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ツール・ド・フランス2009 | J Sports | cycle road race


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ツール・ド・フランス2009 志穂レポート

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日本人選手情報

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今朝、起きて思ったこと。「今日はまさにモン・ヴァントゥーステージだ」と。なぜかというと風が強い! 車を運転していて、久しぶりにハンドルを取られました。予報は風速25km/h〜50km/h。もちろん50km/hはモン・ヴァントゥーです。実は80km/hになるかもしれないという予報もあります。太陽は雲に隠れることなく、気温は22〜27度ということですが、風が冷たいのでいくらか過ごしやすいですね。
明日のシャンゼリゼで逃げたいユキヤは、「風が強くても、後ろについていれば大丈夫。ゆっくり落ち着いて上ります。特にチームからのオーダーはなく、普通に走ります」と、今日のステージに力が入ってるという感じではありません。ぜひ力を温存して、明日に備えて欲しいですね。

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「これがミストラルですよ。北から南に吹く強風」と言うフミ。第3ステージでこの辺りを走ったときは、南からの風でしたからね。この地域特有の山おろしです。「これだけ風が強いと大変です。中切れ、落車…、今日は危険回避のため、序盤から前に位置取りしなければなりません」
モン・ヴァントゥーはレースと練習で3回上ったことがあるそうで、「ドーフィネでバルベルデがアタックした場所、あそこが一番厳しいんです。森の部分を抜けるとあとはラクなんですけど、今日のこの風では厳しいでしょうね。大事なステージなので、気を抜かずに走ります」
写真はスタート前に子供たちと記念撮影。今日主催者のひとりから興味深い話を聞いたのでひとつ。「シュレク兄弟は兄弟でパリの表彰台にのりたいから、ふたりで協力して行くだろうね。兄弟で表彰台なんて見たことないからね。でもそれではアームストロングが表彰台からこぼれてしまう。だから僕が監督だったら、コンタドールにアームストロングのアシストをさせる。でもステージを勝つのはコンタドールだろうけど」。なかなか面白いアイデアです。

舞台裏レポート

●ツールを走り切るということ

フミはこれまで、「ツールを走るのが楽しい」、「自分がやってきたことを信じて」という言葉を繰り返してきました。そして今朝は、「昨日の7位をみんなに驚かれて。自分ではツールのステージでトップ10に入ることは、できないことではないと思っていたのに、あまりにも驚かれたのでちょっと悲しかったです」というコメントもしていました。

小学生の頃からツール・ド・フランスに憧れ、高校卒業後に渡仏。そのことを外国人記者に「寂しくなかった?」と聞かれたフミは、「こっちも家族のことを思っているし、家族も僕のことを思ってくれているから、いつもつながっているんだ」と英語で答えていました。日本語じゃないと、こういう言葉も照れずに言えるのでしょう。

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涙をぬぐい、あまり多くを言葉にできなかったフミ。感情がこみあげてきたのが伝わりました。

ほかの外国人記者にはこんな話もしていました。

「海外のチームに所属し、『ツール・ド・フランスに出たい』と言ったらみんなにバカにされました。でも僕は今、ツールにいます」

きっと自分に置き換えてみるといいのかもしれません。小学生の頃から自転車競技に熱中し、18歳で海外に住み、3年目でプロを諦めかけていたときにディスカバリーチャンネル入りが実現し、今、ツール・ド・フランスにいる…。フミは常に国際舞台へ挑戦してきたし、日本自転車界のパイオニアとしてのプレッシャーとも戦ってきました。

だからこそ、「完走を目指して走ったことなんてないんです。やはりレースは何かをしないと」と、少し焦りを見せることがありました。

でも、これまでの様々な想いがフミの胸に湧き上がったのでしょう。ゴール後、インタビューの最中、フミの目に光るものが…。

「ツールの実質的なラストステージで、しかもモン・ヴァントゥーというハードなステージで、自分のベストを尽くし、全力で走りたかったんです。途中から酸素が薄くて、ペースが落ちてしまったけど…、すごい…、やっぱり……」

ここで目頭を押さえるフミ。取材陣もしばらくそれを見守ります。そしてフミはボソリと言います。

「ちゃんとゴールできて良かったです」

その意味を知るため、「不安があったのか?」と聞くと、

「いや…、ちゃんと…、でも…、ゴールできて良かったです。自分の力を出し切れたんで良かったです」

と言い、再び涙をぬぐいます。

ツールを走る喜び、納得いくまで力を出すこと、ゴールできるかという不安…。いろんな想いが涙のワケだと思います。

「小さなことかもしれないけど…、僕にとってはすごい大きなことだったので…、良かったです。

「良かったです」を繰り返すフミに、張りつめていたものが一気に噴き出したような感覚を受けました。私も思わずもらい泣き。

最後に「一緒にパリに行きましょう!」と声をかけると、「はい、ありがとうございます」と言ってゴール地点をあとにしました。

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ユキヤはグルペットでゴール。写真はゴール直後で、笑みさえ見せていました。グルペットにいたステージは、まったくコメントをしたくないのがユキヤ流。でもターゲットは明日ですからいいんです。

フミが涙を流すほど頑張った第20ステージは、トップから14分40秒遅れの92位。モナコで180名いた選手は156名まで減り、その156名にふたりの日本人が含まれています。明日の歴史的瞬間をお見逃しなく。ちゃんと日の丸用意していますよ! シャンゼリゼ通りに日本人がゴールします!

プロフィール

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土肥志穂(どひ・しほ)
1971年・広島県生まれ
小学館『小学三年生』編集部を経てフリーライターに。主に女性誌や女性向けウェブサイトで執筆するも、自転車に乗ることでその魅力に開眼し、2000年からツール・ド・フランスの追っかけ取材を開始。本格的に自転車ジャーナリストとなる。プライベートでサイクリングやイベントにも参加。
著書に『人はなぜツール・ド・フランスに魅せられるのか』2006年刊/単行本)2009年刊/文庫本)、『ツール・ド・フランス完全ガイド』、『本気で自転車!』がある。
◆ブログ Shiho.be!

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