合わせたのはファビオ。「自分からプレゼントをもらうことができた」と昨日迎えた20歳のバースデーを自ら祝う一撃。ゲームは振り出しに戻りました。さて、勝ち越しゴールを奪いたい両指揮官はここで動きます。57分、松田浩監督は杉本真を下げて、廣瀬浩二をそのまま右SHに投入。同じく高木監督も57分、「もう少し中盤から揺さぶりをかけたかった」と渡辺匠と原田拓をスイッチ。ボランチの一角を入れ替えます。59分には松田監督の2枚目。負傷を抱えながらプレーしていた入江が続行不可能になったため、そのまま左SBへ宮本亨を投入。すると、これがゲームの分岐点となりました。60分に入ったばかりの原田が無回転FKを左ポストにぶつけ、ややスタジアムもフワフワした雰囲気に包まれていた63分、「ポゼッションが長いだけに回せるか、引っ掛けられてカウンターを食らうか」と松田監督が語った言葉の、負の側面が出てしまいます。何でもないゴールキックを武田は宮本へ。このパス自体も、相手との距離を考えればリスクが小さいとは言い切れないようなものでしたが、受けた宮本はボールが足に着かず。これに突っ掛けたのは「体もキレてるしノッてるね」と笑う、前節2アシストの宇留野。あっさり宮本からボールを奪い、飛び出した武田の上を破る冷静なループ。「不用意だがそういうことが起こるのもサッカー」と肩を落とした松田監督。俄かには信じがたい形で、熊本が逆転に成功しました。こうなると強さを発揮するアウェイチーム。68分には松橋章太を「フレッシュな選手同士でマッチアップさせたかったし、サイドの方がチャンスを創れるかなと思って」(高木監督)、宇留野との交替で右SHに投入すると、78分にはカレンのスルーパスから松橋がフリーで抜け出し、武田のセーブで追加点とはいかなかったものの、サイドに脅威を張らせます。追い込まれた栃木も、終盤は懸命にラッシュ。79分、カウンターから廣瀬のシュートは、全力で戻った片山がブロック。81分、途中出場の水沼宏太が頭で競り勝ったこぼれ球、林がボレーの体勢に入るも筑城和人が頭でクリア。83分には「ウチの弱い所」(高木監督)「林が十分にマンツーマンで勝てて、うまく外せる」(松田監督)と両指揮官も認めたセットプレー、高木のCKに林がドンピシャヘッドも、南が驚異的な反応でファインセーブ。85分には水沼が激しいタックルで奪ったボールを、自ら狙いますが、これも筑城がブロック。キッチリと形成したブロックに加え、カレンやファビオも前から果敢にチェイスするなど、集中が切れない熊本。吉井が「ボールを繋がれて、サイドからクロスを上げられる方が怖かった」と話したように、栃木はなかなか横幅を使いきれません。95分のラストチャンス、大久保裕樹のロングスロー、こぼれに水沼が飛び込み、強烈なシュート。しかし、ボールはわずかに枠の右へ。「4、5人替えたいくらい暑さが厳しい」(高木監督)中、力強く逆転してみせた熊本が、1つ上位への階段を上がる結果となりました。 AD土屋
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J1第20節 大宮×仙台@NACK5

オレンジ軍団の夏祭りは継続中。厳しい連戦にも関わらず、5試合負けなしで勝ち点も11を上積み。一気に残留争いから突き抜けつつある大宮。一方、前節は昇格組の鬼門・埼玉スタジアムから、浦和相手に勝ち点1を持ち帰ったものの、これで14戦未勝利と苦しい戦いが続く仙台。双方がJ2に所属していた2004年以来、6年ぶりの激突となるカードの第1弾はユアスタで3-1と仙台が快勝。あれから5ヵ月。指揮官を交替させたチームと、交替させなかったチーム、それぞれの信念が果たして90分の中にどう感じられるかも注目したいポイントです。さて、ゲームが動いたのは開始早々の3分。今シーズン初スタメンのボランチ斉藤から左へ展開されたボール、立ち上がりということもあってか、大宮のアプローチはかなり遅く、リャンはほとんどフリーでクロス。これに「ピンポイントだった」と完全に裏を取ったフェルナンジーニョが難なくボレー。まずは仙台がファーストチャンスで鮮やかに先手を奪いました。これでペースを掴んだ仙台が以降も攻勢。10分には赤嶺がフィードに抜け出してフェルナンジーニョに繋ぐと、シュートには至らなかったものの、ニアにリャンが飛び込む惜しいシーンを創出。11分にも田村のアーリークロスを、斜めに走り込んだリャンがヘディングで枠内へ。裏へのケアを徹底しきれない相手を尻目に、追加点への高い意欲を見せ付けます。14分にCBの坪内が、負傷でマトに替わるアクシデントが発生するなど、嫌な流れが続く大宮。注目のイ・チョンスも21分には左サイドから鋭いグラウンダークロスで1ついいシーンを演出しますが、ボールを受けられずに中盤まで下がってしまうシーンが多く、高い位置で基点を創れません。そして、鈴木淳監督が「ボールを動かす力があるのでそこを期待して使った」と、加入後初となるスタメンで起用したイ・ホが大誤算。仙台の手倉森誠監督も「ポジションから出てこないし、ブロックの中にいたので捕まえやすかった」と話した通り、やや引き気味の位置で攻守に曖昧なプレーを連発。ボランチでパートナーを組んだ青木拓矢も「やっていく中でと思ったが少しコミュニケーションが取れず、僕自身のプレーに迷いがあった」と言及。このミドルゾーンで、セカンドボールの拾い合いも含めた主導権争いに後手を踏んだことで、攻撃のリズムも生まれてきません。すると34分には追加点。リャンからの横パスを受けた斉藤は、シュートを意識したトラップから迷わずミドル。ボールは「目の前に来たのでちょっと触ろうかと思って」出した赤嶺の左足に当たり、コースが変わってゴール右スミへ吸い込まれます。「枠は外れてましたね」と苦笑いは斉藤ですが、その積極性が新エースの移籍後初ゴールを呼び込んだのは確か。点差が広がりました。その後もミスを連発する上、「リスクマネジメントがほとんどできなかった」(鈴木監督)ホームチームを攻め立てる仙台。38分にフェルナンジーニョが右ポストに当たるシュートを放つと、45+2分にも中盤でのボール奪取から、関口がクロスバーを叩くミドル、北野の背中に跳ね返ったボールが今度は右のポストに跳ね返り、何とか北野がキャッチしたものの、決定機の連続。内容でも上回った仙台が、大きなアドバンテージを持ってハーフタイムに入りました。後半に入ると、大宮も左SHに入っていた市川と、FWイ・チョンスの配置を入れ替え、前半よりはスムーズにボールを持つ時間も出てきますが、「ポジショニングが良くなく、攻めてはボールを失ってカウンターを受けるシーンが続いた」とは鈴木監督。53分にはフェルナンジーニョとの崩しからリャンが、59分にはその2人に斉藤が絡んで最後は赤嶺が、カウンターからそれぞれフィニッシュまで結びつけると、とどめの3点目もやはりカウンター。65分、素早いトランジッションから豊富な運動量で攻守に高い貢献を見せていた富田が左へ。フェルナンジーニョは元チームメイトの深谷を切れ味鋭いフェイントで翻弄し、冷静にインサイドでゴールへ流し込みます。今日の両者が見せていたパフォーマンスから考えれば、3点は絶対的なセーフティリード。勝敗は決しました。何とか反撃したい大宮も、65分に市川と金久保順を、73分にイ・ホと金澤を入れ替え、右SHの金久保以外は前節広島に勝利を収めたメンバーと並びに戻します。76分には青木のスルーパスから、村上が裏へ抜け出しボレーを放つもクロスバーの上へ。78分、右サイドから上げた金久保のクロスに、飛び込んだ藤本のヘディングも枠を捉えられず。「手堅い守備から隙を突く所で3点取れた。ゲームをコントロールして戦うことができた」と笑顔を見せたのは手倉森監督。仙台が4月4日の鹿島戦以来、実に15試合ぶりとなる勝ち点3を、アウェイゴール裏を黄色に染めたサポーターへ届ける結果になりました。勝った仙台は、やはり富田と斉藤の両ボランチが勝利の立役者でしょう。守備面は言うに及ばず、攻撃面でも1、2点目は斉藤が、3点目は富田が起点となってゴールを演出。特に「なかなか試合に出られない時期が続いていたので悔しい気持ちでいた」という斉藤には、指揮官も「チームをしっかりまとめてゲームコントロールしてくれた」と絶賛。本人も「自分たちのやってきたことは間違いなかったと証明できた」と話しています。この勝利がどう生きてくるか。次戦以降も注目です。敗れた大宮は「攻守の連動性が非常に欠けていた」とゲームを振り返った鈴木監督も、イ・ホに関しては「彼自身だけが悪かった訳ではない」と話しましたが、やはり「セカンドボールへの対応が曖昧で、拾われてはカウンターを食らっていた」(青木)のは否めません。このパフォーマンスがコンディションの問題か、コンビネーションの問題かはわかりませんが、現状ではもう少しその双方が向上してくるのを待って起用するのが得策でしょう。今日は「奪った後を正確に繋ぐことが攻撃への第一歩」と斉藤が語った部分の差が、結果に反映されたと言えるのではないでしょうか。 AD土屋
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J2第23節 柏×甲府@日立台

48ポイントで順位表の一番上をキープし続けている柏。そこから離れること4ポイント差で首位を追走する甲府。23節にして訪れたJ2頂上対決にふさわしく、試合前から両ゴール裏が魅せ合います。まずは柏サポーターによる、この両チームが繰り広げてきた対戦の歴史には欠かすことのできないバレーのフラッグ披露に対して、甲府サポーターがバレーのチャントを合唱。そして柏サポーターの“柏バカ一代”に、手拍子で応える甲府サポーター。加えて「柏レイソル」コールを繰り出した甲府サポーターへ、メインスタンド、そしてバックスタンドから巻き起こる拍手。かつてないほどに素晴らしい、フットボールを愛する日本人として世界に誇れるような雰囲気の中で、ビッグマッチはそのキックオフを迎えました。ゲームが始まると、まず目に付いたのは柏のシステム。「相手に研究されているので、我々は戦術のバリエーションを持つべき」と語るネルシーニョ監督が選択したのは、中盤をダイヤモンドにした4-4-2。「相手の意表を突く意味もあったと思う」とは、いつものボランチではなく左SHに入った大谷秀和ですが、この形で自由を謳歌したのはダイヤモンドの頂点に入ったレアンドロ・ドミンゲス。5分に積極的なミドルを放つと、13分にはやはりレアンドロのスルーパスに抜け出した澤昌克の折り返しを、林陵平が左足アウトでフィニッシュ。ボールはクロスバーを越えましたが、まず最初の15分間はホームチームが圧倒的攻勢に打って出ます。15分を過ぎても、大きな流れは変わらず柏ペース。たまらず、甲府の内田一夫監督も「前半の途中からトップ下の養父(雄仁)と(3トップ左の)パウリーニョのポジションを変えて、相手のCB2枚にプレッシャーを掛けて、DFラインを下げないようにした」ものの、大枠の流れに変化をもたらすまでには至りません。攻撃面でもハーフナー・マイクはパク・ドンヒョクにほぼ完璧に封じ込まれ、前述の通り養父、途中からはパウリーニョと3トップ下に入った2人もボールを引き出せず、手詰まりに。シュート数こそ柏の6に対して甲府は4でしたが、内容では「マッチアップの隙をうまいこと突かれた」(内田監督)甲府を柏が圧倒するような形で、前半の45分間は経過しました。迎えた後半も47分にレアンドロからパスを受けた村上佑介のクロスから、最後は澤がフィニッシュを取って勢いを持続させると、54分にとうとう甲府決壊。レアンドロの左CKを林が体を伸ばして頭で折り返すと、飛び込んだ村上のヘディングはフワリと緩やかにゴール左スミへ吸い込まれます。決定力に定評のあるSBの一撃で柏が先制すると、2分後にも流れそのままに追加点。林が左に出したボール、対面にいた甲府右SB津田琢磨のアプローチがやや遅れると、1対1の主導権を握った橋本和は仕掛けてから中へ。受けた林はワントラップから素早く左足のトーキック気味にシュートを放ち、ボールは右ポストの内側を叩いて、ゴールの中へ。前節途中出場で2ゴールと結果を出して、スタメンを勝ち取ったストライカーが今日も躍動。わずか2分間で、柏のリードは2点に広がりました。さて、アウェイで小さくないビハインドを負うことになった甲府。59分にはパウリーニョのパスからハーフナーが決定的なシュートを放つも、GK菅野孝憲が顔面でストップ。点差は詰められません。内田監督は61分に大西容平とマラニョン、70分に津田と柏好文を相次いでスイッチ。空いた右SBには「スペースがあった時にボールを運べるし、ブラジル時代にやっていた」ダニエルを回し、CBには秋本倫孝を1列落として、ハーフナーの下には右から柏好文、パウリーニョ、マラニョンを並べた4-2-3-1が反攻態勢を敷く布陣になります。しかし、74分には柏に絶好機。カウンターからレアンドロが完全に抜け出し、最後は途中出場のホジェルがネットを揺らして、ジ・エンドかと思いきや、副審はオフサイドと判定。3点目とはいきません。するとその1分後、バックスタンド側でハーフナーにタックルを仕掛けた村上へ、佐藤隆治主審はイエローカードを提示。64分に1枚目をもらっていた村上はこれで退場となり、残り15分を柏は10人で戦うことになりました。ただ、ネルシーニョ監督はすぐに澤を下げて、小林祐三を投入。「クリさん(栗澤僚一)がパウリーニョにマンツーマン気味で付いて、僕と林がその穴埋めに動く」(大谷)ような、実質4-1-3-1のような形で数的不利に対応し、終盤まで決定的なピンチは創らせずに、時間を潰していきます。ところが86分に「対策の取りようがない」(大谷)飛び道具が炸裂。左サイドで右足へ持ちかえた柏好文のクロスに、競った橋本の遥か上から打ち下ろされたハーフナー砲は、ゴール左スミに見事命中。2-1。アウェイゴール裏はにわかに活気付きます。このアシストで気を良くした柏好文は、88分にも右サイドを鋭いドリブルで抜け出し、ここは佐藤主審がアドバンテージを適用しなかったために決定的なシーンを潰されてしまいますが、直後にもう一仕事をやり切ります。もはや正規の時間は経過した91分、一瞬の隙を突く養父のスルーパスに反応した柏好文は、飛び出した菅野の上を抜く右足アウトでシュート。DFが懸命にカバーしましたが、最後はハーフナーが「気持ちで」プッシュ。敗戦濃厚の窮地から甲府生還。2-2。J2首位攻防戦は両者譲らず、勝ち点1を分け合う結果になりました。甲府は90分間の大半で抑え込まれながら、終わってみれば2ゴールを挙げたハーフナーもさすがでしたが、そのハーフナーも「流れを変えてくれた」と言及した、実質2アシストの柏好文が光ります。内田監督も「持ち味のスピードを生かしてくれた」と称賛したように、果敢な姿勢が同点劇を呼び込んだのは間違いない所。追い付いてみせたメンタリティの強さに、ルーキーの活躍。甲府にとって意義の大きい勝ち点1と言えるのではないでしょうか。柏のターニングポイントは、やはり村上の退場。「11人の時は相手にチャンスを創らせなかった」とネルシーニョ監督が振り返ったように、75分までに許した決定機は1回。それだけに「少しズレが出てきたのは感じていた」と大谷の言う75分以降が悔やまれます。それでも「最終的に引き分けで、2位との差を縮められることなく首位をキープした」(ネルシーニョ)のも確か。真夏の日立台決戦は、その前評判に違わぬ好ゲームでした。 AD土屋
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J1第19節 湘南×京都@平塚

前節は残留争いのライバル神戸にスコアレスドローも、5試合ぶりの無失点と勝ち点獲得。一時は崩壊傾向にあった守備陣も一定の落ち着きを取り戻した13ポイントの17位湘南。秋田豊新監督の就任という劇薬投入にも負のスパイラルは止まらず、リーグ戦は6試合連続無得点での6連敗。厳しい戦いが続く10ポイントの18位京都。まさに残留を争う、崖っぷち同士の決戦は真夏の湘南。サザンの唄みたいな平塚競技場です。京都のメンバー表を見ると、中村充孝にキム・ソンヨンと今シーズン初スタメンが2人。「コンディションのいい選手をどんどん使う」とは秋田監督ですが、ベンチに並んだドゥトラ、柳沢、宮吉というメンツを見れば、ある程度前半は守備に軸足を置き、後半勝負という策略は予想され、実際に3-4-2-1の4を務める右の渡邉と左の中村太亮は、湘南3トップの両ワイドに入った中村と阿部をケアするために低い位置を取るなど、まずは失点しない姿勢を鮮明に打ち出します。対する湘南は、「今まで通りの4-3-3で、自分の所でボールを潰せれば」と話す田村をアンカーに、坂本と特別指定選手の永木亮太をその前に置く、最も見慣れた4-3-3でスタート。5分には田原のポストプレーから、阿部がミドル。11分には中村のミドルがDFに当たったこぼれを、永木が拾ってシュートを放つなど、まずはいいリズムでフィニッシュまで持ち込むシーンを創ります。しかし、徐々に「裏への飛び出しと空中戦への対応」について、監督から指示を受けていたキムへのロングボール一辺倒になっていく京都に付き合うような形で、序盤は見られたダイレクトパスを綺麗に数本繋いで前へ運ぶようなシーンも減少し、チャンスを掴めなくなっていきます。45分が経過した時点で、湘南のシュート数5に対して、京都のそれは1。決定機は共にゼロと、この順位での対決にしては非常に静かな前半が過ぎ去っていきました。ハーフタイムを経て、ピッチへと戻ってきた京都に施される選手交替。秋田監督はまずドゥトラを投入します。ベンチへ下げたのはボランチの加藤。やや予想外のスイッチでしたが、これで2シャドー気味の中山を1列落としたことで、ボールの回りもよくなり、47分には永木から奪ったボールを起点に、左サイドから中村太亮が折り返し、中村充孝がスルーを選択すると、フリーで走り込んだ中山がシュート。左足で蹴られたボールはクロスバーを越えましたが、ようやく決定機を生み出します。51分にもやはり中村太亮の左クロスから、キムがうまく頭で落として、なんとか田村がクリアするシーンを迎えるなど、中村太亮のオーバーラップを生かして、左サイドが活性化した京都が後半は立ち上がりからペースを掌握。これには反町康治監督も53分に「真ん中(CB)はしっかり対応できていたし、真ん中ではゲームに入りづらいので中村太亮に対して1対1の強さに期待して」村松を臼井に替えて、右SBへそのまま投入。勢いを削ぎにかかります。しかし、一度傾いた流れはそう簡単に変わらず。59分、中盤でドリブルしていた坂本のボールを奪うと、安藤は左へ。「前半はあまり前を向けなかったので、後半はどんどんシュートを狙っていこう」と考えていたキムは、カットインから抜き切らないタイミングで右足を奮うと、ボールはDFに当たってわずかにコースを変え、都築の牙城を突破。監督の期待に応えたCFの今シーズン初ゴールで、アウェイの京都が先制ゴールを奪いました。一気に苦しくなった湘南。反町監督は失点の2分後、中村を下げてエメルソンを投入。2戦続けてスタメンを外したブラジル人に勝負を懸けます。するとこの交替策も見事に奏功。64分には、そのエメルソンがFKから相手のオウンゴールを引き出し、これはオフサイドでノーゴールとなったものの、スタジアムの空気を一変させると、69分にも一仕事。中央右寄りでボールを持つと、絶妙のタイミングで浮き球を縦へ。阿部が頭で落としたボールを、田原は豪快なダイレクトボレーで、京都ゴールを射抜きます。1-1。残り20分で再びスコアは振り出しに戻りました。目まぐるしく動くベンチ。秋田監督の決断。71分にはキムに替えて柳沢を、73分には中村充孝に替えて角田を相次いで送り込み、システムも柳沢を頂点に、その下には右からドゥトラ、角田、中村太亮を並べる4-2-3-1にシフトして、勝ち越しを狙います。76分にはシンプルな縦フィードにドゥトラが全力で追い付いて中へ上げたボール、ニアに走り込んだ柳沢のボレーは右ポストを叩き、湘南サイドは冷や汗。それでも、再び流れが京都に傾きかけた80分、湘南がワンチャンスで歓喜。阿部が縦に送ったボールは、もつれた京都DFの間をすり抜け田原の元へ。水谷のうまい対応で、シュートチャンスを逸した田原がさらに左へ持ち出すと、伸びた水谷の手に引っ掛かる格好で転倒。微妙なシーンでしたが、岡部拓人主審が指し示したのはペナルティスポット。エメルソンが冷静に水谷の逆を突き、湘南がとうとう逆転に成功しました。勝ち点3まで10分強。この時間帯で存在感を見せたのが永木。4-2-3-1に変わった布陣で、3の右サイドとして猛烈なプレスを敢行。85分にはバックパスを受けた水谷に全力疾走で襲い掛かり、クリアを体でブロック。このゲームを最後に大学へ戻る22歳が、J1で戦った7試合の集大成を体現します。ところが、「最後の時間の使い方は勝ち慣れていないチームなのかな」と反町監督が振り返った90分以降にまだドラマが。92分、中村太亮のクロスに合わせた柳沢のヘディングはクロスバーを掠め、さらに95分、再び中村太亮のクロスから最前線に上がっていたカク・テヒのボレーが今度は右ポストを直撃。追加タイムの掲示は4分。これでタイムアップかと思われた瞬間、こぼれ球へ猛然と駆け出した安藤が懸命に中へ戻すと、中山の折り返しは柳沢へ。「決まってくれと念じるように打ったシュート」は、ジャストミートしなかったものの、ゆっくりとゆっくりとゴール右スミに吸い込まれます。秋田監督就任後、3試合続けてスタメンを外されたエースの意地が土壇場で炸裂。まさに痛み分け。2-2のドローで、お互いに勝ち点1ずつを積み上げる結末となりました。京都にしてみれば、ほとんど敗戦寸前で奪い取った勝ち点1。「これで自分自身も吹っ切れてできると思う」とは柳沢。「最後まで粘ってドローにしたことは、チームにとって凄く前向きになれる材料」とは就任以降、初の勝ち点獲得となった秋田監督。これを浮上のキッカケにできるでしょうか。湘南にしてみれば、待望の勝利がスルリと逃げていってしまった勝ち点1。「最後はみんなで意志統一ができてなかったのかな」とは田村。「サッカーの厳しさを教えられたゲーム」とは反町監督。ただ、この教訓を生かせるゲームはまだ15も残っています。 AD土屋
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J1第19節 横浜FM×山形@ニッパ球

前節、前々節でようやく今シーズン2度目の連勝を飾った横浜FM。特に前節は数的優位を得たとはいえ、中村の1ゴール1アシストで清水を首位から引きずり降ろす、会心の勝利。順位も8位まで上昇し、調子が上がってきているのは間違いありません。一方、三ツ沢に乗り込んだ山形も、磐田と新潟を共に1-0で下し、今シーズン2度目の連勝。今日のゲームに、昇格後初となる3連勝が懸かります。中位からの脱却を視野に入れた一戦。日中に比べればだいぶ落ち着いたとはいえ、それでも29.6度と蒸し風呂のようなコンディションでキックオフを迎えたゲームは、まずポゼッションで上回った横浜が攻勢に。山形が4-1-4-1に近いシステムを敷くため、どのチームもまずは狙うであろう、アンカーに入った佐藤の両脇に空くスペースに対して、横浜は2トップに山瀬、長谷川という比較的中盤起用の多い2人を配して、バイタル攻略を意識したスタート。さらにSHには機動力の高い兵藤が入ることで、2トップが創り出したスペースを有効利用したい狙いは見て取れ、実際に12分にはその兵藤がうまくバイタルに潜り込んで、山瀬へスルーパス。シュートは枠を外れたものの、山形対策の教本のような形で1つチャンスを創ります。さらに19分には、カウンターから長谷川が右へ送ると、広大なスペースに走り込んだのは右SBの天野。これもシュートはゴールを逸れましたが、相手を押し込みます。対する山形は、立ち上がりの15分こそ秋葉や佐藤がミドルを放ちましたが、「ボールを回していくことは少しできた」(小林監督)とはいえ、エリア内へ人数を掛けていくようなシーンはほとんど見られず、攻撃に関しては難しい時間が続いていました。ただ、「(相手は)中2日ということもあってか、思ったより重かった」と山形の小林伸二監督が触れたように、その後の横浜はなかなか連動性も上がらず、「決定的なシーンがそんなにたくさん創れなかった」という兵藤の言葉通り、流れの中からチャンスを生み出せません。キックの感覚を前節から継続させているかのような中村のセットプレーは切れ味抜群でしたが、32分に直接狙った右CKはニアサイドのポストにぶつかり、43分のピンポイントCKは栗原のヘディングが左ポストをなめて外れるなど、ゴールを陥れるまでには至りません。ボールキープ率と6本に終わったシュートを鑑みて、「サッカーはボールキープゲームじゃない」と木村監督が表現した言葉がまさに当てはまるような展開で、スコアレスのまま前半は終了しました。後半もまずは「入りが悪くて押し込まれた形」(小林監督)からスタートした山形。しかし、この状況で「こういう時にモノをいう」(同)リスタートが、劣勢のアウェイチームに歓喜をもたらします。52分、右サイドで増田が奪ったFKを自ら蹴ったボールは、綺麗な弧を描いてファーサイドへ。そこに待っていたのは、「相手はゾーンで守ってるんで、思い切ってスピード上げて裏に出ればボールが来るかなと」飛び込んだ石井。少し難しい高さにも、うまく左足で丁寧に合わせたボールは、スッポリとゴールネットへ。よく耐えていたCBのまるでストライカーのようなJ1初ゴールが飛び出し、意外にも山形がリードを奪いました。さて、「いつか(ゴールが)取れるだろうというような流れ」(兵藤)の中で、いきなり冷水を浴びせられたような形になった横浜。木村監督は59分にボランチの清水を下げて、齋藤を投入。中盤4枚の並びを、右から兵藤、小椋、中村、齋藤に組み替え、圧力を強めに出ていくと、66分にも効果的なプレーを出し切れなかった長谷川を諦め、渡邉を送り込み、勝負に出ます。すると67分には齋藤が中央を思い切ったドリブルで切り裂くと、山形DFは付いていけず、フィニッシュは清水に阻まれましたが、個の可能性を表現してみせます。さらに76分、左サイドから崩しにかかると、渡邉の速いクロスに兵藤が飛び込むも、ボールは左ポストを掠めて枠外へ。ゴールは奪えませんが、勢いは再燃してきました。「もう必死。それだけ」(石井)で守りを固める山形は、78分に右SBを宮本から小林へ、81分にCBを前田から園田へスイッチするなど、リードしている側が確かに疲労が目立っていたとはいえ、最終ラインの選手を2枚替えるという、ある意味リスクの大きな決断を選択して、何とか1点を守り切る覚悟を表出。横浜も波戸に替えて、松田を3バックの一角に送り込み、栗原を最前線に上げてバワープレーを敢行しますが、予想外に長かった5分の追加タイムを経てもスコアは変わらず。「逞しくなったなと」指揮官も目を細めるウノセロで、山形がまた新たな快挙をクラブ史に刻みました。敗れた横浜の木村監督は「山形のサッカーにまんまとハマった。こんなサッカーしてたらいつまでも優勝争いに絡むことなんてできない」と相当おかんむり。兵藤も「やられたっていう感覚がない」としながら、「ああいう場合はセットプレーでやられるのはわかってた」と反省点も抽出。なまじ攻める時間が長かっただけに、ゲームを通じて「全然ビッグチャンスが創れなかった」(木村監督)のは痛恨。またも連勝はあっさり止まってしまいました。勝った山形は、シュート数こそ相手の2分の1さえ下回る6本ながら、キッチリ完封勝利。「こういう展開はウチのペース」と北村も話したように、苦しいゲームも耐えてモノにする力が、確実に付いてきました。これで勝ち点は27に。目標の50も十分視界に捉えてきたのではないでしょうか。 AD土屋
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J1第18節 川崎×広島@等々力

昨シーズン、同じ等々力でのゲームは片方に1人退場者が出たとはいえ、7-0。同じ“攻撃的なスタイル”を旗頭に掲げるチーム同士ながら、志向するスタイルは異なるために、噛み合わせからいってもロースコアは考えにくいのが、川崎と広島のゲームです。間違いなくキーになるのは先制点。特に川崎が先にゴールを奪うと、少なく見積もっても7割方は勝利に近付くことが予想されるだけに、広島はある程度5バックもやむなしと割り切って守る形でゲームに入っていきます。必然的に攻める時間は長くなる川崎。ただ、「攻撃の基点はサイドに創りたい」という高畠勉監督の意図とは反して、よくボールに触るヴィトール・ジュニオールが中央に入りがちな面もあってか、どうしても中からの攻撃が目立ちます。最初に流れの中からチャンスを創ったのは、15分にヴィトールが左サイドからカットインしてシュートを枠へ飛ばしたシーンではありましたが、あとは15分に広島DFラインとの連携が乱れたGK西川に黒津が寄せて、こぼれをジュニーニョが狙ったシーンや、33分にストヤノフのミスパスを小宮山が奪って、ヴィトールを経由してから中村がフィニッシュへ持ち込んだシーンなど、相手のミスが生じた時に限られます。35分に中村のパスを受けた黒津がバーの上へ外した前半最大の決定機も、中村が広島のボランチに入っていた中島のミスを奪った場面が起点。当然、相手のミスをチャンスに繋げる川崎の狡猾さが素晴らしいことを前提に、それでもあれだけ攻める時間が長かったのであれば、もう少し能動的な崩しがあってもよかったかなという印象は持ちました。そんな中、目に止まったのは久々のスタメン復帰となった森の2つのプレー。右サイドでボールを持ち上がり、中で受けたがるヴィトールへ、彼が欲しがったタイミングから2テンポくらいずらしてパスを出したことで、見事にDFを外した状態を創り出すプレーを5分間くらいの間に2回も見せました。あまりフィーチャーされるようなシーンではないかもしれませんが、この一連は決して簡単ではなく、森のプレーレベルの高さをよく表していたと思います。さて、広島の攻撃はというと、25分過ぎからは1トップ下の2シャドーに入った桒田と森崎浩司がバイタルに侵入し始め、26分には森崎浩司が、31分には桒田がエリアのすぐ外で倒され、FKを獲得。前者はストヤノフ、後者は森崎浩司が揃って枠を捉え、共に相澤の好守に阻まれたものの、セットプレーから惜しいシーンを創ります。それでもチャンスはその2回のみ。45分はスコアレスで推移しました。迎えた後半、ゲームを動かしたのは「いつも以上に強い気持ちで臨んだのは確か」という広島ユース出身で、今は川崎の中盤に欠かせない存在の25歳。54分、ヴィトールからのサイドチェンジを、左サイドでうまくトラップした田坂は、「枠が見えたら狙っていこうと思っていた」と右足を振り抜くと、ボールは綺麗な弧を描いて遠いサイドネットを捕獲。広島のペトロヴィッチ監督も「チャンスらしいチャンスではないが、1人のクオリティでゴールが生まれた」と言及したゴラッソ。待望の先制ゴールは川崎が記録しました。こうなると前へ出ていかざるを得ない広島に対して、「攻められているのを逆手に取るやり方がハッキリする」(田坂)川崎という構図は鮮明に。1つのゴールが生まれて以降は、ボールは広島が持ちながら、チャンスは「スペースがあったからカウンターができるようになった」(高畠監督)川崎に頻発。61分にヴィトールの左クロスを黒津が二アで合わせたシーンや、65分に中村のスルーパスからジュニーニョが抜け出してシュートへ持ち込んだシーンなど、ジワジワと広島を追い詰めます。そして66分、左サイドを中村と小宮山で崩すと、中村のピンポイントクロスを、最後はヴィトールがヘディングで一刺し。川崎が追加点をマークし、実質ゲームを決めてしまいました。この先制ゴールが入ってから、追加点を挙げるまでの12分間を見ると、おそらくポゼッション率は広島が上回っていたでしょう。しかし、両者のシュート数は川崎の5に対して、広島は0。「メリハリをつけてゲームをコントロールできるようにやりたかった」という指揮官の意図を見事に体現したこの12分間に、川崎が持つチーム力の高さが象徴されていたと思います。以降は、中村、稲本、ジュニーニョと「夏場の連戦の中ではチームにとっても欠くことのできない選手」(高畠監督)を次々とベンチに下げる、余裕のゲーム運びを見せた川崎が危なげなくリードを守ってタイムアップ。5試合負けなしと上り調子で、3日後にホームで戦う首位名古屋との決戦を迎えることになりました。少し心配だったのは広島のパフォーマンス。ここ最近は相手の出方を見ながら守備的に入るゲームもある中で、最後まで攻撃の形を見い出せずに敗れてしまうケースもあるように感じます。「チームは少し難しい時期に来ていると思う」とはペトロヴィッチ監督。内容と結果の、追求と実情。主力にケガ人が多いのは間違いありませんが、ケガ人が続出してしまうような原因の見直しも含めて、広島はペトロヴィッチ体制の大きな分岐点にさしかかっているのかもしれません。 AD土屋
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J2第22節 千葉×熊本@フクアリ

1-1のドロー決着となった開幕戦の再戦。現在昇格圏内の3位に入っている千葉は、再開後の4試合で1勝2分け1敗とやや足踏み状態。4位の福岡も3ポイント差とすぐそこまで迫っており、ヒリヒリした戦いが続いています。一方、千葉を5ポイント差で追い掛けるのは6位の熊本。昨シーズン崩壊した守備の整備を、高木琢也監督は就任1シーズン目で着々と推し進め、前半戦終了時点で昇格争いに食い込むまでチーム力を押し上げています。お盆開催の上位対決は10435人を集めたフクアリにて。開始55秒、櫛野亮のキックを直接受けた谷澤達也が、ワントラップボレーを枠へ飛ばしたシュートを号砲に、序盤から千葉がラッシュ。6分、千葉のカウンターは3対3、右の谷澤は左でフリーの深井正樹へ送るも、深井はトラップミスでシュートを打てず。8分、谷澤、アレックスと繋いで、佐藤勇人のシュートはDFがブロック、工藤浩平のシュートはバーの上へ。11分、ショートコーナーからアレックスが狙ったミドルは、南雄太がこぼすも何とかCKに逃れた熊本。千葉が早々にゲームの主導権を握ります。ただ、「千葉に流れが傾くのはだいたい予想できていた」とは高木監督。中でも「トップ下の谷澤をどう抑えていくか」(高木監督)というキーポイントにも関わらず、序盤は谷澤を自由に泳がせてしまったため、10分過ぎから基本は「ダブルボランチでうまく受け渡しながら」(同)、前へ出てこられた時には、CBに受け渡してケアすることを徹底。すると、押し込まれる展開は変わらないものの、徐々に危ないシーンの数は減少していきます。また、千葉の江尻篤彦監督が施した配置転換も、特に前半は結果的に奏功しなかった格好に。ここ最近は佐藤とのドイスボランチを組んでいた工藤を3トップの右へ起用し、佐藤のパートナーには7試合ぶりのスタメンとなる山口慶が起用されましたが、押し込む時間帯が長い中で、熊本の1トップ下に入った松橋章太が完全に消えていたことで、山口の特徴である守備面でのタスクもそれほど多くなかった印象です。すると、攻撃面では「監督からあまり出ていくなと言われていた」(山口)とはいえ、工藤と比較すればやはり物足りない部分は否めず、その工藤もそこまでサイドから決定的なシーンを創り出せなかったこともあり、熊本のCB福王忠世も「工藤くんはいい選手だけど、真ん中にいた方がイヤだった気はする」と振り返っていました。29分にゴール前のこぼれ球から谷澤が放った決定的なシュートも福王が体を張ったブロックで、ゴールを死守。39分には右SBに入った青木良太の左足フィードへ、斜めに走り込んでラインブレイクしたネットのダイレクトボレーは遥かバーの上へ。シュート数は11対3と圧倒的に千葉が攻め立てながら、ゲームは動かず。スコアレスで45分は経過しました。さて、動き自体は精力的だったものの、イージーなミスが目立った深井に替わって、後半開始から倉田秋が投入されると、47分にはその倉田を起点に、谷澤がファウルは取られましたが惜しいチャンスを創出。50分には佐藤の鋭いアーリークロスにネットと倉田が飛び込み、わずかに届かなかったとはいえ、やはり千葉が一層勢いを増していきます。そして51分、バイタルに潜り込んだ谷澤のスルーパス、反応したネットに南が飛び込み、ボールを押さえたかのように見えましたが、扇谷健司主審の判定はPK。「僕自身は少なくともファウルではないと思っている。アンラッキーなジャッジメント」と高木監督も言及するほどデリケートなシーンではありましたが、判定は判定。ネットが力強くゴールに突き刺し、千葉が1点をリードしました。さて、「リトリートして守っている限りは、先に失点したくなかった」(福王)熊本。53分には平木良樹を下げて西弘則を、66分には松橋を下げて藤田俊哉を投入し、変化を付けて1点を奪いに出ていきます。前半から1つポイントになっていたのは、右SBの筑城和人。28分にチーム初シュートを記録し、34分には平木、カレンと繋いで、西森正明が上げたクロスに、シュートこそ打てなかったものの果敢に飛び込み、48分にも平木、吉井孝輔、カレンと流れるようなパスワークからフィニッシュを務めるなど、積極性を打ち出します。ただ、逆に言えば4-2-3-1の前線4枚でシュート合計1本では、ゴールに迫れないのもやむなし。なかなか追い付くことができません。すると、終了間際の88分にゲームを決めるゴールが千葉へ。アレックスのFKを福王が懸命に頭で掻き出すと、ボールは熊本DFへ当たり、緩やかな軌道のままにゴール右スミへ吸い込まれます。結果、ハーフタイムに「必ず点を取って帰ってこい」と飛ばされた指揮官の檄に応える2ゴールを挙げてみせた千葉が、しぶとく勝ち点3を奪取しました。敗れた熊本は「ほぼ完璧とはいかないまでも、狙いの守備はできていた」と高木監督が話したように、守備面では劣勢の中でも集中して耐えることができていただけに、あとはやはり攻撃面。新加入のカレンもワンタッチで捌く正確なポストプレーは機能していただけに、次は彼に前を向いて勝負させる形を周囲がどう創っていくかが、得点力向上の鍵になりそうです。勝った千葉は「もう少し楽なゲーム展開にできた」と江尻監督が触れた通り、前半に1点でも入っていれば確かに余裕を持ってゲームを運べたとは思いますが、今は勝ち点3が最重要。PKにオウンゴールとはいえ、しっかりゼロに抑えて勝ち切ったことが何より次戦以降に繋がるのではないでしょうか。個人的にはFoot!でもお馴染みの西部さんが監督会見で「話せる範囲で」と尋ねた質問に、江尻監督が本当に話せる範囲のミニマムで答えたのが面白かったです。 AD土屋
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J2第21節 草津×栃木@正田スタ

3クラブによる北関東ダービーも今年で2年目。1巡目を終えた順位は1勝1分けの水戸がトップ。2分けの草津が追走し、1分け1敗の栃木もまだまだ頂点を狙えるポイント差です。後半戦最初のダービーは草津と栃木の激突。順位こそ18位の草津に、7位の栃木と差が付いていますが、ここ5試合は草津の2勝3分けに対して、栃木は1勝4敗。その上、ダービーとあってはまったく勝敗の行方もわかりません。FMぐんま開局25周年記念スペシャルマッチに、集まった観衆は7946人。群馬出身のタレントJOYのキックインで、ダービーは開宴しました。ゲームが始まると、草津の副島博志監督が「栃木は2トップへのロングボールが多いと踏んでいたが、そうではないスタイルに戸惑いがあった」と語ったように、繋ぐスタイルへ回帰したことで好調を維持している草津のお株を奪うようなパスワークを見せた栃木が攻勢に。8分には入江利和のクロスに、廣瀬浩二がダイレクトヒールで枠へ飛ばすシュート。14分には、高木和正のCKから本橋卓巳が右足ボレーを放つなど、草津ゴールを脅かします。すると勢いそのままに先制ゴールが生まれたのは23分。栃木のFK、「(チェ)クンシクが要求していたので」と振り返る高木の密集を外したグラウンダーパスに、やはり「カズ(高木)にボールを出せとシグナルを送った」チェが走り込むと、ノートラップで左足から放たれたボールはゴール右スミを撃ち抜きます。完全なサインプレーが見事成功。「先制点を取るまでは非常によかった」(高木)栃木が、まずはリードする展開になりました。さて、自分たちのやりたいサッカーを逆にやられて、ホームで先制を許した草津は、「櫻田(和樹)と松下(裕樹)へのプレッシャーが非常に厳しかった」と指揮官が言及した通り、対面になる栃木のドイスボランチに入った本橋とパウリーニョのパワーに櫻田と松下が圧される局面も多く、どうしてもラフィーニャへの単調なロングボールが増えてしまい、やりたいスタイルを出させてもらえない時間が続きます。スコアが動いて以降は、かなり膠着したゲームになっていく中、39分に高田保則が左サイドから粘って上げたクロス、田中淳のパスから松下が狙いましたが、ボールはバーの上へ。結局、4対8と倍のシュート数を記録した栃木が1点のアドバンテージを得て、45分間は終了しました。迎えた後半も先にチャンスを創ったのは栃木。50分、草津のFKから松下のシュートをブロックすると高速カウンター開始。人数にして6対3。持ち上がった赤井秀行は左へ流し、追い越した大久保裕樹は1人かわしてフィニッシュ。わずかに枠の左へ逸れますが、早速草津に冷や汗をかかせます。ところが、その冷や汗が渇く間もなく、今度は草津にチャンス到来。52分、松下、高田と繋いで、「栃木も運動量が落ちて、ボランチとCBの間にスペースが空き始めた」と副島監督が話した、まさにそのスペースに熊林親吾が潜り込み、スルーパスを送ると、前半はまったくと言っていいほどにボールへ絡めなかった後藤涼はうまくDFと入れ替わって、強引にシュート。強い威力のボールはGKの股間を破り、ゴールネットを揺らします。あれだけ苦しんだ前半から一転、「交替も考えたが、最近はリズムに乗ってきているのでもう少し様子を見てから」(副島監督)とピッチに残した後藤の、「意図した形からのゴール」(同)で、草津がゲームをイーブンに引き戻しました。すると、ここからはホームチームに主導権が移ります。キーマンは熊林。彼が持ち場の左サイドいっぱいに開いて受けたり、中央に侵入して受けたりと、広範囲にボールを引き出すことで、持ち前のパスワークが復活。栃木のGK武田博行も「受けに回ってしまい、相手にリズムを作られてしまった」と振り返っています。こうなると俄然生きてくるのはラフィーニャ。65分、68分と積極的なシュートチャレンジを見せると、その姿勢が実ったのは72分。熊林の右CKを、二アで後藤がDFと重なりながらすらした形に。ファーで待っていたラフィーニャのヘディングに、1度は武田も素晴らしい反応で弾き出したものの、再びラフィーニャがプッシュ。逞しさすら感じさせる、21試合目にして今シーズン初の逆転で、草津が1点のリードを得る格好になりました。松田監督にしてみると、リズムを明け渡したことに関して、「1失点目のかなり前からリズムが悪く、廣瀬の所と替えなきゃいけないなと。廣瀬は悪くなかったが、替える以外にリズムは変わらないなと思ったが、1つ2つくらい選手交替が遅れてしまった」と後悔を口に。逆転を喫して、74分にはその廣瀬に替えて水沼宏太を投入しましたが、流れを引き戻すまでには至らず、81分の佐藤悠介、82分の林祐征と相次いで送り込んだカードも、劇薬とはなりません。終盤は余裕すら感じさせるようなゲーム運びを見せた草津が、「先制されても逆転できるようになった」と副島監督も目を細める逆転劇で連勝を達成。北関東ダービーでも暫定ながら水戸を抜いて、首位に躍り出ました。敗れた栃木は、後半に入って「中盤が非常にスペースが空いたので、ウチの持ち味を存分に生かせた」と敵将に言及されたように、バイタルを引き締められず、いいように使われてしまい、後手に回った印象です。高木が話した「相手のペースになった時に自分たちがどう戦うか」が、今後上位進出を狙う上で、避けては通れない課題でしょう。勝った草津は、これで再開後は3勝1分け。シーズン通じて挙げてきた5勝の、実に半分以上がこの1ヵ月に集中するなど、劇的にチーム力が向上しているようです。「1試合ごとにチームが成長している」と副島監督。後半戦は上州からJ2に吹き荒れる空っ風に要注目ですね。 AD土屋
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スルガ銀行チャンピオンシップ2010TOKYO FC東京×リガ・デ・キト@国立

コパ・ナビスコとコパ・スダメリカーナのチャンピオンが日本で激突するスルガ銀行チャンピオンシップも早3回目。日本代表は昨年度のコパ・ナビスコで川崎を破って、タイトルを獲得したFC東京。南米代表は2年前にもコパ・リベルタドーレスを獲得して、CWCで来日を果たしているエクアドルの雄リガ・デ・キト。コパ・スダメリカーナ獲得時の監督はホルヘ・フォサッティでしたが、今年からCWC時に指揮を執っていたエドガルド・バウサが復帰。スタメンにはレアスコ、グアグア、デラクルス、ウルティアと4人のワールドカップ経験者が名前を連ねました。さて、ゲームは共によくわからない相手の出方を窺うような立ち上がりに。4分、東京はドイスボランチの一角としてスタメンに入った田邉草民が左へ展開、左SBの中村が右足でクロスを送ると、森重のヘディングはGKドミンゲスがキャッチ。6分には相手FKからのカウンター、平山のパスを受けた石川のカットインシュートはドミンゲスがセーブ。この2つのシーンが象徴するように、「最初の10分から15分は流れに慣れるのが大変だった」(バウサ監督)というリガ・デ・キトを尻目に、まずは東京の攻撃する時間が長くなります。21分には大竹のCK、23分にはキム・ヨングンの直接FK、28分には大竹のCKと、セットプレーからもチャンスを創り、攻勢を強めますが、一発を秘めていた南米王者。29分、サルゲイロのパスを受けたバルコスは、対面の今野をあっさりかわすとファーサイドにキッチリ流し込むファインゴール。「相手は前から来るわけでもなく、マイボールの時間も長かった」(権田)中で、東京からすれば突如として奪われた失点。「相手のファーストチャンス」(城福浩監督)で、ビハインドを負う格好になりました。それでも「♪スルガを獲って世界一〜」と歌い続ける東京サポーターが歓喜に沸いたのはわずか5分後。中央で中村からボールをもらった田邉は、ゴールまで25m近い距離から無回転気味のミドル。ドミンゲスが辛うじて弾いたボールに、体で飛び込んだのは平山。ここの所、リーグ戦でも出場機会を減らしていた男の同点弾。1-1で最初の45分間は経過しました。後半に入ると、「モチベーションはあったが、万全の準備をできるような状況ではなかったので、誰が何分やるというコンディションを中心に考えて」(城福監督)のゲームになった東京は森重と大竹に替えて、梶山と羽生を投入します。当然そこまでもボールは回っていたのですが、この2人が入るとよりスムーズな流れができ始め、一層ペースは東京に。52分には石川の仕掛けから、最後は羽生の落としをリカルジーニョが狙い、60分には今野が素早く始めたFKから梶山がミドルを放つなど、途中出場の2人もフィニッシュに絡み、勢いを増していきます。しかし、62分にまさかの落とし穴。右サイドで得たリガ・デ・キトのFK、サルゲイロが中へ蹴り込むとボールはファーへ流れたものの、スチュアート・アトウェル主審はホイッスルを吹き、PKを指示。正直私はどのプレーがファウルだったのか記者席からわからず、公式記録を見て警告が出ていたので椋原のファウルだとわかったような感じでした。城福監督も「正直僕は理解できない」と話すなど、かなり微妙な判定。これをウルティアは冷静に右スミへ流し込み、「ボールをなかなか長く持てなかった」(バウサ監督)リガ・デ・キトが、後半もファーストチャンスをモノにして、このゲーム2度目のリードを奪いました。さて、「我々がチャンスを創りながらもワンチャンスでやられる。まさに“南米”と対している」(城福監督)ような展開で、再び劣勢に陥った東京。失点する前の57分にはリカルジーニョに替えて大黒を、失点後の64分には田邉に替えてソ・ヨンドクを、さらに77分には石川に替えて重松を投入して、前線に重松、大黒、平山を並べる4-3-3にシフト。加えて、81分にも椋原を松下に入れ替え、ボールを左右に動かしながらも、平山の頭を狙ったバワープレーに打って出ます。ただ、CWCでの来日時には亘さんのインタビューにも快く応じてくれた、ノルベルト・アラウーホを中央に据えて、実質5バック気味で守りを固めるリガ・デ・キトを打ち破れません。それでも諦めない東京の執念が結実したのは91分、キム・ヨングンのフィードに、敵将も「高さにてこずった」と認めた平山が競り勝つと、DFラインの裏に潜り込んだのは「(平山)相太が凄く頑張ってくれてたので、絶対こぼれてくると思った」大黒。一瞬でDFと体を入れ替えると、右に流れるボールをなんと左足アウトで左スミに流し込むスーパーな一撃。「ボールが正面に入ったが、タイミングをずらしたらうまく入ってくれた」と語るストライカーの、まさにワールドクラスと言っていいゴールが飛び出し、土壇場で追い付いた東京。カップの行方はPK戦が決定することになりました。ここで魅せたのはGKの権田。先攻のリガ・デ・キト1人目は、試合でのPKを決めたウルティアでしたが、「とりあえず同じヤツに2回やられたくなかった。蹴り方に特徴があるのはわかったので、逆は絶対取られない自信があった」と振り返る権田は試合中と逆方向を狙ったウルティアのキックを完璧にセーブ。流れを引き寄せます。大黒、デラクルス、松下、ララと続々ワールドカップ経験者が決める中、3人目で登場した重松は、ルーキーらしからぬチャレンジ精神で真ん中に蹴ると、ここはドミンゲスがストップしますが、リガ・デ・キト4人目ルナは枠を外し、続く今野はキッチリ成功。そして5人目、カジェが決めて、東京は梶山。国立でカップファイナルのPK戦というと2004年が思い出されますが、今回も梶山のキックはポストに当たりはしたものの、ボールはゴールの中へ。「いい意味で開き直ったゲーム」(城福監督)をPK戦で制した東京が、3回目にして初めてカップを日本にもたらす結果になりました。色々な意味で、かなりエンターテイメント性に溢れた、面白いゲームだったのではないでしょうか。 AD土屋
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J1第16節 湘南×清水@平塚

13節の京都戦には勝ったものの、ここ2試合はFC東京、名古屋に連敗。なかなか降格ゾーンから抜け出せずに苦しい戦いが続く湘南ですが、それでも中断明け以降は「まだまだ全然よくはないけど、だいぶ慣れては来た」と語る中央大学在学中の特別指定選手、永木亮太を据えたドイスボランチに、その前へ3枚を並べる4-2-3-1に変更してから、全体のバランスはよくなった印象です。対する清水は、ここ2試合こそ名古屋に3-3、C大阪に3-2とハイスコアのゲームが連続したとはいえ、特に最終ラインはメンバーが入れ替わっても、常に一定以上のパフォーマンスを披露。ここまでわずか1敗は、上位チームにふさわしい安定感と言えるでしょう。さて、ゲームは小野の強烈な30mミドルに辛うじて都築が触り、左のポストを叩いた3分のシーンが、パルちゃんがいなくても成り立つエスパルスショー開演の号砲。その1分後、ズルズルと下がってしまった湘南のDFラインを尻目に、左サイドから兵働が中へ送ると、村松ともつれながらルーズボールを拾ったヨンセンのシュートは、懸命に反応した都築の手を弾いて、ゆっくりとゴールへ吸い込まれます。勢いそのままに10分、小野が悠々と中央をドリブルで持ち上がって左に付けると、寄せ切れなかった臼井との間合いを見透かしたような、兵働の25m近いミドルがゴール右スミへ一直線に突き刺さり、早くも2点目。止まらない清水。12分、右サイドで藤本とのパス交換から市川のクロス、密集の中をヨンセンが体に当てると、岡崎が泥臭く押し込んで3点目。わずか12分間で0-3。アウェイゴール裏のオレンジ軍団を除いて、スタジアムは静まり返ります。この立ち上がりの清水はボールも回り、シュートチャレンジも積極的で、あらゆる面において湘南を圧倒。凄味すら感じさせるハイパフォーマンスでした。逆に、「失点してしまったからかはわからないが、重心が後ろに行ってしまっていた」(湘南・反町康治監督)湘南は、永木も「DFラインも引いちゃって、プレッシャーが全然掛けられなかった」と振り返ったように、ピッチ上のあらゆるポジションで後手を踏んでしまい、相手への距離を詰め切れないまま、自由にパスやドリブルを許してしまう格好に。また、今日は2トップの一角に入った中村も「はっきりファーストディフェンスが行けなかった。そこも甘さが出た」と言及。前と後ろの意識も統一しきれなかったようです。攻撃の手を緩めない清水は、18分にも太田の左クロスから、ヨンセンと岡崎が絡んで兵働のフィニッシュに繋げると、19分にも小野のヒールパスを受けた藤本がわずかに枠を逸れる惜しいシュートをお見舞い。そして26分、フリーの藤本からフリーのヨンセンへボールが渡り、エリア内で岡崎がキープしてリターン、ヨンセンは大きな切り返しから左足一閃。0-4、信じられない点数がスコアボードに浮かび上がりました。さて、圧倒的劣勢の湘南で、一人気を吐いていたのは4試合ぶりのスタメンとなった中村。やや左右のスペースに流れがちなヴァウドとのコンビに「悪くなかったけど相手のラインが浅いんで、2トップの(連携した)動きで勝負したいのはあった」という思いを抱える中、14分、17分と中央に構えて2本のフィニッシュ。そして41分にはその中村が左サイドへ流れてキープすると、SBの島村が追い越して中へ。エメルソンが右スミに流し込み、1点を返すと、2分後にもカウンター炸裂。清水のCKをクリアしたボールにエメルソンが反応。左サイドを独走してパスを出すと、後ろから全速力で飛び出した永木が山本真希をかわして折り返したボールに、中村が突っ込んでプッシュ。やや緩んだ清水の隙を見逃さずに、3分間で2点を奪取した湘南。結局2-4という、なかなか凄まじいスコアでハーフタイムに入りました。楽勝ペースから一転、2点差へ詰められた長谷川健太監督に沸き上がる怒り。「前半自分たちの何がよくなかったのか分かっているはず。集中力が切れている。(3点奪ってから2点を返された)セレッソ戦と同じことを繰り返すのか。それでは成長がない!絶対に受けに回るな!!」と喝を入れ直します。すると再びネジの締まった清水は51分、市川の低いクロスにヨンセンが二アでダイビングヘッド。自身ハットトリックとなる一撃で点差を3点に広げると、54分にはヨンセン、兵働と繋いで、最後は藤本が決して悪いポジショニングではなかった都築の頭上を華麗に破る、圧巻のループ。「後半もいい入りができた」と指揮官も納得の2発で、2-6と再び4点差。勝負は決しました。それでも湘南は終盤に一矢。86分、流れるようなパスワークで馬場、田原が絡み、永木のラストパスはエメルソンへ届くと、確実にゴール。「ボールを動かしていけてファインゴールだった」と反町監督も振り返る3点目で今シーズン最多得点を記録しましたが、同時に奪われた6失点も今シーズン最多。よりチームとしての修正力を見せ付けた清水が、「ジェットコースターのようなゲーム」(長谷川監督)を制して、次節は首位の鹿島に勝ち点差1の2位として挑みます。湘南は「かなりボールも動くようになってきた」と反町監督が話したように、攻撃面は悪くなかったと思います。エメルソンも「周りを生かしながら、かなり攻撃のテンポを創れた」(反町監督)のは間違いない所。だいぶチームにフィットしてきました。ただ、それもしっかりした守備があってこそ。今日のことは忘れた方がよさそうですね。勝った清水は「もう少し大人のサッカーをしたいが、まだまだそういう力はない。90分間力を抜かずにやることをやり続けるしか強くなる道はない」と長谷川監督。ただ、3失点こそしましたが、今シーズンスタートからは初めてアンカーに入った山本真希も、守備に軸足を置いてしっかりバランスを維持。チーム全体も守から攻への切り替えが速く、迫力ある攻撃に繋げていくスピードとパワーはJ1屈指でしょう。次節が今から楽しみですね。 AD土屋
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J2第20節 甲府×東京V@小瀬

18戦負けなしという柏の記録が目立つ今シーズンのJ2ではありますが、実は2位に付けている甲府との勝ち点差は4。甲府も内田一夫新監督体制下で12勝4分け2敗の勝ち点40と堂々たる戦果。現在も14戦負けなしと、2強の独走と言うべき状況を着々と築きつつあります。対する東京Vも苦しんだ序盤は既に過去の話。ここ5試合は2勝3分けと黒星知らず。メンバーをほとんど固定して戦っていることで、「11人のまとまり」(東京V・川勝良一監督)がいい方向に作用し始めている印象です。気温29.6度、湿度69%は公式記録ですが、体感はもっと蒸し暑い印象の中で始まったゲームは、いきなり甲府がラッシュ。3分に藤田健が強烈なミドルを枠へ飛ばしたのを皮切りに、開始からのわずか10分間で4本のCKを奪うと、8分にビッグチャンス。片桐淳至のCKはDFにクリアされましたが、その流れから藤田が絶妙のクロスを上げると、ファーで秋本倫孝がヘディング。ボールは左のポストに弾かれたものの、早くもリズムを完全に引き寄せます。ただし、このシーンがこれから秋本を襲い続ける不運の予兆だったとは、まだ誰一人として知る由もありません。「割と自由にやらせてくれる所があって、いい所まで行けた」(内田監督)甲府の猛攻は続き、17分にも養父雄仁のCKから、こぼれたボールを藤田が狙ったシュートはDFがブロック。19分、片桐のCKから左サイドでボールを拾った山本英臣のクロス、ファーでDFともつれながら収めた内山のシュートはわずかに枠の右側へ。さらに21分は吉田豊のクリア、東京Vのキャプテン富澤清太郎が後ろに戻したバックパスは短く、かっさらったハーフナー・マイクはGKと1対1に。それでも、ハーフナーのシュートはギリギリまで動かなかった土肥洋一に阻まれます。23分にもカウンターからダニエルが左へ送り、ハーフナーのパスから養父のミドルはバーの上へ。先制ゴールは奪えません。さて、かなり押し込まれ「なかなかプレーリズムを上げづらい」(川勝監督)東京Vでしたが、「相手は前線に基点ができやすい分、前に選手が出ていけるので、その分ウチはカウンターが効く」(同)のはチームの共通認識。それがまんまと実ったのは31分。ハーフカウンターのような形から、右サイドの高木善朗がキープすると、外を追い越したのはSBの福田健介。流れの中でチェイスに行っていたハーフナーをかわして上げたクロスに、甲府守備陣の態勢は不十分。「ダニエルとGKがかぶったように見えた」という平本一樹のヘディングがゴールネットを揺らし、劣勢だった東京Vに先制ゴールが記録されました。25分過ぎまでの好リズムから一転、失点後はほとんど攻められなくなってしまった甲府。45+2分には、ダニエルのクサビにパウリーニョが反転してミドルを放ちますが、枠外へ。結局ワンチャンスを生かした格好で、東京Vがリードして前半が終わりました。後半は49分、飯尾一慶のシュートが甲府GK荒谷弘樹を襲うシーンから始まりましたが、ほどなく甲府ペースに。51分、土肥の中途半端な対応でもらったCK、養父の蹴ったボールはハーフナーに当たってこぼれ、パウリーニョが押し込むも土肥が掻き出し、それに詰めた秋本のシュートは右ポストに当たります。54分には大きなワンツーの形から、養父の柔らかいパスを受けたパウリーニョのフィニッシュはわずかにゴール右へ。畳み掛ける甲府。62分、片桐のこの日10本目となるCKは、3人もフリーだった甲府の選手が競り合うような形から秋本が頭に当てましたが、ボールはまたも左ポストに。2度あることは3度ある。ポスト地獄に陥ったか、追い付けません。逆に65分は東京Vに絶好機。中盤で相手のミスパスを奪った所から、平本が鋭いドリブルでグイグイ突進。余裕があり過ぎたか「PKをもらって相手が10人になれば、もっとウチも楽になると思って躊躇してしまった」平本は、結果的に戻ったダニエルのクリアに遭いますが、隠し持ったナイフの切れ味を感じさせます。その平本と河野広貴の2トップは、「どうしてもハーフナーの周りに選手を取られるんで、少しキツくてもいつもよりドリブルを生かそうと」(川勝監督)、高いドリブル能力をフル活用。特に平本はそれ以外でもCBの土屋征夫が「ウチの中では唯一と言っていいような基点になっている」と話したように、クサビをほぼノーミスに近い確率でキープしては、味方に落としたりファウルをもらったりと奮闘。本人も「ウチのチームで体のあるヤツは他にいないんで」と自覚十分。彼がボールをしっかり収めることが、甲府の鋭いカウンターを抑止していたのは間違いありません。65分にパウリーニョを下げてマラニョンを送り込んだ内田監督は、70分にも「前に行く推進力が欲しい」と藤田を下げて、石原克哉を投入。76分にも養父の負傷を受けて松橋優が入り、前線は右から松橋、ハーフナー、マラニョンの3トップで、そのすぐ下に片桐という形で勝負に出ます。ところが、右サイドにいた時から既に司令塔の役割を果たしていた片桐が「前に急ぎ過ぎ。縦パスばっかりで全然落ち着かない」と嘆いたように、ボールを保持する時間は長い中で、じっくりと様子を窺うというよりも焦りが目立ち、なかなかシュートまで持ち込めません。もはやダニエルと秋本も前に上げて、ハイタワー3枚に賭けた86分、片桐のアーリークロスをハーフナーが落とした所に秋本。シュートは土肥へわずかに当たって、なんと4度目のポスト直撃。頭を抱えた秋本。ハットトリックでもおかしくなかったゲームも、記録上はノーゴール。94分に石原が素早く蹴ったFKにハーフナーが合わせたヘディングも枠をわずかに逸れて万事休す。「全員が体を張ってよく戦った」(土屋)東京Vがまさに粘り勝ち。アウェイでの勝ち点3を奪取する結果になりました。敗れた甲府は「100%運がなかった」という片桐の言葉も頷けますが、やはり最初の25分で先制していれば大差で勝った可能性も十分あった印象です。とはいえその片桐も冷静に「攻めさせられてた感はあった」と話した通り、22本というシュート数の割には決定機が少なかったとも言えるでしょうか。今日のようにハーフナーが抑えられた時の、二の矢三の矢が今後はより大切になってくるでしょう。勝った東京Vは、やはり個々の能力が高く、劣勢でも一度ボールを持つと簡単には取られないので、嫌な形でカウンターを食らう機会はほとんどなかったはず。またちょっと前述しましたが、「よく空中戦で頑張ってくれた」と指揮官が称賛したように、富澤と土屋がハーフナーをほぼ完璧に抑え込んだことも大きな勝因。今日に関しては、36歳の誕生日を勝利で飾った土屋曰く「俺が“持ってる”ってことでしょう(笑)」だそうです。 AD土屋
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J1第15節 大宮×横浜FM@NACK5

ホムスタに乗り込んだ神戸との“三浦俊也ダービー”は、鈴木の移籍後初ゴールとなる弾丸FKこそ決まりましたが、結果は3-1の敗戦。最下位の京都と勝ち点は並んでの17位と苦しい戦いが続く大宮。対するは順位こそ中位付近で上下動しているものの、素晴らしいゲームをしたかと思えば、次のゲームはとんでもない内容だったりする横浜FM。ハッキリ言って、まったく試合の行方がわからない一戦です。スタメンを見ると、大宮の鈴木淳監督は「ラファエルは左右に動いてボールを引き出すが、前で基点が欲しかった」と、就任後初めて市川を2トップの一角で起用。また、最終ラインでは深谷の負傷を受けて坪内をCBに配し、右SBには2試合続けて渡部を使ってきました。一方、木村和司監督は前節とまったく同じ11人を選択。17歳の小野裕二も2試合続けてスタメンに名を連ねています。さて、ゲームは「守備をもう1回しっかり意識して、まず点を取られないように」(大宮・村上和弘)立ち上がりを入った大宮が、DFラインこそ高さを保ちながらも、ある程度は受ける展開に。ただ、6分には金澤のミスパスから、9分には青木のボールロストから、それぞれ危ないシーンを迎えるなど、鈴木監督も「ルーズボールを拾われてペースを握られていた」と認めた通り、やや大宮は不安定なドイスボランチの所を使われ、劣勢に回ります。横浜で目立っていたのは、珍しく中盤の左サイドに入っていた中村。「自分が引き出されてチャンスを創られた」と大宮のボランチ金澤が振り返ったように、比較的低い位置でボールを受け、小野と渡邉の速い動き出しを生かすパスを常に狙うなど、大宮の最終ラインを牽制。さらに、25分、27分と共に直接ゴールを狙ったFKは自らファウルを獲得したように、バイタルへ入ると積極的な仕掛けを披露。まだ細かなミスは散見されるものの、だいぶ状態は上がってきたと見てよさそうです。35分、押し込まれていた大宮にチャンス。中盤で横浜の清水からボールを奪った藤本が右へ送ると、上がってきた渡部は切り返しで1人かわして強烈な左足シュート。飯倉に弾き出されましたが、積極性を打ち出します。ところが、ここから横浜が決定機3連発。38分、渡邉が左のスペースへ送ったパスは、渡部が懸命に足を伸ばすと、相手にとって絶妙のスルーパスになってしまいましたが、小野のシュートはゴール左へ。41分には渡邉、兵藤、小野と繋いで、兵藤のラストパスから渡邉のシュートは北野がキャッチ。44分、村上の中途半端なバックパスをかっさらった小野が、マトを振り切ってシュートまで持ち込むも、枠は捉えられず。何とか大宮が凌ぐ格好で、スコアレスのまま前半は終了しました。後半も48分に小野のキープから、最後は中村が枠へ飛ばしたシュートが横浜の号砲。指揮官は「チェンジサイドをもっと意識させたが、どうしてもうまく行かなかった」と不満顔でしたが、中央から決定的なシーンを創出します。56分、小椋のスルーパスに反応した渡邉はフリーで抜け出しましたが、飛び出した北野の好対応でシュートまで至らず。57分、中村が右サイドから軽く浮かせたパスを通し、小野が狙いましたが、ここも北野がストップ。大宮も水際で押しとどまります。69分に木村監督は2枚替え。シュート5本を記録しながら「早く点が欲しいという焦りがあったかな」(木村監督)と見た小野と渡邉を引っ込め、フル代表経験者の山瀬に坂田と、かなり豪華なベンチメンバーをピッチへ送り込みます。すると2分後には、この2人から絶好の先制機が。左サイドをその坂田と山瀬で崩して中へ送ると、中村がコースを狙ってシュート。北野が驚異的な反応でストップするも、こぼれを兵藤が再び狙うと、今度は「(劣勢にも)しっかり我慢できていた」と語る村上が体でブロック。粘る大宮。失点を許しません。鈴木監督の規則正しい交替策。60分に鈴木OUTで石原IN。70分に藤本OUTで杉山IN。そして「相手の運動量が落ちて中盤が空いたことで攻撃できた」(鈴木監督)時間帯の80分、市川に替わって左SHに入ったドゥドゥがゲームを劇的に動かします。「チームの決勝点に繋がるゴールを奪うことしか考えてなかった」というドゥドゥは、81分に左から際どいクロスを入れると、そこから渡部のクロスバーに当たるシュートが生まれ、84分にも中盤から右へ展開して、渡部と杉山で創りかけたチャンスの基点になります。ここに来て、ようやく訪れた大宮の時間。すると86分、左右に揺さ振る攻撃から、青木のパスを受けたドゥドゥは「僕がボールを受けたら、もういい動き出しをしていた」と村上にラストパス。「ドゥドゥと目が合った」村上が「反対サイドに思いっきり蹴った」ボールは、サイドネットに激しく突き刺さる先制弾。残り4分で大宮が1点をリードしてみせました。あれだけ押し込みながら、まさかの失点を許した横浜は、88分に清水を下げて長谷川を投入。CBの栗原も最前線に上げて、最後の総攻撃に打って出ます。90分、長谷川、兵藤と回して、右サイドから蹴った山瀬のクロスに、栗原が豪快なヘディングも、ボールはバーの上へ。追い込まれた横浜。しかし、25番の執念がゲームを揺り動かしました。大宮は左サイドからのスローイン、ラファエルがキープに入ると、激しいプレスでボールを奪ったのは中村。そのまま縦に付けると、山瀬が速いクロス、飛び込んだ長谷川のシュートは北野を打ち破ります。「ボランチとSBがバランスの悪い状態」(鈴木監督)を突かれた大宮でしたが、この状況を創り出したのは中村のボール奪取。ファンタジスタの“守備”がゴールを生み出し、終盤に激しく動いたゲームは勝ち点1ずつを分け合う結果となりました。横浜からすれば、圧倒的攻勢の中でワンチャンスを決められて負けるという、フットボールではありがちな展開寸前で追い付き、引き分けに持ち込んだことは「よしとしなくちゃいけないのかな」(木村監督)というのが本音でしょう。中村が復調傾向にあり、小野が前線の推進力となる状況下では、やはり渡邉、坂田、山瀬らの奮起が上昇への絶対条件です。土壇場で追い付かれた大宮は、「もったいなかった」(藤本)という部分と、「次に繋がるゲームではあった」(鈴木監督)という部分が入り混じる結果。ただ、あれだけ攻められてもよく守った守備陣は称賛モノ。あとはJ1でも屈指の能力を持つラファエルをうまく生かすスタイル構築によって、攻撃力を少しでも高めることは急務ですね。 AD土屋
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J2第19節 柏×千葉@日立台

今シーズンに限って言えば、千葉の覇権はすなわちJ2の覇権か。柏レイソルとジェフユナイテッド千葉。史上初となるJ2開催の千葉ダービーに、前売券はなんと完売。ちょうど対戦も一巡と、前半戦の締め括りに当たる第19節に組み込まれたビッグマッチは、10768人の観衆でスタンドも黄色に染め抜かれます。前節の横浜FC戦はラストプレーで追い付かれ、勝ち点2を目前で失った柏は、18試合目にして守備の中心パク・ドンヒョクが警告累積で初めて不在。CBには、奇しくも公式戦ではちばぎんカップ以来のスタメンとなる酒井宏樹が起用されました。対する千葉は札幌に0-3と敗れた前節終了後に、サポーターが抗議行動。様々な背景が絡み合い、ダービーということ以上に負けられない一戦。招き猫ダックの始球式を経て、18時4分にキックオフの笛は吹かれました。さて、ゲームは開始2分で早くも最大のポイントとなるシーンが訪れます。「DFの背後をシンプルにという狙い通りの形」(千葉・江尻篤彦監督)から、柏ゴール前で近藤直也と入れ替わったネットがエリア内でループを狙うと、飛び出したGKの菅野孝憲は覆いかぶさる格好でネットを倒してしまいます。すると、Jリーグ初ジャッジとなるイングランド人のアントニー・テイラー主審は、躊躇することなくレッドカードを提示。柏はわずか2分で絶対的な守護神を失い、さらにPKまで献上する格好になりました。澤昌克に替わって投入されたGK桐畑和繁は、これがJリーグデビュー。キッカーの倉田秋は冷静に桐畑の逆を突き、千葉がリードと数的優位を同時に手に入れました。ところが意外な形で、またもゲームが動きます。9分、柏は田中順也が右FKから速いボールを中に入れると、GK櫛野亮と競り合ったのは千葉のCB茶野隆行。頭にヒットしたボールは自分のゴールに飛び込む、まさかのオウンゴール。1人少なく「正直苦しい状況」(柏・ネルシーニョ監督)だった柏が幸運を引き寄せ、スコアは振り出しに戻りました。ここからは数的均衡が保たれていない中、ゲームは膠着した展開に。この要因は、「引かれた相手に攻撃が中、中になってしまった」(江尻監督)千葉が、確かにある程度ポストプレーが計算できるネットと、3トップの右に入った深井正樹や左の倉田、中盤前目に位置する佐藤勇人と工藤浩平との距離が遠く、なかなか有機的なコンビネーションが出せなかった部分や、これまた江尻監督の言葉を借りれば「柏の4バック+ダブルボランチの守備の能力は分析以上だった」ことも挙げられそうです。ただ、柏のキャプテンである大谷秀和が「前の選手が体を張って、よく守備してくれた」と讃えたように、柏オフェンス陣の守備における奮闘が、試合に緊張感を与え続けた最大の要因だったのではないでしょうか。特に20分過ぎに、ネルシーニョ監督から激しい口調で、相手アンカーの中後雅喜へ対するプレスバックを指示された工藤壮人と、中央から右へとポジションを移し、左SBのアレックスに対するケアを徹底させられたレアンドロ・ドミンゲスの献身性はかなり光っていたと思います。その甲斐あって、同点後はほとんどチャンスらしいチャンスは千葉に訪れず、1対1でハーフタイムを迎えることになりました。後半は江尻監督から「しっかりワイドを使おう」と言われてピッチへ入った千葉が攻勢。53分には深井のクロスから倉田が枠内へ飛ばすヘディング。56分は、佐藤が右サイドへ展開してから、深井のクロスを桐畑が1度は弾きながら何とかキャッチしましたが、ジワジワと押し込み始めます。江尻監督は58分にネットを諦め、青木孝太を投入。縦への推進力を強める意図を感じさせると、続く千葉のラッシュ。65分、深井のパスから抜け出した工藤のシュートは、桐畑がファインセーブ。66分、アレックスのパスから左サイドをえぐった工藤のクロスは、大谷が何とかクリア。67分、中後の左CK、ファーでマーク・ミリガンが落とすと佐藤のワントラップボレーはバーの上へ。68分、ドリブルで持ち上がった茶野のミドルは桐畑がセーブ。直後のCK、中後のキックは桐畑も触れず、青木良太がヘディングを枠には飛ばせなかったものの、チャンスを創出し続けます。しかし、フットボールとは時に理不尽で実直。71分、自陣から酒井が高く高く蹴ったフィードに、足を止めなかった田中は青木良太と入れ替わると左足一閃。ボールはホームのサポーターを背後に湛えるゴールへ吸い込まれます。「フィジカルの強い所をみせてくれた」とネルシーニョ監督も称賛した田中の一撃は、なんとチーム初シュート。10人で耐えてきたホームチームが1本目のシュートで2点目を挙げ、リードを奪いました。残り20分で1人多い状況にも関わらずビハインドを負った千葉は、74分にも田中の直接FKにゴールを割られながら、オフサイドの判定で事無きを得ると、中後を下げて谷澤達也を投入。青木孝太の下に右から倉田、谷澤、アレックスを並べた4-2-3-1にシフトして、まずは何とか1点を返しに行きますが、集中の続く柏の前になかなかチャンスを創れません。ネルシーニョ監督は84分に、守備で奮闘した工藤を下げて、柏デビューが古巣対決となった水野晃樹を最前線に送り込み、前からの圧力を強化します。もはや追い込まれた千葉は、それでも89分に蘇生。右から蹴られたアレックスのFKを、ファーでフリーになっていた茶野がヘディング。今度は相手のゴールに叩き込む、チーム最年長のベテランが見せた汚名返上の同点弾。「最後まで諦めないことを表現してくれた」と江尻監督も評した千葉が土壇場で追い付き、J2千葉ダービーの第1ラウンドはちばぎんカップに続いてドロー決着となりました。柏は最後に失点を喫したとはいっても、ほぼ丸々1試合を10人で戦いながらこの結果。「1人少ない状況に前半の早い内から追い込まれたが、体力的にも精神的にも乗り越えられた。結果は引き分けだが、今日は選手たちを祝福したいと思う」とネルシーニョ監督。「引き分け狙いでやってた訳ではない。勝ち点3を取りに行っていた」とは大谷。これでJリーグ記録更新となる18戦無敗。酒井や桐畑も堂々たるパフォーマンスを見せるなど、選手層も充実。昇格に向けて死角はなさそうです。「最後どんな形であれ、選手が追い付いてくれたことはしっかり評価したい」と江尻監督が話した千葉。今日は少しイレギュラーなゲームとなりましたが、やはり流れの中で攻撃のバランスがよくない印象です。ネットの高い能力は実証済みだけに、彼が生きる組み合わせや形を採用すれば、ある程度は相手に脅威を与えられそうですが、江尻監督の理想はまた違うように思えるので、後半戦にはまた注目していきたいですね。 AD土屋
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J1第14節 浦和×広島@埼スタ

再開初戦となった先週末のG大阪戦は、90+3分にエジミウソンのゴールで同点に追い付きながら、90+4分に遠藤のゴールを許して、勝ち点を得られなかった浦和。3失点と守備へ不安を残した上に、CBの山田暢久が出場停止。フォルカー・フィンケ監督は代役にリーグ2試合目のスタメンとなるスピラノビッチを指名しました。対する広島は、11節延期分のC大阪戦で0-5と大敗を喫したものの、先週末の横浜FM戦では3-0と完勝。振れ幅の大きな2試合を経て、乗り込むのは過去5戦全敗の埼玉スタジアム。両指揮官とも高い“理想”を掲げるタイプだけに、噛み合えばかなり面白いゲームになりそうな予感の中で、キックオフを迎えました。ゲームが始まると、しっかり繋ぐ意志を見せる浦和に対して、広島は最終ラインのストヤノフや、ドイスボランチの青山と中島から、長いボールを浦和DFラインの裏へ簡単に蹴り込む戦い方を選択。これには古巣対決となった柏木も「繋がずに縦1本で来ていたので、らしくないかなと」いう感想を持ったようですが、実際に6分にはストヤノフのフィードから佐藤が抜け出してボレー。11分にもシンプルなフィードに抜け出した山崎のクロスを、森崎浩司がダイレクトで狙うと、山岸のファインセーブに阻まれたものの、しっかりチャンスに結び付けます。このスタイルに関して、ペトロヴィッチ監督は「このスタジアムではナイーブなゾーンでボールを奪われて、点を取られたりして負けてきたので、我々は4バックの裏に長いボールを出して、浦和の狙いをうまく外した」と説明。また、佐藤は「2CBが成熟していないコンビだったので、そこを突けばチャンスがあるかなと」理由を明かし、「(中島)浩司さんからのフィードはオフサイドになりましたけど、自分の中ではうまくラインと駆け引きして抜け出せました」と、そのスタイルの中に手応えを感じていたようです。22分には、また広島にチャンス。青山のパスから、山崎が落としたボールに飛び込んでシュートを放ったのは、CBの槙野。ここも山岸に防がれましたが、少ない手数でも、よりゴールの可能性が高そうなのは広島だったように感じました。浦和はボールキープの時間は長い中、「5-4-1のような形で自陣に入ってからマークするような形」とフィンケ監督が評した広島の守備網をなかなか破れず、チャンスを創り出せません。1トップに入るエジミウソンのすぐ下に並ぶ3枚、柏木、山田直輝、田中が間違いなく攻撃のスイッチですが、「ちょっと直輝との距離が遠くて、パンパンボールを繋げなかった」とは柏木。なかなか4人の効果的なコンビネーションは見られず、枠内シュートは13分にサヌのロングスローから田中が狙った1本だけ。確かに浦和から見れば「前半はほぼ危険なシーンはなかった」(フィンケ監督)とはいえ、それは広島から見ても同様。まずは非常におとなしい45分間が経過していきました。後半はまず浦和がラッシュ。49分、ストヤノフのミスパスを奪った田中が、山田直輝とのワンツーからエリア内へ潜り込むも、わずかにドリブルが大きくなり、シュートまでは至らず。56分には決定機。柏木、田中と繋ぎ、DFに当たって高く上がったボールを柏木がヘディング、エジミウソンがボレーで狙いましたが、ボールはバーの上へ。さらに直後にも、エジミウソンが右サイド深い位置から上げたクロスをストヤノフが何とかクリア。ゴールへの意欲と勢いを打ち出すと、フィンケ監督も「先制点を奪いたくて、ゴール前の危険度を高めたかった」と、62分にやや精彩を欠いた山田直輝を下げ、ポンテを投入して勝負に出ます。ただ、65分に気になるシーンが。細貝のミドルがDFのブロックに遭い、そこから広島のカウンターがスタート。結果的には広島も5対4の数的優位を生かせず、シュートまでは至らなかったのですが、浦和は戻った4人の内、1人は細貝。苦しいピンチにも歩いていた選手が目立ち、守備の献身性は決して高いとは言えなかったと思います。68分、「できる限り交替させたくなかったが、ハーフタイムの時点で90分持つかわからないという話があり、本人が交替のサインを出してきた。本当に残念」と監督も悔しがったのは、CBのスピラノビッチと堀之内の交替。ここで一瞬生まれたエアポケットを、広島が突いてみせます。72分、ここまでいつもに比べて攻め上がりを自重している感があった槙野が、左サイドからドリブルで持ち上がり、エリア内の佐藤へ。佐藤は「(服部)公太さんに落とそうと思ったが、相手がそっちをケアしにいったので」軌道修正して、丁寧なラストパスを槙野の足下へ送ると、まるでストライカーのようなワンタッチゴールを5番のCBは突き刺します。ある意味、“点取り屋”としての嗅覚は、チームで1、2を争うであろう2人のシンクロ。大きな大きな先制ゴールを奪った広島は、終盤にチームで最も闘っていた細貝に替えてエスクデロを送り込み、反攻へ出た浦和に最後まで決定的なシーンを創らせず、シャットアウト。「あんまりいいサッカーとは言えなかった」(槙野)「サンフレッチェのサッカーという観点から言うと満足していない」(ペトロヴィッチ監督)中でも押し切る力強さを発揮して、浦和ホームのリーグ戦では1998年以来となる勝利を挙げました。敗れた浦和は、なかなか山田直輝が生きてきません。草津戦でも試していた4-1-4-1だと、もう少し山田直輝と柏木の連携が取れそうですが、そうすると阿部か細貝のどちらかはベンチの可能性大。守備のバランス維持に2人は不可欠の存在ですから、フィンケ監督も難しい決断を迫られています。勝った広島は、エースの佐藤が「まだまだ広島で成長していくことを見せていかなくてはいけない」とチーム残留を決断。とりあえず一安心といった所でしょうか。青山や森脇、高萩、ストヤノフなどケガ人もすっかり戻ってきて、ここからギアが上がっていきそうな印象を受けました。 AD土屋
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J2第18節 横浜FC×柏@ニッパ球

1ヵ月の中断を挟んで再開されるJ2。この待ち望んだ日に訪れた会場は三ツ沢。15位の横浜FCと首位の柏が激突します。大枠で両チームのここまでを振り返ると、まず横浜FCは岸野靖之新監督の下、開幕3連勝と最高のスタートダッシュを切りましたが、直後に5連敗。さらに10節から13節までにも4連敗を喫するなど、現在は下位に沈んでいます。一方の柏は、既に2回の3連勝を記録するなどJ2を席巻。現在も6連勝中で、16戦無敗という凄まじい結果を残して首位を独走。置かれた現状こそ違うものの、2007年昇格同期が再びJ2で顔を合わせることになりました。さて、横浜FCは大黒将志の穴を埋めるべく獲得したカイオが移籍証明書の関係で今節の出場ができなくなりましたが、9節以降はスタメンを張り続けている1トップの西田剛が開始19秒でミドルを放つなど、意欲を見せます。ただ、2分に田中順也のパスを工藤壮人が爪先でGKを破り、カバーに入った戸川健太が何とかクリアしたシーンを経ると、そこからは柏の時間帯が続く格好に。この大きな要因は、両チーム共に4-2-3-1を敷く中で、中盤の3に当たる部分のボールタッチだったでしょうか。横浜は右から武岡優斗、寺田紳一、高地系治と並んだ3人がなかなかボールを引き出せず、西田との距離も遠い場面が目立ち、効果的な攻撃を繰り出せません。一方の柏は澤昌克、レアンドロ・ドミンゲス、田中順也が中央とサイドを自在に泳ぎ、攻撃を活性化。特に右サイドの澤は高いキープ力を生かしたドリブルで、チームに勢いとアクセントをもたらします。すると27分には素晴らしい崩しから決定的なシーンを創出。左サイド、大谷秀和が田中のリターンで食い付いた相手を完全に外したパスを通すと、フリーで駆け抜けた橋本和は最高のクロス。飛び込んだフリーの澤は頭で狙いましたが、ボールはゴール右へ。先制点は奪えません。すると、ボール保持が長く、主導権は握りながらもチャンスをなかなか創り切れない柏は、焦れたように長いボールを入れてボールロストするシーンも頻発。この隙を横浜が突いたのは32分。武岡のスルーパスで高地が抜け出し、コースを狙ったシュートを打ちますが、ボールは枠のわずか左へ。リードを奪うまでには至らなかったものの、ここに来て中盤の流動性で惜しいシーンを創ってみせます。しかし、先制ゴールは柏に。前半も所定の45分を1分回ると、メインスタンド側のスローインは微妙な判定でしたが柏ボール。これに高地が抗議している間に、小林祐三が投げ入れたボールで、高地のマークを振り切ったレアンドロが悠々とスルーパスを供給。裏へ走り出した工藤は、冷静にGKの二アサイドを破る一撃。今や押しも押されぬエースに成長した20歳が、この日は対峙するキム・ユジンが見せた粘り強い対応の前に苦しみながらも、リーグ戦では3戦連発となるゴールをマーク。柏がリードを奪います。ところが、このリードは1分で霧消。横浜FCは失点直後、右サイドを崩しにかかり、武岡のクロスを受けた西田のシュートは菅野が驚異的な反応でストップしましたが、こぼれに反応したのはFC東京からレンタル移籍してきたばかりの「初めての相手がレイソルというのは楽しみだった」と語る左SB阿部巧。Jリーグ初出場でいきなり初ゴールと「一生に1回しかないやつ」(岸野監督)を見事に成し遂げます。最後の2分間で「お互いに勝つという気持ちが出た」(柏・ネルシーニョ監督)前半は、同点でハーフタイムに入りました。迎えた後半、いきなり柏に決定機が到来。47分、「明らかに両サイドが同時に上がっちゃってた」(岸野)横浜FCを尻目に、柏がカウンターを仕掛けると人数は攻撃側が上回り、レアンドロのパスから澤がフィニッシュ。一度は横浜GKシュナイダー潤之介が防ぎましたが、再び澤がプッシュ。「すんなりとは決められませんでしたけど」と苦笑した澤の今シーズン2点目で、柏が勝ち越しに成功しました。さて、ここからはリードしたアウェイチームがゲームを掌握していくかのように思えましたが、そういう展開にはなりません。澤が「リードしてからはチグハグしたような時間帯が長くて、なかなかボールが前で収まらなかった」と振り返ったように、守備的な意識が働いた訳ではないようですが、柏は攻撃に出るタイミングの思い切りも悪く、人数を掛けて攻め切るようなシーンは生まれません。逆になんとなく時間が経過していく中で、「走れて戦えるっていうキーワード」(岸野監督)の下に送り出されている選手で構成された横浜が躍動し始めます。これに勢いを加えたのが、監督の采配。71分に右SBの柳沢将之を下げて、エデルを投入すると、このブラジル人の小気味いいドリブルに、柏が後手を踏むシーンも。さらに、77分に西田と替わって送り出された難波宏明も、いきなり投入1分後に寺田のスルーパスから、あと一歩で決定機というチャンスに絡むと、83分には八角剛史の右クロスを完璧なヘディングで捉えますが、ここは元チームメイトの菅野が信じられないような超ファインセーブでゴールを死守。同点には追い付けません。柏は74分に登場した大津祐樹が、負傷によって10分間のみの出場で林陵平と替わるなど、予期せぬアクシデントも発生。流れは一層横浜へ。4分が提示された追加タイムも3分が過ぎ、阿部のFKから高く上がった浮き球を難波が拾って、シュートまで持ち込むと、ここも菅野が飛び出しブロック。思わず菅野は自身が守っていたゴール裏に陣取る柏サポーターにアピール。気合いを見せ付けます。そして、柏のカウンターがレアンドロのファウルで潰えたプレーからのFK。時間は95分とまさにラストプレー。バックスタンド側に流れたボールを拾ったのはエデル。切り返して、切り返して、縦に持ち出し、思いを託した中央への折り返しに足を出したのは戸川。奮闘していたCBが土壇場で大仕事。2-2。両者勝ち点1を分け合う結果になりました。柏からすれば勝ち点2を落とした形になりましたが、「相手もガツガツ来たり、引いて守ったりと自分たちを相当研究していたように感じた。しょうがないと言えばしょうがない」と澤が話したように、切り替えはできている様子。指揮官も「お互いのいい所が出たゲーム。再開後は何試合か積み重ねていくことが大事」と語るなど、ダメージは大きくなさそうでした。横浜は固定しきれていなかった左SBに、阿部が名乗りを挙げたことは収穫。「こうやってピッチに立って戦えて、ある程度やれる自信はついた」と本人が言えば、岸野監督も「ビビったら絶対使わへんと本人にも言っている。初めてで点取って、堂々とプレーしていたと思う」と一定の評価。この19歳とカイオは果たして今後の巻き返しに向けた重要なピースとなり得るでしょうか。 AD土屋
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J1第11節 川崎×大宮@等々力

6月13日を最後に中断期間へ入ってから約1ヵ月。日本に“そこにJリーグがある日常”が帰ってきました。まずはJ1第11節延期分の4試合から再開。等々力ではもはやどちらもJ1に定着し過ぎているために忘れられがちですが、2005年昇格同期の川崎と大宮が対戦します。ホームの川崎は周知の通り、川島とチョン・テセが欧州移籍のために離脱し、ジュニーニョも間に合わず、さらにレナチーニョと森が出場停止で欠場。GKには今シーズン初出場となる相澤、右SBには伊藤を回し、「体を活かした得点感覚と、ファーストディフェンダーになってもらって中盤を狙いやすくするために」(高畠勉監督)谷口をFWで使う布陣を敷いてきました。対する大宮は、ボランチに若い20歳の青木拓矢、右SHに市川を選択したのが、メンバー表で目を引いた所でしょうか。さて、ゲームは立ち上がりからボールを持つ時間が長いのは川崎。中盤ドイスボランチには中村に稲本と、ワールドカップメンバーがコンビを組みますが、攻撃面ではなかなかチャンスを創れません。基本はやや稲本が下がり、中村が前に出る形が多い中、やはり中村にボールは集まるものの、どうしても縦に急ぎ過ぎる傾向が強く、谷口と黒津が前で収められません。逆に大宮はある程度キープされる展開とはいえ、「言い方は悪いですけど、(対面の)小宮山くんの食い付きがよくて、誰かしら飛び出せるのかなと思っていた」と右SBの杉山が語ったように、回数こそ多くありませんが、両SBが効果的なオーバーラップから好機を演出。6分には市川の縦パスに、うまいターンで小宮山をいなした杉山が右から、11分にはラファエルのパスで抜け出した村上が左から、それぞれえぐって中へ折り返すなど、いいシーンに絡みます。さらに、19分には村上のパスから、青木が30m近いシュートチャレンジをバーのわずかに上へ。「サイドのDFのアプローチにまだまだ甘さがあった」と高畠監督も認めたように、全体の流れとは逆らうように、サイドを効果的に使えていたのは大宮でした。20分に川崎が迎えた決定機はスローインから。右サイド、田坂が投げ入れたボールに黒津がDFの裏を取ってフィニッシュ。北野のセーブに阻まれましたが、意外な形から惜しいシーンを生み出します。対する大宮は33分に絶好の先制機。市川のパスに右サイドを抜け出したのは、またも杉山。中をよく見て送った折り返しを「2列目から飛び出すのは言われていた」という青木が狙うも、相澤がファインセーブ。スコアは動きません。以降はかなり膠着した時間が続き、中村のクサビを谷口が巧みな反転からゴールわずか左に外れるミドルを放ったのは45分。全体的には川崎がペースを握っていたとは思いますが、あまりゴールの匂いはしないまま、前半は終了しました。後半最初のチャンスは川崎に。48分、ショートカウンター気味に稲本のパスを受けたヴィトール・ジュニオールは、絶妙なボールを右サイドの裏へ落とします。黒津の右足シュートは、体を投げ出した北野がブロック。続く均衡状態。これを打破しようと鈴木監督が1枚目のカードとして58分に送り出したのは、「まだ公式戦でのフィジカルが戻っていない」(鈴木監督)ことを承知の上で、キャプテンの藤本。市川と替わり、そのまま右SHに入ります。69分には高畠監督も決断。その5分前には枠を捉える強烈なミドルを見せたものの、なかなか託されたタスクを消化しきれていないように見えた谷口を諦め、楠神を投入。右SHだった田坂が稲本とボランチを組み、その前に右から楠神、中村、ヴィトールが並んで、黒津が前線に張る、明確な4-2-3-1にシフトします。すると71分、「後半は川崎の運動量が落ちて攻撃できるようになっていった」(鈴木監督)大宮のチャンスに絡んだのは藤本。石原が右に流すと、藤本は鋭いクロス。中でGKとDFが交錯して、こぼれたボールを橋本がGKのいないゴールへシュート。しかし当たりが弱く、カバーに入っていた菊地がクリア。ここでもゴールは遠く。74分には楠神が“魅せる”技術で応酬。ヴィトールのパスをヒールキックでリターンすると、ヴィトールは中へ送りますが、黒津は止めるのが精一杯でシュートは打てず。交替カードが持ち味を発揮しますが、ジリジリした展開は変わりません。川崎2人目の交替は、75分に稲本が下がって横山。大宮2人目の交替は、78分に橋本が下がってワールドカップ3試合に出場したアン・ヨンハ。これで青木が左に出て、金澤とアン・ヨンハが中央を引き締めに掛かります。そして迎えた85分、等々力がこの日一番揺れたシーンが。中村が右へ展開したボールは、そこまであまり上がる機会の多くなかった伊藤へ。勘所を押さえたベテランの機転に、大宮守備網も混乱します。伊藤が中へ丁寧に送ったボールは、フリーで走り込んだ黒津へピタリ。右足で合わせたボールは、しかし枠の左へ。伝染する大きな大きな溜息。0-0。スコアレスドローが、消耗戦の終着点となりました。大宮はCBの深谷が「ある程度やれた実感はある。自信を持っていいと思う」と話したように、守備面は十分及第点。あとは「質をもっと高めていかなくてはいけない」(鈴木監督)フィニッシュの部分でしょう。今日もボールを持った時には、違いを見せていたラファエルをもっと簡単に使う場面を増やしてもいいかもしれないですね。川崎は全体的に重かった印象です。ボールアプローチで後手を踏むことも少なくなく、攻撃は中央に偏ってしまい、幅を生かせませんでした。当面は今日のメンバーがベースになるはずですから、もう少し攻守に渡って組織で動かないと上位進出は厳しいかもしれません。最後に、試合後には川島とチョン・テセの激励セレモニーが行われました。オーロラビジョンにスペシャルVTRが流れ、まるで結婚式のようなプロフィールが読み上げられると、2人がサポーターに挨拶。川島は感極まって言葉に詰まるシーンもあり、チョン・テセは上半身裸で“裸祭り”みたいになってました。また、川島にとって大宮はプロとしてのキャリアをスタートさせた思い出深いクラブ。大宮サポーターの前で挨拶した川島に、大きな声援と拍手が贈られたシーンは感動的でした。2人とも新天地で活躍してくれることを祈りたいですね。 AD土屋
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プレシーズンマッチ 草津×浦和@正田スタ

ザスパ草津と浦和レッズ。ディビジョンの違いから、なかなか交わることのなかった両者が、いわゆる“公式戦”としては初めて激突する今日のプレシーズンマッチ。中断期間が「プレシーズン」なのかはちょっとよくわからないんですけど、平日の悪天候にも関わらず5950人ものお客さんが正田醤油に集結。ゲームを盛り上げます。スタメンは草津がGK伊藤、DFは右からチェ・ソンヨン、有薗、御厨、佐田、MFは櫻田と松下のドイスボランチに、右が高田で左が熊林、2トップが後藤とラフィーニャ、以上の11人。浦和はGK山岸、DFは右からサヌ、山田暢久、坪井、宇賀神、MFは細貝がアンカーで、その前に右からポンテ、山田直輝、柏木、原口が並び、1トップにエジミウソンが入る4-1-4-1を敷いてきました。序盤から全体的なポゼッションはほぼイーブンで推移。ややショートパスのスピードで優る浦和が、いくつか流れの中からチャンスを創っていましたが、11分過ぎから群馬特有の激しい“夕立ち”がピッチに叩きつけ始め、少しゲームが弛みます。そこを突いたのは草津。16分に熊林のCKをニアで高田がヘディングすると、ボールは豪雨を切り裂いてゴールネットを揺らします。さらに草津は19分にもカウンターから熊林のフィニッシュまで繋げると、その3分後に追加点。熊林がラインの裏をうまく狙ったラストパス、後藤は完全にフリーで抜け出し、胸でのトラップから左足ボレーでGKの股間を抜いてみせます。「ああやって繋いでくれるチームはJ2に少ない」(櫻田)「繋いでくれる分、ウチとしてはやりやすかった」(松下)とドイスボランチが口を揃えたように、コンパクトな中盤のスペースでプレスもうまく掛かり、“夕立ち”以降は互角以上のパフォーマンスを見せた草津が、先に2点をリードする展開となりました。さて、いきなり小さくないビハインドを負った浦和。24分にはポンテが素早いFKから1点を返すと(実際は笛が鳴る前に蹴ったように見えましたが…)、30分過ぎからは圧倒的なボールキープからチャンスを窺います。ただ、決定的なシーンは37分にポンテのショートコーナーから、サヌのクロスに原口が頭で合わせるも力なくGKへキャッチされた1回くらい。エジミウソンを中盤が追い越したり、DFラインを斜めに飛び出すような動きに乏しく、流れの中からはいい形を創れないまま、草津1点のリードでハーフタイムへ折り返しました。後半はまず49分、浦和に好機。エジミウソンのパスを柏木がスルー、受けた宇賀神のシュートは伊藤がファインセーブ。51分は草津、松下が中盤でボールを奪うと、そのままミドルを枠内へ。「J2と違ってケアされてなかったから狙ってた」と本人も語ったミドルは60分にも枠に飛ぶなど、キック精度の高さを証明します。フィンケ監督は58分、山田直輝を下げて鈴木を投入し、布陣も4-2-3-1にシフト。副島監督も63分、熊林に替えて菊池を送り込むと、その19歳が一仕事。1分後の64分、中盤左サイドで菊池は前を向くと、ラフィーニャに繊細な短いスルーパス、これを坪井が後ろから倒し、主審はPKを指示。ラフィーニャが自ら中央へ豪快に蹴り込み、草津が再び2点のアドバンテージを手に入れました。浦和も69分、70分と続けて鈴木が枠内へいいシュートを飛ばしましたが、共に伊藤がキャッチ。草津は73分、途中出場の山田がスルーパスを出すと、菊池がフィニッシュまで繋げます。プレシーズンマッチということでフィンケ監督も84分までにベンチスタートのフィールドプレイヤー6人を全員起用。鈴木の前に堀之内と柏木、前線には右からエジミウソン、高崎、やや低い位置にエスクデロと変則の4-3-3気味で最後の攻撃を仕掛けたものの、94分のチャンスも高橋のクロスに合わせたエジミウソンのヘディングはわずかに枠の右へ。3-1でホームの草津が浦和を撃破する結果になりました。1枚のアンカーを置く新布陣を、国内では初めて試すゲームとなった浦和でしたが、テストという意味では、このシステムの功罪が見えたのではないでしょうか。ただ、オーストリア遠征から帰国したのが1日の朝。全体的にコンディションにもバラつきが見られ、フィンケ監督も「試合内容が悪かったことを全部それで片付けるつもりはないが、まだ時差の影響と疲労の蓄積があったと思う」とコメント。そういうことみたいです。草津は今シーズンいまだ1勝しか挙げられていないホームで快勝。「能力は彼らの方が上だし全然満足しちゃいけないが、やろうとしていることが少しは出たかな」と櫻田。スタイルを考えても、中盤を構成してくる相手の方が“ハマる”のは確かな所。このゲームで得た手応えをいい形で、再開以後に繋げられれば、最下位脱出はすぐそこでしょう。柱谷、植木両GMも認める、双方に実りのあるプレシーズンマッチだったと思います。 AD土屋
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J2第17節 柏×北九州@日立台

富山、草津と苦しみながら2試合続けて逆転勝利を収めると、前節はアウェイで岡山を危なげなく蹴散らした柏。ワールドカップ中断前、最後のゲームとなる今日の北九州戦に、いわゆる“前半戦”無敗が懸かります。その北九州は昇格シーズンの壁にぶつかっている印象で、ここまで1勝7分け8敗の18位。加えて全試合に出場してきた、与那城ジョージ監督も「我々にとって欠かせない大きな存在」と語るボランチの佐野裕哉が警告累積で出場停止と、首位相手に苦戦は免れない所。昨年はそれぞれJ1とJFLに所属していた、黄色いチーム同士の初顔合わせは、灼熱の日立台です。ゲームが始まると北九州は桑原裕義をアンカー気味に置き、その前に右からウェリントン、大島康明、佐藤真也、関光博を置く4-1-4-1気味の布陣でスタート。中央でプレーする時間の長いレアンドロ・ドミンゲスをある程度意識したような形を敷いてきます。それでも縦に速い攻撃を繰り出す柏は10分過ぎからチャンスを連発。11分には田中順也のFKから栗澤僚一の枠内ミドルは北九州CB長野聡が頭でクリア。12分、澤昌克のスルーパスに抜け出したレアンドロのシュート、続けざまに放たれた田中のシュートは、共にGK水原大樹がファインセーブ。同じく12分、田中がDFラインの裏にうまく落とすと、澤のダイレクトボレーはバーの上へ。ゴールこそ奪えなかったものの、柏の猛攻に北九州は守勢に回る時間を強いられます。ただ、15分を過ぎると少しずつスピードに慣れたことで、アプローチを含む球際への出足が良くなったアウェイチームが反攻。21分には慣れないポジションで奮闘した大島の横パス、佐藤は枠内に強烈なミドルを飛ばし、26分には日高智樹のクロスから、最後は宮川大輔がボレー。この時間帯は首位チームを相手に北九州が互角の攻防を披露してみせます。するとリズムの悪さを感じ取ったネルシーニョ監督は、25分過ぎくらいから「攻撃の時のポゼッションを高めるために」システムチェンジ。前は澤と工藤壮人の2トップで、左に田中、中央寄りにレアンドロを移す「変則的なボックス」(ネルシーニョ監督)にシフトして修正を図ると、43分のレアンドロ、45+2分の田中と、共に長野の勇敢なブロックに阻まれたものの、惜しいチャンスを創出。再び柏が勢いを取り戻して、45分は終了しました。そして今日も黄色に染め抜かれた日立台が歓喜に沸いたのは47分、澤が左に送ったボールを、田中は切り返しで利き足とは逆の右に持ち変えると、エンジェルクロスを中へ。ニアに突っ込んだのは、チームのトップスコアラー工藤。「自分のストロングポイントでもある」という素晴らしいヘディングで、柏が先制ゴールを挙げました。さて、リードを許した与那城監督は、既に後半開始の時点で、「両サイドが少し空いてたので、そこを突破できればチャンスを創れる」という判断の下、佐藤に替えて、柏の下部組織出身でもある長谷川太郎を投入。宮川との2トップで勝負に出ていました。結果から言えば、この交替策は奏功したと言っていいでしょう。57分には長谷川の右クロスから宮川が高い打点のヘディング。64分には左サイドからやはり長谷川が左足の強烈なミドル。2本とも菅野孝憲がキッチリセーブしたとはいえ、与那城監督も「長谷川に交替してから、よりよくなったなと思う」と振り返ったように、北九州もアウェイまで駆け付けたサポーターを叫ばせるシーンを生み出します。65分には栗澤のサイドチェンジを田中がダイレクトで中へ、フリーの澤が放ったヘディングは枠を外れるなど、柏も決していい流れとは言い切れない中、終盤にゲームを決定付ける大仕事を果たしたのは、キャプテン大谷秀和でした。85分、北九州最終ラインでのビルドアップが乱れた隙を突き、川鍋良祐へのハイプレスから高い位置でボールカット。さらに迫り来るDFをひらりとかわし、左を回った工藤にラストパス。今やエースと呼んでも差し支えない20歳は、GKの股間を抜くフィニッシュでダメ押しとも言える2点目を奪取。頼れるキャプテン自らのアシストで、リードを広げた柏が今日もしっかり勝利。開幕から16試合負けなしという驚異的な数字を記録して、中断期間を迎えることになりました。北九州はやはり佐野の欠場が大きかったと思います。慣れないポジションで大島も守備に奔走し、いかんせん攻撃に厚みを持たせるまでには至らず。最後は「このレベルになると1つ2つミスがあると持っていかれちゃう」と指揮官も嘆いたミスからの失点で、残念なゲームとなってしまったでしょうか。一方、これで13勝3分け、31得点7失点とJ2史上にその名を刻み込まんばかりの勢いを見せている柏。そんな中でもゴールを重ね続け、完全に一皮剥けた感のある工藤、左サイドでポジションを確保した田中、今日は途中出場だった茨田陽生、酒井宏樹、山崎正登など、下部組織出身を含めた若手が実戦経験を積むことで、確実に成長していることはクラブにとっても大きな財産。果たして、柏を止めるチームは出てくるのでしょうか。 AD土屋
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J2第16節 千葉×愛媛@フクアリ

前節、水戸にスコアこそ0-1ながら、内容でもほとんどいい所なく「腑甲斐ない試合」(江尻篤彦監督)で敗れた千葉。ネットの出場停止を受けて、1トップには3節の徳島戦以来、12試合ぶりのスタメンとなる巻誠一郎を起用。右FWにも今シーズン初スタメンの太田圭輔を配し、中盤の構成も逆三角形から、米倉恒貴を頂点に置いた“順”三角形にシフトするなど、少しやり方を変えてきました。一方の愛媛は、前節の甲府戦こそ2失点を喫して敗れましたが、ここまで14試合でリーグ3位の少なさを誇る9失点と、守備の安定感が目を引きます。両者の特徴や現状を考えると、スコアの動きにくいゲームが予想されましたが、しかし最初のゴールが生まれたのは開始直後。右サイドから太田のアーリークロスに、愛媛ディフェンスはうまく対応できず、ボールはファーへ。収めた倉田秋が中にステップしてシュートを放つと、愛媛GK山本浩正は味方がブラインドになっていたのか弾き出すことができず、ボールはゴールの中に転がり、キックオフの笛から1分も経たない内に千葉が先手を取りました。その後もペースはリードを奪ったホームチーム。「少しスタイルを変えながら戦うゲーム」と江尻篤彦監督も話したように、ある程度「ここ数試合は見られなかったランニング」(江尻監督)を生かすような縦に速いアタックを試みるなど、シンプルに“蹴る”ことを選択するシーンも。ただ、最も目に付いたのは積極的なハイプレス。巻や米倉から始まる激しいチェイスをまともに受けた愛媛は、後方からのビルドアップもままならず、「前からの激しいプレスに萎縮した」と青野慎也コーチが話せば、中盤ダイヤモンドのアンカーに入った渡邊一仁も「前半は相手の圧力で完全に押し込まれた」と渋い顔。すると18分にも、倉田の左クロスを逆サイドで拾った太田のパスに、DFもよく足を出しましたが、こぼれに反応した佐藤勇人はうまくボレーで中へラストパス。ニアに走り込んだ米倉がスライディングしながら流し込み、リードは2点に広がりました。なおもゲームを支配し続ける千葉は38分にも追加点。右サイドのハーフウェーライン付近でボールを持った和田拓三は、突如かつ絶妙のアーリークロスを中へ。「練習からどんどん飛び出せって言われてた」という米倉は、アライールの死角から裏へ完全にフリーで抜け出すと、飛び出したGKの鼻先を越えるうまいヘディング。3-0、完璧なゲーム運びを目の前にして、フクアリは早くも最高の雰囲気が充満します。愛媛からしてみれば、2トップ下の持留新作、右SHの赤井秀一、左SHの杉浦恭平と技術の高い選手が中盤にいたものの、相手のボールアプローチの速さに苦しんだことを考えると、「もっと簡単に蹴っちゃってセカンドを狙ってもよかった」(持留)「割り切って裏に出せば相手もプレスに来れなかったのかなと思う」(渡邊)と中盤の2人が口を揃えたように、早めの長いボールを徹底して、相手のラインを押し下げるような工夫が求められていたような気がします。45分間の大半が千葉ペースで進み、3点の差が付いて前半は終了しました。「何かを変えないと点は取れない」と青野コーチは後半開始から2枚替え。内田健太と赤井を下げて、ジョジマールと田森大己を送り込み、中盤も「米倉の運動量が多くて、渡邊が引っ張られることでCBの前が空いてしまったので、中盤は4枚で相手の3枚を見る形」(青野コーチ)と、持留を右に出して、渡邊と田森のドイスボランチにシフトします。すると、3点リードという点は考慮の余地がありそうですが、プレスも含めた千葉の勢いも減退し、後半は愛媛が攻勢の時間帯を掴みます。ただ、右サイドに移ってからはボールタッチも増え、攻撃のリズムを創っていた持留も「決定的なシーンは創れてないんで」と話した通り、なかなかエリア内へいい形で侵入していくようなシーンは生まれず、57分に中盤でいい形のボール奪取から、右サイドの持留がいいクロスを上げましたが、ジョジマールのヘディングはパワー不足でGKへ。74分にジョジマールの左クロスに福田健二が飛び込むも、千葉DFが一歩先にクリア。1点を奪えません。最大のチャンスは78分。左SBの高杉亮太が、ここしかないという対角線のスルーパス。走り込んで受けた右SBの関根永悟はGKと1対1に。しかし、飛び出した櫛野亮が完璧なシュートブロック。両SBで生み出した決定機もモノにできず、万事休す。「理想とはちょっと離れていたかもしれませんが、今日はいい方向に転んだ」と江尻監督が評した千葉が、5試合ぶりの無失点で勝ち点3を手に入れました。愛媛は青野コーチが語った「前半の入りがものすごく悪かったのがすべて。すべてにおいて完敗」という言葉がすべて。今シーズン初の3失点と守備が崩壊し、難しいゲームになってしまいました。勝った千葉は、「久しぶりに試合に出た選手がいい働きをしてくれた」と言及したように、巻と米倉の貢献度はかなり高かったと思います。「久々のゲームで不安もあり、個人的には難しい試合だった」という巻のプレスとポストプレーはやはり計算できる武器。終盤は疲れたものの、米倉の幅広い動きも愛媛にダメージを与えていました。谷澤達也、青木孝太、深井正樹が途中から出てくる層の厚さも十分にプラス材料。とりあえず今日は1万人を超えた観客に、いいプレゼントができたと言ってよさそうです。 AD土屋
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J2第16節 草津×札幌@正田スタ

前節は首位を独走する柏相手に、日立台でラフィーニャと佐田聡太郎のゴラッソが飛び出し、2度のリードを奪いながらも、結果は逆転負け。3連敗となかなか最下位を脱出できない草津は、今日が9325人以上をスタジアムへ!という集客大作戦「草津GO!9325(クサツゴー)!プロジェクト」対象ゲーム。Jリーグ昇格後の最多入場者数は8276人。プロジェクト4度目の挑戦で、目標達成を狙います。一方の札幌は石崎体制2シーズン目。当然目指すのはJ1復帰ですが、なかなか勝ち点が伸びず、12位と苦しい序盤戦に。ただ、ここ6試合は2勝4分けで負けなしと上昇傾向にありそうです。さて、ゲームは立ち上がりからなかなか落ち着かず、ボールが行き来する展開に。草津は4-2-3-1の1トップ下に入った菊池大介がよくボールを引き出し、チームとしてポゼッションの意識は高かったものの、イージーミスが多く、チャンスに結び付けるまでには至りません。札幌は対照的にキリノ目がけたロングボールを最優先に選択しますが、「縦に急ぎ過ぎたし、前に収まらなかった」とはサイドでなかなかボールに絡めなかった古田寛幸。これに関しては草津のボランチに入った松下裕樹も「少し自分が下がる形でCBと3人がキリノをケアしたので、あまりやられなかった」と振り返るなど、草津は想定通りにうまく守れていたと思います。しかし、均衡を破ったのはアウェイチーム。21分、宮澤裕樹が左へ展開すると、上がってきたSBの西嶋弘之は素早く右足でアーリークロス。ニアに潜り込んだのは「普段走んないんですけど空いてたんで」という近藤祐介。右足で巧みに合わせると、揺れるゴールネット。「いいリズムだったので1回目の相手の攻撃を一番危惧していた」とは草津の副島博志監督でしたが、そのファーストチャンスをしっかりモノにした札幌が、まずは先制してみせました。決して悪くない試合運びを見せながら、ビハインドを負ってしまった草津。2試合続けて松下とドイスボランチを組んだのは、「プロになってからボランチはほとんどやったことがない」という廣山望でしたが、彼がしっかりと収めることで、攻撃の起点作りがうまくいく面と、付けられたボールを受けてターンする所に、プレスを掛けられて奪われてしまう面と、功罪両面がある中で特に前半はやや“罪”に針が振れた部分は否めず、それは松下も同様。33分には松下が中盤でボールを失い、近藤が外したものの、GKとの1対1を創られてしまうなど、なかなか攻守の歯車が噛み合わないまま、札幌が1点リードしてハーフタイムを迎えました。このゲームだけは落とせない副島監督は早めの決断。「中盤でもう少しグラウンダーのボールで動かしたかった」と、熊林親吾を下げて前田雅文を後半開始から投入。するとこの交替が、草津に流れをもたらすことになります。47分には廣山のクロスから、前田がシュートこそ打てなかったもののチャンスに絡み、49分にも前田はラフィーニャとのコンビでCKを獲得するなど躍動。基本は左SHに入った前田が比較的中央へ侵入することで、草津の前線に高い流動性が生まれ、「少しずつ相手にスペースを与えてしまった」(札幌・高原寿康)札幌は後手を踏み始めます。そしてメインスタンドもバックスタンドも人で埋まった正田スタがようやく沸点に達したのは56分。ラフィーニャからのパスを受けた廣山の右クロス、前田が触って流れたボールをファーで待ち受けていたのは高田保則。浮き球、狭い角度、それでも高田に躊躇なし。振り抜く左足、サイドネットを捕えたボール、スタジアム爆発。副島監督も「非常に難しいゴール」と称賛した、9番の今シーズン初ゴールで、ゲームは振り出しに戻りました。ここからは松下も「アレだけ主導権を持ってボールを回せたのは久しぶり」と振り返る程に草津が圧倒。64分には前田のスルーパスからラフィーニャが抜け出し、飛び出したGK高原のファインセーブに阻まれたものの、決定的なシーンを創出。逆転への期待感は時間を追うごとに膨らんでいきます。逆に札幌はユース所属の三上陽輔、古田寛幸の両SHに替えて、砂川誠、内村圭宏とアタッカーを相次いで送り込んだものの、「動きが鈍くなるのは予想通り」と敵将に指摘された運動量の低下は顕著で、「相手にキープされた時にチームがどうするか。もっと工夫してアイデアを出していかないとシュートまでいけない」と古田が話したように、どうしても単調な攻撃に終始し、まったくシュートシーンを創り出せません。草津攻勢の最終盤には、今日の入場者数が発表されると、その数なんと9382人。とうとう訪れた悲願達成に、「このクラブでこれだけお客さんが入るという意味は十分わかっている」(廣山)というイレブンも最後の猛攻。88分、前田、廣山と繋いで松下が放ったミドルはクロスバー直撃。90分、崩した形から前田がエリア内で決定機を掴むもシュートはヒットせず。よく攻めましたが、鳴り響いたのは試合終了を告げるホイッスル。それでもドローとはいえ、最後まで見せたアグレッシブな姿勢に対して「まるで勝ったかのような」(廣山)暖かい拍手にスタジアムは包まれました。札幌は最下位相手の「勝たなくてはいけない試合」(近藤)に内容では完敗。最大の原因は、「前の外国人がボールをキープできて、そこに全体が押し上げられる所に差があったかな」と指揮官が語り、「前でのタメが非常に重要だと思う」と古田も触れたように、キリノの所で時間を創れなかったことでしょうか。ある程度予想された運動量の低下を補うには、やはりしっかり基点を確保することが最重要課題。人か戦い方か。修正が求められます。草津は「選手たちが主体的な動きをしてくれたことに大きな価値がある」と副島監督も評価した点は大きな収穫。光る個を発揮した菊池と前田の起用法もポイントでしょうか。しかし、今日は何と言っても高田の奮闘でしょう。ゴールのみならず、「攻守において全力でやってくれた」と副島監督も舌を巻いた献身的な姿勢が、あの同点ゴールを呼び込んだのだと私は思います。草津巻き返しの萌芽は垣間見られた90分間でした。 AD土屋
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J2第15節 水戸×千葉@Ksスタ

13試合で12失点。大和田真史とルーキーの作田裕次で組むCBを中心に、中位グループの中でも守備組織の安定感は群を抜く水戸。危急の課題はFWの片山真人が「ディフェンスは安定しているんで、あとはいかに点を取るか」と語ったように、浦和へレンタルバックした高崎寛之、磐田へ移籍した荒田智之という、昨シーズン計33ゴールコンビを揃って失い、ここまで9ゴールしか積み重ねられていない得点力不足への対策なのは間違いない所です。一方、3位と昇格圏内はキープしているものの、県内のライバルとは対照的に苦しいゲームが続いている印象の千葉。今日は前節決勝ゴールを決めた青木孝太が3トップの中央として今季初スタメンと、少し前線をいじってきました。さて、まず先にチャンスを創ったのは水戸。7分、村田翔、遠藤敬佑と繋いだボールを吉原宏太が左へ展開すると、走り込んでいたのは今季初スタメンかつ、プロ初となる左SBに入った保崎淳。「宏太さんからいいボールが来たので、持ってって打っちゃおうと」ドリブルから鋭いボレーを枠内に飛ばし、千葉GK櫛野亮の好セーブに阻まれたものの、このシーンには「最初のワンプレーでいいプレーが出たのが、チームも前向きに守備をして攻めるぞというスタンスが出た」と木山隆之監督も高評価。これでペースを掴んだ水戸は、14分にも保崎のFKを片山が体を張って収め、森村昂太のパスから吉原がフィニッシュまで持ち込むなど、完全に試合の流れを引き寄せます。また、守備面でも「宏太さんのスイッチにみんなが付いていく感じ。前線からよく守備をしてくれた」と大和田が話したように、吉原と片山が前から激しくチェイス。加えて最終ラインも高さをしっかり保ったことで、相手をコンパクトなスペースに押し込め、裏への狙いにはうまくオフサイドを掛けるなど、まったく千葉に付け入る隙を与えません。「後ろが我慢してラインを上げれば、前も追いやすいとわかった」と再び大和田。かなり手応えを持って連動した守備ができていたようです。逆に千葉からすると、結果から見れば青木孝太の起用がハマらなかった印象。彼のスピードを生かそうと、ある程度裏に早く入れる形は見てとれましたが、まったくと言っていい程に抜け出すような場面は創れず、相手のラインも押し下げられません。また、3トップの右を担うアレックス、左の倉田秋も青木孝太との距離が遠く、ここでも3人の有機性は低いまま手詰まりに。前半はシュートも1本と、かなり厳しい展開を強いられることになりました。水戸は39分に大橋正博の素晴らしいスルーパスから吉原が惜しいボレーを放ち、42分にも大橋の空いたスペースを見事に切り裂くパスから、吉原の右クロスに保崎がダイビングヘッドで飛び込むなど、前半終盤にかけても決定機を創出。得点こそ奪えなかったものの、最高に近い形でハーフタイムを迎えることとなりました。後半はスタートから千葉がボールを持つ時間が長くなりましたが、相変わらずシュートは遠いまま。逆に56分には作田がグラウンダーで当てたクサビを森村が捌いて、最後は吉原が櫛野にファインセーブを強いる枠内シュート。構図に変化はありません。すると、ようやく均衡が破れたのは65分。キッカケはアグレッシブな左SBが「自分でも行けたけど、強引に行くよりファウルをもらった方がチャンスになると思って」と奪ったFK。大橋のキックにニアへ「本当にいいボールが来たので、技術うんぬんじゃなく気持ちで」頭から飛び込んだのは片山。ストライカーの一撃にKsスタも沸騰し、水戸が残り25分で先制しました。ビハインドを負った江尻監督は、61分に投入していた太田圭輔に続いて、失点直後にはアンカーの山口慶を下げ、ネットを投入。4-4-2へのシフトで打開を図ると、69分には倉田のクロスから、上がってきたSBの和田拓三がヘッド。GK本間幸司の正面は突いたものの、ようやく惜しいシーンを創出します。これを受け、木山監督は両SBには「流れが押せ押せの状態で上がり過ぎていたので、チャンスの時以外はスペースを与えないように」という対応策を指示し、72分には先制弾の片山を下げて中山悟志を送り込み、再び前線からのプレスを増強させます。83分には工藤浩平の枠を捉えたミドルも、本間がファインセーブでゴールを死守。最終盤の84分には「前が2トップだと受けられやすく、中盤に疲れがあったので」(木山監督)ボランチに下田光平を配するリスク管理も見せ、90分にCKから迎えたゴール前の大混戦も、高い集中力で体を張って凌ぎ切ると、5分にも及ぶ追加タイムを経て聞く歓喜のホイッスル。「チームとしてやろうとしたことを遂行しきった。選手たちがやって欲しいプレーを100%やってくれた」と指揮官も納得の笑顔を見せた水戸が、3試合ぶりの勝利をホームのサポーターに届ける結果となりました。悔しい敗戦となった千葉は「見てもらった通り。我々が戦うものを持ってやらなければ、こういうことになる」と江尻監督もおかんむり。ただ、今日に限って言えば青木孝太の起用は奏功せず、ネットの投入も遅く、そのネットも含めた太田、谷澤達也と交替で切った3枚のカードも残念ながら機能しなかった印象です。完敗という評価に反論の余地はないでしょう。対する水戸は「チームがやろうとしているサッカーのベストに近い」と大和田が振り返ったように、特に守備面での意識統一が最後までブレなかったことが、完封勝利を呼び込んだと言えそうです。前からのチェイスに関しても、片山は「いつもやってる普通のこと」とアッサリ。普通のことを“普通”にやれたかどうかが、このゲームの勝敗を左右した気が私にはしました。ちなみに写真のホーリーくんリストバンド(即買い!)の上に乗ってるのは、シャトルバス乗車時にもらった木山監督のシール。コレ、当たりですよね? AD土屋
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ナビスコ第4節 浦和×山形@駒場

平日開催のナビスコということもあり、今日のスタジアムは駒場。ただ、今シーズンの開催はこのゲーム1試合のみということもあってか、雨混じりの中でも聖地駒場には13371人が集まりました。両者が入っているグループBのスタンディングを確認すると、3試合を消化した時点で2勝1分けの浦和は首位。一方の山形も5位ながら1勝1分け1敗と、まだまだ決勝トーナメント進出条件の2位以内は射程圏内。両チーム合わせてフル代表は阿部1人と、お互いほぼベストメンバーを揃えたゲームは、冷たい雨が降り、「いやー、完全に油断したよ〜」と一緒に見ていた薄着の西岡さんも震えるくらいの寒さの中でキックオフされました。山形にしてみればアウェイで浦和相手という条件下、「最初は守備から入らざるを得ないので20分は集中して守ろう」とは小林監督からの指示。しかし、その20分間、特に開始から10分は「我々がリードしてもおかしくないだけのチャンスがあった」とフィンケ監督も言及する浦和の猛ラッシュ。圧倒的なポゼッションで攻め続けます。そして8分には綺麗なカウンターが炸裂。田中がドリブルでハーフウェーラインを越えた段階で、浦和4人に対して山形は2人。絶好の先制機を迎えましたが、田中が左へ送ったパスを受けた細貝は、中へ切り返すとDFに潰され、フィニッシュまで持ち込めず。これには「今日一番残念で、得点しなくてはいけない状況だった」とフィンケ監督。チャンスをモノにできません。さて、その後も浦和がボールを支配し、サイドからの崩しもポンテと平川で組む右を中心に見られる展開に、「相手の攻撃陣が流動的で、1人で2人を見たりと結構難しい状況だったので、“回させてる”くらいの感覚だとムリヤリ思い込んでやっていた」と苦笑したのは山形新布陣、4-1-4-1の中盤アンカーに入った佐藤健太郎。それだけ押し込まれていた訳ですが、それでも少しずつ守備のリズムは取れ出し、20分以降はシュートまで持ち込まれるシーンもなくなっていきます。さらに30分辺りを境にして、ややボールをキープし疲れた感のある浦和を尻目に、何度かチャンスの萌芽は創るなど流れが変わり始める中、アクシデントで決断を迫られた小林監督。平川のタックルで足を痛めた宮沢を「相手のサイドはスピードがあるので前半が終わるまで持たないな」と判断し、「そのままSHに替えることも考えたが、中央を堅くしてということで」下村をボランチに投入して、秋葉を左SHにスライドさせます。すると交替から1分後の38分、左サイドでその秋葉がうまく溜めて外側にパスを送ると、回り込んだ石川はどフリーから「ある程度は狙い通り」というピンポイントクロス。フリーの田代はきっちり頭で流し込み、鮮やかに先制ゴールを奪ってみせます。さすがにゴールという成果の速効性まで考えた交替ではなかったにせよ、結果的に秋葉を外に出したことが奏功した形になり、山形リードで前半は終了することになりました。さて、リードこそ得たものの、中盤の数的優位を生かしきれなかった山形は、「シャドー(※中盤4枚の中央2枚)を押し出して、1人前に出たら次が必ず準備していくように」という指揮官の指示を受け、下村中心に相手をしっかりと監視下に置くことで、後半は浦和にシュートを打たせません。61分にはフィンケ監督も鈴木啓太を下げて原口を送り込むことで、再び攻撃面での活性化を図りますが、その2分後にゴールが記録されたのはまたもやアウェイチーム。FKからの流れ、右サイドを強引かつ繊細に抜け出した増田は「何となくあそこに人がいるなという感じで」クロス。「(増田とのプレーには)イメージがあるので裏に回った」田代は、またもフリーでしっかりコースを狙ったヘディングを披露。0-2、駒場はアウェイゴール裏のごくごく一角を除いて、再び静まり返ってしまいました。さすがにこのままでは終われない浦和は、75分に田中を下げて長身FWの高崎が前線に投入されると2トップへシフト。サイドからえぐって、という形をしっかり創る所までは行くのですが、「最後まで集中を切らさなかった」(佐藤)山形の前に、クロスを送っても送ってもことごとく跳ね返されます。ただ、高崎が唯一高さを生かしてヘディングシュートを放った際に、左サイドからクロスを送ったのはCBの坪井で、これが終盤では一番惜しいシーンだったという点が、クロスの工夫が足りなかった部分を象徴していたように思います。ゲームはそのままのスコアでタイムアップ。山形が敵地で100点満点に近いゲーム運びを見せ、勝ち点3を奪取して暫定ながらグループ2位へと躍り出ました。4-1-4-1へとトライしている山形。この布陣のキーマンはアンカーに起用された佐藤でしょう。「個人としては悪かった。前の選手をうまく動かせなかった」と試合後は反省しきりでしたが、持ち味の展開力をあの位置で生かせれば、レフティということもあって、かなり面白いタイプのアンカーになりそうです。毎年同じポジションにライバルが加入してきても、常にゲームへ出続けてきた彼がこのポジションをモノにできれば、チームはもう一段階高い所に上れるのではないでしょうか。 AD土屋
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J2第14節 横浜FC×鳥栖@ニッパ球

開幕3連勝と最高のスタートを切りながら、直後から5連敗。1つの勝ちを挟むと、再び負けが止まらず現在は4連敗中。岸野靖之監督にとってみれば、「お世話になった5年間は宝物。それは何十年経っても変わらない」という古巣相手のゲームを最悪に近いチーム状況の中で迎えることになった横浜FC。一方、キム・ミヌ、ヨ・ソンへ、藤田直之、早坂良太など、“岸野後”となる今シーズンから加入した選手もスムーズな融合を見せ、6戦負けなしの4位と着実に昇格圏内を視野に捉えている鳥栖。渦巻く因縁と、互いに負けられない意地がそこかしこに交錯する、開幕前からの要注目カード第1弾はニッパ球です。ゲームがいきなり動いたのは7分、大黒将志が難しい体勢からうまくボールを落とすと、加入したばかりのホベルトは絶妙のスルーパス。受けた武岡優斗は思い切りよくシュートを放つと、ボールは右ポストを叩きますが、こぼれを高地系治がプッシュ。いきなり“元・鳥栖”3人が絡んでの先制ゴールで、横浜がリードを奪います。さらに9分、左サイドから高地がドリブルでエリア内へ侵入した所で丹羽竜平と接触すると、岡部拓人主審の判定はPK。実際、このプレーだけをとってみるとやや微妙な判定でしたが、横浜はその前にもエリア内で倒されたシーンがあり、合わせ技といった所でしょうか。キッカーの大黒は確実に沈めて2-0。点差を広げます。すると止まらない三ツ沢。15分、右サイドでボールを持った丹羽は、突如対面にいた高地へまさかのプレゼントパス。おあつらえ向きのボールを高地はダイレクトで中へ送ると、ラインの裏へ飛び出した大黒が右足アウトでゴールへ流し込みます。ただ、この大黒のラインブレイクがオフサイド気味で、さらにDFラインもベンチの目の前ということもあって鳥栖は猛抗議。これで実質指揮を執っているユン・ジョンファンヘッドコーチは退席処分に。松本育夫監督も「3点目はオフサイド。残念ながらレフェリーが試合を壊してしまう」と怒り心頭でしたが、当然判定が覆るはずもなく、「15分で3点というのは予想もつかない」(松本監督)ような立ち上がりとなりました。さて、当然3点のリードを手に入れた精神的な優位性はある中で、それを差し引いたとしても前半をコントロールしていたのは間違いなく横浜。キーマンは「日本が凄く好きですぐ戻ってきたい気持ちが大きかった」というホベルトでしょう。守備面でフィルターとなり得るのは大分や鳥栖でも実証済みですが、今日のゲームで際立ったのは「いい選手がいるのでパスは回せる。パスを回すのも自分の役割」と自ら語った部分。中盤の深い位置でもよくボールを受けて散らしての働きには、敵将の松本監督も「ウチの中盤と前線の間でフリーで受けられていた」と言及。加えて先制点に繋がったようなスルーパスまで披露してみせた訳で、加入したばかりながら抜群のパフォーマンスを発揮したと言ってよさそうです。また、「ホベルトが合わせてくれるので凄くやりやすかった」と話した八角剛史も確実に捌くことでパスワークのリズム作りに貢献。「相手のFWが思ったよりもプレスに来なかった」(八角)中盤をドイスボランチが自由に泳いだことで、攻守両面において鳥栖に付け入る隙を与えません。32分には高地のCKをニアで大黒がアッサリ合わせ、早くもハットトリック達成。前半だけで4-0と「完全にゲームは勝負が決した」(松本監督)形になってしまいました。後半は絶対的なアドバンテージを得て、それほど無理をしてまで前には行かない横浜に、苛立つ鳥栖という構図がハッキリと。鳥栖は51分に下地奨が、抜け出しかけた西田剛を手で引き倒して2枚目のイエローカードで退場。57分には豊田陽平を送り込み、4-3-2の布陣で何とか1点を奪いに行きましたが、69分にはオーバーラップしてきたCBヨ・ソンへが、大きくなったドリブルをリカバーしようと、カットに来た八角に飛び込み一発レッド。4点差で9人となってしまっては為す術なく、ジ・エンド。得点もさることながら、「そこがすごい大事」と岸野監督が強調した完封で、横浜が連敗を4でストップする大きな勝ち点3を、“俺たちの丘”三ツ沢で獲得しました。敗れた鳥栖からすると、形を創られて許した1点目は「しょうがない」(松本監督)ものの、やや不運な部分はあったにしても「2点目と3点目が短い間に入ってしまった」(同)ことでプランが瓦解。個人的に期待していたキム・ミヌもなかなか輝く場面を創れずじまい。後半は退場者を2人出した以外にもラフプレー連発と、なんとも後味の悪いゲームになってしまいました。一方、勝った横浜は岸野監督が「今日1回勝っただけ。まだこれからもっともっと勝ち続けなくてはならない」と気を引き締めたものの、泥沼からわずかに這い上がったことは確か。また、なかなか定まらなかったボランチに「自分の欲しかったものを彼はやってくれた」と指揮官も称賛したホベルトと、「2人の関係が凄くよかった」と自ら評した八角という組み合わせが名乗りを挙げたのも小さくない収穫ではないでしょうか。エースもハットトリックと好調を維持しており、「次が本当に大事」と八角も話した次節はそのエースや岸野監督の古巣でもあり、その他の選手を見ても鳥栖と同様、あるいはそれ以上に因縁浅からぬ東京Vとの対戦になります。 AD土屋
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J1第12節 湘南×G大阪@平塚

アジエル、ジャーンと両ブラジル人を筆頭にケガ人が続出。なかなかベストメンバーを組めずに、ここまで2勝3分け5敗の16位湘南。さらに昨シーズンのJ2全51試合、今シーズンここまでのJ1全11試合と、その全てでゴールマウスを守ってきた野澤が今節は負傷欠場。代わりに「昨日の練習前にスタメンを言い渡された」という順天堂大在学中の特別指定選手・松本拓也を、反町監督は起用してきました。一方、いまだに2勝で14位と低迷が続くG大阪は、火曜のACLでも「ショッキングなゲーム」(西野監督)でベスト16敗退。苦況の中、ここ数試合採用してきた3-5-2から「向こうの布陣にも合う4-4-2」(西野監督)へ戻し、ACLで戦列に復帰した平井がスタメンに戻ってきました。さて、ゲームが始まり、まず最初に目に付いたのはG大阪の左SB安田が積極的に上がってきていたこと。システム的にミスマッチになる中盤で、SHのルーカス、二川はかなり中に入ってプレーする時間が特に序盤は多く、空いたサイドのスペースを安田は有効利用。6分に自らが奪ったCKから枠内にミドルを飛ばすと、9分にはやはりSBの加地がカットインから枠内ミドル。まずはサイドの主導権という意味で、G大阪が狙いを体現します。しかし、先手を取ったのはホームチーム。11分、GKの松本はバックパスをダイレクトで右へ展開。ここを起点に中村が左へ正確なサイドチェンジを送ると、トラップで収めた阿部は絶妙な軌道を右スミに描きます。もちろん中村のキック精度と、阿部のシュートも凄かったのですが、試合後に「さりげなくはたいて1点目に繋がった。今日一番よかったプレー」と振り返った松本の好判断が呼び込んだ一撃で、湘南がリードを奪います。するとここからは、ボールもダイレクトで回り始め、アプローチのスピードでも勝る湘南ペースに。G大阪は「明神や遠藤の中盤の所でプレスが効いていなかった」(西野監督)ため、ボールを動かされてもなかなかそれを奪って攻撃に移行するような形ができず、加えて平井と宇佐美の2トップがまったく流れに絡めなかったことで、劣勢に陥ります。ただ、そこはさすが西野監督。前線の組み合わせが機能しないと判断してか、30分過ぎに宇佐美とルーカスの位置を入れ替えると、「ルーカスは懐が深くてボールも収まるし、2列目もどんどん飛び出してくる」と湘南のCB村松が触れたように、G大阪の攻撃にようやく基点が。そして41分、中澤が長い距離のクサビを打ち込むと、意外な程に道が開け、ルーカスの足元へピタリ。落としたボールを平井が豪快に一刺し。試合は振り出しに戻ります。それでもまだ流れは湘南に。追い付かれた2分後、松本のゴールキックを加地がトラップミス。拾ってエリア内へ入った阿部を加地が倒すと、岡部拓人主審の判定はPK。勝ち越すチャンスを掴みます。キッカーはここまでPKで2ゴールを挙げている坂本。ところがキックはゴールの右に逸れ、まさかの失敗。結局同点で45分は終了しました。迎えた後半、ゴールはアッサリと、ハーフタイムに「ボールの動きも判断もスピードも非常に遅い。すべて倍速にしていかないとダメだ」と指揮官から命じられたG大阪に。55分、遠藤のCKからニアでルーカスがバックヘッド。これがゴールに吸い込まれ、逆転に成功します。さらに62分、ルーカスからパスを受けたのは「前半はまったくダメ。後半も15分くらいで替えるつもりでいた」と西野監督が明かした平井。スラローム気味のドリブルで2人をかわすと、ゴール右スミにズドン。消されていながら一発の輝きで2ゴールを奪った男は、これで7戦7発と驚異的なペースでゴールを量産。G大阪のリードは2点に広がりました。この展開になった大きな理由として考えられるのは、前述したように中盤でプレスの掛かりが悪かったチームに対して、西野監督が「相手のアンカーである田村に対してもっとプレス掛けられないかとヤット(遠藤)と明神には話した」と。これを受けて後半はかなり田村の所だけではなく、坂本とハン・クギョンにもハイプレスが掛かるようになり、全体の運動量も上がっていったと。西野監督も「後半はプレスを実践して全体のパフォーマンスが上がっていった」と認めています。湘南からすれば、前半よりプレスや運動量で後手に回り、「若干引き気味になってしまった」(松本)部分も否めず、だいぶバイタル付近をうまく使われるシーンが増えてしまった象徴的なシーンが3失点目だったかもしれません。反町監督は61分に中村OUTで三平IN、71分に坂本OUTで馬場IN、81分に田原OUTで新居INと、10分おきに攻撃的な選手を送り込みましたが、後半通してシュート2本と反発することは適わず、「前半はごまかしきれたが、後半はごまかしきれなかった」と反町監督。結果はG大阪が3勝目を挙げる形になりました。「自分たちで難しくしていただけで、修正していけばまったく問題ない試合」(西野監督)をうまく後半に修正できたG大阪は、この45分が1つの浮上へのキッカケとなるのではないでしょうか。現状で攻撃陣最大のキーマンと言ってよさそうなルーカスも、やはりトップを任せるのが適任。ACLも終わり、リーグ1本になった中で、この中断期間にどれだけ立て直せるかは指揮官による腕の見せ所ですね。逆転を許し、特に後半は押さえ込まれた湘南。「ガンバは後半の得点も失点も71%。後半オープンな展開になることは予測できていた」(反町監督)中で、「最終的には実力差が出たゲーム」(同)ということでしょう。ただ、前半の30分くらいまでは、ダイレクトパスもポンポン繋がり、集団で前へ前へと運んでいくことが、G大阪相手にも十分できていました。「これで後ろがいなくなったので、リセットしてリスタートできるように頑張っていきたい」という監督が、この中断期間をどう生かしてくるか。次のリーグ戦は共に7月14日のゲームです。 AD土屋
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J1第11節 浦和×横浜FM@埼スタ

難敵名古屋にホームで逆転勝ちを収め、連敗を2でストップした浦和。ゴールを挙げたのも柏木に原口と、共にシーズン初ゴールとなる2人とあって、いい流れでホーム連戦を迎えます。対する横浜FMの前節は、新潟の約1年ぶりとなるホーム勝利にある意味貢献してしまうような内容と結果に。特に中盤から前はなかなかメンバーもシステムも定まらず、順位も下降気味とあって、連敗は避けたい所。4万8千を超える大観衆を集めたいわゆるゴールデンウィークのラストゲームは埼玉スタジアムです。ゲームが動いたのは開始早々の6分、左サイドでボールを持った中村は、体勢を崩しながらショートパスを中へ。受けた渡邉は山田をハンドオフで弾くと、すかさずミドル。ボールは左ポストを掠めて、そのまま豪快にゴールネットへ。これには浦和の平川も「シュートもよかったし、しょうがない部分もある」と認める、渡邉のファインゴールで早くも横浜が先制しました。木村和司監督が「入り方はよかった」と言及した通り、序盤の勢いは横浜。4-4-2でスタートする中、ボランチに入った狩野が積極的にボールを引き出しつつ、「縦、斜めに入っていけてた」(木村監督)ことで攻撃に厚みが。また、守備面でも中村をサイドに出したことで、中盤センターは安定。まずは主導権を握ります。浦和は4-2-3-1の3に入ったポンテ、柏木、田中にボールが入らず、まったく攻撃の形ができませんでしたが、18分に柏木がポストをなめるFKを放つと、19分に素晴らしい形を創ります。右から展開されてきたボールを、「ギリギリを狙っている(田中)達也さんの動きもわかってきて、しっかり見られるようになってきた」という宇賀神友弥はダイレクトで縦へ。付いていた兵藤を完全に外して裏へと走り込んだ田中はクロス、ファーでポンテが丁寧に折り返すと、確実にプッシュしたのは柏木。左SBを起点にイメージがシンクロして、完全に崩した形を創った浦和が同点に追い付きます。以降は24分に高い位置まで上がった宇賀神のクロスが流れたボールを、平川が拾って再びクロスを上げたシーンに象徴されるように、SBを含めてサイドでの主導権を握った浦和が押し込む展開。30分には田中が倒されて得たFKを阿部がクロスバーにぶつけ、31分には田中のミドルもクロスバーに弾かれるなど、逆転も時間の問題かと思わせるくらいに攻勢が続きます。しかし「練習でもあってはいけないミス」とフィンケ監督が嘆いたシーンは44分。横浜のGK飯倉から蹴られた何気ないフィード、渡邉と坪井が競り合い、浦和ゴール側へと向かったボールを宇賀神はスルーのような形で後方へ流すと、「僕の所から1点目はやられたんで、何とか取り返したかった」という兵藤がかっさらい、慌てて飛び出した山岸を冷静に破ります。好リズムの中で、突如として生まれたエアポケット。横浜が勝ち越して、前半は終わりました。さて、失点シーンは個人のミスではあったものの「前半の最後の10分間は運動量が落ちてしまった」(フィンケ監督)のも確かだった浦和は、ハーフタイムを挟むと、失点のショックにもめげずに再びラッシュ。49分、左右に揺さ振るいい展開から奪ったCK、ポンテが蹴ったボール、DFのクリアを拾った細貝が中へ送ると、エジミウソンのヘディングはゴール右スミギリギリに吸い込まれます。2-2、再び同点。流れは間違いなく浦和に傾いているはずでした。ところが、繰り返された悪夢。60分、浦和の左サイド深くに入れられたボール、坪井のカバーに対して「ラインの所でツボが足を出してくるのはわかってた」と山瀬はゴールラインギリギリで体を入れて、ボールを奪いに掛かります。坪井も粘りましたが、わずかに中へ持ち出した山瀬は、「抜き切れなかったけど、中に誰かいるだろうと」折り返しのパス。詰めていたのは渡邉。2-3、3度目のリードとなるゴールは横浜。押し込みながら一発でゴールを奪われたのも同じなら、「とてもムダな信じられないような形で相手にリードを許してしまった」(フィンケ監督)のも同じ。またもや浦和はビハインドを追い掛ける形になりました。フィンケ監督1枚目のカードは66分、宇賀神に替えて、前節決勝ゴールを決めた原口。細貝が左SBに入り、柏木がボランチへ下がって、原口は左に入ります。それでも81分には原口が枠内にシュートを飛ばしましたが、なかなかチャンスを創るまでには至らない浦和。83分には坪井を下げてエスクデロ、87分には細貝とサヌをスイッチさせるなど、DFに替えて次々と攻撃的な選手を送り込むものの、「もう少し前の選手が動いてあげないと、後ろの選手がボールを出す所がないと思う」とは終盤ワンボランチに近い配置となった柏木。前に人数こそいる中で、1点目のようなイメージの共有から崩すシーンは結局最後まで訪れず、横浜がアウェイで勝ち点3を獲得する結果となりました。全体的には劣勢の時間が長かったにも関わらず、3点を挙げて勝利した横浜。4-0で川崎に大勝した際にも採用され、山瀬も「キャンプ中からやってる形ではあるのでイメージはできてる」と語る、今日のシステムとメンバーがベストであるような印象を受けます。ただ、まだまだ連携面には向上の余地アリ。とりあえず今日は「勝てたことが一番大きかったと思う」(兵藤)という所でしょう。一方、「もったいない負け方」(田中)で勝ち点を落とした浦和は、「私たちの展開したサッカーの質は十分高かった」とフィンケ監督は振り返りましたが、やはり攻撃している時間の割に決定機を創り切れない部分は否めません。今日に限っては「2点は取ってくれてるのに、3点取られては…」という平川の言葉通り、ミス絡みによる3失点に課題が残るものの、アタッキングゾーンでの形に、ポンテのアイデア以外のプラスアルファが出てきて欲しい所。「ゲームをコントロールしていたにも関わらず、自分たちのミスで失点してしまった」(フィンケ監督)過ちを繰り返さない必要がありそうです。 AD土屋
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J1第10節 湘南×神戸@平塚

順位で見ると17位と18位の対決ですが、残留圏内とのポイント差を考えると、共に勝利すれば中位までのジャンプアップが見込める状況。時期的にまだまだアタフタするようなタイミングではないとは言え、それでも中断期間までには降格圏を脱しておきたいところでしょう。前節、強豪川崎相手に1-2とリードしながら、退場者を出して逆転負けを喫した湘南。ジャーンとアジエルを負傷で欠き、ハン・グギョンもベンチスタートとなったために、純国産の11人がスタメンに名前を連ねます。対する神戸は小林と河本の出場停止を受けて、宮本が今シーズン初出場。最終ラインには右から石櫃、北本、宮本、茂木と新鮮な顔触れが並びました。さて、反町康治、三浦俊也と、いわゆる“策士”系の指揮官対決とあって、共にいつもとは異なる布陣を選択。まず神戸は大久保が左の中盤に入り、都倉の1トップでその下にボッティが入る形の4-2-3-1でスタート。するといきなり3分で先制ゴール。大久保から左サイドでパスを受けたボッティは早めに中へ。都倉は胸トラップで収め、すかさず左足を振り抜くと豪快に揺れるネット。これには湘南の村松も「もう1つ持ち出すと思った」と脱帽の体。以降も「(大久保)嘉人さんとボッティでタメができて、前を向いてプレーできるシーンが多かった」と都倉が話したように、普段はロングボールばかりに終始してしまう形が多い中、ある程度ビルドアップに時間を割いてから都倉へ、という形も見られ、落ち着いてゲームを進めていきます。一方の湘南は「最初は後ろを3枚でやった」と反町監督も言及したように、右から島村毅、山口貴弘、村松を最終ラインに配した3-4-3がスタートの配置ですが、守備時には「ペナでは逆サイドのSHはかなり絞る」(村松)ことも考慮すると、左WBの小澤雄希がほぼ最終ラインに入り、寺川も中央をカバーするような4-3-3に近い形に。ただ、都倉とボッティをどうケアするのかのコンセンサスが取り切れず、「3人で1人を見るのはちょっとよくない」(村松)「1トップに3バックというのは気になった」(山口)とDFラインは感じていたものの、ハッキリしない対応が続きます。さらに、重心が後ろ残りになったことで、3トップと中盤の距離も遠く、厚みのある攻撃が繰り出せず、6分に寺川のFKから阿部が左ポストに直撃するシュートを放って以降はチャンスも創れなくなっていきます。20分以降はかなり膠着した時間の長い展開。となれば、やはりゲームを動かすのはセットプレー。36分、寺川のCKに走り込んだ山口はほとんどフリーでヘディング。前述した阿部のシュート以降、初めての枠内シュートをしっかり成果に結び付けた湘南が同点に追い付きます。しかし、そのわずか5分後には湘南の守備に綻び。何でもないロングボールに島村と山口の応対が鈍く、中途半端になったGKへのバックパスを、走り込んだ都倉がGKの位置をよく見て絶妙のループ。「(島村と山口の)2人がちょっと近くてアンバランスな所があったので、後半から変えようと思っていた。あそこでもうちょっと整理していれば」と反町監督はディテールを悔やみましたが、少し掴み始めていたリズムをみすみす逃すような、ハッキリ言って凡ミスで、またも神戸がリードして前半は終了しました。後半は開始から動いた反町監督。永田を下げてハン・グギョンを投入し、明確にいつもの4-3-3へシフトチェンジします。そんな中、この効果が現れるかどうかの判断も付ききらない49分、神戸に試合を決めるチャンスが。ボッティのシュートは村松が体を張ってブロックしたものの、こぼれに走り込んだ松岡は「いつもはドカーンと蹴っちゃうのに」(三浦監督)、冷静にフリーの都倉へパス。左足一閃、直後に響いたのは金属音。強烈なシュートはクロスバーを直撃、点差は変わりません。すると、やはり普段の布陣に戻したこと、そしてハン・グギョンが48分、51分とシュートを打ち切ったように、「腰の引けたサッカーをするな」という指揮官の喝が効いたのか、湘南は前へのパワーが少しずつ湧き出していきます。展開自体もだいぶオープンになり、小澤、茂木と両チームの左SBが見せるオーバーラップも目立つようになるなど、ある程度攻め合う中、三浦監督は64分にボッティを下げ、吉田を入れて前から掛けるプレスの圧力を強化。反町監督は70分に三平和司、75分に中村を送り込み、勝負に出ます。この交替策が奏功したのは湘南。79分、相手のボールをうまく奪った村松はそのままスルスルとドリブルで持ち上がり、左へ。「(中村)祐也が手前に、三平が奥に見えたので間に通せば面白いかなと」阿部が上げたクロスは、奥の三平へ到達。「パスが強く、自分も勢いよく入り過ぎてしまった」と三平。「ダイレクトで打つと思ったのにトラップしたから「あっ!」と思った(笑)」と阿部。三平はトラップから、迫られたDFよりわずかに早く左足を振り抜くと、バウンドしたボールはゆっくりとゴール右スミへ。昨年、一昨年も特別指定でリーグ戦出場を果たし、ゴールも記録している“ルーキー”の挙げた同点弾が、「出場停止とケガで非常に厳しい」(反町監督)状況のチームに勝ち点1をもたらす格好となりました。「ウチにも3点目を取るチャンスはあった」(茂木)「いい流れの中でもう1点取れなかった」(都倉)と両者が話したように、突き放すチャンスをモノにできなかったことで「後悔の残る勝ち点2を失ったゲーム」(三浦監督)になってしまった神戸。都倉がかなりJ1のスピードにアジャストして結果を出し始めているのは好材料ですが、その都倉と大久保の運動量が落ちると、途端に攻撃の迫力が低下するのは否めません。また、守備面も「せっかく2点取っても守り切れないのではレベルアップが必要」と三浦監督が語ったように、失点は増加傾向。浮上のキッカケを掴むにはもう少し時間が掛かりそうです。「後半はエネルギッシュなプレーができたと思う」と反町監督が振り返った湘南は、後半から投入されたハン・グギョン、三平、中村がいずれも流れを変える働きを見せ、総力戦とも言えるゲームで勝ち点を奪い取ったのは大きな収穫ではないでしょうか。あとは、前述したような3バックと1トップのミスマッチを、選手間でどう対応していけるか。日頃から反町監督が求めている“自主性”の表出が、チーム力をもうワンランク押し上げるファクターになるはずです。 AD土屋
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J2第10節 柏×愛媛@日立台

6勝2分け、12得点3失点。1試合のお休みがあったにも関わらず、堂々首位を快走する柏。今日はここまで4戦全勝の日立台が舞台。ゴールデンウィーク唯一のホームゲームとあって、ゴール裏には回転鯉のぼりが登場。スタンドのややウケをさらいます。一方の愛媛も失点の少なさは柏に次いで2位の4失点。番組のインタビューで登場してくれた福田健二もここまで3ゴールを挙げ、チームも連勝中の7位と好調をキープ。守備の安定感が際立つ両雄の対戦とあって、ロースコアが予想される中、キックオフを迎えました。さて、おなじみのメンバーが顔を揃えた柏に対して、愛媛はアライールと吉川健太がケガ、金守智哉が出場停止でCB不足。最近は左SBでの出場が続いた高杉亮太をCBにスライドさせ、その左SBには中盤が本職の渡邊一仁を起用。「トレーニングの期間も2日しかなかった」(愛媛・バルバリッチ監督)中、ぶっつけに近いDFラインで臨みます。さて、前半は立ち上がりから攻める柏と、守る愛媛という構図が鮮明に。11分には栗澤僚一が右へ展開、小林祐三は田中順也とのワンツーから絶妙のクロスを上げるも、フリーの工藤壮人はヘディングを枠外へ。15分にもレアンドロ・ドミンゲスが右へ回すと、小林のクロスに澤昌克がニアへ飛び込んだシーンなど、愛媛ゴールに迫ります。愛媛からすれば、レアンドロと澤が中央寄りにポジションを取るのは当然想定内で、バルバリッチ監督も「外の2人がかなり中に入ってくるので、それに対応したシステム」ということで、4-2-3-1気味の布陣を敷いたものの、「中の3人と外の2人でラインを形成しなければならなかったが、ポジションを簡単に失ってしまった」(同)ためにケアすべきポイントを逃し、さらに空いたサイドのスペースをいつも以上に両SB、特に小林が有効に利用していたことで、「守備から入ったのに、相手がなかなか止まらなかった」(愛媛・関根永悟)ような状態に陥ります。そして30分、左サイドで橋本がボールを持つと「相手の右SBの裏が空いた」のを見逃さなかった澤が抜け出し中へ。そこに待っていたのは田中。昨シーズン、特別指定で出場していた頃から何度もあった得点機を逃し続けた男が「やっと決めることができました」と安堵した、Jリーグ初ゴール。その後も流れは変わることなく、前半は柏の強さが目立つ45分となりました。しかし、後半は一転して愛媛が攻勢へと転じる展開に。51分に石井謙伍が後方からのフィードをボレーで叩いて、チーム初の枠内シュートを放つと、直後にも杉浦恭平のグラウンダークロスがファーに抜け、内田健太が強烈なシュート。GK菅野孝憲が何とか弾き出しますが流れを掴むと、バルバリッチ監督は素早い決断。56分に内田と越智亮介を下げて、江後賢一と松下幸平を投入。システムも4-4-2に変更して、同点を狙いに出ます。ここからも「陣形を変えてイニシアチブを取ることができた」(バルバリッチ監督)「愛媛のペースを引っ繰り返すことができなくて苦しんだ」(ネルシーニョ監督)と両指揮官の見解も一致していますが、キーになったのはサイドの攻防。4-4-2へ移行してから、中盤4枚の両ワイドに入った杉浦と江後がよくボールを収め、特に右サイドは杉浦をSBの関根が追い越していくシーンも多く、ここでの主導権争いは愛媛に。澤も「ボランチをケアしていたが、相手はサイドの選手がだいぶ基点になっていたので、そこをケアするようにと指示が出ていた」と振り返っています。ネルシーニョ監督は69分、澤を1トップ下に移し、田中に替えて、崩され掛けているサイドの抑止力になり得る菅沼を左SHとして投入。何とか流れを引き戻そうと試みます。ただ、イニシアチブも握り、いい形も創り掛けている愛媛に訪れていたのは「チャンス以前のチャンス」(バルバリッチ監督)。実際に記録上で見ても、後半のシュートは前述した石井と内田の2本のみ。76分には福田と持留新作を交替させ、杉浦を前線に上げましたが、やはりシュートを打ち切るまでには至らず。「最後に失点せずに踏ん張った」とネルシーニョ監督も評価した柏守備陣を、完全には崩せません。一方の柏もなかなか追加点のチャンスが訪れないまま、時間が経過。ようやく92分、フランサからのパスを受けた澤がハーフウェーライン辺りから完全な独走。「何も考えずに一直線に最短距離で」(澤)運んだドリブルからGKとの1対1に挑みましたが、結果は「GKの足に当たってましたからねえ」と本人も苦笑するシュートミス。そのまま1-0で「拮抗した、とても難しい」(ネルシーニョ監督)ゲームは柏の勝利で終わりましたが「モヤモヤ感が残りますよね」と澤。加入後リーグ戦初ゴールはまたもおあずけ。キャプテンの大谷秀和も「カウンターに入った時の質」を課題に挙げるなど、ややスッキリしない勝ち点3だったかもしれません。敗れた愛媛はメンバーが変わっても守備ブロックはしっかり形成されていて、失点が少ないのも納得です。あとはポテンシャルの高さは十分に感じさせる石井、杉浦、内田、越智らの若いアタッカー陣にシュートを打ち切るようなパワーが出てくれば、上位進出も十分あり得そうですね。勝った柏も守備の安定感は実証済みだけに、リードしている段階で追加点をしっかり挙げていくことが、確実に勝利を引き寄せる必要条件。後半は主導権を握られた時間も決して短くなく、アタッカー陣の奮起は求められる所です。それでも今日のようなゲームで勝利を得られる勝負強さを考えると、やはりJ2では突出した存在であることも間違いないでしょう。 AD土屋
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J1第9節 大宮×京都@NACK5

開幕戦での勝利以降、リーグ戦では2分け5敗となかなか結果の出なかった大宮は、張外龍前監督の辞任を受け、鈴木淳監督が就任。今日が新体制での初陣となります。一方の京都は前節ホームで山形相手に、ラスト10分から2失点を喫しての逆転負け。今日は「ここ何試合かの状態を見て、少しエネルギーが落ちていた」(京都・加藤久監督)柳沢をベンチに置いて、ドゥトラをスタメンに起用します。さて、鈴木新監督がチョイスしたスタメンの中で、目を引いたのはルーキー金久保順の名前。交替出場では実力の片鱗を見せてはいましたが、指揮官はスタートからピッチヘ送り込みます。すると、その金久保が新スタイルのキーマンとして躍動。本人も「守備で迷惑を掛ける分、攻撃はもっともっと中心にならなくてはいけない」と自覚十分で、SHながら中央寄りでボールへと積極的に関与。京都の中盤を締める角田も「そこまでやられた訳ではないけど」と前置きしながらも「本来はSBが対応するはずだったが中に入ってきていたので、金久保を誰が捕まえるかは気になっていた」と振り返っています。11分にはリズムそのまま大宮にチャンス到来。左サイドのスローインから村上のクロス、マーカーの染谷と入れ替わった石原は左足ダイレクトボレーを左スミへ突き刺し、早くもホームチームが先手を取りました。その後も「20分くらいまではいい形でボールも動かせた」(鈴木監督)大宮を前にまったく攻撃の手を繰り出せない京都は、「セカンドボールを拾えなかったので」(角田)早くも25分過ぎにシステムを変更。4-2-3-1から4-3-3にシフト、中盤を片岡、中山、角田で厚くして修正を図ると、これが見事なまでに奏功。今度は大宮が「守備の所で混乱が起きて、向こうの攻撃をうまく潰せずロングボールが多くなってしまった」(鈴木監督)ために、主導権を自ら手放す格好に。京都の時間が長くなっていきます。38分には角田が左へ展開したボール、染谷のクロスを増嶋がヘディング。GK北野が好セーブで逃れたものの、両SBがフィニッシュへ絡むなど、勢いを増していくと39分に動いたスコア。右サイドからディエゴの正確なアーリークロスに、走り込んでいたのはなんとCBのカク・テヒ。逆サイドへ頭でフワリと流し込む技アリヘッドで、京都が前半の内に追い付いて見せました。さて、完全に流れを引っ繰り返された大宮でしたが、後半最初のチャンスをモノにします。49分、村上はクサビのパス、中央左寄りで受けた橋本はチェックの緩さを察知して素早いターンから中へクロスを送ると、ニアへ飛び込んだのはまたも石原。中盤右サイドでの起用など本来の力を出し切れていなかった印象のエースが真価を発揮。再び大宮が勝ち越しに成功しました。京都からすれば石原のアジリティにやられた部分もありますが、2点とも染谷がマークを外されての失点。加藤監督も「少し弱気になっている所にボールが来る。組織的な問題というよりも個人の対応能力」とバッサリ。染谷にとっては今シーズン初スタメンのゲームが何とも苦い経験を積む機会になってしまいました。以降、52分に藤田がクロスバーを強襲するシュートを放ってからは、共にまったくフィニッシュの機会が訪れない静かな膠着状態に。加藤監督は60分にドゥトラと染谷に替えて、安藤と渡邉を投入。中山を左SBに下げる攻撃的な布陣に組み替えます。鈴木監督も68分に同じく2枚替え。藤田と橋本から、市川と内田にスイッチ。それぞれの思惑が交差しつつも、相変わらずシュートシーンは生まれません。ただ、流れとしてはリードを許している京都がパワーを前に掛けているため、当然大宮の守備陣に負荷は掛かる中でも、鈴木監督が「DFラインの集中力が非常に高かったので、守備の所はよくできた」と評価したように、ロングボールにもマトと坪内、両CBを中心に粘り強く対応。前線も「何としても1点を守りたいと気持ちだけで動いた」(石原)と果敢にボールを追い掛けます。終盤、ゴールを挙げているカク・テヒを最前線に上げて京都が勝負に出た場面でも、鈴木監督は今シーズン初出場の福田俊介をカク・テヒのマンマーカーとして投入。福田も期待に応え、ハンマーヘッドで跳ね返し続けます。94分、増嶋のスルーパスに抜け出した、途中出場の柳沢がフリーで放ったシュートも北野がガッチリとキャッチ。直後にホイッスル。劇薬を投与され、「チームとして絶対に勝たなくてはいけない試合」(金久保)で見事な結果。大宮が実に8試合ぶりとなる勝ち点3を手に入れました。これで5試合未勝利となった京都。「ゲームの内容はそれほど悪くないが、こと勝負に関しては非常に甘い部分が出ている」と加藤監督。メンバーを替えずにシステムをいじっても「日頃から練習しているので問題ない」(角田)程まで戦い方は浸透しているだけに、絶対的な攻撃の武器が求められそうです。監督交替後の初戦を勝利で飾った大宮は、「今までは速い展開だったが、今は僕の好きなタイプのサッカー」と金久保が評し、知人の大宮オフィシャルライターの方も短期間での変化を口にしていたように、ボールを大事に繋ぐような、鈴木監督の色は早速チームに反映されていたように感じます。当の指揮官は「喜んでばかりいられるゲーム内容ではない」とも語っていますが、まだ1試合ではあるものの、今後の巻き返しに期待を抱くには十分な感触を、今日のゲームからは得られたのではないでしょうか。 AD土屋
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J1第9節 横浜FM×磐田@日産

前節は鹿島をホームに迎えて1-3と、木村和司監督も認める完敗を喫した横浜FM。ここ数試合は4-3-3を試してみたり、メンバーを入れ替えてみたりと、試行錯誤している様子が見てとれます。対する磐田は2引き分けを挟んで4試合負けなし。前節は埼玉スタジアムで浦和相手にカウンターから挙げた西の1点を守り切り、勝ち点3を強奪。CBの加賀健一も「最近は守っていても点を取られる感じはなかった」と守備面への手応えを口にしています。7位と12位、中位を抜け出したいチーム同士の対戦は、鯉のぼりが気持ち良さそうに泳ぐ日産スタジアムより。まず今日のゲームで最も注目されたポイントは、Yahoo!のトップページにも掲載された、中村のボランチ起用。キックオフ後に確認すると、やはり中村は「監督には相手のプレッシャーが少ない分、ゲームを組み立ててくれと言われていた」と、金井貢史と並んで4-2-3-1の2に当たるドイスボランチの一角でスタートします。ただ、これは磐田も想定済み。「早めにプレスへ行ってしまうと背後のスペースを突かれるので、自分たちの前でパスを出させてそこに行く」(柳下正明監督)という意識での対応を徹底。中でもボランチに入った上田が「FWに見てもらったりして、簡単に前を向かれないようには意識した」と言及したようにFW、特にイ・グノは献身的なプレスバックで、中村へのチェックを敢行。結果、中村も後ろに下げるパスが多くなり、中盤低い位置からの展開という脅威は一定以上抑えることに成功します。また、それ以上に横浜の攻撃が停滞した要因は「(渡邉)千真の所でポイントがなかなか作れなかった」(木村監督)こと。ここに収まらず、渡邉の下に並んだ清水、山瀬、坂田も流動性が高かった訳ではなかったため、ボールを回す時間こそ長いものの鋭い攻撃へのギアは入らず、シュート数の割には決定機を創れません。逆に磐田は「しっかり我々がやろうとする守備はできていた」(柳下監督)中で、カウンターは大きな武器。26分にはイ・グノが中盤で粘り、西がドリブルからラストパス、前田はいい位置で受けましたが、判定はオフサイド。続く29分には中村へのプレスからボールをキープした前田がDFラインの裏へと最高のフィードを送ると、イ・グノはフリーで抜け出しましたが、シュートは枠外へ。それでも守備を安定させてカウンターという狙いをしっかり体現して決定的なシーンを創るなど、ボールキープ率とは裏腹に、磐田ペースという印象で前半は終了しました。後半も全体の流れはほとんど変わらず、横浜は「もっとプレーを早く。3人目が出て行こう」というハーフタイムで出された指揮官の指示を形として打ち出せません。前半は33分に中澤が、45分に栗原が中村のCKを大外から頭で合わせたように、セットプレーをゾーンで守る磐田に対して、ファーサイドに中澤、栗原を置いて競らせる形が得点への予感を最も感じさせたものの、後半は不発。67分には清水を下げてバスティアニーニを送り込み、システムも4-4-2へ移行して変化を付けますが、木村監督も「もうちょっとだろうね」と評したように、大型ポストプレーヤーも起動装置にはならず、均衡を破るには至りません。磐田も変わらずしっかりブロックを維持しているため膠着した時間が続き、スコアレスドローという結末が十分予想され始めた76分、意外な伏兵が主役の座へと躍り出ます。左サイドでのキープは横浜。中村からパスを受けた坂田は右足で高い高い、クロスというよりロブを逆サイドへ。するとここに飛び込んで来たのは、前半から効果的なオーバーラップでチャンス一歩手前くらいまでのシーンを創出していた天野貴史。「どこに当たったか覚えていない」と本人も振り返ったシュートは「ちっちゃい背中に当たって」(木村監督)ゴールへゆっくりと吸い込まれます。今シーズン初出場。「ベンチとかベンチ外で悔しい思いをしていたが、自分が出てチームを明るく盛り上げていきたいと思っていた」というサイドバックの大仕事。木村監督も「あそこまで行けてたのが天野だからね」と称賛した一発で、横浜が先制しました。さて、「(横浜の攻撃に)怖さはなかった」と柳下監督も言及する程、よく守れていたにも関わらずリードを許した磐田は78分、西に替えて荒田を投入。イ・グノを1列下げてゴールを奪いに出ると、84分にはビッグチャンス。左サイド、イ・グノのスルーパスにうまく抜け出したのは荒田。結果で自身を証明したい新加入FWのシュートは、しかしサイドネットの外側を揺らし、同点ならず。「疲れますねえ、1点だと」と会見場に現れた木村監督が開口一番呟いたように、天野の決勝弾で苦しみながら横浜が何とか勝ち点3を掴む結果になりました。磐田は「いい守備から攻撃に移ってチャンスを創っている。そんなに落ち込む必要はなかった」と柳下監督が語った通り、今日のゲームプランはしっかり遂行されていたと思います。あとは「いい形でボールが取れる場面もあるので、受けるのを全選手が意識しないと。長いボールだけでは苦しい」と上田が触れた攻撃のバランス。もう少し中盤のアウトサイド、今日で言うと西の突破力や成岡のキープ力を生かした攻撃を繰り出したい所でしょう。勝った横浜は、焦点の1つだった中村のボランチも機能したとは言い難いと思います。「今、俊輔のコンディションが悪いのは他のチームもわかってるはず。ある程度試合をやりながらコンディションを上げていく方がいいんじゃないかと思って使っている」と木村監督。今日は「あそこで奪えばビッグチャンスになる」と磐田の各選手が口を揃えたように、中村がプレスの標的になった感は否めません。彼をどこで起用するのか、休養させるという選択肢も含めて、中断期間前まで「いい形で代表へ送り出したい」と話す木村監督は頭を悩ませることになりそうです。 AD土屋
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J2第9節 草津×富山@正田スタ

日曜日、開幕から8試合目にして“待望”という言葉では表現しきれないくらいに待ち望まれた今シーズン初勝利を挙げた草津。遅蒔きながらこれは反攻の狼煙となるか。今日はホームでサポーターに勝ち点3を贈り届けるための一戦です。対する富山は対照的に前節2点を先制しながら、まさかの3失点を喫しての大逆転負け。失点数でワースト2位の草津を7も上回る19失点を許している守備面は課題山積。GW初戦に群馬まで駆け付けた50人あまりのサポーターに歓喜をもたらさなくてはいけません。さて、ゲームが始まって真っ先に目に付いたのは富山の布陣。「草津の両ワイドが高い位置に上がっているので、4バックだとリスクが大きい」と楚輪博監督が選択したのは、この12月まで富山のヘッドコーチを務めていた、今は草津を率いる副島博志監督も「昨シーズンはスタートから1回もなかった。想定外」と語る、右からキン・ミョンヒ、濱野勇気、堤健吾を並べた3バック。ワイドにはWBとして右に西野誠、左に中田洋平を配置して、「相手のSBの佐田(聡太郎)と佐藤(将也)と対面同士でやりあう」(楚輪監督)形を敷きます。しかし、いきなり問答無用のゴラッソは草津。4分、前節でもPKで貴重な決勝点を挙げたキャプテン松下裕樹は、中央30m強はある距離も迷わず直接狙うと、完璧な無回転ボールが激しく揺さ振るゴールネット。スタンドも歓喜とざわめきが交差するスーパーな一撃で、草津が先制しました。その後も、ゲームの主導権はリードした草津が掌握。「3バックからのフィードが多過ぎてコンパクトにできなかった」(楚輪監督)ために、2トップ下に入った朝日大輔が完全に消えてしまい、攻撃の糸口を掴めない富山に対して、前節から帰ってきた廣山望、松下、櫻田和樹、熊林親吾で構成する中盤、J2版“ファンタスティック4”の距離感が絶妙の草津はショートパスで繋いでいく意識が復活。植木繁晴GMがお会いするたびに話していた、「蹴る部分と繋ぐ部分のメリハリ」がここに来て体現されてきました。これは守備面にも波及し、松下と櫻田も中で捌くシーンが多かったために、攻から守への切り替え時に中央でのフィルターを掛けやすく、カウンターを受けるシーンも皆無。安定したゲーム運びを披露します。しかし、そんな好ペースに暗雲が立ちこめたのは35分。「開始10分くらいからおかしくて肉離れしかけてた」という熊林が負傷退場。ドリブラーの山田晃平が投入されると、タイプが違うため、「中盤の構成にも響いた」と副島監督も認めたように、ボール支配の優位性はなくなり、37分にラフィーニャが決定機を逃すと、45分には富山が黒部光昭、朝日と繋いで、裏に抜け出した苔口卓也がフィニッシュまで。草津ペースはフィフティに近い状態まで戻されて、ハーフタイムに入りました。迎えた後半、コイントスで後半風上を選択したにもかかわらず「風上に立った優位性がなくなってしまった」(副島監督)草津に富山が反撃。53分、この日初めて得たCKのキッカーは意外にも苔口。しかし蹴られたボールは、ニアへ走り込んだ堤の頭にドンピシャ。あっさり同点に追い付きました。ここからはどちらかと言えば富山のペースで推移。64分には堤のFKを黒部が頭で繋ぎ、中田のワントラップボレーはわずかにクロスバーの上へ。66分にも、後半はボールに関与し始めた朝日のスルーパスから中田が抜け出すも、シュートは枠外へ。サイドの攻防も富山に勢いが出てきます。苦しい草津は66分、廣山に替えて「縦への推進力とゴールへ向かう姿勢がある」(副島監督)菊池大介を投入。すると74分にはその菊池が右サイドからスルスルとドリブルでカットインして、強烈な左足ミドル。富山GK中川雄二がなんとか弾き出したものの、こちらも再びサイドが活性化。どちらにも勝つチャンスがある中で、ゲームは最終盤に突入していきます。富山1枚目の交替は80分、「崩れてはいないし、集中力も続いていた」(楚輪監督)中、「10分間様子を見ていたが打撲のために」(同)苔口を下げて、石田英之を送り込むと、石田はいきなり左サイドを切り裂きチャンスを創出。流れは富山に傾きつつありましたが、試合を決めたのは「松下のキック力を生かせた」と副島監督も評したプレースキックでした。84分、左サイドで得たFKのキッカーはその松下。風にも乗って勢いを増したボールは、それまで好守を続けていた中川も弾き切れず、こぼれたボールの落下点にいたのはラフィーニャ。後半は完全に消されていたブラジル人ストライカーが、最後に幸運も味方に付けて大仕事。「風をうまく利用できた」(副島監督)「風に流された不安材料はあった」(楚輪監督)と、両指揮官が言及した“風”が1つの重要なファクターになったゲームは草津に軍配。「本当に長い間待たせた」(副島監督)ホーム初勝利と共に、当然ながら今シーズン初の連勝をサポーターと共に喜び、富山を勝ち点で上回って最下位脱出に成功しました。公式記録の13.4度という数字以上に体感温度は寒かった今日のゲームは、昨年まで監督とヘッドコーチという間柄だった楚輪、副島、両監督の我慢比べでもありました。副島監督が「相手がシステム変更したことで抑えられ、効果的なサイドアタックができなかった」と振り返った通り、富山のWBが草津SBにほとんど仕事をさせなかったのは確かです。また、アクシデントで熊林が交替するまでは中盤での優位性で、富山の攻撃におけるキーマンだった朝日を草津が消し去ったことも確か。お互いにストロングを潰し合った中で、結果として生まれた3つのゴールがすべてセットプレーだったのは興味深い所です。今日はやはり松下のキックが勝敗を分けたと言えるのではないでしょうか。 AD土屋
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J2第8節 東京V×甲府@味スタ

前節の岐阜戦で6試合目にしてようやく今シーズン初勝利を挙げた東京V。メンバーもここに来て定まってきた感もあり、粘り強く勝ち点を積み重ねていく準備が整いつつある印象です。対する甲府も前節の富山戦に5-0と大勝して、現在2連勝中。昨年の主力はほとんど残留し、内山俊彦、養父雄仁、パウリーニョ、ハーフナー・マイクと豪華な補強を敢行した成果をそろそろ見せなくてはいけません。しかし、「前半はちょっと消極的な選手が何人かいて、前節勝って積極的に見える状態に戻ったので、ハーフタイムに「せっかくの成長過程でそこを崩したら先がない」と話した」(東京V・川勝良一監督)「前半に関しては両方ともシュートまで行かなかったのかなと思う。良い所まで行ってもシュートを打ち切っていない」(甲府・内田一夫監督)と両指揮官がそれぞれ振り返った通り、残念ながらボールが空中を行き来する回数が非常に多い、凡庸と表現してしまって差し支えないような展開になってしまいます。この要因の1つとして両チームに共通して挙げられそうなのが、攻撃面での連携の悪さ。東京Vは4-5-1を基本布陣とする中で、1トップ下に位置する河野広貴はかなり自由を与えられており、その動きに右の菊岡拓朗と、左の飯尾一慶が合わせてポジションを取っていくように見えるのですが、この3人と1トップに入る井上平がなかなか有機的に絡めず、川勝監督も「井上はボールもちょっと収まらなかった」と言及。井上は27分に訪れたGKとの1対1も枠を外してしまうなど、精彩を欠いたプレーに終始してしまいます。一方の甲府は、右から片桐淳至、キム・シンヨン、マラニョンで組んだ3トップが噛み合わず、藤田健がボールを持った時にはチャンスが生まれる予感があるものの、なかなかその予感はチャンスという形で結実しません。東京Vが4本、甲府が3本というシュート数、その内、枠内に飛んだのは両チーム合計で1本と、前半は何とも淋しい45分間になってしまいました。後半は開始から動いた川勝監督。井上を下げて、前線での基点作りに長けた平本を投入。「恐がらずに積極的に仕掛けていこう」と選手を送り出します。すると54分には東京Vにチャンス到来。左に流れた菊岡のクロスに平本が飛び込むもヘディングはヒットせず。それでも右サイドで粘り強く繋いで、飯尾のフィニッシュまで持ち込み、分厚い攻撃を繰り出して見せます。しかし56分、先制点を奪ったのはアウェイの甲府。右サイド、ダニエルが積極的な上がりから片桐へパス、片桐は縦にいたマラニョンへ素早く繋ぎ、中を見たマラニョンは最高のクロスをキム・シンヨンへ。フリーで放たれたヘディングがネットを揺らし、均衡は破られました。実は、この7分前にも右SBの吉田豊が中央から左に流れてミドルを放ち、この3分後には片桐のスルーパスから抜け出した吉田が、GKを引き付ける格好で中に折り返し、秋本倫孝が無人のゴールに蹴り込むも福田健介が決死のクリアで逃れるなど、甲府は東京Vの左サイドからチャンスを創っていました。このサイドのファーストDFは飯尾か河野になることが多く、「後半の攻撃が左サイドからうまくいって何回かチャンスを創った」(川勝監督)のも間違いないので何ともバランスが難しい所ですが、結果的にはそのサイドを突かれていた時間帯に失点を許す格好になりました。さて、1点を追い掛ける東京Vはここから突如として「非常によく前に出て、色々なプレーに積極性を感じた」と川勝監督も語ったように、前へ前へとパワーを打ち出します。65分に高木善朗を投入すると、3分後にはその高木善が左からいい狙いのクロスを送るなど、選手交替での活性化にも成功。内田監督も「セカンドボールがだんだん拾えなくなってきたので」、67分には養父に替えて石原を投入して対応するなど、動きも激しくなってきます。当然前掛かることで、甲府にも「スペースも空いてたし、前にちょっと出ていくとフリーだった」と石原が言及した状況が生まれますが、それでも「ショートパスが繋がっていい形ができていた」(柴崎晃誠)東京Vは流れを継続。78分にカウンターから迎えた絶体絶命のピンチに、途中出場していたハーフナーのヘディングを土肥が魂で止めると、ようやく積極性が結実。79分、ロングボールを3分前に投入されたばかりの高木俊幸が収めて仕掛けると、吉田が倒してしまいPK獲得。自らスポットに立った18歳がGKに触られながらも気持ちでねじ込み、強引にゲームを振り出しに戻しました。ここから完全に流れはホームチーム。人数を掛けて押し込む時間が続きます。甲府からすれば「そのまま終わってしまうのかなっていう感じはあった」(内田監督)というのが本音でしょう。ところが92分に交替出場の2人がドラマの助演を果たします。右サイドでボールを持った石原は「いいボールを上げとけば絶対何とかしてくれる」と中央へクロス、高い打点で放たれたハーフナーのヘディングは緩い弧を描いてゴールへ。土肥が触り切れず、クロスバーに跳ね返り、力なくほぼ真下に落下したボールに突っ込んだのは秋本。まるで昨シーズン49節の逆デジャヴ。どう転んでもおかしくないようなゲームが、最後に転んだのは甲府側でした。「どういう星の落とし方をしたのかが今年は特に大事」だと川勝監督が言う東京V。後半は勢いもあり、「勝てるようなチャンスも相当あった」(川勝監督)のは確か。ただ、公式記録を見ると、あれだけ押し込む時間帯もあった後半で、放ったシュートはなんとPKの1本のみ。「シュートの意識をみんなが持っていかないと」とは柴崎。この数字が、そのまま課題と言えそうです。土壇場で勝ち点3を拾った甲府は、「チャンスがある内に決め切らないと苦しくなる」という石原の言葉は重く響きます。チャンスはある中で仕留め切れない部分を、チームとしてどう改善していけるかが、より浮上するための大事なファクターとなりそうですね。 AD土屋
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J1第8節 川崎×神戸@等々力

前節の浦和戦に0-3と完敗を喫した川崎。連敗して上位との差を離されるわけにはいかないホームゲームに、満を持して絶対的な中心の中村をリーグ戦では今シーズン初となるスタメン起用。その結果、不動だった中盤の3枚から弾き出されたのは谷口。「対神戸を考えた上で」(高畠勉監督)田坂がチョイスされ、中村、稲本とミドルゾーンを構成します。一方、神戸のスタメンで目を引いたのは17歳の小川慶治朗。都倉と2トップを組ませるパートナーとして、大久保と茂木も考えられた中、前者は負傷の影響で、後者は「相手の攻撃の鍵はスピードなので、DFラインにスピードのある選手が欲しい」(三浦俊也監督)という判断から左SBに入ったため、小川が前線を任されます。するといきなりその17歳に見せ場が。4分、川崎DFラインの連携ミスを見逃さなかった小川が裏へ抜け出すチャンス到来。焦ったDFが手を出し、小川は転倒したもののホイッスルは鳴らず。一転、川崎のカウンター、エリア内に入った黒津を神戸のCB小林が倒すと、飯田淳平主審はPKを宣告。一瞬で入れ替わった形勢。なんなくレナチーニョが沈め、先制点は川崎が奪いました。さて、いきなりの失点を食らった神戸は「DFの裏をうまく突いていければ」(三浦監督)「タメを作って裏へ抜けるのは練習していた」(小川)と2人が口を揃えたように、攻撃はまず古巣対決に燃える都倉へのロングボールを選択し、そこからの展開が狙い。実際、都倉は7、8割の確率で競り勝ち、11分には収めた都倉、パク・カンジョと繋いで、ポポが裏へ走るといった惜しいシーンも創出します。ただ、川崎サイドもそこは当然分析済み。「前線にロングボールを上げてくるので、そこのセカンドボールを拾って攻撃に繋げていく」(高畠監督)という意志統一の下で、効いていたのが田坂。谷口に優る部分の、おそらくスタメン起用の要因となった“機動力”を遺憾なく発揮し、セカンドの確保に貢献。アンカーの稲本や両CBもやはりセカンドへの意識が高く、前述の11分以外には神戸にチャンスすらなかなか創らせません。逆に川崎は「単純に強い、速い、高い。彼の所が結果的にはポイントだった」と三浦監督も評したチョン・テセに幾度となく決定機が訪れましたが、34分に中村からのスルーパスを受けて放ったシュートはDFのブロックに阻まれ、36分に中村が蹴ったCKを頭で合わせるも、GK榎本が正面でキャッチ。44分にも中村のクイックFKを受けながら、シュートはヒットせずに榎本がキャッチ、など再三の好機も生かせず。ゲーム自体は川崎が圧倒するような展開の中、スコアは1-0で45分間を終えました。後半開始から動いたのは三浦監督。「前半の最初で相手のヒザが肋骨に入ってドクターからストップがかかった」という都倉を諦め、フェイスガードも痛々しい大久保を投入します。しかし、次にゴールを記録したのも川崎。49分、中村からパスを受けたチョン・テセは3人に囲まれながらラストパス。黒津はうまく足先を伸ばして左スミへプッシュ。後半早々に点差は2点に広がりました。極めて苦しい状況に追い込まれた三浦監督は「後半開始からの交替も考えたが、もう少し引っ張りたかった」という小川を61分に諦め、吉田を投入。何とか反撃に転じようとする意志は見せますが、都倉の負傷退場で「高さが前になくなってしまった」(茂木)代償はあまりにも大きく、シュートすらも遠い状態。信じられないようなパスミスも連発されるなど、完全に集中が切れてしまいます。襲われたさらなる不幸は77分。パク・カンジョからボールを奪ったチョン・テセがエリア内へ侵入、ドリブルしながら自ら体勢を崩していたように見えましたが、そこへチェックに行った河本との接触で結果的に転倒すると、飯田主審はPKを与えた上で、河本にレッドカードを提示。踏んだり蹴ったりとはまさにこのこと。PKはレナチーニョと一悶着ありながらも、「流れ的には俺が蹴りたかった」と自らキッカーを志願したチョン・テセが右ポストに当たる「ヒヤッとした所じゃない」キックながらゴールにねじ込み、まさにダメ押し。結果、前節と得失点差を相殺する3ゴールを奪った川崎が、完勝と言っていい内容で勝ち点3を積み上げました。敗れた神戸からすれば、三浦監督が語った「先制点を与えると彼らのペースになってしまう」という言葉がすべて。大久保、吉田、ボッティ、石櫃と攻撃的なカードをベンチに抱え、ある程度後半に勝負を懸けるようなプランがあったはずですが、5分で瓦解。攻撃面最大のストロングである都倉が負傷で退き、後半も開始から5分以内に失点と、すべての歯車が噛み合わなかった印象です。ただ、小川はもう少し慣れてくれば面白い存在になるかもしれません。「左サイドで使うとまたいいんだよ」と三浦監督。やや停滞感の漂うチーム状況に、フレッシュな風を吹き込めるでしょうか。勝った川崎にとって最大の収穫は、言うまでもなく中村の復帰。指揮官も「前線の選手をパスで動かしてくれた。彼本来のパフォーマンスが出ていた」と称賛。セットプレーやスルーパスでチャンスをほぼ90分演出し続けた姿を見ると、完全復活に限りなく近いと言って良さそうです。いい意味で激化するポジション争いも含めて、チームとしてうまく回っている印象を受けました。 AD土屋
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J2第7節 横浜FC×熊本@ニッパ球

開幕から破竹の3連勝とロケットスタートを切った岸野靖之監督率いる横浜FC。しかし、4節以降はまさかの3連敗。すっかりロケットの母体から切り離されそうになってしまっています。一方の、「スーパーではバレないように行動してます」という高木琢也監督が指揮を執る熊本は、前節の甲府戦こそ初黒星を喫したものの、6試合で勝ち点11を叩き出し、現在堂々の5位。高木監督にとっては古巣対決でもあり、個人的には埼玉方面に負けない好カードだと思って、三ツ沢に行ってきました。さて、「富山戦以降、チームとしての課題があったので、そこを変えたかった」と話した岸野監督は、スタメンに変化を。GK大久保択生、CB戸川健太、SH武岡優斗に加えて負傷明けのシルビーニョ、サーレスと、前節から5人を入れ替えて、悪い流れを断ち切りに行きます。しかしゲームが始まると、わずか18秒で熊本にビッグチャンス。福王忠世のフィードは、初めてコンビを組んだ横浜のCB、キム・ユジンと戸川の間をアッサリ通過。「普通抜けてこないのでちょっとビックリした」という松橋章太のシュートは、大久保がファインセーブで切り抜けましたが、開始早々に連携面の不安を露呈します。以降も全体の流れは熊本ペース。前半は意志統一として、「前から相手がプレッシャーを掛けてくるので、ラフなボールで裏を突いたり、長いボールを送る」(高木監督)ことを基本にしながらも、中盤に原田拓、西森正明と技術の高い2つの収まり所があるため、ポゼッションでも優位に立ち、サイドも制して、何度かチャンスを創ります。対する横浜は、特に攻撃面での連動性に乏しく、縦パスを大黒将志が何とかしようとするか、シルビーニョが個人のアイデアを発揮するかの2パターンのみが攻撃の大半。それでも20分にはシルビーニョのスルーパスから大黒がサイドネット外側へのシュート。31分には大黒、サーレスと繋いで、武岡がフィニッシュまで持ち込むも南雄太がファインセーブで切り抜ける場面など、個がうまく表出されるといいシーンが生まれるものの、いかんせん単発なのは否めません。また、熊本も25分以降はなかなかいい形が創れず、前半も中盤以降はかなり膠着した展開で、スコアレスのまま後半へと折り返しました。ハーフタイムが明けると、ゲームは一転、かなりオープンな展開に。51分、シルビーニョのFKにキムがわずかに触ってコースを変えたヘディングは、南が超ファインセーブ。54分には小野智吉のクロスをニアで大黒が枠内へヘディング。後半はスタートから10分間で両者合わせて5本のシュートが飛びかいます。そして56分、このオープンな展開の要因ともなっていた両者の積極的なプレスが、対照的な結果を生み出します。メインスタンド側の攻防、熊本の井畑翔太郎に入ったボールへ、横浜DFは素早いチェックを敢行し、一度はボールを奪います。しかし、再び井畑がプレスを掛けると、ボールをかっさらったのは「攻守の切り替えの速さはいつも意識している」という松橋。2対2の状況ながら、「ゼロゼロだったので確実な方」(松橋)と、中央でフリーの西弘則へ絶妙のパスを送ると、西は飛び出したGKを冷静にかわしてゴール。「粘り強くアプローチができて、非常に効率よく取ってくれた」と高木監督。連動したボールアプローチで横浜を一手上回った熊本が、まずは先手を取りました。負けたらアカン岸野監督の決断は63分。サーレスと小野を下げて、西田剛と片山奨典を送り込みます。するとこの投薬は、驚異的な即効性を証明。1分後の64分、片山のアーリークロスをエリア内で受けた西田は、「DFが食い付いてきたんでイメージ通りに」切り返すと、豪快にネットへ一刺し。“俺たちの丘”三ツ沢も歓喜に包まれます。ところが、ジェットコースターのような展開は安穏を許さず。68分、左サイドで熊本が得たFK、原田の左足から繰り出されたボールは、ニアでシルビーニョが頭でクリアしきれず、まさかのオウンゴール。失点から4分後の勝ち越しゴールには「メンタル的な強さを非常に感じる」と高木監督も称賛。再度、熊本がリードを奪います。それでもまだゲームは激流の最中。72分、横浜は高地系治が右サイドからFKを中へ。山内宏志主審のホイッスル。おそらくスタジアム中の誰もが、どこでファウルがあったのかを把握できないようなプレーでしたが、山内主審は市村篤志にイエローカードを出したので、市村のファウルを取ったのでしょう。当然熊本は選手もベンチも激昂しますが、判定は変わらず。横浜にPKが与えられます。キッカーは大黒。左から助走を付けて蹴ったボールが飛び込んだのは、しかし同点を信じて疑わなかったっであろう、横浜サポーターが陣取るゴール裏のスタンド。PK失敗。この後も数度のチャンスにスコアが動くことはなく、タイムアップ。両者の現状を象徴するような90分間を経て笑ったのは、アウェイの熊本という結果になりました。「連敗しなかったこと、そして戦力を充実させた力のあるチームに競り勝てたことは非常によかった」と高木監督が語る熊本は、勝負強さが出てきているように思います。千葉にも後半ロスタイムの同点弾、草津には逆転勝ち、そして今日も追い付かれた直後の勝ち越しゴール。結果もポジティブに付いてきています。今の順位がフロックではないことを、着実に証明しつつあるのではないでしょうか。対して、泥沼の4連敗となり、サポーターから大きなブーイングを浴びた横浜。「これが現実。非常に弱い所もいくつかある」と岸野監督。ゲーム内容がそこまで悪いわけではないのですが、ほとんどプレゼントのような形でもらったPKをエースが外してしまう辺りに、言いようのない流れの悪さが現れています。「とにかく努力してこれを変えていく。見といて下さい」という岸野監督。とうとう黒星が白星を上回った中、次節の愛媛戦は大きな正念場となりそうです。 AD土屋
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J2第6節 栃木×草津@栃木グリーン

2010年シーズンも、地域の誇りと優勝カップを懸けて争われる北関東ダービー。開幕戦では水戸が栃木を下し、連覇に向けて上々のスタートを切りました。今シーズン2回目の開催は栃木グリーンスタジアム。アウェイの連戦で勝ち点6を奪い取り帰還。ホーム・グリスタでの初勝利を狙う栃木に対して、前節の熊本戦にも敗れ、悪夢の開幕5連敗中。厳し過ぎると言わざるを得ないシーズンスタートとなってしまった草津。非常に好対照な両チームのゲームは、立ち上がりから草津が自陣で圧力に屈するようなファウルが多く、栃木は佐藤悠介、高木和正と精度の高いボールを蹴ることのできるキッカーが、FKでゴールを脅かすシーンを連発。19分には右サイド、ゴールまで30m強はある距離からのFKを米山篤志が無回転気味に枠へと飛ばすなど、まずはセットプレーでホームチームが攻勢に出ます。また、栃木で目立ったのは高木和正とルーキーの杉本真を配した、両SHの流動的なポジショニングによる仕掛け。特に「高木さんのポジションを見ながら攻撃は自由にやっている。左右どちらかというのは決めていない」と語った杉本は、松田浩監督も「チャンスメーカーとしてよくやってくれた」と評価した中、本人も「こんなに早く試合に出られるとは思ってなかったが、ボールを受ける部分と動きだしは通用している」と手応えを口に。実際、8分にはリカルド・ロボのポストプレーに飛び込み、42分にはロボのループを演出するなど、効果的なプレーを披露します。また、27分には高木も右サイドから中へ、上がってきた米山が頭で繋ぎ、最後はチェ・クンシクがわずかに枠の左へ外れるシュート。米山が機を見てエリア内へ侵入してくる辺りに、好調さが窺えます。対する草津は、敵将に「相手は非常に守備的に来ていた。ここまで相手にリスペクトされた試合はなかなかない」と皮肉混じりに評されたように、基本はある程度後ろを固めて、前へとロングボールを放り込むばかり。1トップを務める氏原良二の下に櫻田和樹を置いた、新布陣の4-2-3-1も「こちら側の意図した形がなかなか機能しなかった」と副島博志監督。前半のシュートは松下裕樹がミドルレンジから狙った2本のみ。栃木優勢で45分は終了しました。後半に入ると55分、耐えていた草津に千載一遇のチャンスが。右サイドから廣山望が入れたFKは密集をすり抜け、フリーになった高田保則の下へ。静寂の後、スタジアムを包んだのは草津サポーターの落胆と栃木サポーターの安堵。高田が蹴ったボールはクロスバー直撃。先制機は費えてしまいます。さて、前半より多少のペースダウンは否めなかった栃木でしたが、「今日はとにかく1点を取って勝ちに行くんだという意識」(松田監督)は選手交替からも明らかに。61分、チェ・クンシクOUTでレオナルドIN。71分、杉本OUTで廣瀬浩二IN。83分、米山OUTで林祐征IN。投入された3人はすべてFW登録の選手。62分にはコーナーフラッグに跳ね返ったボールを諦めずに収めた高木の左クロス、ニアに飛び込んだロボのシュートはGK北一真がブロックし、こぼれを再度ロボが狙うも、田中淳がブロック。70分には佐藤の右クロスをファーで受けた高木のシュートがクロスバーを叩くなど、チャンスは創り出します。逆に草津は「悩んでいた1枚目のカード」(副島監督)として櫻田を下げて、ラフィーニャを入れたのが68分。そして4分後には氏原がエリア内で粘って繋いだボールを、ラフィーニャがフリーでシュートを放つもGK正面というシーンを創出しますが、「攻撃的というよりは守備的な流れ」(副島監督)で2枚目の杉本裕文を切ったのは83分。この15分間を選手は敏感に察知していたようで、「明確に指示はなかったが感じ取ることはできた」(松下)「ベンチからそういう感じはあった」(廣山)と2人も口を揃えています。そして最後のカードとして93分に送り込まれた尾本敬は、松田監督も「パワープレーに来るのかと思っていた」と話しましたが、副島監督は「ハッキリ勝ち点1ということ。前を1人削って逃げ切りに」と最終ラインへ。結局、ゲームはスコアレスドローに終わりました。この結果に対する両者の感想は対照的です。「引き分けでしたが悪い連敗を1つ止めて非常によかった。1つこれがキッカケになってくれればと思う」とは副島監督。ここ2試合は「勝ち点3が0になる、ダメージの大きな負け方をしていた」のは確かですが、北関東ダービーとして、またJリーグ参入2年目のクラブを相手にしたドローという結果の捉え方としてはやや淋しいですね。一方、「引き分けて物凄く悔しいと思うチームか、よかったと思うチームかで、物凄くステージが違ってくる。引き分けという結果はホームで許されないかなと思っている」とは松田監督。CBのヨ・ヒョジンも「以前だったら勝ち点1でよく頑張ったという雰囲気があったが、今は勝ち点1が残念だという風になってきている」と渋い顔。ホームゴール裏で声援を送り続けたサポーターも選手に対して、「チームが成長する過程では当然ある現象」と指揮官も語るブーイングを浴びせました。長いリーグ戦を考えれば、第6節のスコアレスドローに過ぎないかもしれませんが、ひょっとするとこのゲームは、両者の北関東における、ひいてはリーグにおける立ち位置が逆転してしまった一戦になったのかもしれません。最後に個人的な感想を。実はJリーグに昇格してから、栃木グリーンスタジアムに栃木SCの取材で行くのは初めてでした。まずビックリしたのは、正面の入場口が北ゲートと南ゲートに分かれて、ゲートでチケットを見せる形になっていたこと。さらにゲート間には充実のフードコートにグッズショップまで。JFL時代はそんなのありませんでした。そして、ゲートからスタジアム内のメディア受付まで、ボランティアの方が付き添って誘導(「今日初めて来たんです」と言っていたボランティア君、ありがとう!)。スタジアムに入れば、芝生席だった両ゴール裏にまさかの客席設置。同じく芝生席だったバックスタンドも改装中。そして変わらない宇都宮駅からの無料シャトルバス。失礼を承知で言うと、クラブとそれを取り巻く環境がJに上がってからここまで成長したのかと、正直感動しました。今日栃木グリーンスタジアムに行くことができて、本当によかったと思いました。 AD土屋
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J1第6節 FC東京×鹿島@味スタ

前節で仙台に敗れ、リーグ初黒星が付いたとはいえ、やはり3連覇中の王者らしいゲームを開幕から展開している鹿島。一方、梶山、米本と不動のドイスボランチを欠きながら、ここまでは2勝1分け2敗とまさに五分の星を残しているFC東京。「年初からアントラーズの壁を乗り越えることを明確にしてきた」(FC東京・城福浩監督)チームにとっては、今の立ち位置を確認する上で、避けては通れない対峙となります。ゲームが始まると同時に目に付いたのは、東京が見せたボールアプローチの速さ。特に2トップの平山と、リーグ初先発の重松健太郎が前から果敢なプレスを敢行。チームとしての決意を押し出すと、いきなり呼び込む流れ。3分、松下のCKからこぼれ球を拾った今野が相手との接触で倒れると、西村雄一主審はファウルを宣告。倒れた位置はエリア内。開始早々で、ゲームの基準となるジャッジだと考えると厳しいように思えますが、とにかく東京にPKが与えられます。キッカーは迷うことなくスポットに向かった平山。冷静にGKの逆へ。東京先制。早くもスコアは動きました。ここからはお互いにロングボールが目立つ展開となっていきますが、城福監督は昨年2度敗れた際の経験から「(昨年は)立ち上がりに失点して入ってしまっていたので、20分間は我々のペースでやりたい」と。そのため、「アグレッシブな意味で失ってもいいのでという、いつもと違う入り」を選択。実際に、ロングボールが行き来する展開の中で、8分から10分にかけて4連続CKというシーンはあったものの、それ以外で東京が特に流れの中から迎えたピンチは皆無。ボランチの一角に入った羽生も「ロングボールが要因という訳ではないですけど」と前置きしながら、「立ち上がりの意志統一がなされたという面ではよかったと思う」と話しています。一方の鹿島は、先制されたことで、出ていかざるを得ない状況ながら、2トップの興梠と大迫にいい形でボールが入らない上に、2人もしっかり収めることができず、焦れるような時間が続き、攻撃の形を繰り出せません。それでも一瞬で凄味を出し切るのが王者の証か。39分、新井場からのパスを受けた小笠原は、開けた視界に迷わずミドル。権田もよく弾きましたが、リバウンドは興梠がプッシュ。初めて迎えた決定機を逃さず仕留め、ゲームは同点で最初の45分間を終えました。鹿島が東京よりだいぶ遅れて登場してから始まった後半、最初のチャンスは東京。54分、右サイドから石川が上げた低いクロスを曽ケ端がファンブル。こぼれを重松が狙いましたがボールは枠外へ飛び、勝ち越せません。なかなか攻撃のリズムを創れないオズワルド・オリヴェイラ監督は61分に決断。目下売り出し中の遠藤を下げて、フェリペ・ガブリエルで中盤にてこ入れします。そしてこれが奏功。65分に新井場、興梠と繋いで、最後はフェリペが権田にセーブを強いるシュートを見舞うと、68分にはまたもフェリペがカウンターの急先鋒に。70分にもミドルを放つなど、やや動きの落ちてきた相手を攻め立てるキーパーソンとして、存在感を発揮します。後半は「こじ開けるというより揺さ振ろうとしていた」(羽生)という東京は、サイドを使おうとする意識は見え、石川とキム・ヨングンは個の力を発揮しますが、「ペースダウンした時にもう少し自分たちの時間にできれば」と城福監督が振り返ったように、60分以降はどうしても鹿島の勢いに押し込まれる時間が長く、反発しきれません。ただ、ラスト10分はお互いにカウンターベースのかなりオープンな攻防に。81分は鹿島、フェリペが左から右足で送ったクロス、興梠のダイビングヘッドはゴール右へ。84分は東京、途中出場のリカルジーニョが左から右足で送ったクロス、平山のヘディングは曽ケ端がキャッチ。87分、鹿島は野沢が左へサイドチェンジすると、ラインの裏にイ・ジョンスが抜け出すもフィニッシュまで持ち込めず、一転東京のカウンター、リカルジーニョのドリブルシュートは曽ケ端キャッチ。双方譲らず1-1のドロー決着。前半の鹿島、後半の東京を考えれば、今日は勝ち点1を分け合う結果が妥当だったのではないでしょうか。鹿島はマルキーニョス不在がモロに響いた印象です。オリヴェイラ監督も「マルキーニョスは瞬時のスピードで勝負していく。大迫はペナ幅でポストプレーやいい動き出しで勝負していく。比較することはやってはいけない」としながらも、「今日に関しては瞬時のスピードが必要なゲームだった」とも言及。前線に牽引する力がやや足りなかったように思いました。一方の東京は、重松とキムを「鹿島と戦うのが前提ならリスキーだが、このチームが質を上げていくため」(城福監督)に起用した中、重松はやや普段の思い切った積極性を出し切れませんでしたが、キムはアップダウンを繰り返し、攻守に及第点以上のパフォーマンス。オプションとしての可能性を見せました。「もっと落ち着いてやってもよかったと思う。僕と(徳永)悠平がボランチにいる意味をもっと出せたらいいなと。まだまだこんなもんじゃない」とは90分間中盤で奮闘した羽生。「勝ち点1で終わったことは非常に残念」(城福監督)かもしれませんが、東京は昨年よりチームの総合力として接近したような手応えをある程度は掴んだのではないかと思います。 AD土屋
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J1第6節 大宮×G大阪@NACK5

開幕戦では魂の激勝を飾ったものの、そこから3連敗。前節の新潟戦も終始攻勢ながらスコアレスドローと、なかなか調子の上がらない大宮。そして3分け2敗と開幕からいまだ勝ち星なしで、まさかの17位。主力も次々とケガで離脱するなど、大宮以上に厳しい開幕スタートを余儀なくされたG大阪。何が何でも浮かび上がるキッカケを掴みたい両チームの対戦はNACK5です。開始5分に橋本早十が続けて蹴ったCKから、2度とも深谷がヘディングでゴールを狙うなど、立ち上がりの勢いは大宮。すると8分に均衡を破ったのもやはりホームチーム。左サイドで狭いパス交換を強いられたG大阪は、高木がやや雑なパスで後ろに下げると、明神は信じられないようなトラップミス。拾った藤田は難なくゴールへと流し込み、労せず先制ゴールを奪ってみせました。「自分の判断ミス」と明神も認める“安い”失点で、自ら流れの悪さを証明する格好となったG大阪は、「先発がかなり入れ替わって厳しいガンバではある」(西野監督)中、1トップを務める平井の下に、右から安田理、二川、宇佐美を並べた4-2-3-1と意外な布陣。ただ、誤解を恐れずに言えば、苦しい台所事情を考慮しても、これは弱者が強者へ立ち向かう際に用いるような、いわば“奇襲”的布陣。案の定、ボールは何となく回るものの、攻撃のスイッチを入れるような存在は見当たらず、「ミスを少し引きずってしまった」と振り返った明神を筆頭に、中盤では細かいパスミスや、セカンドボールを競り負けて拾われるシーンばかりが目立ち、まったくと言っていい程にペースを引き寄せられません。先制後も大宮は17分市川、25分内田、27分市川、32分藤田、同じく32分にアン・ヨンハと5回の決定機を創出。そのうち27分と32分の2回はすべてCKからで、これには西野監督も「ほとんど当てられていた。やられ過ぎ」と苦笑。それでも藤ケ谷のファインセーブなどもあり、何とか凌いでいたG大阪に現われた救世主はやはりあの男。前半終了間際の44分、左サイドでボールを持った宇佐美は右足アウトで最高のスルーパス、走り込んだのはもちろん平井。「(宇佐美)貴史からいいボールが来たので、コースを狙って決めるだけだった」とは本人ですが、角度的にも決して簡単な位置ではない所から、冷静な一刺し。ユース出身の17歳と22歳が2人だけでゲームを振り出しに引き戻して、前半は終了しました。すると、後半開始から投入された、これまたユース育ちの19歳、大塚翔平もすぐに躍動。48分、右サイドからDFを1人かわすと、目の前には広大なスペースとゴールのみ。このチャレンジは結局深谷に潰されますが、「ゴールに向かう姿勢は出せた」(大塚)ことで得たCK、二川のボールから高木が放ったボレー、DFに当たったボールがこぼれる場所に選んだのは、やはりノッている男の前。難なく平井がプッシュ。1-2、大宮からすれば「一番警戒していたセットプレー」(張外龍監督)で痛恨の失点。G大阪があっさり逆転してみせます。こうなると止まらない勢い。53分、宇佐美の巧みなサイドチェンジを起点に奪ったCKの流れから、後半は左SBへ移った安田の左クロスに、ニアへ飛び込んだのは明神。「自分のミスは頭にあったので、何とかという思いはあった」というキャプテンが意地の追加点。あっという間に2点の差が付きました。「パスコースも増えて1人1人の距離も近くなった」(明神)と途端に好転したG大阪。この流れを呼び込んだキーマンは間違いなく大塚でしょう。「とにかく動き回って、ボールを引き出して攻撃のリズムを創ろう」という意識を存分に体現。指揮官も「非常に落ち着いていいアクセントになって、攻撃を活性化してくれた」と評価するなど、一気にチームの推進力を引き出す出色のパフォーマンスを見せました。前半の好リズムにもかかわらず、ズルズルと逆転を許してしまった大宮も、石原や杉山を投入して何とか打開を図るものの、単調な縦へのボールばかりが増え、なかなかチャンスを創れず。70分に藤田、74分に金澤が迎えたチャンスも遠いゴール。「前半最後の失点で自信を失ってしまった」(張監督)チームの歯車は最後まで噛み合うことなく、聞いたのは試合終了のホイッスル。アウェイチームが「勝てないJでしたが、何とかもぎ取った」(西野監督)大きな大きな勝ち点3を大阪へ持ち帰る結果になりました。敗れた大宮からすれば、「前半のあれだけの決定機を決められるかどうか」(張監督)は当然敗因として挙げられますが、それにしても後半の戦い方はあまりにもナイーブ。前半見られた相手DFラインの裏を取りに行くようなシーンは極端に減少し、なんとなくのロングボールが横行。45分でパフォーマンスが一転してしまいました。勝ったG大阪は「全体的には程遠いガンバのスタイル」(西野監督)でも、「若い選手が活性化してくれた部分はたくさんあった」(同)のは大きな収穫。「今は(自分にとって)なかなか来ないようなチャンスが来ている」と語った大塚も、「ボールを引き出す部分やゴールに絡むプレーは通用した」と手応えを感じています。ただ、気掛かりは76分に負傷退場した平井の容体。試合後は松葉杖を突きながら、取材陣に応対していたものの、「調べてみないと何とも言えないが、少し重いケガのように感じる」と西野監督。好事魔多し。ようやくリーグ初勝利を挙げながら、G大阪の苦悩はまだまだ続くのでしょうか。 AD土屋
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J2第5節 柏×水戸@日立台

第4節が終了した時点で、無敗を続けているのは4クラブ。今日の日立台はそんな黒星知らず同士の直接対決。3勝1分けで2位に付ける柏と、1勝3分けで8位の水戸。どちらが記録を継続できるか、4月にもかかわらず体感は公式記録の8.9度より低く思えるような寒さの中、ゲームは柏ボールでキックオフされました。開始13秒でいきなり工藤壮人がシュートを放ち、まずは柏が意欲を見せましたが、「いい立ち上がりをしたので流れに乗りながらやっていけるのかなと」いう感触を得たのは水戸の木山隆之監督。実際、8分には大橋正博が左右から続けて正確なCKを供給。10分には吉原宏太がドリブル突破からフィニッシュ手前まで持ち込み、11分小池純輝、12分吉原とシュートで終わるシーンを創出。序盤は左サイドからのアタックを中心に、水戸が主導権を握ります。対する柏は、4-4-2の攻撃的な中盤に入ったレアンドロ・ドミンゲスと澤昌克が「中央に寄っていってプレーして、FWと連携してチャンスを創れと言っていた」とネルシーニョ監督からの指示を受けて、中央でボールを受けることが多く、ある程度守備はブロックを築いて固めていた水戸をなかなか崩し切れません。これにはネルシーニョ監督も「攻撃が詰まった場面もあり、中央のポジショニングがしっかり区分けされていなかった」と認めています。当然、SHが中に絞ればSBの上がるスペースは確保される訳で、右の小林祐三、左の橋本和も何度となくオーバーラップを繰り返しましたが、いかんせんクロス精度に欠け、チャンスは生まれません。そんな中で、可能性を感じさせたのは今季初スタメンとなったFWの工藤。「チームメイトの特徴はわかってきている」と言うだけあって、周囲との連携も十分。16分には縦パスにうまく抜け出しシュートまで。25分には澤からのクロスに、下がりながらの難しいヘディングを枠内へ飛ばすなど、ゴールの匂いを漂わせます。15分過ぎからは柏がゲームを支配し始め、劣勢に立たされた水戸は37分に常盤聡、41分に村田翔と続けてイエローカードを受けるなど、やや対応が後手後手に。すると45分、大和田真史のタックルが「スパイクの刃が見えた」と振り返った澤を襲います。西村雄一主審は躊躇なくレッドカードを提示。水戸は以降、10人での戦いを余儀なくされました。こうなると人数の少ない側が「スペースを埋めてゼロで抑えることと、効果的にカウンターを出していく」(木山監督)形になるのは自明の理。後半に入ると柏が圧倒的に攻め立てますが、4-4-1にして実質GKも含めた9人で堅陣を敷く相手に、シュートまでも持ち込めません。60分にはネルシーニョ監督も、林陵平を下げて大津祐樹を投入。工藤の1トップで、その下に右から澤、レアンドロ・ドミンゲス、大津を並べる4-2-3-1にシフトすると攻撃はスムーズさを取り戻し、一層強まる攻勢。それでも65分の工藤と、76分の澤が迎えた決定機は共に水戸の守護神・本間幸司がファインセーブで阻止。ピッチ上も、そしてアウェイゴール裏を除いたスタンドにとっても「焦れったい時間」(澤)が続きます。80分には途中投入された茨田陽生、工藤と繋いで、澤が最高のクロスを送りますが、大津のシュートはヒットせず。「選手は90分以上よくファイトしてくれたと思う」と木山監督も称えた通り、1人少ない水戸の守備陣は大奮闘。共に勝ち点1を分け合う結果が濃厚になってきた90分、しかし柏が意地を見せます。大谷秀和の縦パスを、レアンドロ・ドミンゲスは反転してクロス気味にシュート。これはDFがブロックしますが、こぼれ球を「ボールが目の前に上がって、エリア内に黄色い選手が見えた」という澤がオーバーヘッドで中へ送ると、最後は大津の一振りがようやく本間を破ります。「まだ納得のいくプレーはできていないが、自分が結果を残そうと思っていた」という20歳になったばかりの若武者が大仕事。ネルシーニョ監督も「ご褒美のような点」と表現した劇的な決勝ゴールで、柏が無敗を5に伸ばし、単独首位を奪取しました。敗れた水戸は、今日も大学を卒業したばかりのルーキーがスタメンに5人も名前を連ねるなど、毎年ゼロからに近いスタートを切り直していく中で、木山監督が本当にしっかりしたチームを築いていると思います。「最終ラインはかなり強くなったし、しっかりボールを持てる可能性があると自分では思っている」と指揮官。村田や小池、遠藤敬佑などの若手に大橋、吉原らベテランが噛み合えば、まだまだ大きく飛躍する可能性を十分秘めているような印象を受けました。勝った柏は、前回ホームで戦った福岡とのゲーム同様、終盤で決勝ゴールを挙げての勝利。今のチームは勝負強さも持ち合わせているようです。フランサの長期離脱でチャンスを得た工藤や、アルセウ不在の間に存在感を増している茨田など、メンバーのサイクルも今の所は上々。個人的には前節こそ古巣相手に移籍後初ゴールを決めたものの、今日はやや不発に終わった林の爆発に期待したいと思っています。 AD土屋
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J1第5節 浦和×湘南@埼スタ

11年ぶりのJ1を戦う湘南は埼玉スタジアム初見参。昇格組は常に結果でというよりも、むしろその圧倒的な雰囲気という洗礼を浴びせられてきたスタジアムで、浦和相手に湘南がどこまでやれるかに焦点が当てられたゲームは、反町康治監督をして「J1の壁は非常に厚い」と言わざるを得ない、昇格チームにとっては厳しいゲームとなりました。立ち上がりから出足がよかったのは湘南。「いいスタートで入れて」(反町監督)、4分には坂本のCKからジャーンがわずかにクロスバーを越える、惜しいヘディング。勢いを見せましたが、結果的にこれが前半最大のチャンス。以降は浦和の攻勢に耐える時間が続いていく展開となります。4-2-3-1を敷く浦和は、「中盤5枚が流動的に動いてくる」(湘南・田村雄三)上に、1トップのエジミウソンも正確なポストワークでビルドアップに参加することで、かなりボールを回して繋いで、相手の穴を窺っていきます。1トップ下に柏木を基本としては配しているものの、中央のバイタルには右のポンテや左の田中も侵入してくる中、湘南も田村を中心に粘り強く対応していましたが、キーになったのは阿部勇樹の積極的な攻撃参加。12分にポンテがラインの裏へ浮き球で出したスルーパスに反応して、惜しいボレーを放ったシーンに象徴されるように、機を見て3列目からも飛び出していくことで厚みのある攻撃を体現し、なかなか湘南に息つく暇を与えません。ただ、前節のC大阪戦で3ゴールを奪い、解消されたかに見えたフィニッシュワークの精度に今日は難あり。38分には、エジミウソンがゴールまで1m強くらいの距離から、元同僚でもあるGK野澤の正面へヘディングしてしまうなど、なかなかゴールを奪えません。しかし、何とか湘南が前半は凌ぎ切ったかのように思えた44分、浦和は素早いカウンターから田中が右サイドを独走。後追いになった村松は思わず田中を倒した格好になり、鍋島將起主審は迷わずPKの判定。ポンテが確実に沈め、ようやく浦和が先制してハーフタイムを迎えることとなりました。後半スタートから湘南は「中盤でテンポを創ることができなかったので、チームに勢いをつけるために」(反町監督)と寺川に替わって永田を投入しましたが、相変わらずの構図は継続。49分にはカウンターから高橋のクロスに、長い距離を走ってきた阿部がヘディング。51分には村松のクリアが小さく、拾ったポンテのラストパスに田中のヘディングは野澤がファインセーブで逃れまず。そして56分、やはり前へとドリブルで仕掛けた阿部をたまらず湘南DFが倒して、ゴール前20m強の距離で得たFK、阿部が自ら放ったキックは湘南の壁に当たり、野澤の逆を突く形でゴールに吸い込まれ、2-0。やはり22番の推進力が呼び込んだ追加点。「アーセナル対バルサの前半みたいな」(反町監督)展開の中、あまりにも大きな2点のリードがついた時点で、勝敗の趨勢は決まってしまったと言えるでしょう。90+1分には、中村のスルーパスを最後まで走り続けた坂本が中へ折り返し、途中出場の中山元気が押し込んで「ポジティブに考えれば次に繋がる1点」(反町監督)を挙げ、湘南も意地を見せましたが、それ以上スコアが動くことはなく、数字上では1点差ながら「4-0、5-0で勝利を収めることができたはずだと思っている」というフォルカー・フィンケ監督の言葉にも納得のゲームで、浦和が勝ち点3を積み重ねる結果となりました。敗れた湘南にとって、ターニングポイントは耐えに耐えながら結局リードを許すことになった、前半終了間際の失点でしょう。村松も「あの一発で流れが変わってしまったので凄く悔しい」と語るなど、結果論ですが45分間を凌ぎ切れていれば、もう少し違った展開になっていたかもしれません。「ウチの武器の走力がディフェンスの方に使われてしまったかな」と指揮官。スコア以上にJ1を体感するゲームになりました。勝った浦和は、「試合を決めなきゃいけない所で決められなかった」(エジミウソン)「もう2、3点は入れられたと思う」(ポンテ)と両ブラジル人が言及したように、決定機の数からしたら、2ゴールという結果は物足りませんね。ただ、フィンケ監督も「優れたプレーを見せたことを評価したい」と名指しで賞賛した阿部の活躍は、今後に向けて攻撃面での大きな収穫。ホーム開幕戦のFC東京戦から15000人近く減ってしまった観客をスタジアムへ連れ戻す契機になりうるような、“1点差の圧勝”でした。 AD土屋
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J2第5節 草津×熊本@正田スタ

前節の千葉戦では、今シーズンチーム初ゴールとなる戸田和幸のヘディングで先制したものの、終盤に2点を奪われての逆転負け。悪夢の開幕4連敗を喫してしまった草津。何とかホームで勝ち点3を手にすることで、嫌な流れを断ち切りたい所です。対する熊本は対照的に2勝2分けと上々の滑り出し。「1つ1つの相手、ゲームをうまくやっていきたいと思っているだけ」とは高木琢也監督ですが、結果に内容も伴ってきており、現時点でも序盤の台風の目的な存在となっています。ゲームは序盤からどちらのペースとも言えないような展開の中、「前半の初めはある程度サイドを使えていた」と右SHの廣山望が語ったように、草津はFWに入った杉本裕之が高さやキープで1つポイントを作り、そこから主に廣山とSBの佐田聡太郎で構成する右サイドを使っていく形が機能。12分には松下から展開されたボールを廣山が惜しいクロス、14分には同じく松下からのパスを廣山が1人かわしてフィニッシュまで持ち込むなど、攻撃的な姿勢を打ち出します。すると19分、「ラインに残っていたので一瞬オフサイドかと思ったが、相手の足が止まったので」という高田保則が、結果的には裏へと抜け出した格好から全力疾走でラインを割りそうなボールに食らい付き、「イメージ通りのいいボール」(高田)を中へ。GK南雄太の頭上を越えたボールに頭から飛び込んだのは氏原良二。ケガに悩まされてきたストライカーの復活弾。先制ゴールはホームの草津に記録されました。ややエアポケットを突かれるような形でビハインドを負う格好となった熊本は、それでも「仕方ないから落ち着いてやるようにと、すぐ監督に言われた」とCBの福王忠世。実際、失点してからの方がしっかりビルドアップしていく形が増え、20分以降は一方的に押し込む時間帯を作ります。まず25分、市村篤司の左足シュートが草津GK常澤聡を強襲。39分には井畑翔太郎の決定的なシュートを常澤が超ファインセーブで阻止。42分には西弘則が得意のドリブルでエリア内へ侵入、シュートは何とかDFがブロックしましたが、少しずつ草津ゴールへの照準が合っていきます。そして43分、西森正明の左CKをヘディングで捉えたのはCBの矢野大輔。熊本にしてみれば願ってもない時間帯での同点弾ですが、草津としては「先制後はDFラインが下がり過ぎたし、CKでは注意すべき相手をフリーにしてしまった」(副島博志監督)という失点シーンの抽出もさることながら、「点を取ってから10分くらいは畳み込めたと思う。あそこでしっかり繋いで相手を走らせてれば、もっと自分たちのペースにできたはずなのに、簡単に蹴ってしまった」と高田が厳しい表情で振り返った部分こそが失点への起因。そして同点で迎えた後半早々には、なんとも“群馬”らしいシーンが。51分、ハーフウェーラインより5mほど自陣でボールを受けた福王。ピッチには前半途中から勢いを増した強風が。「監督にも言われていたし、GKの位置も前半から見ていたので狙っていた」と発動された超ロングシュートは、ものの5秒もかからずゴールネットを捕獲。上里、ブルザノビッチ級の衝撃に包まれた正田醤油。地の利だったはずの“風”を生かしたのはアウェイ熊本。スコアはあっさりと引っ繰り返りました。あっという間にリードを許した草津。副島監督は「よりゴールへの推進力を持った選手を前に並べたい」と56分、決して悪くなかった廣山を下げて、ラフィーニャを前線に投入。ピッチにはFW登録の選手が4人並びます。それでもチャンスはなかなか創れず、76分にはCBの田中淳に替えて山田晃平を送り込むと、システムは「トレーニングでやってなかったし、あまり使いたい手ではなかった」(副島監督)3-1-4-2へ。なりふり構わずゴールを狙いに出ましたが、79分に松下裕樹のCKから梅井大輝が惜しいヘディングを放った1回のみが、終盤のパワープレーで得られた得点機。風上に立ってリードしている状況で「シンプルにプレーすることを伝えていた」という指揮官の言葉をしっかり咀嚼して遂行した熊本が、逆転で勝ち点3を持ち帰る結果となりました。好調の要因を尋ねる質問に対して高木監督が「選手たちが局面において何をしなきゃいけないか、という中で、自分たちがやることも明確に伝わっていった結果」と話した熊本。決して派手なスタイルではありませんが、チームとしての意志統一は確実に図られています。これで負けなしの勝ち点11を獲得。今後数試合の結果次第では、一気に主役候補へと躍り出るかもしれません。負けた草津は、「前にパワーを持ってゴールに向かおうとはしているけど…」と松下が振り返ったように、前への意識はわかりますが、どうしてもロングボール一辺倒になってしまったのは否めず。しかも「ロングボールの精度はちょっと低い」(廣山)とあっては、かなりゴールを奪うのは厳しい所です。これで泥沼の5連敗。「何年も掛けて築いてきたプライド」と高田が表現したモノは、すなわち“繋ぐ”ことにこだわるスタイルのはず。「とにかく1個勝たなきゃいけない状況」(高田)で迎える来週の北関東ダービーでは、思い切って“繋げる”選手たちで“繋ぐ”サッカーに舵を取り直す姿を見たいと、個人的には感じました。 AD土屋
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ナビスコ第1節 横浜FM×山形@ニッパ球

今年も昨年同様、7クラブを2つのグループに分けて、それぞれ上位2位までの4クラブと、ACLに出場している4クラブでベスト8を構成する形となったナビスコカップ。それぞれのクラブにとっては各々目的も違ってくる中で、直近のリーグ戦から共にスタメンを数人入れ替えてきた横浜、山形両者にとって、このゲームの大きな狙いはバックアップメンバーも含めたベースアップということになるでしょう。まず横浜のスタメンを見た時、最初に目に付いたのは新戦力のアルゼンチン人バスティアニーニ。187センチ、89キロとサイズは申し分ありません。実際ゲームが始まると、足元も比較的柔らかく、ターゲットとしても収まる印象。32分には兵藤からのパスに、うまく反転するとワンステップで重いミドルを枠内へ。42分にはエリア内でDFを引きずりながら強引にシュートまで持ち込むなど、個の強さを見せたという意味では及第点でしょうか。ただ、パートナーを組んだのが割と似たタイプの渡邉だったことと、中盤のワイドに入った長谷川と兵藤がそれほど中央バイタルへと侵入してこなかったことで、若干孤立気味だったのは否めず。タイプ的に山瀬や坂田と組ませると面白いかなあと思いました。中盤では長谷川と河合がスタメンで登場したものの、ややアピール不足。河合は木村監督の寵愛も著しい小椋と比較すると、高さや強さは十分ですが、運動量で見劣りする部分は否めず。長谷川は中央に近い所でより力を発揮するイメージがありますが、比較的サイドで受けて、また繋いで、というようなシーンが目立ち、その長谷川と交替で投入された中村が「(ベンチで見てて)回してても誰も裏に出る人がいなくて、スピードアップがなかなかできない」と評した通り、攻撃の推進力にはなり切れず。実際、58分にこの2人に替わって山瀬と中村が中盤ワイドに入り、兵藤と狩野がドイスボランチを組んでからは、木村監督も「彼らが入ると流れが変わる」と、山形・小林監督も「中村がバイタルに入った所を、ウチのボランチがなかなか見られなかった」と言及するなど、横浜に勢いが出始め、結果的にも71分には中村のCKから、中澤が高い打点でヘディングをぶち込み、決勝点を挙げることになります。木村監督が「勝つクセを付けていくのもいいのかなと思うが、ちょっと寒いゲームをしてしまった」と振り返ったように、ボールは回ってもフィニッシュへのパワーに欠ける典型的な展開だったと言えそうです。さて、一方の山形は田代、下村、増田とシーズン前には即戦力と期待されていた3人が、公式戦5試合目にして初めてスタメンで揃い踏み。CBに園田、右SBにも山田拓巳が起用されるなど、少しテスト的な要素の強いメンバー構成となりました。この中では下村がアピールに成功した格好でしょうか。人への強さは相変わらずで、加えて34分には中盤で狩野からボールを奪うと、そのまま右サイドを駆け上がって、田代に好クロスを供給する場面も。「ちょっとボールを失っちゃった部分があった」とは個人の反省材料で、「もう少し数的優位を作ってからクロスを上げるなど、サイドをうまく使えればセカンドボールもうまく拾える」とチームの課題も指摘。リーダーシップも含めて、有力なレギュラー候補だと感じました。今季初スタメンの増田は、「サイドがもう少しボールをもらってもいい」と小林監督が話したように、ボールを呼び込む動きが少なく、受けても前へと勝負せずに後ろへ下げてしまうシーンが頻発。53分、57分、81分と意外性のあるパスからフィニッシュまで繋がるシーンを創り出す反面、消えてしまう時間も長いため、山形の特徴を考えても現状ではスタメンで90分出場は難しいかもしれません。しばらくは攻撃にパワーを掛けたい場面でのピンポイント起用が続きそうな印象を受けました。あとは田代も「今日が今までで一番良かった」と小林監督も認めたように、高さでも特徴を発揮しましたが、シュートへの思い切りの悪さで、2度チャンスを逃すなどあと一歩の内容。山田も奮闘したものの、クロス精度に欠け、猛アピールとはいかず。園田は昨年も出場経験があるため、一定のパフォーマンスは披露していました。「5人新しくやったが、しっかりやってくれた。随分良くなっている」と指揮官。あとは“勝ち点3”という特効薬さえ処方されれば、劇的に歯車が噛み合いだす可能性もありそうですね。 AD土屋
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J2第4節 横浜FC×徳島@ニッパ球

3節を終了した時点でJリーグ37クラブ中、3連勝を飾ったのはJ2に所属する2つのみ。その横浜FCと徳島が、第4節にして直接対決を繰り広げる日程の妙。「我々みたいなチームが4節とはいえ、1位2位対決できることは楽しみだった」と徳島の美濃部直彦監督。3月下旬とは思えない4.3度という凍えるような極寒の中、今季最初に訪れた首位攻防戦の舞台は三ツ沢です。ゲームはまず3分、8分と寺田紳一が積極的なミドルでゴールを脅かすなど、横浜がまずは勢いを見せますが、先にスコアを動かしたのは徳島。10分、倉貫一毅が右サイドから縦に送ったボール、横浜のCB渡邉将基が先に体を入れていたものの、「裏を狙うのは効果的だと思っていた」という津田知宏が猛然とチェイスすると、体勢が入れ替わります。この時点で角度から考えて、津田が直接ゴールを狙うのは難しいように思えましたが、渡邉との接触で倒れると河合英治主審の判定はPK。横浜の猛抗議も覆るはずなく、津田が自ら沈めて徳島がリードを奪いました。正直、PKという判定は微妙な所だったと思います。ただ、岸野靖之監督も「相手が不利な体勢なのに無理に行ってファウルした」と話したように、体を入れ替わられて、やや対応が後手を踏んだのも確か。結果的に、何でもないようなシーンをゴールシーンに変えられてしまった感は否めませんでした。さて、今シーズンの初失点でいきなりビハインドを負った横浜は「前半の途中からボールは回せるようになった」(寺田)中でも、前節ハットトリックを記録した大黒将志とサーレスの2トップが前を向いてシュートチャレンジするようなシーンが生まれません。実際の所、大黒はワンタッチ、サーレスはキープ力を生かしてのポストプレーはある程度成功していたと思いますが、その後のチームとしての連動性に欠けていた印象。ようやく45+2分に、大黒の落としを受けたキム・ユジンから高地系治へ渡り、高地のクロスを大黒がボレーというチャンスを創り出したものの、連動したパスワークでフィニッシュまで持ち込んだのはこのシーンくらい。逆に「何とかカウンターを狙っていくのがウチ」(津田)という徳島は、実際にそのカウンターから平繁龍一が1本に津田が2本と、しっかりシュートを打ち切る所まで行っています。ボール支配が、すなわちゲーム支配とは言い切れないことを表すような前半だったのではないでしょうか。岸野監督はハーフタイムに決断。「サイドから素早く展開しろ」というメッセージと共に、サーレスと左SBの田中輝和に替えて、難波宏明と片山奨典を投入。すると52分には左サイドで片山、寺田と繋いで、最後は豪快にサイドネットの外側を揺らす難波のシュートまで持ち込み、狙いを体現していきます。その後も左サイドを中心に、攻勢は圧倒的とも言える程に横浜。これには美濃部監督も「難波が左に張り出して片山が出てくる所をなかなかケアできなかった」と語っています。しかし、徳島の守備を束ねるCBの三木隆司は少し違った意見。曰く「難波はゴールへの意識が凄く高い選手。自分としては難波と大黒が揃って中央で構えられた方がイヤだった」と。事実、左から再三崩されかけてはいながらも「中さえしっかりしてれば」(三木)と粘り強い対応で決定機までは創らせず。選手はある程度守備のリズムを掴んでいたようです。それでも、三木の指摘が図らずも証明されたようなシーンは68分。左サイドから送られた片山のクロスに、中央で飛び込んだのは難波。GK日野優に競り勝つ程の高い打点でヘディングを枠内へ。何とかカバーに入ったDFがクリアしたものの、続くチャンスで鳴らされたのは河合主審の笛。確かに日野が倒れていましたが、ゲームを止めるならすぐに止めるべきでしたし、あれだけプレーを続けたならそのまま続けるべきで、一番間の悪いタイミングで止めてしまったことで横浜の波は断ち切られてしまいます。すると74分、10分前に投入された島田裕介の絶妙なFKを、ニアで合わせたのは津田。天使の、そして悪魔の左足炸裂。徳島が老獪に大きな2点目を奪います。80分には横浜も、エデルの右クロスを大黒がニアでプッシュ。「研究済みだったのにやられた」と敵将の美濃部監督も感嘆する、エースの一撃を食らわせますが、終盤の猛攻も及ばず。「非常にエキサイティングな」(美濃部監督)首位決戦は、徳島が凱歌を揚げる結果になりました。お互いに持ち味を出しあった好ゲームだったと思います。徳島は津田が「前の4人がうまく機能している」と評価したように、2トップとしては現在J2最強クラスの津田、平繁に倉貫と柿谷曜一郎が絡むカウンターベースの攻撃は迫力があり、さらに島田も控えているなど成熟が楽しみなチーム。「ここで勝てば徳島というクラブがもう1つステップアップできると思っていた」とは美濃部監督。今後に要注目です。横浜は、やや判定に泣かされた面もありましたが、「考えてファイトしないとガムシャラだけでは勝てない」と岸野監督が話した通り、押し込んだ状態でのもう一工夫が求められるでしょうか。中盤をはじめとしてタレントは揃っているだけに、攻撃のバリエーションが今後の課題になりそうです。泣きたくなるような寒さでしたが、現場で見た甲斐のある面白いゲームでした。 AD土屋
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J1第4節 湘南×新潟@平塚

反町康治、野澤洋輔、寺川能人。湘南にとってJ1昇格の立役者として間違いなく名前が挙がるであろう3人にとって特別な日がやってきました。1分け2敗の白星なしというタイミングで訪れた第4節、ホーム平塚競技場に迎えたのは、新潟。言うまでもなく、前述の3人にとってはクラブ史上初となるJ1への大いなる挑戦に貢献した古巣との対峙となります。注目されたのは、3人の紹介アナウンスに対して新潟サポーターがどういった反応を示すか、という所でしたが、「温かく拍手ももらって嬉しかった」(寺川)「試合のことを考えていたが、拍手は聞こえた」(野澤)と2人が振り返ったように、送られたのは大きな拍手。反町監督も「湘南もたくさん来てくれるが、新潟も遠い所にもかかわらずたくさんのサポーターが応援してくれる。あったかい人が多いですね」とコメント。そこには確かな絆を感じることができました。さて、ゲームは序盤から静かに推移していく中、基本的にボールを支配していたのは新潟。4-3-3を敷く湘南にとって、どうしても相手から狙われるポイントとして挙げられるのは、アンカーに入る田村の両脇に当たるスペースで、新潟も4-2-3-1の中で、3のセンターにマルシオ・リシャルデスを置き、そこを突くような姿勢を見せます。ただ、田村に話を聞くと「10番(マルシオ)はフラフラしているっていう感覚でフリーランニングしなかったし、後ろに下がって受けたりしていたので、あまり行かなくてもいいかなと」いう対応をしていたとのこと。確かにマルシオが下がって受けるシーンはよく見ましたが、そこから効果的な攻撃が展開されるということはほとんどなく、田村をはじめとした湘南守備陣はポイントを抑えた、かなり冷静かつ確実な対処をしていたと思います。新潟にようやくマルシオが絡んだいい形が見られたのは19分、大島からのリターンを受けたマルシオは左へ柔らかいパス、矢野は1人かわしてシュートを放つも、野澤がファインセーブで逃れます。するとこのCKから、逆に湘南のカウンター発動。臼井からパスを受けた阿部は1人かわすと「シュートと思ったがDFの位置を見て」、右から斜めに動いた中村にスルーパス。中村は左に流れながら力強く、そして確実にフィニッシュ。「トレーニングからカウンターに気を付けようと言っていたが、1発目でゴールに結び付けられてしまった」と新潟の黒崎久志監督も悔やむ素晴らしいカウンターで、湘南が先手を取りました。そして、前半はこれ以降の25分あまりで両チームとも流れの中から1本のシュートも打てなかっただけに、唯一生まれたゴールの鮮やかさがより際立つ45分間になったと思います。さて、ボールこそ回るものの、なかなかシュートの遠い新潟は「もう少し思い切って勝負してくれ」という黒崎監督の言葉を受けて臨んだ後半、46分にマルシオが放った30m近い強烈なミドルを皮切りに、49分矢野、51分千葉、54分三門、57分矢野と、15分間でラッシュとも言える程、立て続けにチャンスを掴みましたが、ゴールには到らず。63分には、いつも見せている縦への推進力を出し切れなかった三門を下げて、ミシェウを投入。本間1人をアンカーに置き、SHも少し高くした4-3-3にシフトして同点、逆転を狙います。66分には今日最大の決定機到来。中央、キックフェイントでDF2枚を転ばせた矢野が持ち込んでシュート。しかしボールは大きくクロスバーを越えていきます。こうなると、23分から山口の負傷で交替出場していた島村を含めた11人全員が去年の修羅場を経験している湘南に迷いなし。70分には寺川に替わって永田が入り、中盤は「ダブルボランチにしてどっちかがボールに行って、どっちかがバイタルを締める」(田村)形に。そして76分、またもやカウンターから坂本のパスを受けたのは、なんと前線まで飛び出してきたCBの村松。スルーパスに反応した中村のシュートはGKに阻まれたものの、こぼれを拾ったのはSBの臼井。正確なクロスに田原が圧巻の迫力ヘッドをぶち込み、勝負アリ。DF2人が絡んだ2点目が、反町監督も「好機を見据えて出ていくことができるかどうかが大事。足が止まらずに出ていけたのが好機を生かした理由」と語ったようにチームの真骨頂。湘南の実に11年ぶりとなるJ1での勝利は、因縁浅からぬ新潟から奪う格好になりました。全体としては、「攻めさせられてた感はあった。うまく相手にハマってしまった」(黒崎監督)「自分たちの前でボールを回される分には連動して対応できた」(坂本)という2人のコメント通りといった印象。新潟からすると、G大阪戦では前への推進力を発揮していた三門とチョ・ヨンチョルが、なかなか仕掛けられなかったのは誤算でしょうか。「ウチとしても武器」(黒崎監督)のセットプレーも不発。厳しい敗戦となりました。一方の湘南は「粘り勝ちっていうような感じかもしれない。J1でやっていくにはこういう勝ち方が似合っているのかな」と指揮官が語った通り、耐える時間帯と出ていくタイミングがうまく噛み合いました。「連動性が少しずつ改善されている」(田原)「いい感じで粘り強く頑張れたので、勝てる要素が凄く多かった」(田村)と選手も手応えを感じている様子。上向きの状態で、次節は昇格組の登竜門、埼玉スタジアムで浦和と戦います。最後に、新潟の印象について聞かれた反町監督は開口一番「本間がうまくなったなと思った」とおっしゃっておりました。 AD土屋
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J2第3節 柏×福岡@日立台

前節の栃木戦では何度も掴んだ決定機を仕留めきれず、スコアレスドローに終わった、J1昇格大本命との呼び声も高い柏。開幕2試合で1勝1分けの勝ち点4獲得は、上々とも言えるし、やや物足りないとも言えそうな結果。第3節の対戦相手としてホーム日立台に迎えたのは、いきなり開幕2試合で甲府、札幌と昇格争いの有力候補と目される2チームを相手に、3ゴールずつ奪って連勝を飾った首位福岡。昇格を視野に入れている両者にとっては、今後の試金石となりそうな一戦です。さて、ゲームは共に4-2-3-1を敷く中で、先に決定機を創ったのは、福岡。11分、永里源気が右に流れてクロスを送ると、ニアに飛び込んだ田中佑昌がボレー。ボールは柏GK菅野孝憲の正面を突き、先制点とはいきませんが、ここ2節ではおそらくJ2最強のサイドアタッカー同士として躍動していた田中と永里がいきなり魅せるシーンを演出します。ただ、これが福岡の前半に生まれた最初で最後の決定機。以降は柏が徐々にペースを掴んでいきますが、その中心にいたのが前節の右サイドではなく、1トップ下に起用されたレアンドロ・ドミンゲス。福岡の篠田善之監督も「バイタル付近で11番(レアンドロ・ドミンゲス)が中途半端なポジションを取っていたことが、少しディフェンスラインを下げたり、中盤の守備に混乱を起こした」と認めたように、決してスピードはないものの、ボールを積極的に引き出すと、体のアングルやコンタクトの巧さで効果的なドリブルや、機を見たスルーパスを連発。彼に引っ張られるように周囲の動き出しも早まり、攻撃の時間が増えていきます。それでもフィニッシュへ繋がったかというとそうとも言えず、20分に菅沼からの横パスをダイレクトで狙ったレアンドロ・ドミンゲスのミドルはボテボテと枠外へ。28分、浮き球ボレーはまたもレアンドロ・ドミンゲスでしたが、GK六反勇治のセーブに遭い、ゴールは奪えず。大枠では「落ち着きないペースで進むことが多々あった」(柏・ネルシーニョ監督)中で、シュートチャンスの少ない膠着した展開のまま、前半45分間は経過していきました。後半はスタートからネルシーニョ監督が動きます。「2トップに相手のCB付近で仕事をさせ、中盤でもっとボールを回し、相手のボランチの裏のスペースを有効に使いたい」という意図から、菅沼実を下げて林陵平を投入し、北嶋秀朗との2トップに。中盤も右にレアンドロ・ドミンゲス、左に澤昌克とボックスにシフトします。49分には、レアンドロ・ドミンゲスのクサビを北嶋がうまく落として、フォローした大谷秀和のスルーパスを澤が受けるシーンを創出。オフサイドにこそなったものの、前半から味方のフォローが遅く、生かしきれていなかった北嶋の正確なポストプレーがチャンスに繋がったという意味でも、後半の攻勢を予感させるような一連のプレーでした。しかし実際は、「(4-4-2へのシフトは)思ったよりうまくいかなかった」(ネルシーニョ監督)「相手のシステムが変わって、戦いやすくなった」(篠田監督)と両指揮官が話したように、ここから福岡の時間帯になっていってしまいます。理由として考えられるのは、まずレアンドロ・ドミンゲスがサイドに出たことで、彼の危険なエリアでのボールタッチも減少し、2トップとの距離も離れたために、前での連携が薄くなってしまったこと。また、バイタルのケアに追われていた福岡のボランチ・中町公祐が、その負担軽減によって前でプレーする時間が増え、本来持ち合わせるゲームメイク力を発揮し始めたことでしょうか。中町は59分に鋭いクイックFKで永里の惜しいチャンスを演出すると、73分にも右サイドへうまく展開、田中佑のクロスに高橋泰が飛び込んだシーンの起点になるなど、好プレーを披露していました。ところが、先制点は唐突に。81分、福岡は右サイドでボールを持っていた田中佑がGKへバックパス。刹那、「確実にGKに下げると思って先読みしたら、実際にボールが来た」と忍び寄ったのは、5分前に投入された工藤壮人。「凄いリラックスして打てた」としっかりボールの左に回り込み、右スミを狙ったシュートは、柏熱地帯を埋め尽くしたサポーターの目の前にあるゴールへ到達。揺れる黄色、震える黄色。直後の85分には近藤直也のミスから、こちらは福岡U-18から昇格したルーキー吉原正人が決定機を迎えますが、守護神菅野が決死のセーブ。試合終了。窮地のチームを救ったのは柏U-12時代からDNAを刷り込まれてきた19歳の若武者。「言葉にならないくらい嬉しい」工藤のJリーグ初ゴールがそのまま決勝点となり、柏がなんとか福岡を振り切って、勝ち点3をもぎ取りました。結果は勝利でも「素晴らしいサッカーをしたかと言えばそうではない」とネルシーニョ監督も話すなど、柏はなかなか内容が上がってきません。それでも「フランサがいないことはチームとしてはマイナスだけど、若手はどんどんチャンスをもらえる」と語った工藤のような若手が結果を出したのは大きな収穫。特に昨年ユースから昇格した残りの5人は、一刻も早く戦力となれるよう、奮起してもらいたいと思います。 AD土屋
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J1第3節 FC東京×C大阪@味スタ

2節を終えて1勝1敗のFC東京と、1分け1敗のC大阪。4年ぶりとなる解逅は、共にやや内容に不安を抱えるチーム同士の対決という印象を試合前から持っていましたが、実際ピッチで繰り広げられたゲームも、やはり両者の厳しい現状を浮き彫りにするような内容となってしまいました。「前半はアグレッシブな守備から、マイボールになった時もアグレッシブにやってくれた」と城福浩監督も振り返った通り、優勢だったのは東京。奪ったボールは手数を掛けずシンプルに前へ。3バックを敷くC大阪DFラインの裏へ、赤嶺や平山を走らせるシーンが目立ち、実際に6分の平山、7分の赤嶺と、枠内シュートも記録しています。ただ、一本調子に陥りがちな傾向は否めず、「あのスピード感の中でタメが作れれば、決定的なシーンはもっと創れた」とは城福監督。最も“タメ”を生み出せる梶山は負傷でベンチ入りも適わず、羽生と徳永のドイスボランチも課されたタスクは忠実にこなしていたものの、浦和戦同様に攻撃面では効果的なプレーが少なく、なかなか崩すような形は現れません。そんな中でさすがの存在感を示したのは、久々のスタメン復帰となった石川。28分には右サイドをドリブルで崩して自らシュート、直後の赤嶺のシュートと、共にGKキム・ジンヒョンにファインセーブで阻まれましたが、これが前半最大の決定機。「もう少し迫力のある攻撃をしたかった」と語りながらも、69分に交替するまで相手の脅威になり続けたと思います。さて、一方のC大阪は頼みの2シャドー、香川と乾が2人とも攻撃に絡めず、「完全にフィットするまでにもう少し時間がかかる」(C大阪・レヴィー・クルピ監督)1トップに入ったアドリアーノとの連携もイマイチ。ボランチのマルチネスは高精度のキックで何とか劣勢を打開しようと孤軍奮闘しますが、正直攻撃は個のアイデア頼みのため、まったく機能せず。前半の45分間はスタンドで寝ちゃってる人を確認してしまったくらいの内容に終始しました。後半はまずC大阪にチャンス。48分、香川がこの日初めて切れ味鋭いドリブルでエリアに切り込み、DFの頭上を浮かせてかわすと落ち際をボレー。枠は捉えられなかったものの、ようやくエンジンのスタート音を響かせます。東京の決定機は58分。徳永の横パスを受けた平山は、DFと対峙しながらわずかに左へ持ち出すと、小さいスイングでシュート。虚を突かれたキムも反応しきれず。しかしボールは左ポストを直撃し、スコアは動きません。焦れるような展開で、城福監督が最初に切ったカードは大竹で58分。次に切ったのはリカルジーニョで69分。最後は鈴木で80分。82分には「まずはディフェンスに集中しながら、少しずつ攻撃にも参加した」と語った左SBのキム・ヨングンが素晴らしいクロス、平山が落として大竹が思い切りよくシュート。またもGKキムのファインセーブが飛び出すというシーンがありましたが、これが60分以降で東京に記録された最初で最後のシュート。「チームのバランスを崩すマイナスと、交替選手がもたらすプラスを考えれば、マイナスが大きかった」と指揮官も交替策がハマらなかったことを認めています。そして、ややバランスを失った相手に対して、ようやく仕事をし始めたのが乾と香川。空き出した東京陣内のバイタルでボールを引き出し、何度か危険なシーンを創りかけます。特にラスト10分は「選手交替3人使い切った後からバランスが崩れたのは私の責任」(城福監督)「時間が経つにつれて勝つチャンスが十分にあった」(クルピ監督)と両監督が振り返ったように、完全なC大阪ペース。そして切り札の播戸投入には、記者席で観戦していたかつての盟友、パトリック・エムボマ氏も「バンド〜」と興奮気味。色々な流れはアウェイチームに傾いていました。しかし、90分以降に3回すべて播戸の元に訪れた決定機を、いずれもモノにすることはできず。結果は両者痛み分けのスコアレスドローとなった訳です。C大阪はアウェイで勝ち点1を獲得しましたが、気になったのは新加入の右WB高橋がほとんど攻撃に絡めないこと。ここまでの3試合は押し込まれる時間が長く、守備に追われていたことももちろんあるとは思いますが、絶好調時と比べると物足りなさを感じてしまいます。アドリアーノがなかなかフィットしない場合には、高さという武器も持ち合わせる高橋のFW起用も面白いのではないでしょうか。東京は「今リスクを抱えてやらないと右肩上がりでレベルアップしていかない」 とは城福監督ですが、チャレンジという意味でのリスクは、それほど冒しているように見えません。やはり梶山不在の今、平松にも今日のゲームでCB起用のメドも立ったはずなので、今野か森重のボランチ起用は一考の余地があるように、改めて感じました。最後に後半開始直前、突如として「茂庭ねらえ!茂庭ねらえ!」と愛に溢れるチャントを歌った東京サポに拍手! AD土屋
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J1第3節 横浜FM×川崎@日産

横浜FMから見れば、先週の湘南に続いて連戦となる神奈川ダービー。相手は公式戦の対戦でここ4試合勝てていない川崎。昨年もナビスコ準決勝、天皇杯4回戦と行く手を阻まれているだけに、ダービーを持ち出すまでもなく、越えなければいけない壁であることは間違いありません。しかし中村憲剛、ジュニーニョと絶対的な主力2枚を欠きながら、連勝スタートを切った川崎も返り討ちを果たす準備は万端。気温21.3度、絶好の観戦日和に35870人が集結した日産スタジアム。川崎のキックオフでスタートしたゲームは開始からわずか8分で早くも鳴動します。右サイドを渡邉がドリブルで切り裂き中へ送ると、ニアで山瀬が右ポスト直撃のシュート。DFがクリアしたボールは、ゴールまで25m近く離れた位置にいた中村の目の前に。「ワンステップしかない」と左足から振り抜かれたボールは、一直線にゴール左スミへ。木村和司監督も「打てって思ったんよ。蹴った瞬間、入ると思ったね」と笑った豪快ミドル。中村のJ復帰後初ゴールが飛び出し、いきなり横浜が先制します。勢い止まらず12分、左サイドでボールを持った渡邉はタイミングを計ってスルーパス、裏に抜け出した山瀬はGKの出鼻を冷静な右足アウトでフィニッシュ。「3分の1、4分の1の仕掛けや突破力は相手にとって嫌だろうと」(木村監督)FWで起用された10番の追加点。あっという間に2点差が付いてしまいました。今日の横浜は狩野と小椋のドイスボランチに、中盤の右が中村で、左が兵藤。2トップに渡邉、山瀬という布陣。特に前半は「我慢してサイドに張っとくべきだと思った」という中村と兵藤が、しっかり開いて基点を作ることでサイドの主導権を奪取。山瀬もバイタルエリアを縦横無尽に動き回り、狩野も「アイツは本当に効いていた」と指揮官が絶賛した小椋という後ろ盾を得て、積極的にボールを呼び込み、サイドへの散らしに、縦へのチャレンジにと躍動。35分にはクロスバー直撃の左足ミドルを放つなど、前節スタメン落ちの欝憤を全開で晴らすかのようなパフォーマンスを披露します。対する川崎は「浮き足立ってしまって、攻守に連動しきれない」(高畠勉監督)ままに時間が経過。特に3トップと中盤の田坂、谷口はほとんどいい形でボールを受けられず、まったくと言っていい程に攻め手なし。古巣対決に燃える小宮山もほとんどオーバーラップできません。さらに40分には自陣深いサイドで伊藤がクリアを中へ高く打ち上げてしまうと、薗田はヘディングで処理しきれず、こぼれを山瀬に決められるという、CB2人が絡んだ信じられないような失点まで喫し、3点をリードされて前半を終えることになりました。迎えた後半、「前半のメンバーでウチらしいサッカーが展開できなかったので、気合を入れ直して期待してそのまま行った」(高畠監督)と、川崎にメンバー交替はなし。当然流れは変わらず。逆に60分には中村のCKを、ファーで待ち受けていた栗原が頭でズドンと4点目。実質、試合時間の3分の1を残した時点で勝負は決しました。川崎にとって惜しむらくは、登里享平、楠神順平と、それぞれ72分、80分に投入された若手2人が、やや横浜も流しに入った時間帯とはいえ、可能性を見せたこと。後半開始時とは言わないまでも、4点目を入れられてから12分も1枚目のカードを切らなかった点はいただけません。「1点取れれば波に乗れると思って辛抱した」とは高畠監督ですが、残念ながら采配も後手に回ったことで、最後までアウェイゴール裏を埋めたサポーターを沸かせるシーンは創れず。川崎からすれば「悪いけど完勝だった。相手は何もできなかったからね」という敵将の辛辣なコメントも受け入れざるを得ない、完敗となってしまいました。さて、勝った横浜は「ええ選手が揃っているからやればできる」と木村監督が話した通り、チームが持っていたポテンシャルの高さをまざまざと見せ付ける格好となりました。中でも前述しましたが、「ボールを持てて、捌けて、走れる」と中村も自ら評した中盤の構成力は圧巻。兵藤の左サイド起用は「もともとやりたかったみたい」、狩野のボランチ起用は「本人がやりたいっていうからやればって」と、とぼけた木村監督も、狩野については「チームの中でいいポジションを見つけたかもしれんね。よう頑張ってた」と言及。チーム全体のシュート意識に関しても「そろそろ練習の成果が出てきつつある」と話すなど、手応えも感じている様子。今後数試合も今日のようなゲームができれば、上位を争う台風の目になるかもしれませんよ。 AD土屋
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J1第2節 浦和×FC東京@埼スタ

2004年のナビスコカップ決勝でPK戦の末に勝利を収めて以来、なんと公式戦12試合に渡って浦和から勝ち点3を奪うことができていないFC東京。リーグ屈指の好相性を今日も浦和が証明するのか、はたまた東京が忌まわしい呪縛から解き放たれるのか。春らしい陽気に誘われて、スタジアムを埋め尽くした観衆は実に50096人。ホームゴール裏にはハートの中に“12”が浮かび上がり、それを取り囲むのは等間隔の菱形、つまりダイヤモンドのコレオグラフィー。埼玉スタジアムにもとうとうJリーグが帰ってきました。さて、共にボールをポゼッションしていきたいチーム同士の対戦とあって、確かにボール回しにはお互いの意図が色濃く反映されているものの、実際は前への怖さに欠ける展開に。シュートまでなかなか持ち込めない時間が続きます。そんな序盤で東京側が比較的有効に使えたのは右サイド。4-2-3-1の浦和で3の左サイドに入っていた田中は、やはり中央に入っていくケースが多く、柏木や左ボランチの細貝もケアする意識はありましたが、どうしても攻守の切り替え時に東京の右SH中村が空くシーンが頻発。5分には徳永からパスを受けた中村がミドル。6分には山田暢のミスパスを奪った羽生が、素早くフリーの中村へ。鈴木へのスルーパスは長くなりましたが、1つポイントを作っていきます。しかし、結果的に浦和が切り裂いたのも東京の右サイド。19分、「最初からどんどん行こうと決めていた」という左SBの宇賀神友弥が左サイドからエリア内へ侵入すると、対応した森重が倒した形になり、扇谷健司主審はPKの判定。城福浩監督は「ゴールラインを割りそうな状況でPKというのは、僕がこれから勉強して選手に教えなくてはいけない」と皮肉混じりに振り返りましたが、これをポンテが確実に沈め、ホームチームが先手を取りました。すると、ここからは一方的な浦和ペースに。34分には阿部の縦パス1本で抜け出した田中が惜しいシュート。35分には阿部、田中、宇賀神と繋いで、エジミウソンのシュートは権田がファインセーブ。そして38分には右サイドのFK、少し位置をずらして柏木が狙ったキックは左ポストを直撃し、こぼれに反応した田中のシュートは右ポストを直撃。これにはフィンケ監督も「なかなか見ることのできない魅力あるシーン」と称賛するなど、果敢にゴールへ迫ります。さらに東京は39分に森重が早くも2枚目のイエローカードをもらって退場。「前半は優れたプレーをお見せすることができた」(フィンケ監督)「前半は凄くよくて2点目3点目を入れるチャンスがあった」(ポンテ)と2人が話したように、浦和から見れば上々の45分間になりました。前半の終了間際に石川を投入し、平山を最前線に残した4-4-1へシフトした東京。後半も開始早々にエジミウソンのクロスバー直撃ミドルを食らうなど、どうしても苦しい展開を余儀なくされる中、城福監督は59分に椋原を下げて赤嶺を、62分に羽生を下げて梶山を投入。布陣も4-3-2に変えて、松下は右SBに。中盤を右から鈴木、梶山、石川と並べて、2トップで勝負に出ます。すると、ここからはその東京が試合のペースを奪還。特に中盤センターの梶山はさすがの存在感ですぐにゲームへ入り込み、73分にはオフサイドでゴールは取り消されたものの、赤嶺へ絶妙のスルーパスを送るなど、中盤を掌握。「ちょっと守備的になってしまい、相手の攻撃を待ってしまった」とポンテが言えば、「あれだけボールを回されるとは」と細貝も言及。ゲームの流れは東京に傾いていきました。ただ、前半11人だった時から変わらなかったのは、フィニッシュまで持ち込む積極性の欠如。78分に平山の頭を絡めて、石川、赤嶺と相次いで放った2本のシュートが、後半の45分間で記録されたすべてのシュート。最後は鈴木を投入してゲームをクローズさせた浦和が逃げ切るような格好で、今シーズンの初勝利をサポーターに届ける結果となりました。浦和は先制してから前半終了くらいまでの時間帯はシュートの意識が全体的に高かったんですけど、トータルではどうしても回し過ぎる傾向が否めないと思います。その中で、田中の積極性はチームにとって貴重なパーツ。ポジション的に守備も求められるのは仕方ないですが、どれだけ彼を攻撃に向かせられるかが、ともすればボール回しに終始しがちな浦和の鍵になりそうな印象を受けました。またもや浦和に敗れてしまった東京は、ボランチでスタートし、森重退場後はCBに入った徳永が「FWのプレスに行くタイミングと、中盤の行って欲しいタイミングがハッキリしない」と話せば、長友も「SHも守備の意識が高いので下がってきてしまうから、もっと連携取って高い位置に押し出せれば」と語るなど、特に守備時の決まりごとを整理している段階のようです。ただ、個人的には今日の羽生、徳永のドイスボランチだと、展開力に物足りなさが。梶山の完全復帰にもう少し時間がかかるのであれば、森重か今野を1列前に出すオプションがあってもいいのかなと感じました。指向しているスタイルは両チーム共に十分魅力的なモノになりうる可能性を秘めているので、これからの化学反応に期待したいですね AD土屋
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J2第2節 草津×愛媛@正田スタ

副島博志新監督の下、開幕戦は徳島に1-0で敗れ、黒星スタートとなった草津。今日の相手は同じくホームで迎えた岡山との開幕戦を0-1で落とした愛媛。まだ2試合目とはいえ、浮上のキッカケを掴みたい両チームの対戦は正田醤油スタジアム群馬より。4-4-2の草津に対して、4-3-3を敷いた愛媛の狙いはサイドのスペース。草津からすれば相手の中盤3枚は中央に寄っているため、3トップのワイドとSBの間は一見突き所のように見えましたが、「草津のSHは流動的に中へと動くので、ボールを奪った瞬間にはそのスペースが空くのはわかっていた」とは愛媛の右SBに入った関根永悟。事実、序盤から目立ったのは関根と左SB松下幸平の積極的なオーバーラップ。10分には、小原章吾から素晴らしいサイドチェンジを受けた関根が縦のスペースへ運び、マイナスに折り返して赤井秀一のシュートチャンスを演出。これには草津の右SH廣山望も「中でプレーしてくれって言われていたが、もうちょっとサイドを突いていきたかった」と振り返っています。そしてやはりその姿勢は23分に結実。田森大己のフィードに走り込んだのは松下。エリア内へ侵入すると、草津CBの柴田慎吾はたまらずファウル。愛媛がPKを獲得しました。迎えた絶好の先制機にキッカーとして登場したのは、昨日急遽出場が可能になったキャプテンの福田健二。「今週はずっとサブ組でやっていたのでぶっつけ本番」と言いながら、敵将の副島監督も「福田に収められ過ぎた」と認めた通り、確実なポストプレーや空中戦の強さで圧倒的な存在感を見せていたエースがこのチャンスを逃すはずもなく、GKのタイミングを外して冷静に右スミへ。実に2002年11月24日以来となる福田のJリーグ復帰弾で、愛媛がリードを奪いました。さて、先制を許した草津は「ボールが動いているようで実は全然前に進んでいないし、前線に収まらなかった」と指揮官が語ったように、2トップを組んだ後藤涼と高田保則の動き出しが少なく、中盤の選手が出し所に窮して後ろに下げてしまうシーンもしばしば。前半のシュート3本はすべてセットプレーから枠外に飛んだものと、まったくと言っていい程に攻撃の形を創れないまま、45分を消費してしまいました。何とか流れを変えたい副島監督は、後半開始からダブルチェンジ。廣山と後藤に替えて、山田晃平とラフィーニャを投入します。すると2人が共に自ら仕掛けていくタイプということもあってか、一本調子だった草津の攻撃にアクセントが加えられ、48分にはラフィーニャがミドルを放つなど、少しずつチャンスの萌芽も。また、2人に対処しようと愛媛のDFラインもやや下がったことで、空いたスペースをうまく使えた草津が中盤でも優位に。「流れで押し込む形はできた」と副島監督も言及しています。それでもバルバリッチ監督の処方も的確。58分に杉浦恭平を下げて、「ボールに対するディフェンスが強く、中盤を“掃除”してくれる選手」(バルバリッチ監督)という渡邊一仁を投入。渡邊も「役割はハッキリしていた」と、バイタルを引き締め、傾きかけた流れを引き戻すことに貢献します。追い詰められた草津も85分、松下裕樹のショートコーナーから、佐藤将也がクロスを上げると、ボールはフリーになっていた柴田へ。しかし、直後の選択はシュートではなくトラップ。あえなく潰され、万事休す。0-1。試合終了直後には「決めてた訳ではないが、みんな集まれ集まれって言って」という福田を中心にピッチ上でスタッフも交え、大きな歓喜の輪を咲かせた愛媛が、アウェイで見事に勝ち点3を奪取してみせました。愛媛はシステムのミスマッチを結果としてはうまく突く形でゴールを導き出しましたが、3トップのワイドに入った石井謙伍と杉浦も献身的な守備を見せるなど、状況に応じての自己判断がしっかりできていたように感じます。対する草津は、「クリエイティブなプレーをしなきゃいけないのに、うまく出せなくて歯痒い」(廣山)「自主性をもっと出していく必要もある」(松下)というコメントにもあるように、ややチーム戦術に縛られている印象。「アタッキングゾーンでの工夫がまだまだ出せなかった」(副島監督)という状況の改善はそう簡単なものではないだけに、少し序盤戦は苦しい戦いを強いられるかもしれません。今日に関しては「試合の内容は勝利に値するものだった」というバルバリッチ監督の総括通りのゲームだったと思います。さて、決勝ゴールを挙げ、上々の愛媛FCデビューを飾った福田に、久々にピッチで再会した高校の同級生・廣山について聞いてみました。すると「彼は自分が今日出られるということをものすごく喜んでくれたんです。僕に出場許可が降りたことを喜んでくれるなんて、本当にいい友達を持ったなって思いました」とピッカピカの笑顔。なんか羨ましい関係ですね。フットボールが繋ぐ絆の素晴らしさを、改めて実感させてもらいました。 AD土屋
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J2開幕戦 柏×大分@日立台

大分は初昇格した2003年から7年、そして柏は再昇格した2007年から3年、共に守り抜いてきた“J1クラブ”の座から陥落。今シーズンはJ2での戦いを強いられることになりました。それでも日立台へ行けば、そこには最高のサポーターが創り出す、最高の空間が。ここ数年の開幕戦よりは少し高めのテンションと、名曲「ビューティフル・サンデー」がゴール裏を1つにまとめると、お立ち台に登場したのはなんと柏市長!しかも市長はノリもなかなか。戦うステージは変わっても、日立台の日常は変わらないのです。さて、お互いに様子見のような立ち上がりを経て、徐々に攻撃面での連携で上回ったのは大分。東慶悟と現役韓国代表キム・ボギョンのSHに加えて、FWに入ったチェ・ジョンハンを軸に、スムーズなパス交換から柏の守備陣を揺さぶります。16分には東がドリブルから中へ折り返すと、森島康仁が巧みにスルーしたものの、チェの目前でDFがクリア。21分にはスルーパスに抜け出したチェのシュートがわずかにゴール右へ。26分には東のクロスから、森島が競ったこぼれ球をキムが枠外シュート。柏はどうしてもバイタルエリアにスペースを開けてしまう傾向が拭えず、大分がそこをうまく突いていくようなシーンが多かったように感じました。そんな柏は、こと攻撃に関してはどうしてもフランサに依存するところが相変わらず大きく、少し引き気味に位置し、フランサとの距離感を保ちながらよくボールを引き出した澤昌克は奮闘したものの、栗澤僚一とアルセウの両ボランチが効果的に散らせず、なかなかチャンスを創れません。特にアルセウは明らかなウェイトオーバーで、判断も遅く完全なブレーキに。30分くらいまではどちらかと言えば大分が少しペースを握るような展開になっていました。しかし、最初の決定機を生かしたのは柏。31分、田中順也から右へサイドチェンジ、村上佑介は最高のトラップで縦に持ち出し、最高のクロスを中へ。ニアで澤が潰れると、「村上がいいボールを上げてくれた」とファーに悠然と現れたのはフランサ。必殺仕事人の一蹴りで、まずは柏が先制しました。その後は33分に柏が田中、35分に大分がチェと決定的なシュートを放ちますが、それぞれ下川誠吾、菅野孝憲がファインセーブで阻止。終盤はやや柏も落ち着きを取り戻して、前半は終了します。後半も先にチャンスを掴んだのは柏。50分、田中のクロスを澤が頭で合わせるとボールは右ポストを直撃。53分にもカウンターから最後は田中がゴールしながらオフサイドになったものの、いい形を創出。この辺りから、田中と茨田陽生の両SHも2トップとうまく絡み始め、ホームチームが主導権を奪います。すると再び太陽神が降臨したのは63分。アルセウが右に振ると、茨田はすかさずクロス。ファーに流れたこぼれ球を、フランサは魔法の右足で右スミギリギリへグサリ。「当然警戒していたが個人技でやられた」と大分・皇甫官監督も苦笑するしかない一撃で、柏が2点をリードしました。ただ、「2点取った後の戦い方が中途半端だった」とキャプテンの大谷秀和が振り返ったように、ここからの柏はうまく試合を終わらせられず。70分、アルセウのミスパスをハーフウェーライン周辺で奪ったキムが、構えていた柏守備陣のアプローチが曖昧になった隙を巧みに突いたドリブルから、強烈な左足シュートを右スミへ突き刺し、たちまち1点差に。「自分たちのミスで苦しい状況になった」とネルシーニョ監督。柏が自らゲームを盛り上げてしまいます。77分にたまらずネルシーニョ監督もアルセウを下げて、左SBの橋本和を投入し、大谷をボランチに上げる処方。それでも82分には、チェのパスを受けたキムがDF2人の間を擦り抜けて惜しいシュート。住田貴彦、さらに187センチの長身DF柴小屋雄一を前線に相次いで送り込み、4トップ気味にシフトした最終盤の93分、キムがエラシコからパス、小林のパスはフリーの菊地へ。シュートは精度を欠き、直後に試合終了のホイッスルがなり響いたため辛くも逃げ切りましたが、大谷も「最後の時間の使い方は詰めていける所はある」と認めたように、リードしている時のゲーム運びに課題を残しながら、ひとまず柏が開幕戦勝利を手に入れました。負けた大分ですが、チェとキムのコンビは今シーズンのJ2を賑わせるのではないでしょうか。キムは代表遠征でロンドンから帰国したばかりで、皇甫官監督も「少し体が重かったんじゃないかな。フィットすればもっと存在感が出てくる」と言及。これに高松大樹が帰ってくれば、脅威のトライアングルになるかもしれません。一方の柏は「正直ホッとした」という大谷の一言がチームの想いを象徴していた気がします。課題は出たものの、それでも勝ち点3を挙げたことが何より重要。昇格のみを目指して戦う1年。まずは白星発進となりました。 AD土屋
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J1開幕戦 湘南×山形@平塚

99年、J2降格。以降、2000年代の丸々10年間を覆った苦難の時代を経て、とうとう“湘南の暴れん坊”がトップディヴィジョンに帰ってきました。記念すべき復帰戦の相手としてホーム・平塚競技場に迎えたのは、一昨年まで何度も何度も対峙していた山形。J1の舞台で果たされた2年ぶりの再会。個人的にも両クラブの昇格シーズンは、過程を追って体感させてもらっていたので、非常に感慨深い一戦となりました。叩きつけるような激しい雨の中で始まったゲーム。まず、目を引いたのは湘南のアグレッシブな仕掛け。「前にボールを運びながら人数を割いて、色んな選択肢を増やしていく」とは反町康治監督の言い回しですが、昨年もなかなか見られなかったような、1タッチ2タッチで素早くボールを回して、相手をずらしていくような崩しを連発します。中でも際立ったのは、確実なポストワークを披露した田原と、右FWに入った新加入の馬場。特に馬場はシンプルかつ正確なボールさばきというアジエルとは異なる特徴で攻撃を活性化させ、守備面でも「少し守備的にゲームに入ってしまった」と本人も振り返る程、献身的な姿勢を貫いて貢献。指揮官も「守備でも足を止めずにやった。良さを全面的に出してくれた」と高評価を与えていました。一方の山形は、「立ち上がりから動きが重い」(小林伸二監督)「試合の入りが少し堅くて、なかなかリズムが取れなかった」(佐藤健太郎)「雨でボールも滑ってやりにくく、うまく試合に入れなかった」(長谷川悠)と3人が声を揃えたように、湘南の勢いにも圧されてか、攻守共に後手へ回る格好に。いきなり劣勢を強いられます。すると、やはり先制ゴールは流れを掴んだホームチーム。19分、CKの流れからこちらも新加入の新居がラインブレイク。坂本のシュートはGK清水が防いだものの、上がっていたジャーンがこぼれ球をプッシュ。クラブ、そして自身にとってもJ1復帰弾となるキャプテンの一撃で、まずは湘南がリードを奪いました。さて、“先輩”としての意地を見せたい山形も、ようやく29分、秋葉、古橋、長谷川と細かく繋いで、最後は宮本のクロスを宮沢がサイドネット外側に突き刺さるボレー。30分にも田代、古橋、宮沢と相次いで3本のエリア内シュートも生まれ、ゴールとはいきませんが、ようやく決定機を創出します。また、湘南も序盤の勢いがやや減退し、少しずつフィフティに近い内容に。そんな「少し落ち着いた形ができてきた」(小林監督)中で、しかしスコアの動きは唐突に。40分、古橋のCK、湘南のGK野澤はパンチング、こぼれを拾った古橋は中へ、再び野澤がパンチングすると、なんと味方の田原に当たったボールがゆっくりとゴールに吸い込まれます。確かにペースはやや山形に傾いていたものの、得点に至りそうな形は正直まったくなかったので、まさに「ラッキーなゴール」(小林監督)。意外にも1対1の同点で前半を折り返しました。後半はまたも湘南がやや攻勢で推移し、57分には田原がDFを吹っ飛ばしてのクロスバー直撃ミドル。スタンドを沸かせますが、勝ち越しゴールは奪えず、ゲームは膠着していきます。そんな中、小林監督の決断は62分。「空中戦ばかりになって単調だったのと、長谷川とのバランスが悪かった」(小林監督)田代を諦め、北村を右SHに投入。古橋がトップに上がり、これで昨年のベストメンバーが顔を揃える布陣にシフトします。結果、湘南の運動量低下とのタイミングもマッチして、これが奏功。北村は交替直後にドリブルでCKを奪うと、佐藤も「キタさんが仕掛けてくれて、前に行く意識を高めてくれた」と語ったように、ボールを積極的に呼び込んで、山形の攻撃を牽引します。81分には湘南が途中出場の中村と阿部の連携で決定機を掴むも決め切れずにいると、83分には北村のヒールパスで抜け出した宮本の折り返しを、マイナスで長谷川が、外れたもののダイレクトでシュート。さらに終了間際の93分には北村がやはり右サイドからマイナスのクロス、ニアで古橋ドンピシャヘッドも、ボール1個分枠の左へ。「勝ち点1取れたのでホッとした」(小林監督)「勝ちたかったが勝ち点1は次に繋がる」(反町監督)と両指揮官。痛み分けというよりはもう少しポジティブなドローといった印象のゲームだったように感じました。山形は新戦力の融合に苦慮している様子。キャプテンの宮沢が「田代をもっとうまく使えるコンビネーションを高めていきたい」と語り、田代本人も「やることがハッキリしていない。全然満足していない」と渋い顔を浮かべるなど、実際に長谷川との2トップは機能せず。交替後にチャンスが増えたのは何とも皮肉です。増田やルーキー伊東俊の登場も90分以降。チーム力のアップを考えるなら彼らの融合は欠かせないだけに、小林監督の腕の見せ所ですね。湘南は、正直チームの完成度で言えば山形の数段上。懸念された田村不在のアンカーに起用された永田も、攻撃の起点にもなるなど機能したと思います。あとは、坂本と寺川がどのくらい攻撃に出ていけるかは1つのポイント。中盤3枚のチームもいくつかはありますが、大半は枚数のミスマッチが起こる訳で、昨年同様にそのギャップを突いて主導権を奪えれば、かなり攻撃面では面白いスタイルを打ち出せそうな雰囲気は感じました。いやー、しかしとうとう開幕しましたねえ。ホント嬉しいですわ。 AD土屋
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FUJI XEROX SUPER CUP 2010 鹿島×G大阪@国立

日本のフットボールシーンにとっては恒例行事のゼロックス。このゲームを見るとJリーグの開幕を実感するのが例年の常ですが、今年は鹿島、G大阪共にACLを戦ってから迎えるゲームとあって、西野朗監督も「ACLと2試合セットで考えていた」と明言。多少いつもとは違った捉え方の一戦になっていたような気はします。開始17秒でルーカスが果敢なドリブルシュート。4分には遠藤、ルーカス、加地、二川と繋いで、平井へ。シュートは打ち切れなかったものの、いきなりのラッシュ。「いい立ち上がりだなと感じていた」とは西野監督。G大阪は中2日で懸念されたコンディションを感じさせない、積極的な姿勢でゲームに入ります。対する鹿島も15分には、カウンターからマルキーニョスのパスを、ニアで興梠が惜しいシュート。ボールを回してチャンスを窺うG大阪と、守から攻への素早い切り替えに活路を見出だす鹿島。いきなり持ち味を発揮し合う展開となります。そんな中で、まず試合を動かしたのは西村雄一主審の判定。18分、小笠原のFKは中へ。数人もつれた中でのジャッジはPK。場内もざわつくような判定にG大阪の選手もすぐに抗議。実際、現場で見ていた私は岩政、高木、チョ・ジェジンがもつれたので、そこがファウルの対象かと思いましたが、公式記録を見るとイエローカードは菅沼。ちょっとどこがファウルだったのかはわかりませんが、あの競り合いの中でPKがあった、というのが今シーズンの基準だと、相当PKの多いシーズンになるかもしれませんね。PKをマルキーニョスがしっかり沈め、鹿島が先制ということになりました。ここを境にゲームは膠着。失点を許したG大阪は、なかなか平井とチョを流れに組み込めず、攻撃のギアが上がらない印象。むしろ鹿島が小笠原を中心に、ボールをじっくり回す時間帯もあり、主導権を握ったように見えました。しかし、前半終了間際の45+1分、意外な男が意外な結果を導き出します。ルーカスからパスを受けた加地は、突如ドリブル開始。右サイドからカットインすると、思い切って左足を振り抜きます。これが小笠原の頭に当たり、絶妙なコースへ。曽ケ端及ばず。シュートを打ち切る姿勢が呼び込んだゴール。1-1で前半は終わりました。後半に入ると、お互いに攻撃への比重が高まり、アグレッシブな展開に。鹿島は48分に野沢のクロスから興梠、52分に野沢のFKから岩政がバックヘッドと続けて決定機。それぞれ枠外と、GK藤ヶ谷のファインセーブで勝ち越しゴールとはいかなかったものの、サイドをうまく使い出して、攻勢を強めます。そして鹿島をさらに加速させたのは、65分に投入された遠藤康。その3分前に登場した、G大阪期待の17歳FW宇佐美がほとんど仕事をさせてもらえなかったのに対し、“鹿島の”遠藤は自身の特徴をいかんなく発揮。70分にミドルを放つと、82分にはマルキーニョスのワントラップオーバーヘッドを導く、絶妙のラストパス。84分は藤ヶ谷にファインセーブを強いるミドル。そして91分には、右サイドへ倒れながらスルーパス。素晴らしいターンから放った野沢のシュートは枠を外れ、決勝アシストとはなりませんでしたが、オリヴェイラ監督も「徐々に出場時間も増やして慣れさせている。よくなってきていると評価している」とコメント。ブレイク候補の21歳、要注目です。「ヤットも「後半残り15分はまったく体が効かなかった」と言っていた」と西野監督も振り返るなど、後半はやや苦しいゲームとなったG大阪は、89分に加地のクロスをチョがオーバーヘッド気味のボレーで狙ったのが、ほぼ唯一の決定機。ただ、菅沼と高木の急造CBコンビも最後まで奮闘し、結局1-1。90分間ではドローという結果になりました。PK戦のトピックはやはり「PKは一度も練習したことがないが、いつも練習してるヤツか外してる」と西野監督も言及した、遠藤の失敗に注目が集まりますけど、特筆すべきは鹿島の小笠原、野沢、新井場、岩政、マルキーニョス、5人全員がゴールに向かって右に決めたこと。その真意を問われたオリヴェイラ監督は「ゴメンナサイ」と日本語でかわしましたが、全員が決め切る所に鹿島の強さを見た気がしました。さあ、いよいよ来週からJリーグが帰ってきます! AD土屋
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第16回ちばぎんカップ 千葉×柏@フクアリ

尊敬と親しみを込めて“世界三大カップ戦”の1つと称されることもある、ちばぎんカップ。今年は16回の歴史上で初めて両クラブがJ2に所属するシーズンとなるわけですが、だからこそサポーターにとってみれば、サポートし甲斐があるというもの。フクアリを黄色に染めた観衆はなんと14567人。「今年に入って初めてサポーターの前でやる試合」(柏・ネルシーニョ監督)とはいえ、完全にタイトルを争うダービーの雰囲気を会場が創り出す中で、キックオフを迎えました。千葉の布陣は4-3-3。GKは岡本、DFは右から坂本、復帰した茶野、益山、新加入の渡邊圭二、中盤はアンカーに山口慶が入り、その前に復帰組の佐藤勇人と工藤、前線は右から深井、巻、アレックスでスタートします。対する柏は4-4-2を選択。GKは菅野、DFは右から小林、ユース出身の2年目・酒井宏樹、近藤、蔵川、中盤はドイスボランチが栗澤と大谷で、右に「突然右サイドと言われたがアルゼンチンやペルーでもずっとやっていた」という澤、左は「小学生の時以来」という新加入の林陵平、2トップは北嶋にフランサ、という並びになりました。ゲームが動いたのはわずかに開始4分。北嶋が左へ展開すると、プレミア好きの林は「ベッカムを意識して」という左足クロス。これをファーサイドに飛び込んだ澤が、頭でねじ込む先制弾。「やっと皆さんの前でゴールを決められた」という、澤の加入後初ゴールで、まずは柏がリードします。ただ、柏はこのファーストシュートが前半最後のシュート。以降は千葉が、今年のスタイルを存分に発揮してみせます。そのスタイルとは、まさに“人もボールも動く”サッカー。序盤はやや狭過ぎるような局面でも、とにかく繋ぎにこだわった攻撃を実行。その中心は、キャプテンマークを巻いた工藤。山口という後ろ盾を得た10番は、それこそ縦横無尽にピッチを遊泳。ここに佐藤、深井、アレックスも呼応し、時には巻まで中盤に下りてきて、ビルドアップに参加。まるで、オシム(父)政権下に戻ったかのようなプレーに、「ポゼッションされてアタフタした」(澤)「前半は相手の中盤が多いミスマッチの状態で守備の負担が大きかった」(林)と、柏の両SHは苦戦を認めています。36分には、エリア内でアレックスがキープ、追い越して受けた工藤のクロスを、巻がボレー。これはGK菅野に阻まれましたが、直後、中盤で軽やかに4本のパスを繋ぎ、最後は深井のスルーパスを、アレックスがニアにズドン。GK一歩も動けず。狙い通りと言っていいような崩しで、見事に追い付いてみせました。さて、「立ち上がりはよかったが、途中で攻撃やパスが単調になり繋ぐ意識がなくなって前にボールを蹴ってしまった」とネルシーニョ監督も嘆いた前半を終えた柏は、北嶋を下げてアルセウを中盤のアンカーに投入。4-1-4-1気味にシフトします。それでもペースは千葉。64分には渡邊に替わって、こちらも新戦力の倉田秋が登場。倉田は左FWに入り、アレックスが左SBへ。さらに70分には深井OUTで復帰組3人目の村井IN。79分には工藤OUTで太田IN。これで倉田が中盤に下がり、3トップは右から太田、巻、村井に。中でも倉田はチームのいい流れにそのまま乗っかり、積極的なボールタッチから惜しい左足ミドルを放つなど、その存在をアピールします。対する柏は60分、61分に相次いで2枚替え。林と大谷を下げ、菅沼と茨田陽生を投入。2人ともそのままのポジションに入ります。こちらで可能性を見せたのは18歳の茨田。落ち着いた捌きや、前への推進力を限られた時間内で披露。81分には蔵川のパスに飛び出し、チャンスを創出。こぼれを拾って枠内にシュートを飛ばすなど、局面に絡みます。柏最大の勝ち越し機は87分、フランサを起点に鋭いカウンター、澤がためてフランサへラストパス、しかしシュートは飛び出した岡本がブロック、リバウンドに反応した澤のシュートもゴール右へ。1-1、カップの行方はPK戦へ委ねられることになりました。1人目は栗澤が決めたのに対し、アレックスのキックは菅野がストップ。2人目は澤、佐藤、共に成功。3人目はアルセウがクロスバーにぶつけ、村井は冷静にハント。4人目はルーキー茨田、倉田と若手がゴール。そして5人目、フランサが左隅を狙ったキックに岡本が素晴らしい反応でセーブ、巻がぶち込んで決着。今年最初のタイトルは千葉の頭上に輝きました。まあ、90分のパフォーマンスから考えても千葉の勝利は妥当。江尻篤彦監督も「運動量多く、攻守に渡って選手が走ってくれたことには満足している」と手応えを語っています。去年のチームと様変わりしたスタイルは、特定の選手に依存しない、おそらく誰が出ても貫けるようなスタイル。ここにミリガン、福元、谷澤、林らも控える選手層の厚さも考慮すれば、かなり面白いチームになりそうな匂いは十分伝わってきました。柏は千葉の好パフォーマンスを差し引いても、特に攻撃面では物足りなさが否めません。前半は2トップにまったく収まらず手詰まりに。後半も栗澤がだいぶ前で触るようにはなったものの、決定的な仕事はできず。指揮官も「色々なことが見えたという意味では非常にいい試合」と微妙な言い回し。ただ、本来はサイドが主戦場の酒井がCBで一定以上のプレーを見せて起用に応えた点と、茨田も確実に決めたPKも含めて存在感を示した点は好材料。ここに新戦力のレアンドロ・ドミンゲスと大津が実力を発揮してくれることを祈りたいと思います。いやはや、J開幕もすぐそこまで迫ってますね。 AD土屋
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さいたまシティカップ 大宮×水原三星@NACK5

まだ球春を告げるとは到底言い難い、小雪がちらつくNACK5。明日行われる日韓対決@国立の前哨戦とも言うべき、大宮と水原三星のタイトルマッチを見に、今日は大宮へとやってきました。今シーズンの目標を5位以内に設定したという大宮のスタメンは、GK北野、DFが右から杉山、深谷、マト、村上、ドイスボランチに金澤と橋本、SHは右が藤本で左が内田、2トップが石原、ラファエルという11人。GKとDFには4人の新加入選手を起用してきました。対する水原三星は、監督が“アジアの虎”として有名なチャ・ボングン。ボランチにはウィガンでのプレー経験を持つチョ・ウォンヒ。そして前線には柏や千葉でそこそこ活躍したレイナウドの姿も。かなり楽しみなゲームとなりました。なったんですけど… 「おとといサガン鳥栖と試合をして、昨日移動してきた疲労で体が重い」(チャ監督)という水原三星の低パフォーマンスは序盤から全開。これを2010シーズンの御披露目ゲームとなる大宮が見逃すはずもなく、14分には橋本がショートコーナーから藤本のリターンを受け、そのまま叩き込んで先制。20分にも藤本のサイドチェンジから、ラファエルがエリア内で10秒弱キープした後に、ゴール右スミへ突き刺さる、まさにゴラッソ。2点をリードします。全体的によく動けていた大宮の中でも、出色はやはりラファエル。縦への推進力、確実なポストプレー、鋭いスルーパスと、相変わらずの万能ぶりを発揮。今シーズン、ブレイクの予感はプンプン漂ってましたね。さて、防戦一方の水原三星は、34分にまったく噛み合わないレイナウドを下げて、2002年のワールドカップベスト4メンバーの1人、ソン・ジョングッを投入。直後にCBのジュニーニョが惜しいFKを放つと、以降はボランチに入ったソン・ジョングッの所でボールが落ち着き出しますが、スコアは変わらず、2-0で前半を終えました。後半は開始から、一昨日合流したばかりの水原三星から移籍してきた、「地元が赤羽、妻の実家が浦和で、兄が王子に住んでいるのでライン的に大宮はいいチーム」というアン・ヨンハがピッチに。サポーターも歓声で迎えます。するといきなり一仕事。「いつもと違ってセカンドボールへの反応が緩かった」と見た古巣の隙を突き、拾ったボールを素早く縦へ。ラファエルのラストパスを石原が流し込んで3点目。54分にも、アン・ヨンハのスローインを藤本が中へ折り返し、二アで石原がプッシュ。4-0と大量リードを奪います。チャン・ウェリョン監督は藤田、渡部、青木を相次いで送り込み、アン・ヨンハと青木のドイスボランチ、渡部は右SH、藤田はそのままトップに入ります。すると次のゴールも大宮に。中盤左サイドで青木が粘って縦のスペースへ、石原が中へ折り返すと、走り込んだのは左SHへとポジションを移していた橋本。「結果にこだわってプレーした」と語る、揺るぎない主軸の今日2発目が炸裂し、点差は5点に広がりました。終盤には両SBに、土岐田と新加入の坪内、GKの江角も試す余裕を見せた大宮は守備面も終始安定。89分に水原三星が掴んだFKも、ジュニーニョのキックは“ぺルナンブカーノ”級とは行かず。チャン監督も「非常にいいスタート」と口にした大勝で、大宮が今シーズン“1冠目”を見事獲得しました。水原三星の低調を差し引いても、新加入選手が軒並み好プレーを披露したのは、大宮にとって好材料。杉山と村上の両SBは、勘所を押さえたオーバーラップも絶妙で、「サイド攻撃をやれる選手が入ってきた」と指揮官も納得の表情。村上も「コンビネーションは問題ない」と笑顔を見せながら、チームメイトをイジるなど、順応性をいかんなく発揮していました。今シーズンは果たして、6年連続の残留争いから脱却できるのか、関東のオレンジ軍団に注目ですね。 AD土屋
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J2第51節 水戸×湘南@Ksスタ

50試合、4500分が終わっても決着付かず。2009年シーズンのJ2から、2010年シーズンのJ1へと戦いの舞台を移すことが許される最後の1枠を巡る戦いは、51試合目、最終節でその結末を見ることになりました。3位湘南。4位甲府との勝ち点差はわずかに1。ただ、今日勝利さえすれば文句なく昇格が決まります。選手がバスでスタジアムに入ってくると、凄まじい音量のエールで迎えた湘南サポーター。泣いても笑っても最後の90分間は、12時34分、水戸の新ホーム・ケーズデンキスタジアム水戸にてキックオフを迎えました。お互いに主導権を探り合うような立ち上がり。まずは7分の湘南、寺川能人のFKを田原豊が頭で合わせると、GK本間幸司がセーブ。9分は水戸、菊岡拓朗が村松潤からのリターンを受けると、1人かわして右ポストに直撃するシュート。11分は湘南、坂本紘司のスルーパスを阿部吉朗がうまく受けるも、フィニッシュには繋がらず。14分は水戸、村松から森村昴太と回して、SB小澤雄希が惜しいミドル。共にリズムは掴めず、交互に攻め合うような展開も、エリア付近でのスムーズさで上回るのは水戸。すると20分、高崎寛之のポストプレーを基点に奪ったCK、菊岡のキックを中村英之が頭に引き寄せ、二アサイドを破って水戸が先制します。「やっぱりみんな普通の状態ではなかった」(湘南・田村雄三)湘南に続く受難。1分後の21分、菊岡の縦パスを荒田智之が収めて、中に折り返すと二アで森村がプッシュ。2-0と点差は広がります。さらに24分、荒田の右クロスに高崎が高い打点のヘッドを見舞うと、湘南GK野澤洋輔がゴールライン上でファインセーブ。あわや3失点目というシーンまで飛び出し、「ある意味パニック状態」(湘南・反町康治監督)なのが端から見ていても伝わってきます。水戸の2トップを生かすシンプルなフィードと、そのセカンドに絡むべく次々と飛び出してくる中盤の圧力に、湘南はマークを捕まえ切れず後手後手に。この時間帯を振り返ったCBの村松大輔は「どうなるのかと思った」と正直な気持ちを吐露しています。ただ、「2点取られて逆に吹っ切れた」とは田村。「チームのみんなの顔を見たらまだまだイケると思った」とは前述の村松。すると29分、坂本が粘って右へ展開、寺川のクロスを阿部がヘディング、本間が弾いたこぼれ球を冷静に田原。2-1。34分、坂本が粘って奪ったFK、寺川のキックにまたも飛び込んだ阿部のヘディングが今度は本間を撃破。2-2、同点。「戦術的、技術的ミスではない。相手の意地」と水戸の木山隆之監督も認める、昇格への執念を見せた湘南がゲームを振り出しに戻します。さながら後半終了間際のような打ち合いの様相を呈す中、次のチャンスはホームチームに。42分、菊岡の絶妙なフィードは走り込んだ高崎の頭へ。バックヘッド、野澤を越えたボールはクロスバー、跳ね返りに詰める高崎、弾き出す村松。「あそこで流れが変わったかなと思う」と自賛した村松のビッグプレー。シュート数は水戸14、湘南8。ジェットコースターより起伏の激しい45分間は同点で終了しました。後半序盤は水戸の流れ。開始早々の45分、荒田が角度のない所から枠内へ。48分、左右に揺さぶり最後は高崎のヘディング。そして50分、鈴木和裕のFKはスルリとファーサイドへ。どフリーだった中村のゴールまで1mヘッドはまさかの枠外に。湘南命拾い。そして53分、歓喜の時が訪れます。右サイドでボールを持ったのは「今年のウチの良さは最後まで諦めないこと」と語った坂本。得意の左足に持ち変えてクロス。ファーへ走り込んだのは三たび阿部。「最後の試合に使ってもらって信頼に応えたかった」男の、この日3本目となるヘディングシュートは、それまでの2回同様に枠を捉え、そしてゴールネットへ。2-3。「シーズン最初からやってきたことが強いメンタリティになった」と指揮官も称賛した、凄まじい逆転劇。湘南が2分間で奪われた2点を、32分間で引っ繰り返しました。こうなると、もともとボール自体は支配していた湘南に落ち着きが生まれてきます。苦しめられた縦フィードも、相手の精度低下に伴って危険度は激減。71分には、寺川能人から永田亮太へお馴染みの交替で、再度中盤を引き締めに。「CKが結構危険だったので、前に逃げようと」(田村)いう意識も徹底され、60分以降は1本のCKも与えず。田原が収め、坂本が足をつりながらも走り続け、ジャーンが跳ね返す。もちろんそれ以外の選手も自らに課されたタスクを着実に遂行。シーズン最終戦の、しかも最終盤に来て守備の安定感が戻ってきました。そして94分、廣瀬格主審によって吹かれたのは「シーズン最後の笛でもあるし、J1昇格への笛」(反町監督)。3枚目の昇格切符を手に入れたのは、自分を信じ、仲間を信じ、最後まで戦った“緑と青の勇者”湘南でした。思い返せば開幕戦、横浜FCに勝利した会見の第一声で「皆さんはカズがゴールを決めるのを楽しみにしていたんでしょうけど」と切り出した反町監督。「サッカーを見るのも嫌になった」という時期を経て、辿り着いたのは思い出の地・湘南。着実に種は蒔かれ、萌芽の時は迎えたものの、あと一歩がなかなか埋め切れなかった古巣に、1年で見事な大輪を咲かせてみせました。今日の会見での第一声は「思ったよりも人がいないのは、みんなJ1の方に行ってるのかな」。続けて「J1の優勝も決まったし、W杯の組み合わせも決まったので、(この試合は)5行くらいで書いといて下さい。写真もちっちゃくね」。反町監督は最後まで反町監督でした。ソリさん、本当におめでとうございます。 AD土屋
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J2第50節 湘南×草津@平塚

昨日甲府が勝利したことで、ひとまず今日の昇格はなくなった湘南。それでも最終節に向けて、1つでも多くの勝ち点差を付けておきたい所。相手は熊林親吾、松下裕樹を出場停止で、廣山望を体調不良で、後藤涼をケガで、湘南からレンタル中の小林竜樹を契約上の理由で欠くとはいえ、ここまで1分け1敗と相性の悪い草津。ホームラストゲームは今季最多の14080人を平塚競技場に集めて、開始されました。まず勢い良く飛び出したのは湘南。6分、アジエルのスルーパスから中村祐也が抜け出し、1人かわしての折り返しは草津GK本田征治が足でセーブ。8分、トリックFKから最後は中村がボレーを枠に飛ばすも、本田がキャッチ。10分、坂本のヒール、アジエルの折り返し、ニアに中村が詰めて混戦の中からDFクリア。中村がよくボールを引き出し、チャンスを創り出していくと、18分も起点は中村から。島村毅のパスを受けてドリブル開始。本田の飛び出しにシュートチャンスは阻まれましたが、こぼれを拾った坂本紘司は「イチかバチかギリギリのプレー」でエリア内に飛び込むと、藤井大輔と交錯して転倒。草津・佐野達監督は「完全なシミュレーション」と憤慨しましたが、東城穣主審の判定はPK。湘南は絶好の先制機を手に入れます。キッカーはアジエル。キックは左、しかし本田も左に飛んで完璧なセーブ。今季はケガなどもあってなかなか出場機会を得られなかった“正守護神”の意地。湘南はスコアを動かせません。さて、かなり攻め込まれる時間の長かった草津でしたが、実は「前半は我慢してノーリスクで」(佐野監督)という戦い方を徹底。SBもそれほど上がらず、普段なら繋ぎそうな場面でも縦に蹴るような割り切りも見られ、リスクを排して、シンプルなプレーを選択していきます。湘南も39分には坂本の二アを狙ったシュートが、41分には臼井のクロス気味となったシュートが、草津ゴールを襲いますが、これも共に本田がファインセーブ。「今までの草津らしいサッカーじゃなかったので、手を焼いたのは否めない」とは湘南・反町康治監督。「(相手は)引いてるなとは感じた。守られた感は凄くある」と田村雄三。本田の再三に渡る好守で無失点に抑えた草津からすれば「狙い通り」(佐野監督)の45分間を終えると、後半は一転、その草津が押し込む形を多く創り出す展開になっていきます。まずは52分に櫻田和樹、山崎渡と細かく繋いで、佐藤穣のシュートが湘南GK野澤洋輔を強襲。56分には中村に胸トラップから本田のセーブを強いるシュートを打たれますが、これがこのゲームにおける湘南最後のシュート。63分には佐藤が中央から相手のチェックを受けながら、30m近いドリブルで左に持ち出し、枠へ飛ばす好シュート。67分、中央で受けた佐藤はサイドへの展開を匂わせつつ、縦へ強いパス。ターンして、すぐに放たれた山崎のシュートは野澤がなんとかセーブ。「2列目からの飛び出しで、マンツーマンのギャップを使おう」(佐野監督)という指示と、「相手のCBの間を狙っていこう」(櫻田)というコンセンサスを、18歳のルーキーがよく理解して実践。草津が攻勢を強めていく格好になりました。74分、反町監督も中村を下げて、スーパーサブの阿部吉朗を投入。何としても1点を奪いに行こうという姿勢を見せますが、前に掛かっていく人数が増えた分、逆に広がるのは草津のカウンタースペース。76分、佐藤が左へ展開して、後半は「チャンスのタイミングを見て出ていこう」と、積極的なオーバーラップを繰り返していたSBの寺田武史がクロス、こぼれを再び寺田が狙うもゴール左へ。79分、高田保則が都倉賢とのワンツーで抜け出し、フィニッシュまで持ち込むなど、変わらず草津ラッシュ。81分には山崎に替えて「後半勝負のためにベンチスタートにした」(佐野監督)小池純輝を解き放つと、84分、88分と続けてシュートチャンスに絡むなど、これも奏功します。今季10度の後半追加タイム弾を生み出している湘南も、92分にアジエルが2度FKを中へ放り込んだものの、ゴールには至らず。結果はスコアレスドローでしたが、「正直勝てたゲームだったと思う」と櫻田が振り返ったように、普段とは違うスタイルをよく咀嚼して実行した草津の健闘が光るゲームとなりました。さて、これで4位の甲府に勝ち点で1上回って、最終節を迎えることになった湘南。「こんな長いシーズンで、最後の試合で決まるっていうのは感慨深いものがあるかな」と笑った反町監督。ここまで50試合もあったのに、ドラマの結末を最終節まで引っ張るとは、例年同様“J2の神様”の盛り上げ上手には感服します。最後のアウェイゲームとして湘南が乗り込むのは、水戸の新ホーム・ケーズデンキスタジアム水戸。「アウェイだけどウチのサポーターがホームのようにしてくれると思う」と野澤。12月5日、12時30分キックオフ。「全てが決まるラスト90分の決勝戦」(坂本)は果たして如何に。 AD土屋
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J1第33節 大宮×柏@NACK5

「興奮し過ぎてもダメだし、冷静になり過ぎてもダメだし、非常に難しい心境」(大宮・藤本主税)。15位大宮が37pts。16位柏が33pts。残り2試合という最終盤で迎えた、残留争い直接対決。勝利しか生き残る道はない柏にあって、サポーターはゲーム前から“YMCA”→“柏バカ一代”の合唱と、自らの流儀を貫き、アウェイゴール裏を黄色に染め上げます。引き分け以上で残留が確定する大宮も、メインやバックにまでオレンジカラーが波及。天国か地獄か、大一番は17時4分、柏のキックオフでスタートしました。お互いに先制点だけは許したくない立ち上がり。まずは9分に大宮、ラファエルが得意な左サイドから突破して折り返し、石原のシュートは橋本和が体でブロック。10分も大宮、近藤のミスパスから青木の右クロスを石原が頭で合わせるも、ヒットせず。最初の15分は大宮の攻勢となりました。そんな中、「相手のボールに対する気合いが違った」(藤本)「凄い勢いで来た」(大宮・橋本早十)と2人が声を揃えたように、柏の気迫が少しずつ表出。また、序盤は前線で完全に孤立していたフランサが、中盤まで下りてきてボールに触り出したことでリズムが生まれ、「引いた相手に対して攻撃の形が創れなかった」(柏・菅野孝憲)ことで、縦へと急ぐ形の多かった展開が変容していきます。25分は柏の決定機。栗澤のCK、パク・ドンヒョクのヘディングは枠に飛びましたが、なんとかGK江角がキャッチ。29分、橋本和のパスを受けた大津がフィニッシュと、チャンスは創出します。守備面でも相手が多用する縦へのフィードを睨んで、DFラインも高めに設定して対応。ラファエルへのボールを遮断することに成功すると、「中盤の選手が後ろに下がってしまって、あまり前に出て行けなかった」と藤本。前半追加タイムには、橋本早十のCKを石原がヘディングで狙うも、枠のわずかに左側。スコアレスで45分は推移しました。後半も柏のペースが続きますが、両者の差として挙げられるのはドイスボランチの機能性。柏は前半から栗澤のボールタッチが多く、セカンド奪取もやはり目立つのは栗澤。「ビルドアップ時に、大谷に下りてリベロ的になって回せと指示を出した。そうすると栗澤の回りにスペースができる」とはネルシーニョ監督。大谷が支え、栗澤が出る形で、中盤を支配していきます。一方の大宮は青木と橋本の頭上をボールが越えていくシーンが多い中で、自然と位置取りも低くなり、攻守でなかなかゲームに関与できません。58分、60分とフランサが惜しいシーンを創ると、ネルシーニョ監督の決断は67分。左SBの橋本和に替えて北嶋を投入。村上が左SBへ、澤が右SHへスライド。攻勢の時間帯で勝負に出ます。しかし74分、沸騰したのは黄色ではなくオレンジのサポーター。石原のフィード、ラファエルが胸で落とすと、上がってきていたのは守備に忙殺されていた橋本早十。「右足のトラップがうまくいったので持ち変えて」得意の左足で右スミにグサリ。苦しい中で飛び出した、「今までのゴールの中で一番気持ちいいゴール」(橋本)。大宮があまりに大きな先制ゴールを奪いました。ところが2分後、魔術師降臨。パクのフィード、大津が頭に当ててこぼれたボール、フランサが躊躇なく右足を一振り。すると、凄まじいスピードで江角のニアサイドを破壊。柏は死なず。1-1、スコアはタイに戻りました。直後、ネルシーニョ監督は2枚替え。村上と大谷OUTで田中と菅沼IN。田中は左SB、菅沼はボランチと超攻撃的布陣でゴールを奪いにいきます。大宮・張外龍監督も石原を左SH、青木をアンカーに置いた4-1-4-1にシフトして守備固め。83分、栗澤の縦パス、フランサはヒール、北嶋が繋いで、菅沼のシュートは江角がなんとかフィスティング。さらに張監督はラファエルに替えて藤田、石原に替えて土岐田をピッチへ。もはや柏は最前線に5枚が張り付き、大宮は青木も最終ラインへ吸収され、空中を行き来するボール。ギリギリの綱渡りとも形容できるような、続く攻防。それでも大宮ゴールに掛けられた鍵は開かず。94分16秒、柏原丈二主審の試合終了を告げるホイッスル。この瞬間、大宮のJ1残留が決定すると同時に、柏のJ2降格が決定しました。2005年の初昇格以降、5年続けてJ1を死守した大宮。G大阪や鹿島を倒しながら一時は4連敗を喫するなど、「例年より好不調が大きかった」(藤本)中でも、一度も降格圏に落ちることなく、残留を果たすことになりました。さて、10節以降は1度も残留圏内に浮上することなく、2005年に続いて2度目の降格となった柏。「最後の数試合はやりたいことをピッチで表現していたが、シーズン通してそういう戦いができないから、降格という結果になった」と大谷。「振り返れば前半戦はツイてないこともあって、そこで選手1人1人が自信を失って結果が付いてこなかった。ただ、挽回する時間はあったので、挽回できなかったのは選手の責任」と菅野。「僕は本当にレイソルが大好きで、どうすればレイソルが良くなるかだけを考えていたし、それは今も一緒。またJ1に上げるしかない」と北嶋。個人的には、選手たちは本当によく頑張ったと思いますが、やはり前任の高橋真一郎監督によるスタイルの変化と、それに伴う崩壊が最後まで響いた印象は拭えません。解任される直前にはサポーターとやり合うなど、監督としての資質を問われる一幕も。今日のゲームを見ている限りは、降格するようなパフォーマンスではなかっただけに、前半戦の迷走は痛恨でした。太陽王の落日。大きなダメージを負って、来季はJ2で戦うことになります。 AD土屋
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J2第49節 甲府×湘南@小瀬

ここまで積み重ねられた試合数は48。8ヵ月にも及ぶ長く険しい戦いをくぐり抜け、4位と3位として対峙する甲府と湘南。今日までに獲得してきた勝ち点は共に91。得失点の差もわずかに1。2009年シーズンのJ2は、49試合目に大舞台を用意していました。甲府出身のルーキー小池悠貴がマイクパフォーマンスで盛り上げ、歌声と手拍子で溢れるスタジアム。数で圧倒する甲府サポーターはワインレッドと青。精鋭が駆け付けた湘南サポーターは青と黄緑。スタンドが360度コレオグラフィで埋め尽くされ、最高の雰囲気の中で大一番はキックオフを迎えました。まず1分、大西容平のFKをファーでフリーになったキム・シンヨンが合わせるも、GK野澤洋輔が足で弾き出すと、4分には田原豊からパスを受けたアジエルの右足シュートが右のポストを直撃。立ち上がりからフルスロットルの両チーム。すると6分で早くもスコアに変動。湘南の素早いカウンター、収めた田原が左へ。追い越してきた中村祐也は、スピードに乗ったドリブルから完璧なシュートを右隅へ。アウェイチームが先制します。さらに10分、中村とのワンツーで左サイドを抜け出した寺川能人のクロス、アジエルが落とすと走り込んだ臼井幸平は思い切り良く右足一閃。ボールはサイドネットを揺らし、いきなり湘南が2点をリードする展開となりました。さて、「ボールの取られ方が悪く、対応もうまくできなかった」(甲府・秋本倫孝)ことで失点を重ねた甲府。山本英臣、ダニエルという不動のCB2枚を出場停止で欠き、慣れない顔触れで組まれた久々の4バックがいきなり攻撃時におけるリスク管理の甘さを突かれ、劣勢に立たされますが、「25分を過ぎてしまえば相手の足が止まるのはわかっていた」と甲府・安間貴義監督。実際に20分を過ぎると、「点を取られてからは、よりシンプルに」(秋本)右サイドを中心にアーリークロスやドリブルでの仕掛けなどが目立ち始めた甲府が攻勢に。そして25分、やはり右サイドに流れたマラニョンがクロスを送ると、ジャーンがなんと空振り。キムが冷静に流し込み、1点差に詰め寄りました。その後も急ぎ過ぎるくらいに、前へ前へとボールを運ぶ甲府の中で目立ったのは、ダイヤモンド気味の中盤で頂点に入った藤田健。「前に突っ張ってくれてればいいけど、下がって受けたりしていた」と湘南のアンカー・田村雄三が話したように、自在なポジショニングでピッチを浮遊しながら、要所で顔を出すタイミングも絶妙。甲府優勢でハーフタイムを迎えました。後半も流れは変わらず。ただ、甲府が繰り出すサイド攻撃の比重が左多用に。SBに入った吉田豊もオーバーラップを繰り返し、チャンスを窺います。60分、小瀬鳴動。CBの秋本がドリブルからシュート、DFに当たったルーズボールはエリア内に。いち早く反応した大西と島村毅が接触すると、かなり微妙な場面でしたが西村雄一主審は迷わずPKを宣告。マラニョンのキックは左、野澤も左に跳んだものの、揺れたゴールネット。2-2、意地と意地の激突は壮絶を極めていきます。先に動いたのは反町康治監督。68分、先制ゴールの中村に替えて、前節のヒーロー・阿部吉朗を投入。76分、安間監督も決断。大西を下げて、片桐淳至を2トップ下へと送り込みます。80分、上がっていた杉山のシュートは野澤ファインセーブ。82分、自らが蹴ったCKの流れから再び片桐がクロス、林健太郎の決定的なヘディングはバーの上へ。83分、片桐の左クロス、マラニョンのヘディングもバーの上へ。「7割くらい向こうが攻めていた」(田村)「6、7割方は向こうに転んでる可能性が高かった」(反町監督)と2人が口を揃えた、後半劣勢の湘南。しかし、ここから今シーズン何度も繰り広げられてきたドラマの最終幕が上がります。88分、アジエルのスルーパスから臼井が抜け出し、GKに阻まれるも惜しいシュート。91分、アジエルの右クロス、途中出場の永田亮太が決定的なシーンもボールは枠外に。そして93分、アジエルのFK、「ロスタイムだから行かなくちゃって思いが強過ぎた」GK阿部謙作は飛び出すも触れず、ジャーンがヘディング。クロスバーに当たり、跳ね返ったボールは「直前の2つの決定機でもしかしたらという雰囲気は出た。何となく自分の前にこぼれてくるような気がしていた」という坂本紘司の前へ。落ち着いて得意の左足から放たれたシュートは、ゴール右隅へと吸い込まれます。湘南在籍9年目の最古参。Jリーグ通算出場364試合はすべてJ2。「ベルマーレでJ1に行きたい」という“ミスターベルマーレ”の決勝弾。「全力を出して負けた。警戒していてもセットプレーでやられたというのは、湘南の勝負強さの方が一枚上手だった」と安間監督。「どっちに転んでもおかしくなかった」(反町監督)魂が交差する一戦は湘南に凱歌が上がりました。敗れた甲府は4-4-2も機能し、大半の時間で押し込んでいただけに、序盤の2失点が惜しまれます。それでも「僕たちが諦めたらリーグは終わってしまう。諦めの悪い人間なんで諦めていない。残り2試合、最後の最後までベストを尽くすことをお願いした」と安間監督は語りました。勝った湘南は、今シーズン10回目となるロスタイム弾での劇的な幕切れ。「最後の笛がなるまで湘南のサッカーをしよう」という指揮官の言葉を、見事に選手たちが体現してみせました。長く記憶に残る、極上の98分間だったと思います。 AD土屋
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J1第31節 柏×清水@日立台

屈辱のJ2降格から、再びJ1に返り咲いて3年。柏の灯が今、また消えかけています。現在降格圏内の16位。残留対象チームである大宮との勝ち点差は9。ゲーム前に柏サポーターのコールリーダーが「メディアがいつもの倍は来てる。何を期待してるんだ〜」と叫んだように、今日柏が引き分け以下だと、大宮の勝敗次第で降格が決定します。対するは連敗中とはいえ、優勝の可能性を残している清水。“何か”は決まってしまうのか否か。運命の90分間が開始されました。「柏が前半の立ち上がりから来るのはわかってた」とは清水の長谷川健太監督。しかし、後のない柏は、おそらく清水が想定していた以上の猛ラッシュを頭から仕掛けます。6分、最近は一時の勢いが影を潜めつつあった大津が、豪快に左サイドをぶっちぎってクロス。フランサには届きませんでしたが、いきなり明確な形でスイッチをチームに入れてしまいます。14分には、リーグ戦初スタメンのルーキー橋本が左クロスを送り、澤がヘディング。20分にも、右SHに入った杉山のクロスに、再度澤がヘディング。2本ともわずかに枠を逸れますが、「もうやるしかない。勝っていくしかない」(柏・北嶋秀朗)という姿勢を見せると25分、橋本の縦パスは大津へ。「祐樹(大津)がいいキープをしてくれた」と振り返った大谷はパスを受けるとDFの間をすり抜けてシュート。ボールはニアサイドに突き刺さり、柏が先制点を奪います。さらに36分、大谷が粘ってモノにしたボールを受けた大津は、ワントラップから左足を振り抜いて、豪快な追加点。「タニくん(大谷)がタイミングよく上がってきてくれた」とは大津。生え抜き2人の連携で2点連取。正直言ってあまりに予想外な展開で、柏が主導権を握る形になりました。今日の柏で光っていたのは、大津、大谷に加えて、ネルシーニョ体制下での初出場となった澤。前述の2度掴んだチャンスに顔を出したのはもちろん、チームを助けたのはそのキープ力。「澤くんがあそこでキープしてくれることで、中盤からサポートに行ける。基点を作ってくれた」と大津が語ったように、足元でのボールキープもさることながら、高さでも10センチ近い相手に競り勝つなど獅子奮迅。指揮官も「澤の存在でチームが機能した」と名指しで賞賛するなど、ようやく才能の片鱗を柏サポーターに見せてくれました。さて、ほとんど何もさせてもらえなかった清水。「前線にボールが入った時に、柏が体を張って潰してきて、2トップがなかなか基点をつくれなかった」と長谷川監督。加えて岩下の不在で、正確なフィードが前に入らなかったことも、劣勢の一因になったでしょうか。40分には早くも本田を下げて、山本真希を投入し、中盤をダイヤモンドにしたものの、2トップ下に入った枝村も岡崎、ヨンセンとの絡みが少なく、効果薄。後半に入ってもペースは変わらず柏優勢の中、62分には清水に痛恨のミス発生。バックパスをGK山本海人はなんと澤へプレゼント。中へ送って、フランサが一刺し。3-0、勝敗は決しました。これ以降もしっかりブロックを作り、機を見てアタックを掛ける柏の勢いは止まらず。82分、澤が右サイドからクロス、大谷のヘディングはGKが弾くも、フランサが冷酷に4点目。89分、杉山のミドルをGKが弾くと、「浩太(杉山)は癖のあるボールを蹴るんで」としっかり詰めていた北嶋が押し込んで5点目。なんと、2008年4月以来となる5ゴールを奪った柏が、難敵清水を力でねじ伏せ、奇跡の逆転残留へ一縷の望みを繋ぎ止めました。「予想以上にレイソルの出足と気持ちがよかったと認めざるを得ない」(長谷川監督)「エスパルスが驚くようなパフォーマンスで我々が支配できた試合。全員が自分たちのやるべきことをやった」(ネルシーニョ監督)と両監督が振り返ったように、衝撃すら感じる圧勝劇を柏がサポーターに贈ったゲーム。大宮が広島に敗れたため、柏と大宮の勝ち点差は6に縮まりました。依然状況が厳しいことには変わりありませんが、「ディフェンスもオフェンスもぴったりハマった。これを続けられれば負ける気はしない」と大津。戻ってきた一体感を継続させることで、奇跡を引き寄せられるか。いよいよ残されたのは270分間です。 AD土屋
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J2第48節 湘南×東京V@平塚

「スローモーションのような感じ」(湘南・反町康治監督)とは、94分のラストチャンス。直後、1万人を超える観衆を飲み込んだ平塚は狂喜乱舞。湘南が崖っぷちから奇跡的な生還を果たしました。開始1分、寺川能人のCK、ジャーンのヘディングはレアンドロがライン上でクリアと、いきなりホームチームの決定機で幕を開けたゲームで、まず目立ったのはコンタクトプレーの度に鳴らされるホイッスル。特に序盤は湘南がボールキープする時間帯が長く、東京Vが厳しく寄せると奧谷彰男主審は多くの場面で湘南のFKを宣告。11分にはアジエルのFK、最後は田原豊が左足ボレーで狙うもゴールの右側へ。14分もアジエルのFKからジャーンがこぼれに詰めるも、GK土肥洋一がファインセーブ。ゴールには至りませんが、チャンスを創ります。すると26分、レアンドロのミスパスに反応した田原が、しっかり拾ってキープすると、アジエル、中村祐也と繋がり、フリーの寺川へ。「一瞬自分でも間を置けたので、焦らずに」左足で右隅にグサリ。先手は湘南が取りました。ただ、直後の28分、湘南のCKを防いだ東京Vが鋭いカウンター。土屋征夫が全速力でタッチライン際のボールを残して縦へ送ると、受けたレアンドロはルックアップして、中央フリーの井上平へ。焦りからか、井上のシュートはヒットせず、同点ゴールとはいきませんが、反撃の牙を剥き出しに表します。実際、ゴールこそ奪われましたが、湘南のチャンスは大半がセットプレー。「個人でポゼッションする力がある」(反町監督)「ポゼッションのうまいチーム」(田原)と2人が声を揃えたように、前半途中からは東京Vが主導権を握って、ボールを動かします。1つのポイントは、2トップの一角に配されながら、相手の嫌な所にうまく潜り込んではボールを引き出すレアンドロ。もう1つは、永里源気と福田健介で組んだ右サイドの積極性。松田岳夫監督も「レアンドロと両SHが相手のバイタルエリアをうまく使えて、リズムを掴んだ」と言及。37分には福田の右クロスから、最後は再び右に返ってきたボールを永里が股抜きでエリア内に侵入してシュートまで。39分にも福田の右クロスにレアンドロが惜しいヘディング。ジリジリと湘南ゴールを脅かすと42分、村松大輔のクリアは柴崎晃誠の目の前へ。柴崎は右へ展開。永里は切り返しからクロスを送ると、ファーで井上が合わせる見事なゴール。東京Vが追い付いて、前半は終了しました。後半も52分、59分、あわやというシーンを創出したのは東京V。そして61分、右サイド永里のアグレッシブな仕掛けに、何とか湘南も対応しますが、こぼれたボールはレアンドロの足元へ。前半から判定にイライラを募らせ、異議で警告まで受けた選手とは思えない程に落ち着いたループ気味のシュートは、美し過ぎる完璧な逆転ゴール。東京Vが形勢ばかりかスコアまで引っ繰り返してみせました。負けは許されない湘南。反町監督は63分、「前での基点と高さ」を期待してリンコンを投入。最前線に田原と並べ、システムを3-4-1-2にシフトして1点、そして2点を奪い返しに行きますが、「回されて走らされてる時間帯が長かった」(寺川)チームの運動量は上がらず、チャンスを創れません。76分、坂本紘司OUT永田亮太IN。85分、田村雄三OUT阿部吉朗IN。それでも東京Vは、途中出場の林陵平、平本一樹もよく役割を理解し、コーナースポットで見苦しくキープするような真似などせずに、しっかりとボールを回して時間を消費させていきます。90分に追加された4分も経過。間違いなくラストプレー。GKの野澤洋輔がスローイン、村松が右サイドからフィード、大外にいたジャーンが頭で折り返すと、飛び込んできたのは「折り返してくれたらっていうイメージで動き出していた」11番。「とりあえず落ち着いて、コース狙って当てるだけ」のヘディングは緩やかな軌道を描いて、ゆっくりとゴールへ到達。テクニカルエリアの最前部にいた反町監督も「最後に執念を見せてくれた」と渾身のガッツポーズ。「気持ちが繋がった」(阿部)劇的な同点弾。湘南が土壇場で勝ち点1を強奪して、ゲームは終わりました。さらに直後、試合を終えた平塚競技場に甲府敗戦の報が。これで同じ勝ち点91、得失点差で1上回った湘南が再び3位に返り咲き、「皆さんが期待する最高のシナリオ」(反町監督)で、次節直接対決を迎えることになりました。「時間が空くんで、自分たちでどうゲームに持ってくか」(中村)「次の試合が本当に山場」(田原)。試合後、選手バスの前で「一緒にJ1へ行こう」と歌い続けたサポーター。11月21日17時、決戦は小瀬でキックオフの時を迎えます。 AD土屋
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ナビスコ決勝 FC東京×川崎@国立

「あの辺が1つの狙いではあった」(川崎・関塚隆監督)「ここで失点しなくてよかった」(FC東京・城福浩監督)。19分の攻防。両指揮官もポイントに挙げたシーン。結果、この成否が試合の行方を大きく左右することになりました。紙テープが乱れ飛ぶFC東京ゴール裏。水色と黒の中心に大きな星を浮かび上がらせた川崎ゴール裏。最高のシチュエーションを両サポーターが創り出し、キックオフを迎えたナビスコファイナル。双方慎重にゲームへ入っていく中、まず勢いを見せたのは川崎。攻撃的な中盤に入った中村とレナチーニョが、サイドで中でと積極的にボールへ関与。11分にはレナチーニョが米本からボールを奪うと、中村からのリターンを受けたレナチーニョが権田のファインセーブに阻まれるも惜しいミドル。17分にもレナチーニョを基点に、チョン・テセ、ジュニーニョと繋いでチョン・テセがボレー。当たり損ねて枠には飛ばなかったものの、ペースを掴みます。やや押し込まれた東京は、ドイスボランチに入った梶山と米本が単純なミスを連発。パス回しにリズムが出ず、中盤で劣勢になり、なかなか攻撃の手を繰り出せません。そんな中で迎えたのが19分。横山のクサビをチョン・テセが落とし、ジュニーニョがダイレクトで裏へ送ると、走り込んでいたのはボランチの谷口。「二列目から出てくる高さは警戒していたが、二列目から追い越してスルーパスに飛び出してきたのに付いていけなかった」と城福監督が振り返ったように、東京のDFラインが無警戒だった谷口のラインブレイク。完全にGKと1対1。谷口がやや右に流れると、権田もうまく対応してシュートブロック。しかしこぼれたボールは谷口の下へ。中央ジュニーニョへラストパス、直後、川崎ゴール裏に広がったのは大きな溜息。2度の決定機は共に失敗。あまりにうまく決まった形だっただけに、「数多くはできないのでしっかりモノにしたかった」(関塚監督)「これ以降は警戒して簡単にはやらせなかった」(城福監督)と両監督。ここを切り抜けた側が3分後、歓喜を享受します。22分、米本は縦の平山へ。リターンを受けると25m近い距離から躊躇なくミドル。「無回転。落ちてブレた」と語った川島は弾き切れず、ボールはサイドネット内側へ。前日、ニューヒーロー賞に選出された18歳が大仕事。ピンチ一転、先制点は東京に記録されました。これでようやく落ち着きを取り戻したか、東京も「なるべく相手にボールを触らせない、相手の攻撃を一つでも減らすような守備」(FC東京・羽生直剛)も機能し始め、得点以降、前半終了までインプレーから川崎に許したシュートは2本。「あの一発で流れが変わった」とGKの権田も振り返ったように、相手の決定機を凌ぎ、そして決して決定機とは言えないような場面から飛び出したゴールが、東京に流れを大きく引き寄せる格好になりました。後半は50分に赤嶺がヘディングで枠内に飛ばすなど、最初の5分間は東京がラッシュに出ましたが、すぐに追い付きたい川崎が反攻。「サイドからえぐることによってセットプレーが増える」(関塚監督)と森も上がる回数が増えるなど、執拗にサイドを突き、CKを数多く獲得。強烈な圧力から同点ゴールを奪いに行きます。59分にはレナチーニョのクロスを権田がパンチングするも、今野に当たり、あわやというシーンが。嫌な形でCKを与えると、中村のキック、中央は東京もクリアできず混戦。空中戦が続く中、平山が掻き出すと拾ったのは羽生。攻守反転、カウンター。羽生は左へ。受けた鈴木は中に入りかけて、ルックアップすると一度左に持ち出し、ファーへクロス。待っていたのは掻き出してから約70mを「早く達也くんのラインに追い付けるように」全速力で駆け抜けた平山。ヘディング一閃。相手のお株を奪う、最高のカウンターが炸裂。筑波大でも2トップを組んでいた2人のコンビネーションで東京がリードを2点に広げました。60分、赤嶺OUT長友IN。「決して守備的ではなく、前掛かりになってくる所を飛び出ていく期待と、森がかなり上がり気味だったのでそこを押さえたかった」と城福監督。実際、74分には椋原のフィードから長友が抜け出し、GKもかわしてシュート。谷口が執念のブロックで防ぎ、鈴木のエリア外シュートも右ポストを直撃。3点目とはいきませんでしたが「守りながらもいつでもカウンターを狙える」(羽生)脅威を、しっかりと相手に突き付けます。さらにこの直後には、羽生OUT平松IN。残り15分、「戦況で相手の選手を見てクローズしにいくための交替」(城福監督)も実行。ビッチにはDF登録の選手が6人並ぶ格好になりました。追い込まれた川崎も79分に黒津を投入して、3-4-3で勝負に。80分以降は怒濤の総攻撃を仕掛けます。それでも「もっとシンプルにサイドから動かせばいいのに、強引なプレーが目立ってしまった」と関塚監督。どうしても中、中へとボールを集めてしまい、堅いブロックを切り崩せないままに時間が経過。「みんな集中してマークも外れなかったので、ピンチは続いていたけど大丈夫だと思っていた」とは権田。85分、ジュニーニョのクロスに合わせたチョン・テセのヘディングはクロスバー。88分、再度ジュニーニョのクロスにチョン・テセのヘディングはわずかに枠外へ。2-0、「戦前の予想では厳しいだろうと言われていた」(城福監督)東京に凱歌。完勝と言って差し支えないゲームで、5年ぶりの栄冠に輝きました。川崎は、やはり19分の逸機が痛恨。ある程度守備的なアプローチの相手に先制され、ブロックを作られた時の攻略は決して得意分野ではなかっただけに、「自分たちのサッカーがいかに90分できるかというところで、我々の弱点が出てしまった」(関塚監督)感は否めません。またもタイトルには一歩及びませんでした。勝った東京は、立ち上がりこそ苦しんだものの、先制後は「前に急ぎたくなる所を繋ぎ直してやり直す」(城福監督)冷静さも披露し、耐えながらカウンターでの一刺し。石川、そして「ブルーノが電話して、言葉は通じなかったけど話したら喜んでくれた」(羽生)カボレと2人の役者を失いながら堂々の優勝。「まさに全員で勝ち取った勝利」(城福監督)に心から拍手を贈りたいと思います。 AD土屋
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J1第30節 川崎×広島@等々力

2006年、2008年のリーグ戦。2007年ナビスコカップ。再昇格してからの4シーズンで3度“準優勝”に泣いている川崎。一足先に決勝進出を決めていたナビスコに加えて、リーグ戦でも前節とうとう今シーズン初の首位浮上。悲願の初タイトルへ。今日の相手は広島です。3連勝中の勢いそのままに、序盤から全開の川崎。7分、森のクロスバーを直撃する左足シュートが号砲。15分には中村の完璧なサイドチェンジをレナチーニョがマイナスに折り返すと、ジュニーニョ。フリーで放ったシュートは枠を捉えられませんでしたが、推進力は抜群。すると18分、森のスルーパスに満点のラインブレイクで抜け出したジュニーニョが、落ち着いて左スミへ。押し込んでいた川崎が先手を取りました。いつものパスワークに冴えが見られないのは広島。「少し恐がってゲームに入ったかもしれない」とはペトロヴィッチ監督。柏木、高萩の2シャドーにも川崎は「広島の攻撃はしっかりわかってた」(川崎・関塚隆監督)とドイスボランチとSBでしっかりケア。チャンスを創らせません。さらに広島に不運。25分、既にイエローカードを貰っていた森脇が田坂を体で潰して、2枚目を提示され退場。一層、厳しい状況に追い込まれたはず、でした。しかし、逆に10人になってからは広島が攻勢に。数的不利の中、「守備をしているだけでは勝てない」とペトロヴィッチ監督が選択したのは3-4-1-1。森崎和を最終ラインの右に落として、ドイスボランチは青山と柏木。1トップ下に高萩という布陣で、変わらぬコンビネーションを披露。「柏木、青山、高萩の3人がポジションを崩して、ドイスボランチの田坂と横山で3対2になり、中盤が浮いた」とは関塚監督。全体の人数は多いにも関わらず、中盤センターでは数的不利になる、噛み合わせの妙。中村を中央に入れて対応しますが、流れは変わらず。リードは川崎も、広島ペースで前半は終了しました。後半もある程度3バック+WBは守備に重点を置く相手を川崎は切り崩せず。広島も攻撃面では体に染み込んでいるかのような、パス、サポートというスタイルを貫きます。ところが、試合が壊れたのもスタイル故のミスから。61分、GKの中林の繋ぎを田坂がかっさらってチョン・テセへ。躊躇ないフィニッシュ。「モダンなサッカーはGKも繋ぎに参加できるサッカー」(ペトロヴィッチ監督)というスタイルが、結果的には裏目に。そして事実上、この2点目でゲームの趨勢は決まってしまいました。ここからは川崎のゴールショー。70分、田坂のミドルはDFに当たり、コースも変わって3点目。74分、中村のフィードからレナチーニョが抜け出し4点目。85分、井川とのワンツーから右サイドを突破した登里が中へ送り、中村が左スミに5点目。86分、中村のスルーパスにジュニーニョが反応、飛び出したGKと交錯したこぼれを「思い切って打った」登里のJリーグ初ゴール。「夢みたい」と振り返った18歳ルーキーの一発で6点目。最後は91分、中村のパスから今度はジュニーニョが自ら沈めて7点目。7-0、退場者が出たとはいえ、あまりに予想外のスコアで、上位対決は川崎が勝利。今後に向けて得失点差でも大きなアドバンテージを得ることに成功しました。広島は後半6失点。1点ビハインドで1人減ってからもむしろ攻める時間を作りましたが、最後は自滅する格好に。指揮官は「痛い敗戦だった」としながら「7-0で負けたことがダメなんだと選手が認識してくれれば、それは結果としてよかったかもしれない」と語りました。勝った川崎は首位キープ。数的優位を得てから少しバタバタしたものの、「後半しっかりやれた所に成長を感じた」と関塚監督。次のゲームはいよいよナビスコ決勝。悲願のタイトル獲得へ、いいイメージで臨める大勝になったでしょうか。 AD土屋
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J1第30節 柏×山形@日立台

もはや5試合を残すのみとなったJ1。山形は4連敗を喫して突入した残留争い直接対決4連戦で千葉に勝ち、大分に引き分け、神戸に勝利と、勝ち点7を奪い、13位まで浮上して日立台に乗り込みます。対する柏は7戦負けなしから、一転2連敗。16位と依然降格圏から脱出できません。勝ち点7差で迎えた、双方にとっての大一番。“招き猫ダック”のダンスを披露し、バックスタンドに太陽のコレオグラフィを浮かび上がらせた柏サポに、2000人以上が駆け付けて声を張り上げた山形サポ。抜群の雰囲気の中で、運命の90分間は幕を開けました。まず目立ったのは山形の「チャレンジしている」(古橋達弥)“繋ぎ”の意識。J2時代からコンビを熟成させてきたドイスボランチの秋葉と佐藤健太郎が、受けて散らしてを高い頻度で徹底し、圧倒的にポゼッション。さらに宮崎はドリブルで、宮沢はパスでアクセントを付けるなど、中盤4人で主導権を強奪すると、6分には宮沢のFKから長谷川、1分後には古橋のFKから長谷川が、共にヘディングで相手ゴールを強襲。どちらも菅野のファインセーブに阻まれましたが、惜しいシーンを連発します。18分にも柏のミスパスから生まれたFK、古橋のキックを3たび長谷川。今度はネットを揺らしたものの、判定はオフサイド。先制点とはいきませんが、好調さを伺わせます。一方、かなり押し込まれる形で試合に入った柏は、ネルシーニョ監督も「奪った後のパスや、最後のパスの精度が上がらなかった」と振り返ったように、とにかくパスミスが多く、まったくと言っていいほどリズムができず。また、守勢に回る中でドイスボランチを組む栗澤と小林慶行の位置取りがかなり低く、前線の北嶋と菅沼が孤立気味に。せっかく後ろで回していても、最後は精度が低く、呼吸の合わないロングボールが味方の頭を越えて、山形ボールになっていく悪循環。スコアこそ45分間を終えて0-0でしたが、特に攻撃面に関しては両者の差がくっきりと浮き出た前半になりました。さて、柏が「2列目からの飛び出しに対して対応が緩い」(小林伸二監督)と分析、裏を狙うことを意識していた山形でしたが、実際は「少し相手のラインが下がっていたので、回せるなら回した方がいい」(同)と軌道修正。後半開始から、ややミスの目立った右SBの宮本に替えて、石川を投入。小林亮を右に移して、よりボールを正確に動かせる布陣にシフトします。ただ、引き分けでも苦しくなる柏も意地。45分、菅沼、栗澤と絡んで北嶋。シュートは山形DF西河にブロックされますが、50分にもポポがFKを枠内へ。56分にもポポのCKを近藤が頭で折り返し、こぼれ球も柏がキープ。続く攻勢の時間。ホームゴール裏も自ずとヒートアップしていきます。しかし、そこに落とし穴。柏ロスト、山形カウンター。「ディフェンスしてる時にチャンスがある」と考えていた古橋のパスに呼応した宮沢が、絶妙のタイミングでDFと入れ替わり、1対1も冷静に菅野をかわして右足でフィニッシュ。掴んでいたリズムを失い掛けた時間帯で出てきたのは「1週間トレーニングしてきた」(小林監督)裏への共通意識。ネルシーニョ監督も「一番気を付けていたカウンター」と悔やんだ一瞬で、山形に先制点がもたらされました。あまりに痛いビハインドを課された柏は、60分に2トップの一角で精彩を欠いた菅沼を諦め、前節Jリーグデビューを果たした工藤がピッチへ。すると、「工藤はよく前で基点を作ってやってくれた」と指揮官が言及するほど、ボールに関与して、チームに勢いを。触発されたかのように大津も躍動し始め、ようやくエンジンが稼働していきます。ここに立ちふさがったのが、元柏の山形GK清水。70分、ポポのFKからニアで北嶋がヘディング。直後、ポポのCKから近藤がこれまたヘディング。87分、工藤の落としを大津がシュート。93分、ポポの枠内に飛ばした直接FK。計4回訪れた柏の決定機をすべてファインセーブ。特に近藤のヘディングは「近付いて来てるのはわかった」ポストに激突しながらのセーブ。結果、今季8度目の日立台陥落。降格圏からポイントにして10離れた山形が、残留をほぼ確定させました。率直に言って、チームの完成度に相当差があったことは否めません。当初抱いていたプランからの変化にも柔軟に対応しながら、勝負所ではトレーニングの成果を発揮した山形。結果、残留争いのライバル4連戦で3勝1分け。「直接対決の際の所で勝っていることを大事にしたい。逞しいゲームをやってくれた」と小林監督。「もっと上を目指してやりたい」と古橋。早ければ次節、鹿島戦で目標達成が決まります。痛過ぎる敗戦を喫した柏。明日の大宮次第では、残り4試合4連勝が残留への最低条件。清水、川崎との対戦を残している今、本当に追い込まれました。救いは懸命に戦う舞台を整えてくれているサポーターでしょうか。彼らに応えるためにも、選手たちには気持ちの入った360分を見せる義務があります。 AD土屋
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J2第46節 湘南×鳥栖@平塚

4位湘南、87ポイント。5位鳥栖、80ポイント。共に現在こそ昇格圏外ながら、共にここまで昇格の可能性を残してきた両雄の3巡目。「非常に緊迫した大事な試合」(鳥栖・岸野靖之監督)は平塚です。序盤からまずリズムを掴んだのは湘南。田原豊が広範囲に動いてボールを引き出し、ターゲットとして抜群に機能。それによって周囲も彼を追い越す動きが目立ち、連動したいい形を創ります。そのパフォーマンスには反町康治監督も「前半から久々に我々としてはいいリズムで終始圧倒することができた」と称賛するほど。14分には村松大輔の糸を引くようなサイドチェンジを臼井幸平がダイレクトで中へ。走り込んだ坂本紘司のワントラップボレーは枠を外れますが、25分にも寺川能人のCKから大外にいたジャーンの惜しいヘディングが飛び出すなど、主導権を奪います。一方の鳥栖は、「外からのボールとセットプレーで全体の60%を占める。このストロングだけは絶対抑える」(反町監督)という湘南にハーフナーマイクが完全に潰される格好に。前で基点ができず、相手にポゼッションを取られる中で両SHの武岡優斗と島田裕介も守備に忙殺され、なかなかサイドからのクロスも上がりません。32分、ショートコーナーから島田のクロス、CBのルーキー渡邉将基が頭で合わせたボールはクロスバーの上をなめて枠外へ。頼みのセットプレーもゴールならず。難しい時間が続きます。それでも前半追加タイムには鳥栖に決定機。エリア内でジャーンとGK野澤洋輔がお見合い。池田圭が足を伸ばすと、ボールは野澤の足に当たり、こぼれを武岡がミドル。何とか野澤がキャッチしたものの、湘南からすればヒヤリとするシーンを最後に前半は終了しました。ハーフタイムの決断は岸野監督。池田に替えてトジン。ジョーカーを後半頭から投入し、「FWに入れたボールの次を狙っていくこと」と意識を徹底します。一見、179センチという上背、10ゴールという結果、そして後半からの出場という諸条件から印象が薄いかもしれませんが、トジンのキープ力は大きな武器。実際、「トジンにキチンと収まって、そこから押し上げる形ができたのはあった」(岸野監督)「トジンにボールが収まって、獲りに行くと外される」(反町監督)と両指揮官が言及したように、このブラジル人の存在が鳥栖に勢いをもたらします。さらに、ある程度攻撃の時間が増えたことで、島田の「あまり開かずに中で受ける」という狙いも実行しやすくなり、「島田さんにボールが入ったら上がるのは約束事になっている」SBの日高拓磨と島田で組む左サイドが全体のバランスの中でも顕著に活性化。これで少しずつハーフナーも空き出し、66分には武岡のクロスからヘディングを枠内へ。74分にはトジンのシュートに繋がるポストプレー。さらに1分後にはトジンのスルーパスを受けて、あわやのシーンを創出。緊張感がヒシヒシと伝わってくる展開に、両サポーターのボルテージも上がり続けます。76分に動いたのは反町監督。「上がってくる日高にぶつけるのはリスキー」とわかっていながら、切ったカードは帰ってきたアジエル。9月6日以来、8試合ぶりの登場に「チームの中の空気が変わった感じがした」という反町監督の言葉を待たずして、スタジアムの雰囲気も10番への期待で高揚していきます。すると、やはり“神の子”降臨。90分を30秒ほど回ったタイミングで寺川からボールをもらったアジエル。2対2の状況、左を走る田原へのパスは「めったにない右足」(田原)で。意外な選択は、ただし絶妙。そして「裏に行く手もあったけど一瞬で変えて」開いて受けた田原が振り抜いたのは、利き足と逆の左。わずかにDFが触れたボールは、わずかにGKのタイミングをずらしてゴールネットに到達。アジエルの“右”と田原の“左”が生み出したのは歓喜、いや、狂喜。「“田原は走らないし動けない”というのを覆すような、いいプルアウェイの動きだった」と 、監督が“らしい”表現で讃えたCFの決勝弾で、湘南が敗れた甲府をかわして、再び昇格圏内の3位に浮上しました。最後の最後で力尽きた鳥栖ですが、戦い方にブレなし。運動量は90分間落ちませんでした。「今日は負けたので大きなこと言えないけど、鳥栖はホントに強い。改めてそう思った」と岸野監督。数字上は昇格が厳しくなりましたが、次節も「とにかく甲府にベストなゲームをしてしっかり勝つ」(岸野監督)姿勢を見せてくれることでしょう。勝った湘南を見て、私は昨年のことを思い出していました。10月26日、第41節のNDスタ。まだ昇格の可能性を残していた山形とのゲームで、後半終了間際に失点を喫して敗戦。事実上、望みを断たれた一戦でした。あれから1年。この時期の、この勝ち方に何となく縁起のよさを感じてしまいます。「自分たちのサッカーをあと5試合できるかどうか続けるしかない」と反町監督。11年ぶりのJ1を目指す航海の行き着く先は如何に。 AD土屋
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J1第29節 山形×神戸@NDスタ

J1も残された試合数は6。31ポイントの山形、34ポイントの神戸。残留争いを強いられる両チームが「もう大事な試合しかない」(山形・西河翔吾)中で迎える直接対決。山形からすれば、現在得失点差は並んでいるために勝利すれば少なくとも15位脱出は確実。会場には山形市立楯山小学校の全校生徒約280人が、数時間の道程を徒歩で駆け付け、バックスタンドで元気に応援。第29節、双方サバイバルへの正念場はNDスタです。ゲームが始まると、序盤からボールが回ったのは山形。「立ち上がりから相手は来ていた」と神戸の宮本が語ったように、ホームチームがいきなりのラッシュ。4分には古橋、秋葉、宮崎と綺麗なダイレクトのパスワークから、シュートこそ打てなかったものの好機を創出。特に最初の15分前後はホームチームが攻撃のリズムを掴みます。対する神戸はドイスボランチを組む宮本とキム・ナミルのポジションが低く、サイドに散らしたり、パスを組み立てたりという部分は担えず。中盤左ワイドに入った頼みのボッティも「ボールが入らないように、SBが持ったらまずは縦を切って対応した」と語る、対面の宮崎と宮本のうまい対応でチームの停滞感に埋没。自然とロングボールが増えていく展開になってしまい、なかなか落ち着かせることができません。ただ、時間が経過する中でキープする時間の長い山形もなかなかシュートまでの形が作れず「お互いが膠着状態」(神戸・宮本)に。前半はスコアレス濃厚な雰囲気が漂い始めた中、40分にゲームは動きました。大久保の緩慢なプレーからボールを奪った山形は宮沢がエリア付近の長谷川に絶妙のパス。長谷川がシュートチャンスを逸してリターンすると、「顔を上げたら目が合った。“ここは出せ”みたいな雰囲気を出してくれた」と宮沢がダイレクトでクロスを送った先には古橋。「ミヤさんが上げるタイミングはわかっていた」とニアに潜り込み、頭でフィニッシュ。貴重な先制点を挙げた山形がリードして前半は終了しました。さて、なかなか反撃の糸口を見出だせなかった神戸。後半開始から「中盤でボールを収めて攻撃的に行きたい」(三浦俊也監督)と、キム・ナミルに替えて茂木をFWに投入。吉田を左SHに移して、ボッティをドイスボランチの1枚にシフトします。するとやはり「ボッティが中に入ったことでタメができた」(宮崎)神戸も反撃の雰囲気を漂わせ始め、59分には鋭いカウンターから決定機。茂木のシュートは枠を外れましたが強まる攻勢。さらに61分には吉田OUTで古賀IN、69分には宮本OUTで田中INと攻撃的な選手を送り込み、ゴールを奪いに掛かります。スコアの展開上、「守って守り切れる訳ではないが、守らざるを得ない所はあった」(小林伸二監督)山形も自陣でのファウルが増え、石櫃や古賀が蹴るFKの脅威にも晒されますが、守備の集中は途切れず。神戸も「ボールは持っているけど前に付けられない」(三浦監督)ために、なかなか流れの中からはシュートまで持ち込めません。それでも92分、神戸にラストチャンス。前線にボールを送ったこぼれを北本がミドルレンジから狙います。DFに当たったボールは方向を変えてゴールへ。時間が止まるスタジアム。直後、ボールはわずかに枠の右側に逸れ、同点ならず。「強く気持ちを持つと、自分たちにとっていい方向にボールがこぼれたりすることはある。そういう気持ちが運を自分たちの方に巻き込んだのかな」とラストプレーを振り返った小林監督。山形に凱歌。ホームでは22節以来2ヵ月ぶりの勝利。残留争いのライバルを直接叩き、34にまで到達した勝ち点が順位を13位にまで押し上げる結果になりました。神戸は「前半を0点で凌ぎ切れなかった」(神戸・宮本)ことが最大の敗因でしょう。「集中力を高めなくてはいけない所で自分たちのミスからの失点」(同)という点も痛恨。後半の反攻も及ばず、山形に順位で抜かれる格好になりました。勝った山形も「先取点を取れたのが大きい」と小林監督。共にある程度ブロックを形成するスタイルだっただけに、先にゴールを奪うことには大きな意味が。「自分たちのやりたいことを積極的にチャレンジして、粘り強い試合ができた」とキャプテンの宮沢。多くの専門家や識者から圧倒的な降格候補の烙印を押された彼らの、まさに痛快とも言うべきリベンジがいよいよ現実味を帯びてきました。 AD土屋
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J2第44節 湘南×徳島@平塚

台風接近。比喩ではなく現実として。愛媛でのゲームが中止になるなど西日本は暴風域に入りました。台風接近。現実ではなく比喩として。最近5試合で14ゴールと好調を維持する徳島が平塚上陸。勢力拡大か、はたまた勢力縮小かの解答は90分後。どちらにせよ4位湘南にとっては「負けられない試合ばかり。1つも落とせない」(湘南・中村祐也)状況での第44節です。いきなり2分で動いたゲーム。ジャーンからのクサビを田原豊がうまく収めて中村へ。ゴールまで30m弱。「風がなかったらあんなシュート入らない」と本人は言うものの、風上であることを差し引いても文句なしの軌道が左スミへ一直線。湘南がいきなりアドバンテージを手にします。直後の6分、坂本絋司のスルーパスから菊池大介がシュート。12分、坂本のFKは人垣をスルリと通過し、GK上野秀章が何とかセーブ。いきなりチャンスの連続。「湘南はボール際で全員集中していて、ルーズボールへの反応も非常によかった」と徳島・美濃部直彦監督も認めた通り、まずはボールへという意識が高いように見えたホームチームが圧倒的に押し込みます。特に中盤の3枚、田村雄三、寺川能人、坂本は「風の影響上、中盤で攻撃のポイントを作るのが難しい」(湘南・反町康治監督)中でも積極的なボールアプローチで主導権を奪取。「マッチアップする中盤の3人が負けると両サイドを取られてしまう」と美濃部監督も振り返ったように、同じ4-3-3を敷き、サイドを生かしたい思惑を持つ両チームでしたが、基本は「ロングボールを入れてこぼれを拾う形」(反町監督)の徳島は、3トップ頂点の羽地登志晃にまったくボールが入らず、前半の決定機はゼロ。最初の45分間は湘南が完全に支配する展開となりました。後半に入ると、先に攻勢へ出たのは徳島。48分、50分と「ここまで12点を取っている」(反町監督)と具体的な数字で湘南が警戒していたCKを獲得。53分にはぺ・スンジンのアーリークロスをファーで羽地が折り返すと、ボールはゴール前を通過してわずかに枠外へ。55分には徳重隆明の右クロスを羽地がヘッド。GKの正面を突いて同点とは行きませんが、チャンスの薫りは漂い始めます。その状況を受けて59分、反町監督が切った1枚目のカードは鈴木修人。先制ゴールの中村を下げて、中盤に投入。3トップ左には坂本を上げて、安定を図ります。すると守備バランスが再び整理され、徳島はトーンダウン。前線でも「前所属の京都のヤツらがビックリするくらい90分間走り切れている」と指揮官が独特の表現で称賛した田原が、ボールを追い、収め、まさに獅子奮迅の働き。さらに73分、坂本と阿部吉朗を入れ替え、前からのプレスを徹底します。結果、終盤は六車拓也の退場で10人になりながらも、4-2-1-2で守備時も前の3枚を残して「最後は力ずくで来た」(反町監督)徳島にチャンスを与えず零封。今季11度目のウノセロは、ようやく復調を感じさせるような意義深い勝ち点3奪取となったのではないでしょうか。好調だった徳島は注目のシャドー的なFW徳重と柿谷曜一郎がボールへ関与できずに埋没。羽地も含めて前での基点がまったく作れなかったことが、攻守両面に響いた印象です。「メンタルが少し足りなかった」と美濃部監督。ただ、3年連続最下位だった姿はすっかり過去のものへ。Aクラスとされる6位以内の可能性もまだ十分。魅力的なチームを美濃部監督は造り上げました。さて、勝った湘南は後半の立ち上がり15分前後を除けば、ほとんどの時間帯でゲームをコントロール下に。「後半の1本以外は徳島のストロングをしっかり抑えることができた」とは監督の弁。不可解な判定の警告による累積で再び田村を2試合欠きますが、鈴木の活躍は好材料。「明治は天皇杯に強いのでPKで勝ちたいと思う」と反町監督がとぼけてみせた10日のゲームを挟んで、残る決戦は7試合。J2、佳境です。 AD土屋
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J2第43節 東京V×甲府@国立

昨日のゲームで岡山を下した湘南が勝ち点81。試合前の時点で勝ち点79と暫定4位になった甲府にとって、昇格圏内キープのためには勝利が必要。今日の相手は、タレントで考えればJ2屈指の東京V。鳥栖×岐阜と並ぶ今節最注目カードは聖地・国立です。「大黒君がいたらスペースを消しておきたいので4枚でやろうと」と考えていた安間貴義監督。大黒将志はベンチ外で、甲府のスタートシステムは3-1-4-2になります。スコアが動いたのは開始早々の6分、右サイド杉山新のクロスに顔を出したのは中盤4枚のアウトサイドではなく、ツーセンターの一角に入った大西容平。「多少コースが弱くてもしっかり当てて」とうまくミートしたファインゴール。「サイドを基点にした描いた通りのゴール」(安間監督)と配置の起用もズバリ。甲府が早くもリードを奪います。しかし、この早過ぎる1点が試合を硬直させる格好に。「10分、20分位から足も止まってプレスも掛けられない」(大西)甲府。安間監督も「前に出る力が足りなくて迫力に欠けた」と前半を総括。いい意味でも悪い意味でも慎重なプレーに終始します。ただ、東京Vも前半のシュート6本は、ミドルとCKから。「ペナルティエリアまで運ぶことはできるが、最後の所は非常に苦しんだ」と高木琢也監督。先制点以降は、ほとんど見せ場のない、静かな展開で前半を折り返しました。迎えた後半も、双方にイージーなミスが目立つ粗いゲームが続きます。59分、安間監督は2トップに入っていた美尾敦を下げて、吉田豊を投入。マラニョンを頂点にして、その下に右から大西、藤田健、石原克哉を並べる3-3-3-1にシフト。これによって「だいぶ修正できた」(大西)守備面は安定。「スタートポジションを取るのが速くなって切り替えも速くなった」と安間監督も評価。しっかりブロックを形成して、攻撃はカウンターかロングボールと、割り切った戦い方をより推し進めます。それに対し、ハッキリ言ってまったくチャンスを創れない東京Vは、61分に富所悠、68分に船越優蔵をアタッカーとして投入しますが、人を変えても流れは変わらず。「危ない場面は全然なかった」(大西)「付け入る隙は与えなかったんじゃないか」(安間監督)とのコメントもやむなし。右SB富澤清太郎のシュート2本が後半のチーム総シュート数では、厳しいものがあります。とはいえ、甲府も何回か掴んだチャンスを決め切れず、ネットが揺れたのは先制点の1回のみ。0-1、端的に言えば甲府が必要最小限の結果をアウェイから持ち帰った、というような90分間だったのではないでしょうか。甲府は再び3位奪還。これで長かったJ2も残された試合数は8にまで減ってきました。 AD土屋
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J1第28節 川崎×横浜FM@等々力

ACL敗退から中3日。公式戦3連敗という「これ以上ないくらい状況が悪い」(川崎・中村憲剛)川崎と対峙するのは、ナビスコ準決勝でその川崎の後塵を拝した横浜FM。今季4度目の対戦となる、J1唯一の神奈川ダービーは13時3分、19951人もの観衆を集めた等々力でキックオフされました。ゲームは開始5分にいきなり決定機。狩野の縦パスに川崎DFは誰一人反応できず、坂田がまったくのフリーで抜け出します。ここはGK川島の位置取りが素晴らしく、坂田は何とかかわして右へ持ち出すも角度がなくなり、シュートはサイドネットへ外れましたが、これが横浜攻勢の狼煙。15分過ぎくらいまではお互いプレスも緩く、前へ前への速い展開が続いたものの、徐々に「相手の両サイドが高い位置に出てくるので、その裏側を突ければ」(横浜FM・木村浩吉監督)と、2トップ+2枚の中盤がサイド深くに侵入するシーンが頻繁に。特に坂田はうまくボールを引き出し、いい形に絡んでいきます。それに付随する形で、田中と小宮山の両SBも上がる機会が増え、サイドは横浜が主導権を確保。川崎の関塚隆監督も「ボランチと中盤ワイドの間をうまく突かれて、修正に時間がかかった」と認めています。ただ、攻められながらも「最後の所はしっかりやれていたので焦りはなかった」と谷口。確かに5分以降、決定的なピンチは皆無。逆に29分にはその谷口がポスト直撃のシュートを放つなど、一発の怖さをチラつかせます。39分には横浜が反撃。田中が突如として開始したドリブルで3人を置き去り、ラストパスを送りますが、渡邉のシュートは川島がファインセーブ。攻勢は横浜ながら、スコアは動かず。0-0でハーフタイムに入りました。後半はいきなり決定機3連発。47分、坂田の粘りで奪ったボール、田中の折り返しを狩野が1人かわして狙うもバーの上へ。48分、チョン・テセの落としをレナチーニョが叩くと、ボールはポストに一瞬で2度嫌われる不運。50分、クイックスタートからジュニーニョがGKと1対1を迎えるも、シュートはゴール右へ。どちらも先制点を奪えません。ここからは26.3度の気温もあってか、「間延びしている中の攻め合い」(木村監督)が続きますが、お互いにフィニッシュ前のプレー精度が低く、雑な印象。どちらがゴールを挙げてもおかしくないような、でも、どちらもゴールが遠いような、そんな雰囲気でゲームが経過していきます。この重苦しい展開を打破したのは、最近3試合おきにゴールを記録していた谷口。74分、CKからの流れでボールカットした森が左サイドから右足のクロス。「速いボールだったので当てるだけだな」(谷口)と頭で変えた軌道はゴール右スミに。横浜からすると「投入しようとしていた交替選手に指示を与えている間に取られた」(木村監督)悔しい失点。中村も「いい所で決めてくれた」と振り返る谷口のリーグ2戦連発弾で、ようやく川崎がリードを奪いました。木村監督も失点直後に長谷川、坂田から兵藤、山瀬へと2枚替え。さらに松田に替えて齋藤学を送り込み、河合のワンボランチで同点、逆転を狙いに行きます。しかし次のスコアも川崎。83分、伊藤の素晴らしいインターセプトから中村がジュニーニョへ。ジュニーニョが溜めてラストパスを送った先はレナチーニョ。冷静な一振りがネットを揺らして2-0、勝負あり。試合終了の瞬間、「戦術とかそういうことじゃなくて意地、気力で勝とうとした」中村と森はピッチ上、大の字に倒れて動けず。関塚監督も「川崎魂。一丸となって、気持ちが勝利に向いた」と言及。まさに気力、気持ちを全面に押し出した川崎が苦しい一戦を制して、連敗ストップに成功しました。横浜は「決定力の差が出てしまったかなあ」と木村監督。たらればですが、前半に迎えた決定機のどちらかでも入っていたら、大差で押し切っていた可能性も十分。流動的な前線や、時には最終ラインにまで帰るボランチ松田などに川崎も苦慮していただけに、悔しい敗戦となりました。川崎は、決して好パフォーマンスとは言い難いゲームでしたが、それゆえに価値ある勝ち点3奪取。「今日の気持ちを持って一戦一戦大事に戦っていきたい」と関塚監督。残された3タイトル奪取への挑戦が、今日からまた始まりました。 AD土屋
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J1第28節 柏×磐田@日立台

J1復帰から3シーズン目にして最も厳しいシーズンを戦っている16位の柏。ここ7試合は負けなしという響きこそよく聞こえるものの、実際その間に積み重ねられた勝ち点は11。なかなか降格圏を脱出できません。こんな状況下でもスタイルを貫き通すサポーターに報いるためにも、是が非でも勝ち点3が欲しい所。キックオフ直前に突如として現れた“太陽”は好転の兆しか。12位磐田を迎えたゲームは日立台です。「両チーム拮抗したバランス」(柏・ネルシーニョ監督)の立ち上がり、球際での優勢は柏。前節ベンチも外れたフランサが献身的なプレスを敢行。チームも呼応して、気持ちの入ったプレーを見せます。しかし先制はあっさりと。13分、駒野のシンプルなフィードを右サイドに流れたイ・グノがゴールラインギリギリでクロス。中央の人垣を抜けたボールは大外フリーの前田へ。得点ランクトップのストライカーが、格好の獲物を逃すはずもなく、確実に右スミへフィニッシュ。磐田が早くも先制しました。ここからはアドバンテージを得たアウェイチームが圧倒。「ラインが引いてしまって、好きにされてチャンスを創られた」とはネルシーニョ監督ですが、その要因は前田、イ・グノの日韓代表2トップ。「前半からだいぶ縦パスが入っていた」(磐田・成岡翔)のは、この2人がほぼノーミスでポストプレーをこなしていたから。距離感も抜群で、31分にはイ・グノが前田との完璧なワンツーから抜け出してシュート。菅野のファインセーブに阻まれましたが、2人だけでも好機を創出できることを証明。この2トップへ入れるボールを起動装置に、シンプルなアタックを展開。攻勢の時間が長くなっていきます。対する柏は1トップのフランサと、1トップ下ポポの連携がスムーズに行かず苦慮。頼みの両ワイド、大津と菅沼も「1回目の対戦の方がもっとイヤらしい動きをされた。撹乱されるような動きが少なかった」と敵将の柳下正明監督が指摘した通りのパフォーマンス。苦しい展開が続きます。それでも41分には劣勢のホームチームに同点弾。ポポのCKをニアで近藤が繋ぐと、ファーにはフランサ。絶対神、意地の一蹴り。弾ける日立台。1-1、勝負は後半へ。ハーフタイムを挟むと、ゲームはより一層拮抗。お互いいくつかのチャンスは掴みますが、スコアは変わりません。先に動いたのは磐田。72分、2トップ以外ではほぼ唯一攻撃の自由を与えられていた西に替えて成岡。「縦に速く、カウンターばかりになりそうな雰囲気だったので落ち着かせようと」とは柳下監督です。柏は75分、精彩を欠いた大津を下げて田中。「大津は後半調子を落としてしまった。田中は左利きなので左からの攻撃を活性化させようと」とはネルシーニョ監督。お互い打った勝負の一手に、結果が奏功したのは前者。82分、イ・グノの落としから村井が左クロスを上げると、前田は「いいタイミングで来てくれた」と成岡に頭でラストパス。「ペナルティエリアの周辺に顔を出す、彼の一番いい特徴が出た」と柳下監督も称賛した10番のファインゴール。1-2、あまりに大きい終盤の1点。追い込まれた柏は、北嶋投入も有効な手立てにはなり得ず、追加タイムの4分でもシュートすら遠く。勝者は磐田。柏の7戦負けなしは、3戦勝ちなしへと姿を変える結果となりました。勝ち点38、残留へ向けて大きな上積みを得た磐田は、やはり2トップでしょう。ともすれば攻撃は彼ら頼みとも言えますが、裏を返せば彼らで何とかできてしまうということ。「自分たちのペースで試合が運べた」と柳下監督。個の脅威を存分に生かした勝利だったのではないでしょうか。負けた柏は、やや交替策で後手に回った感も。田中投入以降、「よく動けていてまとまっていたので、交替選手を入れる判断はなかった」とはネルシーニョ監督ですが、その時の経過は同点。結果論とはいえ、北嶋投入はリードを許した残り5分。現状の勝ち点と順位を考えれば、勝ちに行く姿勢を感じる采配があってもよかった気はします。果たして“太陽”は昇るか沈むか。残るはいよいよ6試合です。 AD土屋
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J2第42節 草津×水戸@正田スタ

北関東の覇権を争うダービーマッチも、とうとう最終の3巡目。とは言え、既にダービー勝ち点2の草津に優勝はなく、勝ち点10の水戸は引き分け以上で優勝決定。J2自体の順位でも12位と6位と差を付けられているだけに、草津が意地を見せられるかが焦点となる一戦です。ゲームは立ち上がりから高崎寛之へのロングボールを徹底する水戸と、中盤でショートパスを多用しての崩しを狙う草津と、お互いの色は鮮明に。そんな中、少しずつ見えてきたのは草津ドイスボランチの構成力とセカンドへの反応も含むボールアプローチの速さ。「球際では絶対負けないように入った」という松下裕樹と「守備からしっかり入れている」という櫻田和樹が、まず守備面で奮迅。攻撃面でも水戸の木山隆之監督が「オフェンシブなプレーは草津のボランチの方が上」と語ったように、「松下とのパス交換も多くて幅を使えた」と櫻田も振り返るほど、2人を始点に左右両サイドから積極的な仕掛けが見られるようになっていきます。対する水戸は「プレーも淡泊で連動性も少ない」(木山監督)状態のままに時間が経過。時折、遠藤敬佑と菊岡拓朗の両SHが個のアイデアを垣間見せますが、フィニッシュまでは遠く。決定的なシーンこそほとんど訪れなかったとはいえ、ゲームの大半を支配した草津攻勢で45分間は終了しました。するとやはり先制はホームチーム。54分、中盤でボールを奪うとエリアまで侵入して松下がシュート。DFに当たったボールは小林竜樹の前へ。1度目のシュートは「GKに弾かれてヤベーと思った」(小林)ものの、リバウンドはしっかりとプッシュ。流れそのままにホームチームがリードを奪います。さらに60分にも正田醤油は再沸騰。スタメンに入ったルーキー佐藤穣のスルーパスに反応して、左サイドを抜け出したのは「ああいう裏に入っていくのが自分の課題」と認識していた櫻田。中への折り返しに廣山望がシュートを放つとDFがブロック。こぼれた所にはまたも34番が。「湘南で出場機会がなくて悔しい気持ちはあった」(小林)男が、「サッカー人生で初めて」(同)の3戦連発弾。佐野達監督も「巡ってきたチャンスで結果を出すのがプロ」と称賛した162センチのFWが2ゴールを叩き込み、草津が断然優位に立ちます。さらに今日の草津で忘れてはいけないのが、「今日の昼のミーティングでスタメンを聞いて」この試合がJリーグデビュー戦となったCBの有薗真吾。今シーズン途中でU-23から昇格。ついこの間まで「温泉施設で働いていた」(有薗)23歳は、J2屈指のFW高崎相手にも互角以上のパフォーマンス。176センチと上背はないものの、指揮官が「危険察知能力が非常に高い」と評価した部分を、適切なカバーリングで証明。立ち上がりにバタつきかけた草津DF陣に落ち着きをもたらせたのは、彼だったと思います。焦る水戸は74分に中村英之がラインの裏に抜け出した後藤涼を引き倒し、残り15分あまりは数的不利まで享受。86分に草津のCB藤井大輔も2枚目のイエローカードで退場しますが、大勢に影響なく「自分たちの勢いとか流れを創り出せない」(木山監督)ままに90分+5分を消費。ようやくシーズンも終盤に差し掛かり、「自分たちがやらなきゃいけないことがハッキリわかってきた」(櫻田)草津が、実に第3節以来のホーム連勝、そしてリーグ3連勝を飾り、水戸の北関東ダービー制覇にも待ったをかける結果を手にしました。 AD土屋
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J1第27節 千葉×山形@フクアリ

17位の千葉にとって、ゴール裏の横断幕に掲げられた“一部死守”を果たすために最低でも勝ち点で上回らなければいけない対象が15位の山形。両者の勝ち点差4が、1に詰まるか、7に拡がるか。共に「どうしても勝たなくてはいけない試合」(千葉・江尻篤彦監督)はフクアリです。序盤はお互いに主導権の探り合い。双方ペースを掴む所まではいかない中で、ボールによく触ったのは千葉の1トップ下に入ったミシェウ。山形の小林伸二監督も「ミシェウの受け渡しができれば、もう少しラインを上げられた」と言及したように、中央にこだわらず幅広い動きでボールを呼び込み、いくつかのチャンスを演出します。ただ、チーム全体として細かいミスがあまりにも多かった事と、1トップに入った巻も全くと言っていい程基点になれなかった事で、決定的なシーンまでは創れません。一方、山形で目を引いたのは左SHの宮沢。「あまりエネルギーを考えずにガンガン行く」という決意をプレーに反映。左サイドを制圧し、7分、17分と惜しいクロスを供給します。すると、そのキャプテンが大仕事。26分、やや中に絞ってボールを受けた宮沢は「トレーニングの結果。長谷川のプルアウェイが見えたのでコースさえうまく行けば」というピンポイントのスルーパス。受けた長谷川も流れるような動きから豪快にフィニッシュ。貴重な先制点は山形が奪いました。ビハインドを負う形になった千葉は、失点以降こそ前に行こうとする意識は感じさせるものの、「シンプルにボールと人を動かすことができていない」(江尻監督)状況で、エリアに近付いても思い切ったシュートチャレンジに乏しく、手詰まりに。44分に訪れたチャンスもミシェウのオーバーヘッドはバーの上へ。前半は内容に見合った格好で山形がリードして折り返しました。後半に入っても基本構図は変わらず。ほとんどフィフティフィフティながら、「積極的に行かなければいけない展開」(江尻監督)で攻め急ぐ千葉に、ある程度余裕を持って対処する山形。なかなか均衡は揺らぎません。江尻監督決断。64分、谷澤を下げてネット・バイアーノを投入。68分、坂本に替えて和田を送り込み、3-4-3へのシフトで勝負を懸けます。すると、やはり高さと強さを発揮するネット・バイアーノの存在と前線に人数を掛けてきた圧力で「ネットが出てきて、受けて引いてしまった」と小林監督。71分、深井のCKをネット・バイアーノが折り返し、巻が頭で繋ぐと飛び込んだのはミシェウ。1-1、スコアは振り出しに戻りました。しかし、ここで際立ったのは山形の底力。「中盤をなくして前に掛かって打ち合いになるとどうなるかわからないので、1回サイドに拡げて厚みのある攻撃をしようと」(小林監督)いう指揮官のプランを2分後に実践。73分、右サイドでボールを受けた秋葉が綺麗なスルーパス、宮崎は切り込んで冷静に折り返し、古橋のシュートはGKに阻まれますが、「来た〜!と思って積極的にボールへ向かった」北村がプッシュ。「サイドに拡がってスルーパスという形が取れた」(小林監督)狙い通りの成果。再び山形が勝ち越しました。さらに冴える小林采配。77分、「千葉が変則的な3トップになったので、DFラインは崩さずに攻撃のセンスとクロスに期待して」(小林監督)石川を左SHとして投入。ピッチに入るや否や、凄まじい精度のアーリークロスで長谷川の決定機を生み出した石川は、82分にも宮崎へピタリの絶妙な折り返し。前掛かる相手をボールキープとクロス精度で牽制する役割を十二分にこなします。追い込まれた千葉は86分に新居を入れて、FWタイプを4枚並べる力技で最後の抵抗を試みましたが、復帰戦となった西河とレオナルドを中心に山形の集中は途切れず、淡々と押し寄せる波を跳ね返します。追加タイムの4分もスコアは変わることなく経過。歓喜の声が響いたのはアウェイゴール裏。山形が残留争いの大一番を見事に制しました。これで15位と7ポイントの差が付いてしまった千葉は、「勝たなくてはいけないという焦りが出てしまった」と江尻監督。終盤のパワープレー不発はやむを得ない部分もあるにせよ、あれだけ単純なミスが多くては厳しい所。チーム屈指のプレーメーカー工藤もボランチの位置で流れに埋没してしまい、最後まで狙いを感じる攻撃を繰り出せなかった印象です。勝った山形は、失点直前と失点シーン以外ではチームとしてやるべき事が非常によく整理されていました。「ゲームには自分たちの積み重ねたモノが出る」と宮沢。積み重ねたモノが残留という目標に届く位置まで来ているのか来ていないのか。J1も残るはあと7試合です。 AD土屋
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J2第41節 甲府×仙台@小瀬

4位甲府、75ポイント。2位仙台、79ポイント。日曜に続く、2009年のJ2を彩り続けたメインキャスト直接対決も今日が3巡目。3月25日、第4節@宮城は森田浩史の1発で甲府が勝利。7月26日、第30節@小瀬も90分に國吉貴博の劇的な決勝弾が飛び出し甲府に凱歌。甲府の連勝で迎えた最後の対戦は、今シーズン小瀬最多の15076人が集結。素晴らしい雰囲気の中でゲームの幕が上がりました。不動の右SB杉山新を出場停止で欠く中、甲府・安間貴義監督の選択は3-1-4-2。「Honda時代に名古屋や磐田や清水に対抗しようと使っていた。ウチの特徴を出すにはこのやり方」(安間監督)と、林をアンカーに、吉田豊と大西容平をワイドに配置し、中央に藤田健と石原克哉。かなり開いた2トップがマラニョンとキム・シンヨンという「初めてのフォーメーション」(秋本)でスタートすることになります。「まず守備を堅くして隙を突く」(手倉森監督)「中盤両ワイドにはまず低く行けと言った」(安間監督)と慎重さを保ちながらも、3分にはキムが、12分にはマルセロ・ソアレスが枠内に強烈なシュートを打ち込み、序盤から好ゲームを予感させます。共に主導権を探り合う中で、徐々にペースを引き寄せたのは甲府。2トップのポジショニング上、「飛び出しが求められる」と話した石原と藤田、また後方に構える林のボールタッチが多く、中盤を支配。少しずつサイドも使えるようになり、攻める時間が長くなります。対する仙台は「ボールを奪ってからの攻撃に課題が出た」とCBの渡辺広大。頼みのリャン・ヨンギにボールが入らず、全体的にも細かいミスを連発。アタックのギアが上がりません。前半終了間際、石原のCKをキムが合わせたヘディングはわずかにバーの上へ。ボールの散らし所とサイドがうまくマッチした甲府のリズムで45分は終了しました。後半もまずは大西が見せ場を創出。開始早々の46分、左からの約25mFKを左スミへ絶妙にコントロール。仙台GK林卓人が片手で何とか弾き出したものの、ホームゴール裏を沸かせます。しかし、そこからは「甲府のパワーもそこまで長くは続かないだろう」(手倉森監督)と見ていた仙台がようやく反撃。リャンのボールタッチが増え、59分には切り札・中原貴之登場。展開はほとんど互角になっていきます。61分、石原のミドルは林がファインセーブ。64分、マルセロ・ソアレスのクロスに反応した中原のシュートはクロスバー直撃。65分、リャンの約30mFKはわずかにバーの上。続くスリリングに高まる期待。すると、沈黙を破ったのはアウェイ仙台。76分、甲府のFKからカウンター、リャンのパスを受けたマルセロ・ソアレスはあまりに巧みなループ。時間は止まり、そして揺れるネット。「蹴る前に決めていた」というゴラッソ。歓喜は黄色。先制点は仙台が奪いました。それでも、すぐに訪れたのは青の咆哮。80分、左サイドからクロスを上げたのは石原。「FWだったらそこは入って行くだろうと、意志を込めた強いボール」を中へ送ると、意志を感じ取った藤田はスルーし、走り込んだのはキム。「相手のトラップを狙って寄せが遅れた」(渡辺)マーカーに対して、「ボールが来たらノンストップ」と決めていた18番の豪快なダイレクトボレーは左スミに。両者譲りません。そして迎えた最後のチャンスは88分、仙台に。甲府のミスから関口訓充が完全にフリーで抜け出し、エリアに侵入。シュート直前、ダニエル渾身のタックルはボールに到達。小瀬に来ていた中山淳さんも絶賛した大ファインプレー。1-1、まさに「意地と意地のぶつかり合いの引き分け」(手倉森監督)。両サポーターが共に選手を拍手で迎えた好バウトは、お互いに勝ち点1を積み重ねる結果となりました。仙台からすれば「最低限勝ち点を詰められなかったのはよかった」(手倉森監督)というのが本音でしょうか。「アウェイで手堅くやるのはコンセプト」とは渡辺。1点こそ奪われましたが、やはりリーグ最小失点を誇る守備ブロックは強固。ここに来てのマルセロ・ソアレス再覚醒も好材料。4強の中でも安定感は一番かもしれませんね。甲府は「先行されていつもは下を向く所を、前を向いてトライしてくれた」と安間監督。厳しい時間帯の失点にも諦めない姿勢を見せ、実らせました。「1戦1戦勝っていくしかない」(秋本)「プレッシャーを掛けていかなくてはいけない」(石原)と明確な意志も。指揮官の「イチかバチかではなく自分がずっとやってきた」というシステムへの適応が図れたことも小さくない収穫でしょう。とうとうJ2も残されたのはわずかに10試合のみです。 AD土屋
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J2第40節 C大阪×湘南@長居

1位C大阪、78ポイント。3位湘南、75ポイント。2009年のJ2を振り返った時に、必ずや主役として語り継がれるであろう2チームの直接対決も今日でラストの3巡目。5月2日、第12節@平塚は湘南が中村祐也の1点を守り切って辛勝。7月12日、第27節@長居は激しい打ち合いの末に3対4で湘南の逆転勝利。ここまでは湘南の2戦2勝。最終決戦は長居スタジアムに18874人の観客を集めてキックオフを迎えました。序盤から仕掛けたのはホームチーム。4-3-2-1が基本布陣になりつつある中で、「マルチネス離脱で逆に中盤での守備意識が強くなった」と敵将の反町康治監督も認めるトレスボランチの後ろ盾を受けて、酒本憲幸、石神直哉の両SBがかなり高い位置をキープ。両サイドもうまく使って、20分過ぎまでは一方的に攻め続けます。対する湘南は「前半はこっちの方が腰が引けてて、中学生とプロチームのよう」と反町監督。寺川能人も「前に運べないし、凡ミスが多くてリズムが掴めなかった」と振り返ったように、とにかくボールを収める所がほとんど見つからず、押し込まれて、ボールを奪ってもクリアするのが精一杯という時間が続きます。ただ、「全体的に押されるのは承知の上」(反町監督)。実際に20分過ぎからは、相手の攻撃に晒されながらも守備のリズムはある程度構築されていた印象で、危険なシーンは30分に船山祐二がミドルを枠に飛ばし、そのCKをニアでカイオが合わせた一連と、37分に石神のクロスを酒本がフリーで外した、この3回くらい。「カウンターには人数が揃っていればそんなにやられないし、我慢強くやれればと思っていた」と坂本紘司。シュート数は8対0、見ている印象はおそらくそれ以上のワンサイドだったはずですが、実際のスコアは0対0。ある意味、実に“サッカー”らしい、展開とスコアの因果関係で前半は終了しました。ハーフタイムを挟むと、湘南も47分に中村がチーム初シュート。51分にも阿部吉朗が相手と競り合いながらミドル。「後半からスイッチが入ることも多い」と坂本がいうようなアグレッシブさがようやく出てきます。しかしゲームの流れを決定付けたジャッジは56分。湘南のアンカー田村雄三に、この日2枚目のイエローカードを岡田正義主審が提示。再びC大阪に天秤の針は大きく揺れ動くことになりました。そして61分、酒本から横パスを受けた船山は「打とうと思ったが真司が空いたんで」パスを選択、その空いた香川真司がダイレクトで返すと、「ファーが凄い空いてた」と冷静に左スミへ。移籍後5試合目での初ゴールは貴重な先制弾になりました。さらに、3回の決定機を得て迎えた69分、船山のCKをファーで乾が繋いでカイオがヘディング、野澤洋輔も素晴らしい反応で弾き出しましたが、トレスボランチの中央で存在感を発揮していた藤本康太がプッシュ。こちらも今シーズン初ゴール。2対0、状況を考えてもあまりに大き過ぎる差が付きました。湘南のプライドも88分に。左サイドの間接FK、寺川のボールをジャーンが頭で一刺し。長居の一角で声を枯らしたサポーターをもう1度叫ばせます。それでも、意地の反撃はここまで。「同じチームに3回負けることは許されない」(香川)という首位の矜持。C大阪が大一番を制しました。湘南はやはり大きかった田村退場。相手も焦れ始め、攻撃のリズムもできかけていた矢先のアクシデント。正直、厳しい判定だった気もしますが、結果的に「難しい展開になったのは間違いない」(反町監督)「あの時点でウチの勝ちは見えた」(香川)と、勝敗を左右するキーファクターになってしまいました。大きな勝ち点3を手に入れたC大阪は「球際の気持ちで勝った試合」(C大阪・羽田憲司)「選手たちの本当に気持ちのこもったパフォーマンスに感謝したい」(クルピ監督)と、奇しくもキャプテンと指揮官が声を揃えたように、気持ち、気迫でも湘南を上回っていたように見えました。勝利に貢献した船山は「最終目標はここじゃない」とキッパリ。4位との差も6に拡大。4年ぶりのJ1へ。残るは11試合です。 AD土屋
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J1第26節 川崎×浦和@等々力

中断という形で水をさされたとはいえ、王者鹿島を凌駕する力を日本中に見せ付けた川崎。一方、前節山形に快勝してようやく泥沼の連敗地獄を脱出した浦和。常に好勝負となる両チームの対戦は等々力です。川崎を「Jリーグで最も優れた最も強力なチーム」としきりに評したのはフォルカー・フィンケ監督。そんな相手に対して浦和が選択したのは、まず守備ありきの布陣。CBの前には阿部がしっかりと鎮座し、バイタルの門番に。SBも攻撃参加は抑えめで、片方のサイドが上がれば片方のサイドは必ずステイ。数字で表すならば4-2-3-1というよりは、4-1-4-1に近い形で、鈴木も前に食い付いていくケースが多いという、かなり川崎を意識した戦い方を採ってきました。そして、それをモロに受けてしまう格好になったホームチーム。「もう1つボールを奪ってから押し上げが遅かった」と関塚隆監督も振り返ったように、枚数をかけて埋められた敵陣へと切り込む手段に乏しく、得意のショートカウンターも「スピードに乗る前に止められた」(川崎・川島永嗣)場面が多くチャンスには至らず。うまく阿部を引き剥がすことができません。3人の外国籍アタッカーが放った4本のシュートはすべて枠内も山岸がストップ。4-3-3から4-4-2へのシフトなど、いくつかの施策も試みるものの「高い集中力を保っていた」(フィンケ監督)浦和の堅陣を破れないままに45分を消費。ストレスの溜まる前半になりました。守備に重点を置いた浦和も、サイドでの攻防に関しては決して後手に回っていた訳ではありません。特に右サイドに入った今シーズン初スタメンの梅崎は、「自分らしいプレーがある程度できた」と自ら手応えを感じる切れ味を披露。30分にはカウンターから川島にファインセーブを強いるようなシュートも。浦和にとっては限りなくプラン通りに近い前半だったのではないでしょうか。後半に入って、先に動いたのは関塚監督。52分になかなか高い技術の生かし所を見出だせなかった養父に替えて田坂を投入。すると56分、田坂のパスからSBの村上がエリア内へ侵入。シュートは闘利王に体でブロックされましたが、早くも連携からチャンス創出。このあたりからやや圧力がジワジワ効き出したのか、ようやく川崎に連動性が出てきます。が、こういう展開でセオリーとしてよく挙げられる得点パターンはミス絡みかセットプレー。今日は後者。67分、ポンテの柔らかいFKはエリア内の人垣をスルリと掻い潜ると、右ポスト内側を叩いてゴールの中へ。比較的フリーで持つシーンが多い中でも、決定的な仕事をできずにいた10番の執念か。先制点は浦和に記録されました。川崎としては、CBの薗田が両足をつって交替を用意していたタイミングでの悪夢。薗田自身も「自分のポジションで交替選手を使うのは非常にもったいない」と語るなど、悔しい失点になりました。77分、原口に替えて堀之内を送り込み、トレスボランチで一層守備を固めた浦和。3分後、追加点を掴みます。カウンターから鈴木が右へ。山田暢のクロスをエジミウソンが丁寧に落とすと、走り込んだのは再び鈴木。思い切り蹴られたボールは一目散にネットへ。「相手の攻撃を考えれば1本のミスも許されない状況」で耐え続けたキャプテンの今シーズン初ゴール。指揮官も「多くの選手が絡んだゴールという所に価値がある。このようなシーンをもっともっと見たい」と称賛した貴重な2点目。その後の10+4分も潰し切った浦和が、11試合ぶりの完封という勲章を胸に勝ち点3を奪い取りました。鹿島敗戦の報を受けてゲームに臨んだ川崎はまさに「ウチもお付き合いしてしまった」(関塚監督)結果に。「一進一退の我慢比べ」(同)に屈し、勝ち点は詰められず。バイタルを潰された時のバリエーションという課題が残りました。勝った浦和は一言で強かったですよ。守備の安定感は抜群。前述の梅崎が推進力になったサイドアタックにも冴えがあり、ほぼパーフェクトなゲームでした。田中達也、山田直輝も帰還と戦力も充実。厄介なチーム復活の予感です。 AD土屋
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J1第25節 千葉×新潟@フクアリ

偶然の一致か、共に8試合白星から見放されている中で迎えた千葉と新潟の一戦。「1つキッカケが掴めれば」(千葉・江尻篤彦監督)というのがおそらく両チームの偽らざる想い。浮上を懸けてのゲームはフクアリから。新潟はやはり予想された4-4-2でのスタート。ペドロ・ジュニオール移籍を受けて、鈴木淳監督は矢野と大島の2トップ、千葉和彦と本間がドイスボランチを組み、右にマルシオ・リシャルデス、左に松下という布陣を選択します。対する千葉も4-4-2を敷く中、指揮官が考えた「サイドからバイタルを使える組み合わせ」の2トップはネット・バイアーノと谷澤。巻はベンチスタートとなりました。さて、ゲームは「お互いに奪って攻めてミスしてと落ち着きのない試合」(鈴木監督)「肝心な所でミス絡みでリズムが掴めない」(江尻監督)と両監督が口を揃えた通りの低調な立ち上がり。ボールカットからドリブルで持ち上がった選手が、出す所を見つけられずにもたついて、再びロストというシーンが散見。共にまったくと言っていい程に攻撃の基点ができず、エリア内でのシュートまで持ち込めません。これに関して理由を聞かれた鈴木監督は「下手だってことですね(笑)千葉の速いプレッシャーに対して、繋ぐ技術がない」と非常にストレートなコメント。江尻監督も同様の質問に「正直クオリティ」とバッサリ。そんな緩い展開が続くと、数少ないゴールの可能性はやはりセットプレー。20分、新潟のFK、キッカーは松下。ゴールに向かう柔らかいキックを「ボールしか見てなかった」矢野がうまく頭ですらしてネットへ。アウェイチームが先手を取りました。直後の24分に相手のミスを突いて深井が惜しいチャンスを創った千葉は、30分以降攻め込む時間が長くなります。34分には中後のスルーパスをバイアーノが千代反田と競り合いながら、GKに抑えられたもののフィニッシュまで。44+1分には谷澤のスルーパス、新潟DFが必死に足を伸ばして止めたこぼれに米倉。しかしシュートは枠の左へ。新潟リードで45分は経過しました。後半も千葉の攻勢は継続。60分には「ロングボールではなく相手の背後を突くように」(江尻監督)要求され、今一つ精彩を欠いたバイアーノに替えてミシェウ、66分には米倉を下げて巻を投入。2点を奪いに出ました。それでも決定機は新潟に。「サイドで基点が作れなかったので、矢野とマルシオのポジションを替えた」(鈴木監督)直後の63分、後方からのフィードに大島が抜け出しGKと1対1に。大島はループを選択すると、飛び出した櫛野がセーブ。松下、千葉と立て続けのシュートはDFがブロックします。64分、松下の左クロスに千葉が飛び込むもわずかに届かず。追加点は奪えませんが反撃態勢は垣間見せます。中でも、この両シーンに絡んでいた千葉は「前線のターゲットが3枚から2枚に変わったので孤立させないように」と積極的に前へ。守備のタスクは勿論、今日は攻撃面での奮闘も光りました。攻めながら1点が重い千葉。82分、谷澤のスルーパス、なぜか中央ポッカリ空いたスペースに潜った深井は力んで弱いシュートに。90分、CKの流れから谷澤のボレーはクロスバー遥か上へ。93分、深井の右クロス、巻のヘディングはタイミングを狂わされながら北野がしっかりセーブ。9試合ぶりの凱歌に沸いたのはオレンジ。新潟が僅差で千葉を退けました。ペドロ離脱後最初のゲームでトンネルを抜けた新潟。「守備面では非常にバランス良かったが、攻撃力は鳴りを潜めた」と久々の4-4-2を評した鈴木監督は「色々オプションが増えたので良かった」とも言及。「チームとして2つの布陣を使い分けていければ」とは殊勲の矢野。布陣のオプションまで添えられたオマケ付きで久々の勝ち点3を手にしました。「ゴールに向かう形が何となく出始めている」「中断期間に取り組んだことが何シーンか出てきている」「90分間通して選手がハードワークすることは徐々に出始めてきている」とはすべて江尻監督の言葉。あくまでも会見で語った内容とはいえ、何とも悠長に聞こえてしまうのは私だけでしょうか。“出始めている”萌芽は残されたわずか9試合でどこまで伸びるか。最低でもあと5ポイントは上積みできないと待っているのは降格です。 AD土屋
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ナビスコ準決勝2nd-Leg FC東京×清水@味スタ

水曜の1st-Legは日本平で2-2のドロー。「引き分けでもゼロゼロ、イチイチまでいいかなと」(FC東京・茂庭照幸)いうホームチームに、「後半になると非常に難しくなる。前半から勝負を仕掛けたい」(清水・長谷川健太監督)アウェイチーム。後者の選択したプランは5月30日以来、3ヵ月ぶりの出場となる永井のスタメン起用。「スピードを生かしたい。一発に賭けた」(長谷川監督)バクチは、しかし冷静な東京がしっかりと受け止めていなす展開になりました。序盤は清水がやや攻勢に前へ。13分には枝村が積極的にシュート。ゴールへの意欲を見せ付けます。しかし、先制点は最初の決定機をモノにした東京。16分、米本からパスを受けた羽生は「速いボールを上げることだけ意識した」左クロス、ニアに飛び込んだのは平山。「いつも練習してた形」(平山)が大舞台でズバリ。1-0、すなわち3-2。それまでも意欲は感じるものの攻撃に迫力を欠く中、「ミスが多くて思うようにできなかった」(長谷川監督)清水は最低でも2点が必要な状況になりました。27分にはようやく永井が青山のフィードから抜け出し、フィニッシュまで持ち込みますが権田がキッチリセーブ。そしてこれが前半最後のシュートとなった苦況に、「なかなか我慢して使い続けるのは難しい状況」(長谷川監督)と42分に永井を諦め、藤本を投入。瓦解したゲームプラン。45分間でシュート2本。スコアで、そして精神面で優位に立った東京のリードでハーフタイムに入りました。昨年国立に置いてきた忘れ物を今年こそ、という清水は、高さという面でキーマンとなるヨンセンにボールが入りません。62分、兵働の右クロスがヨンセンへ。素晴らしい落としに飛び込んだ伊東のシュートはDFが体でブロック。「しっかりヨンセンに1枚当たって、他はセカンドをカバー」とは右SBで水曜に続いて安定したプレーを見せた20歳の椋原。クサビを潰し、入ってもセカンドボールにいち早く対処。磐石の備えは東京。付け入る隙を与えません。すると「1-0で守りに入らないように」(羽生)、やや中盤が空き始めた65分過ぎからラッシュ。65分には羽生の縦パスにカボレ。直後にも相手のミスに乗じてカボレ。69分、徳永がフリーでドリブルからミドル。同じく69分、梶山のパスを石川。追加点には至らずも、「前に出るならハッキリと迫力を持って」(羽生)攻め切る姿勢。完全にゲームをコントロール下に置いてしまいます。70分、清水は伊東を下げて191センチの長沢を投入。ヨンセンとのツインタワーで最後の勝負に。それでも相手が今一つパワープレーを徹底しきれない側面はあったにせよ、「多少余裕を持って高さにも対応できた」と茂庭。終盤は平山から佐原、石川から平松とDF登録の選手をピッチに6人立たせる「極端なやり方」(城福監督)でシャットアウト。凱歌は東京に。実に初タイトル獲得時から5年ぶりにファイナリストへ名乗りを挙げました。清水はやはり「2試合通して先制点が痛かった」(長谷川監督)のは間違いない所。永井も不発、終盤のパワープレーも不徹底と、やや消化不良の感は否めません。青山の負傷交替でカードを1枚削がれるなど、運にも見放された格好。悔しいベスト4敗退となりました。「サッカー人生で何回も出られるもんじゃない」(平山)決勝へ駒を進める東京。公式戦6戦勝ちなしのデフレスパイラルは脱した印象です。「チームとしてこれからもっと上を目指す意味でも獲りたいタイトル」とは石川。11月3日、国立。初タイトルか、5年ぶりの戴冠か、キックオフは14時5分です。 AD土屋
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J2第37節 湘南×栃木@平塚

試合後の公式記録を見ると、シュート数は湘南の6に対して栃木が17。「前半取られていれば引っ繰り返されているような展開」とは湘南・反町康治監督。実に勝ち点で3倍近い差のある3位と18位の対戦は、3倍近いシュートを放った後者の健闘が目立つゲームとなりました。やや湘南が押し気味ながら、どちらも主導権までは取り切れない時間が続いた序盤を経て、先にスコアを動かしたのはホームチーム。18分、坂本紘司が中盤でもたつく相手DFからボールを奪ってリンコンへ付けると、左へ展開。阿部吉朗のクロスはDFがクリアしたものの、こぼれ球を拾ったアジエルが力強いボレー。栃木からすれば「不用意なミスからの失点」(栃木・松田浩監督)。反町監督も「点を取るまでは我々の目指しているサッカーができた」と語りました。しかし、あくまでもそれは“点を取るまでは”。ここからはアウェイチームが一方的に攻め続ける流れが生まれます。24分には向慎一のスルーパスをチェ・クンシクがフリーで受けて惜しいシュート。30分には赤井秀行がフリーの鴨志田誉にパスを通しますが、シュートまでは行けず。それでも中央バイタルを簡単に空けてしまうシーンが続いた湘南。「人数はいるのにマークがいないのは守備してない選手がいるということ」と振り返った坂本は、押し込まれる状況に「ラインが下がり過ぎてしまった」ことを指摘。反町監督もたまらず30分過ぎには田村雄三と寺川能人をセンターに置いて、4-3-3から4-4-2にシフトしたものの効果は薄く、44分には本橋卓巳のシュートが左ポストを直撃、こぼれを拾った河原和寿のシュートは野澤洋輔のファインセーブで何とか逃れますが、「入り方はよかったし、いい試合になるはずだった」(アジエル)湘南の流れは霧散。完全な栃木ペースでハーフタイムに入りました。栃木で目を引いたのは、FWに入ったチェ。アバウトなボールもある程度は収める体の強さと、諦めずに食らい付いていく姿勢は好印象。彼の奮闘が湘南のラインを下げさせた部分もあったと思います。後半も流れは変わらず、続く栃木の優勢。セットプレーからいくつかチャンスを得ますが、なかなか得点までは至らずにいると、63分には湘南に決定機。リンコンのパスからアジエルが抜け出し、GKの出鼻をループで狙うもわずかにバーの上へ。69分にもエリア内で寺川が決定機逸。突き放せません。すると、ようやく栃木の執念が結実。75分、交替出場してから10分強、ほとんど攻撃に絡めていなかった石舘靖樹のスルーパス、河原は左からカットインするとニアを射抜くファインゴール。黄色の一角を除いて静まり返る平塚。残り15分、勝敗の行方は俄然不透明になりました。湘南にとってさらなる追い打ちは85分。アンカー田村が向を倒して、2枚目のイエローカードでピッチを後に。試練は続きます。しかし、「1点を取る姿勢を見せていったが現実的には厳しい」(反町監督)状況で、ここからは昇格に懸ける意地の発露。90分、猪狩佑貴が繋いで坂本の左クロス、リンコンはバックヒールにトライもヒットせず。94分のラストプレー、坂本のCKに島村毅が合わせると軌道は枠を捉えながらも、まさに“枠”のクロスバーに。タイスコアは変わらず。勝ち点1が両チーム均等に振り分けられました。最下位とは思えない力を発揮した栃木は、右サイドを中心にボールもよく回り、内容は十分勝ち点3に値するものでした。「失点したことや2点目を取れなかったというディテールを追求していくしかないなという感じ」と松田監督。このドローは浮上のキッカケとなるでしょうか。一方、「集中力の欠如でボケてしまったような展開」とゲームを総括した反町監督。「ウチのやり方はミスが増えたらピンチも増える」と坂本。「残り少ないといっても、まだ14試合ある」(反町監督)戦いの終着点は如何に。 AD土屋
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J2第36節 草津×札幌@正田スタ

「もう1回も落とせない状況」と札幌の西大伍が話せば「J1昇格するためにはもう負けられない」と藤田征也。昨年の悔しさを知る22歳の同期昇格コンビが口を揃えた“覚悟”の差がそのまま結果に現れるゲームになりました。4-1-4-1気味の布陣を敷いた札幌のキーマンはアンカーのダニルソン。圧巻のスピードとパワーをフル活用して、草津の中盤に圧力を掛け続けます。また、「ダニルソンがフリーでボールを回していたんでチャンスができた」と藤田が語ったように、攻撃にも積極的に関与。1分にキリノのクロスに自ら飛び込み惜しいシュート。11分には藤田の好機をお膳立て。リズムを作ります。するとやはりゴールは彼を経由。ダニルソンが左へ展開、受けた宮澤は「自分で行くより早くクロス上げた方がいいなと」右足で中へ。西がドンピシャヘッド。中盤中央の3枚が絡み合い、札幌に先制点。さらに27分にはピンチを脱するや否やカウンター発動。ダニルソンのフィードからキリノが抜け出し、確実にフィニッシュ。点差を広げます。それでも終わらない怒涛のラッシュ。前半の45分を1分過ぎて、またもやダニルソンがキリノへ付け、キリノは左へ。藤田がスルーして、最後は西。45分間で0-3。「前半はよかった」と石崎信弘監督も納得のパフォーマンスで、札幌が圧倒的優位に立ちました。スタンドから「ホームだぞ、ここは!」と罵声が飛びかうなど無残な姿を晒した草津は、出場停止で松下裕樹を欠いた影響大。ボランチからの展開力に乏しく、ほとんど形は作れず。さすがに後半開始からは寺田武史、廣山望に替えて、切り札・小池純輝と藤井大輔を投入。藤井をボランチに、熊林親吾を一列前に出して「点を取るための布陣」(佐野達監督)にシフトします。それでも流れ変わらず。48分、ゴール左約20mの位置からFKは藤田。「カベは意識しないでいいコースに蹴れば」と放ったキックは右スミに潜り込み、0-4。ハーフタイムに「次の点がポイントになる」と石崎監督が話した“次の点”も札幌。事実上、勝敗は決しました。71分、小池が左足で1点を返すも、75分にはCKの流れから宮澤が5点目をスコア。87分にこちらもCKから佐田聡太郎が35m近いロングをぶちかましますが、これで打ち止め。最終的には2-5。「いい感じでボールが回ったし、決める所でしっかり決められた」(西)札幌が、アウェイで厚別の雪辱を晴らした格好になりました。2失点に関しては反省材料だったものの、見事な攻撃力で5得点を奪った札幌は若い力と外国籍選手がうまく融合し始めている印象です。今日は目立った働きこそありませんでしたが、まだU-18に籍を置く古田寛幸も18歳とは思えない落ち着いたプレーを披露。これでここ5試合は4勝1分け。果たしてどこまで上昇できるでしょうか。敗れた草津は「チャンスは同じくらいあったが、決めるかどうかがこの点差に繋がった」という指揮官の言葉も虚しく聞こえます。去年の今頃は何とか昇格争いに食らい付く健闘を見せていたのもすっかり過去の話。迫り来る福岡に抜かれれば、いよいよ13位以下の下位グループに吸収されます。残された15試合をどう戦うか、クラブの“覚悟”が問われています。最後に、今日の札幌ゴールマウスに立ったのは「勘で替えた」(石崎監督)という今季初出場の高原寿康。2006年以来となる、実に1128日ぶりのピッチにも、2失点は喫したものの「試合に入ったら落ち着いてできた」とのこと。聞くとGK陣の中でも一番のムードメーカーだという高原の出場に、札幌から訪れた取材陣の方々は驚きながらも嬉しそうな様子でした。試合後、記者に囲まれる彼にはチームメイトから「珍しいヤツがインタビューされてるな」と冷やかしの声も。照れながら浮かべた充実の笑顔が非常に印象的でした。 AD土屋
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J1第24節 大宮×鹿島@NACK5

学生の皆さんにとってはきっと聞きたくないであろう「夏休み最後のJリーグ」。奇しくも選手入場時には大宮サポーター、鹿島サポーター、共にタオルマフラーをグルグル回すため、NACK5はスタジアム中がグルッグル状態。なかなか素敵な光景の中で開始されたゲームは、いきなりハプニング。1分、マルキーニョスと波戸がバッティング。マルキーニョスはなかなか立ち上がれずに2分あまり中断します。すると、再開してすぐゲームに動きが。ラファエルの右クロスがDFに当たったこぼれ球を、藤本が判断良くダイレクトで中へ。石原が潰れると、ファーにはフリーの内田。こちらもダイレクトの左足ボレーを放つとボールは右スミにグサリ。鹿島からすれば「集中力が欠けてしまったことはあった」とオリヴェイラ監督も言及したように、一瞬のエアポケットで失点。早くも4分でビハインドを背負う立ち上がりとなりました。ただ、時間が経過するごとに見えてきたのは大宮優勢の構図。まず中盤での出足で鹿島を上回り、ルーズボールをことごとく奪取。プレスもうまく機能し、張外龍監督も「中盤でしっかりコンパクトにやれて、相手の攻撃を遮断できた」と評価したパフォーマンスを披露します。そして効いていたのはラファエルの存在。2トップを組む石原も「キープしてくれるんで持ったら出せる」と語ったように、190センチの高さもさることながら、正確な技術を生かしたポストワークは大宮の基点に。12分、18分、31分とシンプルな落としでフィニッシュを演出。さらに早い段階でのリードにカウンターを狙う形が増える中でも、巧みなキープからしっかり味方が上がる時間を捻出。ようやく大宮に待望の外国籍FWが現れたのかもしれません。一方の鹿島はオリヴェイラ監督の「前半はリードされたことで焦りを感じた部分があった」という言葉の通り、序盤からビルドアップの段階で信じられないような凡ミスが頻発。頼みのロングボールもマトの壁を越えることができず手詰まりに。野沢や青木がミドルレンジから枠内に飛ばしてもゴールは奪えず。前半は狙い通りの展開に先制点まで付いてきたホームチームが内容、スコア共に上回る45分間となりました。劣勢の前半を受けて、「まずは落ち着くこと」を求めたオリヴェイラ監督は、「真ん中よりもサイドで数的優位を作って崩そう」と指示。実際に後半の鹿島は開始からSBも積極的な姿勢を見せ、48分には内田のオーバーラップで獲得したCKから野沢のキックを青木が合わせる決定機。藤本のライン上クリアでゴールは阻まれたものの、反撃を予感させます。しかし、この日は50分に自らのスリップで決定的なピンチを招くなど、小笠原が精彩を欠く出来に。確かに金澤が粘り強く対応し、2トップもプレスバックしていたとは言え、それでもミスが多く、鹿島のギアは上がりません。オリヴェイラ監督も大迫、田代の投入で3トップに移行して同点、逆転を狙いましたが、再び沸騰したのはホームのゴール裏。81分、カウンターから右サイドを抜け出した石原のクロスはラファエルへ。「シュートを打てないポジションではなかった」と判断したブラジル人FWの選択は「完全にフリーだった」土岐田へのラストパス。2-0、点差を広げると、85分には新井場の不用意なハンドが招いたFKから、橋本の左足にマトが岩政を完全に振り切ってヘディング。3-0、試合は決まります。鹿島は91分に田代の高さから野沢が意地の1点を返すのが精一杯。残留争いに喘ぐ大宮が王者相手に「素晴らしい結果」(張監督)を得ることとなりました。鹿島からは全体的に重い印象を受けました。特に攻撃面では呼吸の合わないシーンが多発。ああなると守から攻への切り替えも難しく、厚みある攻撃は仕掛けられません。「相手が狙っているプランにハマってしまった」とはオリヴェイラ監督。今後に不安の残る黒星になりました。大宮は1点こそ奪われたものの、最後までハードワークは止まず。ボールへのアプローチで優った今日は内容に見合った結果でしょう。「選手たちには自信の付いたゲーム」と張監督。暫定ながら降格圏との差を9に広げました。 AD土屋
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J1第23節 川崎×山形@等々力

鹿島との勝ち点差は8。見えかけては遠のく首位の背中に肉薄するためにも、これ以上の取りこぼしは許されない川崎。昨日16位と17位が共に引き分けたため、勝って降格圏との勝ち点差を9に広げたい山形。昨シーズンのJ1・2位とJ2・2位の対戦は等々力です。おそらくメンバーを見た段階で、目を引いたのは山形のCBに165センチの宮本が入っていたこと。普通に考えるとチョン・テセとのマッチアップが懸念されますが、高さで劣勢になるのは折り込み済み。「フィジカルではチーム一」(山形・小林伸二監督)、以前にもCBを経験している宮本は課されたタスクを問題なく遂行します。それより山形が後手を踏んだのはジュニーニョへの対応。「中盤と前線の中間に下りた所をルーズにした」(小林監督)ために、自由を謳歌させてしまいます。14分にはCKからDFラインがバラけた隙に、田坂のスルーパスからジュニーニョが抜け出しGKと1対1。清水が判断良く飛び出し、ゴールには至らなかったものの際どいシーン。「非常に意欲的に選手もゲームに入ってくれた」(川崎・関塚隆監督)川崎がペースを掴みます。すると17分、一瞬の閃きは中村から。「ジュニーニョが動き出した時にスペースが空いた。たまにはそういうのもいいかなと」FKをグラウンダーでエリア内に。反応した谷口がダイレクトで流し込み、先制は川崎。中村の機転は称賛モノですが、集中を切らした隙を突かれる「もったいなかった」(山形・小原章吾)失点を許し、「最初の20分を乗り切るのが大きなテーマ」(小林監督)だった山形のプランは崩壊します。22分には宮沢の低いパスを赤星が鋭いターンでDFを外してエリア内からシュート。ようやく決定機を創出しましたが、1分後には再び川崎に歓喜。ジュニーニョの右クロスを山岸が頭で折り返すと、詰めていた田坂がプッシュ。若干オフサイド気味でしたが判定はゴール。3カ月ぶりのスタメンに「出られなかった期間も長かったんでアピールしようと思って」と話した入団2年目・24歳の追加点で、ホームチームが圧倒的優位に立ちました。何とか反撃の姿勢を見せたい山形は、「ボランチからボールが出る所で引っ掛けられてる」と小林監督も嘆いたように、中盤で細かいミスを連発。特にサイドに付けるボールは「ブロックを作ってサイドからが山形の攻撃」と指揮官に意識付けされた川崎が狙うパスカットの餌食に。CBの小原も「もっと回せる場面があったと思う」と振り返ったように、焦ってはボールロストの繰り返し。36分には小林監督も「ボランチがイージーミスが多かったので早く替えた方がいい」と秋葉を諦め、園田を投入。宮本をボランチに上げて修正を図ります。川崎がそこまで出てこなかったためにこれ以降は持ち直しましたが、大きな2点差を付けられて前半を折り返しました。後半も基本的な構図に変化なし。少し流しながらも幾度となくチャンスを創り出す川崎に、防戦一方の山形。頼みのエース長谷川は「もう少し収めてサポートを引き出すシーンを作りたかった」と語りましたが、あの孤立した状況で屈強な川崎ディフェンスに対してキープし続けるのは至難の業。後半45分間でエリア内シュートがゼロでは、ゴールを奪うことはできません。川崎は88分から野洲高校の選手権制覇に大きく貢献した、同志社大在学中の楠神順平を起用する余裕も見せ、関塚監督も「いつもより安心して試合を進めることができた」と笑顔。現時点での実力差が過不足なく現れたゲームで、川崎が着実に勝ち点3を積み上げました。「守備も攻撃もうまくできなかった。完敗のゲーム」と小林監督が語った山形にとっては、バイタルを蹂躙され、放ったシュートもたった5本などJ1トップレベルを改めて体感する90分間になりました。早く次の広島戦に切り替えるのが得策でしょう。勝った川崎は相手のサイドに蓋をしながら、自らも積極的に仕掛けた田坂と山岸、長谷川を完全に封殺した菊地の貢献度も見逃せません。「鹿島どうこうより自分たちが勝たないと差は縮まらない。自分たちから近付いていかないといけない」と中村。磐田に敗れた次のゲームで、鹿島追撃の一番手であることを再び証明してみせました。 AD土屋
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J1第23節 柏×横浜FM@国立

前節は埼スタで浦和相手に今季ベストとも言える内容で快勝した柏。今日の相手は10位の横浜FM。勝ち点差は9離れていますが、残留争いに引きずり込みたい相手であることは間違いありません。ゲームが始まると序盤からボールを回したのは横浜FM。山瀬、狩野の中盤に2トップも絡んで細かくパスを刻みます。特にアンカー気味にDFラインの前へ残る松田は、パスが詰まりかけると絶妙のサポートから再び展開。技術の高さと流れを見る力を見せ付けます。しかし、ここ3試合は同じ顔触れが並んだ柏のDFラインも「守備が凄い安定してきた手応えはある」と近藤が話したように、ポゼッションを取られても慌てることなく対処。シュートは打たれても決定的なピンチは迎えることなく推移。20分には菅沼の右クロスにポポがダイブ。飯倉のファインセーブに阻まれますが、柏も一瞬のキレに鋭さを感じさせます。ただ、徐々に「シューティングレンジで誰も無理しない」(横浜FM・木村浩吉監督)横浜も手詰まりになり、お互いにシュートまで持ち込めない展開に。20分以降はあまりゴールの匂いがしないままにハーフタイムを迎えることになりました。手元にとっておきのジョーカーを抱えているネルシーニョ監督にすれば、前半をゼロで抑えたのは狙い通り。後半は開始から「よくチームを理解して守備面でよくチームを助けてくれた」(ネルシーニョ監督)特別指定の田中順也に替えて、「空いているスペースを使ってポゼッションをもたらして欲しい」(同)とフランサを投入。新たな起動スイッチをピッチに仕掛けます。46分小宮山、50分山瀬と続けて危ないシーンを何とか逃れると、54分にはポポのCKからあわや先制という際どいシーンを創出。やはり10番が柏に勢いを。しかしここでアクシデント。58分、山瀬が接触でシミュレーション気味に倒れるも高山啓義主審はノーホイッスル。これに異議を唱えたという判定で山瀬に出されたイエローカードは2枚目。やや厳しい判定に「意味のわからないレッドカードで非常に不満」とは木村監督。30分以上を残して人数の均衡は破れました。すると早速柏に決定機。59分、エリア内に入った大津がルーレットで2人を振り切りシュート。60分には裏に抜け出した菅沼がシュート。共に先制点までは至りませんが、ゴール裏も気勢が上がります。しかし、この数的優位で「引いてカウンターがうまく使えていた状況」(柏・北嶋秀朗)が皮肉にも瓦解。「逆に前掛かった時の攻め方がハッキリしてない」(近藤)ことに加えて、木村監督が狩野と坂田を外して、長谷川と兵藤を投入したことで、再び横浜のボール回しが復活。10人のチームが逆に主導権を奪い返します。そして74分、左サイド、フリーで受けた小宮山は藏川を鋭い切り返しで振り切って左足一閃。待望の先制点は横浜に記録されました。1人多い中で劣勢に立たされた柏は大谷と北嶋を相次いで送り込み、最後の抵抗を試みます。76分兵藤、78分長谷川と2度の大ピンチも菅野が防ぐと、わずかにたなびいた流れを引き寄せたのは同級生コンビ。87分、終盤は右サイドに自らの意志で張り出し、高速クロスを上げ続けたポポが、フランサとのコンビから抜け出してやはり右クロス。ニアに飛び込んだのは「あそこで23年間やってきた」とFWのプライドを見せた北嶋。これが相手のオウンゴールを呼び込み同点。最後の最後で追い付いた柏。両チームに勝ち点1ずつが振り分けられて、ゲームは終了しました。横浜は率直に言って、アレだけ揃っているタレントが十分に生かされてない印象です。個の能力は申し分ない山瀬もどこか窮屈そう。個が思い切って躍動できるような戦い方を採っても面白いかもしれません。柏は「毎試合進歩してきているし手応えもいいものを感じている」とネルシーニョ監督が語ったように、戦い方はハッキリしてきました。近藤も「ポジション取りは凄く細かく言われるけどわかりやすい」と監督への信頼感を口に。今日の勝ち点1が意味のあるものになるか否か。残された試合は11です。 AD土屋
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J2第31節 東京V×岐阜@味スタ

今、個人的にJ2で最も調子のいいチームと見ている岐阜。順位は11位と中位集団の下という位置ですが、現在クラブ記録更新中の4連勝。C大阪を倒した勢いは本物でしょう。対するは10戦負けなしで4強に肉薄しながら、連敗を喫して6位に後退した東京V。今日の隠れ最注目カードは味スタです。まず岐阜が5分、高木和正、パク・ジュンキョンと繋いで佐藤洸一のフィニッシュを呼び込むと、東京Vも6分にはレアンドロが左に流して、那須川将大のクロスを平本一樹が空振り。形を創り合います。しかし先制点はあっさりと。6分、服部年宏のFKに頭を伸ばしたのはやはり大黒将志。まずは東京Vがセットプレーで先手を取りました。ビハインドの岐阜もすぐさま反撃。9分、野垣内俊のフィードを佐藤が落としてパクがシュート。土肥の好セーブに阻まれましたが、しっかりチャンスを生み出します。岐阜の2トップ、佐藤とパクは共に体が強く、高さもあって収まるタイプ。彼らのポストワークは大きな武器。ただ、徐々に東京Vの「出足の良さに面食らって」(岐阜・松永英機監督)、中盤で後手を踏み始めた岐阜は「守備のペースが掴めない」(松永監督)中で2トップへのサポートも遅くなり、押し込まれる時間が長くなっていきます。すると32分には服部が鋭いチェックで奪ったボールから柴崎晃誠、服部、河野広貴と小刻みに回して、最後は柴崎の左足。まさにJ2版“黄金の中盤”が炸裂。2-0、ホームチームがリードを広げて45分は終了しました。後半最初のチャンスは岐阜に。49分、右SB冨成慎司のクロスを佐藤が頭で落とした所にパク。「右足で打ちたかったがDFの股が空いたのが見えたので」冷静に鋭い反転から左足を振り抜くもGK正面に。1点が奪えません。「相手もあまり出てこなかったが2失点後は落ち着いた」と松永監督は62分に菊地完、64分に押谷祐樹を投入して、人と配置を変えながら勝負に出ます。しかし、ある程度自重していた東京Vも牙を剥くタイミングは逃さず。66分、左サイドでボールを持ったレアンドロは、ハッキリとシュートコースを確認。直後、30m近い軌道はそのコースを綺麗になぞってネットへ。3-0、大勢は決しました。終盤は3トップ気味にして何とか1点を返しに行った岐阜。77分、押谷のミドルは土肥がファインセーブ。82分には東京Vの富澤清太郎が不運な2枚目のイエローカードで退場と数的優位を得る中で、90分にも菅和範のクロスをパクがGKともつれながら頭で止めてシュートを放つもバーを越えていき、タイムアップのホイッスル。このゲームを表わすには妥当なスコアで、東京Vが連敗を、岐阜が連勝をそれぞれストップさせたという結果が残りました。「いい状態のものを少しずつ取り戻せたようなゲーム」と高木琢也監督も手応えを口にした東京V。今日のゲームコントロールは完璧と言っても差し支えないでしょう。特にCBに入った17歳の高橋祥平は指揮官も「今日はよかった」と讃える出色の活躍。土屋不在を感じさせない好パフォーマンスで期待に応えてみせました。岐阜は「3点食らったゲームだったが2点は取れてる」と松永監督が語ったように決定機は創出。佐藤とパクの2トップからはかなりのインパクトを受けました。「みんなでスペースを埋めていくいつもの切り替えの速さがなかった」(パク)「攻守の切り替えの部分で今までできていたことができなかった」(冨成)と課題も明確。「まだまだ可能性のあることをやっていける」という松永監督の言葉に期待を抱かされるような、“しっかりした”スタイルを感じさせてくれました。 AD土屋
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J1第20節 川崎×FC東京@等々力

鹿島追撃の先鋒を巡る、3位と4位の直接対決。例年以上に両クラブとも気合いの入った多摩川クラシコ。集まった観衆は21379人。歴史は着々と築かれつつあります。4-4-2が噛み合う中で、ややゆったりとした立ち上がり。なかなか攻撃陣に流動性の出ない両チームは、どちらもカウンターが最大の武器に。7分、川崎のCKから一転、梶山が石川へ繋ぐも横山がブロック。10分、川崎のCKから一転、カボレのパスを受けた平山がミドル。13分、羽生のシュートを川島が止めると一転、山岸が繋いで矢島のシュートは権田がファインセーブ。チャンスとピンチは表裏一体。気の抜けない時間が続きます。さて、注目は共に中盤前目の右サイドを担う中村と石川。この2人は動きの少ない前線において、比較的自由に動き回ることでチームの活性化を図る中、前者は「前半は向こうの球際のプレッシャーが速かった」(川崎・寺田周平)こともあってか、ややコントロールミスも散見され、流れを作り切れず。一方の後者はスペースに飛び出してパスを引き出し、31分には惜しいミドルも放つなどリズム奪取に貢献。すると徐々に全体の運動量が上がり、東京がカウンター一辺倒からポゼッションでも優位に立っていきます。そして掴んだ流れをモノにするのが好調の証か。37分、左サイドを長友が全速力のドリブルでぶち抜いて中へ。石川は右から左に流れながら、右足のインサイドでニアを破るという難易度の高いシュートを遂行。カウンターではなく、セットした状況から東京先制。逆に川崎は嫌な展開に加えてビハインドを追って、前半を折り返すことになりました。迎えた後半、いきなりチャンスは川崎に。46分、川島のパントキックをブルーノが目測ミス。裏を取ったジュニーニョのシュートはわずか左に外れるも、まずは反撃の一手。意気は上がります。関塚監督も水曜日より10分早い決断。53分、山岸に替えてレナチーニョ。「少し前に圧力を掛けながら、中盤から入るボールを狙いやすく」(関塚監督)するために、4-3-3へシフトしました。すると直後に結果。55分、森が付けたボールを右サイドいっぱいに開いたレナチーニョが絶妙のタイミングと球質で縦のスペースへ。駆け上がった森のクロスはジュニーニョの頭に。ボールは左ポストを叩いて、右サイドネットの内側へ。レナチーニョの投入、4-3-3へのシフトチェンジが共に奏功。ゲームは振り出しに戻りました。東京も反撃。58分、石川のクロスにカボレのヘディングはわずかに枠外。59分、平山のパスでカボレが抜け出すも、川島が飛び出しファインセーブ。そしてこれがこのゲームで最後に迎えた東京の時間帯。「東京の方が前半ちょっと飛ばしてた」(寺田)からか「後半は相手も少しバテてボールを取れるようになった」(川崎・川島永嗣)状態が顕著になった60分以降は、勢いにも明らかな差が出てきます。すると関塚監督は65分に村上を下げて井川を投入。森を左に移して、井川を右SBに入れると、バックスタンドサイドの主導権も奪取。さらに71分、最後に切ったカードはチョン・テセではなく養父。中盤にスペースが目立ち出した中で、トップ下の養父と一列下がった中村でゲームをコントロール下に置くことにも成功。一層攻勢を強めます。対するFC東京は70分、77分、82分にそれぞれ田邉、鈴木、赤嶺を投入しますが、「ある程度時間とスペースがある中でボールを失う。フレッシュな選手を入れてもフレッシュにならなかった」と城福浩監督も嘆く程、替わった3枚にゲームの流れを動かすような推進力は感じられず。勢いは川崎。追加タイムで表示された4分まで幸運のシグナルか。案の定90分、中村の右クロス、DFのクリアは小さく、ジュニーニョが体で繋ぐと谷口のシュートがゴール中央を突破。「自分たちは最後の最後まで勝利を信じている」というジュニーニョの言葉もデジャヴ。2試合続いた等々力の奇跡。2-1、逆転で川崎が多摩川クラシコを制しました。采配で差が出たゲームかなという印象です。川崎のベンチメンバーを見た限り、やはり目に付くのは黒津、レナチーニョ、チョン・テセ。実際、水曜日の鹿島戦ではこの3枚が途中出場で流れを引き寄せて、勝利を得ています。しかし、今日はサイドのバランスを見て、井川投入で両サイドを活性化。スペースの空き具合を見て、養父投入で中盤制圧。逆にほぼいつも通りに近い交替の東京は、流れを変えられずじまい。「上位に行けるかを占う大事な試合」(関塚監督)で、真の強さを発揮したのは川崎でした。 AD土屋
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ナビスコ準々決勝2nd-Leg 川崎×鹿島@等々力

カシマで行われた“表”は小笠原執念のヘディングで鹿島が1-0と先勝。今日は等々力開催の“裏”。夏休みとはいえ平日開催の好カードに13581人のサッカー好きが集結しました。シチュエーションを考えると、川崎は1つでもアウェイゴールを奪われると、3ゴールが勝利への最低条件に。一方の鹿島は0-0でも勝ち抜け決定。お互い慎重になるのは自明。事実、立ち上がりは探り合いになりますが、それでもゴールを奪わない限りはドローもない川崎が徐々にギアを上げて攻勢に。ギア加速の要因として感じたのは2つ。まずは恐ろしくキレていたジュニーニョのドリブル。4分、16分と矢島にピンポイントクロスを送る過程で相手DFを翻弄。26分には自らエリア内に切れ込み、矢島の決定機に繋げます。あとは中村が見せた中途半端な位置取りの巧みさ。ボックス前目の中盤右サイドから、気付くと中央バイタルに侵入してチャンスを創出。20分は矢島にスルーパス、29分にはワンツーから抜け出して強烈なミドル。ゴールへの意欲を押し出します。そんな中、鹿島も14分には小笠原の縦パス一本で興梠、21分には小笠原のFKに岩政、1分後にマルキーニョスの折り返しを伊野波スルーで本山と、シンプルなフィードやセットプレーからしっかり決定機を掴む狡猾さを披露。「立ち上がりからゲームコントロールはできていた」とはオリヴェイラ監督。ある程度リスクは冒さずにセーブしながら、絶好の獲物には容赦なくナイフを突き立てるようなイメージ。まずは0-0で45分間は経過しました。後半はハーフカウンターの応酬気味にお互いが攻め合う展開へ。52分、本山の左足ボレー。57分、内田の右クロス、シュートエリアにいた興梠はパスを選択し、最後はマルキーニョス。ややゴールの予感は鹿島に漂い始めます。関塚監督、決断。65分に山岸からレナチーニョ、69分に矢島からチョン・テセと相次いで入れ替え、4-3-3で勝負。この前掛かった川崎に、「彼らが出てくる時間帯で両SBを押し上げて、ボランチも前目に」(オリヴェイラ監督も)という指示を受けた鹿島は主導権を持っていなし続け、依然スコアは動かず。74分、鹿島1枚目の交替は本山OUT中田IN。82分、野沢OUTダニーロIN。85分、興梠OUT田代IN。「誰が見てもわかる流れの交替」(鹿島・伊野波雅彦)で、ゲームをクローズしに掛かりました。追加タイムの4分も経過。確実な逃げ切りに王者鹿島の強さを見ていた95分、事態急変。主役はジュニーニョ。フィードのこぼれ球を右サイドで拾ったものの、上げないクロス、迫るDF、刹那振りぬいた右足。まさかの角度からまさかのタイミングで、ボールはニアサイドを突破。対峙していた岩政も「同じ場面があっても飛び込むことはできない。シュートを褒めるしかない」と素直に脱帽。「最後の最後まで望みを捨てずに」蹴り込んだエースの奇跡弾。直後にタイムアップ。ゲームは延長に突入しました。ただ、もはや流れは完全にホームチーム。94分、再三の精度を見せていたジュニーニョのクロスにレナチーニョ。川崎、勝ち越し。102分、森の縦パスをチョン・テセが柔らかいトラップから伊野波をかわして、「このシュートをずっとやりたかった」と左足でズドン。川崎、ダメ押し。そして、108分に菊地の退場もあった中で鹿島をシャットアウト。凱歌は川崎。0-0で勝ち抜くプランが残り数秒で瓦解すると、あの鹿島でも「どうしても受け身受け身になってしまった」(伊野波)という展開や勢いの妙。川崎の「みんな最後まで諦めてなかった」(川崎・川島永嗣)という初タイトルへの執念。サッカーの面白さと怖さが同居した、そんな120分間でした。 AD土屋
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J2第30節 甲府×仙台@小瀬

7月の4強直接対決シリーズもいよいよ第6弾。最終戦は甲府と仙台の激突。前者は東京V、後者は湘南と、昇格のライバルを共に89分の決勝ゴールで蹴散らして迎える戦いの舞台は小瀬。3位対4位、昇格圏内を巡る今節最注目カードです。ゲームはたった2分で覚醒。仙台のCKがオフェンスファウルで潰えたリスタート、甲府は素早く片桐淳至へ。左へ展開されたボールをマラニョンが優しく折り返すと、飛び込んだのはガウボン。「一瞬のプレー。GKを外して打った」ヘディングはゆっくりと確実にゴールネットへ到達。早くも小瀬が爆発しました。「ミーティングで「来るぞ」と一番キーにしていた立ち上がり」(仙台・手倉森誠監督)で失点を食らった仙台でしたが、徐々に落ち着きを取り戻すとボールも回り始めます。効いていたのは、選手紹介で大きな拍手を受けた元甲府のサーレス。「一番深い所で収めてくれてた」と指揮官も認めるポストワークが機能し、23分には彼の落としからリャン・ヨンギが繋いで、中島裕希のシュートがGK荻晃太を強襲するシーンも。また、中盤では甲府の片桐、森田浩史の攻撃的な中盤2枚のプレスが緩く、3トップの両サイドは相手のSBを見るため、割と自由にリャンと関口訓充が躍動。ゴール以降は仙台ペースになります。30分以降は甲府もやや盛り返しますが、前半ラストプレーにビッグチャンス。左サイド、ゴールライン際まで関口が運んで折り返すと、フリーでリャンがフィニッシュ。荻が何とか防いだものの、「深い位置からバイタルを突くのは狙い通り」(手倉森監督)。このスコアは最後まで保たれないような予感を漂わせつつ、ハーフタイムを迎えました。後半に入ると、膠着状態とまではいきませんが、お互いになかなかチャンスが生み出せない展開。仙台は55分、中島OUT永井篤志IN。65分には斉藤大介に替わって前節2ゴールを奪った中原貴之を投入。人を動かしてきました。甲府の安間監督は64分、森田を下げて5月2日以来の登場となる林健太郎をアンカーに送り込み、守備バランスを整えます。すると、76分には甲府に追加点の絶好機。杉山新の素晴らしいインターセプトを起点に、最後は左サイドから片桐が強烈な一撃。ところが右ポストに嫌われ、突き放せません。さて、このゲームのポイントの1つは山本英臣、ダニエルと共に出場停止となった甲府CB。代役は安間監督自ら「5番手と6番手」と言う御厨貴文と津田琢磨。そんな2人を安間監督は「オミ(山本)とダニ(エル)と勝負するならゼロで帰って来い」と送り出しました。2人を中心に守備陣は非常に粘り強く奮闘。ほぼノーミスを終盤まで貫き、ゼロを継続させます。しかし84分に無念の決壊。リャンのCKにエリゼウがハイジャンプ。「セットプレーは仙台の強み」(エリゼウ)「やられるならセットプレーだと思った」(御厨)。スコアはタイに戻りました。静まり返るスタジアム。ところが甲府は死なず。失点直後、「今日は勝ちに行くというテーマ」と安間監督は最後のカードとして國吉貴博を選択、投入。すると90分、杉山の右クロスは中央抜けてキム・シンヨンへ。粘って中へ送ると、そこには國吉。「あの角度は得意なので振り抜くだけ」と語ったシュートは右スミへ。劇的な展開に88分を隔てて小瀬再沸騰。甲府がリードします。諦めない仙台も91分にラストチャンス。リャンのFKから、7月初登場のマルセロ・ソアレスが枠内へ強烈なボレー。荻ファインセーブ。92分、左クロスに最後は中原がフリーでシュート。これは左に逸れ、タイムアップ。2-1、勝者は甲府。勝ち点で逆転、順位も逆転。甲府が3位と昇格圏内へ浮上する結果になりました。「今シーズン一番悔しい負け方」(手倉森監督)の仙台は一歩及ばず。やはり「これからの課題」とエリゼウも話した立ち上がりの失点が響きました。ただ、「可能性のあるプレーを表現してくれた」と手倉森監督も評価する4人の外国籍選手はやはり脅威。融合次第で十分ビッグバンは起きそうな気配です。「突き上げ、底上げがないとチームが活性化しない」と御厨がそれを見事に体現した甲府。ガウボンがゴールという結果を出し、國吉ももはや貴重な切り札としての存在感を確立。第1クールからの進化も顕著です。ただ、「まだまだ戦いは続く」(安間監督)J2。残る試合数は21。あらゆる可能性が起こり得ることだけは間違いありません。 AD土屋
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J1第19節 浦和×名古屋@埼スタ

「今日は大きなミスはなかった。最初から最後までしっかりやってくれた」とは“ミスター”の弁。指揮官も満足そうな様子を隠しきれない快勝。それにはこのゲーム最注目だった194cmのオーストラリア人が大きく貢献していました。ゲーム序盤は浦和攻勢。最近好調を維持している原口が4分、10分と立て続けにチャンスを演出。スタジアムを沸かせます。逆にカウンターに活路を見出だしたい名古屋は、ケネディもタイトなプレスにボールロストが目立ち、攻める時間を作れません。そんな中で迎えた14分、初めてケネディがスムーズなポストプレーを披露し、左へ展開。阿部翔平のクロスはケネディを越えますが、小川がゴールライン上で粘って「タマさんが空いたのは見えたので落ち着いて」中へ。受けた玉田は坪井と鈴木の真ん中をすり抜けフィニッシュ。劣勢の名古屋が先手を取りました。このゴールシーンもそうですが、阿部のアーリークロスが1つ大きな武器となり、実際2分、この14分、26分とシュートにまで至る形の起点に。これには浦和のシステムが関係していたように思います。4-2-3-1を敷いた浦和で、3枚の攻撃的な中盤右サイドに入った高原も決して守備意識は低くないものの、やはり攻から守への切り替えは不得手。どうしてもファーストプレスが甘くなります。これで正確なキックに定評のある阿部の躍動を呼び、前半中盤以降は完全に名古屋ペース。浦和のフォルカー・フィンケ監督もたまらず33分に高橋を下げて山田直輝を入れますが、流れは変わらず。名古屋1点リードで45分を折り返しました。後半は一転浦和がよくボールを動かしてリズムを創出。48分、ポンテのFKはゴール前混戦、エジミウソンは打ち切れず。54分、原口がエジミウソンとのワンツーから抜け出して放ったシュートはわずかにバーの上へ。それでも同点とはいきません。すると61分、右サイド田中のクロスはケネディを越えますが、収めた玉田は左へ、小川がリターン、玉田のシュートは右スミへ豪快に。わずかに相違点はあるものの、ケネディへのクロスからという点、玉田と小川が絡んだ点は相似。結果、浦和からすれば「気にしていたがセカンドボールが拾えなかった」(浦和・細貝萌)ことで2失点を浴びてしまいました。さらに72分には真打ち登場。左サイド、阿部のスローイン、ポンテの軽い対応をあっさり振り切ったマギヌンがクロス。「ボックスの中にスペースがあった」とケネディは余裕を持って「頭に当てるだけ」と圧倒的な高さのヘディング。0-3、試合を決めました。以降フィンケ監督も人を替え配置を替え、抵抗を試みますが、「みんないいプレスに行けていたので怖さはなかった」(名古屋・山口慶)「慌てることなく集中力が続いた」(名古屋・楢崎正剛)と名古屋はシュートすらもほとんど打たせることなくシャットアウト。9試合リーチが懸かりながら達成できずにいた、楢崎のリーグ戦100試合完封に華を添える素晴らしい快勝を敵地で挙げてみせました。「負けるべくして負けた」(浦和・阿部勇樹)浦和は、ボールこそ回る中でギアチェンジを図るポンテの不調がモロに響いた印象。「ブロックを作ってからサイドにボールを出させて取りに行けていた」(山口)相手の守備に嵌め込まれ、途中出場の山田直も完調とは程遠く、厳しい連敗となってしまいました。「勝ち点3を取るに値する試合」(小川)の名古屋は、ケネディというターゲットの加入で改めて1本の筋が中央に通ったように見えました。奪った3ゴールともキッカケはケネディへのクロス。押し込まれても1つ絶対的な形があるというのは大きな強み。「これがグランパスのやるべきサッカー」とストイコビッチ監督も讃えたパフォーマンスを継続できるか、次節の大分戦も注目です。最後に100試合完封を果たした楢崎。彼はキャプテンなので試合前にコイントスをやるんですけど、審判団や相手キャプテンと握手する時に必ずキーパーグローブを外して、素手で握手するんです。中には外さない人もいる中、いつもそれがいいなあと思って見ています。「リーチになってから掛かり過ぎた。ちょっとこれでみんなも落ち着いてやれるかな」と笑った日本の守護神。本当におめでとうございます。 AD土屋
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J2第29節 横浜FC×鳥栖@ニッパ球

ここ9試合負けなしと、実は第2クールの勝ち点トップを走るのは鳥栖。序盤戦こそ苦しんだものの、チームが固まり始めたタイミングでのハーフナー加入が呼び水となり、一気に順位を上げてきました。ホームで仙台を下して乗り込むアウェイは三ツ沢。ユアスタ、味スタのビッグカードに隠れがちですが、上位が潰し合うことを考えると密かに今節の要注目カードです。どちらもなかなか主導権を取れない立ち上がり。最初のチャンスは10分に鳥栖。ボランチの高地系治が放ったミドルはGK大久保拓生がファインセーブ。12分、武岡優斗の右クロスにハーフナーマイクのヘディングは大久保の正面。鳥栖がまずは攻め立てます。しかし、ゲーム自体のリズムを築きつつあったのは横浜FC。「アンが入ったことでいくつかの形が作れた」と樋口靖洋監督が語ったように、2トップの一角に入ったアン・ヒョヨンは見た限りストライカーと言うよりチャンスメーカータイプの印象。10分に須藤右介のクロスを演出すると、33分には難波宏明のヘディングを呼び込む、右サイドから絶妙のクロス。能力を発揮します。それ以外にも、例えば37分に吉本岳史のミスクロスがあわやゴールとなりかけたシーンも、直前に6、7本の綺麗なパスで崩すなど、イメージの共有は十分見て取れますが、このようなシーンは稀。特にミドルレンジのパスに正確さを欠き、“崩せるはず”の形がなかなか具現化されません。すると42分、島田裕介が左サイドでドリブルしながらタメを作ってファーへクロス。「島さんが出してくれるのはわかってたし、いいタイミングで飛び込めた」ハーフナーがダイブ。先制。「我々のリズムではなかった」(鳥栖・岸野靖之監督)鳥栖がリードして前半を折り返しました。ハーフタイムを挟むと様相は一変。アウェイチームが勢いを増していきます。そして49分、右サイド、ゴールまでは30m以上、柳沢将之は迷わずミドル。素晴らしい弾道は、クロスバーを叩いてラインの内側へ。「サッカーをよう知ってる。全てを投げ出す姿勢などたいしたもんだと思う」と指揮官も絶賛したアラサーSBのゴラッソで2点差。さらにとどめは71分。島田の左CK、「ここに来たらどうしようもないという絶対的なモノ」(岸野監督)、凄まじい高層階ヘッドは当然ハーフナー。0-3、勝負は決まりました。横浜FCも小野智吉、池元友樹を投入し、実質4トップ気味で最後の反攻に出ましたがシュートも遠く、「現時点での力の差を受けとめなくてはいけない」(樋口監督)結果に。先制以降はゲームを掌握した鳥栖が勝ち点3を手にしました。これで怒濤の10戦負けなしとなった鳥栖は前半こそ「相手がタイトに来て難しい展開になった」(岸野監督)ものの、後半はしっかり修正して危なげない内容。柳沢、CBの飯尾和也、高地など勘所を押さえた選手がうまく配されているように感じました。「上位に食い込める位置まで来ている」(ハーフナー)現状。勢いを掴んでいる流れは本物です。一方、「もう少し早くクロスを上げるとか、もうちょっとの所」とSH、FWで奮闘した西田剛、「ちょっとしたアプローチやポジション取りの甘さ。あと3mのプレスバックや、あと5m詰められれば」と樋口監督が話した横浜FC。前述したイメージの共有に間違いはなさそうです。ただ、それが表現できない時に割り切ったり徹底したりするようなもう一手が、決定的に欠如しているように映りました。試合後、サポーターは選手が乗り込んだバスを囲み、強烈な罵声を浴びせ、発煙筒まで焚くことで抗議の意を表明。現在8戦勝ちなしで最下位、クラブとしての総力が問われているのではないでしょうか。 AD土屋
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J1第18節 柏×G大阪@日立台

高橋真一郎監督を解任。大きく舵を切り直す選択をした柏は井原コーチが代行。おそらく一夜限りの“井原レイソル”として、ホームゲームに臨みます。対するG大阪もまさかの公式戦4連敗中。西野監督も古巣を倒して浮上のキッカケを掴みたい所。共にリスタートを懸けた重要な一戦です。ゲームが始まってまず感じたのは、G大阪が最終ラインから長いボールを多用していたこと。パス回しのキーマン遠藤を出場停止で欠く中、「頭(FW)を減らして中盤を厚くして、そこからテンポを上げていこう」(G大阪・西野朗監督)と4-5-1を採用しましたが、「フランサがスタメンではなかったので少し外された所はあった」とも西野監督。中盤に降りてくるフランサを潰して、そこからの攻撃を想定しながら、そのフランサベンチスタートに加えて柏も長いボールを多用したためにボールの奪い所が定まらず、「ボール支配が逆に自分たちのウィークポイントを突かれる」(西野監督)ことへのリスク回避もあったかもしれませんが、結果レアンドロ目がけてのフィードが増える形になります。ただ、ロングボールが多いのは柏も同じでゲーム自体も大味な展開に。しかし、21分には杉山の縦フィードで北嶋が抜け出し、ダイレクトボレーがクロスバーを叩くと、そこからは柏ペース。いくつか惜しいチャンスを見せるなど、いい時間帯を生み出しました。ところが44分にはG大阪に決定機。キッカケは大津のアクロバティックなクリアミス。拾った二川が右に展開し、レアンドロがクロスを上げると、ファーでフリーのルーカスがヘディング。ここはGK菅野がファインセーブで逃れましたが、劣勢でもポイントを突くG大阪の怖さを印象付けて、前半は終了しました。迎えた後半も序盤は柏が攻勢ながら1つのミスで霧散。51分、やや浮いたパスを、再三ボール扱いに不安定さを見せていた鎌田がコントロールミス。二川がかっさらいスルーパス、レアンドロが菅野と交錯して倒れると、東城穣主審はPKをジャッジ。菅野は猛抗議するものの、当然聞き入れられず。正直PKかどうかは微妙でしたが、PKを取られるまでの過程は言い訳無用。レアンドロが自ら決めて、苦しんだG大阪が先制しました。またも嫌なムードが漂う日立台。井原監督代行も57分、フランサと李を投入して巻き返しを図ると、攻撃の意識が高まるのと同時に攻守の切り替えも遅くなる弊害が顔を出し始め、案の定67分にはG大阪のハーフカウンターに中盤はスカスカ。簡単に右へと繋がれ、安田のクロスは全力で飛び込んだ大谷の頭をかすめながら、レアンドロにピタリ。0-2、とてつもなく重い点差がついてしまいました。井原監督代行は72分、栗澤を下げて菅沼を送り込み、杉山をアンカーに置く4-1-4-1で「中盤の4枚がフランサを追い越していく形」を期待しますが、李、菅沼、ポポ、大津と「タイプが似ている選手ばかりで前へ前へとなってしまった」と自ら采配ミスと言及。4-1-3-2にシフトし直しても大勢に影響はなく、最後は小林祐が異議で2枚目のイエローカードを貰って退場というオマケまで付いて、またもやホームで勝利を挙げることは叶いませんでした。7月初勝利を挙げたG大阪は西野監督も「スタイルと言えば、ガンバのスタイルとは程遠い」と認めながら、「選手が結果にこだわる中で報われた」と安堵の表情。華麗なパスサッカーとは行かない中でも、ようやく1つ結果が出たのは大きいでしょう。敗れた柏は、とりあえず今日のゲームを観戦していたネルシーニョ新監督がどれくらいドラスティックにチームを建て直しにかかるかのみが注目です。個人的には、1つ1つのプレーは華があり、一見効いているように感じさせながら、実際はあまり実効性を伴っていないフランサ、ポポ、杉山の起用については一考してもらいたいと思っています。 AD土屋
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J2第28節 甲府×C大阪@小瀬

「前半はC大阪、後半は甲府のゲーム」(C大阪・レヴィー・クルピ監督)「前半と後半でまったく違うゲーム」(甲府・安間貴義監督)と両指揮官。注目の一戦はお互いに攻守の時間がクッキリ分かれる、興味深い内容となりました。7月に組まれたJ2の4強直接対決シリーズ第5弾は甲斐の國。4位の甲府が2位のC大阪を小瀬にて迎撃。試合前にはGMの佐久間悟氏が、甲府サポの中でも最高使用頻度を誇るチャント“インデぺ”をアカペラで熱唱しちゃう辺りに、このゲームの重要性を感じさせます。序盤はお互いに無理はしない慎重な立ち上がり。実質、両チームとも攻撃のほぼ80%近くを担う、前の3人もそこまでチャンスは生み出せません。そんな中、気になったのは甲府の3トップ下に入る森田浩史の守備面。ややタスクが曖昧で、相手ドイスボランチへのプレスも軽め。C大阪の司令搭マルチネスまで、甲府のドイスボランチ藤田健と石原克哉が食い付くシーンが見られましたが、この2人は香川真司、乾貴士という最強2シャドーの見張りが最重要任務。結果、マルチネスへのケアで後手を踏み、20分過ぎからはC大阪ペースになっていきます。それでも甲府はトレーニングしてきたというドリブル対策で予想以上に耐えていましたが、一瞬上回ったのはやはりあのトリオ。30分、乾のパスを受けたカイオがドリブルから左へ。香川は少ないタッチ数でグラウンダーの素晴らしい折り返し。中央で乾がプッシュ。小瀬沈黙。アウェイチームが“パスワーク”を生かして先手を取る格好になりました。甲府はゴールシーンこそ個の能力でやられたものの、一方的に攻められた割に決定的なピンチはそれほど多くない前半。ただ、ほとんど攻撃の形は創れず。安間監督の目には「相手をリスペクトし過ぎて、藤田以外は消極的なプレーが多かった」と映っていたようです。後半もしばらくはややC大阪が優勢にゲームを進める中、ワンプレーで流れは劇的な変化を。58分、バックスタンド側のスローイン。C大阪の左WB石神直哉は「副審はC大阪ボールの旗を上げた」と主張しましたが、飯田主審の判定は甲府ボール。杉山新が素早く投げ入れ、大西容平がクロス。DF2枚の間から頭を出したのはマラニョン。小瀬沸騰。1-1、スコアは振り出しに戻りました。ここからは「集団でのアグレッシブさが出た」(安間監督)甲府が圧倒。60分、森田に替わって片桐淳至が入り、よくボールを引き出すと勢い促進。さらに、13580人のほとんどが凄まじい声援と拍手の大音量でホームチームを後押しします。この辺りからガクッと運動量が落ちたC大阪は、「簡単なミスを繰り返し、数的不利を作られて下がらざるを得なくなった」と香川。72分に小松塁、平島崇が2枚替えで投入されてから5分程度は、香川のロングボレー、マルチネスのバックヒールとチャンスを迎えましたが、また甲府の渦潮に飲み込まれます。85分には片桐が絶妙のスルーパス、途中投入の國吉貴博が狙うもGKがファインセーブ。こぼれ球を拾った、こちらも途中投入のキム・シンヨンが放ったシュートはゴール左へ。逆転とはいきません。この後、マラニョンが2回チャンスを得ましたが、共に誘ったのは溜息。92分、逆にドリブルでエリアに侵入した小松のシュートは、GK荻晃太が何とか体でセーブ。結果は「今の順位を考えると非常に意味のある勝ち点1」(クルピ監督)「前向きに捉えたら大きな勝ち点1」(安間監督)というドロー決着となりました。C大阪はようやく現状のベストメンバーが揃いながら、後半の流れで行くと「今日は負け試合」(香川)といった印象。乾も「自分たちのサッカーが全然できなかった」と唇を噛みました。7月の4強直接対決は2分け1敗。第2クールも4勝4分け3敗とやや停滞気味。要経過観察です。甲府はガウボンが加入後初登場ながら、本人も「もっと積極的にシュートを打てばよかった」と振り返るなど、時折技術の高さは見せるもインパクト不足。もう少しフィットまで時間はかかりそうな様子。それでもチームとしては後半よかっただけに「何も恐れずに戦うことが凄く重要」という指揮官の言葉を実践できれば、トップ3圏内は十分可能だと思います。 AD土屋
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ナビスコ準々決勝1st-Leg 浦和×清水@埼スタ

45分までのシュート数は浦和の10に対して清水が2。さらに後者の1はFKによるもの。このデータが示すように、浦和が「前半はほぼ完璧に近い内容」(山岸範宏)のゲームを展開しました。4人の中盤を見ると、細貝が23歳、濱田水輝が19歳、エスクデロ20歳に原口18歳と、平均20歳というフレッシュなカルテット。しかしプロ初スタメンの濱田を含めて、ボールを回す技術はかなり高水準。ショートパスにサイドチェンジを交えて、相手にボールを触らせません。中でも出色のパフォーマンスは原口元気。「ここ数週間は“穴”に入ったが、今日のプレーは非常によかった」とフォルカー・フィンケ監督が語れば、敵将の長谷川健太監督も「立ち上がりからピッチを広く使われて何回か原口にやられた」と言及。実際に23分には原口が左サイドから「ドリブルしたら行けるなって感じがした」と、エリア内にカットイン。マルコス・パウロがたまらずファウル。このPKを闘莉王が沈めて、先制点が生まれました。前述のパスワークに原口のドリブルがアクセントになって、一方的に浦和がボールもゲームも支配し続けた訳です。さて、攻め続けられた上にまったく攻められない清水はまず守備を修正。ダイヤモンドの中盤から「サイドの守備をスムーズにするため、枝村を少し下げてダブルボランチに戻して」(長谷川監督)からは「だいぶ落ち着いた」(同)ものの、攻撃面での改善までは図れず、一方的な展開で前半は終わることになります。ただ、1点のリードは時に一瞬で消えるもの。48分、濱田と闘莉王が相次いでクリアしきれなかったルーズボールをマルコス・パウロが縦へ。枝村は後方から来たボールをノートラップボレーで右スミへコントロール。難易度の高いゴラッソは、貴重なアウェイゴールでもある同点弾となりました。以降、「守備の修正はできた」(マルコス・パウロ)清水もようやくボールが繋がり始め、前に出ていく積極性が戻ってきます。ところが、そんな流れを分断したのは浦和の“燃える闘魂”。60分、スルスルと前に上がっていた4番は細貝の横パスを、左にずらしてエリア外から左足一閃。激しくクロスバーを叩いたリバウンドにエジミウソン。またも一瞬。再度リードは浦和となりました。64分、長谷川監督の決断は兵働、原OUTで藤本、ヨンセンIN。ここからは藤本の左足が清水に勢いを。68分、藤本の右30mFKは山岸がセーブ。73分、藤本のCKを岩下がジャストでヘディングも山岸がセーブ。一方でリーグ戦ではまだ出場がないものの、ナビスコでは全試合フル出場している山岸も安定感を見せ付けます。そして、この65分前後から再び目立ち始めたのが原口。以前だと一度消えるとそのまま交替が多かった印象ですが、今日は69分に鋭いドリブルから闘莉王のヘディングを演出すると、79分にはエリア内に侵入して、1人かわしてからシュート。GK正面を突き、ゴールこそなかったものの、終盤にかけての見事な再反発に成長を感じました。90分には岡崎がゴール前で決定機を迎えるも、阿部が体で飛び込んで阻止。浦和からすれば「欲を言えばもう1点欲しかった」(山岸)でしょうが、ひとまず2-1で“前半”はリードして、来週の“後半”へと折り返しました。個人的には濱田、よかったと思います。「初めてなのでゲームの入り方がわからなくて戸惑った」と言いながら、「細貝さんが動いてくれたので、自分はバランス取ることを意識した」部分は、細貝のかなり前に出ていく推進力が攻勢の一端を担っていたことを考えれば、十分な貢献。ユース時代からスケールの大きい選手だなあと思ってましたが、慣れれば十分戦力になりそうな印象をこの試合からは受けました。 AD土屋
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J2第27節 草津×甲府@正田スタ

見慣れない布陣を敷いたのは甲府。4-2-1-3に近い並びで、3トップ下に入ったのは何と森田浩史。この起用について安間貴義監督は「木曜の湘南との練習試合で使う所がなくてしょうがなくトップ下に置いたら、俺もいるぞというアピールがあってそのまま使った」と正直に告白。森田自身も「何よりやんなきゃっていうのがあった」と強い意志でゲームに臨みます。4分、大西容平の左クロスに飛び込んだのはその森田。早々に「2列目から飛び出していくと相手がマークを捕まえ切れない」と手応えを感じた様子。すると8分に先制は甲府。石原のCK、一度はGKがパンチングで逃れるも再び中央で混戦になると、最後はダニエルがシュート。「コースが良かったから入るなと」いう一撃は左ポストを叩いて内側へ。“甲府の壁”によるJリーグ初ゴールで、アウェイチームがリードを奪いました。さて、ホームで10戦連続勝ちのない草津は、序盤から相手のロングボールに押し込まれ、ボールの奪い所が定まらずに後手を踏んでしまいます。前半中盤から少しずつボールは回り出したものの、「うまく回させられてたかな」とはボランチの松下裕樹。なかなかフィニッシュまでには至らず、ゴールの匂いを漂わせることなく、45分を消費してしまいました。後半に入ると次のスコアは51分、藤田健が右に流すと大西は「GKとDFの間に速いボールを狙って」クロス。中央でプッシュしたのは、まさに2列目から飛び出してきた森田。0-2、甲府がリードを広げます。監督の起用に応えた森田も見事でしたが、このシーンの肝は藤田が絡んでいる所。ここ数試合はアンカーの位置でバランス確保に腐心した10番を「30m前でプレーさせたかった」安間監督は石原克哉と組ませるドイスボランチをチョイス。結果、藤田が攻撃に出ていくシーンも多く、策は奏功した格好になりました。草津の反撃は54分、都倉賢のパスを廣山望がワンツー気味にスルーパス。都倉はフワリと浮かせて飛び出したGKの上を抜く技アリの一発。たちまち1点差に迫ります。ここから形勢逆転。草津が10分前後は攻勢を掛ける時間に。それでも「耐える時間帯も出てくる」(安間監督)という共通認識の下に、甲府は堅固なブロックを形成。ダニエルも「コミュニケーションが取れているので揺さ振られても強い」と自信のコメント。失点を許しません。すると草津の佐野達監督は66分、後藤涼に替えて、切り札の小池純輝を投入。小池を左、熊林親吾を1トップ下に置く4-2-3-1へシフトしますが、これが誤算。「小池が左に張り過ぎてボールが回らなくなった」(松下)ことで一気にトーンダウン。76分に今度は佐田聡太郎を下げて高田保則を送り込み、4-4-2に戻しても、佐田がいた右SBに「サイドからの崩しも期待して」(佐野監督)後半は効いていた廣山を下げたことで、さらにサイドもトーンダウン。結果、66分以降は1本のシュートも放たれることなくタイムアップ。ホーム勝利という草津版“11回目のプロポーズ”は叶いませんでした。4試合ぶりの勝利を挙げた甲府は現実的なスタイルを貫徹。大西も「最近も内容は良かった。そのまましっかりと結果を残せたのが大きい」と手応え。森田の活躍、片桐淳至とガウボンの加入など前線にだいぶ厚みが出てきています。「甲府にとったら凄く大きな勝ち点3」(安間監督)は再浮上のキッカケとなるでしょうか。敗れた草津は交替策が流れを切ってしまった印象です。後藤も決して悪い出来ではなく、ゴールという要素で考えると最優先に近い選手。結果論ですが単純に熊林から小池のスイッチでもよかった気はします。なかなか勝てないホームの呪縛は、〜レーシック10周年〜高山眼科スペシャルマッチとして、試合前にウルトラハイテンションで「ザスパ、オー!!!」と絶叫した高山院長をもってしても打ち破ることはできませんでした。 AD土屋
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J1第17節 横浜FM×山形@ニッパ球

帰りのバスへと乗り込む間際、「楽しかったです」と破顔一笑は移籍後初スタメンとなった山形のCB西河翔吾。同じくCBを組んだ小原章吾も「最高です」と満面の笑み。2人にとって、今日のゲームはおそらく人生で何度となく思い出すような、記念すべき一戦になりました。リーグ戦はここ8試合勝ち星から見放されている山形にとって、ちょうど前半戦最後のゲームは何としても勝ち点を奪いたい所。しかし、いきなり開始2分で先制点を挙げたのは横浜。「準備が足りなかった」(山形・小林伸二監督)相手の隙を突く狩野の素晴らしいワンタッチパスから右サイドを渡邉が抜け出しシュート、GKが弾いたこぼれ球に坂田が詰めてしぶとく押し込み、あっという間にリードを得てしまいました。さて、早々にビハインドを負うことになった山形は、レオナルド、石井秀典、石川竜也、廣瀬智靖、古橋達弥とレギュラークラス5人が負傷欠場。CBは今月1日に“誕生日”合流したばかりの西河が小原とぶっつけ本番でコンビを結成。小林亮を左SBに回すなど、かなり苦心のメンバー構成を強いられます。対する横浜は先制点の場面や、10分にターンから2人を置き去りにするなど狩野が目立つ中、キーマンはやはり兵藤。ドイスボランチの一角ながら、ワンタッチのショートパスで崩すシーンの核は大半がこの17番。豊富な運動量で、チームを潤滑にしていきます。ただ、「相手のボールが中盤で奪えるんで速攻の形が多かった」とは木村監督。確かに山形はビルドアップの時点でイージーなパスミスが散見され、カウンターを食らうシーンも見られました。ただ、結果的に「相手の3トップをDFの4枚で見るような形。SBはあまり上がらなくていい」(小林監督)という指示から枚数が整っていたのと、攻から守の切り替えの速さで対応。20分過ぎからは、ほとんど相手にチャンスを創らせません。逆に25分に北村知隆のシュートがクロスバーを叩くと、そこからは左サイドを中心に山形が攻勢へ。宮沢克行のCKもクロスバーに当たるなど、反発力を見せてハーフタイムに入りました。迎えた後半はやや膠着状態に陥り、共に攻撃のスピードが上がりません。先に動いたのは小林監督。「攻撃をサイドに広げよう」と、まずは64分に佐藤健太郎を投入。4分後に浦和から加入した赤星貴文も送り込むと、続く74分に財前宣之をFWに入れて、ゴールを狙います。対する木村監督は「3トップが残り気味になったので、中盤の守備を厚く」と坂田に替えて小椋をボランチに。狩野を前に上げました。動きのないまま77分、両チーム通じて後半最初の決定機は横浜に。山瀬の巧みな落としから小宮山が独走し、そのままシュートも左ポスト直撃。そして、これが明暗を分けることになります。直後の79分、佐藤が絶妙のサイドチェンジを赤星へ。これで得たCKを蹴るのは財前。7枚で形成された横浜の壁をすり抜けたのは「いけるなって感じはあった」という西河。山形デビュー戦でのゴールは、同時に自身J1初ゴール。1-1、交替出場の3人が全員絡んで同点に。さらに85分、守備のタスクに追われていた右SBの宮本卓也が鋭いドリブルで得たFK。再び財前のキックはファーで西河が折り返し、最後は小原。ジュニアユースから所属していた古巣を絶望へと追い落とす「一瞬あんまりよくわかってなかった」と語った一発は、やはり自身J1初ゴール。小林監督も「勝ち点1が勝ち点3にまで」と驚くまさかの展開に加え、スコアラーが共にJ1初ゴールのCBで、決勝点は小原の恩返し弾と、あまりにも色々なトピックスが詰め込まれた幕切れで、山形が8節以来の勝利を挙げました。いやあ、こんなことってあるんですねえ。こういうゲームに巡り合っちゃうから、スタジアムに行くのがやめられなくなるんです。 AD土屋
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J2第26節 湘南×甲府@平塚

現在J2を牽引する4チームの直接対決が全カード詰め込まれている7月。先週行われた第1弾はC大阪と仙台がスコアレスドロー。第2弾の今日は湘南と甲府が平塚で激突。共に唯一開幕から4-3-3を貫き続けている2チーム。監督のこだわりが感じられる、興味深い対戦です。まずゲームが始まると、甲府は前節キム・シンヨンが入っていた3トップの中央にマラニョンを配置。「湘南が最初の25分くらいアグレッシブに来るので、空いた所にマラニョンとジャーンを走らせる」と安間貴義監督。実際に序盤からロングボールを多用し、14分にはジャーンの目測ミスをマラニョンが拾い、最後は井澤惇が1人かわして惜しいシュート。20分にはマラニョンに入れ替わられたジャーンがファウルで止めてイエローカードを受けるなど、布陣が奏功する場面も確かにありました。それでも「今の甲府は最初からパワープレー。窮地になってもインフォメーションはあったので慌てることはなかった」とは反町康治監督。やや押し込まれているように見える中で、湘南も想定の範囲内で凌いでいたようです。しかし32分、マラニョンの右クロスを臼井幸平がまさかのクリアミスで、ボールはキム・シンヨンの前へ。シュートはDFがブロックし、間一髪で事無きを得ましたが、一瞬の隙は怖いもの。そして、それは甲府にも当てはまるもの。37分、寺川能人のFKはグラウンダーで中央へ。チームのトップスコアラー・中村祐也がプッシュ。湘南は最初の決定機で先制。甲府サイドは「ミスキックだと思う」(安間監督)という見解ながら、「そういうのが入ってしまう」(同)展開を享受。1-0、七夕記念の黒いユニフォームに身を包んだホームチームがリードを奪って、前半を折り返しました。後半に入ると、甲府は3トップの配置を変更。キムをセンターに、マラニョンをサイドに出すいつもの形に戻します。52分には石原克哉のCKにキムがフリーでヘディング。これは野澤洋輔がファインセーブ。同点とはいきません。配置は変わっても「まったくスカウティング通り」(反町監督)という相手のロングボールには落ち着いて対応。「甲府でリスクを冒してくるのは右SBの杉山なので、阿部を置いて対処した」(同)とゴールを決めた中村を58分で下げて、阿部吉朗を3トップの左に起用。堤に開きかけた穴を塞ぎにかかります。安間監督も61分、キムを諦めて片桐淳至。68分には大西容平を池端陽介に入れ替え、前から圧力を掛けて勝負に。そして次にゴールが生まれたのは74分。スコアラーはアジエル。坂本のCKは低い弾道で二アを抜け、10番がプッシュ。「意図的に取れたというよりも偶発性で取れた」とは反町監督ですが、少ないチャンスをセットプレー2発でモノにする辺りは今年の流れでしょうか。残り15分で湘南が点差を広げました。何とか勝ち点を詰めたい甲府も意地。82分、池端からのクロスを國吉貴博が、利き足とは逆の右で綺麗なボレー。1点は返します。それでも、もうひと反発までは届かず。「こちらとしてはプラン通りに進んだ」(反町監督)という湘南が、4強直接対決の初戦を制しました。敗れた甲府は中盤が攻撃に厚みを生み出せなかった印象です。前線の能力を考えるとある程度ロングボールを多用するのも頷けますが、それ以外に欠けたかなと。やはり藤田健がアンカーでバランスを取らざるを得ず、攻撃に関与しきれなかったのが響いたのではないでしょうか。「試合に勝ったけど、試合に勝った気がしない」と反町監督が語った湘南は、押し込まれる時間帯も含めてゲームをしっかりマネージメントできていたように見えました。形はどうあれ、勝ち点3に必要な得点はキッチリ挙げると。「我々は自分たちのスタイルを変えるつもりはない」と話す指揮官に率いられた湘南。ようやく折り返し地点を回った戦いの終着点は如何に。 AD土屋
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J1第16節 川崎×鹿島@等々力

「1対1という結果は非常に満足」と語ったのは鹿島のオズワルド・オリヴェイラ監督。勝ち点差に開きがあるとはいえ、首位と2位の直接対決。結果はドローでしたが、ゴールシーンが共にゲームの大きなポイントになりました。4-4-2同士がガッチリ組み合う一進一退の序盤で目を引いたのはジュニーニョの献身的な守備意識。G大阪戦では遠藤を自由に泳がせてしまったエリア、つまり相手のボランチに対して執拗にプレスバック。やや前に出てくる小笠原にはドイスボランチの1枚が、青木にはジュニーニョが寄せることで、ボール回しの起点をある程度消すことに成功。縦に速く付ける川崎がわずかにペースを握ります。しかし想定外はチョン・テセ。対峙した岩政の前に、空中でも地上でも完全に抑え込まれ、まったく基点を作れません。するとやはりポゼッションで上回り始めた鹿島が中盤を支配。いくつかの形から相手ゴールを脅かし出します。そんな中、33分に大きな分岐点。中村のFKから伊藤の決定機がGKに阻まれた流れのまま、再び川崎の攻撃。ジュニーニョのクロスに2、3人が殺到すると、ボールはDFに当たりながらゴールへ。すると西村雄一主審はホイッスルを吹きます。「自分の位置からは定かではない」と語ったオリヴェイラ監督同様、記者席からも詳細はわかりませんでしたが、状況からオフェンスファウルかと思いました。しかし、実際は内田の一発レッドで川崎にPK。正直意外な判定でした。映像を見る前に書いているので実際はわかりませんが、オリヴェイラ監督は「最近のサッカーではハンドに対して、選手たちが過剰なまでにアピールをする。しかし映像を見ればわかるが、フロンターレの選手はアピールすることなく明らかにビックリした顔をしている。内田本人は「明らかにお腹に当たりました」と涙目で言った。僕は彼の言葉を信じたいと思う」と興味深いコメントを残しました。ジュニーニョはPK成功。川崎が数的優位と1点のリードを得て、前半が終わります。後半は開始早々にチョン・テセのポスト直撃ヘッドで幕開け。やはりホームチームが攻勢に。この時間の鹿島で目立ったのは4-3-2の右SBに入った本山。「中に入っていってゲームメイクもお願いする」(オリヴェイラ監督)難しい役回りを忠実に遂行。52分にはパク・チュホのシュートをお膳立て。63分には自ら左足でミドルを枠内へ放つなど奮闘します。すると64分、1人のブラジル人が「ズル賢さと読み」(オリヴェイラ監督)を遺憾なく発揮してみせました。川崎は最終ライン+寺田で30秒近くボール回し。この間、まったくのノープレッシャー。ところが寺田の死角に入ったマルキーニョスが突如プレスに。寺田は気付かず、まるで申し合わせたかのようにマルキーニョスへパス。ドリブルから左へ流し、受けた興梠がGKをかわしてゴール。「1回しか来ないかもしれないが、相手が与えた1つの隙を狙う」(オリヴェイラ監督)意識を体現した鹿島。以降スコアは動かず、“10人の鹿島が狡猾に追い付き、勝ち点1をもぎ取った”というような結果になりました。鹿島の真骨頂は10人になってから同点に追い付くまでの30分余り。布陣は4-3-2と前に2枚残しながら、慌てて枚数を掛けて攻め急ぐようなシーンは皆無。川崎相手にリードを追い掛けるチームが食らうようなカウンターは最低限に抑えました。なおかつ何回かはチャンスも作ると。10人でタイスコアを推移させたのも見事でしたが、ビハインドでのリスク管理に鹿島の強さを見ました。川崎は「勝ち点1をプレゼントしてしまった」(関塚隆監督)印象ですが、後半途中からは中村をドイスボランチの前に置く4-3-3で勝負に。「憲剛をボランチに下げようかと思ったが、この形を作り上げて来た所なのでそのままで行った」(関塚監督)とチームポリシーはブレず。結果は伴わなかったものの、終盤はいくつか惜しいシーンも創出。多少予想とは異なりましたが、お互いのこだわりがぶつかり合う熱戦でした。 AD土屋
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J2第25節 草津×徳島@正田スタ

2005年のJリーグ昇格同期。1年目こそ草津が最下位に終わったものの、2年目からは3年続けて徳島が最下位。なかなか浮上のキッカケを掴めなかった両クラブですが、昨年は草津が昇格争いに絡む躍進を遂げました。そして今年は徳島が、24節終了時で5位と台風の目に。今までとは一味違う意味合いを持つ対戦は正田醤油スタジアム群馬から。キックオフと共に激しく振り出した雨とは対照的に、静かに立ち上がったゲームは15分に動きます。「スローインでの約束事」(草津・廣山望)から右サイドを抜け出した廣山が、これまた「(ニアの)1枚目を越えるのは約束事」という絶妙のクロス。これに復帰2戦目となる都倉賢が飛び込み、草津が先制しました。徳島は羽地登志晃を頂点に置き、その下に注目の柿谷曜一朗を配する「4-1-4-1というか4-3-3」(徳島・美濃部直彦監督)で臨みましたが、中盤でセカンドボールが拾えず、「前でキープできずに基点が作れなかった」(徳島・石田祐樹)こともあって、チャンスらしいチャンスをまったく生み出せません。逆に草津は、攻撃的な選手を並べて前掛かる相手のプレスが緩い中、中盤でしっかりボールを繋いでからサイドに付ける形を徹底。さらに、24分には廣山が裏に蹴って、俊足FWの後藤涼を走らせるような、機を見てシンプルにゴールを狙うシーンも伺えるなど、ほとんどパーフェクトに近い出来。佐野達監督も「ゴールに向かうポゼッションができていた」と納得の前半だったようです。さて、かなり厳しい45分を強いられた美濃部監督は、後半から石田を前線に押し出した4-4-2にシフト。序盤はそれが奏功し、いくつかセットプレーを奪って攻める時間もありましたが、徐々に草津がポゼッションで上回り出し、再び流れはホームチームの元へ。それでも一瞬のキレはさすが。62分、柿谷が素晴らしいトラップからスルーパス、草津のGK北一真が飛び出してクリアしますが、反応した羽地との距離は間一髪。個の怖さは垣間見せました。さらに徳島は68分、2枚のカードを同時に切って、前線に羽地と徳重隆明を並べます。74分、その徳重の25m近いFKは北がうまくセーブ。82分、徳重からのパスを羽地が押し込むも、判定はオフサイド。89分、ペ・スンジンのクロスを、途中交替のファビオが折り返し、徳重がフリーでボレーを放ちましたがヒットせず。ややピンチが増えながら、90分は終了。5899人の95%近くが草津を応援していたスタンドも、第3節以来となるホーム勝利をほとんど確信したことでしょう。しかし、93分に落し穴。左サイドをスルスルと崩され、徳重がクロスを上げるとファビオが打点の高いヘディング。「遅れてしまったけどゴールを決められてよかった」と語る、10番を背負ったブラジル人が最後に大仕事。「我々のサッカーはできた」(佐野監督)ホームチームは痛恨の、「内容からしても満足しなきゃいけない」(美濃部監督)アウェイチームは安堵の、それぞれ勝ち点1獲得となりました。好調だった徳島は「連動してボールを動かせなかった」と美濃部監督も語ったように、中盤でのボール支配では完敗。羽地へロングボールが入った時にチャンスが何回か作れていたことを考えると、もう少し割り切って攻めてもよかったかもしれません。それでも「悪い内容だったにせよ勝ち点1を取れた」(石田)は確か。粘り強さを発揮しました。草津は75分過ぎから何回かピンチはありましたが、内容含めほとんど勝ち試合だっただけに「こういう結果になるのはもったいない」(草津・櫻田和樹)の一言。あまり修正点もない気がしますが、やはり月並みながら「ホームで2点目が取れない」(廣山)のは悩みの種。これで10試合連続ホーム勝ちなし。不思議なものです。 AD土屋
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J1第10節 川崎×G大阪@等々力

日程の妙によって激闘を交わした1週間前の再戦となる川崎とG大阪。スタイルは大いに異なれども、J最高峰の攻撃力という共通項を持つもの同士の対戦は等々力です。攻める意識は窺えるものの、やや慎重な立ち上がりが過ぎると、流れを掴んだのはG大阪。要因はキーマンのポジションにありました。ここ2試合は橋本と明神だったドイスボランチに、今日は遠藤と明神を起用し、橋本を中盤の右に移してきた西野監督。対する関塚監督は、寺田と谷口をドイスボランチに置いた、中盤ボックスの4-4-2。この構図で、「CBからビルドアップしてくる」(関塚監督)G大阪に対して、川崎2トップがプレスに行く優先順位は最終ライン。さらに川崎のドイスボランチは、自分のエリアに入れ替わり立ち替わり侵入してくる4枚を見るので手一杯になり、必然的に中央には遠藤が泳げるスペースが広大に。ここで彼が集めて散らして、パスワークにリズムが付きます。15分過ぎからはアウェイチームが一方的に攻め立てる展開になりました。しかし、ほんの一瞬の隙を突いたのはやはり川崎の14番。32分、ボールを奪うと短いドリブルから左へ絶妙のロングパス。受けたレナチーニョがカットインからシュートも、体が流れて当たらずミスキックに。が、逆に最高のパスとなり、ファーから走り込んだ養父が一振り。「それに徹してたし、それしか考えてなかったはず」(G大阪・加地亮)とわかっていながら、やられたカウンター。「押し込んでいる展開で一瞬の隙をやられてる」(西野監督)悪癖が顔を出した相手を尻目に、ワンチャンスを見事に仕留めた川崎が前半をリードして折り返しました。後半に入ると、いきなり山場が訪れます。52分、エリア内で二川が養父に倒されPK。G大阪とPKという2つのイメージを容易に結び付ける男の登場に、スタジアムも静まります。しかしボールが蹴られた直後、大歓声が巻き起こったのはホーム側。「考えてやらずに、頭じゃなくて体で反応しようかなと思った」川島が遠藤のキックを完璧にセーブ。スコアは変わりません。さらに56分、今度はFKとして再び対峙した遠藤のキックも素晴らしい反応で弾き出し、ゴールを死守。その能力を見せ付けます。さて、何とか追い付きたい西野監督は63分、明神とチョ・ジェジンに替えて、佐々木と播戸を投入。すると、これが一面では成功し、一面では失敗することになりました。まず成功は佐々木の投入。右サイドを任された佐々木は、持ったら仕掛ける積極性でサイドを制圧。鋭い突破からクロスを連発します。そして、失敗は結果論ですがチョ・ジェジンを替えたこと。佐々木が送るクロスは、高さに定評のある川崎守備陣がことごとくクリア。何本かあった二アヘのボールにも反応は乏しく、決定的なシュートは打てません。佐々木で活性化したのはチョ・ジェジンを下げた後だったのですが、高さがなくなったことで結果として怖さが失われたのは否めません。終盤はラインをある程度深く取り、ボランチに寺田、横山と、CB4枚をボックスに並べた布陣を最後まで崩せず、G大阪はスコアを動かせないままタイムアップ。「次の鹿島と戦うためにも勝ち点3が欲しい」(関塚監督)川崎が返り討ちを果たしました。敗れたG大阪は「らしさも出してくれたが、最後に決めきれない。それに尽きる」という西野監督の言葉がすべて。「違うスタイルを求めようとは思ってない」(西野監督)ことは明白なので、修正ポイントも少なく、単純に点が取れるか取れないか。今日は取れなかったということでしょうか。勝った川崎は川島の安定感が光ります。「1-0の試合が続いての勝ち点3は非常に価値がある」と関塚監督は話しましたが、前節の山形戦も含めて、守護神のパフォーマンスは特筆モノ。次の大一番、首位と2位の直接対決が今から楽しみですね。 AD土屋
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J1第15節 新潟×名古屋@ビッグスワン

暫定ながら現在2位。開幕前の評価に反発するかの如く、好調を維持する新潟。今日の相手はミッドウィークにACLを戦い、ベスト8進出を決めた名古屋。疲労はあるでしょうが、現状のベストメンバーを組むなど意欲的。好ゲームが期待される中でキックオフを迎えました。いきなり訪れた名古屋のラッシュを凌ぐと、新潟の「1つの武器」(新潟・鈴木淳監督)である褐色の9番がいきなり牙を剥きます。5分、縦パスへクサビに入った大島はノープレッシャーでターンすると、左のペドロ・ジュニオールへ。ペドロはドリブルでゴリゴリ突き進み、シュート。これが左ポストに当たった跳ね返りを松下がプッシュ。「名古屋は攻撃から守備の切り替えが遅いのはスカウティングでわかっていた」(新潟・内田潤)中で、狙い通りのカウンターから、まずは新潟が先制しました。対する名古屋はダヴィが前線で蓋になってしまい、効果的な攻撃がなかなか見せられません。それでも25分には左からマギヌンが鋭いパス、エリア内でDFを完全に体でブロックしたダヴィが落として、最後は玉田。ゴールネットは揺れたものの、扇谷健司主審はダヴィのファウルを宣告します。名古屋のストイコビッチ監督も「ベンチからファウルがあったか見えなかったが、(アレがファウルなら)ボールをしっかり守ったプレーはFWとして今後できない」と発言。かなり際どく、審判によっては笛を吹かない可能性も十分に考えられましたが、今日の判定はオフェンスファウルでノーゴール。そしてここが1つの分岐点になりました。直後の26分、マギヌンが2枚目のイエローカードで退場に。名古屋は数的不利を余儀なくされます。左FWを担うペドロの守備意識がそこまで高くないことから、特に序盤の名古屋は右サイドを積極的に突いていた印象が強いものの、25分のシーンなど、チャンスの大半に絡んでいたのは左のマギヌン。アウェイチームにとっては二重の痛手となりました。すると43分にはまたも新潟のカウンターが決まり、松下、ペドロと繋いで、最後は松下が冷静にフィニッシュ。2点に差が開いて、前半は終了しました。さて、苦況に立たされたストイコビッチ監督は後半開始から左SBの阿部に替えて、竹内をそのままの位置に投入。さらに55分過ぎには4-4-1から、竹内、吉田、増川を最後尾に配した3-4-2気味にシフトして、状況打開を図ります。ただ、それでも新潟の左SBで奮闘した中野が「ダヴィの突破以外は、時間をかけて対応すれば簡単にやられることはない」と話せば、右SBの内田も「怖さはなかった」とのこと。新潟からすれば、人数の少ない相手にボールを持たれる時間が長くなる展開にも、ある程度余裕を持って対処していたようです。71分に3枚目のカードとして切られた杉本が入ると、3トップで最後の勝負に出た名古屋。その杉本が意地の1点を返すも、時間は既に92分。「しっかり守って速い攻撃で点を取る自分たちのスタイルは出せている」と手応えを語った松下の2発で、新潟が再開後2連勝を飾る結果になりました。名古屋はややアンラッキーな判定を享受しましたが、10人になる前までを見ても、去年はあったサイド攻撃の凄味が感じられません。強烈な個を持つダヴィをどうやって組織に組み込むかが、まだ明確になっていない印象を受けました。一方、2位をキープした新潟は逆に、持ったらほとんど勝負するペドロをうまくチームとして生かしています。それは右の矢野も同様。前述の松下に加えて、内田も「奪って速く攻めるのは狙い」と明言。鈴木監督も「3点目が取れるか取れないかという課題は出たが、ゲームのやり方としては問題なかった」と一定の評価を口にしており、最後の1失点をしっかり教訓にできそうなポジティブさをチーム全体から感じました。また、永田と松尾の離脱を受けてDFラインの左側を担当した、今シーズン初スタメンの千葉と中野が共に代役以上の貢献度を見せたことも大きな収穫だったのではないでしょうか。新潟、強いです。 AD土屋
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J2第23節 東京V×湘南@国立

前節、札幌相手に苦しみながらも劇的な逆転勝利で首位をキープした湘南。一方、ベテラン服部年宏の今シーズン初登場となった仙台戦で、ドローながら互角以上の内容を見せた東京V。今節最注目カードは聖地国立開催です。ゲームは、まず湘南がリズムを掌握。「立ち上がりは対応に時間がかかった」と東京Vの高木琢也監督も認めたように、各所でショートパスを細かく繋いでチャンスを窺います。16分には田原豊がヒール気味のアウトでパス、受けた坂本紘司もヒール気味アウトで繋ぎ、寺川能人がダイレクトでスルーパス。シュートまでは行かなかったものの、攻撃のオートマティズムを感じさせる一連のプレーでした。さて、20分を過ぎると徐々に東京Vもボールが回るようになっていきます。ここで目立ったのはFWに入った平本一樹。「エリアの最後の3分の1はマンツーマン」(湘南・鈴木伸貴)になる相手の隙間に潜り込み、巧みなポストワーク。29分にはクサビを受けると、反転して枠内にミドルを放つなど躍動。「ボゼッションができるようになってからは自分たちの時間になった」(高木監督)東京Vが、わずかながら優勢にゲームを進めて45分は経過しました。後半は前半終盤の流れそのままにスタートからホームチームが攻勢に。特にSBのルーキー那須川将大が積極的なオーバーラップを見せた左サイドが活性化されていきます。すると、やはりゴールはこのサイドから。58分、レアンドロが左からクロス、GKがパンチングしたボールを河野広貴が拾ってパス。「トラップでいい所に置けた」柴崎晃誠が狙いすましたミドルを右スミへ。押していた東京Vが先制しました。しかし、劣勢をワンチャンスで覆すのが首位の底力。失点から4分後の62分、粘ってキープしたアジエルのパスを受けた鈴木は「最初は中央の田原(豊)が見えたが、ファーで臼井(幸平)がフリーだったので」、一瞬で意識修正して大きなクロス。大外の臼井は浮き球をトラップせずに直接中へ。これに反応したのは、この7分前に投入されていた阿部吉朗。2戦連発となるボレーを突き刺し、今日も反町采配ズバリでスコアはタイに戻りました。ただ、この失点に「決して集中していなかった訳ではない」と話したのは服部。そして、失点しても気落ちすることなく前へ出る姿勢を打ち出し続けた東京Vに、勝利の女神は微笑みます。81分、レアンドロのCKをファーで土屋がヘッド、ニアに飛び込んだのは「相手はペナ(ルティエリア)の中ではマンマークだったけど、徐々にマークが外れてきてた」と感じていた大黒将志。後ろから来たボールに体をムリヤリねじって右足で当てると、ボールはニアポストとGKのわずかな間をすり抜けてネットへ。得点ランクトップのエースが、難易度の高いシュートで決めたゴールは決勝点に。「首位に対しても前節と同じサッカーができていた」(服部)9位の東京Vが、湘南を前に内容でも上回って大きな勝ち点3を獲得しました。敗れた湘南はチーム総失点である22失点の内、実に半分の11失点がここ5試合に集中しています。「今日敗戦したけど、ずっとここまでそうした兆候はあった。これが湘南の実力」とは反町康治監督。12試合ぶりの黒星は、改めて守備面の課題を炙り出すことになりました。勝った東京Vは、やはり服部の存在感が光ります。大黒も「ハットさんがアンカー的に影に徹してくれてるから(柴崎)晃誠も安心して上がって点が取れてる」とその働きを絶賛。中盤の構成力やストライカーのレベルを考えると、4強追撃の一番手は東京Vではないでしょうか。 AD土屋
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J2第22節 湘南×札幌@平塚

試合後、「久しぶりにベンチの前でガッツポーズなんかしてしまいまして」と語った湘南・反町康治監督。こちらで勝手に補足させてもらうと「しかも“2回も”」。ただ、その2回は間違いなく、ベルマーレというクラブに関わる全ての人の気持ちそのものだったと思います。霧状の雨がピッチを覆い、もやがかかったように見える中、序盤からゲーム自体も視界同様スッキリしません。10分にはエリア内で中村祐也が、田原豊との巧みなワンツーから落ち着いて先制点を奪いますが、湘南が前半に掴んだ決定機はこのシーンのみ。なかなかボールの収まり所が見つからず、臼井幸平、鈴木伸貴の攻撃的な両SBもほとんど上がることができません。対する札幌も4試合ぶりに戦列復帰したクライトンと周囲がなかなか合わず、時折見せる藤田征也の仕掛けに可能性を感じる程度。42分、クライトンのCKからチョウ・ソンファンが頭で狙うも、野澤洋輔のファインセーブに阻まれ、石崎信弘監督も「すごく消極的」と振り返った前半はホームチームが1点をリードして淡々と終わりました。後半は開始から札幌が動きます。左SHの岡本賢明を下げて中山元気を投入し、「向こうは3トップなのでかなりリスクを賭けて」(石崎監督)3-5-2にシフト。するといきなり47分、ロングボールを収めた宮澤裕樹がジャーンに倒され、PK獲得。クライトンが沈めて点差は1点に。前半途中で退いたキリノとは違い、ターゲットタイプが前線に入ったことで「中山さんにボールが収まって、基点を作られた」とは湘南のアンカー田村雄三。反町監督も「中山への対応が遅れたのは正直あると思う」と認めています。すると、58分には藤田の右クロスに「ボランチからサイドに移ったばかり」の西大伍がファーから中へ飛び込んで、ヘッド。あっと言う間にスコアは引っ繰り返りました。さて、逆転した石崎監督は「リスクを回避し、前掛かりに来る相手に対してカウンターを狙おう」と再び4-5-1へ。これに対して、反町監督はまず60分に中村と阿部吉朗をスイッチ。さらに70分には左SBの鈴木に替えて島村毅を送り込み、田原と2トップを組ませた3-5-2で勝負に出ます。それでも目立ったチャンスは創れない中、反町監督は「こっちの2トップに相手の4バックが引っ張られている」と冷静に分析。「前にタイミングよく出る力とスピードはピカイチ」と評する猪狩佑貴を81分、12節に5分間起用して以来、今シーズン2度目となるピッチに解き放ちます。すると直後の83分、前に上がっていたジャーンへのロングボールは阿部の下へ。一度クリアされたボールを、再び阿部が左足ボレー。2-2、反町監督1回目のガッツポーズが飛び出します。さらに平塚劇場はここで終わらず。87分、アジエルがノールック気味に中央へ。後方から飛び込んできたのは猪狩。「ファーストタッチがうまくいった」(猪狩)流れでシュートを放つと、直後揺れたのはゴールネット。昨年はJFLの佐川印刷で武者修業。「午前中練習して、午後は1時から6時まで工場の仕事をしていた」という、ジュニアユースからの生え抜きが大仕事を果たしてみせます。監督はベンチの前で“2回目”のガッツポーズ。それ以外の選手、スタッフはほぼ例外なく猪狩の下へ全速力で駆け付け、歓喜のピラミッドを形成。スタジアムの沸点も絶頂に達し、湘南が再逆転で勝ち点3を強奪する結果になりました。前半は低調だったにも拘らず、後半は両指揮官の采配、そしてそれをも超える選手のパフォーマンスが激しく交錯する好バウト。それを締め括ったのが「去年1年頑張ってきて、チャンスが結果に繋がった」と笑顔を見せた猪狩というのも“粋”でした。この決勝点には反町監督も「サッカーに対して真摯に取り組む姿勢がこの1点に集約されている」と話し、「あのゴールで猪狩の次に嬉しいのは私です」と親心を垣間見せました。札幌サイドの心中はお察ししますが、それでも湘南におけるシチュエーション、そして結果を前にすると、改めてフットボールの素晴らしさを実感させてくれる1日になりました。 AD土屋
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J1第14節 柏×FC東京@日立台

柏17位、FC東京14位。なかなか浮上のキッカケを掴みきれない両チームが激突した中断明け一発目のゲームは、順位こそ近いものの、その間に横たわる7の勝ち点差が持つ意味を、FC東京がまざまざと見せ付ける結果になりました。序盤はホームの柏ペース。菅沼が左サイドから積極的に攻め立て、試合前、「今日からが本当の開幕だ!」と気勢を挙げたサポーターに期待を抱かせます。しかしその想いは9分で霧散。栗澤の中途半端なFKは味方に届かず、「一番警戒していた」(柏・高橋真一郎監督)東京のカウンター。その数は柏3に対して東京6。ブルーノ・クアドロスのラストパスに、最高のタイミングで抜け出した石川がボレーでズドン。「前半何とかゼロに抑える」という高橋監督のプランも破壊されます。直後の10分、東京GK権田のミスキックを拾った李が無人のゴールにも関わらずシュートを外してからは、完全に東京ショー。20分には徳永のクロスを平山が胸で流すと、DFラインの裏でフリーのカボレが難なく叩き込み、0-2とリードを広げ、その後も23分平山、24分平山、30分カボレ、37分平山、42分石川と実に5回もの決定機を創出。柏は自陣で凌ぎ、それも崩されたら菅野のファインセーブ頼みという展開を余儀なくされました。要因は主に2点。まず、東京の2トップ、平山とカボレがほぼノーミスでポストプレーをこなしたこと。これで、後方からのオーバーラップは促進され、カウンターの切れ味は鋭さを増していきました。また、あと1つはセカンドボールをことごとく拾ったこと。まずはカウンターが発動、それが跳ね返されても、米本、梶山、羽生がすぐさま反応してボールを奪取し、2次攻撃、3次攻撃に繋げていきます。柏のラインは下がる一方。エリア内では東京が個の力でこじ開けようとトライ。ワンサイドゲームの様相を呈して45分が経過していきました。ハーフタイムで選手を替えずに臨んだホームチームの受難は続きます。後半開始40秒、徳永のスローインをカボレがヒール。エリアやや外で受けた平山は、同じ13番を纏ったワールドユースの盟友を肩で弾き飛ばすと、左足で左スミに豪快な一撃。間違いなくこの日の主役が決めた3点目。柏で最も奮闘していた13番も力及ばず。勝負は決しました。51分、「90分できるコンディションではない」(高橋監督)フランサとポポを同時投入。最初の5分は輝きを放った10番も、ミスの増加と共に集中力も削がれて埋没。11番も58分のポスト直撃弾が唯一の見せ場。そして60分に、最もゴールの可能性を感じさせた菅沼が交替させられ、その後は「課題だったゲームの終わり方も、最後まで自分たちの時間でバランスを崩さず守備もできた」(FC東京・城福浩監督)相手の前に、1つの決定機も生み出すことなくタイムアップ。ナビスコの好調は何処へ。まさに完敗を喫し、ゴール裏のサポーターからブーイングを浴びる結果になりました。東京は「チャンスを創り続けることで、ゴールは奪える」という城福監督の言葉を体現。文句の付けようがないゲームだったのではないでしょうか。個人的には平山、石川の活躍も見事でしたが、米本が一番印象に残りました。67分にはフランサの巧みなターンを前に、完璧な対応からボール奪取。梶山との補完関係も良好で、ルーキーながら起用されている理由がよくわかりました。柏は、いよいよ後がなくなってきましたね。これ以上言うこともあまり見つかりませんが、1点目と2点目は共にフリーでラインの裏へと抜け出されている辺りに、集中力の欠如が見てとれます。「こんなことでレイソルは死なない」という指揮官の言葉をサポーターはどう捉えるでしょうか。 AD土屋
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J2第21節 草津×愛媛@正田スタ

ここ4試合で3勝1分けと復調傾向にある草津。しかし、ホームでの勝利はなんと3月22日の第3節まで遡らなくてはなりません。今日は実に約3ヵ月ぶりとなる歓喜を正田醤油スタジアムへもたらすべく戦うゲームです。序盤からボールキープ率で上回ったのは、中盤右から廣山望、松下裕樹、櫻田和樹、熊林親吾とJ2の中でも屈指の構成力を誇る草津。ただ、ボールこそ回るもののその局面は非常に狭く、なかなか攻撃に広がりが出てきません。対する愛媛は前線に俊足の内村圭宏、ジョジマールを配置。「奪った後の仕掛けはできていた」と望月一仁監督が語ったように、あまり手数をかけずに縦へのボールを多くして、浅い相手DFラインの裏を狙っていきます。22分に高田保則の頭、24分に櫻田の左足と草津の惜しいシーンを2つやり過ごすと直後、愛媛に先制点。25分、ルーキー吉川健太のフィードにボランチの赤井秀一が2列目から飛び出します。左から右へと流れながらボールを受け、そのまま左スミへフィニッシュ。狙い通りにアウェイチームがまずはリードを奪いました。するとその後はDFとMFの8枚で強固なブロックを築いてからカウンターを狙う愛媛ペースに。40分にはやはりシンプルな縦パスから、中央でボールを収めたのはジョジマール。草津の佐野達監督も「もっと速くプレッシャーに行かなくては」と嘆いたDFのルーズな対応を尻目に、褐色のストライカーが左足一閃。2対0。「またか…」というような雰囲気にスタジアムが包まれ、前半は終了しました。後半は一転して草津が掌握。まず53分に後藤涼が裏へと抜け出し、マイナスの折り返し。熊林のGKを破るシュートは愛媛CBの金守智哉が何とか頭で掻き出しますが、5分後には暗転。草津CB田中淳のフィードを金守が頭でGKに返したバックパスは決定的に短く、後藤がかっさらって冷静にフィニッシュ。草津が1点差に迫ります。この2つのシーンが象徴するように、パスを回しては手詰まりになっていた状況から、縦へ速く運ぶ意識が奏効した草津。60分には「ドリブルからフィニッシュへの力が十分ある」(佐野監督)小池純輝を左の中盤に投入し、さらなる攻勢に。64分には松下のミドル、こぼれを後藤が狙い、GKのファインセーブに阻まれながら、同点への期待は高まるばかり。そして73分、左サイドへ展開されたボール、小池は鋭いカットインから思い切り良くニアサイドにズドン。2対2。「選手、スタッフがずっと考えている」(佐野監督)ホーム勝利への執念か、完全に形勢は逆転しました。78分に2本連続で際どいシュートを放ったジョジマールがその2分後に退くと、もはや一方的な流れ。中でも草津の左サイド、すなわちメインスタンド側はホットゾーンに。持ったら仕掛ける小池の姿はまさにデルピエロ。ひとたび彼がボールを持てば、その期待感はサポーターのボルテージを上昇させ続けます。81分、高田がエリア内で倒されるもノーホイッスル。87分、高田のシュートは右ポスト直撃。90分、小池のカットインシュートはGKファインセーブ。結果、3点目は奪えず、タイムアップを告げるホイッスルを聞くと草津の選手は大半がピッチに倒れこみましたが、最後までスリリングなゲームを見せてくれました。愛媛は望月監督も「入れられ方が悪くてバタバタした」と振り返った通り、後半はあれだけ堅かった守備ブロックに穴が目立ち始め、後手に回ってしまいました。気温27.1度の条件下で、中3日の疲労が如実に現れてしまった印象を受けました。草津は前半の低調さが悔やまれる所。ただ、エース都倉賢を負傷で欠きながら2点を追い付き、さらに新・ジョーカーが誕生したのも好材料。次のホームゲームは6月24日。熊本相手に勝ち点3が奪えるか、注目です。 AD土屋
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J2第20節 水戸×甲府@ひたちなか

以前から注目はしていた、全部ひらがなという妙に気になるネーミング。やっぱり一度は見ておかないとなあと思って、今日は水戸と甲府の一戦を見に、“ひたちなか”陸上競技場に来てみました。予備知識としては持ってましたが、その強風は噂以上。公式記録も19.4度で、正直半袖を着ていったため、鳥肌を立てながらの観戦です。ゲームは前述した通り、「集中が途切れそうな強い風」(甲府・安間貴義監督)の中、風上の水戸も、風下の甲府も影響を受けた格好。18分にはルーズボールを甲府のCB山本英臣がクリアすると、高く上がったボールは自陣ゴールに向かい、GKがフィスティングで何とか逃れるなど、あまり見られないようなシーンも。立ち上がりから膠着した展開が続きます。水戸で注目を集めたのは加入3試合目にして初めて本職のボランチで先発した下田光平。「バランスを取りながら守備の面では効いていた」(水戸・木山隆之監督)「下田がガチガチ行ったことがチームに勢いを与えた」(水戸・大和田真史)と、彼が中盤にフィルターをかけたことも、甲府の勢いを削ぐ一因になっていました。ただ、攻撃面ではロングボールが多く、頼みの高崎寛之も甲府CBのダニエルと山本にうまく抑えられ、なかなかスイッチの起点が作れません。すると37分、ダニエルがパスカットから左へ。受けたマラニョンはドリブルから「森田に合わせるつもりだったが、(キム・)シンヨンが入ってくることはわかっていた」と中へクロス。「ボールが来る時に右足で切り返して左足でシュートというイメージがあった」とファーで受けたキムはそれを具現化し、豪快にゴールへ一刺し。各々が見事にシンクロした甲府が、最初の決定機をモノにして、リードを奪いました。直後には水戸にもビッグチャンス。41分、左から村松潤がシュート気味のボールを中へ。高崎が何とかプッシュしますが、GK荻晃太がファインセーブ。「絶対1点取らなくちゃいけなかった」(木山監督)風上の前半をビハインドで終えることになりました。後半は徐々に両サイドの深い位置まで侵入していく回数の増えた甲府がペースを掴みます。例えば中盤の藤田健と石原克哉のコンビネーションパスを見れば大木武前監督時代の香りを感じますが、CBのダニエルはまず危険回避の大きなクリアがファーストチョイス。状況に応じて「割り切ったサッカーができるようになってきた」という山本の言葉も頷けます。木山監督も62分には森村昂太と吉原宏太を同時に、79分には島田祐輝と攻撃的なカードを次々と切って状況打開を図るものの、なかなかシュートシーンを創出できないまま時間が経過。GKの本間幸司も上がった94分のFKでは、こぼれ球を村松が左足で叩きますが、甲府DFが体でブロック。そのボールを本間が何とか前方に押し戻した直後にタイムアップを告げるホイッスルが吹かれ、アウェイ甲府が勝ち点3を積み重ねることになりました。水戸は主力クラスのアタッカーにケガ人が目立つ中、どうしても高崎にかかる負担が大きい印象です。今日は高崎も相手の激しいチェックに苦しみ、中盤にも起点がなかったために、迫力のある攻撃は鳴りを潜めてしまいました。2戦続けて1失点と「球際に行くベースはしっかりしている」(大和田)だけに、あとは強固な相手を崩し切るパワーが欲しいですね。勝った甲府は、このゲーム唯一のゴールシーンが象徴的。「パターン通りだけど、以前だったらシンヨンは間に合ってなかった」とは安間監督。クロスを上げたマラニョンは「センタリングを上げればシンヨンがいる」と語り、そのキムは「考えた通りいいボールが来た」と笑顔。一段階高い部分での意識共有が進んでいるようです。絶妙のライン統率を見せた山本も「全員が“感じられる”ようになってきている」と手応えを感じている様子。成長し続けている甲府、要注目です。 AD土屋
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J2第19節 湘南×熊本@平塚

20分を過ぎた頃、いつも前半はベンチにどっかり腰を下ろしている反町康治監督がテクニカルエリアまで飛び出し、アンカーの田村雄三を呼び寄せて指示。中盤を坂本紘司とのドイスボランチに変更します。明らかにいつもとは違う光景。この時点で「翻弄されて修正ができなかった」(湘南・寺川能人)ホームチームは2点のビハインドを負う展開を余儀なくされていました。ゲームが始まると、まず目に付いたのは熊本・藤田俊哉のポジション。予想に反して、3トップの中央に位置を取ります。その実は「ゼロトップみたいな感じ」(熊本・北野誠監督)。最前線で、下りてきて中盤で、時にはサイドで、精力的にボールを収め、周囲は「俊哉さんに入ったらどんどん追い越していく」(熊本・西弘則)ことを徹底。ターゲットは「田村を動かしたスペース」(北野監督)。入れ替わり立ち替わり次々とバイタルに侵入する熊本に対して、「後ろのラインが慌てふためいた」(反町監督)湘南は後手を踏み続けます。15分、山本翔平が中央をドリブルで持ち上がり、藤田が右に繋ぐと、思い切りのいい西のシュートは左ポストの内側を叩いて先制点。18分、細かいパスワークから右へ展開、宇留野純のクロスを藤田がシルクタッチで落とし、またも西がゴールに突き刺し2点目。ほとんど無抵抗のままに攻められ続けて迎えたのが冒頭の反町監督だった訳です。システム変更後は持ち直して膠着状態が続く中、38分には田原豊が難しい体勢からうまく落としたボールを寺川が冷静に蹴り込んで1点差に迫りましたが、前半追加タイムには「今シーズン初めてのCKからの得点」(北野監督)を18歳のチョ・ソンジンに叩き込まれ、再び2点差。内容に見合った結果とはいえ、かなり意外なスコアで45分は過ぎ去っていきました。後半開始から投入されたトゥットも「自分が何かしなきゃいけない気負い」(反町監督)からか不発。53分にはアジエルのスルーパスを受けた田原がGKとの1対1に敗れ、湘南はなかなか点差を詰められません。一方の熊本は55分に木島良輔を投入。「無理に前へ出ていかずに落ち着いてやっていこう」と話した藤田を中盤に落とし、こちらも石井と山本をドイスボランチに置く4-4-2にシフトします。61分には再びアジエルのスルーパスが田原へ渡り、今度はGKに倒されPK獲得。これをアジエルがキッチリ決めて1点差に迫ったものの、要所に経験豊かなベテランを配す熊本が、スタンドまでイライラさせる老獪な時間の使い方で、一歩一歩確実に勝利へと近付いていきます。それでもこれが今シーズンの湘南か。91分、FKから中央が混戦に。臼井のシュートは熊本DFがブロック、再び混戦になると足を伸ばしたのはジャーン。土壇場で追い付き、勝ち点1を拾ってみせました。はっきり言って湘南は完全な負け試合。今まで、特に試合の前半は内容が悪くても、結果には現れない流れがありました。しかし今日は完全なパニック下で2失点を喫し、さらにもう1失点と、勝ち点を得られる可能性はかなり低かったはず。それでも最後に追い付く辺りに、今シーズンの“持ってる”ものを感じました。熊本は1つの理想形が見えたゲームだったのではないでしょうか。本当に開始20分くらいまでのパフォーマンスは衝撃的。北野監督も「結果は出なかったがいいゲームはできた」と語っています。ただ、終盤はかなり疲弊していたのは間違いなく、あのスタイルを何分くらいまで保てるか、そのチームとしての運動量が今後の鍵になりそうな印象を受けました。 AD土屋
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J2第18節 東京V×草津@国立

ゲームが始まって、まず目に付いたのは草津DFラインの高さ。前節から入れ替えた両SBを含む4バックがキッチリと揃って上下動を繰り返します。東京Vは高木琢也監督が「相手の最終ラインがセンターサークルからセンターラインの辺りで、跳ね返されるゾーンが中盤よりもDFラインに近く、全体のラインが伸びた」と語り、FWの林陵平は「ちょっと引いてロングボールを蹴らせないようにしつつも、コンパクトな状態にされたので繋がされていた感じ」と振り返るなど、序盤からなかなかリズムを掴みきれない状態が続いてしまいます。するとアウェイ草津が躍動。10分には松下裕樹の素晴らしい展開から寺田武史が折り返し。走り込んだ櫻田和樹のシュートはGKに阻まれますが、都倉賢がプッシュ。新エースの今シーズン10点目で先制し、27分にも右サイドから廣山望が中へ送ると、高田保則が体を開きながら左足インサイドで2戦連発となる技ありゴール。「少し入り方が悪くて、その流れで先に2点入れられてリズムが狂ってしまった」(高木監督)ホームチームを相手に堂々たるゲーム運びを見せ、大きなアドバンテージを得たまま、45分を終えました。なお、前半の風上は東京Vだったのですが、林と互角以上に渡り合い、制空権を握らせなかった草津のCB藤井大輔は「上はわからないですけど、前半のピッチは風がちょっとおかしくて上から下に吹く感じで、ボールが背後から来る相手のFWは競りにくかったと思う」と興味深い事実を明かしてくれました。後半開始から高木監督は林を諦め、井上平を投入。大黒将志とのスピード系2トップで現状打破を狙います。53分にはレアンドロがGKを強襲、弾いた所にフリーで詰めた河村崇大のシュートはバーの上へ。62分、エリア内から大黒のシュートは右サイドネット外側へ。いくつかチャンスはあるものの「こういうピッチだったんでなかなか縦にボールを出せなかった」(高木監督)ためにギアは上がらず、67分には左SBの那須川将大を菅原智に替えて、3-1-4-2気味で攻撃の意識を高めに行きます。一方の草津も相変わらず3ラインのコンパクトさは保っていましたが、「マイボールの時間が短過ぎる」とはボランチの松下。実際流れの中から生まれたシュートは72分が後半1本目。ペース自体は東京Vが握っていたように思います。それでも、次に生まれたゴールは追撃弾ではなくダメ押し弾。88分、廣山のCKからこぼれに反応した途中出場の後藤涼が綺麗な左足ボレーを突き刺し、0-3。なんと2戦続けての同スコアで草津が開幕以来の連勝を飾りました。ホーム扱いとなる聖地国立で敗れた東京Vは、今日の外的なコンディションに、よりナイーブだった印象です。「やられてからでも戦い方を変えられれば。それができないのが今の力」とは林。最後まで攻撃面での見せ場は作れませんでした。勝った草津は「前節ゼロで抑えたのが自信になった」(松下)中で迎えたゲームで「やろうと言ってることができてる。結果が自信になると思う」(藤井)と手応えを掴んだ様子。得点の時間帯も前半2点に終盤のダメ押しと理想的。これを次のゲームに繋げられれば再びJ2をかき回す存在になり得るでしょう。 AD土屋
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J1第13節 千葉×横浜FM@フクアリ

16位千葉と11位横浜FM。リーグ戦中断前に浮上のキッカケを掴みたい両チームのゲームで、まず注目したのはそれぞれの布陣。千葉は相手によっていくつかのパターンを使い分ける中、「サイドを使うのはJでも1、2のチーム」と横浜FMを評したアレックス・ミラー監督が選択したのは4-4-2。ただ中盤右サイドの米倉はかなり高い位置をキープし、サイド攻撃のキーマン小宮山を牽制します。一方の木村浩吉監督は、ナビスコ含む2試合で採用した4-3-3を継続。中盤アンカーでは松田が睨みを利かせます。しかし、前半は共にイージーなパスミスを連発し、ほとんどグループとしての攻撃が機能しません。途中からは裏へのロングボールぐらいにしか活路を見出だせない両チームによる“蹴り合い”に。特に3トップの2枚を担う山瀬、狩野の高い個人スキルも生かしどころがなく、流れから消えてしまいます。それは千葉も同様。2トップの一角に入った谷澤、ボランチの工藤もボールに触れず、見るべきポイントに乏しい45分となりました。迎えた後半、先制点は唐突に。50分、巻からのボールを左サイドで谷澤が仕掛け、1人かわしてクロスを送ると、なぜか大外にはフリーの巻。難なく頭でねじ込み、ホーム千葉がアドバンテージを得ます。ハーフタイムに「徹底してサイドから行け」と選手を送り出した木村監督は、失点から10分間様子を見て決断。山瀬に替えて、キム・クナンを最前線に投入し、強度を上げる策を敢行。すると「パワープレーなんて一言も言ってない」とは木村監督ですが、やはり脅威はキムの高さ。65分にはキムが落としたボールを狩野が拾って決定機に。池田のブロックに阻まれたものの、やはりそこが生命線になったのは間違いなかったと思います。ミラー監督も「15番(キム)が入って少しゲームが変わった」と言及。ラスト30分は千葉もラインを下げざるを得なくなり、ほとんど自陣に引き籠もる格好に。さらに68分狩野OUT、坂田IN。75分兵藤OUT、齋藤学IN。いわゆるFWが4人ピッチに並び立ち、4-2-4気味になると、正直横浜FMもグチャグチャな攻め方になりましたが、千葉もそれを受ける他にはなくなり、ひたすら耐え続けます。84分には谷澤を斎藤に替えて、守り切ろうとメッセージを送るミラー監督。しかし決壊は88分。左サイドからキムがクロス、DFのクリアは小さく、小宮山の前へ。右足で蹴られたボールが右スミに突き刺さり、同点。結果、勝ち点1を分け合いましたが、90分を通してみれば妥当な終着点だった気がします。まあ、残念ながら今日の2チームから、特に攻撃の明確なコンセプトを感じることはできませんでした。双方にいるクオリティの高い選手が、個で輝いた時のみにチャンスが訪れるかもしれない、といったところで、その輝きを生み出せる何人かも窮屈そうにプレーしている印象。システムの運用も含めて、中断期間である程度テコ入れをしないと、厳しい後半戦が待っていそうな雰囲気です。 AD土屋
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J2第17節 湘南×富山@平塚

第1クールのラストゲームとなる第17節。2位湘南の要塞・平塚競技場に乗り込むのは、同じ昇格組が苦しむ中で堂々の9位に付ける富山。非常に楽しみな顔合わせとなりましたが、ゲームは序盤からホームチームが圧倒します。スイッチを入れたのは前線に聳え立つ田原豊。ほとんどのクサビを収めることで後方からのオーバーラップを促進。また8分には果敢なプレスから1人で決定機を掴むなど、リズムを引き寄せます。すると9分、寺川能人の柔らかいパスをDFラインの裏で受けたアジエルは、トラップと同時にGKの位置を確認、地面に叩きつける技ありボレーで先制点を奪いました。「癖というか、また立ち上がり10分以内に失点した」(富山・楚輪博監督)富山は細かいミスが目立ち、攻撃にスピードが出てきません。初めてのシュートは36分まで待たねばならず、失点後も「相手は様子を見る感じで引いていた」と湘南CBの村松大輔も感じていた様子。しかし、なかなかゴールの予感も高まらない中で、そのスローペースへ徐々に湘南も染まっていってしまいます。「点取ってからはすっかり休んでしまってリズムを完全に失った」(湘南・反町康治監督)「1-0でいいかなという雰囲気はあった」(湘南・坂本絋司)と2人が口を揃えたように、悪く言えば“ダレた”時間帯が長く続き、前半はそのまま何となく時間が消費されました。すると後半開始早々には富山にビッグチャンス。46分、石田英之が右サイドをヒールで抜け出して中へ、永冨裕也のシュートはヒットしなかったものの、GKの股間を抜いてコロコロとゴールへ。SBの臼井幸平がよく戻り、ほぼライン上で辛うじてクリアしましたが、湘南は肝を冷やしたことでしょう。ここが1つの分岐点に。この臼井のビッグプレーが流れを再び引き戻しました。53分、ルーズボールを制したアジエルのパスを、中村祐也が冷静に右スミへ流し込んで2-0。前半のよかった時間帯もそうでしたが、「10番(アジエル)と22番(中村)のワンツーにマークが付き切れてない」(楚輪監督)と敵将も語ったように、3トップワイドの流動的な動きを富山は捕まえ切れず、自由を謳歌させてしまいます。さらに63分、臼井の右クロスをまたも中村がニアに入り、頭で合わせて3点差に。「3-0で終わった感じ。チームが崩壊した」とは楚輪監督。大勢は決しました。湘南が打ち上げた花火はあと2発。71分、臼井の素晴らしいゴロアーリーを坂本絋司が“元”ストライカーらしく左足アウトで流し込み4点目。最後は80分、アジエルのシュートがGKに阻まれたこぼれを田原が繋いで、トゥット。終わってみれば5-0と思わぬ大差で、湘南が勝ち点を39まで伸ばす結果となりました。ここまで12とリーグで3番目に失点の少なかった富山は、第1クール最終戦で今シーズン最多失点。後半に入って攻撃面で積極性が出たものの、「相手を放って攻撃に出ても、フィニッシュで終わらなかった」(楚輪監督)ために容赦なくカウンターを浴びる格好になりました。ただ、今日に関しては完敗でしたが、17試合で「100%以上力を出して戦った6勝5分け」(楚輪監督)という成績は見事。また違う試合を見に行きたいと思います。さて湘南は、反町監督の「後半最初のビッグチャンスが(富山に)入っていれば逆転されてもおかしくない、こんな点差が離れる試合ではなかった」という言葉も確かに頷けますが、それでも5ゴールを取り切った爆発力は圧巻でした。「勝ち点とチームが目指している所がいい方向にある」と坂本。また、最高に近いスタートを切ったであろう第1クールに水を向けられても「まだ前半30分が終わっただけで、あと60分残ってる。ここからが本当の勝負」と独特の比喩で表現したのは反町監督。手応えを感じつつも、慢心は感じられない湘南の“残り60分”は果たして如何に。ご注目を。 AD土屋
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J2第16節 草津×栃木@正田スタ

“北関東ダービー2009”と銘打って、チャンピオンカップまで用意された、水戸、栃木、草津による新ダービーマッチ。中でもU字工事がイジるのは茨城の方が多いものの、真のライバル心を抱いているのは栃木にとっても、やはり群馬のはず。ホームゲームであり、またJリーグの4年先輩である草津にとっては、“絶対に負けられない戦い”と言ってもいいでしょう。しかし序盤からペースを掴んだのは、J新入生の栃木。「両SBが上がるしCBが速くないこともわかっていたので、カウンターで受けることを意識した」という稲葉久人と石舘靖樹の俊足2トップを生かすべく、取ったら裏を狙う形を徹底。15分にはスローインを受けた稲葉が角度のない所からポストに弾かれるシュートを放つなど、シンプルに攻勢を仕掛けます。これに対して、草津は中盤でボールこそ動きますが、完全に“回させられている”印象。唯一の可能性は左SBの小池純輝の突破でしたが、フィニッシュを取れるまでには至りません。まるで昇格した年の大宮を彷彿とさせるような栃木の3ラインはコンパクトに保たれ、バイタルも堅固。26分には河原和寿の右クロスから、完全に裏を取った栗原圭介が惜しいボレーを放つなど、中盤両サイドの2人だけで簡単に崩すシーンも見られ、ボール支配率とは裏腹な流れで前半は終了しました。そしてスコアが動いたのは56分。草津陣内深くで熊林が中途半端なパスを中央へ蹴ると、これを栗原がカット。石舘が繋いで稲葉へ。「無心。よく覚えてない」(稲葉)エリア外からの左足シュートは右スミに吸い込まれ、やはり栃木が先手を取りました。セカンドも徐々に拾われ始め、まったくと言っていい程に攻め手を見出だせない佐野監督は68分、「サイドから崩したい」と熊林、櫻田和樹を下げて、玉乃淳とルーキー佐藤穣を送り込む2枚替え。中盤もボックスからダイヤモンド気味にシフトして、活路を求めます。しかし残念ながらボールの回りまで悪くなり、逆にゴールの予感は薄まるばかり。86分に玉乃が左サイドからドリブル、2枚味方が空きながらも選択したシュートは力なくGKの腕に収まり、のけぞるサポーター。時間帯と点差から「最後の10分間はバタバタしてちょっと危なかった」(栃木・川上典洋)とはいえ、後半も決定機はこの玉乃の1本に抑えた栃木が、「非常に気持ちの入ったゲームをやってくれた」と松田監督も称賛するパフォーマンスで、北関東ダービーを制しました。「中2日なので、出る以上は90分間戦えるフレッシュな足を持ってる選手を11人使った」(松田監督)と前節からスタメンを5人入れ替えて臨んだ栃木。最初の交替は85分と、最後まで全員の運動量は持続され、足が止まりませんでした。何より前節はラストプレーの失点で勝ち点3を逃しただけに、「1-0で勝てたことが嬉しい」と川上。コンビで決勝ゴールを奪った稲葉と石舘の2トップ、今シーズン初出場で中盤の防波堤を全うした伊藤淳嗣など、若い選手が結果を出しての勝利。ダービーということ以上に意味のある1勝だったのではないでしょうか。敗れた草津は「(前節の)湘南戦でできたことが全く出ずに完敗」という佐野監督の言葉通り。厳しいようですが、攻撃時の仕掛けどころ、守備時の奪いどころにコンセプトが感じられません。J2でもスキルは高次元の中盤4枚もボール回しに終始。特に熊林の良さがサイドに出ていることで消えているように見えました。個人的には今日も1人気を吐いていた小池をもう一列前で見たい気がするのですが。これで新加入の富山、栃木に連敗。今週末の岡山戦次第では、深刻な事態が待っているかもしれません。 AD土屋
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J2第15節 湘南×草津@平塚

折からの雨に加えて、ピッチ上では「大いにゲームを左右する」(湘南・反町康治監督)風が吹き荒れる中、先制したのは草津。6分、廣山望のCKから熊林親吾がシュート、DFがブロックしたこぼれ球を後藤涼がプッシュ。開始早々にリードを奪うと、8分には再び廣山のCKから都倉賢が惜しいヘディング。11分にも連続CKを獲得するなど、悪コンディションに対していい意味でアバウトにアジャストした草津がまずはペースを握ります。対して、ややデリケートさを見せた首位を走る湘南は、それでもたった1本のパスで局面を打開。26分、ジャーンが左サイドへと蹴ったフィードは、ワンバウンド目が伸びてDFラインをブレイク。走り込んだ山口貴弘が折り返すと、トゥットが流して、冷静に中村祐也がフィニッシュ。同点に追い付いて見せました。この前後から湘南の攻撃に勢いが出てきた要因として、中盤中央で坂本絋司、寺川能人、さらにアジエルがボールを触れるようになり、そこからギアを上げて速く攻める形が増えたことがありました。これには「相手のボランチが基本的には上がってこないので、バイタルをうまく使う」(湘南・田村雄三)という狙いが奏功していたことが挙げられます。また、草津の松下裕樹と小池純貴が揃って「ウチが守っている時より攻めている時にケアしていた」と話したアジエルが縦横無尽に動き始めたことで、草津の重心が下がらざるを得なくなったことも一因でしょうか。前半中盤からは湘南ペースでハーフタイムを迎えました。さて、後半は序盤から逆に草津の時間に。主導権を取ったのは右サイド。「1週間あったのでトレーニングした狙い通り」と語る廣山にボールが集まり、SBの佐田聡太郎も積極的な仕掛けで呼応。50分から58分までに5回のチャンスを掴むと、64分には敵陣でショートパスを10本以上繋いでサイドに展開するなど、「我々のスタンス」(草津・佐野達監督)も顔を覗かせ、首位のチームを押し込みます。74分には廣山のショートコーナーから佐田がクロス、二アで熊林が合わせますが、湘南GK野澤洋輔がファインセーブ。スコアは動きません。「同点というのもあって、トゥットの足が止まってから5分くらい考えた」末に反町監督は決断。76分、トゥットOUT、田原豊IN。これでまたも形勢逆転。77分にはアジエルのパスがDFに当たると、いち早く反応して抜け出したのは坂本。前節ハットトリックを演じた8番のシュートはわずかに外れましたが、81分には原竜太の投入でさらに前傾姿勢に。89分、寺川、アジエルと回して、田原の左足ミドルはゴールを激しく揺さ振るクロスバー直撃。90分+1分、アジエルのパスに全力で走った坂本のクロス、田原のダイビングヘッドはゴール右へ。そしてタイムアップ。厳しいコンディション下で共に持ち味を発揮する時間を作ったゲームは、双方に勝ち点1が分け与えられる結果となりました。湘南はどちらかと言うと、よりピッチや天候の影響を受けた印象です。3トップ中央に入ったトゥットは万能タイプですが、スペースを生かしたり、ドリブルに特徴のある選手。「風下の前半の方が逆に相手の裏を取るシーンはあった」(反町監督)ものの、後半はトゥットも含めた3トップが消えてしまった感は否めません。「後半(のエンド)が逆だったら。コイントスに負けた寺川のせい」と笑った反町監督でしたが、田原投入後を考えると、半分は本音だったと思います。草津はここ3試合崩壊していた守備面で粘りを発揮しました。「ある程度自分たちのサッカーができた」と小池も手応えを語っています。あえて言うなら、勝ちに行く交替策も見てみたかったなという部分。カードを1枚も切らなかった理由を「守ろうという意識はなかったので、このまま行って点は奪えるという判断」と佐野監督は話しましたが、ベンチに佐藤穣、玉乃淳とテクニックにアジリティの高い2枚が控えていたので、押し込まれた終盤に勝ち切るためのカードとして、どちらかを投入していても面白かったように、個人的には感じました。 AD土屋
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J1第12節 柏×鹿島@日立台

「立ち上がり凄くいい感じで入れた」(鹿島・青木剛)鹿島は11分までに2ゴール。鹿島の良さはもちろんですが、柏の悪さも際立つ中で特に流れへ乗れなかったのが、共に今シーズン初スタメンとなったボランチの鎌田と、1トップ下に入った澤。鎌田はキックオフから2回続けてミドルレンジのイージーなパスミス。これに気落ちしたのか、7分にはスローインで受けたボールを簡単にマルキーニョスに奪われ、山根がたまらずファウル。このFKから小笠原→興梠の先制点が生まれます。直後の11分には、澤が自らのドリブルで得たFKをクイックで始めたものの、味方と合わずにロスト。そこから左に展開されたボールをきっかけに、またも小笠原→興梠ラインで2点目を献上。14分にも左サイドを完全に崩されて、増田の決定機。これを菅野がファインセーブで逃れていなければ、早々に試合は終わっていました。この時間帯を「2トップを怖がってラインが下がり、バイタルが空いてしまった」と高橋真一郎監督は振り返りましたが、それ以前にまったくと言っていい程、戦う姿勢が感じられません。そして、ようやく落ち着いてきた頃には、2点リードしている鹿島の「チームとしてできているリスクマネジメント」(鹿島・オズワルド・オリヴェイラ監督)の前に攻撃面でなすすべなく、非常に厳しかった45分を終えることになりました。ここで残念ながら、澤のパフォーマンスに触れない訳にはいきません。まず、オフ・ザ・ボールの動きは皆無。ボールを持ってもペルー時代の名残か、ファーストタッチが大きくロスト連発。加えて守備での貢献度もほぼゼロ。厳しいようですが、前半は10対11でゲームをしているようなものだったと思います。高橋監督も後半開始から澤を諦め、大津を投入。期待も高かっただけに、澤にとっては何とも不本意な日立台デビューとなりました。さて、後半に入るといきなり柏がゴールを記録。50分、主役は大津。左サイドで菅沼に短い縦パスを送ると中央へラン。菅沼からの折り返しを、まったくのフリーで合わせて右スミへ。1-2、1点差。これでムードは一変。菅沼も1トップ下に入ったことで広範囲に動いて活性化を図り、左の大津と共に前へ前へと仕掛けていきます。57分には菅沼のFKを石川が折り返して、後半は見違えた鎌田が頭でゴール。これはオフサイドになりましたが、会場もヒートアップ。間違いなく流れは柏にありました。ただ、ここで動いたのは名将オリヴェイラ。本山を下げて今シーズン初出場の中田を投入すると、青木へ「右にポジションを取って大津をケアするように」と指示。中盤は右から青木、小笠原、中田、増田と、クアトロボランチ、あるいはトレス+やや前に増田、のような布陣にシフト。その時間帯の相手キーマンを潰しにかかります。これで柏は勢いが減退。さらに77分に小笠原が2枚目のイエローカードで退場する事態にも、すかさず興梠と新井場を交替。パク・チュホをボランチヘ移して4-4-1に。「サイドを徹底的に抑え、できるだけ中央にボールを出させてからロングボールを入れさせれば守りやすい」(オリヴェイラ監督)というコンセンサスの下に堅固なブロックを形成し、流れの中からは柏に1本のシュートも打たせません。追加タイムのヒヤリとしたCKも凌ぎ切り、ゲームをうまく壊してコントロールした鹿島が、懐の深さを感じさせながら勝利を挙げる結果になりました。鹿島は監督の采配もさることながら、その指示を体現できる選手が揃っていますね。89分に投入されたFWの田代が左サイドで時間を確実に潰し続けるあたりからも「やるべきことが情報整理できて、実行できるようになっている」というオリヴェイラ監督の言葉にも頷けます。さて、柏はそろそろ“内容は悪くないけれど結果が…”では済まされない状況ではないでしょうか。「後半の戦い方が最低限できるようにしなくては」と高橋監督。つまり、前半の戦い方は最低限ですらないということ。それでは当然勝てるはずはない訳で。「もう1点、2点取れれば良かったが力が足りない」(高橋監督)のであれば、その責任の所在は選手か監督か。決断の時は近付いているかもしれません。 AD土屋
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J1第11節 浦和×川崎@埼スタ

近年両者が積み上げてきた実績を考えれば、この対戦は地上波でも時間を割いて紹介するようなビッグマッチ。浦和と川崎の一戦は埼玉スタジアムです。キックオフ前の気温は29.3度。ハードな連戦の最後とあって、ゲームが始まってもお互いになかなかギアが上がりません。ポンテを欠いた浦和はなかなかパスが回らず、「簡単なクリアを僕らが追い掛ける形が多かった」とは今季初スタメンのエスクデロ。最初の15分こそ攻勢に出たものの徐々に勢いを失い、シュートにまでボールを繋げられません。対する川崎も「攻守の切り替わった瞬間は狙ってた」(川崎・中村憲剛)中、どうしても縦1本で勝負するパスが多くなり、前線との呼吸も噛み合わず、有効打を繰り出せない時間が続きます。こうなるとゴールの可能性が高いのはセットプレー。案の定、31分にはエスクデロのCKをエジミウソンが頭でねじ込み、前半は浦和が先制して折り返しました。「またリスタートから失点する苦しい形」(川崎・関塚隆監督)を強いられた川崎。後半は開始からゴールを奪いに行く姿勢を打ち出し、50分にはチョン・テセ、谷口と繋いで、ヴィトール・ジュニオールが決定機。ここは都築のファインセーブに阻まれますが、関塚監督は55分に左SBの村上に替えてレナチーニョを投入。人の配置も変えて勝負に出ます。すると2分後、右SBから左SBに移った森がエリア内へクサビを打ち込み、チョン・テセが柔らかく落としたボールをジュニーニョ。試合は振り出しに戻りました。さて、追い付かれた浦和は運動量の低下が顕著に。フィンケ監督も動き、58分には原口から高原へ、63分には足がつったエスクデロから「スピードのあるプレーがなかなかできていなかったので非常に瞬発力のある」(フィンケ監督)19歳の高橋へと2枚のカードを相次いで切ると、こちらもスコアに直結。64分、CKの流れから得たスローインを高原が粘って中へ。阿部が流すと、上がっていた闘莉王の左足が炸裂。またもセットプレーで浦和が突き放しました。それでもまだゲームは動きます。71分、レナチーニョからのパスを受けたジュニーニョが闘莉王のタックルを受けて転倒すると、西村雄一主審はPKの判定。位置もエリア内ギリギリだったこともあって浦和の選手は猛抗議しましたが、当然判定は覆らず。レナチーニョが冷静にGKの逆を取って再び同点に追い付きます。そこで切り替えがうまくできなかった浦和は、何となく前掛かってしまった印象。そこを冷静に突いたのは中村でした。76分、中央でボールを持つと戻り切れていない相手を尻目に、走り出したレナチーニョへ深いフィード。レナチーニョが追ってきた坪井をスクリーンしながら中へ送ると、並走した闘莉王を振り切ってフリーになったチョン・テセがプッシュ。「PKの後、この試合の敗戦への道が開いてしまった」とフィンケ監督が表現した、浦和の不安定な時間を狡猾に突いた川崎が、常に先行される展開を最後で逆転し、埼玉スタジアムでの連勝を3に伸ばして勝ち点3も獲得しました。浦和はPKこそアンラッキーでしたが、柏戦同様全体的に動きが重かったように感じました。ポンテ不在の影響がなかったとは言いませんが、代役のエスクデロをうまく生かす意識も希薄。勝ち点3を奪うには少し足りない内容だったと思います。川崎で光ったのは後ろの若い3人。寺田の負傷で23分からCBに投入され、55分から右SBに回った井川、スタートはボランチで55分からはCBを務めた横山、そして90分でパートナーが3回変わったCBの菊地。この3人が与えられた守備のタスクを混乱することなく遂行したことで、流れの中から危ないシーンを迎えることはほとんどありませんでした。「全力を尽くした一戦」(関塚監督)で結果を出したものの「僕の計算では5ポイントくらい足りない」(同)チームにとって、十分起爆剤たりえるものになりそうな今日の勝利だったのではないでしょうか。 AD土屋
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J1第11節 千葉×広島@フクアリ

大枠で捉えればイビチャ・オシム時代の千葉からスタイルを継承したような、ペトロヴィッチ監督率いる広島。今やそのスタイルを大きく転換した“本家”との一戦は、元チームメイト同士も多く混在する興味深いカードです。スタートは広島がポゼッションで大きく上回る入り方。11分、森崎和、佐藤寿と繋いで、柏木がラストパスを送ると高萩はフリーで左足ボレー。「我々のサッカーはいかに後ろから飛び出して前のスペースを使うか」というペトロビッチ監督の言葉を体現する「ウチらしいゴール」(森崎和)でまずは広島が先制します。しかし、ゴールを奪ってからはそれまでの攻勢から一転、守備に回る時間が長くなる展開に。その理由の1つは、中盤付近でのボールロストが多くなったこと。序盤はなかなか前からプレスがかからなかった千葉も、失点後は「高い位置でボールを取って攻撃したい」(千葉・巻誠一郎)意識がよく現れ、特に縦へと入れられたボールに対する速いアプローチから、パスカットを連発。そこからサイドへ散らしてカウンターという形を何度も繰り出す内にすっかりペースを握り、まるで広島のような細かいパスワークで、相手を自陣に釘付けにするシーンまで見られるようになっていきます。それが結実したのは39分。中盤で下村がボールを奪うと素早く左へ。反応したのは、ここまで2度決定機になりかけたシーンを潰していた深井。「前の2つは消極的だったのでこれは決めないと」とダイレクトで振り抜いた左足にクリーンヒットしたボールは右スミに突き刺さり同点。そして44分、「相手は前に3人残るので、中の人数が少ない。ボックスの中での1対1を外せればと思って」蹴った中後のCKは広島GK中林が目測を誤り、槙野を外した巻が豪快にヘッド。前半の内にスコアを引っ繰り返して見せました。さて、リードを奪ったミラー監督は後半に入ると「前に出過ぎていた」アレックスを1トップ下から少し下がった位置に落とし、中後、下村とフラットに並べる中盤の構成を選択します。しかし、中盤の攻防は「前半の方がハマっていた」(中後)上に、「11番(佐藤寿)にDFラインが引っ張られて、全体が下がった」(同)ために、ほとんど自陣に引きこもるような格好になっていきました。58分に谷澤から工藤、68分に深井から米倉と、切ったカードの特性から4-3-3というより4-5-1気味にシフト、加えて中後と斎藤もスイッチし、守備的なメッセージをピッチに送ります。この状況下で広島も68分から72分までの5分間で3枚の交替を使いきりますが、引かれた中での「もう一工夫」(槙野)に欠け、手詰まりに。また、いつも通りとはいえ、終盤は必ずストヤノフに付けて、彼のアイデアに頼る姿勢があまりにも強過ぎた印象も。「フリーだといいボールが出てくるけど、ケアできていたので楽だった」(中後)というのが千葉の率直な感触だったようです。結果、シュート数では8対22て大幅に上回られた千葉が最後は耐え切った形でホームでの初勝利を飾りました。敗れた広島は「疲れもあってか若干精彩を欠いた」(ペトロヴィッチ監督)感は否めません。特に後半は前述した通りストヤノフに集め過ぎて、1点目を奪った時のような細かいパスワークと2列目以降からの飛び出しがなくなってしまいました。審判の判定に言及する声も聞こえましたが、今日に関しては相手にうまく封じ込められてしまったと思います。勝った千葉は、少ないチャンスながら狙った形からの見事な2ゴール。後半も攻め込まれる時間が続いたものの、粘り強く対応していました。終盤で守備が崩れて勝ち点を失うゲームが多かった中で「失点しないで勝てたのは成長している証拠」と深井。千葉はこの勝利を次戦以降にどう繋げるか注目ですね。 AD土屋
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J1第10節 柏×浦和@国立

いわゆる“ロジック”と言われる部分は勿論フットボールを解す上で必要不可欠なもの。ただ、今日のゲームを左右したのは“意識”の部分だったというのが個人的な見解です。先制したのは浦和。11分、ポンテのFKを闘莉王が頭で繋いでエジミウソンが押し込み、早々にリードを奪います。スリッピーなピッチ状態もあってか、あまりショートパスが繋がらない浦和でしたが、「去年までと少しイメージが違う」(柏・高橋真一郎監督)相手に「下がってしまった」(同)こともあって、柏はほとんど攻められない時間を強いられる展開に。それでも次のゴールを挙げたのは、劣勢のホームチーム。24分、ここ数試合のSB起用でオーバーラップのタイミングを掴みつつあった小林が、細貝との1対1から抜け出してクロスを送り、ニアに北嶋がダイブ。ゲームを振り出しに戻すと、38分には菅沼のFKを近藤と坪井が競り合い、こぼれ球を石川が左足一閃。これが左ポストに当たりながらゴールに飛び込む逆転弾。4本のシュートで2点を奪った柏が、効率よく勝ち越しに成功して、ハーフタイムを迎えました。前線の4枚にいつものような流動性、そしてコンビネーションが見られず、「美しいプレースタイルではなかった」とフィンケ監督も厳しい言葉で表現した浦和でしたが、後半も序盤から攻勢に出るのは浦和。開始から原口と交替で出場した高原の存在で、前線にはフタがされた格好になり、機能的なパスワークを履行するのは難しくなりましたが、逆に縦へのボールかポンテのアイデアで押し切りに行くという意味では、ビハインドの状況も相まって、やることが統一された印象はありました。一方の柏は56分、最前線で奮闘した北嶋に替えて「カウンターを狙えるかな」(高橋監督)と大津を送り込み、そのまま1トップに配置。ただ、かなり押し込まれた状況でカウンターを狙えたのは、大津が俊足の坪井と互角に走り切ってスタジアムを沸かせた1回くらい。大津本人も「なかなか前を向けるシチュエーションはなかった」と語り、以降柏にチャンスの香りはますます薄くなっていきます。68分、フィンケ監督は山田直輝を下げてエスクデロを投入。4-3-3気味に攻勢を強める選択を明らかな形で打ち出した中で、76分には柏に3点目の絶好機。菅沼がCKのクリアを拾ってクロス、近藤はフリーでヘディングするもわずかに枠外へ。この後半最初にして最大の決定機を逃し、81分に見せた左右への揺さぶりから掴んだチャンスを山根が消極的なパスで逸すると、闘莉王を前線に上げて、ゴールを奪いに行く“意識”を見た目からでも徹底した浦和に、勝利の女神は心を傾倒させていきました。迎えた84分、ポンテのCKからゴール前の混線を柏DFはクリアしきれずにオウンゴール。2-2。87分、エジミウソンが右サイドを力強く抜け出し、中へ送るとまたも混線に。しかし、柏DFのクリアをエスクデロが体に当てると、ボールはゆっくりとネットへ到達。2-3。浦和逆転。89分に最後のカードとして切られたフランサも追加タイム含む5分では仕事にならず、浦和は2試合続けて劇的な勝利を収め、再び暫定首位に帰り咲きました。浦和はハッキリ言ってよくなかったです。パスも繋がらず、運動量も少なく、疲労感は明らかでした。それでも奏功はしなかった高原の投入、直接はゴールに繋がらなかった闘莉王の前線配置、結果から見れば因果関係はないかもしれませんが、フィンケ監督がチームに与えたメッセージは伝わったはずで、それが“意識”としてチームに力を与えたように、私には見えました。敗れた柏にはそれがなかった気がします。後半は守備に重きを置くというより、守備を余儀なくされる展開。ならば、疲れの見えたボランチ2枚のどちらかを替える、あるいは闘莉王が前線に来た段階で、前を1枚減らして鎌田を投入し、古賀を闘莉王にマンツーマンで付けるなど、1点のリードを守り切る“意識”を徹底することもそうですし、カウンターに可能性がなかったのであれば、フランサ投入によって前で時間を使わせることも有効だったかもしれません。柏側から見ればどこか中途半端な“意識”が招いた、ある意味避けられない逆転負けだったような気がします。 AD土屋
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J1第9節 浦和×新潟@埼スタ

ゲームは61分以前と61分以後に大きく分かれます。前者は非常に興味深い内容、後者は残念ながら新潟が「しっかり守って勝ち点1を取る」(新潟・鈴木淳監督)戦い方を余儀なくされてしまいました。今日のポイントとして注目していたのはサイドの攻防。浦和はある程度SBが自重する代わりに、サイドのスペースには前の4枚が流動的に入ってきます。「中に入ってきたら本間がしっかり付く。あとはマークの受け渡し」(鈴木監督)がどの程度徹底されるか。また、「非常に才能のある選手が前線に揃っている」(浦和・鈴木啓太)新潟の3トップ+マルシオ・リシャルデスと、左SBのジウトンへ浦和がどう対応するか。これが鍵を握る気がしました。序盤は浦和がペースを掴みますが、徐々に新潟が攻勢に。左サイドでペドロ・ジュニオールとジウトンが積極的な仕掛けで主導権を奪います。浦和の中盤は流動的とはいえ、基本は右にポンテ、左に山田直輝を配置。ただ、ポンテは中央にポジションを取る傾向が強く、特にハーフカウンターで新潟が左サイドを使うと、浦和は右SBの山田暢久1人か、カバーに来た選手との2人で対応。ここで押し込まれた印象は強いです。11分から30分までに7本のCKを集中させたのも、サイドから押し込んだ1つの指標になるでしょうか。それでも30分以降は再び浦和の時間が訪れます。この前後から常にではないものの、両サイドに山田直と原口が開いて中央にポンテという形が多くなり、新潟の両SBが抑制されたような印象。さらに守備面とは対照的に、ボールが入ったら“違い”を発揮するポンテの中途半端なポジショニングを捕まえ切れなくなったことも、浦和のポゼッションに影響を与えていたと思います。この流れは後半に入っても続き、ボールが回り始めた浦和が攻勢になっていきました。それだけに残念なのは61分。マルシオ・リシャルデスが2枚目のイエローカードで退場。「浦和の攻撃力とウチの力からいって、しっかり守って勝ち点1」(鈴木監督)が新潟に残されたプランになりました。その後はペドロ・ジュニオールを前に残した4-4-1の新潟を浦和が攻めあぐねる展開。「10人になってからやりづらくなった」(浦和・都築龍太)「1人いなくなった方が難しい」(山田暢)と口を揃えた中で、最後は追加タイムも4分を回ったラストプレーのCK、ポンテのボールを闘莉王が「お待たせしました」というリーグ戦初ゴールを頭で叩き込んで勝負あり。「幸運も手伝った形で」(浦和・フォルカー・フィンケ監督)浦和が勝ち点3を手にしました。61分までは非常に見所の多い展開だったので、その後の新潟の対応策も見事ではありましたが、やはり最後まで11対11でやって欲しかったゲームでした。サイドの攻防で考えると、61分まではほぼ互角ながらやや新潟に分があったような気がします。そして、その後にチョ・ヨンチョルと田中という交替カードがどうサイドを活性化するか、また、浦和のアレックスがどうやって特徴を出すかも見たかったですね。 AD土屋
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J2第12節 湘南×C大阪@平塚

開幕以来、快調に勝ち点を積み重ねてきた湘南とC大阪。今日は1位と2位が直接激突するJ2頂上決戦にゴールデンウィークが重なったこともあってか、平塚競技場には10,376人ものサッカー好きが集合しました。最初の決定機を掴んだのはC大阪。5分、濱田武のFKがファーに抜け、フリーの江添建次郎が至近距離から頭で合わせるもボールはクロスバーに。開始早々に起きたこの逸機が、後々考えるとゲームの流れを方向付けることになっていきます。前節、田原豊とアジエルが退場したため出場停止。トゥットと中村祐也がスタメンに名を連ねた湘南は「田原がいなかったので前線で時間を作れなかった」(湘南・反町康治監督)こともあってキープ率でも劣勢に。22分には濱田のCKから最後は香川真司がミドルを狙い、GK野澤洋輔が何とかセーブ。30分にはカイオのミドルが再び野澤を急襲するなど、C大阪に惜しいシーンが頻発。ゴールが生まれそうな時間帯が続きます。しかし、実際にスコアを動かしたのはホームチーム。33分、「3バックの1人が出てくるので、必然的に2バックになる」(反町監督)相手の戦い方をまさに突いた鋭いカウンターが炸裂。トゥットから受けた坂本絋司が中央へのパスを選択し、中村はGKとの1対1を冷静に左スミへ。「抜け目のないシーン」(反町監督)を一発で生かした湘南が先制点を奪いました。それでも直後の36分にはC大阪にまたもや決定機。石神直哉の左クロスに香川が頭から飛び込むと、今度は叩きつけ過ぎてバーの上へ。「崩しの中から数多くの決定機を創れた」(C大阪・レヴィー・クルピ監督)C大阪は、ゴールという果実を1つももぎ取れないままに45分を終えることになりました。後半は、「とにかくゴールを奪いに行くC大阪と、ひたすら守ってカウンターの湘南」(クルピ監督)という構図が一層鮮明に。ただ、それでも反町監督は「バイタルのスペースを考えるとダブルボランチは良い処方箋だが、そんなことしたらやられる」と4-3-3を貫徹。3トップのワイドを担った阿部吉朗と中村も守備に奔走し、中央はアンカーの田村雄三が睨みを利かせ、相手の長所である細かいパスワークを寸断させていきました。66分、まったくチャンスを創り出せなくなった状況にクルピ監督が業を煮やして決断。2枚のカードを同時に切って、3-6-1から4-4-2へ移行します。70分にはマルチネスから絶妙のスルーパスが繰り出されますが、香川は痛恨のトラップミス。そしてこれがC大阪にとって後半最初の決定機であり、同時に最後の決定機に。90分間守備面の集中力を切らさなかった湘南が「どっちに転んでもおかしくない試合」(反町監督)を勝ち切り、再び首位へと躍り出る結果を得ました。試合後、クルピ監督は後半に関して「湘南のディフェンス意識がさらに高くなったのでうまくいかなかった」と振り返りましたが、自滅した感は否めません。イージーミスが多く、パスの繋がる本数もいつもより少なめ。相手のタイトなプレスにドリブルでの打開も封じ込められます。さらに、システム変更も裏目に。2トップの一角として送り込まれた小松塁はほとんどボールに触れず、香川と乾貴士も中盤4枚の両サイドに置かれたことで距離が遠く、“コンビ”で与える脅威は霧散してしまいました。強固なブロックを高いレベルで構築された時の崩し方が、課題として抽出されたのは間違いありません。湘南は不動のレギュラーを2枚欠く中での勝利。ただ、今日に限っては押される展開で「阿部と中村が守備にも行ったことでSBの負担は減った。逆にフレッシュな選手を使えたのが奏功した」(反町監督)という側面もあったようです。あとは「最後のCKとか(声援が)凄かったね。ああいう一体感はいい」と反町監督も絶賛したサポーターの強力な後押しも見逃せません。ここまでの9勝中、1点差が6試合。粘り強く勝ち点を積み重ねている湘南が今シーズン、J2の主演キャストとなるのはもう間違いなさそうです。なお、ゲーム外のトピックとして、野澤洋輔の200試合出場記念で花束を贈呈したのが、普通にスタメンとして野澤の後ろに並んでいた寺川能人だったこと。ハーフタイム中にキングベルⅠ世が転倒した際、まさかの“首”だけ転がっちゃった事件が起こったことを追記しておきます。 AD土屋
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J1第8節 大宮×山形@NACK5

J2を昔から見ていた人にとっては、大宮と山形が“大宮公園”でJ1の公式戦を戦う、ということに感慨を覚えるかも知れません。実際、自分も結構グッと来ましたし。双方のクラブが努力して努力して、苦労して苦労して辿り着いたトップディビジョンでの再会は、しかし先輩にとって厳し過ぎる結果となりました。スタジアム中が集中しきれていない開始1分、ゲームは動きます。動かしたのは山形。右サイドのスローインから古橋が一発で裏を取って中へ送ると、長谷川が頭で流し込んで早くも先制。続けて2分にもマトのクリアミスから古橋が決定機を迎えるなど、いきなり重いパンチを繰り出します。すると勢いそのままに13分、右サイドから秋葉がクロス、空いた大外で古橋がボレー、DFに当たったこぼれ球をまたも長谷川がプッシュ。「古橋さんが色々な所でボールを受けてくれるので、ゴール前で待っていられる」と話す21歳の2ゴールで、アウェイの山形が大きなアドバンテージを手にしました。「あまりにも早いタイミング」(大宮・張外龍監督)で2点を追う形になった大宮。リードを得て、ある程度ブロックを形成した山形に対して、「ボールは回せるけどシュートまで行くのに時間をかけ過ぎた」とは張監督。チームコンセプトである“速い攻撃”は鳴りを潜めます。22分、塚本の右クロスからデニス・マルケスが二アで合わせ、ゴールネットを揺らしながらオフサイドになったシーンと、31分に同じく塚本の右クロスを石原がゴール左に外したシーン、この2回はサイドまでの速い展開が生きましたが、それ以外は完全にノッキング状態。“持たされた”ままに時計の針ばかりが進み、前半追加タイムに橋本が放ったFKも山形GK清水がファインセーブ。打開策を見出だせないまま、ハーフタイムを告げる笛を聞くことになりました。後半は一層大宮がボールキープ、山形が凌ぐ構図が色濃くなっていきます。特に前半の終盤くらいからは大宮左SBのパク・ウォンジェがかなり前に出てくる回数が増え、対面していた山形の右SB小林も「個人的にはキツかった」と一言。それでも粘り強い対応は続き、小林監督も「スペースを与えなかったので、サイドからのクロスは(大宮FWの)メンバーが替わらない限り厳しいのでは」と、ある程度は対処できる計算もできていたようです。苦しくなった大宮も76分にCBの富田を外してFWの藤田を投入、3トップで勝負に。80分にはデニス・マルケスのクロスをGKがこぼし、石原が枠内に飛ばしましたが、「自分のミスから始まったので」と言うFWの古橋がゴールライン上でクリア。1点を奪えません。そしてゲームは86分に決着。長谷川の惜しいシュートで得たCK、時間稼ぎの雰囲気から一転した宮本のドリブルに内田がたまらずエリア内でファウル。古橋が沈めて、0-3。「自分たちが100%出して戦っていけば、やっていける自信はみんな持ってる」(古橋)山形が、さらに自信を深めたであろう痛快な快勝劇で、今季4度目の勝ち点3を奪取しました。敗れた大宮は、デニス・マルケスがこのゲームではブレーキに。「今日は90分使ったが、やっぱり選手たちが(デニスを)中心にやろうとする。速さが出てこなかった」とは張監督ですが、適性を見ればある程度の予想はつきそうなもの。ボールが入った時には“予感”も十分持ち合わせているだけに、スタイルの犠牲になった感は否めません。コンディション的には共にいいとは言えない中のゲームで「チームとしてやることが明確」(長谷川)な方が、結果を得たという意味でも0-3というスコアも妥当な印象を受けました。 AD土屋
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J2第10節 横浜FC×札幌@ニッパ球

19分、札幌の西嶋弘之が2枚目のイエローカードで退場に。この早過ぎる“事件”がゲームの流れを単純で複雑なものへと変えていくことになりました。強い風が吹くコンディション下で風上を選択したこともあり、そこまでペースを握っていたのは横浜FC。札幌は4-2-3-1ながら「クライトンが前に入り過ぎてなかなかリズムができない」(札幌・石崎信弘監督)中で、シュートすら打てない時間が続きます。そんな状況で迎えた19分。これを受けた石崎監督は「何とか攻撃に転じたい。できるだけ前にタメができればサイドも上がれる」と、3-4-2を選択。3バックの中央には「話はずっとしていた。1回やったかな」という西大伍を置く、かなり思い切った采配を振るいます。すると横浜FCは、「3バックだからサイドを突きたかった」(横浜FC・難波宏明)意識はありながら、実際は「相手の前で回してるだけ」(横浜FC・樋口靖洋監督)か、工夫なく前に蹴って跳ね返されるか。数的優位後の25分あまりで1本のシュートも打てないままに、前半はスコアレスで折り返しました。すると、一瞬の隙を突いたのは札幌。後半開始早々の48分、砂川誠のスローインを受けたクライトンが左サイドからスルスルとカットイン。右足から振り抜かれたボールはゴール右スミにパサッと収まり、札幌がゲーム最初のシュートで見事に先制点を奪ってみせました。さて、なかなか人数上の優位性を生かせないホームチームの中で、目立っていたのは左SBの片山奨典。50分、51分と続けて左からのクロスで決定機を演出するなど、相手に脅威を与えます。ここで再び石崎監督は決断。「(札幌の)右サイドを突いて来られたので安定させたいが、(交替を受けて)これで守ればいいとなるのが怖い」と64分まで引っ張ってから、FWの宮澤裕樹に替えて芳賀博信を右SBとして送り込み、4-4-1へ。残り時間は守備を固めるメッセージを示します。これに応え続けたのはチョウ・ソンファンと吉弘充志のCBコンビ。空中戦はほぼ完勝で、樋口監督が残り15分で切った最後のカード・長身FWの御給匠も封殺。GKの荒谷弘樹も「サイドに展開された方がイヤだったが、パワープレーで来てくれた」と語るなど、強固な守備は試合終了のホイッスルが鳴るまで貫かれ、70分近くを10人で戦った札幌が今季初の連勝を達成しました。試合後、「1人少なくなって逆に難しいゲームになった」と振り返った樋口監督。11人のチームが10人のチームに負ける典型的な展開でしたが、それにしてもアタッキングサードでの単調さはため息モノ。「相手のイヤな所をみんながどんどん突いていかないと」と難波が語ったように、自分たちが有利な状況にあっても“応用問題”を解く力はまだまだこれからの課題でしょうか。勝った札幌は掛け値なしで素晴らしかったと思います。石崎監督の対応力ももちろんのこと、そのアイデアを苦しい中で選手たちが120%体現していました。「一番嬉しいのはチームが1つになって戦ってくれたこと」とは石崎監督。ホームチームを凌ぐ声援を送ったサポーターの前で、災いを福に自ら転じさせた札幌の逆襲がいよいよ幕を明けたかもしれません。 AD土屋
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J1第7節 大宮×新潟@埼スタ

大宮は2005年、新潟はその前年の2004年。初昇格からそれぞれ4シーズンと5シーズン、苦しい時期も乗り越えてきたことで今や完全にJ1クラブというイメージが定着した両雄にとっては、99年以降1シーズンを除いて常にリーグ戦で激突してきた、いわばライバル的な存在との対峙。これが“リアル”オレンジダービーです。スタイルは共に堅守速攻型。システムも大宮の4-4-2に対して新潟は4-3-3でしたが、守備時においては、大宮がFWの1枚を相手のアンカー本間までプレスバックさせ、新潟も3トップのワイドが相手のSBをケアすることで実質4-1-4-1になるので、かなりガッチリ噛み合う展開に。加えて、どちらもDFラインの設定が低く、「ピッチ状態もあってなかなか裏で受けられない」(新潟・矢野貴章)膠着した時間が長くなっていきます。その中でも新潟は13分に1つの狙いを体現。大島のポストプレーから矢野が繋いで、内田がクロス。チョ・ヨンチョルが二アでスルーして、松下がクロスバー直撃の惜しいシュート、と綺麗な流れを創出しました。大宮は16分、橋本のFKからマト、藤田と渡り、最後は藤本がボレー。クロスバーをかすめて外れましたが、崩し方は上々。ただ、決定的なシーンはお互いにこの1回のみ。スコアレスで最初の45分間は消費されました。「前半はイージーミスが凄く多かったし、攻守の連動性がまったくなかった」と鈴木淳監督が嘆いた新潟。修正を施したはずのハーフタイムを経ても、「さほど動きの量、質とも変わらなかった」(鈴木監督)ためか、ほとんどセカンドボールを拾えるようになっていたホームチームに流れが傾いていきます。それでも、張外龍監督は「相手の3枚の中盤の速攻にちょっと遅れていたので(大宮の中盤も)3枚にしたかった」と56分に小林を下げて土岐田を投入。石原を右の中盤に配し、橋本を「2ボランチのちょっと前」(橋本)に置いた4-2-3-1にシフト。結果的に、この変更で藤田、その後に入ったデニス・マルケスと1トップが孤立し、独力での打開に最も可能性を感じさせた石原もサイドに押しこめられ、逆に攻撃は手詰まりに。さらに65分にはマトが自陣で軽率なロスト、独走したマルシオ・リシャルデスのシュートミスに助けられますが、この辺りを境にして明らかにゲームの潮目は変わっていきました。そして奮闘したデニス・マルケスのシュートがクロスバーに阻まれた89分から3分後、決勝点は生まれます。コーナースポットに歩み寄ったマルシオ・リシャルデスはショートコーナーを選択、田中からのリターンを受けると「味方が触っても触らなくても、常にゴールを狙って危険なボールを蹴っている。いいボールが蹴れた感触」というキックを中へ。これがGK江角の頭上を破り、雨に打たれながらも声を張り上げ続けたゴール裏サポーターを歓喜の渦へ。「しっかりアウェイで勝ち点を取る」(本間)という今季のチーム目標に最後の最後で勝ち点2を上乗せして、新潟が3試合ぶりの白星を挙げることに成功しました。勝ち切った新潟で目を引いたのは今季初先発のチョ・ヨンチョル。ペドロ・ジュニオールが契約上出場できない中、「いつもやってるやり方」でアクセントに。田中投入後は中盤3枚の一角として「練習の時もやってきた」と役割をまっとう。2つのポジションを難なくこなす汎用性に加え、90分間走り切る運動量も証明してみせてくれました。大宮では、こちらも韓国人のパク・ウォンジェがやはり今季初先発。左SBと、途中からはボランチの一角を担いましたが、まだコンディションの問題からか明確な持ち味は発揮できなかったのではないでしょうか。起用法も含めて次節以降に期待したいと思います。しかし、5月目前とは思えない寒さの中、最後まで戦った両サポーターの皆さん、お疲れさまでした。 AD土屋
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J2第9節 水戸×横浜FC@笠松

7試合負けなしの4位と、序盤戦における台風の目になりつつある水戸。今日の相手は、開幕からいまだに勝利のない横浜FC。無敗記録の更新か、はたまたシーズン初白星か、個人的に注目のカードを見に、今日は笠松へプチ遠征を試みました。システムはどちらも開幕から4-4-2を継続。共に中盤はフラットに近いボックスですが、水戸の方がポジションの流動性はあります。ゲームは、開始から横浜FCが水戸を圧倒。「連動したプレッシングと近い距離でのパスワーク」(横浜FC・樋口靖洋監督)で、完全に主導権を握ります。7分には片山奨典のアーリークロスを御給匠が頭で落とし、最後は八角剛史が飛び込みボレー。水戸GK本間幸司のファインセーブに阻まれますが、崩し切った形を創り出しました。横浜FCが好リズムを生み出した要因をもう1つ挙げれば、御給のポストプレーでしょうか。チームのターゲットとして、高低問わずよくボールを収めて繋いだことでサイドの上がりも促進。前半だけで8本獲得したCKは、ゴールにこそ結び付かなかったものの、御給のポストワークの貢献度が高かったと思います。さて、水戸でその役割を期待されたのは高崎寛之でしたが、チーム自体が「高崎と荒田にボールを預けて、何とかしてくれという感じ」(水戸・木山隆之監督)と単調なフィードが多く、なかなかボールを収められません。それでも17分には、森村昂太のクロスを高い打点のヘディングでポストにぶつけ、個の強さは見せました。その後も横浜FCの時間が続く中、ビッグチャンスを創り出すまでには至らず、ゲームの針は大きく揺れながらもスコアは動かないままに前半は終了しました。後半も「プレスが掛からないというか、プレスにも行ってない」と木山監督を嘆かせたホームチームを尻目に、横浜FCが攻撃する時間が長い展開に。47分には須藤右介が頭で狙うも、GK本間がキャッチ。63分にも三浦淳宏のFKから池元がシュートを放つと、これは水戸DF星野圭佑が体でブロック。押し込みながらジリジリする時間が続きます。何とか劣勢を跳ね返したい木山監督も、58分の金澤大将に続いて、71分には吉原宏太を送り込み、その吉原を2トップ下に置いて中盤をダイヤモンドに移行することで「少しやりたいことができかけた時間」(木山監督)を創りますが、「いい形に持っていけなかった」(同)と持続せず、再び耐える時間を強いられます。樋口監督も76分に決断。三浦淳と御給を諦め、カズと難波宏明で最後の勝負に出ました。そして、その選択は最高の形で報われます。スコアボードの時間表示も消え、追加タイムに入った直後、加入後3試合で中盤の要になったチョン・ヨンデから縦へ出たボールをカズが繋いで、最後は難波が右スミへ。悩めるエースの劇的弾にベンチも沸騰。土壇場での決勝ゴールで、9節にしてとうとう横浜FCに歓喜が訪れました。「凄く嬉しいです」と笑顔を見せた樋口監督。「90分イニシアチブを取っていた」(樋口監督)中、「本来我々がやりたかったことが多く出せた」(同)ことも大きな収穫。ゴールは最後の最後まで待たされましたが、内容に結果も伴った勝ち点3だったと思います。一方の水戸は「負けに値する試合。自分たちのよさを何ひとつ出せなかった。すべての面で相手が上回った」と木山監督もおかんむり。残念ながら、最近の好調さは見る影もなく、まさに完敗でした。18位の横浜FCが4位の水戸を圧倒して勝利する、といった辺りに今シーズンの“戦国J2”っぷりがよく現われているかもしれません。試合を通じて、私がグッと来たのはスコアボードの掲示。リプレイが流れるようなビジョンではないんですが、セットプレーの度にカラフルな字体で、“Match your mind”“Catch the chance”が出てくるのはよかったですねえ。あとは、やっぱりパエリアと唐揚げが同時に食べられるスタジアムは、笠松しかないと思います。 AD土屋
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J1第6節 浦和×京都@埼スタ

「この結果が続くと、レッズにはイタリア人の監督が来たのではないかと思われる」とは会見での浦和・フォルカー・フィンケ監督。ユーモアたっぷりに真顔で表現した結果は、3戦連続でのウノセロ。すなわち1-0での勝利。原口や山田直輝とアタック陣に期待の若手がいるためにあまりフューチャーされませんが、この好調を支えているのは間違いなく安定感を増した守備陣です。象徴は「みんなの意識もだいぶ変わってる」と話す闘利王。メンバー表に記載されている今季のゴール数はゼロ。試合後に出される公式記録のシュート数は、後半CKから放ったヘディングの1本のみ。身上でもある攻撃参加を封印して後ろに鎮座することで、チームに落ち着きを与えています。また、前へチャレンジする機会が多かった左の細貝を受けて、ゲームの大半を後ろで過ごした右SBの山田暢久もバランスを優先した1人。「徐々に連携も良くなってるし、まだまだ良くなる」 と手応えを感じている様子でした。また、フィンケ監督は「エジミウソンがゴールを決めているのはしっかりとした守備をやっているから」とFWの守備意識にも言及。「90分間みんなが同じ感じで走ってる」とエジミウソン自身も変化を口にしています。あとは、「チャンス創りまくってるんで、入れるところは入れとかないと」(闘利王)「決められる所は決める」(鈴木)「何とか頑張って取ってもらいたい」(山田暢)と声を揃えた、2点目を決め切る力。10回近く迎えた決定機の内、結実したのは最初のエジミウソン1回のみ。守備の安定があるとはいえ、「1-0というのはある意味危険な状況」(フィンケ監督)ゆえに、これをクリアすると浦和の強さは本物だと言えるのではないでしょうか。さて、敗れた京都にとっては苦しい90分間でした。「スタジアムの空気に圧されて、気持ちの面で消極的になった」(京都・加藤久監督)矢先に7分で失点。完全にDFラインの裏をポンテに突かれただけに、それ以降は「余計に前に出ていかなくなってしまった」(加藤監督)ため、前半はDFの角田と水本のシュート2本のみ。ディエゴとパウリーニョにもボールが収まらず、攻撃での連携を見せるまでには至りませんでした。ようやく決定機を掴んだのは66分。しかし佐藤のシュートはクロスバー直撃。以降、比肩しうるようなシーンは創れず、力負けの感は否めません。ただ、CBを並べた4バックの構成や守り方、林や加藤弘堅といった交替カードなど、興味深い部分もありました。加藤監督は「モードを変えたレッズにも、簡単に勝てないチームだということを見せなくては」と一言。分析力に長けた監督がホームではどういったリベンジのプランを構築するかは、かなり楽しみでもありますね。と、今日2試合目なのでちょっと趣向を変えてお送りしてみました。 AD土屋
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J1第6節 柏×名古屋@日立台

「負けたくない気持ちが最後のゴールに繋がった」とは92分に決勝ゴールを決めたダヴィ。マギヌンのシュートがDFに当たってダヴィの前にこぼれる幸運はあったにしても、それを呼び込んだ布石はストイコビッチ監督の積極的な采配にありました。フランサ、玉田と共にレギュラーFWを欠く中、柏は1トップにポポを当てはめて、いつもの布陣。対する名古屋は吉村を「攻守の上で非常に重要なリンクの動きをする」(名古屋・ストイコビッチ監督)アンカーにおいて中村と山口がセンター、ダヴィが前に張る4-1-4-1に近い形でスタート。これが奏功したのは名古屋でした。特に守備面ではポポと1トップ下の李を、2枚のCBと吉村で監視することで基点を潰すことに成功。柏の攻撃は機能不全に陥ります。加えて31分にはマギヌンのパスを受けた中村が縦のスペースへ絶妙の配給。走り込んだ小川のクロスをフリーでダヴィがヘッド。素晴らしい形で先制点を奪ってみせました。好調時に比べるとボールの回りこそ若干遅いものの、前半は間違いなく名古屋のゲームだったと思います。さて、ほとんどいい所のない45分を強いられた柏は、後半から李を上げた2トップにシフト。収まらないクサビのパスを減らし、サイドでの縦、あるいは相手DFラインの裏を狙い出しました。49分には横幅を使ったアタックから李が決定的なヘディング。枠を外れましたが、流れを引き寄せます。すると59分、FKを李が素早く横に出すと、菅沼がゴールまで30m弱の距離から右足一閃。これが右スミに突き刺さり、ホームチームがゲームを振り出しに戻しました。その後は双方数回のチャンスを創り合いましたがゴールネットは揺れず、刻々と時間が経過する中で、冒頭で触れたストイコビッチ監督の決断が為される訳です。80分、山口OUT、吉田IN。監督は「リスクを冒しても攻撃したかった」と「練習でもやってない」(名古屋・吉田)3-5-2を決行。目に見える形で攻撃におけるギアチェンジを選手に要求しました。もちろん柏の高橋真一郎監督も「1-1の後は2点目を取りに行ってたのでリスクは負っていた」と語りましたが、実際80分過ぎからの10分間は「システムチェンジでスペースが生まれた」(ストイコビッチ監督)名古屋が押し込む時間が長く、結果としてダヴィの決勝点に繋がっていったことは確かだと思います。そのゴールも柏のCKを防いだ流れからのハーフカウンター。右サイドから小川がサイドを変えるボールを蹴ると、左サイドに上がって来ていた選手はなんと4人。最終盤においても体現された切り替えの速さは見事なものでした。苦しみながら連敗を2で止めた名古屋。内容としてはまだまだかもしれませんが、「勝ち点3を取ったことに大きな意味がある」とはストイコビッチ監督。キャプテンの楢崎も「これを機に強いグランパスを取り戻したい」と語りました。敗れた柏は交替カード3枚をすべて負傷交替に取られるなど不運な面もありましたが、改めてフランサ不在時のマイナス面が強く出た印象です。それは守備においても同様。ポポを1トップに据えたことで「前からプレッシャーに行きたかった」(高橋監督)はずが、実際はプレスの始点が曖昧でボールの取り所が定まらず、失点は2点とも綺麗に崩された形からでした。同点時におけるリスクの負い方もあまり明確ではなく、何となく前掛かった雰囲気も。「下向いてもしょうがない。今がどん底だという気持ち」と高橋監督。いまだ未勝利、桜が散っても柏に春はなかなか訪れません。 AD土屋
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J2第8節 栃木×徳島@西が丘

栃木のホーム遠征シリーズ第2弾は西が丘。2戦負けなしで迎えた今日の相手は3戦負けなしの6位徳島。個人的な印象ですが、水曜ナイター、栃木ホームで徳島アウェイの東京開催。今日西が丘に来ていた人こそ、本当のフットボール好きだなあと感じました。さて、ゲームは序盤からサイドをうまく使った栃木のペース。昨シーズンの絶対的なエース佐藤悠介からポジションを奪い、今や「栃木のストロングポイント」(徳島・美濃部直彦監督)と敵将も認める左サイドの入江利和と、右の河原和寿が積極的に仕掛けます。ただ、サイドで主導権を握れるのはここ数試合通りなら、「あとは点取る所だけ」(栃木・松田浩監督)なのもここ数試合通り。圧倒的にゲームを支配して8本放ったシュートの内、枠内に飛んだのは米山篤志のFKのみではなかなかゴールは奪えません。後半は開始から徳島が「麦田(和志)の攻撃で抑え込みたかったが、かなり突かれたので安定させたい」(美濃部監督)と右SBに筑城和人を投入すると入江のパワー減退に成功。流れは徳島に傾き出しました。終盤の84分には菅原康太、徳重隆明と立て続けに決定機を掴むも、栃木GK小針清充がファインセーブ。逆に栃木も88分、鴨志田誉のクロスに稲葉久人が頭から飛び込むと、こちらは徳島GK上野秀章がファインセーブ。全体的には栃木のゲームでしたが、「現実は0対0で勝ち点1」という美濃部監督の言葉が、やけに印象深いスコアレスドローとなりました。好調だった徳島は前半から繋げそうな場面でもロングボールが多くなり、「少し後手を踏んでしまった」(美濃部監督)感は否めません。右SBの交替後に切ったカードで2トップが揃って下げられたのも、今日を象徴していたでしょうか。それでも後半は修正が利いたのも確か。最初の45分を考えれば、ドローに持ち込んだ結果は悪くなかったと思います。一方の栃木は「前半がすべて」(栃木・栗原圭介)。残念ながら後半はシュートも2本と失速してしまいました。「いい形は創れたので最後の所」(栗原)「攻撃の形はできてる」(鴨志田)と課題は明らか。松田監督も「点が取れないという“呪縛”」の意識に言及し、「チャンスはたくさん創れてるので、何とか今いる選手でこの壁を乗り越えてもらいたい」と絞り出すように語りました。しかし、すっかり観戦日和な気候になってきましたねえ。 AD土屋
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J1第5節 大宮×G大阪@NACK5

昨日柏が広島に敗れたことで、現在開幕から唯一黒星のないチームとなった大宮。第5節で対峙するのは、アジア王者のG大阪。実は昇格以降、4勝4敗と比較的分の悪くない相手です。気温21.7度、両ゴール裏、メイン、バックを14070人の観客が埋め尽くす素晴らしい雰囲気でゲームは始まりました。まず、目に付いたの「ガンバの最終ラインが高すぎるので、裏のスペースを狙う」(大宮・張外龍監督)という大宮の意識。2トップにも石原、市川と機動性に優れた駒を配し、徹底して裏を狙います。すると、エンジンの掛かり切らないG大阪を尻目に、そのホームチームの狙いが前半から結実。21分、ルーカスの横パスをカットした小林が素早く裏へ送ると、走り込んだ市川が山口にエリア内で倒され、PK獲得。マトが確実に蹴り込み、まずは対策が「ズバリ当たった」(張監督)格好で、大宮が先制しました。リードを許したG大阪は、中盤でこそボールは回り過ぎる程回るものの、「厳しいボールがなかなかアタッキングサードに入らず、人の入りも少ない」(G大阪・西野朗監督)状態に陥り、シュートまでも持ち込めません。すると34分、2回大きく左右に揺さ振る展開から、金澤が素晴らしいスルーパス。これを2列目から飛び出した小林が折り返すと、二アで市川が潰れて、「練習通りと言えば練習通り」とファーで石原がズドン。各々が任されたタスクを忠実にこなした大宮は、それに見合った2点のリードという対価を得て、45分を折り返しました。さて、ほとんどいい所なく「テンポが出ない」前半を受けて、西野監督は後半開始から山崎とルーカスを佐々木と下平にスイッチ。2列目が右から佐々木、遠藤、レアンドロとなり、チョ・ジェジン1トップの4-2-3-1にシフトすると、早くも効果が現れます。47分、下平の投入で左SBから右SBに回った安田のアーリークロスをチョ・ジェジンが頭で合わせて2-1。さらに「遠藤が前に出たことがよかった」と橋本が語ったように、守備のタスクを軽減された遠藤が前目で躍動。51分には安田のクロスからその遠藤が惜しいヘディングを放つなど、徐々にサイドで圧倒し始めたG大阪が息をもつかせぬ猛攻開始。同点は時間の問題かのような流れになっていきます。しかし、そんな時間帯に痛恨のミスが出たのもG大阪。56分、G大阪のCKを大宮がクリアすると、安田が処理にもたつき、石原がカット。そのままGKしかいない相手陣内を独走すると、「確実に決められる方を選択」(石原)とGK目前で右に出し、最後はデニス マルケス。「石原からのプレゼント」とはいえ、復帰戦を自ら祝う追加点で嫌な流れを断ち切りました。「これからって時のイージーなミス」(西野監督)で点差を2点に広げられたG大阪も、そこからのラッシュは迫力満点でした。終盤は安田を外して播戸を投入。3トップ気味で攻め立てます。61分レアンドロ、80分チョ・ジェジンと決定機も創りますが、前者はGK、後者はポストが阻止。ようやく佐々木のCKにレアンドロが合わせて1点差に詰め寄ったのは90分。最後はなりふり構わず守りを固めた大宮が、追加タイムの5分間も潰し切って、リーグ戦無敗の2勝目を挙げました。大宮はマトの存在が大きいですね。チョ・ジェジンとのエアバトルも完勝。彼の“跳ね返す”力はJでも屈指でしょう。終盤は難しいことをせずシンプルに守るというコンセンサスも遵守。かなりチームとしてまとまっている印象を受けました。一方のG大阪は「もう来たくないですね、ココ。地元なんですけど」(西野監督)とやはり鬼門の大宮アウェイとなりましたが、それでも後半は「だいぶ修正はできた」と西野監督もサバサバ。たらればですが、ミス絡みの3失点目がなければ勝敗が引っ繰り返っていた可能性は十分あったと思います。やはり流麗な攻撃は魅力溢れるエンターテイメント。今後の巻き返しにも注目したいですね。 AD土屋
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J2第7節 湘南×東京V@平塚

カテゴリーの都合上、今シーズン唯一行われるFoot!出演者ダービーは湘南と東京Vの一戦。共に前節は敗戦ということもあり、「今日の重要性はみんなわかっていた」(湘南・坂本絋司)ゲームは、緑色で埋め尽くされた平塚でキックオフを迎えました。システムで考えると共に4-3-3。とは言え、東京Vは右のレオナルドと左の飯尾一慶、両FWの位置取りが低く、実質は4-1-4-1気味。「東京Vはリトリートして、ウチがボールを後ろで回していた」(湘南・反町康治監督)というのが湘南から見た序盤の展開でした。ただ、湘南も攻撃のギアが入った際の細かい精度に欠け、決定機までは創れず。少し流れが行き来し始めた頃、先制ゴールは22分に生まれます。前からの厳しいプレスで相手DFの連携ミスを誘発して得た湘南のCK。坂本が蹴ったボールはゴール前で混戦になりますが、アジエルが繋いでジャーンがプッシュ。「ラッキーな形で」(反町監督)まずはホームチームがリードを奪いました。さて、先制を許した東京Vはトップの大黒将志が孤立気味で、ボールは回るもののなかなか有効な攻撃を繰り出せません。左サイドではアジエルと臼井幸平の脅威に晒される分、逆にスペースは生まれ、SBの藤田優人は再三クロスを上げたものの、残念ながら著しく精度を欠いてしまい、決定機らしいシーンは創れないままに、前半の45分は終了しました。ハーフタイムに「ボールと相手に対する執着心をさらに上げるように」(反町監督)「ボールの動かし方は良いので入り方はしっかり」(高木監督)と指示を受けた後半は序盤から一転、両チーム共にテンポアップ。攻め合う展開が繰り広げられます。東京Vが51分、52分と共に滝澤邦彦と藤田の連携からチャンスを創ると、湘南も53分に寺川能人がクロスバーを、阿部吉朗とアジエルがGKを急襲。ゲームに動きが出てきます。58分には東京Vが先に仕掛け、レオナルドに替えて平本一樹を投入。直後にはCKのこぼれに反応した永里源気が強烈なボレーを枠内に飛ばすなど、いい時間帯に。これは反町監督も「後半はウチがリトリートした」と認めています。それでも1点が遠い71分、高木監督は飯尾一慶を下げて船越優蔵を送り込み、中盤をダイヤモンドにシフト。トップ下には平本を置いて、船越と大黒の2トップに勝負を懸けました。結果から言うと、この交替策は前節の仙台戦同様、奏功しませんでした。最後の20分間のシュート数は0。やはり船越という“飛び道具”の生かし方が徹底されず、上なのか下なのかどっち付かずのままに時間だけが経過していった印象です。そしてゲームは85分、阿部のシュートがGKに阻まれたこぼれをアジエルが押し込んで追加点。「自分の名前を刻んでいけるのは嬉しい」というエースのクラブ通算500ゴールとなるメモリアル弾も飛び出した湘南が、今シーズン初の2点差勝利で連敗を阻止しました。「鳥栖の敗戦から学んだことがたくさんあったので、それをピッチで出せたことは大きな収穫」とは反町監督。後半の苦しい時間帯もアンカーの田村雄三を中心にしっかりと耐えて、無失点勝利を遂行。内容の良くない時期でも勝ち点を積み重ねてきた自信が、いい方向に出ているなと感じました。敗れた東京Vも「非常に調子のいい湘南を苦しめることはできた」と高木監督も語ったように、ここ数試合で内容が上向いているのは間違いない所。あとは大黒や船越といったFWの生かし方を整理したいですね。もう少しシンプルに前へ蹴る、シンプルにクリアする、といったメリハリがあってもいいかもしれません。なお、平塚公園はまだギリギリお花見できますよ。 AD土屋
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J2第6節 東京V×仙台@味スタ

ホームの東京V、アウェイの仙台共に2勝1分け2敗とまったく五分の星ながら、前者は10位、後者は9位とややスタートダッシュには失敗した感がある中で迎えた6戦目。ここは白星を先行させておきたい所です。序盤はお互いに中盤を省略したようなプレーが目立ちますが、リャン・ヨンギとパク・チュソンで組む左サイドからいい形を何回か創り出すなど、まずはサイドで主導権を握った仙台が攻勢に。それでも20分過ぎからはゲームそのものがペースダウン。仙台も前に出ていけなくなり、かなり膠着した時間が続くと、やはりキーになるのはセットプレー。33分、滝澤邦彦のFKに飛び込んだのは大黒将志。ボレーに行った右足に当たり損ね、GKのタイミングがズレるラッキーなゴールが飛び出し、流れの中からはほとんどチャンスのなかった東京Vが先制しました。「またセットプレーからの失点」(仙台・手倉森誠監督)「CKやFKからの失点がたくさんある」(仙台・田村直也)と2人が声を揃えたウィークポイントで失点した仙台は、さらにパク・チュソンも43分に負傷交替。嫌な流れになりましたが、こちらもセットプレーの流れから前半の内に追い付きます。ラストプレーとなる追加タイムのCK、DFに跳ね返されたボールは再びキッカー関口訓充の元に。左サイドから大外へ綺麗なクロスを送ると、そこに飛び込んだのはエリゼウ。まさに“褐色の弾丸”が如く、強烈なダイビングヘッドが決まった直後にハーフタイムを告げるホイッスル。展開に見合った妥当なスコアで、45分が終了しました。後半に入ると、動きの少なかった45分間から一転、攻撃的に打ち合うスリリングな展開が繰り広げられます。仙台が前半の序盤のようにしっかり繋いでからのサイド攻撃を徹底すれば、東京Vは前掛かりに出てくる相手の中盤にできたスペースを素早く突き、鋭いカウンターを連発。60分過ぎまでの攻防は非常に見応えがありました。しかし64分、均衡が破れます。驚異的な運動量で攻守を支えた斉藤大介が、体を当てられながらも粘って左へスルーパス。関口が折り返すと、二アで平瀬智行が潰れ、ファーで中島裕希がプッシュ。「今週のトレーニングで手応えがあった」と手倉森監督が語ったFW陣の今季初ゴールで、仙台が逆転に成功しました。さらに「ボールを動かせるメンバーで中盤を分厚くやりたい」(手倉森監督)と富田晋伍の投入で4-3-3にシフトさせ、そこからは一方的にゲームを支配した仙台で燃えていたのは東京Vユース出身の田村。69分にクロスバー直撃のミドルを放った後の77分、リャンの左クロスを中島が繋いで、最後はその田村がゴール。「古巣という気持ちはあった」という24歳がトドメを刺し、1-3。終わってみれば2点差でアウェイ仙台が勝ち点3を奪取しました。「お互いのポジショニングを確認しながらボールを繋げるようになった。トレーニングしたことがよくできた」と手倉森監督も評価した仙台。2点目と3点目はトレーニングでもなかなか決まらないような素晴らしい形から。今日も含めた6試合で失点は3と守備陣は磐石ですから、これでFWに当たりが出てくれば自ずと順位も上がっていきそうです。さて、東京Vは2点目を取られてからガタガタ崩れてしまいました。「3-1になり、捨て身で行かなきゃいけない状況でもスピードが上がらない」と高木琢也監督。また今日に関しては河野広貴の欠場も影響大。攻撃に占めるかなりのパーセンテージを担っていた彼は6週間の離脱予定です。「選手にも迷いがあるのかな」と高木監督も話すなど、悩みは小さくなさそうですね。 AD土屋
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J2第5節 湘南×仙台@平塚
開幕から負けなしの4連勝と、最高のスタートを切った“元祖・暴れん坊”に率いられている湘南。今日の相手は、前節の札幌に続いて昇格争いのライバルになり得る仙台。手倉森誠監督も「大きい波に乗っている湘南を倒して、仙台もいい波に乗っていきたい」という決意を胸に平塚へ乗り込んできました。ゲームは、ロングボールが多くなってでも「最終ラインの裏にどんどん走ってもらいたかった」(手倉森監督)2トップを生かす姿勢を見せた仙台が攻勢に。10分には中島裕希が、16分には関口訓充がそれぞれ惜しいシュートシーンを創り出します。この時間帯は湘南の反町康治監督も「相手2トップの動き出しの速さの対応に時間がかかった」と認めていました。しかし、徐々にショートパスを繋いでいく湘南にリズムが移っていくと、先制点はその湘南に。27分、坂本紘司のCKを頭で合わせたのは開幕直前に加入した大砲・田原豊。マーカーだった渡辺広大より頭1つ分くらい抜け出した高い打点の一撃は嬉しい今シーズン初ゴール。まずはホームチームがリードを奪いました。1点を追う仙台は、前で基点ができなくなってきたことでリズムは失ってしまいますが、その中でも決定機を2回掴みます。36分、斉藤大介のFKはなぜかフリーになったエリゼウがワントラップからボレー。さらに43分、湘南の中央に蹴られたクリアを中島が拾ってミドル。しかし、共に枠をわずかに逸れてゴールならず。前半は湘南が1点リードして折り返しました。後半開始から仙台は「裏に抜ける動きが足りなかった」(手倉森監督)マルセロ・ソアレスに替えて田中康平を投入して、前線の活性化を図ります。今日の布陣で見ると、湘南の4-3-3に対して、仙台は4-4-2。基本構図としては仙台の2トップと、関口、リャン・ヨンギの4人に対して、湘南は4バックとアンカーの田村雄三が5人でゾーンを敷いて見る形になります。ただ、前述した仙台の4枚は動きの幅が広がらず、さらにダブルボランチも前へ出て来ないため、湘南ディフェンスとしては常に数的優位を保つことができ、余裕を持って応対できていました。それは手倉森監督が63分に中島を諦め、永井篤志を中盤に送り込み、関口をFWに上げても、それほど大勢には影響を与えません。68分には、クロスに湘南GK野澤洋輔が飛び出したものの触れず、ルーズボールを富田晋伍に拾われますが、集中力の切れない湘南はゴールカバーに3人が入り、富田のシュートもクロスバーを越えていきます。何とか追いつきたい仙台は終盤にエリゼウを最前線に上げ、勝利への執念を見せますが、「DFの島村を投入してエリゼウに付かせることも考えたが、逆に気の緩みが出るかなと思ったのでやめた」とは反町監督。すると信頼された選手たちもそれに応え、危ないシーンを迎えることなくタイムアップ。「しぶとく守り切られた」(手倉森監督)「またしぶといと思われるような試合」(反町監督)と両監督が口を揃えたように、湘南が際立った“しぶとさ”で無傷の開幕5連勝を達成しました。試合後、手倉森監督が「アタッキングサードでの工夫が足りない。もっと動き続けなきゃいけないことをさらに感じた」と話した仙台。厳しいようですが、現状のFW陣にゴール量産を期待するのは難しいような気がします。昨シーズンは抜群の切れ味を誇った、リャンと関口もどこか窮屈そうな印象。とにかくアグレッシブに戦って、シュートチャンスを1本でも多く増やすことが大切になってくるかもしれません。勝った湘南は、この5試合の中でも一番内容のいいゲームだったのではないでしょうか。早くも1-0での勝利が3試合目。「精神面はかなり強くなってきているんじゃないかと感じている」との反町監督の言葉も頷けます。ようやく田原に一発が出たのも「大きな収穫」(反町監督)。少しずつ結果に内容が追い付いてきているように感じますね。この連勝がどこまで伸びるのか、非常に楽しみです。
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J2第4節 栃木×福岡@聖地国立

諸事情によってグリーンスタジアムでのナイトゲームがまだ開催できないことから、6月までのミッドウィークは巡業を余儀なくされる栃木。それでも今日の会場はクラブ史上初となる聖地国立。運営スタッフも朝6時に宇都宮を出発し、J昇格後初ゴール、そして初勝利を願って、降りしきる雨にもかかわらず会場設営に取り組んでいました。さて、共に3試合勝ちのない栃木と福岡。立ち上がりからどちらもミドルゾーンにボールの収まり所がなく、蹴り合いのような展開になっていきます。栃木は、「本当に差がないのでチャンスを色んな選手に与える」と松田浩監督が語る前線に河原和寿と石舘靖樹を並べますが、クサビにしても裏を狙うにしても「出し手と受け手の疎通が取れてなかった」(松田監督)状況で、まったくと言っていい程流れに顔を出せず、チームとしても前半はシュート2本に抑え込まれます。また福岡もSBの中島崇典にボールを集め、左サイドから切り崩す狙いは見えるものの、クロス、また再三得たセットプレーの精度を欠き、チャンスは創れず。非常にクローズされた展開で、前半の45分は消費されていきました。後半、先に決定機を掴んだのは栃木。53分、福岡DFが中央にクリアしたボールを奪って、最後は佐藤悠介。ここはGKに阻まれ先制とはいきませんが、直後には松田正俊を投入して攻める姿勢を打ち出します。しかし、ここからは福岡の時間に。右サイドから立て続けにいい形を2度創り、リズムを引き寄せた66分、鈴木惇のクリア気味のフィードに高橋泰が反応。独力で左サイドを突破して中へ送ると、そこに大久保哲哉が頭から飛び込み、ようやく均衡が破れました。さらに気落ちした栃木に畳み掛ける福岡は1分後の67分、岡本英也が左サイドから強烈なミドル。これが鋭くサイドネットに突き刺さります。開幕スタメンながら、ここ2試合はベンチからも外れた21歳のJ初ゴール。2分間で2点のリードを手に入れました。2失点目の直前に若林学を送り込み、長身2トップにシフトした栃木でしたが、「若林と松田は入れてくるだろうと想定していた。草津と水戸にも(長身FWに)苦戦していたのでシンプルに跳ね返して、セカンドへの反応を速くする」という篠田善之監督の支持を忠実に実行した福岡DF陣の前に、攻め切れません。79分に若林が激しいチェイスでボールを奪取してラストパスを送りますが、松田のシュートはバーの上へ。「11人が意志統一してやらないと力にならない」と松田監督も渋い顔。結局、2ゴール以降は完全にゲームを支配した福岡が初勝利を挙げ、「大きなスタート」(篠田監督)を切りました。勝った福岡は、タレントの割にその個が生かされていないように思います。チームとして、J2でもトップクラスに近い2トップと、右SHで流れに乗り切れない城後寿の使い方を徹底できれば、決して下位に沈むようなチームではありませんね。一方の栃木はこれでノーゴールでの4連敗。「今は誰を先発にしていくか試行錯誤の状態」(松田監督)で、毎試合メンバーが入れ替わる中、「練習でやっていることがうまく出せていない」とはボランチの本橋卓巳。チームとして機能するまでには、もう少し時間がかかるかもしれません。最後に平日雨天のナイトゲームにもかかわらず、試合終了まで声援を送り続けた両サポーターを含め、7.4度の中を国立へ駆け付けた2020人の皆さん、お疲れさまでした。 AD土屋
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J2第3節 草津×横浜FC@正田スタ

昨年ようやく連勝の壁を超え、一時は昇格争いにまで食い込んだ草津。開幕連勝して迎えた3戦目の相手は、開幕連敗の横浜FC。カズ効果もあって7297人を集めたホームで、クラブ初の開幕3連勝を狙います。ゲームは開始から中盤での攻防が多く、お互いになかなか主導権は取れませんが、「組織が整わない内に左右に振られて、DFラインがどんどん下がってしまった」(草津・佐野達監督)「奪ったボールのチェンジサイドはできた」(横浜FC・樋口靖洋監督)と両監督が語ったように、少しずつサイドを制し始めた横浜FCが優勢に。特に左SBに入った田中輝和はチームの1、2本目のシュートを放つなど、積極性を打ち出します。ただ、サイドに付けた後、クロスも含めたフィニッシュ前の精度を欠き、チャンスを創り出すまでには至らず。するとボールへの出足で勝る草津に流れが移っていきます。そして44分、右からのCKを廣山望が素早くニアの熊林親吾に付けると、エンドライン上を巧みに抜け出し中へ。ダイレクトで合わせたのは田中淳。「練習通り」(佐野監督)「パターンの1つ」(草津・松下裕樹)という見事な形で草津が先制しました。さらに1分後、CKのこぼれを廣山がクロス。DFのクリアは小池純輝の前へ。「こぼれるんじゃないかと」予測してボールを拾い、カットインから豪快に右足を振り抜くと、そのまま左スミへ一直線。左SBにコンバートされて2試合目、Jリーグ出場6試合目、浦和からレンタル中の21歳が大仕事を果たし、「43分間の内容はよかった」(樋口監督)横浜FCに2点差を付けて前半を終えました。さて、後半は立ち上がりから横浜FCがラッシュ。52分には須藤右介のFKに戸川健太が大外で合わせて1点差に。スタジアムにも嫌な空気が流れます。しかしそれを断ち切ったのは、今シーズン覚醒した感のある都倉賢。57分、中央で高田保則とクロスしながらボールを受けると、エリア外から思い切ったミドル。GKは一歩も動けず右スミへ。「都倉は前半気持ちの入ってない部分があったので、ハーフタイムにかなり厳しく言った」とは佐野監督。それが奏功してか、3-1と再び点差を2点に広げました。リードを許した樋口監督は、3点目を取られる直前から須藤から三浦淳宏、カズから西田剛と選手を入れ替えて打開を図りますが、2人とも流れに乗り切れません。ようやく三浦淳からのFKを早川知伸が頭で叩き込み、1点差に迫ったのは87分。それでもその後の追加タイム3分も冷静に潰し切った草津が、もちろんクラブ史上初となる開幕3連勝を達成する結果になりました。無念の3連敗となった横浜FC。樋口監督は「まだまだだけど改善すべき点はクリアしつつある」と前述のチェンジサイドを収穫に挙げましたが、今日に関しては気迫という面も、あまり前に出てこなかった印象です。「あそこで取られちゃダメ」とカズも反省した前半終了間際の2失点が、最後まで重くのしかかってしまいました。対する草津は、「僕らのチームには自信ってモノが凄く大事」と廣山が語った通り、ゴールや勝利という成功体験は選手たちに自信を与えています。あとは、「試合内容はよくなかった」(佐野監督)中でも前線の都倉、高田から効果的なプレスがかかり、攻撃面でも「キャンプからやってきて立ち戻るところはある」(廣山)というブレない指針があるのは強み。昨年の経験が確実に生かされている、フロックではない3連勝だと言えそうです。 AD土屋
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J1第3節 FC東京×山形@味スタ

2試合を終えて1勝1分け、上々の開幕スタートを切った山形と、新潟、浦和に連敗を喫して、まだ勝ち点を奪えていないFC東京。対照的なチーム状況の2チームが、リーグ戦としては10年ぶりに対峙するゲームを見に、味スタへ行ってきました。いわゆるポゼッションスタイルが2試合とも噛み合わなかったFC東京は、「リスクの負い方を確認した」(FC東京・城福浩監督)影響からか、序盤から平山とカボレへのロングボールが多く、かなり慎重なゲームの入り方。山形の小林伸二監督も「FC東京は枚数をかけて攻撃して来なかった。堅く入って来られたな」と感じたようです。その山形も、やはりFWのカボレと両SHの石川と羽生の機動力を警戒してか、ややラインを深めに取り、静かな時間が積み重ねられていきます。最初の決定機が山形に訪れたのは23分。宮沢のピンポイントパスに佐藤が3列目から完全にフリーで抜け出し、古橋がためてキム・ビョンスクへ。ボレーはGKに防がれましたが、崩し切ったフィニッシュを見せてくれました。するとFC東京も直後に大チャンス。相手CKからカウンター、石川が絶妙のタイミングで裏へ出すとカボレはGKと1対1に。シュートはゴールわずか右に外れるも、共にいい形で得点機を創り合いました。ただ、これが前半見られた決定的なチャンスのすべて。山形も「前でなかなか基点が作れず、ボールを失う場面が多かった」(山形・古橋達弥)こともあって、流れの中からはゴールの予感に乏しいまま。かなり膠着した状態で、前半は終了しました。迎えた後半開始早々、山形にチャンスが到来します。ボランチの秋葉が中盤からスルスルとドリブルで持ち上がり、エリア内へ侵入。たまらずFC東京の選手が突き飛ばしたように見えましたが、ホイッスルは吹かれません。すると55分、ホームチームがスコアを動かします。左サイドで石川が粘って縦へ送ると、長友もそのままトップスピードで加速して中へ。カボレが柔らかく落とした所には羽生。冷静に左スミへ流し込み、FC東京が先制点を奪いました。さて「少し足が止まり出したのでしっかりボールを回せと言った矢先」(小林監督)に痛い一撃を食らった山形。攻撃を仕掛ける鍵はサイドにありました。序盤こそあまり出てこなかった東京の両SBは、やはり本来の攻撃性で縦に出ていくことも徐々に多くなり始めます。また両SHの石川と羽生も前へのパワーが持ち味の選手。攻守が入れ替わった時に「サイドに渡れば1対1ができるので、そこを突く」のが小林監督の狙いでした。ですが、実際には両SHが「相手が引き気味でサイドのスペースが使えなかった」ことと「相手ボランチのケアに引っ張られた」(共に小林監督)ことで、1つの武器である石川のサイドチェンジも生かし切れず、結果として磐田戦で見られたようなクロスを上げるシーンは数える程。これが最後まで響きました。終盤にはDF登録の園田を前線に投入しますが、簡単に放り込もうとはしないまま時間を浪費。1点を返すことなく、試合終了のホイッスルを聞くことになりました。「嬉しさが半分、安堵が半分」と語った城福監督の誕生日を今シーズン初勝利で飾ったFC東京は、勝ち点3こそ獲得したものの、内容に劇的な変化は見られませんでした。気になったのはDFラインでのボール回しでもロストしそうな場面や、意図なくクリアしてしまう場面が散見されたこと。また攻撃は、正直カボレへの依存度がかなり高くなっています。ただ何はともあれ、まずは「コレが本当の始まり」(権田修一)でしょう。山形は、「相手のプレッシャーがすごい速くて」(古橋)戸惑う場面もありましたが、意図あるポゼッションという面ではFC東京を上回っていた印象です。カボレと長友の個の力にやや後手を踏んでいた部分に関しては、J1でのゲームを重ねていけばある程度対処できるかなと。「いい形で入って3月で勝ち点4は上出来」と小林監督。チームにとってはJ1で戦っていく手応えを掴んだ3試合になったようです。 AD土屋
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J2第2節 東京V×C大阪@味スタ

東京Vの4バックには開幕から2試合続けてルーキーの和田拓也(18歳)、藤田優人(22歳)に加えてユース所属の高橋祥平(17歳)と、非常に若い選手が名前を連ねています。「若いから使っているという概念ではなく、試合に出られるレベルにあるから出ている。それがたまたま若い選手」とは高木琢也監督。今シーズンのJ2では破格の攻撃力を誇るC大阪相手に、どれだけ守れるかは1つの試金石。2節にしてかなり興味深い一戦を見に、今日は味スタへ行ってきました。立ち上がりから共に連携がうまくいかないシーンが目立ち、なかなか主導権を握りきれない中、19分に藤田がミドルで相手ゴールを急襲すると、そこから東京Vがラッシュを仕掛けます。CKのこぼれ球をレアンドロ、再度CKのこぼれ球を滝澤邦彦。しかし前者はチアゴ、後者はGKキム・ジンヒョンに防がれると、直後の23分、「ちょっとしたこと。崩された状態ではない」(高木監督)エアポケットを乾貴士に突かれ、中央にグラウンダーのクロス、ファーには香川真司がフリーで待ち構えてプッシュ。まずはC大阪が先手を取りました。それでもリズムは引き寄せていた東京Vもすぐに追い付いてみせます。28分、後方から河村崇大が長いスルーパスを送ると、フリーで受けた河野広貴は飛び出したGKの頭上を浮かせるループ。C大阪DFがバイタルではマンツーマンで食い付くため、レアンドロが江添建次郎を引き連れて空けたスペースをうまく活用し、ゲームは振り出しに戻りました。ここからはレアンドロと河野がよくボールを収め、完全に東京Vペース。攻守両面で相手を凌駕して45分を終えました。劣勢下でどうしても中、中に偏り、攻め手が消えていったC大阪。レヴィー・クルピ監督は「ボールを持ったらどんどん仕掛けていく」事を確認・徹底。すると後半は頭から勝負する姿勢が甦ると、特に右WBの酒本憲幸、左WBの石神直哉を使うシーンが目立ち、一気に流れはC大阪に傾きます。58分、62分、63分と立て続けに創った決定機は土肥洋一が弾き出しましたが、とうとう決壊したのは67分。酒本のFKを中央でチアゴが合わせてゴール。C大阪が再びアドバンテージを得ました。高木監督は大黒将志を平本一樹へ、レアンドロを永里源気に替え、河野を中盤の前に移した布陣で、同点を狙います。ただ、「正直ボールを回す力や個の力の差が出てきた」(高木監督)展開で、チャンスを創ることもままならなくなった東京Vは、スコアを動かすことはできず。C大阪が開幕2連勝を飾る結果になりました。後半はほぼペースを握られ、苦しい時間が続いた東京V。懸念の若いDF陣も体を張ってよく食らい付いていましたが、今日に関しては「セレッソの力が上回った」と高木監督も認めています。ただ、高木監督はこうも言いました。「トレーニングしていた事がほぼ完璧に出ていた試合。トレーニングを実践してくれることは確信できた」と。DFラインの3人や、もはやエース格と言っても差し支えない河野ら若手の成長は、未知数ながら可能性は無限大。「悔しさが残るゲーム」と語りながら自信ありげな高木監督を見ていると、今後の東京Vは大化けするかもしれないなあと思ってしまいます。 AD土屋
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J1第2節 柏×千葉@日立台

開幕戦は共に消化不良の感が否めなかった柏と千葉。しかし、やはりダービーとなればモチベーションも通常よりグッと高まるのは必然。千葉の盟主を懸けた一戦は、悪天候にも拘らず8723人を集めた日立台でキックオフされました。スリッピーなピッチ状態、そして「こういう風の中でプレーするのは難しい」と千葉のミラー監督が嘆く程の強風下で、序盤は双方ボールの落ち着きどころがなく、ロングボールが行き来するガチャガチャした展開になります。そんな中で、徐々にボールを動かしてチャンスを創り始めたのは柏。特にボランチの栗澤、ワントップ下の李、トップのフランサと、センターラインでボールが収まり出したことで、「相手にフリーで持たれてDFラインが下がり過ぎていた」(ミラー監督)千葉のゴール前に迫るシーンが増えていくと、やはり10番を基点に柏が先制します。26分、フランサが右へ素晴らしいサイドチェンジ。受けた村上はフリーでクロス、これを中央でもフリーになった李が頭から飛び込み、見事なダイビングヘッド。ゲームの流れそのままに、ホームチームがリードを奪いました。このシーン、ミラー監督は「クロスを上げる選手にも点を取った選手にも寄せられなかった」と振り返りましたが、実は谷澤とアレックスの左右SHを監督の指示で入れ替えた1分後の失点。サイドの守備が一瞬混乱した隙を突かれたことは否めません。前半は得点も奪った柏がかなり優勢のまま、折り返すことになりました。さて、この日の千葉で注目されたのは開幕戦では出番がなかった中後。前半はボランチでコンビを組む下村と共に低い位置から前へと出ていくシーンも少なく、攻撃面での貢献度は低かったのですが、ビハインドを追い掛ける後半はボールを呼び込み出します。そして収まり所を見出だした千葉は徐々にサイド、とりわけ左サイドを制圧。そして52分、やはり左サイドから青木良太がクロス、谷澤が頭で繋ぐと、そこにはオーバーラップしてきた坂本。スタメン最年長の隊長は、腿でトラップすると素早く左足でボレー。これが左スミに吸い込まれます。ベテランの美しい一撃で、千葉がスコアをタイに引き戻しました。その後もペースは千葉が握る展開に。「柏が前半やっていたように前からプレスに行って、ボールを奪ってポゼッションできるようになった」とはミラー監督。孤立気味だった巻へのフォローも厚くなり、いわゆる゛形"も見えてくるようになっていきました。逆に柏は「シュートで終わってないのでカウンターを食らう場面が多かった」と高橋真一郎監督。後半は思い切りに欠けるシーンが目立ち、決定機は77分にフランサが単独でドリブル突破から放ったシュートくらい。結局ゲームはドローに終わりましたが、より手応えを得たのは後半に機能する形を見せた千葉だったのではないでしょうか。ミラー監督も会見で「相手もドローで納得しているかと思うが、我々もこの結果に納得している」と語りました。柏は2戦続けて先制しながら追い付かれての勝ち点1。川崎戦同様に、リードした後の消極性が気になります。「勝ちに行ったけど残念ながら引き分けてしまった」とは高橋監督ですが、大津と北嶋の同時投入はラスト10分。どうしても勝ちに行く姿勢は見られなかったように思います。熱地帯も試合終了のホイッスルを聞くと、溜め息に包まれてしまいました。まだまだ2009年版レイソルの完成には時間がかかりそうですね。 AD土屋
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J2開幕戦 湘南×横浜FC@平塚

共に新監督を迎えて臨む神奈川ダービー。湘南は反町康治、横浜FCは樋口靖洋、2人に課せられるのはやはり昇格の2文字。そのためにも同県のライバルはガツンと叩いておきたいところです。まず布陣は湘南が4-3-3。CBにはHonda FCから移籍してきた19歳の村松大輔、そして3トップの中央には加入が発表されたばかりの田原豊が起用されました。一方の横浜FCは4-4-2。田中輝和、加藤大志、片山奨典と新戦力はサイドに集中。センターラインは既存戦力で固めています。ゲーム序盤は「いつも立ち上がりがよくない。今日も少し堅かった」(反町監督)湘南を尻目に横浜FCが攻勢。右の加藤、左の片山が積極的に仕掛けて、まずは主導権を握ります。しかし、徐々にアジエルが縦横無尽に動いてボールを引き出し始めると、やはりスコアを動かしたのはこの10番。23分、絶妙のタイミングで素晴らしいスルーパス、受けた阿部吉朗はGKとの1対1を冷静に右スミへ。「そういう(いつもよくない)時間帯に点が取れたのは驚きに値する。腰が抜けた」と反町監督の大袈裟な話も飛び出すような先制点で、まずは湘南がリードを奪いました。得点前後からリズムを失った横浜FC。その要因を樋口監督は「ウチがボールを取った時にFWとの距離が広がり過ぎて、単独で収めるシーンが多かった」と分析。確かにボランチの2人とFWが遠く、クサビもあまり入らないし収められなかったのは否めず、「長いボールが多くなってしまった」(樋口監督)状態でなかなかエリア内へと侵入できないまま、ビハインドを負って前半を終えました。ハーフタイムを挟んでも状況に変化が見られないと判断した樋口監督は50分、FW池元に替えてJリーグ最年長出場更新となるカズに「相手のアンカー田村雄三の周りのスペースを使え」と指示を出して投入します。その3分後、湘南はショートコーナーの流れから臼井幸平が強烈なミドル、DFにブロックされたボールを山口貴弘が繋いでアジエルへ。「あえて右足から左足に持ち変えて」プッシュすると、DFに当たりながらもネットを揺らす追加点に。リードは2点に広がりました。両者の違いの大きなポイントは、中盤センターの出来だったと思います。横浜FCのダブルボランチ、須藤右介と三浦淳宏はやはりバランスを考えてか、前に出ていく機会は少なく、効果的なパスという点からも物足りなかったと言わざるを得ません。対する湘南は、アンカーの田村が中盤エリアでのリスクをことごとく排除。それもあって寺川能人と坂本絋司がタイミングよく3トップと絡んで、攻撃に厚みを加えていました。なお、寺川と坂本のタスクで言うと、確かに中央の守備は3枚で分担することで多少軽減されるものの、その分相手のSHのケアが重要であり、それも過不足なくこなしていたことを考えても、やはりここが差になったのかなと思います。横浜FCも89分、加藤のクロスに途中出場の阪南大から加入したルーキー西田剛が頭で合わせて1点を返し、さらにCKから同点のチャンスを狙いましたが一歩及ばず。湘南が昨年に続いて、開幕戦のホームゲームを勝利で飾りました。敗れた横浜FCは、「自分たちを出せる時間帯と出させてもらえなかった時間帯があった」と樋口監督が言うように、前半の序盤と終盤には攻める流れを引き寄せていました。あとは去年のアンデルソンのような絶対的な個がいないだけに、もう少し明確な形の構築が必要な気がします。勝った湘南も反町監督は「やりたい所は全然できてない」とコメント。こちらは現時点で攻撃はアジエルの閃きに対する依存度がかなり高い状態。面白い駒はいるだけに、こちらも今後どういうメンバーでどういうスタイルを構築していくのかは楽しみですね。なお、誕生日の勝利にウォーターシャワーで祝福を受けた感想を聞かれた反町監督。「水を掛けられる雰囲気になったのはいいこと。負けたら冷や水もいいとこですから」と、らしい一言を残してくれました。 AD土屋
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J1開幕戦 川崎×柏@等々力

昨年の12月13日、ヤマハスタジアムで磐田のJ1残留を確定させるホイッスルを聞いてから早3ヵ月。ようやくJのある毎日が私たちの生活に帰ってきました。今シーズンも歴史に残りそうな名勝負に立ち会えるよう、勘所鋭く全国を回りたいと思っている次第であります。さて、待ちに待った開幕戦。私は個人的に今シーズンの優勝候補筆頭だと思っている川崎と、こちらは説明不要・柏の一戦に行ってきました。システムは共に4-2-3-1。両チームのスタイルを考えると、序盤から激しく打ち合うかと思いましたが、始まってみると「攻撃的に行こうと思っていたが、押し込まれるシーンが多かった」(柏・高橋真一郎監督)柏が引いてブロックを形成。さらに川崎もチョンテセが「前線のブラジル人3人と連携がうまくいかなかった」と振り返ったように、ボールを奪っても細かなズレが目立ってチャンスは創れず、膠着した時間が続きます。特に柏は監督会見を聞くまで、間違いなく前半は守備的なプランで臨んだのだろうと思わせるくらい前へ出られずじまい。相手のキーマン・中村へのマークを命じられた李も「相手の攻め残りを意識して全体が下がっちゃった」と渋い顔。こと攻撃面では思い通りにいかなかったようです。ただ、その分守備は安定。ボランチの杉山が中央で存在感を発揮し、相手の攻撃が芽吹き始める段階で何度もクラッシュ。ここが潰せたことと、前述した川崎の細かい連携ミスで、決定的なピンチは皆無。シーズン最初の45分は非常に動きの少ない、静かな展開のままで終わりました。しかし後半に入ると早々にゲームが動きます。50分、柏のカウンター。フランサが中央でボールを持つと、狭い所を狙ったスルーパス。これは川崎DFがカットし、「一度潰せたには潰せた。リスク管理もできてはいた」(川崎・寺田)ものの、こぼれ球を拾ったポポのクロスに二アヘ飛び込んだのは菅沼。意図していた攻撃ができない中、「プラン的にはすごくいい感じ」(李)の先制点を実質このゲーム初の決定機で掴んだのは柏。これで一層ゲームの構図はハッキリしてきました。何とか手を打ちたい等々力復帰戦となる川崎の関塚隆監督は、失点後もなかなかゴールまで迫れない状況を見て、「もう少し中盤が支配できれば」と66分、トップ下のヴィトール・ジュニオールを下げ、アンカーとして横山を投入。中村と谷口を前に出した4-1-4-1に近い布陣にシフトします。すると攻め続けた成果がようやく結実したのは77分。ジュニーニョが右へ振ると、中村が鋭いクロス。小林はクリアしきれず、中央で待っていたチョンテセがボレーでズドン。1-1、同点になりました。この直後は一時的にノーガードで打ち合うような時間がありましたが、最終盤はホーム川崎が攻勢を強めます。しかし、84分伊藤、91分寺田と共に中村のプレースキックから生まれた決定機は菅野が阻止。内容と結果から見れば、川崎は惜しい、柏は悪くない、勝ち点1を分け合う形になりました。開幕戦という特別なシチュエーションをドローで終えた両チームですが、「我々が目指すサッカーはやってくれた」と語ったのは関塚監督であり、「今年やろうとしている我々のサッカーはできなかった」と語ったのは高橋監督。実際、スコアに表れない部分で実力差はかなりあったように感じます。とりわけ柏は、選手たちもまだ手応えを掴むまでには至らなかったはず。次の千葉ダービーで真価が問われるでしょう。川崎は「パスワークでサイドが上がる時間を創っていかなくては」と関塚監督が言うように、サイドアタックは鳴りを潜めました。山岸、井川の両SBも効果的な攻撃参加はわずか。前半のような手詰まりの状態を打破するためにも、中央とサイドの使い分けはもっとハッキリさせる必要がありそうです。 AD土屋
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FUJI XEROX SUPER CUP2009 鹿島×G大阪@国立

Jリーグの球春を告げる意味でもすっかり定着したXEROX SUPER CUP。今年はおそらく最後までリーグの覇権を、そしてアジアの覇権までも争い得る2チームが激突しました。昨年のリーグ王者である鹿島はお馴染みの4-4-2。唯一の懸案だったボランチには本山が入ります。一方のアジア王者・G大阪は新戦力のレアンドロとチョジェジンに加えて加地も離脱。「システム、キャスティングを動かしている段階」と言う西野朗監督が選択したのは3-5-2で、3バックの左には高木を起用してきました。ゲームが動いたのは開始早々の6分、野沢のCKに岩政が高い打点で合わせると、こぼれ球を興梠がジャンピングボレーで叩き込み、まずは鹿島が先制。さらに14分、興梠が左サイドに侵入して戻したボールを新井場がクロス、競り合ったこぼれにいち早く反応したのはマルキーニョス。2トップ揃い踏みで早くも2点差となります。特にこの開始15分間はG大阪3バックの外側にできるスペースに対し、サイドチェンジを駆使してシンプルに使うことで鹿島が攻撃のリズムを掴んだ時間帯でした。前半も20分過ぎからはG大阪の中盤も落ち着きを取り戻し、ポゼッションで上回りながらチャンスを窺います。それでもなかなか決定的な形は作れないまま時間は経過していくと39分、ダニーロからのパスを受けた興梠がワンフェイクでマーカーを振り切って中へ送り、フリーの野沢が難なく流し込んで3点目。G大阪の「自滅のような形」(山口)で、予想外の大差が付く前半になりました。さすがの西野監督も「対応が3バックの3人とも非常に甘かった」とおかんむり。後半は開始から中澤と高木を下げ、これまた新戦力のパクドンヒョクと播戸を投入し、橋本を右SBにスライドさせて4-4-2へシフトします。46分にはいきなり橋本のクロスから播戸が惜しいヘディングを放ち、変化を感じさせますが、そこはリーグ連覇の常勝軍団・鹿島。「むやみに打ち合う必要はない。バランスを整えてマネジメントしてくれ」というオリヴェイラ監督の支持を忠実に遂行。ゲームを殺しにかかります。G大阪も69分、山崎と佐々木を入れ替え、右から佐々木、播戸、ルーカスの3トップ気味にすると、直後の70分には佐々木の突破で得たFKを山口が頭で捉えるも曽ケ端がファインセーブ。1点を奪えません。「点を取れる形があまりにも見えてない」(橋本)相手を尻目に、最後は期待のルーキー大迫までピッチに送り込む余裕の試合運びを見せた鹿島が「素晴らしいスタート」(オリヴェイラ監督)を切る格好になりました。さて、厳しい現実を突き付けられたG大阪。新加入2トップなしでは昨年の課題を解消するに至っていません。「フィニッシュに対する意欲、意識をもっと強めていかなくてはいけない」と西野監督。3バック崩壊を受け、加地が間に合わない場合の右SB、そして前線の組み合わせも含めて悩みは少なくなさそうです。対する鹿島は、「90分間やったのは今日が2試合目」(青木)という中で、やはりベースの浸透度は特筆モノ。今年もスタートから走る可能性を十二分に感じさせる完勝劇でした。さあ、いよいよ来週には2009年のJリーグ開幕です! AD土屋
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TM 湘南×フィンランド代表@平塚
2月4日に日本代表との親善試合を控えるフィンランド代表。
今日は沖縄キャンプから帰って来たばかりという湘南ベルマーレとの
トレーニングマッチが平塚競技場にて入場無料で行われました。
湘南にとっても今シーズン初のホームゲームということで、
結構な数のお客さんが詰めかけ、声援を送っていましたよ。
以下、試合結果です。
湘南ベルマーレ 1×0 フィンランド代表 ※45分×2
(得点者)42’島村
(前半)
【湘南ベルマーレ:4-3-3】
GK:伊藤(22’野澤)
DF:臼井、島村、阪田、鎌田
MF:田村、中村、寺川
FW:鈴木将、トゥット、菅野
【フィンランド代表:4-2-3-1】()内は所属クラブ・Caps/Goals
GK:Henri Sillanpää(VPS・4/0)
DF:Jonas Portin(FF Jaro・0/0)、Jukka Raitala(HJK・0/0)
Sami Rähmönen(TPS・0/0)、Tuomo Turunen(Honka・0/0)
MF:Tim Sparv(Haimstads BK《SWE》・0/0)、
Mehmet Hetemaj(Thrasivoulos Fylis《GRE》・0/0)、Mika Ojala(FC Inter Turku・0/0)
FW:Jari Litmanen(FC Lahti・118/30)、Perparim Hetemaj(Vitesse《HOL》・0/0)
Teemu Pukki(Sevilla《ESP》・0/0)
(後半)
【湘南ベルマーレ:4-3-3】
GK:植村(67’金)
DF:原田、ジャーン、山口、鈴木伸
MF:永田、猪狩、坂本
FW:小林、阿部、原
【フィンランド:4-2-3-1】
右SB、1トップ、1トップ下(Litmanenから誰か)が後半開始から交替
57’Jukka Raitala→Tuomo Könönen(Odd Grenland《NOR》・6/0)
フィンランド代表の記述が曖昧なのは理由があります。
何と彼ら、黄色いビブスを付けて試合に臨んでたんです。
そのビブスも番号かぶってるヤツが何人もいるし。
正直、プレーを見れば一発でわかる、1トップ下に入っていたLitmanenと、
メンバー表から最も背が高いはずなので判別できたボランチのSparv、
メンバー表からDFで最も背が高いはずなので判別できたPortin、
あと、交替の時にビブスを脱いだので本来の背番号が確認できた左SBのRaitala。
この4人しかスタメンで誰だかわかった選手はいませんでした。
日本代表戦に向けてバクスター監督の“選手誰だかわからないでしょ作戦”ですかね。
反町監督も「向こうは70%くらいでやってたんじゃないかな」と話していましたが
日本同様にシーズンオフの北欧系リーグでプレーしている選手がほとんどなので
やはりフルスロットルという感じではないですよねえ。
また、1トップは前半も後半も背の低い選手が務め、ハイボールというより
キッチリとパスを繋いで来る印象を受けました。ポストプレーはほとんどなかったです。
でも、球際は結構来ていたし、終了のホイッスルと同時に2人はピッチに倒れこむなど
そこそこ真剣に“トレーニングマッチ”していたとは思います。
湘南は、ホッフェンハイムばりの4-3-3が基本布陣。
キモになりそうな中盤アンカーは前半が田村、後半は永田→坂本がやってました。
「最初の15分、20分は相手に敬意を表し過ぎたが、
徐々に練習した成果が如実に現れた」とは反町監督。
中でも後半から右SBに入った原田と、右FWに入った小林はキレてましたね。
共に2年目を迎えたヤングガンズ。レギュラー争いに食い込んでいけるでしょうか。
あと、リトマネンさんに隙を見てゲリラ的に話しかけたんですけど
倉敷さんとのインタビュー覚えてくれてましたよ。
日本に来るのは95年のトヨタカップ以来だということ、足はだいぶよくなってきていること、
今回は若い選手が多いのでいい経験を積むのが大事な目的だということ、
日本も寒いけどフィンランドはもう平均でもマイナス4度くらいだから平気だよ、など
短い時間ではありましたが話してくれました。
御年37歳、まだまだフットボールを続ける意欲に満ち溢れているようです。
なお、このフィンランド代表を取り巻く取材環境の緩さを倉敷さんにお伝えした所、
「これはしたり!」とおっしゃっておられました。
今年もこの写真のスタジアムに行けば彼のプレーが見られるんですねえ。

AD土屋
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J1・J2入れ替え戦第2戦 磐田×仙台@ヤマハ

共に1点ずつを奪い合って終えた第1戦。最初の90分間で貴重なアウェイゴールを奪った磐田に対して、仙台にとっては実際にJ1のチームと対峙し、互角に戦えたことは、奪われたゴールに匹敵するくらいの勇気をもたらしたように私には見えました。入れ替え戦史上10試合目にして最後の試合であり、2008年のJリーグ623試合目にして最後の90分間は16時4分、仙台のキックオフでその幕を開けました。まずはゴールを奪うことが勝利への最低条件となるアウェイチームが、開始から前へ。4分には関口のクロスにナジソンが合わせて最初のチャンスを掴むなど「序盤ボールを動かせた。ゴール前にボールを送ることができていた」と手倉森誠監督も評価したように相手を押し込みます。一方のホームチームは、ゴールを奪われなければ負けはないという条件下で、予想通りほとんど5バック気味に自陣のスペースを埋める形。ただ、「最初の20分はリアクションのみでまったくプレーできなかった」(磐田・ハンス・オフト監督)「もっと僕らが圧倒できるかと思ったが受け身になった」(磐田・川口能活)と、予想以上に劣勢だと感じていた様子。すると24分には左サイドからリャンがクロスを上げると、なんと中央では3人がフリーに。しかしナジソンのシュートは枠にすら飛ばず。1点がどうしても欲しい仙台の逸機。これが1つの潮目になりました。この辺りから磐田の両サイドがそれまでより高い位置を取り始めます。駒野は再三右サイドからクロスを送り込み、さらに逆でも村井に加えて、ジウシーニョが流れることで仙台の右SB菅井の上がりを抑制。少しずつペースを握ると、第1戦でも活躍した松浦が大仕事。41分、自ら中央をドリブルですり抜け、左の前田にはたいてリターンを受けると、体を捻りながら胸でコントロールしたシュートは本人が「あそこまでいいコースに行くと思わなかった」と語る軌道を描いて、緩やかに仙台ゴールへ。弱冠19歳の2戦連発となる貴重な一撃で先手は磐田が取りました。さて、「色々なアクシデントを想定して失点はあるだろう」と考えていた手倉森監督は、後半開始からナジソンを下げて平瀬を投入。攻撃陣のてこ入れを図ります。チャンスは交互に創り合っていましたが、「前でなかなか収まり所がなかった」(仙台・中原貴之)仙台はなかなかサイドが使えず、攻撃も単発。序盤は勝っていたキープ率も互角かやや劣勢を強いられ、後半は頭から磐田が落ち着いて試合をコントロールしていました。それでも69分、リャンのFKから平瀬のヘディングは川口がファインセーブ。続くCKにゴール裏の黄色いサポーターも沸き立ちますが、直後に沈黙の時が。CKはそのまま磐田のカウンターに。抜け出した松浦はDFを軽やかなステップで振り切ると、冷静なフィニッシュ。「ジュビロにとっていい仕事をしてくれた」とオフト監督も絶賛した若武者の2発目で、いよいよ仙台は追い込まれました。78分には3枚目のカードとなる長身の中原を切りながら、焦りから「放り込むのかサイドから繋ぐのかがハッキリしなかった」(仙台・斉藤大介)ままに進む時計。ゴールに迫れず、所定の時間に追加されたのは4分。しかしこの4分にはまだドラマが残されていました。90分を2分回った時点で与えられた仙台のFK。「1点返せばわからない」と倒されたリャンが自ら蹴ったボールは、川口一歩も動けず左スミへ。1点差。スタジアムは異様なムードに。さらに諦めない仙台。懸命に折り返した関口のクロス、リャンのシュートはDFがブロック、再びリャンのシュートは川口が頭で防いでCKへ。天国と地獄を隔てるラストプレー。リャンのCKを磐田のDFがクリアした所で、岡田正義主審の長いホイッスル。2試合合計3-2。180分間の激闘は磐田に凱歌が上がりました。やはり両者に実力の差はあったと思います。さらにオフト監督が就任してからレギュラーに抜擢された松浦が2試合で3点を挙げるなど、短期決戦に必要なラッキーボーイも磐田サイドに生まれました。「3ヵ月前の目標を考えると非常に嬉しいし満足している」と笑顔を浮かべて語ったのはオフト監督。年間優勝3回、Jリーグ屈指の名門クラブが打ち砕かれかけた伝統は、最後の最後で繋ぎ止められました。敗れた仙台も力は出し切ったのではないでしょうか。確かにJ2でのシーズンに比べれば、サイドからの崩しを抑えられたし、中盤より後ろでの繋ぎに不安定さが目立ちました。それでも決して引くことなく、果敢にアタックし続ける姿勢は見せてくれたと思います。そしてアウェイでもサポーターとの“共闘”をしっかりと見せてくれました。「こういう結果になったのは残念だけど、目一杯やったので悔いはない」とキャプテンのリャン。「最後まで諦めないチームだったことを誇りに思う」とは手倉森監督。最後の1秒まで全身全霊で戦い抜いた両チームに心から感謝したいと思います。 AD土屋
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J1・J2入れ替え戦第1戦 仙台×磐田@ユアスタ

最終節、最後の10分間で奇跡的な千葉の猛追に抜かれて入れ替え戦行きを余儀なくされた磐田。最終節、草津の前にチャンスを決め切れない嫌な展開を関口の一振りで制して入れ替え戦へ勝ち進んだ仙台。歴史が物語って来た、勢いが実力を飲み込み得る問答無用の180分間。来シーズンからは3枠とも自動昇降格となるため、今回が最後の開催となる決戦の舞台は、平日にも拘らずスタンドは黄色で染め抜かれ、大音量のチャントが響き渡るユアテックスタジアム仙台。紙吹雪が舞い上がり、最高の雰囲気の中でキックオフを迎えました。慎重な立ち上がりを経て、試合が落ち着いてくると見えてきたのは共にいつも通りのスタイル。「しっかりとした守備から攻撃」とは仙台の手倉森誠監督。「あまり押し上げ過ぎずコントロールされた攻撃を仕掛けた」とは磐田のハンス・オフト監督。ただ、予想より磐田もサイドを高い位置に置いてきたため、攻守が順番に入れ替わるような展開になっていきます。11分には仙台の中島が左サイドからカットインして惜しいシュート。13分には磐田のジウシーニョが角度のない所から右ポストにぶつけるシュート。チャンスを創り合いますが、徐々に「もっと恐れていたがそんなに怖さはなかった」(仙台・千葉直樹)「J1相手でも全然やってける」(仙台・関口訓充)と磐田に“慣れ”始めた仙台が前掛かって攻勢に出ます。特にFWの中島は正確なポストワークに加え、サイドから果敢な突破も見せるなど前線で躍動。引っ張られる形で、関口とリャンヨンギも絡む機会が頻繁に。すると前半終了間際、大サポーター歓喜の瞬間が。41分、リャンのスルーパスに抜け出したのはナジソン。ここまでチームのいい流れにまったく乗れていなかったブラジル人は、コースを完全に消した川口を打ち破る難しいシュートを左スミへ突き刺します。これがチャレンジャーの勢いか。仙台は1点をリードする「最高の形で」(リャン)前半をクリアしました。さて、嫌な形で45分を折り返した磐田。しかし「動き自体は悪くない」(川口能活)「ボールを落ち着いて回せた」(茶野隆行)と、比較的ポジティブな印象を抱いた様子。後半は立ち上がりからラッシュを仕掛け、3連続CKなど相手を押し込みます。すると53分、駒野が右から入れたボールが前田、ジウシーニョと繋がると、松浦はエリア外から左足を一閃。ボールはネットを強烈に揺らし、1-1。アウェイゴールという大きな意味を含み持つ一撃で、ゲームは振り出しに戻されました。ここからは膠着した時間が続きます。磐田は大ブーイングで迎えられた凱旋ゲームの萬代、仙台は先制弾のナジソンを下げて中原と、双方攻撃的なカードを切ったものの、なかなかシュートシーンまで至らず。そんな中、74分には磐田に決定機。前田がスルスルと抜け出し、GKと1対1になると、ここは林がファインセーブ。81分には仙台に決定機。リャンが30m弱の距離から放ったFKはクロスバー直撃。共に譲りません。プラン的に1対1のドローは許容範囲の磐田を、何とか勝ち越し点を奪いたい仙台が終盤は押し込みますが、これ以上スコアは動かずタイムアップ。結果としてはドローという形で、運命は最後の90分間へと託されました。ただオフト監督が会見で語った「この3ヵ月で最もいいゲーム」というのは、かなりポジティブな考え方だと思います。確かにアウェイゴールを奪ったのはかなりのアドバンテージですが、前述の千葉、関口に加えてリャンも「相手を押さえ込むような展開にもなった。個人的には楽しかった」と手応えを表し、手倉森監督も「確実に次に繋がる結果」と語り、実際に対戦してみて十分にやれる自信を深めたように見えました。ほぼ互角のゲームだったという事実を、磐田サイドがうまく受けとめ切れるでしょうか。「次勝つしかないとハッキリした」と千葉。「足がどうなってもいいという気持ちで全てを出し切る」とリャン。今年Jリーグ最後の公式戦は土曜日16時、ヤマハスタジアムでキックオフを待っています。 AD土屋
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J1第34節 東京V×川崎@味スタ

3月8日に開幕したJリーグも、遂に残り1試合。優勝するチーム、残留するチーム、入れ替え戦に回るチーム、降格するチーム、今日の90分間が終われば全ては決まっている訳です。2008年の最終節、色々と考えましたが私は優勝争いにも残留争いにも関係のある唯一の会場、味の素スタジアムへと赴くことにしました。他力とはいえ、初タイトルの可能性を残したクラブを強烈に後押しすべく、アウェイゴール裏を埋め尽くしたサポーター。それに応えるべく、開始早々フルスロットルで飛び出した川崎。開始40秒でレナチーニョが土肥を急襲すると、こぼれを拾ったテセの折り返しをジュニーニョがポスト直撃のシュート。いきなりのラッシュから、その後も勢いの差を見せ付ける格好で川崎が一方的に攻め立てます。残留を争うライバルのポイントを考えても「失点しないことが一番最初に来る」(東京V・柱谷哲二監督)東京Vは、明らかにカウンターを狙っていたものの、それすらままならずに耐える時間が続くと、23分にもCKの混戦からクロスバーに当たるシュートを打たれ、肝を冷やします。そして26分、自陣エリア内での競り合いで、なんと福西にレッドカードが提示され一発退場。しかも川崎にはPKが与えられ絶体絶命のピンチに。ここは今季の不振を象徴するようなジュニーニョの枠を外れるミスキックに救われましたが、早くも数的不利に追い込まれてしまいました。ただ、これで戦い方がハッキリしたのも確か。大黒1枚を残した4-4-1でスペースを埋めて無理せずに引きこもり、機を見て人数をかけずに攻めると。そしてこれは遅攻に課題を残す川崎にしてみれば、先制されたケースで考えられた歓迎したくないシナリオ。スコアこそ同点ながら、得点を奪えないままに前半を消費しました。奇跡の逆転優勝には得失点差の関係上、大量得点が必須の川崎。高畠勉監督は菊地を下げて大橋を後半開始から投入。より攻勢を強めに出たのは明らかでしたが、逆に自分たちの時間を作ったのは、手負いのホームチーム。特に中盤の右ワイドに出ながら、自在なポジショニングでボールを引き出した平本が、51分大黒、55分和田と共に自らのクロスで好機を演出。可能性を感じさせます。しかし「チャンスがあったのに決め切れず」(東京V・大黒将志)、攻撃の意識も高まり始めた東京Vに川崎はカウンターを一太刀。64分、谷口が素早く左へ、ジュニーニョが中へ折り返すとレナチーニョ。とうとう均衡は破れました。こうなると流れは一気に川崎。再三の決定機は土肥が気迫で跳ね返し続けますが、押し寄せ続ける波を水際で凌ぐばかりとなってしまいます。そんな中、にわかに記者席がザワめき出したのはフクアリの信じられない展開。千葉が2点ビハインドから着実に1点ずつ返して、とうとう逆転。ヤマハのスコアも含めて、この時点で東京Vが自動降格圏に転落しました。それでも追い付けば得失点差で千葉を上回る状況。「僕の所には随時情報は入っていた」という柱谷監督も、河野、船越と攻撃的なカードを切って、何とか反撃を試みます。が、そんな一縷の望みを断ち切ったのは中村。「まだ優勝のチャンスはあると思った」と追加タイム、ジュニーニョからのFKをクイックで受けて、美しいループ。0-2、試合は決まりました。結果、2位を確保。来季再びACLへの挑戦権を得た川崎。中村は「他のチームからマークされながらの1年。2年前の2位とは地力の面で違う。1年間かけて、よりしぶとくなった」と手応えを感じている様子。来季は帰ってきた関塚監督と共に初のタイトルを目指す戦いが待っています。一方、あらゆるベクトルが最悪の方向に傾いて降格となった東京V。「フッキは1つのポイント。決定力がすべて。ストライカーを抜かれるというのは覚悟して下さいと言ったら、フロントに「お金がない、チーム存続が一番だ」と撥ね退けられた。会社には忠告しておいた」(柱谷監督)「ピッチ以外でも問題があった。サッカーだけに集中できない環境でも選手は一致団結していた」(那須)「みんなで同じ意識を持って助け合ってというのが少なかった」(福西)。クラブとして危険な状態にあるのがよくわかります。試合後には本当に多数のサポーターが“選手・スポンサー・サポーターは犠牲者だ”“選手はモノじゃない”など10枚近くのメッセージを掲げて2時間近く、形式的な謝罪に終始した社長の再登場を要求。J2での戦いに加え、クラブ経営面、そしてサポーターとの信頼関係でも来季の東京Vはかなり厳しい1年を迎えることになりそうです。いやあ、これで残すは入れ替え戦の2試合のみ。シーズンも終わっちゃいますねえ。 AD土屋
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J1第34節ジェフ千葉×FC東京@フクアリ

最終節には勝たなければ残留のチャンスがないジェフを観戦しにフクアリに行きました。FC東京も勝てばACL出場のチャンスがあります。ジェフはGK櫛野、ボランチには戸田(ここ数試合での下村と谷澤のパフォーマンスが悪いため)を起用れます。対するFC東京も出場停止の梶山に代わり鈴木達也が入りました。試合はアグレッシブに守るジェフがややペースを握ります。しかし攻撃の形が右サイドからアーリークロスから巻に合わすだけで怖さがありません。(右サイドのレイナルドがまったく長友を抜けないためえぐれないため)それからジェフで気になった事はデフェンスやボランチから前線へのパスがきちんと通らない事です。これでは攻撃の形はなかなか作れません。先制点は前半39分FC東京がCKからカポレが頭で合わせてあっさりゴールを決めます。そして後半8分にもFC東京は長友が左サイド切れ込んでゴールを奪い2-0としてスタジアムにはジェフ降格決定という雰囲気がただよいます。しかしジェフは後半11分に新居、18分に谷澤を入れるとジェフにゲームが動きます。後半29分谷澤からのパスを新居が見事なトラップからゴール決めると32分にも巻のポストプレーから谷澤決め同点。後半34分にはペナルティエリア内でレイナルドが今野に倒されてPK。これを今日まったくいいところがなかったレイナルドが冷静に決めてあっという間(わずか6分間)に逆転。スタジアムの最高に盛り上がります。なおもジェフは前がかりなったFC東京の裏をついて新居のパスから谷澤抜け出してゴール奪い4-2。大逆転でFC東京を下しました。そしてV東京と磐田が負けたためなんと残留も決定。ジェフには一足早いクリスマスプレゼントが届きました。本当に凄い試合を見せてもらいました。FC東京の城福監督は2-0の怖さ、踏ん張りきれない事を嘆いていましたが何と言ってもジェフの頑張りでしょう。素晴らしかったです。そして試合後のジェフの選手達の涙は美しかったです。甲斐
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J2第44節 愛媛×山形@ニンスタ

前節、ホームで勝てば昇格というチャンスに熊本と引き分け、悲願達成は先延ばしになった山形。愛媛のニンジニアスタジアムへ乗り込んでのアウェイゲームも、他会場に関係なく勝てば文句なしで昇格が決まる一戦でしたが、「あんまり入りがうまく行かなかった」(山形・小林伸二監督)序盤の10分、中央やや左から青野が蹴ったFKはカベの外側を通って山形のゴールネットへ一直線。今日も先制を許してしまいました。ただ、その2分後には馬場、豊田と繋ぎ、長谷川がスクリーンしながら強引にシュートを放つと、ボールはDFに当たりながらゆっくりとゴールへ。早くも1-1。予想外に動きのある立ち上がりとなります。愛媛は古巣対決となったFWの横山がよくボールを収め、縦に速い攻撃が効果的。中盤の出足も上々で、全体的にも五分以上のパフォーマンスを披露。対する山形は「やっぱりいつもと違った部分はあった」とGKの清水健太が語ったように、攻撃も単調なロングボールが増え、サイドを使って攻めるシーンを創れません。キープする時間は長いものの、スピードの変化に乏しいため、なかなかゴールまで迫ることができない中で、またもゴールは愛媛。32分、青野が右から蹴ったFKは中で誰にも触れられることなく、混戦をすり抜けるとそのまま左スミへ。山形は再び1点を追い掛ける展開を強いられます。さらに42分にはCBの石井が腕を痛めて負傷退場。前半追加タイムにはうまく抜け出した豊田のシュートがクロスバー直撃。なかなかいい流れを引き寄せられないままに、ビハインドを負って45分を終えました。後半もまずは愛媛にチャンス。54分、横谷のクロスを江後がヘッド。ここは清水が弾き出しますが、流れは変わりません。馬場に替えて渡辺を投入してからも相変わらずロングボールが奏効せず、ゴールの香りは希薄。63分に佐藤が出したスルーパスから長谷川がようやく決定機を掴むも、シュートはあさっての方向に。時間ばかりが経過していきます。すると73分には小林監督が3枚目のカードを切る決断。いつもの切り札である宮崎ではなく「経験もあるしトップで収めてくれるだろう」と財前にゲームを託しました。それでもシュートにすら持ち込めず、もはや敗色濃厚となった86分、CKのこぼれ球をそれまでまったくボールに絡めなかった財前がボレー。わずかにゴール左に外れましたが、これが結果的に山形のスイッチとなりました。88分、「調子が良かったのでチャンスが来れば決まりそうな予感はあった」石川竜也のFKは、GKに一歩たりとも動くことを許さない完璧な軌道。2-2、同点。91分、前節失点を喰らったシーンのデジャヴのようなカウンター。石川が右へ。財前が完璧なコースを選択したドリブルからパス。渡辺のシュートがDFに当たると、ボールは「一瞬時が止まって「エッ」という状態」だった豊田の前へ。プッシュ。3-2、逆転。これがフットボールの神に愛され、昇格することを認められたチームの“勝ち方”なのでしょう。あまりにも劇的な幕切れ。10年にも及ぶ雌伏の時を経て、遂にモンテディオ山形がJ1へ挑戦するための資格を自らの力で勝ち取りました。「同じ方向を向いてみんなで頑張れるチーム」と胸を張ったのはJ2屈指の左足で数々のゴールを演出した石川。「拾って頂いた山形に何かピッチで恩返ししたいと思っていた」と笑みをこぼしたのはこれでみちのく2クラブの昇格に貢献した財前。「5年分の想いが溢れた。この勝利は皆さんの勝利」とクラブ愛を強調したのは2004年から最終ラインを支え続けたレオナルド。そしてキャプテンとしてチームを牽引した宮沢は「昇格は夢だってよく言われた。本当に昇格する気があるのかとも言われた。僕はモンテディオ山形のことをもっとたくさんの山形に住む人に知ってもらいたいし支えてもらいたい」と真剣に語りました。来年からはとうとうJ1ですね。モンテディオ山形に関わる全ての皆さん、本当におめでとうございます! AD土屋
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J1第33節 川崎×神戸@等々力

首位を行く鹿島との勝ち点差は3。得失点差を考えても、逆転優勝のためには2連勝が必要条件の川崎。現在J1で最も好調と言ってもよさそうな神戸を相手に、「とにかく勝ち点3を取りたい」(川崎・中村憲剛)一戦は、いきなりのゴールで幕が開けます。ハーフカウンターからジュニーニョの素晴らしいスルーパスを受けたチョンテセが、GKとの1対1を難なく制し、たった3分で川崎が先制。ただ、前半に川崎がペースを握った時間帯はこのゴールまで。この後は神戸が好調たるゆえんを存分に見せ付けることになります。特筆すべきは速攻と遅攻を使い分けるオフェンス時の質の高さ。速攻ではシンプルに裏のスペースへとボールを送り込み、レアンドロを走らせると。8分と30分にはこの形から決定機を掴んでいます。また、遅攻ではショート、ショート、ロングと基本通りの流れでサイドに展開。ややクロスの精度に欠けたものの、特に右サイドからは何回かゴールを脅かすシーンを創出するなど、最後までやりきるプレーが多く、「引いちゃってセカンドボールが拾えなかった」(川崎・森勇介)川崎は波状攻撃を喰らい、苦しい時間帯が続きます。そんな中、「やることはやれてたんで焦ることはなかった」(川崎・寺田周平)「とりあえずゼロで行こう」(森)と劣勢でも意識は統一されていた様子。GK川島が再三ファインセーブを見せるなど、最後の一線は越えさせることなく、1点のリードを守って前半をやり過ごしました。神戸にしてみれば、「最初の1失点以外は何も問題がない」(神戸・松田浩監督)45分。守備面も中盤ではキムナミルがことごとくピンチの芽を積み続け、CBの2枚もチョンテセを失点以外は完封。理想的なゲームだったはずです。さらに後半に入っても、46分には田中がループ気味に狙い、5分後にも大久保の折り返しをキムがスルーした所に吉田が走り込みシュート。しかしどちらの決定機にも川島が気迫のセーブでゴールを死守するとようやく潮目にも変化が現れ、62分にゴールを奪ったのはまたも川崎。谷口が裏に抜け出して放ったシュートをチョンテセが詰めて2点差。さらに65分にもチョンテセが体を張って繋いだボールをレナチーニョが拾って、最後はジュニーニョの冷静なシュートで3点差。「勝負所を嗅ぎ分けて」(中村)一気にギアを上げたホームチームがゲームを決めました。得失点差を考えてか、北本の退場で10人になった神戸をなおも攻め続けた対価は、終了間際に挙げたレナチーニョの4点目。「点差ほどの差はなかった」(中村)苦しい試合を勝ち切った川崎が、最終節へ優勝の望みを繋ぎました。正直、2点目が入るまでは、川崎にとって完全な負けゲームでした。あれほどまでに押し込まれる展開はかなり珍しいと思います。しかし、終わってみれば得たのは勝ち点3と4得点の上積み。窮地を何度も救った川島が「追い掛ける立場で勝ちが絶対的に求められ、数多くのゴールを決めなくてはいけない」と形容したゲームで申し分ない結果を出しました。鹿島が土壇場で勝利したために勝ち点差は縮まらなかったものの、得失点差は3詰まって4差に。「僕自身もチームのみんなも諦めてない」と中村、「ホントいい流れで最終戦に臨める」とは寺田。名古屋次第で優勝を争うのは2チームになるのか3チームになるのか。明日が終われば、とうとう残されたのはたった1試合です。 AD土屋
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J2第43節 山形×熊本@NDスタ

J2初年度からのリーグ加盟。創設メンバーだったライバルクラブは次々と憧れの舞台へ挑戦する切符を掴み取り、気付けば10年の月日が流れました。1つの節目を迎えたモンテディオ山形にとって、最もJ1に近づいた日は今日と言っても過言ではないでしょう。11月23日、13時4分、積年の願いを成就させるための90分間はキックオフされました。気温7.6度、芝も水を含んだスリッピーな状態。「寒さに対応しきれず、ピッチにてこずった部分はある」と豊田陽平が語った通り、立ち上がりの15分は双方慎重なプレーを選択し、非常に動きの少ない展開の中、「これだけ注目されることを楽しんでやろうと」(熊本・池谷友良監督)送り出された熊本が、徐々にペースを握ります。キーになったのは中盤の枚数。4-3-3を敷く熊本の中盤はアンカー1枚の逆三角形で、山形も前の2枚にはダブルボランチが対応しましたが、アンカーにプレスバックするはずのFW2枚は「前半ボールが収まらなかった」(山形・小林伸二監督)ことでゲームの流れに乗り切れず、プレスバックも中途半端に。さらに「縦パスへのアプローチができず、ブロックで守ってしまい、CBとボランチのギャップを自由に使われ」(小林監督)ショートパスを繋がれるシーンが目立ちます。18分には右サイドを崩され、中山がヒールで放ったシュートは何とかGK清水がセーブ。熊本がまずは決定的なシーンを創りました。さて、なかなか攻め手を見い出だせない山形でしたが、飛び道具とも言える“石川のクロスから豊田の頭”がようやく29分に発動します。しかしボールはクロスバーに跳ね返され、スタジアムは溜め息。これが前半唯一の決定機となった山形は、「自分たちの考えた中で進められた」(池谷監督)熊本に主導権を握られたままの45分を強いられました。ホームゲームで勝てば昇格、「プレッシャーはないかと言えばあった」(山形・レオナルド)チームもようやくハーフタイムを経ると持ち直します。53分には馬場のクロスを長谷川。ゴールはオフサイドで取り消されたものの、ようやく攻撃にも幅が見られるように。ところがそんな矢先、ゴールは熊本に記録されました。64分、相手CKのこぼれ球からカウンター。木島が思い切りよく放ったシュートはGK正面を突くも、なんと清水はトンネル。「凄い速いボールでブレ球」(清水)ながら「準備不足。何とかしなきゃいけなかった」(同)と反省する痛恨のミス。これで山形は2点が必要になりました。小林監督は秋葉と宮崎を相次いで投入、さらに70分には熊本の市村が2枚目のイエローカードで退場に。ゲームの流れはホームチームへと傾きかけます。それでも「サイドの徹底ができず、みんな中に入ってしまった」(小林監督)ことで、高さを生かし切ることもできずじまい。88分、やっと宮本のクロスを豊田がダイビングヘッドで叩き込んで同点に追い付くと、13018人が見つめるスタジアムは逆転への雰囲気が震えるほどに充満しましたが、レオナルドを前線に上げた4分の追加タイムでも可能性を感じさせるクロスは入らず終了のホイッスル。ひとまず悲願達成は次節以降へおあずけとなりました。率直に言うと、これで8戦負けなしとなった熊本の出来がよかったと思います。中盤での構成力でも相手を上回り、10人での時間帯も全体のラインを下げすぎることなく、パワープレーをうまくいなし続けました。池谷監督の「ここに来てだんだん力がついてきたかな」という言葉も頷けます。さて、なんとか勝ち点1を拾った山形。やはり「サイドからやればチャンスはあったかな」(豊田)「サイドに行ってもやりきれないシーンがあった」(長谷川)と2トップが口を揃えたように、サイドの機能不全が響きました。普段は高性能を誇る石川でさえ、クロスは大半がミスに。やはりいつも通りとはいかなかったようです。それでもまだ残り2試合で3位と5ポイント差は圧倒的有利。「次が最後だという気持ちで締め括る」とはレオナルド。“次”は30日、アウェイの愛媛戦。10年目のプロポーズは果たして“次”で叶うのでしょうか。写真は新幹線の車窓から。 AD土屋
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J2第43節 横浜FC×仙台@ニッパ球

「勝ち点3を獲りにここへ来た」と仙台のキャプテン、リャンヨンギ。2位山形との勝ち点差は5。自動昇格のためには、1つの勝ち点も落とせない仙台は「序盤はいい入り方ができて」(仙台・手倉森誠監督)相手を圧倒。開始10分でCKを4本獲得し、一方的な展開に。先制点は時間の問題に思えましたが、先にゴールを奪ったのは横浜FC。12分、カウンターから難波のクロスを御給がヘッド。GKがファインセーブで防ぐも、最後は根占がプッシュ。ワンチャンスを決められた仙台はいきなりビハインドを負う格好になってしまいました。するとここからは格段に出足が良くなった横浜FCがピッチを広く使い始め、特に三浦淳宏と太田の左サイドから再三崩しにかかります。さらに序盤はボールロストが目立ったFWの御給がしっかりボールを収め出したことで前での時間ができ、DF陣が落ち着きを取り戻したこともリズムを作った1つの要因でしょう。一方の仙台は「失点してからミスもだんだん多くなっていった」(リャン)「バタバタしていた」(中原貴之)「少し硬くなって焦っていた」(林卓人)と前半に関して並ぶのは反省の弁ばかり。40分の決定機も平瀬のボレーはヒットせず、1点をリードされたままで前半を終えました。それでも後半は開始早々にアウェイゴール裏のみならず、メインもバックも黄色に染めたサポーターを熱狂させます。48分、関口がここまで超人的なパフォーマンスを見せ付けていたエリゼウをサイドに釣り出した上で、ドリブルで抜き去りクロスを上げると二アに平瀬が飛び込み、ゴール。スコアをタイに引き戻しました。ただ、やはり今日の仙台は歯車が噛み合わない印象。相変わらず細かいミスが頻発し、せっかく掴みかけた流れを引き寄せ切れません。そんな展開の定石はきっちり訪れ、60分にはCKの流れから太田が絶妙のクロス。難波が身長で15センチ近く高い岡山に競り勝つと、根占が冷静にフィニッシュ。リードを奪ったのは再びホームチームとなりました。いよいよ追い込まれた仙台。「気になってる部分が少し多過ぎた」ことで交替を控えていた手倉森監督も74分ナジソン、75分永井、78分中原を次々と投入。「最終ラインの枚数を削って」(手倉森監督)なりふり構わずゴールを狙いに行きます。スクランブル態勢を採りながら、エリゼウを中心に豊富な運動量で懸命の守備を見せる横浜FCを前に、チャンスはほとんど創れず時間ばかりが経過。しかし、90分に追加された4分が半分を過ぎた頃、昇格への執念がようやく結実します。斉藤のフィードを「監督から「点を獲れ」と言われて」送り込まれた中原が、エリゼウを体でブロックしながら素晴らしい反転シュート。土壇場で追い付いた仙台。結果はドローとなったものの、「0が1になったので次に繋がる」(中原)何とか最低限の勝ち点は確保して、ゲームを終えました。さて、この結果を受けて仙台と山形の勝ち点差は4に。これで山形が明日の熊本戦に勝てば2位が確定。負けても仙台が残りの2試合を1勝1分けか2連勝した上に山形が1勝もできなかった場合のみ逆転しての2位と、仙台にとって自動昇格はかなり厳しくなりました。手倉森監督も「現実的に3位狙いと選手にも話した。ブレずに来た強みを最後まで見せたい」と語り、選手も「3位という目標がハッキリできた」(中原)「3位に向けて準備していかなくてはならない」(リャン)と気持ちは切り替えたようです。鳥栖が徳島に敗れたため、実質の3位争いは仙台と、明日のC大阪×湘南の勝者に絞られました。とりあえず私は明日NDスタに行ってきます。 AD土屋
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J1第31節 大宮×川崎@NACK5

少し忘れられつつあるかもしれませんが、この2チームの共通項は2005年の昇格組だという事。共に昇格の瞬間をピッチレベルで取材していた私にとっても、思い入れのある両チームの対戦です。置かれた状況は異なれども、それぞれの目標に向けても勝ち点3のみが求められるゲームは、まず「受けに回るとやられる。逆に僕らから仕掛けて行こう」(大宮・樋口靖洋監督)というホームチームの勢いが上回ります。特にキーになったのはサイド。基本はラフリッチへのフィードを狙いながら、「ボールを奪った時にはサイドを突くことを徹底する」(樋口監督)策が奏功。特に川崎の左サイドにできた広大なスペースへ、右SBの塚本が果敢にチャレンジ。相手を着実に押し込みます。7分には藤本がドリブルから2人をかわしてシュート。14分、内田のFKは富田が完璧に折り返すもフリーのラフリッチは空振り。ゴールの香りが漂ってくる中、やはり先手を取ったのは大宮。26分、中盤でヴィトール・ジュニオールの横パスをカットした内田がドリブル、落としたボールをラフリッチがシュート、これが左ポストに跳ね返り、こぼれ球を藤本。J通算300試合出場を自ら祝う「みんなの気持ちのこもった」(藤本)一発でリードを奪いました。一方の川崎は、やはり攻撃にかかった時の迫力はあるものの、「6人と4人で分かれるような」(藤本)時間も長く、守備バランスの欠如は一目瞭然。特に前述したSBの前方に生まれるスペースはボランチの1枚がスライドしてくるのにも限界はあり、最大の守備は攻め切ることといったイメージです。35分にはCKのこぼれ球に反応した森が、信じ難い程に美しいダイレクトボレーをネットへ突き刺し、スコアこそ同点に追い付きましたが、「なかなかペースが握れない」(川崎・高畠勉監督)川崎、「すごく内容がよかった」(大宮・小林慶)大宮という構図で前半は経過しました。後半に入るとボールキープでは圧倒しながら、流れの中から個の力で押し込み切れない川崎も、高さを生かしたセットプレーはやはり脅威。岡田正義主審がファウルに厳しく笛を吹いたこともあり、FKも数多く獲得しますが、今日はキッカーと合わせる側も呼吸が乱れるシーンが散見。大宮ゴールを脅かすまでには至りません。むしろ決定的なチャンスは大宮に。53分にはCKのこぼれに藤本、66分には片岡の無回転ミドル、共に川島のファインセーブに阻まれましたが、スタジアムは沸き立ちます。ようやく川崎が72分に迎えた決定機もエース・ジュニーニョがまさかの空振り。最大の見せ場を失うと、やはり今日のゲームの流れは大宮を支持していました。77分、「積極性を意識して」再三オーバーラップを見せていた塚本が右からクロス。ボールは中で構えるラフリッチのやや後方へ流れますが、トラップで浮かせると「いい状況でボールを捉えられた」というボレーは、右スミへ一直線。6試合ぶりとなるラフリッチの一撃で、再び大宮にアドバンテージがもたらされました。残り試合、勝ち点を考えても負けは終戦に等しい川崎も、寺田を最前線へ送り込み果敢に攻め立て、決死の抵抗を試みましたが、最後まで相手の守備ブロックを攻略できず。15位の大宮が3位の川崎を内容でも凌駕して、J1残留へ貴重な勝ち点3を堂々奪取しました。大宮勝利最大の立役者はラフリッチでしょう。決勝弾もさることながら、自身目がけて蹴られるフィードに全身を使って食らい付く気合いのプレー。必死にボールを収め、FKを奪取、「全員がいい仕事をできた」と語った彼からは、競り負ける度に苛立ちを露にしていた数試合前の姿は完全に消え去っていました。「トーナメントの1回戦は勝った。でもまだ3つ残っている」(樋口監督)「やっぱり結果が大事。だからこそ次」(小林慶)「これを続けないと意味がない」(ラフリッチ)「まだ何も得ていない」(藤本)。既に先を見据えている大宮の選手たち。残されたゲーム数は3つです。大宮駅前のリスも心なしか嬉しそうでした。 AD土屋
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ナビスコ決勝 大分×清水@国立

大分を率いるシャムスカ監督が清水に対して警戒していたポイントは2つ。1つは「相手の2トップがDFラインの背後へ斜めに入ってくる」こと。そしてもう1つは「枝村がFWのラインに入ってくると、3バックと3対3の状況になる」ことでした。しかし、清水が「思ったより前に出てこなかった」(大分・深谷友基)ことで、序盤から大分のボールキープの方が長い展開に。警戒していた相手の2トップとその下に位置する枝村には、3バックとホベルトかWBの1枚が必ず数的有利を作って対処することで効果的なプレーをほとんど許さず、この時間帯で大分側に守りのリズムが生まれたため、清水は前半流れの中から迎えたチャンスは大半がミドルやセットプレーに限定されました。守備から生まれた好循環は攻撃にも波及。「3-5-2の外になかなかプレッシャーがかけられず、そこで後手を踏んだ」と清水の左SH兵働が語ったように、とりわけ右WBの高橋は積極的な縦への仕掛けから、何度もチャンスを創り出します。攻撃面でもイニシアチブを取った大分が流れの中では、ゲームを支配する展開となりました。19分、最初の決定機は大分。ウェズレイのCKを二アで高松が高い打点からヘッド、GK山本海がファインセーブで止めたこぼれ球にホベルト。しかしボールは左ポストを急襲、ゴールラインは越えません。流れを必要としないセットプレーから清水も26分、CKのこぼれ球は高木和の目の前へ転がる大チャンス。が、力んだシュートはゴール左へ。ゲーム全体は大分ペースながら、チャンスの数も含めた印象はほぼ互角のまま、まずはスコアレスで45分が経過しました。さて、清水で試合前にスタメン予想が難しかったのは右サイドのユニット。市川とマルコス・パウロ、岩下と山本真。基本的な性質は前者が攻撃的、後者が守備的とも捉えられていて、今日は後者がスタートから起用されたことで、前者の2人を「入れるタイミングがポイント」(清水・長谷川健太監督)になります。ただ、後半は兵働が中央でもボールを収め始めたことで攻勢の時間を作れるようになり、少しゲームバランスを清水が押し戻します。それでも惜しいシーンは大分に。59分、高松の正確なロングフィードを、完全にフリーで裏を取った高橋のヒットはしなかったシュート。60分、藤田の左クロスを高橋が落としてウェズレイが強振したシュートは山本海が再びファインセーブ。長谷川監督もなかなか動きにくい状況は続きましたが、それはシャムスカ監督も同様。ジリジリした時間が続きます。そして、遂にスコアが動いたのは68分。動かしたのはやはり大分の右サイドでした。引いてきた高橋が付けたボールをエジミウソンが縦へ。釣り出された清水DFラインの裏へと金崎が巧みに抜け出しクロス。ここに飛び込んだのは高松。清水側にも「1回ボールが太陽に入って見失った」(山本海)という不運もありましたが、それでもキャプテンの魂のこもった一撃が清水の牙城を突き崩し、大分が先手を奪いました。「そろそろと思いながらも先に点を取られてしまった」長谷川監督も、失点の2分後に決断。市川、マルコス・パウロを同時投入。不安定だった児玉を下げ、岩下を左に回します。ここからようやく清水も「SBが高い位置を取ってクロス」(兵働)という形を狙い始め、さらに枝村と矢島を入れ替え、3トップ気味で勝負に。83分には矢島が反転から放ったシュートはわずかにゴール右へ。アウェイゴール裏から上がる悲鳴。清水の総攻撃が続きます。しかし、したたかさで上回ったのは大分。追加タイムに入ってすぐ、相手の連携ミスを高橋が奪って金崎へ。そしてボールがフリーのウェズレイに渡ると、GKとの1対1を外すはずもなく2点目。そしてタイムアップ。「我々は常に上位に食い込むチームではなかった。歴史を見ても本当に大変な苦労をしたチーム」(シャムスカ監督)が「言葉で言い表わせないほどの深み、重さがある」(同)タイトルを獲得。ホームゴール裏を埋め尽くした青いサポーターと選手が喜びを分かち合った大分が、クラブ史上初めての栄冠を手にしました。なお、大分歓喜のシャンパンファイトは大いに盛り上がったようで、シャムスカ監督の会見は試合終了後1時間を過ぎてようやく開始されたことを付け加えておきます。 AD土屋
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J2第41節 山形×湘南@NDスタ

65ポイントの2位山形。59ポイントの4位湘南。6ポイント差で迎えた今日の一戦は、残り5試合という状況を考えても間違いなく今シーズンのJ2で最も重要なゲーム。私が利用したキックオフ2時間半前に山形駅を発車するシャトルバスも満席。湘南からもかなりの数のサポーターが詰め掛ける中、メインスタンドでもバックスタンドでも物凄い数の青白の旗が振られる幻想的な雰囲気でキックオフを迎えました。ゲームの重要性を意識してか、共にシンプルな長いボールを送る立ち上がりを経て、まずリズムを掴み始めたのは湘南。中盤の加藤と菊池は仕掛ける意識が強く、それに呼応する形で右SBの臼井もオーバーラップを繰り返し、サイドからチャンスを窺います。山形は「シンプルにコンディションのいい2人を選んだ」(山形・小林伸二監督)豊田、長谷川の2トップにボールが収まらず、押し込まれる展開に。しかし、あるアクシデントが傾きかけていたパワーバランスを、再び均衡へと引き戻しました。23分、右サイドで存在感を示していた臼井が負傷し、そのまま山口と交替。「彼のサイドアタック、クロスは我々の大事な攻撃の要素」(湘南・菅野将晃監督)という臼井を欠くと、山形から見た左サイドで蓋をされていた石川と宮沢が前へと出ていく機会が増え、少しずつ攻撃の手数を出せるようになっていきます。32分には長谷川が左サイドを突破して中へ。豊田は素晴らしいターンでDFを外して右足を強振しましたが、クロスバーに弾かれる不運。対する湘南も39分、鈴木伸貴のパスから原がフリーで抜け出し、左足で狙うもGK正面。お互い少ないとはいえ決定機も創り出し、ほとんど互角と言っていい内容で45分間は推移しました。後半は序盤から決して弱くない風を風下で受ける形の山形が攻勢。やはり左サイドに基点ができることで、じっくりとボールを回すことが可能になり、ジワジワと湘南を攻め立てます。そんな中で65分には湘南にこの試合最大のチャンスが。坂本が右へ展開して、山口がクロス。菊池は頭で巧みに合わせます。が、こちらも邪魔をしたのはクロスバー。スコアボードは動きません。70分を過ぎるとさすがに疲労は色濃く、どちらにもミスが散見。73分には石原がレオナルドからボールを奪い、フリーの菊池へ。しかしシュートは枠外。さらに湘南がトウットを、山形が小原と宮崎を投入して迎えた83分には、田村が中盤で馬場のコントロールミスを引っ掛け、スルーパスを送ると受けた坂本のシュートもゴール右へ。失点こそ免れながら、危険なミスを目の当たりにした小林監督は84分、最後となる3枚目のカードを「リチェーリ投入も考えたが、馬場があそこで目一杯」と判断して渡辺を選択。この決断が劇的なドラマの呼び水になりました。所定の90分は経過、もはや勝ち点1ずつを分け合う結果をスタジアム中が覚悟し始めたその時、石川からボールを受けた渡辺が左サイドから急激にカットイン。虚を突かれた格好の湘南DFは対応しきれず、そのまま渡辺は思い切りよくシュート。一度はクロスバーを叩いたボールも、飛び付いたGKに当たってゴールに吸い込まれます。「今季はチームにまったく貢献できてない。1つやっと仕事ができたかな」と殊勝に語った男の決勝弾で、山形が3位以内をほぼ決定づける勝利を挙げました。試合後に判明したことですが、小林監督は「湘南はサイドを破るとCBが出てこないんで、カットインしてシュートが狙えると言った」と。そしてそのパターン練習も重ねていたそうです。渡辺も「得点の形は伸二さんに言われた通りのプレーをしただけ。シュートだけが予定外」と笑顔。一見突発的に見えたプレーも、綿密なスカウティング、アイデアの落とし込み、反復練習にしっかり裏打ちされたものだったようです。確かに「1点失うのはサッカーの世界でよくあること」(菅野監督)ですが、今日の1点には山形というチームの強さが凝縮されていたことを、私は改めて実感しました。「ハーフタイムに仙台が負けていると聞いていたのに終わったら勝ってた。まだまだ続くなあと思った」(小林監督)「自分たちが全勝すれば決まる。限られた者しかできない経験を楽しむ」(渡辺)。この大詰めに来てもプレッシャーとは無縁のように見えた山形。いよいよ残されたのはあと4試合です。 AD土屋
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J1第30節 柏×横浜FM@日立台

意図せず残留が第一目標となってしまった柏と横浜FM。共に底は脱した感がある中で、今日勝利を収めれば勝ち点を考えても降格の危機はほぼ回避できるとあって、好ゲームを期待して日立台へ行きました。4-2-3-1の柏と3-4-2-1の横浜FMというマッチアップの理論上、サイドで数的優位が作れるのは前者、中央で数的優位が作れるのは後者。「攻撃の基点をサイドに持っていこう」と言う柏の石崎信弘監督に対して、横浜FMの木村浩吉監督は「太田と菅沼に両田中(隼磨と裕介)を付けて受け渡す」策を指示。とりわけ前節に続いて左WBで起用された田中裕介が太田を封じ込めたことで、SBの村上も「前半はボールが入って来なかった」と言うように柏の右サイドは機能不全に。一方、横浜FMは狩野と兵藤のダブル1トップ下がパスにドリブルにと自在に躍動し、ボランチの河合まで前線に顔を出すなど、厚みのある攻撃で徐々に相手を圧倒し始めます。その流れを象徴するのが39分のシーン。自陣深い位置でボールを受けたフランサのパスは、味方に合わず兵藤への絶妙なスルーパスへ。守から攻に移る瞬間を突かれた柏DF陣も何とか枚数は戻りましたが、混戦の中から最後は狩野が蹴り込み、先制点。前半から「攻撃のゾーンに入ったら何やってもいいからやり切れ」という木村監督の言葉を実践した横浜FMは、相手のミス絡みとはいえ、展開に見合った対価を得て前半を終えました。さらに53分の追加点は、時間帯をとっても形をとっても理想的な一撃。田中隼のフィードに兵藤がオフサイドラインギリギリで抜け出します。兵藤から右サイドでパスを受けた狩野は、ファーへ柔らかい最高のクロス。ここにフリーで飛び込んできたのが田中裕。著しく機能したダブル1トップ下の連携から、守備面を評価されて出場機会を得た選手がJリーグ初ゴール。まだ40分近く時間は残っていましたが、事実上この2点目で大勢は決したと言って差し支えなかったと思います。横浜FMは65分にようやくケガから復帰した山瀬功治が坂田に替わって投入された後は、狩野が坂田の位置にこそ入ったものの、実際はローマのようなゼロトップにシフト。これでより一層ショートパスが回るようになり、チャンスを数多く創出するなど、新たなオプションの可能性さえ掴むことに成功しました。日立台で腑甲斐ない戦いは見せられないホームチームも1点は返します。75分、途中出場の大津が送ったスルーパス、抜け出した村上のクロスがGKに弾かれた所を、こちらも途中出場の栗澤がボレーで叩いて1点差に。これで明らかにスタジアムにも同点、そして逆転を後押しする空気が醸成されます。しかし勢いの差にはあらがえず。「あと1点取らなきゃという所での失点」(栗澤)「1点返した後にまたミスが出てしまったのは残念」(石崎監督)と2人が口を揃えて悔やんだ84分の失点も、自陣深くで山根のパスを小椋にカットされ、中央でどフリーの狩野に合わされたもの。2連勝の好リズムを持ち込むことのできなかった柏は、最後まで歯車が噛み合うことなくホームで完敗を喫しました。さて、いつも飄々としている横浜FMの木村監督は会見で「巷では残留争いと言われてるが、僕はそんなの考えたことない。でも狩野みたいにこれでもっとやりやすくなると思ってるのは私だけでしょうか」と、だいたひかるみたいなことを言っていましたが、今日、そして前節の名古屋戦を見ている限り、現状の横浜FMを倒すのはかなり難しいと思います。3バック、時として5バックの守備組織は強固で穴が少ない堅牢。前線も山瀬功の復帰で人選を迷うほどの充実度。ただ、あとリーグ戦の試合数が4というのが残念な所でしょうか。 AD土屋
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J1第29節 東京V×大宮@味スタ

勝ち点5差の中で9チームが、迫り来る降格の影に怯えながら戦うことになった残留争い。今日は32ポイントで並ぶ、入れ替え戦枠の16位東京Vと、自動降格圏の17位大宮が直接対決するビッグマッチに行ってきました。「お互いに“負けたくない”から始まってしまった」(東京V・柱谷哲二監督)ゲームは、序盤から共にSBもオーバーラップを完全に自重するノーリスクの展開。攻撃へとスイッチが入るのは、頻繁に起きた中盤での目を疑うようなミスパスを奪った時がほとんどで、そこからの攻撃も決定機に結び付けるまでには至りません。大宮の樋口靖洋監督は攻撃面に関して「ポゼッションとターゲットの使い分け」を課題に挙げましたが、客観的に見ても“ターゲット”となるべきラフリッチの貢献度は皆無。ポストワークでもミスを連発し、高さでも競り勝つシーンは数えるほどで、マッチアップする機会の多かった那須も「ウチではもっと高くて強いFWと練習しているので、自信を持って自分のタイミングで競り勝てた」と余裕の表情。なまじロングボールが増えたばかりに、今季の持ち味だったはずのパスワークも影を潜めるなど、弊害ばかりが目に付きました。対する東京Vも平本を頂点に据えた4-2-3-1を敷いたものの、3のサイドに入った柴崎と飯尾にいいボールが入らず、トップ下のディエゴも孤立気味。「重苦しいゲーム」(柱谷監督)のまま、45分が費やされました。後半、「前半はプラン通り。ファイトしながらゲーム出来ている」と言う樋口監督に対して、「ホームなんだよ。もっとボールをどんどん前に出していこう」と柱谷監督。すると、開始から10分は大宮が攻勢に出ますが、その後は東京Vが押し続ける展開になっていきます。ここでのキーマンは福西。抑え気味だった前半から一転、積極的に前へと絡んでいったことで、ディエゴがさらに前へと出ていく格好でボールを収め出し、中盤を支配し始めました。74分、両チームは同時に1枚目のカードを切ります。東京Vは疲れの見える飯尾から廣山へ、大宮は藤本から土岐田へスイッチ。ここでも交替策が奏功したのは前者。82分、廣山が送った浮き球にいち早く反応したのはディエゴ。カバーに来たDFをものともせず、冷静にフィニッシュ。「自分のゴールだけではなくみんなのゴール」とディエゴも振り返った先制点は時間帯や内容を考えても決定的な一発。果たしてそれが決勝点となり、東京Vがあまりにも大きな勝ち点3を奪取しました。大宮は「サイドで守備面でのパワーが欲しかった」(樋口監督)と今日がJリーグデビューとなる塚本泰史を右SBで起用。駒澤大学時代の高精度キックを見ていたので、期待して見ていました。しかし、このゲームの持つ意味や、ある程度攻め上がりを制限されるような状況下で、非常に難しい役回りを強いられました。失点シーンでディエゴに付いていたのは塚本。試合後、沈痛な表情で「自分のマークでやられてしまって、申し訳ない気持ちでいっぱい」と声を振り絞りましたが、かなり酷なデビューとなってしまいました。東京Vも決して褒められた内容と言えなかったのは確か。でも、最低限かつ最高の結果を得たのも確かです。後半に見せたアグレッシブさはキチンと対価として報われました。結論として、ほとんど互角のチーム力の中で勝負を分けたのは、デニス・マルケスの不在を含めた外国籍選手の差だったと、私は思います。 AD土屋
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J1第28節 千葉×浦和@フクアリ

現在のチーム状況だけを考えれば、リーグの中でもトップクラスの好調さを維持する千葉。その勢いは、難敵浦和を相手にしてもいきなり全開。なんと開始20秒で、谷澤のスルーパスから完璧に闘利王の裏を取った深井がワンタッチでゴール右スミに流し込み、先制点を奪います。意外な幕開けに沸き立つフクアリ。しかし、エジミウソンの鋭いチェイスから奪ったボールを、闘利王が名誉挽回となるFW顔負けのゴールを決めたのが8分。序盤から動きの激しいゲームになりました。球際で上回っていたのは千葉。「ズルズル下がって、ゴール前に来られるシーンをなるべく作らないように」(千葉・巻誠一郎)と、中盤より前から厳しいプレス。さらに谷澤、深井がよくボールを収め、積極的な仕掛けからサイドを制圧。浦和と互角の攻防を繰り広げます。26分にはCKから青木良太のヘディングが右ポストを叩き、44分には工藤のクロスを巻がヘディングするも、再び右ポスト直撃。生かせなかったとはいえ、チャンスを確実に決定機へと結び付ける高い集中力を見せました。対する浦和は前半放った6本のシュート中、4本が闘利王だったことからもわかるように明確な形はなく、頼みの両WBも押し込まれる時間が長いためにチャンスはセットプレーばかり。1対1のままで前半は終了しました。「今日は俺たちの日だ。相手より強いメンタルを見せろ」(千葉・アレックス・ミラー監督)「今日はサッカーの勝負じゃない。メンタルの勝負になる。強い気持ちを持って戦っていこう」(浦和・ゲルト・エンゲルス監督)と共にメンタルを強調されて入った後半。ここで輝いたのは、鹿島で“勝者のメンタル”を叩き込まれた小柄な救世主でした。57分、工藤、ミシェウと繋がったボールを受けたのは深井。「トラップしたら敵がいて、それをかわそうとしたら前が空いた」とは本人。トラップから華麗なルーレットでDFを置き去り、素早く左足のトーキックで振り抜いたボールは、サポーターで黄色に染め尽くされたサイドのゴールネットに突き刺さる勝ち越し弾。スペシャルな一撃がフクアリを揺さ振ります。たまらず浦和は鈴木に替えて梅崎を投入して、1ボランチ2シャドーにシフトしますが、直後には信じられない光景が。都築の短いゴールキックを、坪井がまさかのトラップミス。巻が拾って、素早く中へ送ると、ミシェウは目の前に立ちはだかるDFに構わずノーステップでシュート。これが左スミに飛び込み3点目。千葉が2点のアドバンテージを得ることになります。いよいよ追い詰められた浦和は、闘利王を最前線へ上げて4-4-2に布陣を変更しましたが、実際はポジションレスでパワープレーへ。これで後半開始から入っていた永井はサイドからのクロス要員となって持ち味は消え、梅崎もドリブルの機会を失い、持ち味が消えたと。「向こうが取ってくるロングボールの戦術はわかっていた」(ミラー監督)中でも、ロングボールから1点返したのはさすがでしたが、千葉の集中は最後まで持続。とうとう浦和でさえも撃破し、驚異の5連勝をホーム・フクアリで達成しました。これでゲーム終了時点では暫定14位にまで浮上した千葉。殊勲の深井も「僕が来てから悪い雰囲気は感じていない」と手応えを語り、巻は「チーム内での競争も激しい」と好循環を強調しました。「よくやってくれたが、明日からまた新しい日が始まる」と言うミラー監督。今の勢いはそう簡単に衰えそうにはありません。逆に3戦勝ちなしとなった浦和。「自分のやらなきゃいけないこと、役割を理解してほしい」と語ったエンゲルス監督の想いは、チームに伝わっているでしょうか。見えてこない攻撃の形、ありえないミスの連鎖、意図の掴みづらい交替策。「はっきり言ってもっといいサッカーができる」(エンゲルス監督)のであれば、それができていないのは果たしてどこに責任があるからなのでしょうか。問題はそう簡単ではないような気がします。 AD土屋
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J1第28節 川崎×大分@等々力

「リーグイチの攻撃力とリーグイチの守備力の対決」(大分・マルセロヘッドコーチ)として注目の集まった川崎と大分の一戦。川崎の3トップを大分の3バックシステムがどう抑えるかがゲーム上、最大のポイントです。始まってみると、大分は3バックとボールサイドとは逆のWB、ダブルボランチのどちらか1枚の5人で3トップとヴィトール・ジュニオールを見る形で対応。開始から20分前後までは、流動的な4枚をよく掴んでいたと思います。むしろ、問題は前で基点ができなかったこと。出場停止のウェズレイ不在は大きく、高松も本調子とは程遠い出来でボールがまったく収まらず、ボール回しにリズムが生まれないままで推移。このために、よりカウンターを受けやすい展開を自ら招いてしまいます。先制点のシーンはまさに「今週(練習から)ずっと警戒していたカウンター」(マルセロヘッドコーチ)。23分、伊藤のボールカットから中村が縦へ。高橋がバウンドの処理にもたつく所をレナチーニョが競り勝ち、そのまま流し込みました。さらに4分後には追加点。今度は井川のカットからチョンテセが繋ぐと、またもやレナチーニョ。40m近くをゴリゴリとドリブルで突き進んで、そのまま右スミへ。川崎が2点をリードします。劣勢の大分にはさらなる追い打ちも。中盤での“潰す”タスクは完遂していたホベルトが負傷退場。非常に厳しい流れを引きずってのビハインドで前半を終える格好になりました。では川崎がよかったかというと、そうとも言い切れない印象。キーマンの中村と谷口は、相手の2トップ下に入った金崎のケアと、3トップが前に出た時にはサイドにできるスペースケアで、前まで出ていけない状況。連動した攻撃はなかなかできませんでした。それでも、いや、だからこそカウンターは強烈な武器。敵将も「どこのチームにとっても脅威」と称賛する程に効果を発揮していました。そして58分、重心を前に傾けてきた相手を見極め、自身の位置も高めに取り始めていた中村が一仕事。相手陣内でのルーズボールにいち早く反応し、ダイレクトでスルーパス。受けたジュニーニョは確実にGKを破ります。エースが復調をアピールする2戦連発弾を奪い、事実上の勝敗は決しました。川崎に勝ち点で並ばれ、得失点差で上回られた大分は、組織的に崩されるシーンは少なかったものの、「前の4人をしっかり掴みきれなかった」(大分・下川誠吾)のも確か。相手の強烈な個にやられた印象です。ただ、警戒していたカウンターからの2失点などを振り返って、鈴木慎吾は「やられるべくしてやられてしまった」とも語っていました。県外5連戦をようやく消化し、残り6試合中4試合はホーム開催。「ゲームに負けたがタイトル争いに負けた訳ではない」とのマルセロヘッドコーチの言葉通り、まだまだリーグ制覇への道は続きます。一方の川崎は寺田周平が「上位と戦って、こういうゲームをモノにできたのは大きい」と話したように、貴重な勝ち点3奪取に成功。実は残り6試合中最も遠いアウェイは日本平で、G大阪以外の対戦相手は中位以下。加えてナビスコもACLもなしと、取りこぼしが目立つ上位陣の中でも恵まれたスケジュール。6試合ぶりの完封勝利と、守備面でも充実。悲願のタイトルへ、主力の離脱や監督交替を乗り越えた川崎のラストスパートには要注目です。 AD土屋
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J1第26節 浦和×京都@駒場

序盤からサイドを制圧したのは浦和。山田の右サイドもそうですが、特に「相馬をフリーにし過ぎた」と京都の加藤久監督が振り返った左サイドは一方的に押し込んで、リズムを掴みます。そんな中で、流れとは無関係に突然生まれた先制点は26分。フェルナンジーニョがオーバーヘッドを空振りして、肘を脱臼。10人で戦っていた京都でしたが、浦和DFのクリアが幸運にもフリーの中谷の目の前に。都築にぶつけながらも押し込む今季初ゴール。劣勢の京都が先にスコアを動かしました。それでも全体の流れにその1点が与える影響は大きくなく、相変わらずの浦和攻勢。案の定、40分にポンテの素早いFKからエジミウソンが頭で合わせて同点。2分後にはゴール前の混線からうまく持ち出したポンテの高速クロスを高原が頭で押し込み逆転。アドバンテージとビハインドはあっさりと引っ繰り返りました。さて、あっという間にリードを奪われた加藤監督は後半開始から「いつもやっていること」に着手。増嶋と角田、1人を交替させ、前半と同じフォーメーションながら、実に5つのポジションで選手の配置を入れ替えます。するとその効果が出るか出ないか判断する前の49分、京都が2点目。中央で中谷、安藤、田原と綺麗に繋いで、締めは柳沢。再びタイスコアにゲームは引き戻されました。この失点に関して浦和・エンゲルス監督は「DFもいたし人数もいた。一瞬で(相手のポジションチェンジは)あんまり関係ない」と語りましたが、前後で京都がゲームを支配していたのは間違いなく、多少なりとも影響があったのは確か。「相馬のサイドを消して、(右SBに移った)渡邉が後ろから迫り出していく」(加藤監督)形がうまくハマり、疲労も考慮されてでしょうが、相馬は63分での交替となりました。また、フェルナンジーニョの不運な交替が吉と出た部分も。彼より守備意識の高い安藤が中盤に入ったことで、守備のバランス自体は引き締まった格好に。加藤監督も「2トップを除く8人のブロックがなかなか崩れなかった」との評価を与えていました。ゲームは終盤、おそらく駒場にいた大半の人が予想した通り、ベンチスタートの闘利王がFWとして最前線に送り込まれ、それにシジクレイがほぼマンツーマンで付くエアバトルの様相。「一発のゴール奪う可能性は非常に高い」(エンゲルス監督)というオプションだけあって、闘利王も2回の決定機を自ら創り出す、期待通りの働きでしたが、1つはクロスバーに阻まれ、もう1つはわずかに枠外へ。結果的に双方現状で持てる手を使い果たした末のドローで決着を見ました。残念ながら駒場の芝はかなり荒れ気味で、お互いパスミスや滑ってしまうシーンも少なくなかったのですが、チームのスタイル上はそこまで影響なかったかなと。京都は実質2回しかなかった決定機を共に生かす集中力は見事。パワープレー気味に押し込まれた時間帯もあった中で、「最後まで集中力の高いゲームをやれた」(加藤監督)末の勝ち点1は意義ある成果だと思います。逆に浦和は一瞬集中を欠いた2回で失点を喫する悔しい結果に。攻撃面では、やはりボランチからの展開力に欠けるのは否めません。今日は闘利王不在の影響はありましたが、個人的には相手への脅威を考えても、やはり阿部を一列前で使う方が得策かなという印象を受けました。 AD土屋
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J2第38節 草津×熊本@正田スタ

ゲームが死んだのは19分。裏へ抜け出した高田を福王が倒して一発レッド。これ以前も押し込まれる時間が続いた熊本は「逆に1人少なくなって守備の全体の意識がより一層高まった」と池谷友良監督。退場直後は4-3-2にしたものの、選手を1人入れ替えて4-4-1にシフト、カウンター狙いを徹底します。この状況で草津はボールこそ圧倒的に保持して左右に揺さぶりをかけますが、「2列目からの追い越しが出てくると厄介だったが、サイドチェンジがほとんどクロスで終わってくれた」(池谷監督)ために単調な攻撃に終始。むしろ熊本が時折繰り出すカウンターの方が、惜しいシーンを創出していきます。後半に入ってもホームサポーターの溜息を誘う展開。76分には途中出場のFW都倉が頭で狙うも、ボールはクロスバー直撃。90分を過ぎたラストチャンス、FKから都倉が落としたボールを高田がプッシュし、ネットを揺らしますが判定はオフサイド。沸騰したスタジアムに、一転失望が広がり直後にタイムアップ。スコアレスドローは、残り7試合となった草津にとって限りなく昇格が遠く霞む結果となりました。「もったいなかったが、上位に勝ち点1差だけ詰められたと考えていきたい」と植木繁晴監督。今シーズンのJ2に新鮮な旋風を巻き起こしたプロヴィンチャにとって、残された7試合の内、3試合あるホームゲームで今日は4423人にとどまった観客動員をどれぐらい増やせるかも、結果に直結する重要なファクターになりそうです。 AD土屋
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J2第38節 湘南×甲府@平塚

前節の仙台戦は最後の最後で失点を喫して敗れた湘南。今日の相手はここ9試合で5勝4分け、凄まじい勢いで上位を猛追している甲府です。湘南はもとより、甲府からも多数のサポーターが詰め掛けたゲームは開始2分で秋本と石原が激しく競り合い、いきなり数分間中断するなどヒートアップ気味。また、甲府の安間貴義監督が「前半レフェリーの笛に熱くなって集中力を欠いた」と話したように、主審が笛を吹いて流れを止めるシーンが多過ぎて、両チーム共に判定にイライラするシーンが目立ちます。しかし、ゲーム自体は非常に攻守の切り替えの速い、引き締まった展開に。そんな中でも、より守から攻への切り替えで優った甲府がペースを握ります。特にシーズン途中加入ながら、完全にフィットした「スペシャルな2人」(湘南・斉藤俊秀)、サーレスとマラニョンに大西を加えた3トップは流動的に動き回り、ボールを引き出します。これに湘南は、相手の3トップに「対応できると思っていた」(湘南・菅野将晃監督)いつも通りの4バックで臨み、「しっかりと相手を目の前に置いて」(斉藤)、なかなか決定機までは創らせません。すると38分に先制点が生まれます。加藤がFKを素早く鈴木伸に付けるとクロス、甲府GK阿部のパンチングが小さくなった所にいたのは石原。無人のゴールにうまく流し込む技ありのヘディング。エースの今シーズン17点目で、劣勢だった湘南が先手を取りました。ハーフタイム、甲府の安間監督は判定にナーバスな選手たちに「後半はとにかくプレーしろ」と指示。ゲームへの集中を促します。迎えた後半も甲府ペースは変わらず。3トップのワイドと、SBが厚みのある攻撃でサイドの主導権を握り、湘南は自陣に押し込まれる時間が続く展開。68分には大西が左サイドから持ち出してシュートを放つもGKがセーブ、さらに石原のクロスからマラニョンが頭で狙ったボールはわずかにクロスバーの上へ。76分には右サイドで甲府らしい数本繋がったダイレクトパスから大西がフリーで抜け出しましたが、またもやシュートはバーを越え、1点が入りません。負けると奇跡の逆転昇格の可能性が限りなくゼロになる甲府は、4トップ気味ではなく完全な4トップで総攻撃へ。さらに終盤は秋本まで前線へ上げて3-2-5でパワープレーに打って出ますが、菅野監督も「シンプルなクロスに対しては跳ね返せる」と絶大な信頼を置く、ジャーンと斉藤のCBコンビを中心にシャットアウト。湘南が逃げ切り、2位争いにとっても大きな勝ち点3を手中に収めました。今日のゲームが「我々の流れにハマらなかった」(菅野監督)のは確か。それでも「引き分けでもOKと思っていた」とは斉藤。今の湘南には試合の流れを読んで、そのシチュエーションでベストを尽くせる選手が多い気がします。これで勝ち点では遂に山形と並んで59。J1昇格への道はいよいよ最後の直線へと差し掛かっています。 AD土屋
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J1第27節 横浜FM×大分@日産

リーグ戦は13試合、公式戦だと実に17試合負けなしで、とうとう暫定首位にまで浮上してきた大分。西川を欠くものの、前節出場停止の森重は復帰して今日のゲームに臨みます。対する横浜FMも3試合負けなしで現在は13位。好調の要因は共に守備面の安定にある両チームだけあって、前半は「守り合いのような展開」(大分・マルセロコーチ)に終始します。その中でも、横浜FMは「立ち上がり、前からプレスかけて主導権を握ろう」(横浜FM・木村浩吉監督)という狙いが13分にハマり、相手のビルドアップミスを突いて坂田が決定機。しかしシュートはGKがセーブします。大分も29分、鈴木の長いクロスに高橋が頭で合わせましたが、ボールは右ポスト直撃。ゴールは奪えません。惜しいチャンスは双方に2回ずつ。それでも細かいミスが目立ち、司令塔役の狩野が完全にホベルトとエジミウソンの監視下に置かれたホームチームより、球際でも強さで勝り、「前半は相手の方が優位」と木村監督も認めるサイドの主導権も確保したアウェイチームの方が一枚上手のように見えました。しかし後半は、相手が「どんどん攻撃的になってきた」とマルセロコーチも感じたように、形勢がやや横浜FMへ。これには小宮山が前半よりもサイドで高橋を押し込めるようになったことも一因でしょうか。逆の田中隼はミス連発で途中交替してしまいますが、左のサイドが1つの収まり所になったのは大きかったはずです。ただ、先制点は唐突に。上本が不用意に大島を倒したことで生まれたFK。キッカーは山瀬功の欠場を受けての“代役”狩野。ゴールまで20m強の位置から蹴られたボールは右スミギリギリに吸い込まれるゴラッソ。本来の代役が主役級のプレーを見せ、残り時間30分という所で横浜FMがリードしました。劣勢に立たされたシャムスカ監督は71分に決断。高松、そして移籍後初出場となる家長を同時投入します。大分サポーターならずとも高まる期待。しかし、残念ながら2人が投入されてからの20分あまりでチームのシュートはゼロ。「後ろに引いて守備を固められ、プレースペースを消されてしまった」とはマルセロコーチですが、下で家長の技術を生かすのか、上で高松の高さを生かすのかがどっちつかずだった印象です。最後は判定にブチ切れたシャムスカ監督がピッチ脇のマーカーを蹴り飛ばして退席を命じられ、万事休す。森重を前線に上げた5分の追加タイムも虚しく経過し、「(狩野)健太のFK一発で勝ったようなゲーム」(木村監督)ながら、チーム状況からすれば貴重な勝ち点3を横浜FMが獲得する結果になりました。とうとう連勝記録が止まった大分は、ゴールを狙いに行った終盤こそ何度かピンチを迎えましたが、それ以前はほぼ危険なピンチはなし。敗因は明らかに攻撃面にありました。現状で流れの中からのゴールは期待薄。高さを生かせるCKが前後半通じて1本もなかったのも想定外だったでしょう。次節はアウェイで川崎戦。シャムスカ監督不在の中で、本当に優勝を争う力があるのかどうかを試されるゲームになりそうです。 AD土屋
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J1第26節 FC東京×磐田@味スタ

前節終了時で入れ替え戦枠の16位。今日の結果次第では自動降格圏への転落もありうる磐田をチェックしに、味スタへ行ってきました。結果は3連勝中のFC東京に5-1と完敗。結論から言うと、このゲームから「私はポジティブに捉えている」とオフト監督が語ったような部分はまったく感じられませんでした。「3-1になるまでの60分間は追い付くチャンスがあった」(オフト監督)のは確かなんですけど、それはあくまで数字上での話。2-1で迎えた54分にジウシーニョのヘッドが決まっていれば同点には追い付いていましたが、そこから勝ち点を奪うのも厳しかったのではないでしょうか。まず、1つの疑問としてはカレンロバートの2トップ下起用が挙げられます。元来、スピードを生かして勝負するタイプ。得点を重ねていた時期も、エリア内でのワンタッチゴールが多かったはず。今日の彼はボールを引き出せず、ピッチ上を彷徨うシーンが多く、「チャンスはあったけど形がハッキリしない」と違和感を口にしていました。もう1つの疑問は、交替枠を1枚残したままで試合を終えた采配。64分のカレンに替えて中山投入は頷けますが、松浦は田中の負傷退場を受けてのもの。長身FWの萬代は最後までピッチに送り込まれることはなく、ベンチ入りメンバーにDF登録の選手を入れなかったために、田中の代役としてボランチから一列下がったロドリゴが致命的なミスで5失点目に絡む悪循環。逆に交替選手が2つのゴールを演出したFC東京の城福浩監督からは「ゴールもたくさん奪えて楽な展開」と言われてしまっています。ただ、やはりこういう状況で最も大事になるはずの気持ちが、私には川口と中山からしか感じられなかったのが一番残念でした。勿論気持ちを全面に押し出すタイプじゃない選手もいるでしょうし、気持ちだけ見えればいい訳じゃないですけど、それにしてもという印象。難しい役割に忙殺され、64分にベンチへと下がってきたカレンに監督、コーチングスタッフ、控え選手の誰一人として声を掛けに行かなかったシーンに、現在の状況が集約されている気がしました。「ここで下を向いても仕方ない」と中山。「どうしてもうまくいかない部分が多いが、みんなが一丸となって同じ方向を向いてやるように気持ちを高い位置に保っていきたい」と田中誠。あえてブーイングではなく拍手と歌声で選手を迎えたサポーターに、果たしてどんな結果を贈ることになるのか。残された試合数はもはや8つしかありません。 AD土屋
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J1第25節 大宮×浦和@NACK5

NACK5スタジアム大宮で行われる、初のさいたまダービー。しかし、試合前から降り続く視界を遮る程の強い雨に、キックオフ直後からは雷も加勢。開始13分で中断を余儀なくされる、波乱含みのスタートとなりました。ほぼ50分近い時間が経過した後に再開されましたが、ゲームは「ブレイクの後の5分くらいはゆっくりした展開」(浦和・エンゲルス監督)になったものの「(中断前の)入りがチームとして凄くよかった」(浦和・高原直泰)浦和の流れに。ポンテに加えて、明らかに復調してきた高原と、ボールの収まり所が2つあることで連動した攻撃が見られ、大宮を押し込みます。その展開が結実したのは27分。左サイドで相馬が縦パス。受けた高原は飛び出したGKを一度はかわしましたが、処理にもたついてしまいます。それでも態勢を立て直すと力強くゴール。エースのリーグ5点目で、アウェイの浦和が先制しました。前半はほとんど攻撃の手を繰り出せなかった大宮。「中断した後、失点の前後まで攻守の切り替えで先手を取られた」と樋口靖洋監督は語りましたが、外国人2トップがボールを収められず、カウンターも意志の疎通がチグハグでフィニッシュに行く前に潰えてしまうシーンが大半。特に攻から守の切り替えは難しい対応を迫られていた感が否めません。後半も基本は浦和ペースで推移。今日際立ったのはポンテ。やはり彼がフル稼働した時の攻撃陣は迫力が違います。本人は「100%ではないが試合をこなしていく中で上げていきたい」と言うものの、コンビネーションが構築されているとは言い難い2トップのみならず、ワイドをも自在に操り、何度もチャンスに絡んで行きました。また山田とボランチでコンビを組んだ細貝の出来も秀逸。バランスを見ながら、前へ出ていくタイミングもかなり整理されている印象です。今日はそれほど闘利王のオーバーラップが見られなかったことを差し引いても、貢献度はかなり高かったのではないでしょうか。一方、「2トップとボランチの間が開いてしまった」(樋口監督)大宮はなかなかシュートに持ち込むこともままなりません。ターゲットのラフリッチも機能せず、個人としてのシュートもゼロ。内田、桜井を相次いで送り込み、3ボランチ+2トップ下に変更した中盤も残念ながら奏功せず、87分にCKから富田がヘディングで叩いたボールもゴールへは届かず。新本拠地初のダービーを勝利で飾ることは叶いませんでした。個人的にはラフリッチを森田と早い段階で替えてもよかったのかなと。終盤はこの2人が最前線に並びましたが、ロングボールが増えた訳ではなく、ややチームとしての意図が見えなかった感じがしました。相手に与える脅威を考えると、競り勝てなかったラフリッチよりは運動量の落ちたデニスマルケスだったでしょうか。今日に限っては、結果こそ最少得点差でしたが、チームのパフォーマンスにはそれ以上の差が存在したように思いました。 AD土屋
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J1第25節 柏×鹿島@日立台

リーグ戦7試合未勝利で3連敗中。気付けば降格圏の16位磐田とも6ポイント差しかなくなった柏。危機的状況とも言える中で石崎信弘監督は、「李がケガしてトップ下がいないのと、ポポを生かすため」に4ー4ー2を選択し、難敵・鹿島に向かいます。序盤から圧倒的にペースを掴んだのはアウェイの鹿島。ほぼマッチアップする形の中盤で、自在にボールを回しながらチャンスを窺い、実際6分、13分と惜しいシーンを創出します。しかし、試合の流れは意外なキッカケでガラリと変化。18分、鹿島のキャプテン小笠原が負傷退場すると、シュートすら打てなかった柏が突如として攻勢に。そして22分、栗澤が長い距離をドリブルで運び、フランサへ。そこに飛び込んできたポポへと、魔術師は柔らかいラストパス。なんとファーストシュートが先制ゴール。ポポの開幕戦以来となる一発で、意外にも柏がリードを奪いました。その後も変わった流れは継続。「なかなかボランチのラインから前にボールが出ていかない」(鹿島・岩政大樹)鹿島はサイドへとボールを付けられずに、ミスからカウンターを浴びるシーンが散見。横並びの2トップに入ったフランサが、この時間帯にやや低い位置でボールに多く触ってゲームメイクをし始めたのも、柏ペースの一因だったでしょうか。最後の5分間と追加タイムは鹿島が何度かセットプレーなどで反撃しますが、スコアは動かず。前半をトータルで見ると妥当な結果で、45分が終わりました。迎えた後半、49分には田代のパスから抜け出したマルキーニョスがエリア内で倒されるもノーホイッスル。55分、左サイドをえぐったマルキーニョスのクロスは、田代とわずかに合わず。2トップの連携も良好で、攻撃的MFの野沢とマルシーニョが中央でボールに関与し出した鹿島が徐々にホームチームを押し込み続ける流れに。石崎監督もたまらず、疲れの見えたアレックスと栗澤に替えて杉山と菅沼を投入。ラスト15分を引き締めて、試合をクローズしに入ります。攻めながらもゴールが遠い鹿島。優勝を狙う上では「大事じゃない試合は1試合もない」(鹿島・中後雅喜)状況で、オリベイラ監督も興梠と佐々木、2人のFWを送り込んで、勝利への執念を感じる采配。終盤はとにかく鹿島が攻め続ける時間が続きます。そして終了間際にも意外な形。88分、佐々木の突破に古賀が繰り出したタックルは難しい判定でしたが、岡田正義主審が指し示したのはペナルティスポット。土壇場で鹿島がPK獲得。キッカーを任された目下のリーグ得点王は、左上スミにズドン。「やはりサッカーは90分。とても残念なゲーム」(石崎監督)「今日のチームの出来で言えば仕方ない」(岩政)と、ドローとはいえ対照的な勝ち点1を分け合う格好になりました。泥沼の8戦勝ちなしとなった柏。結果論ですが、後半の特に終盤はかなり押し込まれる時間が長かった中、フランサはともかく、ポポもかなり疲弊して、相手のDFラインにプレスがまったくかからなくなっていました。どちらかに替えて菅沼か大津を投入し、前から追わせつつカウンターの先鋒に据えていてもよかったような気がします。このドローはかなりダメージが残りそうな雰囲気。G大阪、川崎と続く2試合に連敗するようなことがあれば、危険ゾーンも現実味を帯びてくるかもしれませんね。結果として勝ち点1を奪った鹿島。「勝ち点1でも積み上げないと上に離されるので」と中後。小笠原退場後はバタついたものの、修正の速さは見事でした。水曜にACLを戦って迎えた中2日のゲームで最低限の成果を得る辺りに、チームの総合力を見た気がします。 AD土屋
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J2第35節 湘南×横浜FC@平塚

前節終了時で3位。「昨年の第4クールは負けると厳しい際の戦い。今年はまだまだ背中が見える。追う立場の今は瀬戸際ではない」と菅野将晃監督が評する現在の湘南。石原、斉藤と攻守の要を欠いた今日のゲームでも、この順位にいる意味をしっかりと結果に反映させました。展開自体は、「ほとんどの時間帯でリズムを作って戦えた」(横浜FC・都並敏史監督)「なかなか自分たちがゲームを支配できなかった」(菅野監督)と両監督の言葉通り、横浜FCがボールをキープする時間が長いものに。湘南は石原の出場停止で原と阿部の2トップで臨みましたが、共にスペースを狙うタイプの2人をうまく生かせず、なかなか攻め手が見い出せません。ただ、それは中盤でボールこそ回っていた横浜FCも同じ。シュート数が前半は両チーム合わせて3本というのが、45分間の流れを象徴していました。さらにリズムを掴めない湘南は、前半終了間際にジャーンが相手との接触で負傷退場。ボランチの田村をCBに下げて永田投入を余儀なくされます。しかし、ハーフタイムを挟むと攻勢に出たのは湘南でした。キーマンは後半開始から阿部と交替したトゥット。「横浜FCのDFが背後へとケアを非常にしていて、バイタルが空いてたのに使えなかった。なので入れるべき所に入れてトゥットが収める」と菅野監督も明確な指示を出し、これが奏功。トゥットを絡めてチャンスを生みだし始めます。すると61分、トゥットとのワンツーから抜け出した加藤望がエリア内で倒され、PK。トゥットは冷静に左スミへ沈め、チーム4本目のシュートでホームチームがアドバンテージを得ました。トゥットはこれで3戦連発。まさに“助っ人”の名に恥じない活躍ですね。ビハインドを負った都並監督は、ここから池元、チョヨンチョルと2人のFWをいずれもサイドハーフと交替。実質4トップ気味で勝負に出ます。が、「キープしているが多くのチャンスを作れない」(都並監督)のが横浜FCの現状。根占が放った2本のミドルは可能性を感じさせたものの、エリア内からは打たせてもらえず。追加タイムに訪れた池元の決定的なボレーも、山口が頭で弾き出し万事休す。総シュート数、湘南5本、横浜FC6本というゲームは、個々のやるべき役割の浸透度で勝る湘南が、2位の山形追撃に向けて大きな勝利を得る結果になりました。昨年の経験を見事なまでに消化して、昇格を現実的な視野に捉えている湘南。例えば、前半終了間際からCBへとポジションを移した田村は、ラインコントロールもパーフェクト。スピードのある2トップにもよく対応。完封勝利の立役者は彼だったと思います。例えばトゥットは、3人の交替枠を使い切ってから足を引きずり出し、ほとんど動けなくなります。しかし、残り数分の所でキッチリコーナー付近でボールキープを遂行。30秒近い時間を消費させました。交替選手という意味、田村や臼井のような複数ポジションをこなすという意味、両面での選手層の厚さ、与えられた役割への理解度の高さ、そしてその駒を的確に用いる指揮官の采配。「こういう勝ち方ができるというのは今シーズンを象徴するゲーム。我々らしい勝ち方」と菅野監督。なんと7月9日から2ヵ月以上、10試合無敗を続けている湘南が、最後の最後まで昇格争いに絡んでいくのは間違いなさそうです。 AD土屋
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J1第24節 浦和×大分@埼スタ

今や希少とも言うべき3‐5‐2をここ数シーズン堅持している両チームの一戦。25失点は少ない方からリーグ3位の浦和と、16失点で圧倒的なリーグ最小失点の大分となれば、ロースコアになるのは自明の理。ゆえに先制点の持つ意味がおそらく通常より大きいゲームは、探り合うような入り方になります。浦和は永井が左に、ポンテが右に開くような3トップ気味の布陣でスタートしましたが、やや高原との距離も遠く噛み合わない印象。「前半はゲームの主導権を握るためにもボールを繋ぐ」(大分・シャムスカ監督)大分もなかなか前までボールを運べず、共に5バックに近い形になるリスクを避けた展開が続きます。少しゲームが動いたのは30分過ぎ。シャムスカ監督も「予想外だったのは浦和が前半の途中でラインを高く押し上げてプレスをかけてきたこと」と会見で語っていましたが、この時間から最終ラインの坪井、闘利王、堀之内も高い位置取りから前方へとオーバーラップすることが増え、浦和が押し込みます。しかし何本か放ったシュートも枠を捉えず。大分も42分には金崎が高い位置でボールを奪い、フリーの森島へラストパスを送りますが、シュートはGK正面。予想通りの堅い前半は0ー0で終了しました。迎えた後半、浦和が高原、永井の2トップ、その下にポンテと布陣を変えると逆にサイドでうまく数的優位を作った大分ペースに。特に右サイドの高橋はボールを呼び込むと積極的な仕掛けで攻撃を活性化していきます。すると67分にはビッグチャンス。ウェズレイが右から蹴ったFKはニアの森島にドンピシャで合いますが、ボールは左のポスト直撃。スコアは動きません。リズムの悪い中、エンゲルス監督は「ケガ明けで90分やるのは難しい。ここがタイミング」と判断し、ポンテを下げて山田を投入。トリプルボランチにシフトします。その直後に決定機。75分、相馬の素晴らしいサイドチェンジを受けた平川が、高原とのワンツーからシュート。が、ここは西川がファインセーブ。均衡は破れません。81分には闘利王との接触で、西川が負傷退場を余儀なくされるハプニングもあったものの、両チームの集中は途切れず、スコアレスのまま5分の追加タイムへ。最後は2度のチャンスが大分に。1度目は鈴木のFK、2度目はCKの流れからウェズレイ。しかしそれぞれ都築とクロスバーに阻まれ、ゴールならず。勝ち点1ずつを分け合う格好になりました。敵地埼スタでドローという結果を得た大分。「ゲーム内容もほぼ互角。今日の勝ち点1は非常に意味のある勝ち点1」とシャムスカ監督が語ったように、ほとんど決定的なピンチもなく、浦和をゼロに抑えた守備陣はやはり堅かったですね。中でもエジミウソン、ホベルトのダブルボランチは今日も厚いフィルターを中盤にかけてました。ただ、ゴールの予感に乏しかったのも否めません。セットプレーで1点奪って守り切るというのが、上位との対戦では現実的な気がします。さて、エンゲルス監督は「(ドローという)結果に対しては100点じゃない」と語りましたが、試合後ゴール裏のサポーターが拍手を送るかブーイングを送るか迷っていたように、評価の難しい勝ち点1ですね。ただ勝ちに行くなら85分のエジミウソン、88分の梅崎投入はかなりタイミング遅いでしょう。内容を見ても、よしとすべき結果だったのではないでしょうか。 AD土屋
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J2第34節 草津×山形@正田スタ

山形のファーストシュートは19分、草津のそれは35分。「なかなか前半単調過ぎて」(山形・小林伸二監督)とはどちらにもあてはまる話。状況は違えど共に勝ち点3を奪いたい思惑が、やや前半を膠着した展開にした感は否めません。草津は左のSBに「高さ対策」(草津・植木繁晴監督)として尾本を起用。「攻撃はいいからディフェンスでキッチリ仕事してくれればいい」(同)と、ある程度守備に軸足を置いた戦い方を選択します。山形も豊田と長谷川の長身2トップを起用しましたが、「スペースなのか人なのかの精度が悪くて」(小林監督)、前ではボールを溜める時間がなく、簡単に跳ね返されてしまいます。頼みの左サイドも草津の熊林とチェソンヨンにうまく消され、いわゆる決定的なシーンは一度もないまま、45分は終了していきました。後半も流れは変わらず時間ばかりが経過していきますが、「前で収まらないので後ろが絡めない」と小林監督は60分に決断。豊田を諦め宮崎を右MFとして投入し、北村をFWに上げました。ここから山形は宮崎が豊富な動き出しからボールを引き出し、攻撃が活性化され始めます。そして69分には最大のチャンス。左サイドを抜け出した宮崎が最高の折り返しを中央へ。しかし至近距離からの宮沢のシュートは草津GK本田の両手に吸い込まれ、ゴールなりません。逆に草津の勝負所は79分、「なかなか点の取れる雰囲気ではなかった」(植木監督)状況を打破するため、尾本に替わって寺田がそのまま左SBとして投入されます。山形がややワンボランチ気味にしたこともあって、サイドのスペースは草津がより有効に利用。寺田も期待に応えて、積極的な仕掛けを連発。ラスト10分はなかなか見応えのある攻防となりました。81分にはまたも宮崎が素晴らしいクロス、長谷川のヘッドは体が流れてGK正面へ。85分、ゴールほぼ正面のFKから石川が狙うも枠のわずかに右側へ。そして正田醤油スタジアムが一番沸いたのは、追加タイムも3分を過ぎたラストプレー。熊林のクロスを都倉が高い打点から頭で叩きます。しかし、ボールはクロスバーに当たり、ポストをなめて枠外へ。最後の最後でホームチームに見せ場が訪れましたが、結局スコアレスドローという結果になりました。「最後に決定的なピンチがあったのでホッとしている。そういうイメージとしても勝ち点1取れたという感じ」とは小林監督。アウェイで堅実に挙げた勝ち点1は残り試合を考えても決してネガティブなものではないでしょう。一方の植木監督は「引き分けは残念だか最低限の結果は出た。最後まで昇格争いをしたいという気持ちを出してくれた」と評価。2位を相手にドローは勝ち点計算的にも及第点でしょうか。「(昇格争いの)充実感は感じていると思う」(植木監督)選手たちが毎回やってくる崖っぷちの緊張感をどこまで維持できるのか。草津にとって未知なる領域でのフライトはまだまだ続きます。 AD土屋
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J1第33節 横浜FC×山形@ニッパ球

滝澤と根占がボランチ、三浦淳がトップ下の4-3-3でスタートした横浜FC。「今日は攻撃的で強気に行こう」とは都並敏史監督。実際、やや共に蹴り合い主導権を奪い合う中で、18分にはアンデルソンが決定機を迎え、これは外れたものの28分、中途半端に飛び出したGKをかわしてアンデルソンが先制ゴール。確かに流れを掴んだように見えました。しかし、相手の思わぬ布陣にも「監督からすぐ指示が出るので、焦らずそれを忠実にやった」と山形の長谷川。事実、「サイドにうまく付けると、SBが食い付くのはわかっていた」(山形・小林伸二監督)という言葉通り、嫌な失点からたった4分後、サイドで石川ががら空きになった裏のスペースへボールを送ると、フリーで抜け出した豊田が冷静にフィニッシュ。あっさり同点に追い付きました。膠着していた後半も、突如として避難が必要なくらいの豪雨に見舞われ始めた直後の68分、「急に雨が振り出したのでチャンスだなと。(ディフェンスは)やりにくいですから」と小林監督が感じたCKからレオナルドが豪快なヘッドを突き刺し、力強く逆転に成功。さらに77分にはジョーカー宮崎がゴラッソ。81分にはやはりサイドから上がった宮本のクロスを、チーム得点王の長谷川が通算11ゴール目となる打点の高いヘディング。いきなり「嫌な形で点を取られた」(小林監督)にもかかわらず、チームとしてやるべきことの浸透度で遥かに上回った山形が、“危なげない”逆転勝利で昇格へ向けて確実に勝ち点3を積み上げる結果となりました。都並監督は「リスクを賭けた分だけ4失点は仕方ない。チームが若いなと」とのことでしたが、布陣をいじり、リスクを賭けた結果がシュート6本では寂しい数字。山形には今季3連敗を喫し、サポーターから巻き起こった大ブーイングもやむなしでしょう。一方、山形がこのゲームに際して抱える懸念材料の1つは2トップの組み合わせでした。前節の甲府戦で先発した豊田と長谷川は機能したとは言い難く、監督も入れ替えを示唆していました。しかし蓋を開ければ「相手にとっての負担と脅威を考えて」(小林監督)、今日も同じ2人を起用。序盤こそ動きが重なるシーンも散見されましたが、「前半途中から動き方もわかってきた」と長谷川。豊田が中央、長谷川がサイドに流れるという構図が見え出してからは、機能しているとは言い切れないまでも、プレーの棲み分けはされた印象。お互いキッチリ得点も奪い、大袈裟ではなくJ2最強の2トップになり得る可能性を十分に感じさせてくれました。78分からは加入したばかりの馬場憂太も試運転。山形にとっては「かなり収穫のあったゲーム」となった33節。残るはもう11試合です。信じられないどしゃ降りの中で、最後まで声援を送り続けていた皆さん、お疲れさまでした。 AD土屋
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J1第23節 川崎×新潟@等々力

CBの千代反田を出場停止で欠いた新潟は、本来右SBの内田を中盤センターに、左SBの松尾を右SBに、さらにCBには千葉を起用。実戦ではかなり珍しい布陣で臨みましたが、「慣れるまでに時間がかかった」と鈴木淳監督も認める通り、特に攻撃面においてちぐはぐなゲームの入り方になってしまい、まったく攻める形ができないままに序盤から川崎の猛攻にさらされます。15分を過ぎてようやく両SBも上がるシーンが見られましたが、今度は急造布陣からかサイドの裏のスペースを使われるシーンが頻発。すると22分には、軽い対応の松尾を反転で置き去りにした黒津が「ボールを持ち出す所までイメージ通り」というドリブルシュート。攻勢に見合った先制点を川崎が奪いました。さてリードした川崎は、抜群にチームの出来がよかったようには見えなかったのですが、前述した相手のスペースケアの甘さと「くさびを入れて取られて、そこからカウンターを受けた」と鈴木監督も嘆いた部分が、スタイル上うまくマッチした印象です。さらに37分にはCKのチャンス、「ケンゴから珍しくいいボールが来た」と笑う伊藤のヘディングで追加点。それまでの流れを見ても、ここで試合の趨勢が決したような感はありました。後半に入っても、“クラブ後援会2万人越え祭”に登場した御輿の威勢に後押しされてか、矢野の決定機を防いだ直後の55分、波状攻撃から最後はチョンテセがオーバーヘッド気味のボレーを叩き込み、3-0。祭りに花を添えました。厳しくなった新潟は、61分にアレッサンドロが放ったシュートのこぼれ球を矢野が詰めて1点を返しましたが、文字通り報いたのは一矢。得点後の10分くらいは、右SBに回った松下が基点になっていい時間帯を作ったものの、田坂を投入して4-4-2でバランスを整えたホームチームが再び牙を剥きます。そして88分、途中出場の我那覇が中へ送ったボールに合わせたのは、これまた途中出場の田坂。記念となるJリーグ初ゴールで打ち止め。結果から見れば、文句のつけようがない大勝で川崎がホーム等々力では3試合ぶりとなる勝ち点3を獲得しました。新潟は序盤の混乱を差し引いても、やや覇気がなかった感じです。「失点してしまうと、得点は多く挙げられないので沈んだような状態になる」と鈴木監督が語った通り。今日に限って言えば、寺川、内田の両中盤センターから展開のボールが少なかったのも、手詰まりの一要因だったと思います。勝った川崎は、確かに「欲を言えば前半もうちょっと点は取れた」(川崎・中村)し、「1失点は余計」(同)だったものの、混戦の優勝争いにおいては何より勝ち点3を積み重ねることが大事。得失点差を考えても、勢いになり得る勝ち方だったのではないでしょうか。懸念材料があるとすれば、これで7試合連続ノーゴールとなったジュニーニョ。今日も前半6本、後半4本(いわゆる決定機は5回)のシュートは全て空砲。好調時ならGKをかわしたり、ボールを浮かせたりしそうな間合いでも、力んでGKにぶつけるシーンが散見。やはり川崎優勝へのキーマンは間違いなくこの10番でしょう。PKでも何でもいいので、エースの1点がさらなる川崎浮上への起爆剤になるように感じました。最後に、“後援会2万人越え祭”で2万人目の会員に手渡された記念品が秀逸。(1)ふくしまの米2万粒(2)ゲータレード2万ml(3)HUB飲食券2万キロカロリー(4)フロンターレティッシュ2万枚(5)フロンターレサランラップ2万cm、以上。相変わらず川崎のイベント系はパンチ効いてますね。写真の“神”は武蔵小杉駅周辺に降臨していますよ。 AD土屋
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J1第23節 東京V×浦和@国立

「重い感じ。スピーディーな展開はあまりなかった」と前半を評したのは浦和・エンゲルス監督。双方ミスの多い立ち上がりからゲームに入り、そのミスを突いた形のカウンターか、セットプレーにしか可能性のなかった45分間が前半の印象です。どちらのペースだったかと言えば、シュート数では下回った東京Vだったでしょうか。特筆すべきは大黒のポストプレー。1試合通してもほとんどノーミス。「大黒の持ってるものをだんだん周りがわかってきた」と柱谷哲二監督が言うように、彼へのワンクッションから攻撃のスイッチが入るシーンが多く、守備での貢献も含めて早くも不可欠な存在へとなりつつあります。ただ、堅陣を敷く浦和を切り崩すまでには至らず、飯尾が独力で坪井を交わして放った10分のシュートもポストに弾かれノーゴール。やや遅攻時のアイデアに欠けていた面は否めません。それはそのまま浦和にも当てはまる課題。平川と相馬の両サイドへボールが入った時はクロスも何本か上がっていたものの、「少し疲れている」(エンゲルス監督)田中と高原のツートップも動き出しにキレを欠き、シュートはほとんどなし。頼みのポンテも今日は沈黙。26分にCKから闘利王がヘディングをクロスバーに当てたのが唯一の決定機と、凪のような前半はこうして過ぎ去りました。そんな展開に波風を立てるのはやはりゴール。意外にも後半開始早々にゲームが動きます。49分、中央でディエゴ、飯尾と繋いで大黒が左へ。これをフリーで受けたディエゴがニアサイドにズドン。東京Vが先制点を挙げました。さて、後半頭から「積極的に動いて欲しい」(エンゲルス監督)とツートップをそのまま永井とエジミウソンにスイッチした直後の失点に攻めざるを得なくなった浦和。キレのある相馬を多用しながら、必死の反攻を試みます。やや攻勢を強めてきた61分には相馬のクロスに阿部が頭で合わせるも、GK土肥の超ファインセーブに阻まれると、そのカウンターから決定的なピンチを迎え、ここから再び流れは相手に。63分からの10分間で6本もの惜しいシュートを浴びた後、エンゲルス監督が下した決断は平川と山田の交替。永井を右WBに回し、細貝を最終ラインへ。そして「どんな形でも同点にしてやろう」と意気込む闘利王をFWへ上げて勝負に出ました。この後の残り20分余り、正直浦和の戦い方が徹底していたとは思えません。サイドからクロスを上げるでもなく、後方からフィードを送るでもなく、闘利王が足元でクサビを受けるシーンまでありました。また闘利王に付いた那須も、懸命に体を寄せて何度か競り勝つシーンも。90分間は確かに東京Vの勝ちゲームだったと思います。しかし、追加タイムは東京V・高木コーチも「長かったよね」という5分。すると90分を3分程過ぎた所で、ひたすら中へ送り続けた相馬のクロスが成就。頭で決めたのはボランチの阿部。最後の最後でスコアは振り出しに戻され、そのまま終了しました。ショッキングな追い付かれ方こそしたものの、勝ち点1をより肯定的に捉えられるのはおそらく東京V。「レッズを最後まで追い詰めた」とは柱谷監督。「勝ち点1があとあと大事になってくる」とは大黒。ダービーの時にも感じましたが、やることが整理されている印象。チームとしての機能性は間違いなく上がってきていますね。浦和は「みんなギリギリの所でやっている」という闘利王の言葉通り、疲労感が窺えます。代表選手も多く、来月からはACLが始まることを考えると、全体の選手層の底上げは急務でしょう。 AD土屋
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J1第22節 横浜FM×札幌@ニッパ球

16位と18位。勝ち点差は7、共に降格圏内と厳しい戦いが続く横浜F・マリノスとコンサドーレ札幌。今日の直接対決は「絶対に落とせない」(横浜FM・小宮山)大一番になりました。札幌はこのゲームに「相手が3バックなのでマッチアップして前でボールを奪うチャンスが出来れば」(札幌・三浦俊也監督)と3ボランチ気味の4-3-2-1を採用。序盤から横浜FMの木村浩吉監督が「あれほど前から来るとは思わなかった」と驚く積極性でペースを握ります。8分にはダヴィの落としを西嶋がミドル。ここはGKのファインセーブに阻まれましたが、先制点の雰囲気は十分でした。しかし札幌の時間帯は15分まで。「自分たちのミスを境に」(三浦監督)流れは横浜FMへと傾きます。その横浜FMは、札幌の出足に戸惑いながらも徐々にアジャストすると、山瀬功治と兵藤、2人のワントップ下が相手の敷くゾーンの間を巧みに動き回って、ボールを引き出します。さらに坂田や、前半途中から監督の指示で前目に出ていったボランチの松田も含め、ダイレクトで簡単にさばくことで相手のプレスも無力化し、なんと前半だけで15本ものシュート。ゴールこそ奪えなかったものの、結果として一方的に攻めまくる前半になりました。札幌としては15分過ぎから徐々にライン全体が下がり始めてしまい、中盤に入った中山も「もう少し高い位置でやらないと、そこから攻撃となると少し難しい」と感じたように、カウンターもままならなくなります。15分以降はシュートも1本のみ。非常に苦しい展開になりました。するとやはり先手を取ったのは横浜FM。54分、CKのこぼれ球を拾ったのは「色々あって(苦笑)」坊主頭になったばかりの小宮山。「足にうまく乗っかった感じがした」という25m近いミドルを突き刺し、18本目でようやくリードを奪いました。直後の56分に札幌も決定機。後半開始から右のMFに移った中山が絶妙のクロス、ダヴィが頭で合わせるも枠外へ。そしてこれが札幌にとって最後のゴールチャンスになりました。三浦監督は交替の3枚のカードを切るたびに、配置のマイナーチェンジを行いましたがどれも奏功せず、頼みのダヴィにもほとんどボールは入らずじまい。「できる限りのトライはした」(三浦監督)中で厳しい結果を突き付けられました。左右両SBで奮闘した坪内は「システムどうこうより1対1で負けていた。ホントに背水の陣。選手がやらなきゃ勝てない」と危機感を露に。横浜FMと入れ替わった16位磐田との勝ち点差は9。残り試合は12になりました。一方、この勝利で降格圏を脱出した横浜FM。木村監督は「最後は気持ち的にちょっと守備的になっちゃったかな」と振り返ったものの、序盤の15分以外は完全にゲームを支配。終盤にはユース所属の齋藤学を投入し、その齋藤が2回の決定機に絡むなどの意外な光明も見えたゲームでした。元々堅守がウリのチーム。ボランチの人選には苦しんでいた印象ですが、今日の河合と松田のユニットがベストのような気がします。「思うようなサッカーになりつつある」とは木村監督。堅守速攻という伝統のスタイルに回帰した横浜FM、底は脱したのではないでしょうか。 AD土屋
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J1第22節 FC東京×東京V@国立

今年4回目の東京ダービー。試合前、お馴染みユルネバをかき消さんと声を張り上げるヴェルディサポーター。東京にも熱い1日が帰ってきていた事を改めて実感させてくれました。前節浦和に敗れたFC東京は、3試合ぶりに今野を中盤で起用。梶山とボランチを組ませます。ワイドには右にエメルソン、左に羽生と技術の高い選手を配置。案の定、序盤からボールがよく回ったFC東京ペースに。特に梶山は積極的に前へと飛び出していく動きが多く、チームの推進力として躍動。9分、13分と立て続けに自ら惜しいシュートを放つなど存在感を発揮します。対する東京Vは左の中盤に富澤を置きますが、慣れないポジションに戸惑ってか長友とエメルソンに後手を踏むシーンが多く、何度も崩されかけます。FC東京のクロス精度の低さに助けられたものの、劣勢の一要因となっていました。ただ、東京Vからすれば「ボールはうまく回されたが、それは想定していた」(東京V・柱谷哲二監督)こと。実際、焦りを感じるような素振りもなく、土屋と那須を中心に決定的なピンチは許していませんでしが、おそらく28分に見せたカボレの30m近いミドルは想定外。柱谷監督も「ちょっとびっくりした」という強烈な一撃で、前半はFC東京がリードを奪って終了しました。後半も序盤はFC東京ペース。53分には羽生のクロスを赤嶺がボレーで狙うと、ボールは右ポストの外側に当たり枠外へ。追加点とは行きません。この直後にディエゴのミドルがクロスバーを叩いた東京Vが勝負に出たのは59分。富澤に替えてレアンドロを送り込みます。すると2分後、再三の素晴らしい動き出しにもまったくボールが受けられなかった大黒にようやくスルーパスが通ります。出したのはレアンドロ。そしてGKとの1対1、「前に出て来たので浮かせた」というシュートはアイデア、実行力、結果とすべてパーフェクトな同点弾。大黒のJ復帰後初ゴールでダービーは振り出しに戻りました。71分、羽生のミドルは土肥がファインセーブ。73分、FKのこぼれ球を長友がミドルレンジから強烈にゴールへ突き刺すも、オフサイドの判定。その後は、決定機こそFC東京に訪れましたが一進一退が続きます。そんな中で、最後に勝敗を分けたのはシュートへの意識の差でした。最後の10分間プラス追加タイムの3分間、間延びしたラインの中で、両チームが交互に攻め合うような展開になります。この時間帯、FC東京のシュートは1本、東京Vのシュートは4本。梶山を一列前に出し、石川も投入したFC東京はやはりいい形は創れるのですが、大事に、綺麗にという意識が強いのかシュートが少ないんです。東京Vは相手ほどボールは回せないけれども、最後はシュートという意識は強いように見えました。結果、追加タイムも所定の3分を過ぎたCKから那須が執念の決勝ヘッドを決めるのですが、このCKもディエゴの強引とも思えるミドルが枠内へ飛び、GKが弾いたことで獲得したものでした。「2点目を入れられないということが一番の敗因」と試合後に語ったFC東京の城福浩監督。中盤は支配し、ボールもあれだけよく回った中で、奪ったゴールは凄まじいミドルシュート1本という皮肉な部分に課題が表れている気がします。Jリーグとしては今年最後の東京ダービー、終了のホイッスルが鳴るまで楽しませてもらいました。 AD土屋
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J2第31節 横浜FC×草津@ニッパ球

公式記録上の気温は21.6度。8月とは思えない涼しさの中で行われた7位と10位の一戦は、結果から言ってしまうと残念ながらお互いに納得できないような内容のドローゲームとなりました。「非常にいい入り方をしてくれた」と植木繁晴監督も語った草津は、開始1分も経たずに先制ゴール。決めたのは高田。ゴールまで30m近い距離から思い切りのいいミドルを左スミに突き刺し、早々にリードを奪います。しかし横浜FCもすぐさま反撃。13分、三浦淳の素早いFKから最後は混戦になりながらアンデルソンが右スミへ流し込み、同点に追い付きました。さて、ゲームの構図はかなりハッキリしたもの。ボールを回す草津にカウンターを狙う横浜FC。スタイルは対照的ながら、両者の共通項はシュートが少ないことでした。草津はDFラインからキッチリ繋ぐことを徹底。水捌けのいい三ツ沢の芝にも助けられてか、中盤ではかなりの数のパスが回ります。しかし「少し丁寧にやろうとし過ぎたかもしれない」とは松下。ゴール前を固める横浜FC守備陣を前に、ボックスの外ではキープし続けるものの、「縦にボールが入り切らなかった」(植木監督)こともあって特に後半はほとんどシュートまで持ち込めず、チャンスはカウンターの方が可能性を感じるという格好になってしまいました。長身の都倉を入れた後も簡単にハイボールを入れていいような場面でも横パスが多く、「都倉の使い方がまだうまく行かず、相手の守備の集中力を高めさせてしまった」という高田の言葉も頷けます。対する横浜FCは、同点ゴールを挙げたアンデルソンがキレていた前半は、ある程度攻撃的に出るシーンもありました。後半も「DFラインから引き出してボールを受けるように」と監督から指示を受けた小野がリズムを作った最初の15分くらいは流れを引き寄せましたが、それ以降はトーンダウン。まさに「2点目が取れない。1点目が余計」(都並監督)という結果になりました。何とか探せば、よりポジティブな要素があったのは草津でしょうか。今日がJリーグデビューとなったGKの常澤も1失点こそ喫しましたが、スリッピーなピッチ条件の中で無難な出来。「僕自身もDFラインも不安だった」と語った植木監督も、「失点シーンは本田なら防げたかもしれない」としながらも一定の評価を与えていました。勝ち点も0ではなく、1を獲得したことは意味があるでしょう。横浜FCで残念だったのは会見で都並監督が「まだチームとしての熟成が足りない」「クロスを上げるタイミングがまだ浸透しきっていない」と話していたこと。第3クール初戦の会見でこんな言葉に遭遇するとは… 降りしきる雨の中で声援を送り続けたサポーターの心情を慮ると、それをこの段階に来て言われちゃあなあと思ってしまいました。 AD土屋
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J1第21節 柏×千葉@日立台

ちばぎんカップを含めると今年5回目となる千葉ダービー。ここまでの対戦成績は柏から見て1勝3分け。おそらくは2008年ラストマッチとなる今日、千葉の覇権が決まります。共に4-5-1を敷く中で、ワントップ下に入るブラジル人。柏はアレックス、千葉はミシェウ。この2人の動きがキーになりそうな感がありましたが、やはりここの差が試合の流れに影響を与えます。より効果的だったのはミシェウ。ボールも積極的に受け、アウトサイドで右に出すフェイントでDFをかわして勝負するシーンを多く作り、チームに勢いをもたらします。一方のアレックスはどうしても下がって受けたがるために距離が遠くなったフランサが孤立気味に。左ワイドに入ったポポもフリーランニングが得意な選手ではないので、足元で受けては潰される悪循環。「中盤でのイージーなミスが多過ぎた」(柏・石崎信弘監督)柏に対して、技術も高く動ける工藤と谷澤がミシェウとうまく連動した千葉が徐々にペースを握り始めます。特に移籍後初の日立台帰還となった谷澤は13分、24分と決定機に絡むと、前半ロスタイムには巻の落としから綺麗なボレーを枠内へ。ゴールライン上で蔵川にクリアされたものの、柏サポーターに鮮烈な印象を残したと言ってよさそうなパフォーマンスを披露しました。後半に入り、それぞれ1度ずつチャンスを掴んだ後で、先に動いたのはアレックス・ミラー監督。60分、ミシェウを下げて新居を投入します。千葉にうまく変化をもたらしていたミシェウの交替は個人的には予想外でした。しかしこの采配が的中したのは、そのたった5分後。青木良太からのボールを受けた新居が冷静にDFをかわして完璧なゴール。押し気味にゲームを進めていた千葉が先手を取りました。既に五輪帰りの李を投入していた石崎監督は、70分に北嶋を送り込んで前線を2トップに。さらに中盤も李を頂点に据えたダイヤモンドに組み直します。するとここからは全体のラインが下がり、ミシェウというアクセントもなくなった千葉を尻目に「李と北嶋がいい飛び出しをしてくれた」(石崎監督)柏が圧倒的攻勢に。そして80分、フランサの惜しいシュートから奪ったCK。アレックスの蹴ったボールは一旦クリアされますが、鎌田が拾って前へ。「クリアした時にマーカーを見ていなかった」(ミラー監督)千葉のDFラインと入れ違ってフリーで抜け出したのはフランサ。1-1、ゲームは振り出しに。残り10分は共にカウンターを繰り出しあうも、結局今日通算の3ゴール目は生まれず、千葉ダービー第5ラウンドはまたもや引き分けという結果で幕を閉じました。最近先に失点を許すことの多い柏。「追い付く所までは行けるようになってきたが、勝ち点3までは行けていない」とは石崎監督ですが、やはり立ち上がりの悪さは改善ポイント。チームのスタイルから見ても、フランサの下に並ぶ3人は機動力のある日本人がベターではないでしょうか。「75分間まったく問題なくプレーできていた」とミラー監督が振り返った千葉。先制点を奪ってからはかなり受けに回ってしまった印象です。今日の柏の出来を考えれば、2点目も狙えるチャンスは十分にあったように思えましたが、結果的には追い付かれてのドローとなりました。それでもミシェウはかなり効いてます。周囲との連携がさらに深まれば、今後の浮上も見込めるように今日の戦い方からは見えました。 AD土屋
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J2第28節 横浜FC×広島@ニッパ球

実は今季まだ一度も広島を現場で見ていなかったので、三ツ沢に来ました。成績とTVで見ていた印象で言うと、個人的にJ2史上最強だと思っている2004年の川崎に匹敵するんじゃないかと感じている今季の広島。実際スタジアムで見ると、やはりいくつか改めて見えた部分もありました。特に素晴らしかったのは各ポジションに対するカバーリングの意識。今日は展開上あまり3バックが前線まで飛び出すシーンは多くなかったですが、それでも一番上がっていた槙野のカバーは同サイドのWBリハンジェが徹底。ボランチが上がった際のカバーも2シャドーかWBが絞って対応。横浜にはアンデルソンというカウンターの先鋒役がいながら、そこにやられるシーンはほとんどありませんでした。あとは、結構両サイドからアーリークロスを入れるシーンが多かったんですけど、そこに入っていく選手の多さと巧さも目につきました。もちろん1トップの佐藤寿人のクロス反応は言うまでもありませんが、2シャドーに入った柏木と高萩もどんどん飛び出していくし、さらにアーリーをダイレクトで落として味方のシュートに繋げるなど、バリエーションも豊富。ポンポンとダイレクトで回して崩す形も含めて、やはり攻撃面ではJ2の中でもかなり抜けていることは再確認できました。ただ今日は「リーグもこれくらい進んでくると疲労は仕方ない」とペトロヴィッチ監督が話したように、単純に裏を狙うボールも少なくなく、その精度もイマイチで、前半は「攻めることで相手のパワーを削ぎながら戦うことができた」(横浜FC・都並敏史監督)横浜の前に2度3度決定機を創られ、ヒヤリとする場面もあった事は見逃せません。さてゲームが動いたのは63分。今季初出場ながらファインセーブを連発していた横浜GK岩丸が再度いいセーブを見せ、ピンチを凌ぎます。しかしその岩丸からのスローイングに味方が気付かず、ボールは青山の目の前へ。冷静に流し込まれ、広島にラッキーな先制点が入りました。しかし横浜も2分後、前節の福岡戦でも2ゴールを挙げた池元が素晴らしい左足シュートをホームのサポーター側にあるゴールに突き刺し、すぐに同点となります。ここからはやや広島優勢ながら、共に攻め合う面白い展開に。そんな中で試合を決めたのは「負傷で彼本来の力は出せていないが、シーズン前から必ずチームを助けてくれる存在になると思っていた」とペトロヴィッチ監督も語った39番。77分に佐藤寿に変わって投入されると、2分後に大仕事。高萩の完璧なサイドチェンジから服部がクロスを上げ、最後は高い打点からのヘディング。昨年所属していた古巣へ強烈なゴールをお見舞いした久保の決勝点で広島が勝ち点3を積み重ねました。「本来の広島の柔軟な戦い方は十分消せてた」と都並監督の言葉通り、横浜も要所要所はCBのエリゼウを中心に、かなりうまく守れていました。そ