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1992 年から約 3 年続いた「シャカリキ!」はぼくにとって
連載デビュー作です。
漫画家という人種は自分の作品に徹底的に入り込んでしまうもので
ぼくも連載中、主人公テル達を単に紙の上に描かれたキャラクターだとは
思っていなかった。
彼らの出場レースを観に行けば本当に会える、
ぼくにとっては ” 実在の ” 選手達だったのだ。
テルやユタや鳩村の将来に想いを馳せ、
過酷なはじめての週刊連載の ” 熱 ” の中、
やがて彼らがインデュラインやキアプッチ達と一緒に
ツール・ド・フランスを走る姿が明確に見えるまでになった(アブない・・・?)。
当時はまだ今中選手も出場しておらず
” ツール ” は日本人にとって ” はるかなる憧れの地 ” だったが
ぼくにとってだけは違った。
だってテルやユタが走ってるんだもん、
それもマイヨ・グランペールやマイヨ・ジョーヌをまとって!!
憧れでも何でもない!
すごく ” リアルな ” イベントに感じていた。
今思えば最高に幸せな日々だったのだ。
あれから 10 年以上が経った。
日々の仕事に追われ、ぼくにはもう
テルやユタの姿は見えなくなった。
今でも熱心な読者の方から「 ” シャカリキ! ” 続編待望」の
あたたかいメッセージをいただくが
ぼくの視界からテルやユタが去ってしまった以上、
もうぼくには彼らを描くことはできないだろう。
そして、自分のキャラクターが走ることの無いツール・ド・フランスは
ぼくにとっても憧れの地、
憧れても憧れても決して手の届くことの無い別天地に戻った。
不思議とさみしくはない。
人生にひとつくらいはそういう場所があってもいいもんだ。
” ツール ” はそれにふさわしい神々の世界だと思う。
曽田 正人 |