カルチャー | Culture

Nerds,Be Ambitious!

2006年11月30日

第一回 : DADA ─ 爆走! ヒップホップ魂

ワシゃ本職は黒人音楽雑誌『bmr(ブラック・ミュージック・リヴュー)』の編集ですが、バスケットボールとヒップホップ風俗との関係に魅せられています。そんなわけで、バスケットボール(主にNBA)に関連したカルチャー(?)・コラムを書くことになりました。

こんな顔(写真参照)はしてますが、本質は誰よりもナード(オタク)なワシですので、あくまでもナーディに、あくまでも些細なことに着目し、あくまでも重箱の隅をつつくような内容のコラムをお届けしようと思います(敬語文体はこれにて終了)。


第一回のテーマはDADAだ!

バスケットボールに特化したスニーカー・ブランドといえばAND1が挙げられるのだろうが、ワシがイチオシしたいのはDADAである。そのキャラの立ち具合、暴走するアイデア、等々がなんともヒップホップなブランドだからだ。

ナイキにしろリーボックにしろアディダスにしろAND1にしろ、スニーカー・ブランドはアスリートと契約を結び、モロモロの物資を提供したり(時にはそのアスリートの名を冠したシューズ=シグニチャー・モデルを発売したり)する代わりに、ブランドを宣伝してもらうわけだが、このDADAは特に「アティテュード」があるアスリートと契約する傾向がある。「アティテュードがある」とは要するに、ヒップホップ的なガラの悪さ爆発!という意味である。

たとえば、かつてDADAの代名詞的存在だったクリス・ウェバー(現フィラデルフィア・76ers)。しょっちゅうマリファナ所持がバレて捕まったりというだけでもヒップホップ(賛美しているわけではありません)な彼は、C-Webb名義でラッパーとして活躍していたこともある。ラッパーとしてのデビュー曲のタイトルは、あまりにストレートな“Gangsta Gangsta”。アルバムには『2 Much Drama』というタイトル(問題山積み!くらいの意味)がつけられておりました。

このウェバーは一時期、DADAの一部門の社長まで務めていたのだが、その後、「なんでワシのクリエイティヴなアイデアを活かさんのや!」とDADAを相手取って訴訟を起こした。その内紛ぶりもヒップホップらしくて微笑ましい。


そして、もう一人。10年ほど前のコーチ首締め事件でNBA史にその名を刻んだ、ラトレル・スプリーウェルだ!

自動車&バイクの改造業も営むスプリーウェルは、クルマが止まってもタイヤの中心部のリムだけ回転し続けるシステム「スピナー」の先駆者としても知られる。そのスピナー好きを活かしたのが、クルクル回るホイール(のようなもの)が脇についたスニーカー、その名もSpree'sだ! 歩行の際にどこからか吸気されたエアが、ホイール部分に注入され、回転する仕組になっていると思しい。ワシも一足持っているが、大事に大事にチビチビはいているぞ。(写真1)


クルクル回るSpree'sも凄かったが、さらに大掛かりで、なおかつ実用的な暴走ぶりを見せているのが、DADAの最新アイテムCODE M(写真2)。これがなんと、MP3内蔵のスピーカー・シューズなのだ! もっとも、同じような試みならナイキでもあったのだが、なんといってもDADAには爆走するヒップホップ・マインドがある。

このCODE M、専用ヘッドフォンに音を飛ばして普通のヘッドフォン・ステレオとして使うこともできるのだが、せっかくだから自分のテーマソングをガンガン鳴らしながら歩かないと。でも、当たり前だけど電車等の交通機関内では自粛しましょう。のみならず、公共の場所、特に屋内では状況を考えて使うべし。

ちなみに、気になる電源は充電式。これで、Spree'sの空気圧システムを応用して、電気も自家発電でまかなえるようになると最高なのだが……今後の研究・開発を待ちたい。


これは奇遇としか言いようがないのだが、クリス・ウェバーとラトレル・スプリーウェルは、どちらもゴールデンステイト・ウォリアーズからNBAキャリアをスタートしている。

その「ゴールデンステイト・ウォリアーズ」の名を冠したヒップホップ・ユニットがある(あった、かな?)。その一員としても知られるのが、西海岸の人気ラッパー、イグジビット(Xzibit)。これまた奇遇で、DADAはそのイグジビットのシグニチャー・モデルも作っているのだ!(写真3)

まあ、ヒップホップ・アーティストと契約を結んで、そのシグニチャー・モデルを作るなんてことは、今やどこのシューズ・ブランドでもやってること。しかし、ジェイ・Z!とかネリー!とかエミネム!とか50セント!とかのストレートにスーパースターな人選ではなく、自動車改造番組『Pimp My Ride』の司会として人気を集めているものの、それでもアンダーグラウンド臭の抜けないイグジビットを起用するあたり、「ヒップホップをわかってる」感がにじみ出ていて素晴らしい。

次はザ・ゲーム(プロレスラーではなくラッパー)あたりのシグニチャー・モデルをお願いしたいものだ。

Spree'sSpree's

(写真1)
Spree's:バスケ、クルマ、スニーカー……それがスプリーウェルさ!


CODE M

(写真2)
CODE M:個人的にはヘッドフォンなぞ要らんと思う。でもグレイト!


イグジビット

(写真3)
イグジビットさん、いつにまして人相悪いです


丸屋九兵衛

Profile

丸屋九兵衛(まるや・きゅうべえ)
『bmr(ブラック・ミュージック・リヴュー)』編集部勤務

別名=「痴の巨人」。立場を利用し、自分が携わる雑誌『bmr』にて視点の定まらない連載「雑学王」を9年以上も続けている。早川書房『SFマガジン』でも、スター・トレック連載「Trek Daddy」続行中。文中で触れたとおり、2月には初の著書『音楽誌が書かないゴシップ無法痴態』を出したが絶不評中……。

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